JP7424343B2 - 複合架設材 - Google Patents
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Description
梁材同士を長手方向に接合するにあたり、接合すべき一方の梁材1の端部には、一方の半割体3aの端部に凸部と凹部とを上下方向に交互に複数形成し、他方の半割体4aの端部には一方の半割体3aの凸部に対応する位置に凹部が位置し、半割体3aの凹部に対応する位置に凸部が位置するように形成し、接合すべき他方の梁材2における一方の梁半割体3bの端部には一方の梁材1の半割体3aの凸部及び凹部に凹凸係合する凹部と凸部とを、また他方の梁半割体4bの端部には一方の梁材1の半割体4aの凸部及び凹部に凹凸係合する凹部と凸部とを形成し、双方の梁材1,2の一方の梁半割体3a,3bの端部同士及び他方の梁半割体4a,4bの端部同士を夫々凹凸係合させると共に、一方の梁材1における梁半割体3aの補強鋼板側の凸部と他方の梁材2における梁半割体4bの補強鋼板側凸部とを、また一方の梁材1における梁半割体4aの補強鋼板側の凸部と他方の梁材2における梁半割体3bの補強鋼板側の凸部とを夫々重ね合わせて結合手段により結合する接合構造が示されている(特許文献2の図3参照)。
シア部材は、リング状、中実などバリエーションがあり、前記木製部材又は集成材に前記シア部材の噛み込みを容易にするための嵌合凹部又は噛み込み状溝を形成したり、前記木製部材又は集成材に形成した嵌合凹部又は噛み込み溝とシア部材との間に一定の隙間を設け、前記隙間に接着剤を充填する方法も開示されている。また、前記シア部材を前記複合部材の両端部近傍に集中的に配したものも開示されている。
(i)特許文献1の発明では、木製材内部に埋め込む方法として、分割して接着する方法以外具体的な開示がない。接合部についての言及はあるが、接合部の具体的相互関係が明示されておらず、単に接合に供する部分が概念的に示されているに過ぎない。本願で意図している、架構中央部での当該複合材同士の接合に関し、特許文献1では当該接合部が露出した状態になるため、木造架構の美観を著しく損なう問題がある。
さらに、特許文献3の発明も同様であるが、分割した木材と鋼板が接着により一体化され、さらに、鋼材下端面が露出しているため、火災時には内部の鋼材が早期に高温化し、外周面だけでなく、鋼材との接触部の接着剤、木材も炭化が進展して一体性が失われ、当初の補強効果が喪失する問題がある。
前記木製材は、前記鋼板の板厚相当の幅で前記鋼板の幅相当の深さを有し前記木製材の全長に亘る溝であって、木製材両側面からそれぞれ幅の中心方向に等距離で設定された単数又は複数の基準線の左右どちらか一方に統一して該基準線に隣接して形成された第1の溝と、該第1の溝と同じ幅と深さを有し前記木製材の端部から材軸方向中心に向かって所定長さの溝であって、前記第1の溝と該基準線に対して線対称に隣接して形成された第2の溝とを有し、
前記鋼板は前記木製材の材長よりも長く、かつ、前記第1の溝深さ相当の幅寸法を有し、該第1の溝に少なくとも一端側を前記木製材の端面から突出させて嵌装されていることを特徴とする複合架設材。
連結される一方の複合架設材の前記鋼板における木製材から突出した部分が、連結される他方の複合架設部材の前記第2の溝に挿入され、連結される他方の複合架設材の前記鋼板における前記木製材から突出した部分が、連結される一方の複合架設部材の前記第2の溝に挿入され、前記鋼板同士が機械的手段により接合されていることを特徴とするものである。
h=(BH1 2+αtH2 2)/(2(BH1+αtH2))
ただし、B:木製材の幅
H1:木製材の高さ
t:鋼板の厚さ
H2:鋼板の高さ
α:複合材を構成する部材間の剛性にかかる係数
また、基準線を基準として形成された第1の溝と線対称に、材軸方向中心に向かって所定の長さで第2の溝を形成し、当該接合部側の端面では、嵌装された鋼板が所定の長さで延長して、対向する第2の溝に相互に挿入され、鋼板同士が接合できるようにしている。これにより、複合部材相互の接合か鋼板同士の摩擦接合かにより強固に接合可能であり、鋼板も外部に露出しないので、美観上、耐火上優れた接合部を容易に得ることができる。
本実施の形態に係る複合架設材1は、図1に示すように、矩形断面の木製材3と木製材3に嵌装された鋼板5を備えてなり、架構を構成する柱間又は桁行梁間に架設されるものである。以下、本実施の形態の複合架設材1の詳細について、スパン12mの架構に用いる場合を例に挙げ、また運搬を考慮して、スパン中央で2本の複合架設材1を接合して用いる場合について、具体的な寸法を含めて説明する。もっとも、以下に示す寸法は一例であって、本発明がこれに限定されるものではない。
木製材3には、図2に示すように、木製材3の全長に亘るように形成された第1の溝7と、木製材3の端部から材軸方向中心に向かって所定長さ(図1のL2)の第2の溝9が形成されている。
また、木製材3の側面には、図3に示すように、接合用木製材貫通孔11と応力伝達部材用木製材孔13が設けられている。
木製材3の例としては、強度区分E120の集成材で、寸法は幅120mm、高さ390mm、長さ6mである。
以下、木製材3の構成をさらに詳細に説明する。
第1の溝7は、鋼板5を嵌装するための溝であり、鋼板5の板厚t相当の幅tW1(=t)で鋼板5の幅H相当の深さHW1を有し、木製材両側面からそれぞれ幅の中心方向に等距離で設定された1本の基準線BLの図中右側に隣接して形成されている。
前述のように、第1の溝7の側面は、基準線BLの図中右側に基準線BLと同一線上に形成されるので、第1の溝7の幅方向の中心は、tw1/2(=t/2)だけ基準線BLから右側にずれて配置される。
第2の溝9は、第1の溝7と同じ幅と深さを有し、第1の溝7と基準線BLに対して線対称に隣接して(隔壁を設けることなく)形成されている。すなわち、本例では第1の溝7が基準線BLの図中右側に配置されているので、第2の溝9は基準線BLの図中左側に配置される。
なお、図2に示す例では、第2の溝9を木製材3の両端に設けているが、これは複合架設材1を両端に接合する場合や柱側から突出する鋼板と接合するのに有用なものである。もっとも本発明においては、第2の溝9を木製材3の両端に設けることは必須ではなく、第2の溝9を木製材3の一方の端部のみに設けるものも含む。
接合用木製材貫通孔11は、複合架設材1をボルト等の接合部材(図示なし)で接合するためにボルト等を挿通するための貫通孔であって、木製材3における端部から第2の溝9が形成された部分の側面に穿たれている。
本例では、図3に示すように、高さ方向に3段で材軸方向2列での合計6個設けられている。
なお、接合用木製材貫通孔11は、その孔径を接合に用いるボルトのボルト径として、木製材3の側面から木材とあわせて締め付けてもよいし、ボルト頭とナットを埋め込み可能なように拡大した座ぐりを行った段付きとしてもよい。
ボルト径をφ16とすると、接合用木製材貫通孔11はφ17mm程度でよい。
応力伝部材達用木製材孔13は、鋼板5の応力を木製材3に伝達するドリフトピン等の応力伝達部材17を設置するための孔である。
応力伝達部材用木製材孔13は、図3に示すように、木製材3における第1の溝7のみが形成された部位(第2の溝9が形成された部位以外の部位)に、木製材3の一方の側面から鋼板5裏面までの深さ以上に穿たれている。
なお、設置するのがドリフトピンの場合は非貫通にしてもよく、貫通孔である場合にはドリフトピンの他にボルトを用いることができ、木製材3と鋼板5の応力伝達に供する。また、応力伝達部材用木製材孔13は、左右側面で千鳥配置してもよく、上下に複数設けてもよい。
応力伝達部材用木製材孔13は例えばφ15mmとする。
鋼板5は木製材3の材長よりも第2の溝9の長さと同じ長さL(=L2)だけ長く、かつ、第1の溝7幅相当の厚みtと、第1の溝7の溝深さ相当の幅寸法H2を有している。
そして、鋼板5はその一端側を木製材3の一端面にそろえて第1の溝7に嵌装されている。これにより、図1に示すように、鋼板5の他端側は、木製材3の他端面から長さLだけ突出した状態になっている。この突出部5aにはボルト接合用の貫通孔(以下、「接合用鋼板貫通孔19(19A、19B(図7、図9参照))」という)が設けられている。
接合用鋼板貫通孔19は、接合される他の複合架設材1の第2の溝9に嵌装したときに接合用木製材貫通孔11に対応する位置となっている。したがって、接合用木製材貫通孔11と同様に、高さ方向に3段で材軸方向2列での合計6個設けられている。
鋼板5の突出部の長さは300mm、接合用鋼板貫通孔19はボルト接合用のφ17mmである。
応力伝達部材用鋼板貫通孔21はφ17mmでφ16mmのドリフトピンを挿入する。
h=(BH1 2+αtH2 2)/(2(BH1+αtH2))
ただし、B:木製材の幅
H1:木製材の高さ
t:鋼板の厚さ
H2:鋼板の高さ
α:複合材を構成する部材間の剛性にかかる係数
本例の場合には、B=120mm、H1=390mm、t=12mm、H2=250mmである。また、αは複合材を構成する部材間の剛性にかかる係数であり、木製材3と鋼材のヤング係数を用いた数式で決定され、図5に示す分布を呈する。本説明に用いた構造用集成材の場合はα=16.1であり、上記の式によりhを160mmに設定した。
図6は2本の複合架設材1A、1Bを接合した状態の接合端部の平面図、図7は図6の矢視A-A断面図、図8は図7の矢視B-B図である。なお、図7、図8において接合に用いるボルト・ナット等の接合部材や応力伝達に用いるドラフトピン等の応力伝達部材は図示を省略している。
本例のように、1本の複合架設材1の長さが架構における架設空間の半分の長さの場合には、当該架構の架設材とするには2本の複合架設材1を接合して用いる。2本の複合架設材1は同じものであるが、図6~図8においては両者を区別するために一方の符号架設材1およびその構成要素を示す符号には「A」を付し、他方のものの符号には「B」を付してある。
より具体的には、双方の突出部5Aa、5Baが突出した側の端面を対向させ、複合架設材1Aの突出部5Aaを複合架設材1Bの第2の溝9に、複合架設材1Bの突出部5Baを複合架設材1Aの第2の溝9にそれぞれ嵌装させて複合架設材1A、1Bの端面を密着させることにより、鋼板5が露出することなく相互に接合して用いることができる。
ここで、図8に示すように、相互の接合部の木製材3の接合用木製材貫通孔11A、11Bは、締め付け工具の大きさを考慮した径として、ハイテンションボルトで鋼板5同士のみを摩擦接合とした。摩擦接合としない場合には、ドリフトピンを併用するとよい。ボルト・ナット部分は、施工後に木栓を打ち込むが、内部にロックウールやセラミックウール、モルタルなどの耐火材を充填するとより望ましい。このほか、木製材3の側面から木材とあわせて締め付けてもよく、ボルト頭とナットを埋め込み可能なように拡大した座ぐりを行った段付きとしてもよく、これらの併用でもよい点は、前述した通りである。
また、基準線BLを基準として形成された第1の溝7と線対称に、材軸方向中心に向かって所定の長さで第2の溝9を形成し、当該接合部側の端面では、嵌装された鋼板5が所定の長さで延長して、対向する第2の溝9に相互に挿入され、鋼板5同士が接合できるようにしている。これにより、複合部材相互の接合か鋼板5同士の摩擦接合かにより強固に接合可能であり、鋼板5も外部に露出しないので、美観上、耐火上優れた接合部を容易に得ることができる。
すなわち、一般的な構造である、延長した鋼板5のみを柱側に設けたブラケットに固定する方法のほか、柱あるいは桁行梁上、あるいは側面から長さLだけブラケットを突出させて第2の溝9に嵌装して相互に接合や、これらにおいて、柱に第2の溝9に相当する溝を設けて延長した鋼板5を嵌装する方法をその場所において任意に選択して組み合わせてもよい。
また、鋼板5の側面は少ない方で48mmの無垢の木材が配され、鋼板5の下端は、無垢の木材が140mmあるために、火災時に鋼板5の温度が低く保たれ、45分準耐火構造の性能を確保することが可能である。
この場合には、図9に示すように、両端部に配置する複合架設材1A、1Cは、スパン中央側の鋼板5A、5Cを突出させ、中間部の複合架設材1Bは、その両端から鋼板5を突出させるようにする。両端部に配置する複合架設材1A、1Cの柱あるいは桁行梁側の端部はこれらとの接合形態にあわせて、任意に設定すればよい。
実施の形態1では、木製材3の幅方向の中心に基準線BLを1本設けた例について説明したが、第1の溝7及び第2の溝9の幅は、加工機械の制限などにより、大きくできない場合がある。そこで、本実施の形態2では第1の溝7及び第2の溝9をそれぞれ複数設け、各溝幅を例えば所有する工作機械の限度内の幅の溝に設定できるようにした。
本実施の形態においては、溝加工の利便性を考慮して第1の溝7及び第2の溝9幅を実施の形態1の1/2(=6mm)に薄くし、第1の溝7及び第2の溝9をそれぞれ2本設ける場合を例に挙げて、図10~図12に基づいて説明する。
図10~図12において、実施の形態1を示した図1~図4、図6と同一部分及び対応する部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。なお、本実施の形態では、基準線BL、第1の溝7及び第2の溝9がそれぞれ2本設けられ、鋼板5も2枚設けられているので、基準線BL、第1の溝7、第2の溝9及び鋼板5について図中左側、右側のものを示すために符号の後にそれぞれ「L」、「R」を付してある。
本実施の形態3は、山形架構に用いる複合架設材1A、1Bに関するものである。本実施の形態に係る複合架設材1A、1Bを図14、図15に基づいて説明する。図14、図15は2本の複合架設材1A、1Bを接合した接合部の状態を示す図であって、図14が実施の形態1における図7に、図15が実施の形態1における図8に相当する図である。なお、実施の形態1と共通する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
対向させる複合架設材1A、1Bは、木製材3の端部の形状と鋼板5の端部の形状が実施の形態と異なり、その他は実施の形態1の複合材と同じである。
山形架構頂点の内角θを120度とすると、山形に接合する部分の木製材3の当該端面の上端部の角度はθ/2すなわち60度の傾斜面とする。木製材3における柱側との接合端面は必要に応じて決定すればよく、垂直面でも、下端部の角度を60度の傾斜面(柱面と平行)するか、下端面が水平面になるようにするか、これら併用のいずれでもよい。
3、3A、3B 木製材
5、5A、5B、5R、5L、5AR、5AL、5BR、5BL 鋼板
5a、5Aa、5Ba、5Ra、5La、5ARa、5BRa、5ALa、5BLa 突出部
7、7R、7L 第1の溝
9、9R、9L 第2の溝
11、11A、11B 接合用木製材貫通孔
13、13A、13B 応力伝達部材用木製材孔
17 応力伝達部材
19、19A、19B 接合用鋼板貫通孔
21、21A、21B 応力伝達部材用鋼板貫通孔
BL、BLR、BLL 基準線
Claims (5)
- 矩形断面の木製材と該木製材に嵌装された鋼板を備えてなり、架構を構成する柱間又は桁行梁間に架設される複合架設材であって、
前記木製材は、前記鋼板の板厚相当の幅で前記鋼板の幅相当の深さを有し前記木製材の全長に亘る溝であって、木製材両側面からそれぞれ幅の中心方向に等距離で設定された単数又は複数の基準線の左右どちらか一方に統一して該基準線に隣接して形成された第1の溝と、該第1の溝と同じ幅と深さを有し前記木製材の端部から材軸方向中心に向かって所定長さの溝であって、前記第1の溝と該基準線に対して線対称に隣接して形成された第2の溝とを有し、
前記鋼板は前記木製材の材長よりも長く、かつ、前記第1の溝深さ相当の幅寸法を有し、該第1の溝に少なくとも一端側を前記木製材の端面から突出させて嵌装されていることを特徴とする複合架設材。 - 請求項1に記載の複合架設材を材軸方向に連結してなる複合架設材であって、
連結される一方の複合架設材の前記鋼板における木製材から突出した部分が、連結される他方の複合架設部材の前記第2の溝に挿入され、連結される他方の複合架設材の前記鋼板における前記木製材から突出した部分が、連結される一方の複合架設部材の前記第2の溝に挿入され、前記鋼板同士が機械的手段により接合されていることを特徴とする複合架設材。 - 嵌装された前記鋼板の前記木製材より突出した部分が屈曲しており、接合状態で一方の複合架設材と他方の複合架設材が山形を形成することを特徴とする請求項2に記載の複合架設材。
- 前記鋼板を前記木製材に設置した状態で、前記鋼板の高さ方向の中心よりも下方に、前記木製材にせん断力を伝達するせん断力伝達機構を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の複合架設材。
- 前記せん断力伝達機構の設置位置を、鋼板上端面から次式で求めた距離hの位置としたことを特徴とする請求項4に記載の複合架設材。
h=(BH1 2+αtH2 2)/(2(BH1+αtH2))
ただし、B:木製材の幅
H1:木製材の高さ
t:鋼板の厚さ
H2:鋼板の高さ
α:複合材を構成する部材間の剛性にかかる係数
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- 2021-04-28 JP JP2021075605A patent/JP7424343B2/ja active Active
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