JP2836005B2 - 建築物 - Google Patents

建築物

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JP2836005B2
JP2836005B2 JP6020604A JP2060494A JP2836005B2 JP 2836005 B2 JP2836005 B2 JP 2836005B2 JP 6020604 A JP6020604 A JP 6020604A JP 2060494 A JP2060494 A JP 2060494A JP 2836005 B2 JP2836005 B2 JP 2836005B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建築物に関し、特に、
構造の簡略化と施工性を向上する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の建築物の建築方法として、軸組工
法と枠工法なるものが良く知られている。前者は、スケ
ルトンスキン工法やポスト&ビーム工法とも称されるも
ので、柱、梁を主体として構成する架構方法である。
【0003】後者は、ツーバイフォー工法やプラットフ
ォームフレーム工法とも称されるもので、根太で組まれ
た床の枠組に対して構造物用合板又はそれと同等以上の
性能を有する面材を打ち付けて形成した床に、枠材で組
まれた壁の枠組に対して構造用合板その他これに類する
ものを打ち付けて形成した壁体をくぎ及び金物で取り付
けて建築物を建築するものである。
【0004】これら工法の主たる違いを比較して述べる
と、まず、空間の構成は、前者は「軸(線)」、後者は
「版(面)」である。床面、壁面等の剛性付与構造は、
前者は「火打ちばり、筋かい」、後者は「構造用合板張
り」である。使用する木材は、前者は「正方形を主とし
た大断面・長尺材(通し柱)を含む」、後者は「小断面
・短尺材を主とする」である。施工時の工程は、前者は
「一階・二階軸,床,小屋連続建上げ」、後者は「一階
床→一階壁→二階床→二階壁→小屋(ステップ作業)」
である。
【0005】しかしながら、このような従来の建築方法
においては、夫々次のような問題点がある。即ち、在来
軸組工法では、空間の構成が軸を主体とするものであっ
て、通し柱を使用するので、作業に手間が掛かると共
に、材料費が嵩むし、床面,壁面等の剛性付与構造は、
火打ばり、筋かいであって、構造が複雑であると共に、
作業手間も掛かる。特に、真壁造りを行うので、下地を
作る必要があり、より作業手間が掛かる。
【0006】又、枠組壁工法にあっては、空間の構成は
面を主体とするものであり、火打ばり、筋かいを不要と
する構造であるが、強度の点で在来軸組工法に劣るし、
壁体を床(プラットフォーム作業床)上で組み立て建起
こしする作業が必要で、手間が掛かる。ところで、従
来、木造家屋等の建築物の施工においては、基礎を構成
した後、木材等の建築部材を巧みに切断し切欠加工して
これらを構造力学に沿って巧みに組み立て結合し、特に
建築部材の重要接続部分をボルト等で固定している。し
かし、このような古来の方法では、建築部材の結合等高
度の技量と熟練を要し、作業能率,建築部材の経済性,
結合部分の強度等に劣り、工期が長く、結局高価とな
る。
【0007】一方、近年のプレハブ建築は大量生産によ
り上記の経済性の問題を幾分は解決するが、耐久性,強
度(特に結合部)に劣り、多様性に欠け、建築後使用す
る期間の経過に従ってみすぼらしくなり、長期の使用に
なると、建築の落ち着き感,重量感等の良さを醸し出す
ことができない。このため、近年、建築部材を継手装置
を使用して連結して枠組を構築することにより、単なる
ボルト締め等の締結手段を用いるという単純な作業によ
るのみで、建築部材の結合を完了でき、あたかも色々な
形状のブロック玩具を組み合わせる如く、少数規格品を
用いて需要者の要求に応じて各種各様の家屋を次々に構
成することができる技術が提案されている(特開平4−
111831号公報参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来の継手装置を使用した枠組を有する建築物にあって
は、次のような問題点があった。即ち、従来では、使用
する建築部材の種類が多く、施工に時間が掛り、生産性
に劣る。
【0009】又、建築部材のロスも多く、在庫管理がし
難く、建築部材の無駄も多い。更に、枠組に対して床、
壁等を建築部材で順次構築していくため、施工数が多
く、省力化、合理化が不可能である。本発明は、このよ
うな従来の問題点に鑑みなされたもので、使用する建築
部材の種類を低減できて、施工時間の短縮化を図れると
共に、建築部材のロスも少なく在庫管理がし易く、しか
も、施工数が少なく、省力化、合理化が可能な建築物を
提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、 (請求項1) 梁をこれにボルトにより締結される継手装置を介して連
結して構成した床用枠組と、梁と柱をこれらにボルトに
より締結される継手装置を介して連結して構成した壁用
枠組と、前記床用枠組の枠内に嵌め込まれて固定される
床パネルと、前記壁用枠組の枠内に嵌め込まれて固定さ
れる壁パネルと、含んで構成され、前記各枠組は規格化
された複数のグリッドパターンをもって形成される一
方、 各継手装置に締結される前記梁と柱のボルトの頭部
との当接部にはシアーリングが介装され、該シアーリン
グは、一端が閉じられた短い円筒形状からなり、閉じら
れた端壁の中心部にはボルトの挿通孔が開設され、かつ
シアーリングの閉じられた端壁の中央部にはワッシャが
溶接によって予め固着されたことを特徴とする。
【0011】(請求項2)前記床パネルは、方形状に結
合される4本の側根太と、一側に相対向する側根太同士
を連結する根太とから構成され、床用枠組に嵌め込まれ
た後、締結具により床用枠組の梁に固定取付されるよう
にした。 (請求項3)前記床パネルの側根太外面と床用枠組の梁
内面との間には、床パネル受け部材が介装され、該床パ
ネル受け部材は、上下に離間して相反する方向に延びる
横板部と両横板部同士を繋ぐ縦板部とからなる略Z字形
状に形成され、前記縦板部を床パネルの側根太外面と床
用枠組の梁内面との間に挟み込ませた状態で、上部の横
板部を梁上面に当接係止させると共に、下部の横板部を
梁下面に当接係止させ、上部の横板部を梁上面に締結具
で固定し、縦板部を梁内側面に締結具で固定することに
より取り付けられるようにした。
【0012】(請求項4)前記壁パネルは、前記壁パネ
ルは、方形状に結合される4本の側板部材と、一側に相
対向する側板部材同士を連結する板部材とから構成さ
れ、壁用枠組に嵌め込まれた後、締結具により壁用枠組
の梁及び柱に固定取付されるようにした。
【0013】
【作用】請求項1記載の発明において、梁を継手装置を
介して連結して構成した床用枠組の枠内に床パネルが嵌
め込まれて固定され、梁と柱を継手装置を介して連結し
て構成した壁用枠組の枠内に壁パネルが嵌め込まれて固
定される。従って、構造をより単純化することができ、
使用部材を極力少なくできるため、施工が早く、構造も
堅固となる。又、床、壁をパネル化するようにしたか
ら、施工が早く、工期の短縮化を図れ、予め、床パネ
ル,壁パネルを製作して、現場でこれらを枠組の枠内に
嵌め込んで固定するだけであるから、現場における作業
が簡単となる。更に、建築部材の基本体は、柱,梁(土
台)の3つであるから、建築部材のロスがなく、在庫管
理がし易く、又、建築部材の有効利用を図ることができ
る。特に、シアーリングとワッシャとを予め一体化して
おくことにより、ボルトをワッシャに通す際に、ワッシ
ャを手で押さえておく必要がなく、ワッシャが落下する
虞もないため、作業性に優れる。
【0014】請求項2記載の発明において、床パネルは
根太から簡単に形成できる。請求項3記載の発明におい
て、床パネルの床用枠組への固定取付状態を確実に維持
することができる。請求項4記載の発明において、壁パ
ネルは板部材から簡単に形成できる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1において、建築物は、梁としての土台1を継
手装置を介して連結して構成した床用枠組としての土台
用枠組2と、梁3を継手装置を介して連結して構成した
床用枠組4と、梁と柱5を継手装置を介して連結して構
成した壁用枠組6と、前記土台用枠組2及び床用枠組4
の枠内に嵌め込まれて固定される床パネルと、壁用枠組
6の枠内に嵌め込まれて固定される壁パネル7と、含ん
で構成される。
【0016】建築物の1階部分の床用枠組は、土台用枠
組2となるもので、この土台用枠組2は、図2に示すよ
うに、4本の梁としての土台1を方形状に組んで、夫々
を後述する継手装置により連結して構成される。又、建
物の2階部分の床用枠組4は、図3に示すように、4本
の梁3を方形状に組んで、夫々を後述する継手装置によ
り連結して構成される。
【0017】ここで、前記土台用枠組2側の床パネル1
1は、図2に示すように、4本の側根太8と、一側に相
対向する側根太8同士を連結する根太9とから構成さ
れ、土台用枠組2に嵌め込まれた後、締結具としての釘
10により土台用枠組2の土台1に固定取付される。こ
の場合、床パネル11の側根太8外面と土台用枠組2の
土台1内面との間には、床パネル受け部材としての床パ
ネル受け金物12が介装され、床パネル11の土台用枠
組2への固定取付状態を維持するようになっている。
【0018】即ち、この床パネル受け金物12は、図4
に示すように、上下に離間して相反する方向に延びる横
板部12aと両横板部12a同士を繋ぐ縦板部12bと
からなる略Z字形状に形成される。床パネル受け金物1
2は、その縦板部12bを床パネル11の側根太8外面
と土台用枠組2の土台1内面との間に挟み込ませた状態
で、上部の横板部12aを土台1上面に当接係止させる
と共に、下部の横板部12aを土台1下面に当接係止さ
せ、上部の横板部12aを土台1上面に締結具としての
釘13で固定し、縦板部12bを土台内側面に締結具と
しての釘14で固定することにより取り付けられる。
【0019】かかる床パネル受け金物12は、土台枠組
2の各土台1夫々の離間する2位置に適用される。一
方、前記床用枠組4側の床パネル15は、図3に示すよ
うに、4本の側根太16と、一側に相対向する側根太1
6同士を連結する根太17とから構成され、床用枠組4
に嵌め込まれた後、釘18により床用枠組4の梁3に固
定取付される。
【0020】この場合、床パネル15の側根太16外面
と床用枠組4の梁3内面との間にも、土台枠組2側と同
様の構成の床パネル受け金物19(図5参照)が介装さ
れ、床パネル15の床用枠組4への固定取付状態を維持
するようになっている。以上の土台用枠組2と床用枠組
4は規格化された複数のグリッドパターンをもって形成
される。
【0021】図6はそのグリッドパターンを示してお
り、本実施例においては、10種類設けられている。こ
の場合、床用枠組を例にとると、枠組20は長さがB1
種の梁(910タイプ)から、枠組21はB1種の梁と
B2種の梁(1820タイプ)から、枠組22はB1種
の梁とB3種の梁(2730タイプ)から、枠組23は
B1種の梁とB4種の梁(3640タイプ)から、夫々
形成される。
【0022】又、枠組24はB2種の梁から、枠組25
はB2種の梁とB3種の梁から、枠組26はB2種の梁
とB4種の梁から、枠組27はB3種の梁から、枠組2
8はB3種の梁とB4種の梁から、枠組はB4種の梁か
ら、夫々形成される。かかる床用枠組を構成するB1〜
B4種の梁は図7に示す通りである。一方、土台用枠組
も 床用枠組と同様のグリッドパターンで形成される
が、土台と梁とは断面形状のみが異なり、図8に示すよ
うに、A1〜A4種の土台が用意される。
【0023】又、根太は、図9に示すように、1階用の
ものが3種、図10に示すように、1階用のものとは断
面形状の異なる2,3階用のものが4種夫々設けられて
いる。前記壁用枠組6は、図示しないが、2本の梁5と
2本の柱とを方形状に組んで、夫々を後述する継手装置
により連結して構成される。
【0024】ここで、壁用枠組6用の壁パネル7は、図
1に示すように、4本の側板部材30と、一側に相対向
する側板部材30同士を連結する複数の板部材31とか
ら構成され、壁用枠組6に嵌め込まれた後、釘により壁
用枠組6の梁3と柱5に固定取付される。以上の壁用枠
組6は規格化された複数のグリッドパターンに形成され
る。
【0025】このグリッドパターンは、5種類用意され
る。又、壁パネル7も、壁用枠組6のグリッドパターン
に対応して5種類設けられている。図11は、壁パネル
の種類を示している。尚、図12は、壁パネル7の収ま
り状態を示しており、未説明符号32は構造用合板、3
3は構造用パネルである。
【0026】次に、継手装置(以下、コネクターと称す
る)の一例として、土台と柱等を夫々結合する柱脚コネ
クター41を図13〜図15に示す。即ち、基本継手部
材である柱脚金物42は、縦方向の第1連結用板部43
と、該第1連結用板部43の一側端に直角に固定される
第2連結用板部44と、該第2連結用板部44の一側端
に直角に固定されて前記第1連結用板部43と同一面上
に延びる第3連結用板部45と、該第3連結用板部45
の一側端に直角に固定されて前記第2連結用板部44と
同一面上に延びる第4連結用板部46と、から構成され
る。
【0027】前記第1連結用板部43と第3連結用板部
45の横方向長さは長く、第2連結用板部44と第4連
結用板部46の横方向長さは短く形成される。この場
合、例えば、第1連結用板部43と第3連結用板部45
とを一体的に設けた板部材に対して、第2連結用板部4
4と第4連結用板部46とを夫々別個に構成する2つの
板部材を溶接して構成する。
【0028】かかる柱脚金物42は、前記第1〜第4連
結用板部43〜46相互の固定部に縦方向の建築部材と
しての柱51の嵌合部を構成する略十字形状の横方向断
面形状をなしている。第2連結用板部44及び第4連結
用板部46には、前記柱51を連結するための締結手段
としてのボルトの挿通孔47が開設され、第1連結用板
部43及び第3連結用板部45には、柱51を連結する
ための締結手段としてのボルトの挿通孔47と横方向の
建築部材としての土台52を連結するためのボルトの挿
通孔48とが開設される。
【0029】第1の応用継手部材、即ち、この実施例に
おいて、基礎等への締結部となる端板部49は、前記第
1〜第4連結用板部43〜46相互の固定部、即ち、略
十字形部の底部に、各連結用板部43〜46表面夫々に
対して略直角な方向に延びて溶接により結合されてい
る。この端板部49には、基礎等に埋め込まれたアンカ
ーボルトの挿通孔50が設けられている。
【0030】尚、端板部49は前記柱51の横断面の大
きさと略同じ大きさに形成される。かかる柱脚コネクタ
ー41へ柱51及び土台52を締結するには、第3図に
示すように、例えば柱51の接合端部に予め切って形成
した略十字形状の溝に、前記第1〜第4連結用板部43
〜46相互の固定部、即ち、略十字形部が挿入され、土
台52の接合端部に予め切って形成した略一文字形状の
溝に、第1連結用板部43と第3連結用板部45の端部
が夫々挿入されるようにして、柱51、土台52を夫々
柱脚コネクター41にセットし、ボルト・ナットを使用
して締結する。
【0031】この場合、柱51の端部は端板部49に受
けられる。又、土台52の端部は柱51の側面に受けら
れ、柱51の側面と土台52の端面とは密着状態とな
る。尚、第3図において、53は土台52上に固定取付
される構造用合板である。又、上記柱51としては木材
の板を繊維方向を長さの方向に平行に組合わせ、合成樹
脂接着剤で積み重ねて一つの材とした集成材が使用され
る。
【0032】図16は、柱脚コネクター41の他の例を
示している。各図の柱脚コネクター41は、いずれも基
本継手部材に第1応用継手部材を、つまり、柱脚金物に
端板部を組み合わせた構成となっており、柱脚金物にお
ける第1〜第4連結用板部の横方向長さを種々に変化さ
せてある。本発明に係るコネクターの他の例として、上
下の柱同士、横方向建築部材としての胴差同士や、これ
らに加え床梁を夫々結合する梁・胴差コネクター54を
図17〜図19に示す。
【0033】即ち、基本継手部材である第1の柱接合金
物55は、前記の柱脚金物と同様に第1連結用板部5
6、第2連結用板部57、第3連結用板部58及び第4
連結用板部59と、から構成され、第1〜第4連結用板
部56〜59には、柱69を連結するための締結手段と
してのボルトの挿通孔60が開設され、第1連結用板部
56及び第3連結用板部58には、横方向の建築部材と
しての梁71を連結するためのボルトの挿通孔61も開
設される。
【0034】第1の応用継手部材、即ち、この実施例に
おいて、梁71を受ける端板部62は、前記第1連結用
板部及56び第3連結用板部58夫々の側端部の下面に
各連結用板部56,58表面夫々に対して略直角な方向
に延びて溶接により結合されている。尚、両方の端板部
62間の間隔は柱69の横断面の巾と略同じ大きさに形
成される。
【0035】又、第1の応用継手部材として、上階の柱
70の下端部と下階の柱69の上端部を受ける端板部6
3は、前記第1〜第4連結用板部56〜59相互の固定
部、即ち、略十字形部の上部に、各連結用板部56〜5
9表面夫々に対して略直角な方向に延びて溶接により結
合されている。この端板部63は柱70の横断面の大き
さと略同じ大きさに形成される。
【0036】第3の応用継手部材として、上階の柱70
を結合する第2の柱接合金物64は、縦方向の第6連結
用板部65と、該第6連結用板部65の一側端に直角に
固定される第7連結用板部66と、該第7連結用板部6
6の一側端に直角に固定されて前記第6連結用板部65
と同一面上に延びる第8連結用板部67と、該第8連結
用板部67の一側端に直角に固定されて前記第7連結用
板部66と同一面上に延びる第9連結用板部68と、か
ら構成される。
【0037】上記各第6〜第9連結用板部65〜68の
下端部は、夫々端板部63上面に溶接によって固定され
る。各連結用板部65〜68の横方向長さは同一で、柱
70の横断面の巾と略同じ長さに形成される。この場
合、例えば、第6連結用板部65と第8連結用板部67
とを一体的に設けた板部材に対して、第7連結用板部6
6と第9連結用板部68とを夫々別個に構成する2つの
板部材を溶接して構成する。
【0038】かかる第2の柱脚金物64は、前記第6〜
第9連結用板部65〜68相互の固定部に上階の柱70
の嵌合部を構成する略十字形状の横方向断面形状をなし
ている。第6〜第9連結用板部65〜68には、前記柱
70を連結するための締結手段としてのボルトの挿通孔
73が開設される。
【0039】かかる梁・胴差コネクター64へ柱69,
70及び梁71を締結するには、図19に示すように、
例えば下階の柱69及び上階の柱70の接合端部に予め
切って形成した十字形状の溝夫々に、第1の柱接合金物
55及び第2の柱接合金物55夫々における略十字形部
が挿入され、梁71の接合端部に予め切って形成した一
文字形状の溝に、第1の柱接合金物55における第1連
結用板部56と第3連結用板部58の端部が夫々挿入さ
れるようにして、柱69,70、梁71を夫々梁・胴差
コネクター54にセットし、ボルト・ナットを使用して
締結する。
【0040】この場合、両柱69,70の端部は夫々端
板部63に受けられる。又、梁71の端部は下階の柱6
9の側面に受けられ、下階の柱69の側面と梁71の端
面とは密着状態となると共に、該梁71の端部は端板部
62に受けられる。尚、第7図において、72は梁71
上に固定取付される構造用合板である。又、上記柱6
9,70並びに梁としては集成材が使用される。
【0041】図20は、梁・胴差コネクター54の他の
例を示している。各図の梁・胴差コネクターは、いずれ
も基本継手部材に第1応用継手部材と第3応用継手部材
を、つまり、第1の柱接合金物に端板部と第2の柱接合
金物を組み合わせた構成となっており、第1の柱接合金
物における第1〜第4連結用板部の横方向長さを種々に
変化させてある。
【0042】図21は梁・胴差コネクターの更に他の例
を示している。この梁・胴差コネクター74は、先の実
施例の第3の応用継手部材に代えて第2の応用継手部材
を設けたもので、該第2の応用継手部材としての上階の
柱を結合する第2の柱接合金物75を設ける。この第2
の柱接合金物75は、縦方向の第5連結用板部76から
構成される。
【0043】かかる第5連結用板部76には、柱を連結
するための締結手段としてのボルトの挿通孔77が開設
される。本発明に係るコネクターの更に他の例として、
柱頭に使用される柱頭コネクター78を図22〜図24
に示す。即ち、この柱頭コネクター78は、第1の応用
継手部材として、柱79の頭部を受ける端板部80を、
第5図の第1の柱接合金物55における第1〜第4連結
用板部56〜59相互の固定部、即ち、略十字形部の上
部に、各連結用板部56〜59表面夫々に対して略直角
な方向に延びて溶接により結合したもので、この端板部
70には、第2及び第3の応用継手部材は設けられてい
ない。
【0044】図25は、柱頭コネクターの他の例を示し
ている。各図の柱頭コネクターは、いずれも基本継手部
材に第1応用継手部材を、つまり、第1の柱接合金物に
端板部のみを組み合わせた構成となっており、第1の柱
接合金物における第1〜第4連結用板部の横方向長さを
種々に変化させてある。尚、以上の各コネクターを構成
する板部材の厚みは、例えば4.5mmに設定されるが、
スパン等に応じて最適な厚みに設定するのが好ましい。
【0045】又、図26に示すように各コネクターに締
結される建築部材(梁,柱)90のボルト91の頭部と
の当接部にはシアーリング92を介装するようにする。
このシアーリング92は、図27に示すように、一端が
閉じられた短い円筒形状からなり、閉じられた端壁の中
心部にはボルト91の挿通孔92aが開設される。又、
シアーリング92の閉じられた端壁の中央部にはスプリ
ングワッシャ93が溶接によって予め固着されている。
この場合、ボルト91の挿通孔92aとスプリングワッ
シャ93の挿通孔93a位置とが合致するようにする。
【0046】このようにシアーリング92とスプリング
ワッシャ93とを予め一体化しておくことにより、ボル
ト91をスプリングワッシャ93に通す際に、スプリン
グワッシャ93を手で押さえておく必要がなく、スプリ
ングワッシャ93が落下する虞もないため、作業性に優
れるという利点がある。以上のように、梁を継手装置を
介して連結して構成した床用枠組と、梁と柱を継手装置
を介して連結して構成した壁用枠組と、前記床用枠組の
枠内に嵌め込まれて固定される床パネルと、壁用枠組の
枠内に嵌め込まれて固定される壁パネルと、含んで構成
される建築物の施工は、次の1〜16の手順で行われ
る。
【0047】1.基礎 2.柱脚コネクターの取付 3.2階の梁,1階の柱 4.1階の土台 5.1階の床パネル 6.1階の壁パネル 7.2階の床パネル 8.3階の梁、2階の柱 9.2階の壁パネル 10.3階の床パネル 11.桁、梁、3階の柱 12.3階の壁パネル 13.棟梁(図1の94)、ツカ(図1の95) 14.妻壁パネル(図1の96) 15.タル木(図1の97) 16.屋根合板 かかる構成の建築物によると、梁を継手装置を介して連
結して構成した床用枠組の枠内に床パネルを嵌め込んで
固定し、梁と柱を継手装置を介して連結して構成した壁
用枠組の枠内に壁パネルを嵌め込んで固定する構成とす
ると共に、特に、各枠組を規格化された複数のグリッド
パターンで形成するようにしたから、次のような利点が
ある。
【0048】1.構造をより単純化することができ、使
用部材を極力少なくできるため、施工が早く、構造も堅
固となる。 2.床、壁をパネル化するようにしたから、施工が早
く、工期の短縮化を図れる。 3.床パネル,壁パネルの大きさを、特に運搬に適した
大きさに設定しておけば、運搬が効率良く行える。
【0049】4.予め、床パネル,壁パネルを製作し
て、現場でこれらを枠組の枠内に嵌め込んで固定するだ
けであるから、現場における作業が簡単となる。 5.建築部材の基本体は、柱,梁,土台の3つであるか
ら、建築部材のロスがなく、在庫管理がし易く、又、建
築部材の有効利用を図ることができる。 又、上記実施例によると、床パネルの側根太外面と床用
枠組の梁内面との間に略Z字形状に形成される床パネル
受け金物を介装するようにしたから、床パネルの床用枠
組への固定取付状態を確実に維持することができる。
【0050】尚、特に、本実施例で適用した継手装置に
よると、単なるボルト締め等の締結手段を用いるという
単純な作業によるのみで、建築部材の結合が完了でき
る。又、単なる十字形状の継手部材を基本のものとして
使用するので、継手装置として重量並びに材料の低減を
図れ、コストダウンを図れると共に、重量が軽い結果、
取扱も簡単で、建築部材の結合作業が容易である。
【0051】又、継手を製作するに当たって、溶接箇所
が少ない等工数が少なく、製作性に優れるものである。
更に、柱同士、梁同士、柱と梁等、建築部材同士は、互
いに密着状態となるため、建築部材間の寸法に誤差が生
じ難い。又、基本継手部材として、十字形状のものを使
用するので、この基本継手部材に縦方向の柱や横方向の
梁等、縦横の建築部材を混在して締結でき、建築部材の
縦横に捕らわれずに、建築部材の締結が行え、継手のア
イテムを少なくすることができ、製作性の向上やコスト
低減に貢献する。
【0052】因に、同規模の重量鉄骨構造と比較する
と、枠組を約1/3のコストで製作することができ、大
幅なコストダウン化を図れる。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明によると、構造をより単純化することができ、使用部
材を極力少なくできるため、施工が早く、構造も堅固と
なる。又、床、壁をパネル化するようにしたから、施工
が早く、工期の短縮化を図れ、予め、床パネル,壁パネ
ルを製作して、現場でこれらを枠組の枠内に嵌め込んで
固定するだけであるから、現場における作業が簡単とな
る。更に、建築部材の基本体は、柱,梁(土台)の3つ
であるから、建築部材のロスがなく、在庫管理がし易
く、又、建築部材の有効利用を図ることができる。
に、各継手装置に締結される梁と柱のボルトの頭部との
当接部に介装されるシアーリングとワッシャとを予め一
体化しておくことにより、ボルトをワッシャに通す際
に、ワッシャを手で押さえておく必要がなく、ワッシャ
が落下する虞もないため、作業性に優れる。
【0054】請求項2記載の発明によれば、床パネルは
根太から簡単に形成できる。請求項3記載の発明によれ
ば、床パネルの床用枠組への固定取付状態を確実に維持
することができる。請求項4記載の発明によれば、壁パ
ネルは板部材から簡単に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る建築物の一実施例を示す概略正
面図
【図2】 同上実施例の土台用枠組の構成を示す斜視図
【図3】 同上実施例の床台用枠組の構成を示す斜視図
【図4】 床パネル受け部材の構成を示す図で、(A)
は側面図、(B)は正面図
【図5】 床パネル受け部材の構成を示す図で、(A)
は側面図、(B)は正面図
【図6】 土台用枠組と床用枠組のグリッドパターンを
示す図
【図7】 床用枠組を構成する梁を示す平面図
【図8】 土台用枠組を構成する土台を示す平面図
【図9】 根太を示す平面図
【図10】 根太を示す平面図
【図11】 壁パネルを示す正面図
【図12】 壁パネルの収まり状態を示す断面図
【図13】 建築部材用継手装置の一実施例を示す斜視図
【図14】 継手装置の構成を示す図で、(A),
(B),(C)は夫々平面図,正面図及び側面図
【図15】 同上の継手装置の使用例を示す正面図
【図16】 同上の継手装置の変形例を示すで、(A),
(B),(C),(D),(E)は夫々斜視図
【図17】 本発明に係る建築部材用継手装置の他の実施
例を示す斜視図
【図18】 同上の継手装置の構成を示す図で、(A),
(B),(C)は夫々平面図,正面図及び側面図
【図19】 同上の継手装置の使用例を示す正面図
【図20】 同上の継手装置の変形例を示す図で、
(A),(B),(C)は夫々斜視図
【図21】 継手装置の更に他の実施例を示す斜視図
【図22】 継手装置の更に他の実施例を示す斜視図
【図23】 同上の継手装置の構成を示す図で、(A),
(B),(C)は夫々平面図,正面図及び側面図
【図24】 同上の継手装置の使用例を示す正面図
【図25】 同上の継手装置の変形例を示す図で、
(A),(B),(C)は夫々斜視図
【図26】 シアーリングの取付状態を示す断面図
【図27】 シアーリングの構成を示す図で、(A)は斜
視図、(B)は平面図
【符号の説明】
1 土台 2 土台用枠組 3 梁 4 床用枠組 5 柱 6 壁用枠組 7 壁パネル 8 側根太 9 根太 10 釘 11 床パネル 12 床パネル受け金物 12a 横板部 12b 縦板部 14 釘 15 床パネル 16 側根太 17 根太 18 釘 19 床パネル受け金物 30 側板部材 31 板部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI E04B 2/56 622 E04B 2/56 632B 632 632C 632H 651A 651 651J 5/02 F 5/02 E04C 2/38 P 2/46 J E04C 2/38 2/50 B (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E04B 1/10 E04B 1/26 E04B 2/56 E04B 5/02 E04C 2/38 E04C 2/46

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】梁をこれにボルトにより締結される継手装
    を介して連結して構成した床用枠組と、 梁と柱をこれらにボルトにより締結される継手装置を介
    して連結して構成した壁用枠組と、 前記床用枠組の枠内に嵌め込まれて固定される床パネル
    と、 前記壁用枠組の枠内に嵌め込まれて固定される壁パネル
    と、 含んで構成され、 前記各枠組は規格化された複数のグリッドパターンをも
    って形成される一方、 各継手装置に締結される前記梁と
    柱のボルトの頭部との当接部にはシアーリングが介装さ
    れ、該シアーリングは、一端が閉じられた短い円筒形状
    からなり、閉じられた端壁の中心部にはボルトの挿通孔
    が開設され、かつシアーリングの閉じられた端壁の中央
    部にはワッシャが溶接によって予め固着されたことを特
    徴とする建築物。
  2. 【請求項2】前記床パネルは、方形状に結合される4本
    の側根太と、一側に相対向する側根太同士を連結する根
    太とから構成され、床用枠組に嵌め込まれた後、締結具
    により床用枠組の梁に固定取付される請求項1記載の建
    築物。
  3. 【請求項3】前記床パネルの側根太外面と床用枠組の梁
    内面との間には、床パネル受け部材が介装され、該床パ
    ネル受け部材は、上下に離間して相反する方向に延びる
    横板部と両横板部同士を繋ぐ縦板部とからなる略Z字形
    状に形成され、前記縦板部を床パネルの側根太外面と床
    用枠組の梁内面との間に挟み込ませた状態で、上部の横
    板部を梁上面に当接係止させると共に、下部の横板部を
    梁下面に当接係止させ、上部の横板部を梁上面に締結具
    で固定し、縦板部を梁内側面に締結具で固定することに
    より取り付けられる請求項2記載の建築物。
  4. 【請求項4】前記壁パネルは、方形状に結合される4本
    の側板部材と、一側に相対向する側板部材同士を連結す
    る板部材とから構成され、壁用枠組に嵌め込まれた後、
    締結具により壁用枠組の梁及び柱に固定取付される請求
    項1〜3のうちいずれか一つに記載の建築物。
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