しかしながら、上記従来のスマートエントリーシステムでは、車両のユーザがドア閉操作を行なった後にすばやく車両から立ち去ると、車室外照合が成立せず、車両ドアが自動的に施錠されないことがある。
これに対し、車室内照合の不成立状態が一定時間継続した場合、車両ドアを全て施錠することが考えられる。しかしながら、この場合、例えば車室内の床など、車室内であるにもかかわらず車室内照合エリア内にない場所に携帯機が置かれた場合、車室内に携帯機が閉じ込められてしまうことになる。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、携帯機の車室内への閉じ込みを防止しつつ、車両ドアを確実に施錠することのできるオートロックシステムを提供することにある。
こうした目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、ユーザに携帯され、人体を介した通信である人体通信を行なう携帯機側人体通信部を有し、固有情報をその携帯機側人体通信部から送信する携帯機と、人体を介した通信である人体通信を行なう車両側人体通信部と、前記車両ドアを閉じるために車両ドア外板部に前記携帯機を携帯したユーザが触れることで、前記車両側人体通信部と前記携帯機側人体通信部との間で人体通信が可能となったときに、前記携帯機から固有情報を取得し、この取得した固有情報に基づいて予め登録された携帯機であるか否かを判断する第1照合手段とを有する車両側装置とを備え、第1照合手段による携帯機の照合が成立したことに基づいて、前記車両ドアを全て施錠することを特徴とする。
オートロックシステムとしてのこのような構成によれば、携帯機を携帯したユーザが車両ドア外板部に触れたときに、携帯機の照合を行なう。そのため、車両のユーザが車両からすばやく立ち去ったとしても、第1照合手段による携帯機の照合を行なうことができる。そして、この照合が成立すると、車両ドアは全て自動的に施錠される。このように、携帯機の照合が確実に行なわれ、車両ドアを確実に施錠することができるようになる。
また、第1照合手段による携帯機の照合が成立する場合とは、車両のユーザが携帯機を携帯していることを意味する。そのため、この照合が成立する場合、携帯機が車室外に持ち出されていることを意味し、したがって、携帯機が車室内に閉じ込められることが防止される。
上記請求項1に記載の構成において、請求項2に記載の発明では、前記車両側装置は、前記車両ドアのインナーハンドルに前記携帯機を携帯したユーザが触れることで、前記車両側人体通信部と前記携帯機側人体通信部との間で人体通信が可能となったときに、前記携帯機から固有情報を取得し、この取得した固有情報に基づいて予め登録された携帯機であるか否かを判断する第2照合手段をさらに有し、第1照合手段による携帯機の照合及び第2照合手段による携帯機の照合のどちらか一方だけでも成立したことに基づいて、前記車両ドアを全て施錠することとした。
オートロックシステムとしてのこのような構成では、上記請求項1に記載の構成に加え、上記インナーハンドルに触れたとき、携帯機の照合を行なうようにしている。そして、第1照合手段による携帯機の照合及び第2照合手段による携帯機の照合のどちらか一方だけでも成立したことに基づいて、車両ドアが全て施錠される。すなわち、車両ドアを全て施錠するには、第1照合手段による携帯機の照合が成立する、あるいは、第2照合手段による携帯機の照合が成立すればよい。したがって、上記請求項1に記載の構成よりも確実に、車両ドアを施錠することができるようになる。
上記請求項1に記載の構成において、請求項3に記載の発明では、前記車両側装置は、前記車両ドアのインナーハンドルに前記携帯機を携帯したユーザが触れることで、前記車両側人体通信部と前記携帯機側人体通信部との間で人体通信が可能となったときに、前記携帯機から固有情報を取得し、この取得した固有情報に基づいて予め登録された携帯機であるか否かを判断する第2照合手段をさらに有し、第2照合手段による携帯機の照合が成立した後、第1照合手段による携帯機の照合が成立したことに基づいて、前記車両ドアを全て施錠することとした。
オートロックシステムとしてのこのような構成では、上記請求項1に記載の構成に加え、上記インナーハンドルに触れたとき、携帯機の照合を行なうようにしている。そして、この第2照合手段による携帯機の照合が成立した後、第1照合手段による携帯機の照合が成立したことに基づいて、車両ドアが全て施錠される。すなわち、車両ドアを全て施錠するには、第2照合手段による携帯機の照合が成立する必要があることから、車両のユーザは、ドアを開けるときに、既に、携帯機を携帯している必要がある。これにより、車両のユーザが携帯機を車室内へ置き忘れることをより一層低減することができるようになる。
上記請求項1〜3のいずれか一項に記載の構成では、ドア施錠操作時に第1照合手段による携帯機の照合が成立した場合、車両ドアを即座に全て施錠してしまうシステムとすることもできる。しかしながら、車両のユーザがまだ車両の近くにおり、車両ドアを再度開けたい場合もある。このような場合に、既に車両ドアが全て施錠されていると、車両のユーザは車両ドアの開錠操作をいちいち行なわなければならない。そのため、利便性が損なわれてしまう。
その点、請求項1〜3のいずれか一項に記載のオートロックシステムにおいて、前記携帯機は、前記車両側装置との間で無線双方向通信を行なう携帯機側無線通信部をさらに有し、前記車両側装置は、前記携帯機との間で無線双方向通信を行なう車両側無線通信部と、この車両側無線通信部と前記携帯機側無線通信部との間の無線通信により前記携帯機から固有情報を取得し、この取得した固有情報に基づいて前記車両の外側の所定範囲内に予め登録された携帯機があるか否かを判断する第3照合手段をさらに有し、第1照合手段による携帯機の照合が成立した場合、さらに、第3照合手段による携帯機の照合を行ない、第3照合手段による携帯機の照合が不成立である場合、前記車両ドアを全て施錠することが望ましい。
あるいは、上記請求項1〜3のいずれか一項に記載の構成において、請求項5に記載の発明のように、前記携帯機は、前記車両側装置との間で無線双方向通信を行なう携帯機側無線通信部をさらに有し、前記車両側装置は、前記携帯機との間で無線双方向通信を行なう車両側無線通信部と、この車両側無線通信部と前記携帯機側無線通信部との間の無線通信により前記携帯機から固有情報を取得し、この取得した固有情報に基づいて前記車両の外側の所定範囲内に予め登録された携帯機があるか否かを判断する第3照合手段をさらに有し、第1照合手段による携帯機の照合が成立した場合、さらに、第3照合手段による携帯機の照合を行ない、第3照合手段による携帯機の照合が成立から不成立となった場合、前記車両ドアを全て施錠することが望ましい。
上記請求項4あるいは5に記載の構成により、ドア施錠操作時に第1照合手段による携帯機の照合が成立した場合であっても、車両ドアが即座に全て施錠されるのではなく、第3照合手段による携帯機の照合が成立から不成立となった場合に、すなわち、携帯機を携帯する車両のユーザが車両の外側の所定範囲内から所定範囲外へ移動した場合に、車両ドアが全て施錠されるようになる。したがって、車両の近くにいるユーザが車両ドアを再度開けたくなっても、車両ドアはまだ施錠されていないため、車両ドアの開錠操作を行なわなくてもよい。このように、車両のユーザは開錠操作をいちいち行なう必要がなくなるため、利便性を維持することができるようになる。
なお、こうした構成においては、請求項6に記載の発明のように、前記車両のユーザに警報する警報手段をさらに備え、前記第3照合手段の照合が所定期間内に一度も成立しない場合、前記警報手段によって警報することとしてもよい。
また、車両のユーザは、このユーザ以外に車室内に搭乗する乗員がいる場合や、座席に荷物が載置されている場合等に車両ドアを再度開けることが多い。
その点、上記請求項4〜6のいずれかに記載の構成において、請求項7に記載の発明のように、前記車両側装置は、前記車室内に搭乗する乗員及び座席に載置される荷物を検出する検出手段をさらに有し、第1照合手段による携帯機の照合が成立した場合、第3照合手段による携帯機の照合を行なう前に、前記検出手段によって前記乗員及び前記荷物の少なくとも一方が検出されるか否かを判断し、少なくとも一方が検出される場合には、第3照合手段によって携帯機を照合する一方、どちらも検出されない場合には、前記車両ドアを全て施錠することが望ましい。これにより、車両周囲にいるユーザが再度車両ドアを開けようとすることが少ない場合にのみ車両ドアを全て施錠することができるようになるため、利便性が向上する。
上記請求項2〜7のいずれかに記載の構成において、請求項8に記載の発明では、前記車両のユーザに警報する警報手段をさらに備え、前記第2照合手段の照合が不成立である場合、前記警報手段によって警報することとした。
オートロックシステムとしてのこのような構成では、上記インナーハンドルにてドアが開かれたとき、第2照合手段によって携帯機を照合しており、この照合が不成立である場合、警報手段によって警報する。すなわち、車両のユーザは、ドアを開けるときに既に携帯機を携帯していなければ警報されるため、車両のユーザが携帯機を車室内へ置き忘れることをより一層低減することができるようになる。
上記請求項2〜7のいずれかに記載の構成において、請求項9に記載の発明では、前記車両のユーザに警報する警報手段をさらに備え、前記第2照合手段による照合が成立したときに、前記車両のエンジンが駆動中である場合、前記警報手段によって警報することを特徴とする。
オートロックシステムとしてのこのような構成では、上記インナーハンドルにてドアが開かれたときに携帯機を照合し、この照合が成立したときに、車両のエンジンが駆動中である場合、警報手段によって警報する。すなわち、車両のユーザは、携帯機を携帯したまま車両のエンジン駆動中にドアを開けると、警報されることになる。そのため、車両のエンジンが駆動中であるにもかかわらず、車両のユーザが携帯機を車室外へ持ち出すことを低減することができるようになる。
以下、本発明に係るオートロックシステムの一実施の形態について、図1及び図2を参照しつつ説明する。なお、図1は、本実施の形態のオートロックシステム1について、その全体構成を示すブロック図である。なお、本実施の形態では、オートロックシステム1は、電子キー(携帯機)200と車両側装置100との間の無線双方向通信を利用して車両ドアのロック(施錠)及びアンロック(開錠)を行なう、いわゆるスマートエントリーシステムとして具体化されている。
図1に示されるように、オートロックシステム1は、車両(図示略)に搭載される車両側装置100及び電子キー200を有して構成されている。はじめに、車両側装置100の構成及び機能について説明する。
車両側装置100は、図1に示されるように、車室内発信機102及び車室外発信機104を有している。車室内発信機102は、たとえば、車室内の前席と後席との間に設けられ、車室内を含むように電子キー200を検知する車室内検知エリア(所定範囲)を形成する。車室外発信機104は、便宜上、図1では、単一の発信機として図示されているが、例えば「3[個]」の車室外発信機によって構成されている。すなわち、車室外発信機104は、右フロントドア(以下、D席ドアとも記載)と右リアドア(以下、DR席ドアとも記載)との間に設けられて、D席ドア及びDR席ドアの右側方(車幅方向の車両外側)に車室外検知エリア(所定範囲)を形成する車室外発信機と、左フロントドア(以下、P席ドアとも記載)と左リアドア(以下、PR席ドアとも記載)との間に設けられて、P席ドア及びPR席ドアの左側方(車幅方向の車両外側)に車室外検知エリアを形成する車室外発信機と、ラゲージドアまたはその近辺に設けられて、ラゲージドアの後方に車室外検知エリアを形成する車室外発信機によって構成されている。ちなみに、これら検知エリアは、たとえば各車室外発信機を中心とする半径「0.7〜1.0[m]」程度とされる。
また、車両側装置100は、ECU108を有している。このECU108は、CPU110及びメモリ112等を備えたコンピュータであり、メモリ112等に予め記憶保持されたプログラムに従って種々の処理を実行する。
詳しくは、CPU110は、メモリ112等に予め記憶保持されたプログラムに従って、例えば次のような処理を行う。すなわち、CPU110は、車両が駐車されている場合であって車両ドアの施錠時に、「0.3[秒]:程度の短い時間に設定された所定周期毎に、車室外発信機104に送信要求信号を出力する。送信要求信号が供給されると、車室外発信機104は、その送信要求信号を車室外検知エリアに送信する。この車室外発信機104による送信要求信号の送信時に電子キー200が車室外検知エリア内にある場合、IDコード(固有情報)が含まれる応答信号がその電子キー200から返信される(無線双方向通信)。
また、車両側装置100は受信機106を有している。この受信機106は、車両内部の所定位置に設置されており、電子キー200から上述のように返信される上記応答信号を受信する。また、受信機106は、電子キー200から送信される開錠信号や施錠信号等も受信する(無線単方向通信)。そして、受信機106は、上記応答信号や開錠信号、施錠信号等、受信した信号をECU108に出力する。
また、車両側装置100はECU108を有している。このECU108(詳しくはCPU110)は、異なる時点において順番に、車室内発信機102及び車室外発信機104に送信要求信号を出力する。そのため、CPU110は、上記応答信号が供給される時期を判断することにより、その応答信号がどの検知エリアから送信されたものであるか決定することが可能である。すなわち、CPU110は、電子キー200がどの検知エリアに存在するか決定することが可能であり、そのため、電子キー200の所在が車室内であるか車室外であるか決定することが可能である。
既述したように、CPU110に供給される上記応答信号には、この応答信号を返信した電子キー200のIDコードが含まれている。そのため、CPU110は、応答信号を返信した電子キー200を照合することが可能である。また、これも既述したように、電子キー200の所在も決定することができるため、CPU110は、電子キー200の車室外照合及び車室内照合を実行することが可能である。
また、車両側装置100はタッチセンサ114を有している。このタッチセンサ114は、ユーザが座席に対して乗降するための車両ドア(D席ドア、P席ドア、DR席ドア、PR席ドア等)を車両の外側から開閉するためのアウターハンドル(図示略)にそれぞれ設けられており、そのアウターハンドルに車両のユーザが触れたことを検知して、その旨を示す信号をECU108に供給する。ちなみに、これら車両ドアには、車両の内側から開閉するための図示しないインナーハンドルもそれぞれ設けられている。
また、車両側装置100は車両ドア制御装置116を有しており、この車両ドア制御装置116はECU108と接続されている。ECU108は、この車両ドア制御装置116との間で信号の送受信が可能である。ここで、車両ドア制御装置116は、ECU108からの信号に基づいて車両ドアをロック(施錠)状態あるいはアンロック(開錠)とすることが可能であるとともに、車両ドアが実際に開かれているかあるいは実際に閉じられているか、すなわち車両ドアの実際の開閉状態について、各別に検出することが可能である。
また、車両側装置100は、重量センサ(検出手段)118を有しており、重量センサ118はECU108と接続されている。ECU108は、この重量センサ118のセンサ検出値を受信可能である。ここで、重量センサ118は、車室内の各座席シートの中に埋め込まれており、車室内に搭乗する乗員及び各座席シート上に載置される荷物を検出する。そして、ECU108は、この重量センサ118のセンサ出力値に基づいて、車室内に乗員が搭乗するか否か、及び、各座席シート上に荷物が載置されているか否かを判断する。
なお、本実施の形態では、車室内に搭乗する乗員及び座席シート上に載置される荷物を検出する検出手段として重量センサを採用したが、これに限らない。他に例えば、車室内を撮像する撮像装置を採用し、この撮像装置にて撮像される画像情報に対し適宜の画像処理を行なうことで、車室内に搭乗する乗員及び座席シート上に載置される荷物を検出することとしてもよい。要は、車室内に搭乗する乗員及び座席シート上に載置される荷物を検出することが可能であれば、その検出原理及び検出手段は任意である。
また、車両側装置100は車両のユーザに警報する適宜の警報機120を有しており、この警報機120はECU108と接続されている。ECU108は、この警報機120に警報信号を送信することが可能であり、警報機120は、ECU108からの警報信号に基づいて、車両のユーザに対し例えば音声にて警報内容を出力する。
次に、電子キー200の構成について説明する。図1に示されるように、電子キー200は、受信部202、送信部204、ECU206、アンロックスイッチ208、ロックスイッチ210、電極212を有して構成されている。
このうち、受信部202は、車室内発信機102及び車室外発信機104から送信される送信要求信号を受信し、この受信した送信要求信号をECU206に出力する。アンロックスイッチ208は、ユーザが開錠信号の送信を指示する際に操作するスイッチである。
ロックスイッチ210は、ユーザが施錠信号の送信を指示する際に操作するスイッチである。これらアンロックスイッチ208及びロックスイッチ210は、ユーザによって操作されると、操作された旨を示す信号をECU206に出力する。
また、ECU206は、受信部202から送信要求信号が供給されると、当該電子キー200のIDコードを含む応答信号を生成して送信部204に出力し(無線双方向通信、いわゆるスマート)、アンロックスイッチ208から信号が入力されると、アンロック操作が行われた旨を示す開錠信号を送信部204に出力し(無線単方向通信、いわゆるワイヤレス)、ロックスイッチ210から信号が入力されると、ロック操作が行われた旨を示す施錠信号を送信部204に出力する(無線単方向通信、いわゆるワイヤレス)。そして、送信部204は、ECU206から供給される各種信号を送信する。
以下、車両側人体通信部を構成する受信機106及び電極122、並びに、携帯機側人体通信部を構成する送信部204及び電極212について説明する。
公知のように、人体通信には、ユーザが送信側の電極及び受信側の電極の両方に触れることでそのユーザの人体表面に微弱な電流を流し、この電流に基づいて通信を行なういわゆる電流方式、ユーザの人体に電界を誘起するための送信側の電極及びユーザの人体に誘起された電界を検出するための受信側の電極を有する電界方式等々がある。本実施の形態では、電界式による人体通信を採用しており、ユーザが電子キー200を例えばポケットに入れて携帯することを想定している。
詳しくは、車両側装置100は、車両側人体通信部として、受信機106及び電極122を備える。このうち、電極122は、例えばアウターハンドル及びインナーハンドルに配置されており、車両のユーザが車両ドアのアウターハンドルに触れると、同時に、そのユーザは電極122にも触れるようになっている。また、車両のユーザが車両ドアのインナーハンドルに触れると、同時に、そのユーザは電極122に触れるようになっている。また、電極122は、車両ドアの車室外の表面(車両ドア外板部)にも配置されており、車両のユーザが車両ドア外板部に触れると、同時に、そのユーザは電極122に触れるようになっている。
そして、車両ドアを施錠する操作(ドア施錠操作)を実行すべく、車両のユーザが電子キー200を携帯しつつアウターハンドルを握る(触れる)と、受信機106は、ユーザの人体に誘起されている電界を検出し、電子キー200からIDコードを受信する。また、ドア施錠操作を実行すべく、車両のユーザが電子キー200を携帯しつつ車両ドアの外板部に触れると、受信機106は、ユーザの人体に誘起されている電界を検出し、電子キー200からIDコードを受信する。同様に、車両ドアを開けるべく、車両のユーザが電子キー200を携帯しつつインナーハンドルを握る(触れる)と、受信機106は、ユーザの人体に誘起されている電界を検出し、電子キー200からIDコードを受信する。
電子キー200は、携帯機側人体通信部として、送信部204及び電極212を備える。このうち、電極212は、例えばその表面が絶縁膜等に覆われた状態にて、電子キー200の筐体に配置されている。送信部204は、当該電子キー200がユーザのポケット等に入れられるなどユーザに携帯されると、電極212を用いてユーザの人体に電界を誘起する。
そして、ドア施錠操作を実行すべく、車両のユーザが電子キー200を携帯しつつアウターハンドルを握る(触れる)と、電子キー200の電極212によってユーザの人体に電界が誘起され、車両側装置100の電極122によってこの誘起された電界が検出されることで、電子キー200から車両側装置100へIDコードが送信されることになる。また、ドア施錠操作を実行すべく、車両のユーザが電子キー200を携帯しつつ車両ドアの外板部に触れると、電子キー200の電極212によってユーザの人体に電界が誘起され、車両側装置100の電極122によってこの誘起された電界が検出されることで、電子キー200から車両側装置100へIDコードが送信されることになる。同様に、車両ドアを開けるべく、車両のユーザが電子キー200を携帯しつつインナーハンドルを握る(触れる)と、電子キー200の電極212によってユーザの人体に電界が誘起され、車両側装置100の電極122によってこの誘起された電界が検出されることで、電子キー200から車両側装置100へIDコードが送信されることになる。
以下、オートロックシステム1の動作について、図2を参照しつつ説明する。なお、図2は、オートロックシステム1によって実行されるオートロック処理の処理手順を示すフローチャートである。
このオートロック処理が実行開始されると、ECU108は、まず、ステップS1の判断処理として、ユーザが電子キー200を携帯しつつインナーハンドルにてドアを開けたか否かを判断する。ここで、例えばユーザが電子キー200を携帯することなくインナーハンドルにてドアを開けなかった場合(ステップS1の判断処理で「No」)、ECU108は、このステップS1の判断処理を再度実行する。すなわち、ECU108は、ユーザが電子キー200を携帯しつつインナーハンドルにてドアを開けるまで、ステップS1の判断処理を繰り返し実行する。
このステップS1の判断処理において、ユーザが電子キー200を携帯しつつインナーハンドルにてドアを開けたと判断されると(ステップS1の判断処理で「Yes」)、ECU108は、続くステップS3の処理として、人体通信(車室内)を実行し、さらに続くステップS5の判断処理として、照合が成立するか否かを判断する。詳しくは、ECU108は、ステップS5の判断処理として、電子キー200から人体通信にて送信されてきたIDコードがメモリ112に予め記憶保持されている(登録された)IDコードと一致するか否かを判断する。なお、このステップS3の処理及びステップS5の判断処理が特許請求の範囲に記載した第2照合手段に相当する。
これらIDコードが一致しない場合、ユーザは、電子キー200を携帯してはいるものの、正規の電子キー200を携帯していないことを意味する。そのため、ECU108は、照合が不成立であると判断する(ステップS5の判断処理で「No」)。そして、ECU108は、続くステップS7の処理として、上記警報機120によってその旨を示す警報を実行し、このオートロック処理を一旦終了する。これにより、ユーザは、ドアを開けるときに正規の電子キー200を携帯していなければ警報されることになる。そのため、ユーザが正規の電子キー200を車室内へ置き忘れたまま車室内から車室外へ出ることを低減することができるようになる。
一方、IDコードが一致する場合、ユーザは正規の電子キー200を携帯していることを意味する。そのため、ECU108は、照合が成立したと判断し(ステップS5の判断処理で「Yes」)、続くステップS9の判断処理として、エンジンが停止中か否かを判断する。
上記ステップS9の判断処理において、エンジンが停止中であると判断されない場合(ステップS9の判断処理で「No」)、エンジンが駆動中であるにもかかわらず、ユーザが正規の電子キー200を携帯しつつ、車室内から車室外へ出ようとしていることを意味する。そのため、ECU108は、続くステップS11の判断処理として、上記警報機120によってその旨を示す警報を実行し、このオートロック処理を一旦終了する。これにより、車両のエンジンが駆動中であるにもかかわらず、ユーザが正規の電子キー200を車室外へ持ち出すことを低減することができるようになる。
また、上記ステップS9の判断処理において、エンジンが停止中であると判断される場合(ステップS9の判断処理で「Yes」)、ECU108は、続くステップS13の判断処理として、ドア施錠操作が実行されたか否か、すなわち、ユーザが電子キー200を携帯しつつアウターハンドルを握った(触れた)か否かを判断する。なお、ECU108は、このステップS13の判断処理において、ユーザが電子キー200を携帯しつつ車両ドアの外板部に触れたか否かも判断する。ここで、例えばユーザが電子キー200を携帯することなくアウターハンドルを握った場合や、ユーザが電子キー200を携帯することなく車両ドアの外板部に触れた場合等、ドア施錠操作が実行されていないと判断される場合(ステップS9の判断処理で「No」)、ECU108は、このステップS9の判断処理を再度実行する。すなわち、ECU108は、ユーザが電子キー200を携帯しつつアウターハンドルを握るまで、あるいは、ユーザが電子キー200を携帯しつつ車両ドアの外板部に触れるまで、ステップS9の判断処理を繰り返し実行する。
ここで、ユーザが電子キー200を携帯しつつアウターハンドルを握ったと判断されると、あるいは、ユーザが電子キー200を携帯しつつ車両ドアの外板部に触れたと判断されると(ステップS9の判断処理で「Yes」)、電子キー200と車両側装置との間で人体通信が可能である。そのため、ECU108は、続くステップS15の処理として、人体通信(車室外)を実行するとともに、さらに続くステップS17の判断処理として、照合が成立するか否かを判断する。詳しくは、ECU108は、先のステップS5の判断処理と同様に、ステップS17の判断処理として、電子キー200から人体通信にて送信されてきたIDコードがメモリ112に予め記憶保持されている(登録された)IDコードと一致するか否かを判断する。なお、これらステップS15の処理及びステップS17の判断処理が特許請求の範囲に記載の第1照合手段に相当する。
これらIDコードが一致しない場合、ユーザは正規の電子キー200を携帯していない状態で車室外にいることを意味する。そのため、ECU108は、人体通信(車室外)による照合が不成立であると判断し(ステップS17の判断処理で「No」)、車両ドアを施錠することなく、このオートロック処理を一旦終了する。
一方、IDコードが一致する場合、ユーザは正規の電子キー200を携帯した状態で車室外にいることを意味する。そのため、ECU108は、人体通信(車室外)による照合が成立したと判断し(ステップS17の判断処理で「Yes」)、続くステップS19の判断処理として、車室内検知を実行する。詳しくは、ECU108は、上記重量センサ118のセンサ出力値に基づいて、車室内に乗員が搭乗しているか否か(すなわち、正規の電子キー200を携帯していない乗員)、及び、各座席シート上に荷物が載置されているか否かを判断する。
ここで、車室内に乗員が搭乗しておらず、各座席シート上にも荷物が載置されていないと判断される場合(ステップS19の判断処理で「No」)、車室内の乗員が車室外へ出るべく車両ドアを開けたり、正規の電子キー200を携帯したユーザが荷物を取るべく車両ドアを再び開けたりする可能性は低いため、ECU108は、続くステップS21の処理として、車両ドアを全て自動的に施錠する。
一方、車室内に乗員が搭乗している、あるいは、各座席シート上に荷物が載置されていると判断される場合(ステップS19の判断処理で「Yes」)、車室内の乗員が車室外へ出るべく車両ドアを開けたり、あるいは、正規の電子キー200を携帯したユーザが荷物を取るべく車両ドアを再び開けたりする可能性は高い。そのため、ECU108は、続くステップS23の処理に移行する。
ECU108は、続くステップS23の処理として、無線双方向通信による上記車室外照合を実行し、さらに、続くステップS25の判断処理として、車室外照合が成立から不成立となったか否かを判断する。すなわち、ECU108は、車室外発信機104によって形成される車室外検知エリア内に正規の電子キー200が検知されるか否かを判断する。
ここで、車室外検知エリア内に正規の電子キー200が検知される場合、すなわち、車室外照合が成立から不成立とならない場合(ステップS25の判断処理で「No」)、正規の電子キー200を携帯するユーザが車室外検知エリア内にいることを意味する。この場合、車室内に他の乗員が搭乗している、あるいは、各座席シート上に荷物が載置されていることから、車両ドアを再び開ける可能性が高い。したがって、車両ドアを全て施錠することなく、再度、ステップS23の判断処理を実行する。
一方、車室外検知エリア内に正規の電子キー200が検知されない場合、すなわち、車室外照合が成立から不成立となった場合(ステップS25の判断処理で「Yes」)、正規の電子キー200を携帯するユーザが車室外検知エリア外に移動したことを意味する。この場合、たとえ、車室内に他の乗員がいたとしても、あるいは、各座席シート上に荷物が載置されていたとしても、そのユーザが車両ドアを再び開ける可能性は低い。したがって、ECU108は、続くステップS21の処理として、車両ドアを全て施錠し、このオートロック処理を一旦終了する。
なお、上記ステップS23の処理及びステップS25の判断処理が特許請求の範囲に記載の第3照合手段に相当しており、これらステップS23の処理及びステップS25の判断処理を所定周期にて繰り返し実行している。
以上説明したように、本実施の形態のオートロックシステム1では、ドア施錠操作のために電子キー200を携帯したユーザが車両ドアのアウターハンドルに触れることで、または、車両ドアを閉じるために車両ドア外板部に電子キー200を携帯したユーザが触れることで、車両側装置100と電子キー200との間で人体通信が可能となったときに、車両側装置100は電子キー200からIDコードを取得する。そして、車両側装置100は、この取得したIDコードがメモリ112に予め記憶保持されているIDコードと一致するか否かを判断し、電子キー200の照合が成立すると、車両ドアを全て施錠することとした。これにより、電子キー200の照合が確実に行なわれ、車両ドアを確実に施錠することができるようになる。また、この照合が成立する場合とは、ドア施錠操作時に車両のユーザが電子キー200を携帯しており、電子キー200が車室外に持ち出されていることを意味する。そのため、電子キー200が車室内に閉じ込められることが防止される。
なお、本発明に係るオートロックシステムは、上記実施の形態にて例示した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々に変形して実施することが可能である。すなわち、上記実施の形態を適宜変更した例えば次の形態として実施することもできる。
上記実施の形態では、車両側装置100は、人体通信(車室内)による電子キー200の照合が成立し(ステップS5の判断処理)、エンジンが駆動中であると判断される場合(ステップS9の判断処理)、上記警報機120によってキー持ち出し警報(ステップS11の処理)を実行していたが、これに限らない。上記警報機120によってキー持ち出し警報を実行することなく、オートロック処理を一旦終了してもよい。すなわち、ステップS11の処理を割愛してもよい。
上記実施の形態では、車両側装置100は、人体通信(車室内)による電子キー200の照合が成立した場合(ステップS5の判断処理)、エンジンが駆動中であるか停止中であるかの判断(ステップS9の判断処理)をさらに実行していたが、これに限らない。エンジンが駆動中であるか停止中であるかの判断自体を行なうことなく、続くステップS13の判断処理に移行してもよい。すなわち、ステップS9の判断処理及びステップS11の処理を両方とも割愛してもよい。
上記実施の形態では、車両側装置100は、人体通信(車室内)による電子キー200の照合が不成立であった場合(ステップS5の判断処理)、上記警報機120によってキー忘れ警報を実行していたが、これに限らない。上記警報機120によってキー忘れ警報を実行することなく、オートロック処理を一旦終了してもよい。すなわち、ステップS7の処理を割愛してもよい。
上記実施の形態では、車両側装置100は、人体通信(車室外)による電子キー200の照合が成立した場合(ステップS17の判断処理)、重量センサ118のセンサ出力値に基づく室内検知(ステップS19の判断処理)を実行していたが、これに限らない。重量センサ118のセンサ出力値に基づく車室内検知を実行することなく、無線双方向通信による電子キー200の車室外照合(ステップS23の処理)を行なってもよい。この場合、ステップS19の判断処理を割愛するため、重量センサ118を備えなくともよい。
上記実施の形態では、車両側装置100は、無線双方向通信による電子キー200の車室外照合が成立から不成立となるまで待機し(ステップS23の処理及びステップS25の判断処理)、成立から不成立となると、続くステップS21の処理として車両ドアを全てロックしていたが、これに限らない。車両側制御装置100は、これら処理に代えて、無線双方向通信による電子キー200の車室外照合が不成立である場合、続くステップS21の処理として車両ドアを全てロックしてもよい。また他にも、車両側装置100は、無線双方向通信による電子キー200の車室外照合が所定期間内に一度も成立しない場合、警報機120によって警報することとしてもよい。
上記実施の形態では、車両側装置100は、ユーザが電子キー200を携帯しつつインナーハンドルにてドアを開けたか否かの判断が成立した場合(ステップS1の判断処理)、人体通信(車室内)による電子キー200の照合を実行していたが、これに限らない。人体通信(車室内)による電子キー200の照合を実行することなく、人体通信(車室外)による電子キー200の照合を実行することとしてもよい。すなわち、ステップS1の判断処理〜ステップS5の判断処理を割愛してもよい。
あるいは、図2に対応する図として図3に示すように、車両側装置100は、人体通信(車室内)による電子キー200の照合、及び、人体通信(車室外)による電子キー200の照合の双方とも実行する。そして、車両側装置100は、続くステップS17aの判断処理として、これら照合のどちらか一方が成立したと判断される場合(ステップS17aで「Yes」)、続くステップS21の処理として、車両ドアを全て施錠し、このオートロック処理を一旦終了する一方、これら照合のどちらも成立しないと判断される場合(ステップS17aで「No」)、そのまま、このオートロック処理を一旦終了することとしてもよい。
なお、先の図3に示すように、無線双方向通信による電子キー200の車室外照合を割愛してもよい。この場合、車室内発信機102及び車室外発信機104、並びに、受信機106のうち無線双方向通信機能に係る部分を車両側装置100から割愛してもよく、同様に、受信部202及び送信部204のうち無線双方向通信機能に係る部分を、電子キー200から割愛してもよい。
上記実施の形態では、車両側装置100を構成する車室内発信機102及び受信機106は、人体通信機能に係る部分及び無線双方向機能に係る部分を双方とも有していたが、これらを機能別に分離した構成としてもよい。同様に、電子キー200を構成する受信部202及び送信部204は、人体通信機能に係る部分及び無線双方向機能に係る部分を双方とも有していたが、これらを機能別に分離した構成としてもよい。
上記実施の形態では、車両側装置100は、人体通信(車室内)による電子キー200の照合を実行することなく、人体通信(車室外)による電子キー200の照合を行なってもよい。すなわち、ステップS1の判断処理、ステップS3の処理、及びステップS5の判断処理を割愛してもよい。
1…オートロックシステム、100…車両側装置、102…車室内発信機、104…車室外発信機、106…受信機、108…ECU、110…CPU、112…メモリ、114…タッチセンサ、116…車両ドア制御装置、118…着座センサ、120…警報機(警報手段)、122…電極(人体通信部)、200…電子キー(携帯機)、202…受信部、204…送信部、206…ECU、208…アンロックスイッチ、210…ロックスイッチ、212…電極(人体通信部)。