JPH053421U - 床パネルの組付け構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 熟練を要さず簡単にしかも短時間で床を張架
することができるとともに、合理的に製造することがで
きる床パネルの組付け構造を提供する。 【構成】 根太を構成しうる角材１０を所定寸法の略長
方形に組付けた枠組１１の上面に、上記枠組１１の両側
縁１１ａを残した状態で床板１２を張り付けて床パネル
７を形成し、複数個の床パネル７の幅方向に沿う両側縁
を、管柱６が組付けられた土台に設けられた根太掛け９
に、隣接する床パネル７との間に所定の隙間を開けて支
持させ、上記隙間に隙間材８を配設しその両側縁８ａを
上記両床パネル７の両側縁１１ａに支持させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、木造構造物における床パネルの組付け構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、木造構造物の施工は、土台，梁と柱とを組付けて軸組を構成し、この 軸組に屋根下地（野地）を組付けて小屋組を仕上げた後、土台，梁に根太を架け わたすことが行われる。そして、図７に示すように、管柱１が組付けられた土台 （または梁）２に架けわたされた根太３に床板４を一枚ずつ打ち付けて床を張架 することが行われる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記のように伝統的な方法では、根太を架けわたしたのち、根 太に床板を打ち付けなければならず作業工程が複雑である。また、床板を一枚ず つ根太に打ち付けることは、大工職人が手作業によつて板を加工しながら行うた め、施工に長時間を要するという欠点を有している。そのうえ、寸法精度が不均 一になりがちであるために、床の耐久力が不均一になり強度が弱くなるという欠 点を有している。また、上記のような方法は熟練した大工職人でなければ行うこ とができないという問題点を有している。さらに、上記の方法では、棟上げの際 に床が張られていない状態であるため、誤つて足を滑らして２階から落ちると地 面に落ちてしまい危険である。

【０００４】 そこで、最近では、根太を構成しうる角材に床板を張りつけた床パネルを部屋 単位ごとに張架する方法が開発され実施されている。ところが、従来の軸組構造 は土台，梁，柱からなり、部屋の単位としては部屋の隅部に位置する柱の心心の 寸法となるとともに、部屋と部屋には柱を骨として壁が位置する。このため、部 屋単位ごとに張架する床パネルは、部屋の大きさに合わせて製造しなければなら ず、床パネルを合理的に製造することができないという問題点を有している。

【０００５】 この考案は、このような事情に鑑みなされたもので、熟練を要せず簡単にしか も短時間で床を張架することができるとともに、合理的に製造することができる 床パネルの組付け構造の提供をその目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するため、この考案の床パネルの組付け構造は、根太を構成 しうる角材を所定寸法の略長方形に組付けた枠組の上面に、上記枠組の長手方向 の両側縁を残した状態で床板を張り付けて床パネルを形成し、複数個の床パネル の幅方向の両側縁を、柱が組付けられた土台または梁に設けられた取付部に、隣 接する床パネル同士の間に所定の隙間をあけて取り付け、上記隙間に隙間材を配 設してその両側縁を上記両床パネルの両側縁に支持させて床を張架するという構 成をとる。

【０００７】

【作用】

すなわち、この考案の床パネルの組付け構造は、従来のように小屋組を仕上げ た後、土台または梁に根太を架けわたし床板を一枚ずつ張り付けるのではなく、 小屋組を仕上げる前の軸組の土台または梁の取付部に、根太と床板とからなる床 パネルと隙間材とで床張りを行うものである。より詳しく述べると、まず、根太 を構成しうる角材を組付けた所定寸法の略長方形の枠組の上面に長手方向の両側 縁を残した状態で床板を張り付けた床パネルの幅方向の両側縁を、隣接する床パ ネルとの間に所定の隙間をあけた状態で土台または梁に設けられた根太掛けに取 り付ける。つぎに、上記隙間に隙間材を配設し、その両側縁を上記両床パネルの 両側縁に支持させて床を張架することが行われる。一方、土台または梁にその幅 寸法よりも狭い幅寸法の柱が組付けられている場合には、上記土台または梁の縁 部に、上記床パネルの幅方向の両側縁を、隣接する床パネルとの間に所定の隙間 をあけた状態で支持させる。そして、上記と同様にこの両床パネルの間の隙間に 隙間材を組付けて床を張架することが行われる。特に、上記隙間材の幅寸法を柱 の幅寸法と同寸法にし、上記隙間材の幅寸法と床パネルの幅寸法を基準寸法の半 間に相当するように設定すると、ロスを生じることなく床張りを行いうる。また 、上記床パネルおよび隙間材は構造が簡単で製造が容易であることから、工場で 予め規格化，自動化して製造することが可能である。このようにすると、施工現 場においては、単に、土台または梁に床パネルを支持させるだけであるため、床 を張架することが短時間で、しかも熟練を要さず容易に行うことができる。また 、この考案によれば、従来の伝統的な施工方法のように、大工職人が経験と勘を 頼りに根太および床板を組付けるのではなく、規格化された床パネルを土台また は梁に組付けるため、寸法精度の高い床組を構成することができる。

【０００８】 つぎに、この考案を実施例にもとづいて詳しく説明する。

【０００９】

【実施例】

図１はこの考案の床パネルの組付け構造の一実施例を示している。すなわち、 図において、５は土台、６は上記土台に組付けられた管柱、７は上記土台５に組 付けられ床を構成する床パネル、８は床パネル７，７の間の隙間Ａを埋める隙間 材、９は土台５に取り付けられた根太掛けである。

【００１０】 上記土台５に組付けられる床パネル７は、図２に示すように、角材１０を長方 形に組付けかつ幅方向の略中央に組付けて構成した枠組１１の上面に、長方形の 合板からなる床板１２を、上記枠組１１の長手方向に沿う両側縁１１ａを約１２ ｍｍ残した状態で張り付けて構成されている。この床パネル７の長手方向の寸法 Ｓおよび幅方向の寸法Ｔは、基準となる一間の寸法（本間，京間，江戸間等）お よび柱の幅寸法に応じて設定される。具体的には、上記床パネル７の長手方向の 寸法Ｓおよび幅方向の寸法Ｔは、下記の数式（１），（２）により求めることが できる。

【００１１】 Ｓ＝Ｚ／２×ｎ−Ｈ …（１） Ｔ＝Ｚ／２−Ｈ …（２） （数式１において、Ｚは基準となる一間の寸法，Ｈは管柱６の幅寸法，ｎは正の 整数である。）

【００１２】 上記床パネル７は、基準となる一間の寸法が１８２０ｍｍで管柱６の幅寸法が １０５ｍｍであることから、長手方向の寸法Ｓは１７２５ｍｍ、幅方向の寸法Ｔ は８０５ｍｍに設定される。

【００１３】 上記床パネル７，７の間の隙間を埋める隙間材８は、上記床パネル７の床板１ ２と同じ合板で構成されている。そして、管柱６と同じ幅寸法Ｈに設定され、図 ３に示すように、その長手方向の両側縁８ａが床パネル７の長手方向に沿う両側 縁１１ａに支持されるようになつている。

【００１４】 このように構成された床パネル７を管柱６が組付けられた土台５に張架する場 合、図４に示すように、床パネル７の床板１２を上側にして角材１０の幅方向に 沿う両側縁１１ｂを、土台５に取り付けられた根太掛け９に支持させる。つぎに 、図５に示すように、この床パネル７から管柱６の幅寸法と同じ寸法の隙間Ａを 開けた状態で、もう１枚の床パネル７を根太掛け９に組付ける。そして、この隙 間Ａに、図３に示すように、隙間材８をその両側縁８ａを床パネル７の枠組１１ の両側縁１１ａに支持させることにより組付け、図１に示すように床を張架する ことが行われる。

【００１５】 このように上記床パネルの組付け構造であると、床パネル７を根太掛け９に支 持させるだけで、一度に根太と床板を組付けることができる。また、床パネル７ と隙間材８の幅寸法の合計が基準寸法の半間となるため、部屋単位ごとにロスな く床張りを行うことができる。さらに、長手方向の寸法の異なる床パネル７を予 め規格化して製造しておくと、施工現場においては、単に、土台５に取り付けら れた根太掛け９に床パネル７を支持させるだけであるため、床張りが短時間で、 しかも熟練を要さず小人数で容易に行うことができる。また、上記規格化された 床パネル７を用いて組付けを行うことは、従来の伝統的な施工方法のように、大 工職人が経験と勘を頼りに根太および床板を組付けるのではないため、寸法精度 の高い床組を構成することができる。

【００１６】 図６は他の実施例を示している。すなわち、この土台５ａは、幅寸法Ｈが１２ ０ｍｍで、この土台５ａに、幅寸法Ｌが１０５ｍｍの管柱６が、土台５ａの長手 方向に沿う前後縁部１３に７．５ｍｍの根太を掛ける部分が生じるように組付け られている。そして、上記床パネル７を、その幅方向に沿う両側縁１１ｂを上記 土台５ａの縁部１３を利用して支持させることにより土台５ａに組付けるように したものである。このように土台５ａの縁部１３を利用すると、上記のように土 台５に根太掛け９を取り付ける工程を省くことができ、より短時間で床の張架を 行うことができる。

【００１７】

【考案の効果】

以上のように、この考案の床パネルの組付け構造は、角材を略長方形に組付け た枠組に、床板が上記枠組の長手方向の両側縁を残した状態で張り付けられた床 パネルと、この床パネル同士の隙間に組付けられる隙間材とで構成されている。 そして、上記床パネルの複数個を、その幅方向の両側縁を土台または梁に設けら れた取付部に隣接する床パネルとの間に所定の隙間を開けた状態で取り付け、上 記床パネル同士の間に隙間材を組付けて床を張架するものである。したがつて、 長手方向の寸法の異なる数種類の床パネルおよび隙間材を規格化して製造すると 、施工現場において、単に、土台または梁の縁部に床パネルの両側縁および隙間 材の両側縁を支持させるだけであるため、床張りが短時間で行うことができ工期 を短縮することができる。しかも、熟練を要さないため人手不足を解消すること ができる。特に、上記隙間材の幅寸法を柱の幅寸法と同寸法にし、上記隙間材の 幅寸法と床パネルの幅寸法を基準寸法の半間に相当するように設定すると、ロス を生じることなく床張りを行いうるとともに床パネルの生産を合理化することが できる。また、規格化された床パネルを用いて組付けを行うことは、従来の伝統 的な施工方法のように、大工職人が経験と勘を頼りに根太および床板を組付ける のではないため、寸法精度の高い床組を構成することができる。さらに、棟上げ を行う前に、床張りを終えることができるため、棟上げを安全な状態で行うこと ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例を示す斜視図である。

【図２】床パネルの一例を示す斜視図である。

【図３】上記実施例の要部断面図である。

【図４】上記実施例の組付け状態の説明図である。

【図５】上記実施例の組付け状態を示す要部断面図であ
る。

【図６】他の実施例の組付け状態の説明図である。

【図７】従来例を示す斜視図である。

【符号の説明】

５ 土台 ６ 管柱 ７ 床パネル ８ 隙間材 ８ａ 側縁 ９ 根太掛け １０ 角材 １１ 枠組 １１ａ 長手方向の側縁 １１ｂ 幅方向の側縁 １２ 床板

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 根太を構成しうる角材１０を所定寸法の
   略長方形に組付けた枠組１１の上面に、上記枠組１１の
   長手方向の両側縁１１ａを残した状態で床板１２を張り
   付けて床パネル７を形成し、複数個の床パネル７の幅方
   向の両側縁１１ｂを、柱６が組付けられた土台５または
   梁に設けられた取付部に、隣接する床パネル７，７同士
   の間に所定の隙間をあけて取り付け、上記隙間に隙間材
   ８を配設してその両側縁８ａを上記両床パネル７の両側
   縁１１ａ，１１ａに支持させて床を張架することを特徴
   とする床パネルの組付け構造。
2. 【請求項２】 上記取付部が、柱６が組付けられた土台
   ５または梁に取り付けられた根太掛け９である請求項１
   記載の床パネルの組付け構造。
3. 【請求項３】 上記床パネル７の幅方向の両側縁１１ｂ
   が、柱６が組付けられた土台５または梁の縁部１３を利
   用して支持されている請求項１の床パネルの組付け構
   造。