以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、実施形態に係る車両の一例である自動二輪車11の斜視図である。図1に示すように、自動二輪車11は、例えば、ユニットスイング式のスクータ型の自動二輪車である。
<車両全体>
図1に示すように、自動二輪車11は、操向輪である前輪13と、駆動輪である後輪14と、を備える。前輪13は、フロントフォーク16に支持され、バーハンドル12によって操向可能である。後輪14は、スイングユニット20に支持され、後述するレシプロエンジン(内燃機関、以下、単にエンジンという)21によって駆動可能である。スイングユニット20は、エンジン21と、例えばVベルト式の無段変速機(不図示)と、を一体に備える。
バーハンドル12、フロントフォーク16及び前輪13を含むステアリング系部品は、不図示の車体フレームの前端部に操向可能に支持されている。スイングユニット20および後輪14は、車体フレームの後下部に上下揺動可能に支持されている。車体フレームの下部左側には、車体を左側に傾斜した起立姿勢で支持するサイドスタンド17が格納可能に設けられている。車体フレームの周囲は、車体カバー15によって覆われている。
自動二輪車11は、シート18に着座した運転者が足を載せる左右一対のステップフロア19と、左右のステップフロア19間で車両前後方向に延びるセンタートンネルCTと、センタートンネルCTおよび左右ステップフロア19の前方に連なるフロントボディFBと、センタートンネルCTおよび左右ステップフロア19の後方に連なるリアボディRBと、を備える。
フロントボディFBの前上部には、ヘッドランプ22aおよびフロントウインカ22bが配置されている。リアボディRBの後部には、テールランプ、ブレーキランプおよびリアウインカを含むリアコンビランプ23が配置されている。リアボディRB上には、乗員が着座するシート18が支持されている。センタートンネルCTの上面には、給油口配置空間を開閉するフューエルリッド24が設けられている。
シート18は、例えば前端部に配置されたヒンジ軸を中心に上下に回動し、リアボディRBの上部を開閉する。シート18の下方には、シート下収納部50が配置されている。
シート下収納部50は、蓋であるシート18によって、ロックを解除する必要がある開閉可能な閉鎖空間を有する収容部の一例である。
シート18がリアボディRBの上部を閉塞した閉状態では、乗員がシート18に着座可能となる。シート18がリアボディRBの上部を開放した開状態では、シート18下方のシート下収納部50にアクセス可能となる。
フロントボディFBの上部には表示パネル26が配置されている。表示パネル26は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro luminescence)表示装置などを備える。表示パネル26は、速度メータ等を含むスマートインジケータや、ユーザへのメッセージやイラストなどを表示する。
フロントボディFBの内側には、ハンドルロックモジュール27が収容されている。ハンドルロックモジュール27は、本体部であるハンドルロック機構28と、後述するスマートコントロールユニット300と、自動二輪車11の主電源スイッチであるメインスイッチ30と、を一体に備える。
フロントボディFBの内側には、一以上のフロント収納部60が配置されている。フロント収納部60は、蓋を備えない開口部を上部に備え、ロックを解除する必要がない空間を有する収納部の一例である。
シート下収納部50およびフロント収納部60には、それぞれ空間(収容スペース)が設けられており、それぞれの収容スペースの一部には、ケーブルの一端を接続する接続端子50Aおよび60Aが設けられている。接続端子50Aおよび60Aは、例えばUSB形状の端子であって、後述するUSB充電器のUSBポートと連結されている。接続端子50Aおよび60Aは、USBケーブルを介して機器が接続されることで、この機器と後述するUSB充電器とを接続する。
なお、シート下収納部50およびフロント収納部60には、それぞれ、収容スペースに収容された機器と無線で接続され、機器にワイヤレス電力伝送を実行するワイヤレス充電器50Bおよび60Bが設置されていてもよい。このワイヤレス充電器50Bおよび60Bは、シート下収納部50あるいはフロント収納部60に収容された機器と無線により接続し、機器を充電する。
つまり、シート下収納部50およびフロント収納部60は、機器と充電器とを有線又は無線で充電可能に接続するための空間であり、開閉可能な閉鎖空間である。
図2は、自動二輪車のメインスイッチノブの説明図である。メインスイッチノブ31は、メインスイッチ30をオフ状態にするオフ位置P1と、メインスイッチ30をオン状態にするオン位置P2と、オフ位置P1およびオン位置P2の間に位置してシート18およびフューエルリッド24の開操作を可能とするシート・フューエルロック解除位置P3と、オフ位置P1からオン位置P2と反対側へ押下を伴い回動され、ハンドルロックを含む車両各部のロックを施錠状態とするロック位置P4と、を備える。メインスイッチ30が起動していない状態において、メインスイッチノブ31は、オフ位置P1に位置している。
メインスイッチノブ31がシート・フューエルロック解除位置P3にあるとき、メインスイッチノブ31に隣接するシート・フューエルロック解除スイッチ32の操作が可能又は有効になる。シート・フューエルロック解除スイッチ32はシーソー式スイッチである。シート・フューエルロック解除スイッチ32の一方はシート18の解錠を選択するスイッチである。シート・フューエルロック解除スイッチ32の他方はフューエルリッド24の解錠を選択するスイッチである。
メインスイッチ30は、フロントボディFBのステップフロア19側(後面側)のインナーパネル25に、操作部としてのメインスイッチノブ31を配置している。自動二輪車11のリモートキーとして利用される認証対象(例えば、ユーザ端末装置100)の認証処理により真正性が確認された場合、メインスイッチノブ31は、回動操作が可能または有効となる(以下、メインスイッチ解錠状態と記す)。
認証処理により真正性が確認されたこと、あるいは、認証処理により真正性が確認された後にメインスイッチノブ31に対する所定の操作(例えば、メインスイッチノブ31を押し込む操作)がなされたことにより、メインスイッチ30が起動状態となる。メインスイッチ30が起動状態となると、例えば、メインスイッチ30に設けられた照明装置が点灯するとともに、メインスイッチノブ31の操作が可能または有効になる。
例えば、メインスイッチノブ31がオン位置P2に位置される操作がなされることにより、メインスイッチ30がオン状態となる。なお、認証処理により真正性が確認された後、あるいは、メインスイッチ30が起動した後で、メインスイッチ30がオン状態になっていない状態を、以下、メインスイッチON待ち状態と記す。
またメインスイッチ30が起動状態になることで、後述する制御装置40に電力が供給されてエンジン21の始動が可能となり、且つ、シート18やフューエルリッド24等の開閉体の電磁ロック(ソレノイドで作動する電動式のロック装置)70の解錠が可能となる。つまり、メインスイッチ30が起動状態においてメインスイッチノブ31がシート・フューエルロック解除位置P3に移動され、シート・フューエルロック解除スイッチ32が操作されることで、シート18のロック、あるいはフューエルリッド24のロック等の装備が解錠される。
一方、メインスイッチ解錠状態において、ユーザ端末装置100と自動二輪車11との間の通信が切断される、あるいは所定時間が経過することにより、メインスイッチノブ31は不能又は無効になる(以下、メインスイッチ施錠状態と記す)。ユーザ端末装置100と自動二輪車11との間の通信は、例えば、ユーザ端末装置100が離れる、ユーザ端末装置100が弊所空間に置かれたままとなること等により、切断される。なお、メインスイッチ施錠状態となることにより、シート18等の装備も施錠状態となる。
図3は、自動二輪車11のスタータスイッチ29周辺の説明図である。エンジン21の始動は、メインスイッチ30がオン状態で、バーハンドル12右側のブレーキレバー29aを握ってスタータスイッチ29を押下することでなされる。スタータスイッチ29の押下により、後述する制御装置40のエンジン始動制御部42がエンジン21に付設したスタータモータ21aを駆動させ、かつ点火および燃料噴射を制御することで、エンジン21を始動させる。
<車載通信システム1>
図4は、実施形態における車載通信システム1の機能ブロック図である。車載通信システム1は、スマートコントロールユニット300と制御装置40とを含む。スマートコントロールユニット300は、後述するスマートキーシステム2の構成要素である。
スマートコントロールユニット300には、例えば、スタータスイッチ29、メインスイッチ30、電磁ロック70(車両各部のロック装置を含む)、表示パネル26、制御装置40、スマートキーシステム2の作動に応じて各種告知手段を作動させる告知駆動装置(図示せず)、等が接続されている。告知駆動装置は、スマートキーシステム2が車両各部のロック装置の施錠および解錠を行った際、例えばハザードランプを点滅させる等の視覚的なサイン、および電子音を鳴らす等の聴覚的なサイン、の少なくとも一方を実行する(アンサーバック)。これにより、使用者が車両各部のロック装置の施錠および解錠がなされたことを知り得る。
制御装置40は、例えば一体のECU(Electric Control Unit)であり、車載通信システム1全体の制御部として機能する。なお、制御装置40は、Fi-ECU(Fuel Injection-Engine Control Unit)であってもよい。以下、制御装置40を、ECU40と記す。ECU40には、スマートコントロールユニット300を通じて、メインスイッチ30からのオン信号、およびスタータスイッチ29からのエンジン始動操作信号が入力される。また、ECU40には、サイドスタンド17の起立状態を検知するサイドスタンドスイッチ17aからのスタンド使用検知信号、エンジン21の運転状態を検知する各種の検知信号、等が入力される。
ECU40は、エンジン21の駆動等を制御するエンジン制御部41と、エンジン21の始動制御を行うエンジン始動制御部42と、を備える。
エンジン制御部41およびエンジン始動制御部42は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めECU40の記憶部に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶部にインストールされてもよい。
スマートキーシステム2は、例えば近距離通信機能を備える通信機器を、自動二輪車11のキーとして利用するシステムである。スマートキーシステム2は、自動二輪車11各部のロックおよびアンロックを可能とする。なお、スマートキーシステム2の通信機能は、近距離通信機能に限られない。
例えば、スマートキーシステム2は、運転者等のユーザが保持するユーザ端末装置100と、車載機器であるスマートコントロールユニット300とを備える。スマートコントロールユニット300は、ユーザ端末装置100との間で双方向通信を行い、例えばユーザ端末装置100のID認証を行う。スマートキーシステム2は、ユーザ端末装置100のID認証がなされた場合に、シート18等の装備のロックを解錠し、エンジン21の始動や車両各部の解錠を可能とする。
<スマートコントロールユニット>
図5は、スマートコントロールユニット300の機能ブロック図である。スマートコントロールユニット300は、例えば、電源回路301と、メインスイッチ入力検出回路302と、スタータスイッチ入力検出回路303と、電磁ロック駆動回路304と、ノブスイッチ入力検出回路305と、Bluetooth通信回路306と、USB電源駆動回路307と、表示パネル駆動回路308と、ECU通信回路309と、スマートCPU310と、Bluetoothアンテナ320と、記憶部350とを備える。ここで、スマートコントロールユニット300は、通信手段としてBluetoothを利用する例について説明するが、これに限られない。例えば、スマートコントロールユニット300は、無線LAN(wi-fi)、赤外線通信等の近距離通信を利用してもよい。なお、Bluetoothは、登録商標である。以下、全てのBluetoothが登録商標であることの記載を省略する。これに限られず、スマートコントロールユニット300は、以下説明するBluetooth通信だけでなく、さらに広域ネットワークNWを介して自動二輪車11と通信した通信結果に基づいて、認証処理を実行するものであってもよい。
電源回路301は、スマートコントロールユニット300の処理に必要な電力を、自動二輪車11側の電源から受け、各所に供給する。
メインスイッチ入力検出回路302は、メインスイッチ30と接続されており、メインスイッチノブ31が押し込まれることで、この操作を検出する。なお、メインスイッチノブ31が押し込まれる操作は、スマートコントロールユニット300のステータスに応じて様々な操作を意味するものであってよく、例えば、メインスイッチ30の解錠要求の操作や、即時にメインスイッチ30のオフ処理を終了することを指示する操作、などが含まれる。
スタータスイッチ入力検出回路303は、スタータスイッチ29と接続されており、エンジンの始動を指示する操作あるいはエンジンの停止を指示する操作を検出し、検出結果をスマートCPU310に出力する。
電磁ロック駆動回路304は、電磁ロック70と接続され、スマートCPU310により制御される。電磁ロック駆動回路304は、電磁ロック70を励磁あるいは非励磁とすることで、シート18、フューエルリッド24、ハンドルロック機構28、メインスイッチノブ31等を施錠状態あるいは解錠状態とする。
ノブスイッチ入力検出回路305は、メインスイッチノブ31と接続されており、メインスイッチノブ31の位置する操作メモリを示す信号が入力される。ノブスイッチ入力検出回路305は、入力する信号に基づいて、オフ操作(オフ位置P1)、オン操作(オン位置P2)、シート18およびフューエルリッド24の開操作を可能とする解錠操作(シート・フューエルロック解除位置P3)、ハンドルロックを含む車両各部のロックを施錠状態とする施錠操作(ロック位置P4)を検出し、検出結果をスマートCPU310に出力する。
Bluetooth通信回路306は、Bluetoothアンテナ320を用いて、通信エリア内に存在する通信機器と通信する。通信エリアは、Bluetoothアンテナ320を中心とした所定距離の範囲内である。例えば、Bluetooth通信回路306は、ビーコン信号を発信し、通信エリア内に存在する通信機器を検出し、検出した通信機器とBluetooth通信を確立する。
USB電源駆動回路307は、USB充電器400と接続されており、USB充電器400の電源回路301を駆動させる。USB充電器400は、有線又は無線により接続された端末装置を充電する。以下、USB充電器400が、ケーブルを介して接続端子50Aあるいは60と有線接続された端末装置に充電する例について説明し、無線により接続された端末装置を充電する場合の説明については省略する。後者については、ケーブルを介して充電するという説明部分を、ワイヤレス電力伝送を実行して端末装置に充電すると読み替えればよい。
USB充電器400は、例えば、電源回路401と、チャージャー出力制御回路402と、第1USBポート403と、第2USBポート404とを備える。第1USBポート403は、シート下収容部50の接続端子50Aと有線で接続されている。第2USBポート404は、フロント収容部60の接続端子60Aと有線で接続されている。電源回路401は、USBケーブルを介して、第1USBポート403あるいは第2USBポート404と接続された端末装置に、自動二輪車11側の電源から提供された電力を供給する。
表示パネル駆動回路308は、表示パネル26と接続されており、表示パネル26を駆動させる。
ECU通信回路309は、ECU40と接続され、有線で通信する。ECU通信回路309は、スマートCPU310から出力された情報を、ECU40に送信する。
記憶部350は、例えば、設定認証モード情報351と、設定閾値352と、登録者ID353とを格納する。
設定認証モード情報351は、現在設定されている認証モードを示す情報である。認証モードには、例えば、通常認証モードと、簡易認証モードとが含まれる。通常認証モードは、認証対象が認証エリアに存在することを認証実行条件(認証処理を実行するための条件)とし、認証実行条件を満たす場合に認証処理を実行するモードである。簡易認証モードとは、認証実行条件を満たさない場合であっても認証処理を実行するモードである。なお、設定認証モード情報351は、認証処理により結果(認証OK、認証NG)を示す情報が含まれてもよい。
設定閾値352は、所定の登録処理により登録された受信電波強度(以下、RSSI(Received Signal Strength Indication))の閾値である。設定閾値は、セキュリティの観点から、自動二輪車11の周辺に存在する認証対象を検出できるエリア(以下、認証エリア)を定義するための基準値である。設定閾値は、自動二輪車11から離れている認証対象に対して認証処理を実行しないような値に設定されている。
登録者ID353は、ユーザ端末装置100の真正性を示す情報であって、ID認証を行うために登録者に与えられた識別情報である。なお、ユーザ端末装置100の真正性を示す情報は、事前に登録されているID情報に限られない。例えば、使用期間を限定して生成される乱数等であってもよい。
スマートCPU310は、例えば、スイッチ制御部311と、操作指示部312と、電磁ロック制御部313と、Bluetooth通信制御部314と、認証部315と、表示制御部316と、取得部317と、モード変更部318と、を備える。これらスイッチ制御部311、操作指示部312、電磁ロック制御部313、Bluetooth通信制御部314、認証部315、表示制御部316、取得部317、およびモード変更部318は、例えば、CPUやGPU等のプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め記憶部350に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶部にインストールされてもよい。
スイッチ制御部311は、認証部315による認証結果に基づいて、メインスイッチノブ31の回動を制御する。例えば、認証処理によりユーザ端末装置100の真正性が確認された場合、スイッチ制御部311は、メインスイッチノブ31の回動操作を可能または有効とする(つまり、メインスイッチ解錠状態とする)。これに限られず、認証処理によりユーザ端末装置100の真正性が確認された場合、スイッチ制御部311は、スタータスイッチ29やシート・フューエルロック解除スイッチ32、その他スイッチの操作を可能または有効としてもよい。
一方認証処理によりユーザ端末装置100の真正性が確認されない場合や、ユーザ端末装置100と自動二輪車11との間の通信が切断された場合、スイッチ制御部311は、メインスイッチノブ31の回動操作を不能または無効とする(つまり、メインスイッチ施錠状態とする)。
操作指示部312は、メインスイッチ入力検出回路302、スタータスイッチ入力検出回路303、あるいはノブスイッチ入力検出回路305から入力された情報に基づいて、入力された操作内容を取得し、取得された操作内容に応じた制御内容を決定する。操作指示部312は、決定した制御内容に応じて、制御対象(あるいは制御対象を制御する制御部)に、決定した制御内容に応じたコマンドを出力する。
例えば、メインスイッチ30がオン状態であって、バーハンドル12右側のブレーキレバー29aが握られた状態でスタータスイッチ29が押下されたことが、スタータスイッチ入力検出回路303等により検出された場合、操作指示部312は、エンジンの始動を指示する操作を検出する。エンジンの始動を指示する操作が検出された場合、操作指示部312は、認証処理によりユーザ端末装置100の真正性が確認されていることを条件として、エンジン始動許可信号を、ECU通信回路309を用いてECU40に送信させる。
また操作指示部312は、初期状態において、メインスイッチノブ31が押し込まれる操作が検出された場合、メインスイッチ30の解錠要求が指示されたことを取得し、メインスイッチ30を解錠するよう電磁ロック駆動回路304を制御する。
また操作指示部312は、メインスイッチON待ち状態で、ノブスイッチ入力検出回路305によりオン操作(メインスイッチノブ31をオン位置P2に位置させる操作)が検出された場合、メインスイッチ30がオン状態である場合の処理フローを実行する。
電磁ロック制御部313は、認証部315による認証結果に基づいて、電磁ロック70を制御する。例えば、認証処理によりユーザ端末装置100の真正性が確認された場合、電磁ロック制御部313は、メインスイッチ解錠状態となるよう電磁ロック駆動回路304を制御する。この状態で、例えば、シート18の解錠操作を示す情報がノブスイッチ入力検出回路305から入力された場合、電磁ロック制御部313は、シート18の開操作を可能とするように電磁ロック70を制御する。一方、シート18の施錠操作を示す情報がノブスイッチ入力検出回路305から入力された場合、電磁ロック制御部313は、シート18およびフューエルリッド24の開操作を不可能とするように電磁ロック70を制御する。Bluetooth通信制御部314によりユーザ端末装置100との通信が切断されたことが検出された場合、電磁ロック制御部313は、メインスイッチ30やシート18が施錠状態となるよう電磁ロック駆動回路304を制御する。
Bluetooth通信制御部314は、Bluetooth通信回路306を制御し、Bluetoothアンテナ320を用いて、通信エリア内に存在するユーザ端末装置100と通信する。例えば、Bluetooth通信制御部314は、ビーコン信号をBluetoothアンテナ320から発信し、応答するユーザ端末装置100が存在するか否かを判定する。ビーコン信号に応答するユーザ端末装置100があった場合、Bluetooth通信制御部314は、ユーザ端末装置100との通信を継続する。一方、ビーコン信号に対する応答がなかった場合、Bluetooth通信制御部314は、ユーザ端末装置100との通信を切断する。
認証部315は、通常認証モードによる認証処理を実行する場合、Bluetoothアンテナ320を介して受信した情報に基づいて、所定の事前処理と、所定の認証処理とを実行する。事前処理は、例えば、Bluetoothアンテナ320を介して受信した信号のRSSI値が記憶部350に登録されている設定閾値以上であるか否かを判定する処理である。認証部315は、事前処理により、Bluetoothアンテナ320を介して受信した信号のRSSI値が記憶部350に登録されている設定閾値以上であると判定された場合、認証処理を実行する。
認証部315は、認証処理として、例えばユーザ端末装置100から受信したID情報が事前に登録されている登録者IDと合致する場合、事前に登録された登録者からの正当な情報であると認証する。つまり、ユーザ端末装置100の真正性が確認される。
認証部315によりユーザ端末装置100から受信したID情報が認証された場合、電磁ロック制御部313は、上述した解錠処理を実行する。
なおRSSI値が設定閾値以上であることを認証実行条件とすることにより、ユーザ端末装置100と自動二輪車11との距離を推定した上で、ユーザが自動二輪車11の近くにいる状況であれば認証処理を実行するとすることができる。これにより、防盗性を高めることができる。
また認証部315は、簡易認証モードによる認証処理を実行する場合、認証実行条件を満たすか否かに関わらず認証処理を実行する。例えば、認証部315は、RSSI値が設定閾値以上であるか否かの判定処理を実行せずに、ID情報に基づく認証処理を実行する。つまり、認証部315は、事前処理をせずに認証処理を実行する。
表示制御部316は、表示パネル駆動回路308を制御して、所定の情報を表示パネル26に表示させる。
取得部317は、自動二輪車11に対するユーザ端末装置100の状態を示す情報を取得する。例えば、取得部317は、USB充電器400とユーザ端末装置100との接続状態を示す情報を、USB充電器400やユーザ端末装置100から取得する。具体的に言うと、取得部317は、ユーザ端末装置100の識別情報と共に、ユーザ端末装置100から充電中であることを示す情報を、ユーザ端末装置100から受信する。また、取得部317は、接続端子50Aまたは接続端子60Aにケーブルを介して機器が接続されていることを示す情報や、接続端子50Aまたは接続端子60Aにケーブルを介して接続されている機器の識別情報を、USB充電器400から取得する。
これに限られず、所定の確認画面の表示条件を満たす場合に、ユーザ端末装置100が確認画面を表示するように設定しておくことで、取得部317が、自動二輪車11に対するユーザ端末装置100の状態を示す情報を取得するようにしてもよい。例えば、確認画面の表示条件には、(A)ユーザ端末装置100と自動二輪車11とが、接続端子50Aまたは接続端子60Aに接続されるケーブルを介して接続されていること、(B)USB充電器400への給電が開始されていること、(C)ユーザ端末装置100が充電中であること、が含まれる。こうすることにより、取得部317は、ユーザ端末装置100から確認画面において「はい」あるいは「いいえ」のいずれかがタッチされたことを示す情報を受信した場合に、ユーザ端末装置100と自動二輪車11とが、接続端子50Aまたは接続端子60Aに接続されるケーブルを介して接続されていることを示す情報を取得することができる。
また取得部317は、ユーザ端末装置100がシート下収納部50あるいはフロント収納部60に収容されていることを示す情報を取得する。例えば、ユーザ端末装置100を用いてユーザにより、ユーザ端末装置100がシート下収納部50あるいはフロント収納部60に収容されていることをスマートコントロールユニット300に通知することが操作されたとする。この場合、取得部317は、ユーザ端末装置100がシート下収納部50あるいはフロント収納部60に収容されていることを示す情報を、ユーザ端末装置100から取得する。なお、シート下収納部50やフロント収納部60の一部にユーザ端末装置100を設置する設置スペースとセンサとを用意しておき、この設置スペースに何かが置かれたことがセンサにより検出されたとする。この場合、取得部317は、ユーザ端末装置100がシート下収納部50あるいはフロント収納部60に収容されていることを示す情報をセンサから取得する。
モード変更部318は、例えば、取得部317により取得された情報に基づいて、簡易認証モードへの変更条件を満たすか否かを判定する。簡易認証モードへの変更条件を満たす場合、モード変更部318は、設定されている認証モードを、通常認証モードから簡易認証モードに変更する。具体的に言うと、モード変更部318は、設定認証モード情報351として「簡易認証モードが設定された」ことを示す情報を記憶部350に格納する。
モード変更部318は、例えば、ユーザの承認が得られたことを条件として簡易認証モードへ変更する。モード変更部318は、簡易認証モードへの変更条件を満たすと判定された場合に、その都度ユーザ端末装置100に確認画面を表示して、ユーザの承認(変更の有無)を取得する。これに限られず、モード変更部318は、事前にユーザの承認を取得し、記憶部350に登録しておいてもよい。このようにユーザの承認を変更への条件とすることにより、防盗性の低下を抑えることができる。
変更条件には、例えば、(1)ケーブルを介してユーザ端末装置100とUSB充電器400とが接続されていることが含まれる。このように、自動二輪車11とユーザ端末装置100とが接続されていることをもって、自動二輪車11の近くにユーザ端末装置100があると推定するので、簡易認証モードによる認証処理においてRSSI値の強度を無視してもセキュリティ面の問題を解決することができる。
さらに変更条件には、(2)ユーザ端末装置100とUSB充電器400とを接続する接続端子が開閉可能な閉鎖空間内に存在すること、が含まれてよい。開閉可能な閉鎖空間は、例えば、シート下収納部50内の収容スペースであり、変更条件(1)および(2)の組み合わせには、ユーザ端末装置100がシート下収納部50に設けられた接続端子50Aに接続されていること、が含まれる。こうすることで、ユーザ端末装置100が閉鎖空間内にあることにより電波強度が減衰する場合であっても認証処理を実行することが可能となり、ユーザ端末装置100が外部に露出しないので走行時にユーザ端末装置100を保護することができる。
さらに変更条件には、(3)開閉可能な閉鎖空間は、認証処理により真正性が確認された場合に解錠され、メインスイッチ施錠状態において施錠される閉鎖空間であること、が含まれてよい。
また変更条件は、(1)に加え、(4)自動二輪車11に設けられた収納部であって、スマートコントロールユニット300から受信する信号強度が減衰する空間を有する収容部(以下、信号減衰収容部と記す)に、ユーザ端末装置100とUSB充電器とを接続する接続端子が存在することが含まれてよい。この信号減衰収容部は、例えば、シート下収納部50やフロント収納部60であり、変更条件(1)および(4)の組み合わせには、ユーザ端末装置100がシート下収納部50に設けられた接続端子50Aに接続されていること、ユーザ端末装置100がフロント収納部60に設けられた接続端子60Aに接続されていること、が含まれる。
また変更条件には、(5)ユーザ端末装置100がシート下収納部50あるいはフロント収納部60に収容されていること、が含まれてよい。この変更条件(5)は、変更条件(1)(2)(3)(4)のうち少なくとも一つと組み合わせられてもよい。
また変更条件には、(5)に加え、(6)シート下収納部50またはフロント収納部60に設けられた有線接続の接続端子50Aまたは接続端子60Aに、ユーザ端末装置100が接続されること、が含まれてよい。こうすることにより、特に信号強度が減衰しやすい収納内において、より確実に認証処理を実行するが可能となる。
これに限られず、フロント収納部60は、シート18のように認証処理によりロックが解錠される蓋を備える閉鎖空間であってもよい。この場合、変更条件(2)の開閉可能な閉鎖空間には、フロント収納部60も含まれ、変更条件(1)および(2)の組み合わせには、ユーザ端末装置100がフロント収納部60に設けられた接続端子60Aに接続されることが含まれる。
なおモード変更部318は、所定の変更タイミングにおいて、簡易認証モードへの変更条件を満たす場合に、設定されている認証モードを通常認証モードから簡易認証モードに変更するとしてもよい。所定の変更タイミングの詳細については後述する。
このように、簡易認証モードへの変更条件を満たす場合、次回の認証処理を簡易認証モードに変更し、RSSI値が設定閾値以上であるか否かに関わらず認証処理を実行することにより、より確実に認証処理を行うことができる。
次に、スマートコントロールユニット300とユーザ端末装置100との認証の一例について説明する。スマートキーシステム2は、電源オン状態のユーザ端末装置100が規定の認証エリア(後述する)に入ったときに、例えばメインスイッチノブ31の押下やユーザ端末装置100が受け付けた開始操作等をトリガーにして、ユーザ端末装置100とスマートコントロールユニット300との間の双方向通信を行う。この双方向通信により、スマートコントロールユニット300がユーザ端末装置100からID情報を取得し、ユーザ端末装置100の認証を行う。ユーザ端末装置100の認証がなされると、メインスイッチノブ31のオン操作が可能になり、ハンドルロックの解除がなされ、かつ車両各部のロックの解除が可能となる。
ユーザ端末装置100が規定の認証エリアに入ったことは、例えば、スマートコントロールユニット300による事前処理において判定され、ユーザ端末装置100から受信した信号のRSSI値が設定閾値以上であった場合に条件を満たす。認証エリアは、例えば、設定閾値のRSSI値が確保される範囲であって、自動二輪車11の所定位置を中心とした半径数mほどの範囲である。
スマートキーシステム2は、ユーザ端末装置100が認証エリアから出たとき、又はユーザ端末装置100の電源がオフになったときに、ユーザ端末装置100とスマートコントロールユニット300との間の通信を停止する。スマートキーシステム2は、メインスイッチノブ31のオフ操作(オフ位置P1への回動操作)によっても、ユーザ端末装置100とスマートコントロールユニット300との間の通信を停止する。
<ユーザ端末装置>
図6は、ユーザ端末装置100の機能ブロック図である。ユーザ端末装置100は、例えば、スマートフォンなどの携帯電話やタブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)などの、少なくとも通信機能と表示機能を有する可搬型端末装置である。ユーザ端末装置100は、例えば、通信部110と、入力部120と、表示部130と、記憶部150と、アプリ実行部170とを備える。
通信部110は、例えば、Bluetoothなど利用するための無線モジュールであって、アンテナおよび送受信装置などを有する。入力部120は、例えば、表示部130と一体として形成されるタッチパネルTP、各種キー、ボタン、ダイヤルスイッチ、マウスなどのうち一部または全部を含む。表示部130は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro luminescence)表示装置などである。
記憶部150は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SDカード、レジスタなどによって実現される。記憶部150には、スマートキーアプリ151が格納されている。スマートキーアプリ151は、ユーザ端末装置100をスマートキーとして利用するためのインターフェースを表示部130に表示させ、インターフェースを介して入力された情報に基づく処理をユーザ端末装置100に実行させるプログラムである。
アプリ実行部170は、例えば、CPUなどのプロセッサが、記憶部150に記憶されたスマートキーアプリ(プログラム)151を実行することにより実現される。スマートキーアプリ151は、例えば、ネットワークNWを介して他装置からダウンロードされてもよいし、予めユーザ端末装置100にプリインストールされていてもよい。
<ユースケース1>
図7は、ユースケース1について説明するための図である。ユースケース1は、ユーザ端末装置100の真正性が確認されることでメインスイッチ解錠状態となった後に、メインスイッチ30がオンされないまま所定時間が経過して、自動的にシート18等の装備のロックが施錠されるユースケースである。
(プロセスA1)まず、ユーザが所持するユーザ端末装置100を操作して、自動二輪車11の近くでスマートキーアプリ151を起動する。ユーザ端末装置100は、スマートキーアプリ151を実行し、自動二輪車11のスマートコントロールユニット300とBluetooth通信を確立する。ここで実行される認証処理は、通常認証モードによるものである。ユーザ端末装置100が認証エリア内に入っている場合、RSSI値が設定閾値以上であるため、スマートコントロールユニット300は、認証処理を実行する。
この認証処理によりユーザ端末装置100の真正性が確認されると、スマートコントロールユニット300は、メインスイッチ解錠状態となり、USB充電器400への給電を開始し、メインスイッチON待ち状態となる。つまり、メインスイッチノブ31が回動可能になり、ケーブルを介してUSB充電器400と接続された外部装置への充電が可能となる。
(プロセスA2)次いで、ユーザはメインスイッチノブ31をシート・フューエルロック解錠位置P3に回動し、シート・フューエルロック解錠スイッチ32のシート18の解錠を選択するスイッチの方を押し込む。こうすることで、シート18のロックが解錠される。
(プロセスA3)そして、ユーザはシート18を開け、シート下収納部50の接続端子50Aとユーザ端末装置100とをUSBケーブルを介して接続する。こうすることで、ユーザ端末装置100への充電が開始される。そしてユーザは、シート18を閉じる。
(プロセスA4)メインスイッチON待ち状態の経過時間がA秒を超えた場合、スマートコントロールユニット300は、変更条件を満たすか否かを判定する。この例では、メインスイッチON待ち状態の経過時間がA秒を経過する前に、ユーザ端末装置100がUSB充電器400に接続されている。この点で簡易認証モードへの変更条件を満たすため、スマートコントロールユニット300は、簡易認証モードへの変更を許可するか否かの選択をユーザに求めるようユーザ端末装置100に指示する。なお、この簡易認証モードへの変更条件を満たすか否かの判定は、ユーザ端末装置100により実行されてよく、簡易認証モードへの変更条件を満たすと判定された場合に、簡易認証モードへの変更を許可するか否かの選択をユーザに求めるようにしてもよい。
ユーザ端末装置100は、図示のような確認画面を表示させる。確認画面には、簡易確認モードに変更することを選択する「はい」と、簡易確認モードに変更することを選択しない「いいえ」とが表示されている。確認画面において、簡易認証モードに変更することがユーザにより選択された場合(つまり、「はい」がタッチされた場合)、ユーザ端末装置100は、簡易認証モードに変更することがユーザにより選択されたことを示す情報をスマートコントロールユニット300に送信する。そして、スマートコントロールユニット300は、設定されている認証モードを示す情報を、通常認証モードから簡易認証モードに変更する。
なおこのケース1では、ユーザ端末装置100がUSB充電器400に接続されているため、メインスイッチON待ち状態の経過時間がA秒を超えてもメインスイッチ解錠状態であり、メインスイッチノブ31が回動可能な状態である。
そして、メインスイッチON待ち状態の経過時間がB秒を超えたことで、スマートコントロールユニット300は、シート18等の装備のロックを施錠し、エンジン始動許可信号の出力を制限する。
(プロセスA5)次いで、ユーザが、エンジン21の始動を指示する操作をするために、メインスイッチノブ31を押し込む操作を実行する。これにより、スマートコントロールユニット300は、簡易認証モードによる認証処理を実行する。この認証処理によりユーザ端末装置100の真正性が確認されると、ユーザがメインスイッチノブ31をオン位置P2に回動しバーハンドル12右側のブレーキレバー29aを握ってスタータスイッチ29を押下することで、スマートコントロールユニット300は、エンジン始動許可信号を出力し、エンジン21が始動される。
このように、メインスイッチON待ち状態の経過時間がB秒を超えたことにより再認証が必要になったとしても、簡易認証モードによる認証処理が実行されるため、RSSI値が設定閾値以上であるか否かの判定処理を実行せずに、ID情報に基づく認証処理を実行することができる。よって、ユーザ端末装置100がシート下収納部50に収容された状態、つまり、ユーザ端末装置100が自動二輪車11の周辺(認証エリア内)にあるにも関わらずRSSI値が小さくなってしまう状態であっても、認証処理が実行されないという不都合を防止することができる。
従来のようにプロセスA5の状況において通常認証モードによる認証処理が実行された場合、ユーザ端末装置100の真正性を確認できないため、シート18のロックを解錠できない。このため、ユーザ端末装置100を取り出すことができなくなる。また、ユーザ端末装置100を取り出すことができなければ再度の認証処理が実行されないため、エンジン21を始動することができなくなる。簡易認証モードへ変更しておくことにより、これらの問題を解消することができる。
<ユースケース2>
図8は、ユースケース2について説明するための図である。ユースケース2は、スマートコントロールユニット300がスリープ状態となった後で、ユーザ端末装置100がUSB充電器400に接続される場合の一例である。
(プロセスB1)(プロセスB2)は、それぞれ、上述した(プロセスA1)(プロセスA2)と同じである。
(プロセスB3)ユーザ端末装置100がUSB充電器400に接続されず、且つ、メインスイッチON待ち状態の経過時間がA秒を超えた場合、スマートコントロールユニット300は、スリープ状態に移行する。スリープ状態に移行すると、例えば、シート18等の装備が施錠され、エンジン始動許可信号を出力が制限される。
(プロセスB4)次いで、ユーザがケーブルを介して例えばフロント収納部60の接続端子60Aとユーザ端末装置100とを接続すると、ユーザ端末装置100への充電が開始される。
(プロセスB5)このように、スリープ状態に移行した後でユーザ端末装置100がUSB充電器400に接続された場合、スマートコントロールユニット300は、変更条件を満たすか否かを判定する。この例では、メインスイッチON待ち状態の経過時間がB秒を経過する前に、ユーザ端末装置100がUSB充電器400に接続されている。この点で簡易認証モードへの変更条件を満たすため、ユーザ端末装置100は、簡易認証モードへの変更を許可するか否かの選択をユーザに求める確認画面を表示する。確認画面において、簡易認証モードに変更することがユーザにより選択された場合(つまり、「はい」がタッチされた場合)、ユーザ端末装置100は、簡易認証モードに変更することがユーザにより選択されたことを示す情報をスマートコントロールユニット300に送信する。そして、スマートコントロールユニット300は、設定認証モードを、通常認証モードから簡易認証モードに変更する。
簡易認証モードに変更されると、簡易認証モードによる認証処理が行われる。ユーザ端末装置100の真正性が確認された場合、スマートコントロールユニット300は、シート18等の装備の施錠を解錠する。また、エンジン始動許可信号の制限が解除される。
(プロセスB6)次いでユーザが、エンジン21の始動を指示する操作をするために、メインスイッチノブ31を押し込む操作を実行し、起動状態となることで、スマートコントロールユニット300は、シート18等の装備が解錠可能となる。そして、ユーザが、メインスイッチノブ31をオン位置P2に回動し、バーハンドル12右側のブレーキレバー29aを握ってスタータスイッチ29を押下することで、スマートコントロールユニット300は、エンジン始動許可信号を出力し、エンジン21が始動される。
こうすることで、スリープ状態に移行した後であって、フロント収納部60にユーザ端末装置100が収容された状態、つまり、ユーザ端末装置100が自動二輪車11の周辺(認証エリア内)にあるにも関わらずRSSI値が小さくなってしまう状態であっても、認証処理が実行されないという不都合を防止することができる。
従来のようにプロセスB5、B6の状況において通常認証モードによる認証処理が実行された場合、RSSI値が設定閾値よりも低くなりユーザ端末装置100の真正性を確認できないため、エンジン21を始動することができず、且つ、シート18のロックが解錠されないためユーザ端末装置100を取り出すことが困難であった。簡易認証モードによる認証処理を実行可能としたことにより、このような問題を解決することができる。
<フローチャート>
図9は、スマートコントロールユニット300による処理(エンジン始動前)の処理フローを示すフローチャートである。ここでは、ユーザ端末装置100はスマートキーアプリ151を起動しており、自動二輪車11のスマートコントロールユニット300とBluetooth通信を確立しているとする。
スマートコントロールユニット300は、接続したユーザ端末装置100から解錠要求を受信したか否かを判定する(ステップS101)。例えば、ユーザ端末装置100は、自動二輪車11の解錠を選択する画面をタッチパネルTPに表示し、ユーザにより解錠が選択された場合、ユーザにより解錠が選択されたことを示す情報をスマートコントロールユニット300に送信する。
解錠要求を受信しない場合、処理を繰り返す。解錠要求を受信した場合、スマートコントロールユニット300は、通常認証モードによる認証処理を実行する(ステップS103)。つまり、スマートコントロールユニット300は、RSSI値が閾値以上である場合に、ユーザ端末装置100から受信したID情報に基づく認証処理を実行する。
ステップS105においてユーザ端末装置100の真正性が確認できない(認証NG)場合、スマートコントロールユニット300は、通常認証モードによる認証処理を開始した時点から所定時間(N秒)が経過したか否かを判定する(ステップS107)。N秒が経過するまでは、ステップS103に戻り、通常認証モードによる認証処理を繰り返す。
一方、N秒が経過した場合、ステップS101に戻る。
一方ステップS105において、ユーザ端末装置100の真正性が確認できた(認証OK)場合、スマートコントロールユニット300は、メインスイッチノブ31のオン操作を可能または有効として、メインスイッチ解錠状態となる(ステップS109)。次いで、スマートコントロールユニット300は、USB充電器400への給電を開始する(ステップS111)。スマートコントロールユニット300は、USB充電器400への給電を開始したことを示す情報をユーザ端末装置100に送信してもよい。
そして、スマートコントロールユニット300は、メインスイッチ30がオン状態であるか否かを判定する(ステップS113)。例えば、メインスイッチノブ31がオン位置P2に回動された場合、メインスイッチ30がオン状態であり、図10を参照して説明する処理フローに移行する。一方、メインスイッチノブ31がオフ位置P1から動かされていない場合、メインスイッチ30がオフ状態であり、図11を参照して説明する処理フローに移行する。
図10は、メインスイッチ30がオン状態である場合の処理フローを示すフローチャートである。スマートコントロールユニット300は、ユーザ端末装置100から受信した充電状態を示す情報や、USB充電器400から出力された充電状態を示す情報などに基づいて、ユーザ端末装置100が充電状態であるか否かを判定する(ステップS115)。例えば、ユーザ端末装置100は充電状態であるか否かを示す情報を定期的にスマートコントロールユニット300に送信している。USB充電器400は、ケーブルを介して機器が接続されて充電が開始されたことや充電が終了されたことを示す情報を、スマートコントロールユニット300に出力している。スマートコントロールユニット300は、例えば、ケーブルを介して機器が接続されて充電が開始されたことを示す情報を受信した場合、ユーザ端末装置100が充電状態であると判定する。
これに限られず、ステップS115の「ユーザ端末装置100が充電状態であるか否かを判定する」処理は、ユーザ端末装置100がUSB充電器400によって(接続された状態で)充電状態であるか否かを判定する処理に置き換えられてもよい。例えば、ユーザ端末装置100が充電中であることを示す情報を受信し、且つ、USB充電器400が充電中であることを示す情報を受信した場合、スマートコントロールユニット300は、ユーザ端末装置100がUSB充電器400によって充電状態であると判定してもよい。ここで、スマートコントロールユニット300は、ユーザ端末装置100から受信するユーザ端末装置100の識別情報と、USB充電器400が充電中である機器の識別情報とを比較し、合致する場合に、ユーザ端末装置100がUSB充電器400によって充電状態であると判定してもよい。これに限られず、スマートコントロールユニット300は、ユーザ端末装置100から受信した充電開始のタイミングと、USB充電器400から出力された充電開始のタイミングとのずれが、所定の時間差以内である場合に、ユーザ端末装置100がUSB充電器400によって充電状態であると判定してもよい。なお、以下の説明にある「ユーザ端末装置100が充電状態であるか否かを判定する」処理についても、同様であってよい。
ステップS115においてユーザ端末装置100が充電状態であることを示す情報を受信している場合、スマートコントロールユニット300は、ユーザ端末装置100から受信した情報に基づいて、ユーザからの簡易認証モードへの変更に関する回答があったか否かを判定する(ステップS117)。例えば、上述した確認画面において「はい」あるいは「いいえ」がタッチされたことを示す情報を受信しない場合、スマートコントロールユニット300は、ユーザからの簡易認証モードへの変更に関する回答がないと判定する。
例えば、確認画面においてユーザが所定時間以上未回答のままであった場合が、これに該当する。
ユーザからの簡易認証モードへの変更に関する回答がない場合、スマートコントロールユニット300は、エンジン21の始動を指示する操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS119)。エンジン21の始動を指示する操作を受け付けた場合、スマートコントロールユニット300は、ユーザへの通知処理を実行する(ステップS121)。例えば、スマートコントロールユニット300は、ユーザからの簡易認証モードへの変更に関する回答がないためエンジン始動許可信号を出力できないことを示す情報を送信して、ユーザ端末装置100に表示させる。この通知処理において、ユーザからの簡易認証モードへの変更に関する回答を促すメッセ―ジを、ユーザ端末装置100に表示させてもよい。その後、スマートコントロールユニット300は、ステップS115に戻って処理を繰り返す。
一方ステップS117において、ユーザからの簡易認証モードへの変更に関する回答があった場合、その回答が「簡易認証モードへの変更を選択する」ことであるか否かを判定する(ステップS123)。その回答が「簡易認証モードへの変更を選択する」ことである場合、スマートコントロールユニット300は、エンジン21の始動を指示する操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS125)。エンジン21の始動を指示する操作を受け付けた場合、スマートコントロールユニット300は、簡易認証モードによる認証処理を実行する(ステップS127)。なお、スマートコントロールユニット300は、簡易認証モードによる認証処理を実行すると共に、設定認証モードを、通常認証モードから簡易認証モードに変更する。
ステップS129においてユーザ端末装置100の真正性が確認された場合(認証OK)、スマートコントロールユニット300は、エンジン始動許可信号をECU40に出力し、エンジン21を始動させる(ステップS131)。一方、ステップS129においてユーザ端末装置100の真正性が確認されない場合(認証NG)、あるいは、エンジンの始動を指示する操作を受け付けない場合、スマートコントロールユニット300は、ステップS115に戻って処理を繰り返す。
ステップS115に戻って、ユーザ端末装置100が充電状態であることを示す情報を受信していない場合、あるいは、ステップS117において回答が「簡易認証モードへの変更を選択する」ことでない場合、スマートコントロールユニット300は、エンジン21の始動を指示する操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS133)。エンジン21の始動を指示する操作を受け付けた場合、スマートコントロールユニット300は、通常認証モードによる認証処理を実行する(ステップS135)。
ステップS137においてユーザ端末装置100の真正性が確認された場合(認証OK)、スマートコントロールユニット300は、エンジン始動許可信号をECU40に出力し、エンジン21を始動させる(ステップS131)。一方ステップS137においてユーザ端末装置100の真正性が確認されない場合(認証NG)、スマートコントロールユニット300は、ステップS115に戻って処理を繰り返す。
このように、有線接続されたユーザ端末装置100がUSB充電器400に充電されている場合、ユーザが自動二輪車11の近くに存在すると推定される。このため、エンジン21の始動が指示された場合、通常認証モードによる処理を実行せずに、簡易認証モードによる認証処理によりユーザ端末装置100の真正性が確認されることで、エンジン始動許可信号を出力する。一方、ユーザ端末装置100が充電状態でない場合や、ユーザ端末装置100以外の装置(例えば、モバイルバッテリ)等が有線で接続されUSB充電器400に充電されている場合、ユーザが自動二輪車11から離れたと推定される。このため、エンジン21の始動が指示された場合、再び認証処理を実行してからエンジン始動許可信号を出力する。このようにユーザ端末装置100がUSB充電器400に接続されていない場合には、再度の認証処理が実行されることにより、正当なユーザ以外の人物によるエンジン21が始動されることを防止することができる。
また、ユーザ端末装置100が充電中であるがUSB充電器400により充電されている状態でない場合、エンジン21の始動が指示された場合であっても、通知処理を実行し、エンジン始動許可信号を出力しない。
図11は、メインスイッチ30がオン状態でない場合の処理フローを示すフローチャートである。スマートコントロールユニット300は、メインスイッチON待ち状態の期間がA秒に達したか否かを判定する(ステップS141)。メインスイッチON待ち状態の期間の始点は、例えば、認証OKと判定された時点である。メインスイッチON待ち状態の期間がA秒に達していない場合、ステップS113に戻って、処理を繰り返す。
メインスイッチON待ち状態の期間がA秒に達した場合、スマートコントロールユニット300は、ユーザ端末装置100から受信した充電状態を示す情報に基づいて、ユーザ端末装置100が充電状態であるか否かを判定する(ステップS143)。ユーザ端末装置100が充電状態であることを示す情報を受信している場合、スマートコントロールユニット300は、ユーザ端末装置100から受信した情報に基づいて、ユーザからの簡易認証モードへの変更に関する回答があったか否かを判定する(ステップS145)。
ユーザからの簡易認証モードへの変更に関する回答があった場合、その回答が「簡易認証モードへの変更を選択する」ことであるか否かを判定する(ステップS147)。その回答が「簡易認証モードへの変更を選択する」ことでない場合、スマートコントロールユニット300は、USB充電器400への給電を停止し(ステップS149)、施錠処理を実行し(ステップS151)、エンジン始動許可信号の出力を制限し(ステップS153)、処理を終了する。解錠処理とは、ハンドルロック機構28、シート18、フューエルリッド24、メインスイッチノブ31等の装備の解錠操作を可能とするように電磁ロック70を制御する処理である。
こうすることにより、ユーザ端末装置100が充電中でもUSB充電器400により有線接続で充電されていない状態である場合、ユーザが自動二輪車11を離れる可能性が高いと推定されるため、メインスイッチON待ち状態がA秒を経過したことを条件に、施錠処理等を実行する。こうすることで、防盗性を確保することができる。
戻って、ステップS143においてユーザ端末装置100が充電状態であることを示す情報を受信していない場合、あるいは、ステップS145においてユーザからの簡易認証モードへの変更に関する回答がない場合、スマートコントロールユニット300は、図12を参照して説明する処理へ移行する。
一方ステップS147において、その回答が「簡易認証モードへの変更を選択する」である場合、スマートコントロールユニット300は、メインスイッチON待ち状態の期間がB秒に達したか否かを判定する(ステップS155)。メインスイッチON待ち状態の期間がB秒に達した場合、スマートコントロールユニット300は、ステップS149に進む。一方、メインスイッチON待ち状態の期間がB秒に達していない場合、スマートコントロールユニット300は、ステップS113に戻る。
図12は、メインスイッチON待ち状態がA秒を超えた場合の一部の処理フローを示すフローチャートである。ステップS143においてユーザ端末装置100が充電状態であることを示す情報を受信していない場合、あるいは、ステップS145においてユーザからの簡易認証モードへの変更に関する回答がない場合、スマートコントロールユニット300は、施錠処理を実行し(ステップS161)、エンジン始動許可信号の出力を制限する(ステップS163)。なお、ステップS161における施錠処理では、メインスイッチノブ31のロックの施錠は実行され、メインスイッチ解錠状態は維持される。
次いで、スマートコントロールユニット300は、メインスイッチON待ち状態の期間がB秒に達したか否かを判定する(ステップS165)。メインスイッチON待ち状態の期間がB秒に達した場合、スマートコントロールユニット300は、メインスイッチ施錠状態となり、USB充電器400への給電を停止し(ステップS167)、処理を終了する。
ステップS165において、メインスイッチON待ち状態の期間がB秒に達していない場合、スマートコントロールユニット300は、ユーザ端末装置100から受信した充電状態を示す情報に基づいて、ユーザ端末装置100が充電状態であるか否かを判定する(ステップS169)。ユーザ端末装置100が充電状態であることを示す情報を受信している場合、スマートコントロールユニット300は、ユーザ端末装置100から受信した情報に基づいて、ユーザからの簡易認証モードへの変更に関する回答があったか否かを判定する(ステップS171)。
ユーザからの簡易認証モードへの変更に関する回答があった場合、その回答が「簡易認証モードへの変更を選択する」ことであるか否かを判定する(ステップS173)。その回答が「簡易認証モードへの変更を選択する」ことでない場合、スマートコントロールユニット300は、ステップS167に移動し、メインスイッチ施錠状態となり、USB充電器400への給電を停止して、処理を終了する。
一方ステップS173において、その回答が「簡易認証モードへの変更を選択する」ことである場合、スマートコントロールユニット300は、簡易認証モードによる認証処理を実行する(ステップS175)。なお、スマートコントロールユニット300は、簡易認証モードによる認証処理を実行すると共に、設定認証モードを、通常認証モードから簡易認証モードに変更する。ステップS177においてユーザ端末装置100の真正性が確認された場合(認証OK)、スマートコントロールユニット300は、メインスイッチノブ31のオン操作を可能または有効として、メインスイッチ解錠状態となり(ステップS179)、ステップS113の処理へ移動する。一方、ステップS129においてユーザ端末装置100の真正性が確認されなかった場合(認証NG)、スマートコントロールユニット300は、メインスイッチ解錠状態とせずに、ステップS113の処理へ移動する。
図13は、スマートコントロールユニット300による処理(メインスイッチOFF後)の処理フローを示すフローチャートである。ここでは、ユーザ端末装置100はスマートキーアプリ151を起動しており、自動二輪車11のスマートコントロールユニット300とBluetooth通信を確立しているとする。また、処理開始時点の状態は、スマートコントロールユニット300がメインスイッチON待ち状態であってもよく、エンジン始動中であってもよい。
スマートコントロールユニット300は、メインスイッチ30がオフ状態であるか否かを判定する(ステップS201)。メインスイッチ30がオフ状態である場合、スマートコントロールユニット300は、エンジン停止許可信号を出力し(ステップS203)、ユーザ端末装置100から受信した充電状態を示す情報に基づいて、ユーザ端末装置100が充電状態であるか否かを判定する(ステップS205)。
ユーザ端末装置100が充電状態である場合、スマートコントロールユニット300は、ユーザ端末装置100から受信した情報に基づいて、ユーザからの簡易認証モードへの変更に関する回答があったか否かを判定する(ステップS207)。
ユーザからの簡易認証モードへの変更に関する回答がない場合、スマートコントロールユニット300は、メインスイッチON待ち状態の期間がB秒に達したか否かを判定する(ステップS209)。ここでのメインスイッチON待ち状態の期間は、上述の期間に加え、エンジン21を始動した後にエンジン21の停止を指示する操作(例えば、メインスイッチノブ31をオフ位置P1に位置させる操作)によりメインスイッチ30がオフされた時点を始点とする期間も含まれる。
ステップS209において、メインスイッチON待ち状態の経過期間がB秒に達していない場合、スマートコントロールユニット300は、ステップS205のユーザ端末装置100の充電状態を判定する処理に戻る。
一方、メインスイッチON待ち状態の経過期間がB秒に達した場合、スマートコントロールユニット300は、USB充電器400への給電を停止し(ステップS211)、施錠処理を実行する(ステップS213)。
ステップS207に戻って、ユーザからの簡易認証モードへの変更に関する回答があった場合、スマートコントロールユニット300は、その回答が「簡易認証モードへの変更を選択する」ことであるか否かを判定する(ステップS215)。その回答が「簡易認証モードへの変更を選択する」ことである場合、スマートコントロールユニット300は、ステップS209に移動し、メインスイッチON待ち状態の経過期間がB秒に達したか否かを判定する。
一方、ステップS215において、その回答が「簡易認証モードへの変更を選択する」ことでない場合、スマートコントロールユニット300は、メインスイッチON待ち状態の期間がA秒に達したか否かを判定する(ステップS217)。ここでのメインスイッチON待ち状態の期間も、エンジン21を始動した後にエンジン21の停止を指示する操作(例えば、メインスイッチノブ31をオフ位置P1に位置させる操作)によりメインスイッチ30がオフされた時点を始点とする期間も含まれる。なお、ステップS205の判定において、ユーザ端末装置100が充電状態であることを示す情報を受信していない場合も、ステップS217に移動する。
ステップS217の判定において、メインスイッチON待ち状態の経過期間がA秒に達した場合、スマートコントロールユニット300は、USB充電器400への給電を停止し(ステップS211)、施錠処理を実行し(ステップS213)、処理を終了する。一方、メインスイッチON待ち状態の経過期間がA秒に達していない場合、スマートコントロールユニット300は、図14を参照して説明する処理へ移行する。
図14は、図13に示すステップS217で否定的な判定がなされた場合の処理フローを示すフローチャートである。スマートコントロールユニット300は、メインスイッチノブ31が短押しされたか否かを判定する(ステップS219)。メインスイッチノブ31を短押しする操作とは、長押しのように数秒押す操作ではなくそれよりも短い時間でメインスイッチノブ31を押し込む操作であり、即時にメインスイッチ30のオフ処理を終了することを指示する操作である。
メインスイッチノブ31が短押しされた場合、スマートコントロールユニット300は、USB充電器400への給電を停止し(ステップS221)、施錠処理を実行し(ステップS223)、処理を終了する。
ステップS219の判定において、メインスイッチノブ31が短押しされていない場合、スマートコントロールユニット300は、ユーザ端末装置100とのBluetooth通信が継続しているか否かを判定する(ステップS225)。ユーザ端末装置100とのBluetooth通信が継続していない場合、ユーザ端末装置100を所持したユーザが自動二輪車11から離れたと推定されるため、スマートコントロールユニット300は、ステップS221の処理に移動する。
一方ステップS225の判定において、ユーザ端末装置100とのBluetooth通信が継続している場合、スマートコントロールユニット300は、施錠確認処理を実行する(ステップS227)。施錠確認処理とは、即時にシート18等の装備(ハンドルロック機構28、フューエルリッド24等を含む)を施錠するか否かをユーザに確認する処理である。この状況においてこれらの装備を施錠するか否かは事前にユーザにより登録されていてもよく、このタイミングにおいてユーザ端末装置100に確認画面を表示させてユーザに選択させてもよい。
そして、スマートコントロールユニット300は、即時にシート18等の装備を施錠するか否かを判定する(ステップS229)。即時にシート18等の装備を施錠する場合、スマートコントロールユニット300は、ステップS221の処理に移動する。一方、即時にシート18等の装備を施錠しない場合、スマートコントロールユニット300は、ステップS205の処理に戻る。
図15は、簡易認証モードによる認証処理を実行するための処理フロー(その1)を示すフローチャートである。処理フロー(その1)では、簡易認証モードへの変更を確認する確認画面の表示タイミングを、スマートコントロールユニット300が決定する。
まず、スマートコントロールユニット300は、所定の変更タイミングにおいて、簡易認証モードへの変更条件を満たすか否かを判定する(ステップS301)。変更タイミングとは、簡易認証モードへの変更が必要になるシーンであって、例えば、(1)メインスイッチON待ち状態で、且つ、メインスイッチON待ち状態の経過時間がA秒に到達する前にユーザ端末装置100がUSB充電器400に有線接続されて充電中である場合、(2)メインスイッチON待ち状態で、且つ、メインスイッチON待ち状態の経過時間がA秒経過後B秒経過前にユーザ端末装置100がUSB充電器400に有線接続されて充電中である場合、(3)メインスイッチ30がオン状態となりその後オフ状態となった後、メインスイッチON待ち状態の経過時間がB秒経過前にユーザ端末装置100がUSB充電器400に有線接続されて充電中である場合、が含まれる。
簡易認証モードへの変更条件を満たす場合、スマートコントロールユニット300は、簡易認証モードへの変更を許可するか否かの選択をユーザに求めるようユーザ端末装置100に指示する(ステップS303)。
次いで、ユーザ端末装置100は、スマートコントロールユニット300からの指示に従い、上述した確認画面をタッチパネルTPに表示させ(ステップS305)、ユーザによる選択がいずれであるかを判定する(ステップS307)。確認画面において、簡易認証モードに変更することがユーザにより選択された場合(つまり、「はい」がタッチされた場合)、ユーザ端末装置100は、簡易認証モードに変更することがユーザにより選択されたことを示す情報をスマートコントロールユニット300に送信する(ステップS309)。
一方、スマートコントロールユニット300は、簡易認証モードへの変更がユーザにより選択されたことを示す情報を受信したか否かを判定する(ステップS311)。簡易認証モードへの変更がユーザにより選択されたことを示す情報を受信した場合、スマートコントロールユニット300は、設定されている認証モードを示す情報を、通常認証モードから簡易認証モードに変更する(ステップS313)。つまり、スマートコントロールユニット300は、設定認証モード情報351として「簡易認証モードが設定された」ことを示す情報を記憶部350に格納する。
図16は、簡易認証モードによる認証処理を実行するための処理フロー(その2)を示すフローチャートである。処理フロー(その2)では、簡易認証モードへの変更を確認する確認画面の表示タイミングを、ユーザ端末装置100が決定する。
まず、スマートコントロールユニット300は、定期的にステータス情報をユーザ端末装置100に送信する(ステップS331)。ステータス情報には、例えば、「USB充電器400とUSBポートを介して接続されている端末がユーザ端末装置100である」ことや、メインスイッチON待ち状態であること、メインスイッチ30がオン状態になったこと、メインスイッチ30がオフ状態になったこと、メインスイッチON待ち状態の経過時間などが含まれる。
ユーザ端末装置100は、スマートコントロールユニット300からステータス情報を受信したか否かを判定する(ステップS333)。ステータス情報を受信した場合、ユーザ端末装置100は、受信したステータス情報に基づいて記憶部150を更新する(ステップS335)。次いで、ユーザ端末装置100は、スマートコントロールユニット300との通信が切断されたか否かを判定する(ステップS337)。
スマートコントロールユニット300との通信が切断された場合、記憶部150を参照し、所定の変更タイミングにおける簡易認証モードへの変更条件を満たすか否かを判定する(ステップS339)。変更タイミングには、例えば、(2)メインスイッチON待ち状態で、且つ、メインスイッチON待ち状態の経過時間がA秒経過後B秒経過前にユーザ端末装置100がUSB充電器400に有線接続されて充電中である場合が含まれる。これに限られず、上述の変更タイミング(1)(3)も含まれてよい。
所定の変更タイミングにおける簡易認証モードへの変更条件を満たす場合、ユーザ端末装置100は、上述した確認画面をタッチパネルTPに表示させ(ステップS341)、ユーザによる選択がいずれであるかを判定する(ステップS343)。確認画面において、簡易認証モードに変更することがユーザにより選択された場合(つまり、「はい」がタッチされた場合)、ユーザ端末装置100は、スマートコントロールユニット300との通信を開始し(ステップS345)、簡易認証モードに変更することがユーザにより選択されたことを示す情報をスマートコントロールユニット300に送信する(ステップS347)。
一方、スマートコントロールユニット300は、簡易認証モードへの変更がユーザにより選択されたことを示す情報を受信したか否かを判定する(ステップS349)。簡易認証モードへの変更がユーザにより選択されたことを示す情報を受信した場合、スマートコントロールユニット300は、設定されている認証モードを示す情報を、通常認証モードから簡易認証モードに変更する(ステップS351)。つまり、スマートコントロールユニット300は、設定認証モード情報351として「簡易認証モードが設定された」ことを示す情報を記憶部350に格納する。
図17は、簡易認証モードによる認証処理を実行するための処理フロー(その3)を示すフローチャートである。処理フロー(その3)では、簡易認証モードへの変更を確認する確認画面の表示タイミングをユーザ端末装置100が決定する処理フロー(例えばその2)の他の例である。
まず、スマートコントロールユニット300は、定期的にステータス情報をユーザ端末装置100に送信する(ステップS361)。ユーザ端末装置100は、スマートコントロールユニット300から受信したステータス情報に基づいて、USB充電器400への給電が開始されているか否かを判定する(ステップS363)。USB充電器400への給電が開始されている場合、ユーザ端末装置100は、USB充電器400と接続されているか否かを判定する(ステップS365)。例えば、ユーザ端末装置100は、USB充電器400と接続されているか否かをユーザにより入力させる入力画面を表示させ、USB充電器400と接続されていることがユーザから入力画面を介して選択された場合、ユーザ端末装置100は、USB充電器400と接続されていると判定する。USB充電器400と接続されている場合、ユーザ端末装置100は、ユーザ端末装置100が充電状態であるか否かを判定する(ステップS367)。
ユーザ端末装置100が充電状態である場合、ユーザ端末装置100は、スマートコントロールユニット300からの指示に従い、上述した確認画面をタッチパネルTPに表示させ(ステップS369)、ユーザによる選択がいずれであるかを判定する(ステップS371)。確認画面において、簡易認証モードに変更することがユーザにより選択された場合(つまり、「はい」がタッチされた場合)、ユーザ端末装置100は、その旨を示す情報をスマートコントロールユニット300に送信する(ステップS373)。
次いで、スマートコントロールユニット300は、簡易認証モードへの変更がユーザにより選択されたことを示す情報を受信したか否かを判定する(ステップS375)。簡易認証モードへの変更がユーザにより選択されたことを示す情報を受信した場合、スマートコントロールユニット300は、簡易認証モードの対象となる処理の直前であるか否かを判定する(ステップS377)。なお、簡易認証モードの対象となる処理は、防盗性の観点から予め決められている。
簡易認証モードの対象となる処理の直前である場合、スマートコントロールユニット300は、簡易認証モードによる認証処理を実行する(ステップS379)。なおステップS379において、スマートコントロールユニット300は、設定されている認証モードを示す情報を、通常認証モードから簡易認証モードに変更してもよい。
上述した実施形態によれば、車両に搭載され、前記車両周辺の通信エリア内に存在するユーザ端末装置と通信するアンテナと、前記アンテナを介して前記ユーザ端末装置と通信した信号の電波強度が閾値以上であるという認証実行条件を満たす場合に認証処理を実行する処理部と、前記車両に対する前記ユーザ端末装置の状態を示す情報を取得する取得部と、を備え、前記処理部は、前記取得部により取得された情報に基づいて変更条件を満たすと判定された場合には、前記認証実行条件を満たすか否かに関わらず前記認証処理を実行することにより、車載機器による認証処理が実行されない不都合を防止できる。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、本システムは自動二輪車への適用に限らず、鞍乗り型車両に広く適用可能である。前記鞍乗り型車両には、運転者が車体を跨いで乗車する車両全般が含まれ、自動二輪車(原動機付自転車及びスクータ型車両を含む)のみならず、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)又は四輪の車両も含まれる。また、原動機に電気モータを含む車両も含まれる。また、車室を有する自動車に適用してもよい。また、車両以外にも通信が必要な各種機器に適用してもよい。例えば、通信機能を備える収納ボックスやカバンなどの機器に適用してもよい。
なお、スマートコントロールユニット300は、ユーザ端末装置100とUSB充電器400との接続が解除されたことを検出した場合、ユーザ端末装置100の充電が終了したことを検出した場合、あるいは、ユーザ端末装置100から簡易認証モードへ変更しないことが確認画面で選択された場合、設定認証モードを、簡易認証モードから通常認証モードに変更してもよい。なおこれに限られず、簡易認証モードへの変更は、一回限りであってもよい。例えば、簡易認証モードへの変更が実行された場合、モード変更を維持せず、変更条件を満たすか否かをその都度確認し、再び変更条件を満たす場合に、簡易認証モードを実行するようにしてもよい。