JP5077112B2 - オートロックシステム - Google Patents

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Description

本発明は、車両ドアをアンロックした後、複数の車両ドアのいずれも開けられることなく一定時間を経過すると、複数の車両ドアを全て施錠するオートロックシステムに関する。
従来、例えば特許文献1に記載のいわゆるワイヤレスリモートコントロールシステムが知られている。この文献に記載の技術では、電子キー(携帯機)に設けられたアンロックスイッチが操作される(第1アンロック操作)と、電子キーから車両へIDコード信号が無線単方向通信により送信され、車両ドアがアンロック(開錠)される。そして、複数の車両ドアのいずれも開けられることなく一定時間放置された場合、車両ドアが全て自動的にロック(施錠)される(計時オートロック機能)。これにより、車両ドアが開錠された状態で車両が放置されないようにし、車両の盗難防止を図っている。
こうした計時オートロック機能は、電子キーと車両との間で無線双方向通信を行ういわゆるスマートエントリーシステムにも適用されている。すなわち、ドアアウトサイドハンドルに設けられたタッチセンサに触れるという第2アンロック操作をユーザが行ない、且つ、電子キーと車両との間における無線双方向通信による車室外照合が成立したことに基づいてドアがアンロックされた場合にも、複数の車両ドアのいずれも開けられることなく一定時間放置された場合、車両ドアが全て自動的にロックされるようになっている。
特開昭62−253884号公報
ところで、上記ワイヤレスリモートコントロールシステムでは、上記計時オートロック機能に起因して、携帯機が車室内に閉じ込められてしまうことがある。
具体的には、例えば携帯機を各自携帯する車両のユーザが2名いるとする。そして、一方のユーザが自己の携帯機を車室内においたまま車両から離れ、他方のユーザが自己の携帯機にてアンロック操作後、そのまま車両から離れたとする。すると、後者のユーザによるアンロック操作後に車両ドアが開かれていないため、一定時間経過後に車両ドアが全て施錠されてしまい、前者のユーザの携帯機は車室内に閉じ込められてしまう。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、セキュリティ性を低下させることなく、携帯機の車室内への閉じ込みをより低減することのできるオートロックシステムを提供することにある。
こうした目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、アンロックスイッチを有し、このアンロックスイッチが押されたことに基づいて、車両が有する複数の車両ドアのうち所定の車両ドアを開錠することを指示する開錠信号を車両に向けて無線送信する携帯機と、前記複数の車両ドアの開閉状態を各別に検出するドア開閉状態検出手段と、前記開錠信号を受信した場合、前記複数の車両ドアのうち所定の車両ドアを開錠するための第1アンロック操作がされたと判断するアンロック操作判断部と、前記アンロック操作判断部によって第1アンロック操作がされたと最後に判断された時点を起点とする経過時間を計測する経過時間計測部と、前記アンロック操作判断部によって第1アンロック操作がされたと判断されたことに基づいて第1アンロック操作に対応する所定の車両ドアをアンロックするアンロック実行部と、そのアンロック実行部によって車両ドアがアンロックされた後、前記ドア開閉状態検出手段によって前記複数の車両ドアのいずれも開かれたことが検出されることなく、前記経過時間計測部によって計測される前記経過時間が所定時間を上回ると判断された場合には、前記複数の車両ドアを全て施錠する計時オートロックを実行するオートロック実行部とを備えるオートロックシステムであって、前記アンロック操作判断部によって第1アンロック操作がされたと判断された時点における、前記複数の車両ドアの施錠状態を記憶保持する記憶保持部を備え、前記オートロック実行部は、前記記憶保持部に記憶保持されている前記複数の車両ドアの施錠状態に基づいて、第1アンロック操作がされた時に前記複数の車両ドアが全て施錠されていたと判断する場合には前記計時オートロックを実行する一方、第1アンロック操作がされた時に前記複数の車両ドアのいずれかが開錠されていたと判断する場合には、前記計時オートロックを実行しないことを特徴とする。
既にいずれかのドアが開錠されている場合、車両に乗り込んだり、車室内の荷物を取る必要がある場合でも、その既に開錠されているドアを開ければよいので、別途、第1アンロック操作を行なう必要性が低い。従って、既にいずれかのドアが開錠されている状態で第1アンロック操作がされたと判定される場合、誤判定あるいは誤操作の可能性が高い。しかも、いずれかのドアが開錠されているので、そのドアを開けて携帯機を車室内に一時的に置いている可能性もある。そこで、オートロックシステムとしての上記構成では、第1アンロック操作がされた時にいずれかの車両ドアが開錠されている場合には計時オートロックを実行しないようにしている。そのため、携帯機の車室内への閉じ込みを低減できる。
一方、第1アンロック操作が行われる通常のケース、すなわち、複数の車両ドアが全て施錠されている状態で第1アンロック操作がされた場合、従来どおり、計時オートロックを実行する。従って、セキュリティ性が低下することも防止できる。
また、上記請求項1に記載のオートロックシステムにおいて、請求項2に記載の発明では、前記携帯機と前記車両との間における無線双方向通信を行なって、前記車両の外側の所定範囲に予め登録された携帯機があるか否かを判定する車室外照合を行なう車室外照合手段と、車両ドアの車室外側に設けられ、ユーザに触れられたことを検出し、その旨を示す接触信号を送信するタッチセンサとをさらに備え、前記アンロック操作判断部は、前記接触信号を受信した場合、前記複数の車両ドアのうち所定の車両ドアを開錠するための第2アンロック操作がされたと判断し、前記経過時間計測部は、前記アンロック操作判断部によって、第1アンロック操作及び第2アンロック操作のいずれか一方がされたと最後に判断された時点を起点とする経過時間を計測し、前記アンロック実行部は、前記アンロック操作判断部によって第1アンロック操作がされたと判断されたこと、及び、前記アンロック操作判断部によって第2アンロック操作がされたと判断され、且つ、前記車室外照合手段によって車両の外側の所定範囲に予め登録された携帯機があると判定されたことのいずれか一方に基づいて、対応する所定の車両ドアをアンロックし、前記記憶保持部は、前記アンロック操作判断部によって第1アンロック操作及び第2アンロック操作のいずれか一方がされたと判断された時点における、前記複数の車両ドアの施錠状態を記憶保持し、前記オートロック実行部は、前記記憶保持部に記憶保持されている前記複数の車両ドアの施錠状態に基づいて、第1アンロック操作及び第2アンロック操作のいずれか一方がされた時に前記複数の車両ドアが全て施錠されていたと判断する場合には前記計時オートロックを実行する一方、第1アンロック操作及び第2アンロック操作のいずれかがされた時に前記複数の車両ドアのいずれかが開錠されていたと判断する場合には、前記計時オートロックを実行しないことを特徴とする。
上記請求項1に記載の構成と同様に、既にいずれかのドアが開錠されている場合、車両に乗り込んだり、車室内の荷物を取る必要がある場合でも、その既に開錠されているドアを開ければよいので、別途、第1アンロック操作または第2アンロック操作を行なう必要性が低い。従って、既にいずれかのドアが開錠されている状態で第1アンロック操作または第2アンロック操作がされたと判定される場合、誤判定あるいは誤操作の可能性が高い。しかも、いずれかのドアが開錠されているので、そのドアを開けて携帯機を車室内に一時的に置いている可能性もある。そこで、オートロックシステムとしての上記構成では、第1アンロック操作または第2アンロック操作がされた時にいずれかの車両ドアが開錠されている場合には計時オートロックを実行しないようにしている。そのため、携帯機の車室内への閉じ込みを低減できる。
一方、第1アンロック操作または第2アンロック操作が行われる通常のケース、すなわち、複数の車両ドアが全て施錠されている状態で第1アンロック操作あるいは第2アンロック操作がされた場合、従来どおり、計時オートロックを実行する。従って、セキュリティ性が低下することも防止できる。
上記請求項2に記載のオートロックシステムにおいて、請求項3に記載の発明では、前記車両の車室内に前記携帯機があるか否かを判定する車室内照合手段をさらに備え、前記オートロック実行部は、第2アンロック操作が行なわれた時に前記複数の車両ドアのいずれかが開錠されていたと判断される場合、前記車室内照合手段によって前記携帯機が前記車室内にあるか否かを判定させ、前記携帯機が車室内にあると判定された場合には前記計時オートロックを実行しない一方、前記携帯機が車室内にないと判定された場合には前記計時オートロックを実行することを特徴とする。
第2アンロック操作がされた時に車両ドアのいずれかが開錠されていたと判断する場合には、携帯機が車室内にある可能性がある。そこで、車室内照合手段によって携帯機が車室内にあるか否かを判定する。そして、携帯機が車室内にあると判定された場合には計時オートロックを実行しない一方、携帯機が車室内にないと判定された場合には計時オートロックを実行するため、携帯機の車室内への閉じ込みを低減しつつ、セキュリティ性の低下を一層防止できる。
また、請求項1〜3のいずれか一項に記載の構成において、請求項4に記載の発明では、前記オートロック実行部は、前記アンロック実行部が前記開錠信号に基づいてアンロックを行なった場合には、前記複数の車両ドアの施錠状態にかかわらず、前記計時オートロックを実行することを特徴とする。
携帯機のアンロックスイッチが押されることによって開錠信号が送信されてアンロックを行った場合には、携帯機は車両のユーザに所持されていると言える。そこで、オートロックシステムとしてのこのような構成では、アンロック実行部が開錠信号に基づいてアンロックを行なった場合には車両ドアの状態にかかわらず、計時オートロックを実行する。これにより、携帯機の車室内への閉じ込みを低減しつつ、セキュリティ性の低下を一層防止できる。
以下、本発明に係るオートロックシステムの一実施の形態について、図1及び図2を参照しつつ説明する。なお、図1は、本実施の形態のオートロックシステム1について、その全体構成を示すブロック図である。本実施の形態のオートロックシステム1は、電子キー200と車両側装置100との間の無線双方向通信を利用した、いわゆるスマートエントリーシステムとして具体化されている。
図1に示されるように、本実施の形態のオートロックシステム1は、車両(図示略)に搭載される車両側装置100及び電子キー(携帯機)200を有して構成されている。はじめに、車両側装置100の構成及び機能について説明する。
車両側装置100は、車室内発信機102及び車室外発信機104を有している。車室内発信機102は、たとえば、車室内の前席と後席との間に設けられ、車室内を含むように電子キー200を検知する検知エリアを形成する。
車室外発信機104は、図示の便宜上、図1には単一の発信機として図示されているが、例えば「3[個]」の車室外発信機によって構成されている。すなわち、車室外発信機104は、右フロントドア(以下、D席ドアとも記載)と右リアドア(以下、DR席ドアとも記載)との間に設けられて、D席ドア及びDR席ドアの右側方(車幅方向の車両外側)に検知エリアを形成する車室外発信機と、左フロントドア(以下、P席ドアとも記載)と左リアドア(以下、PR席ドアとも記載)との間に設けられて、P席ドア及びPR席ドアの左側方(車幅方向の車両外側)に検知エリアを形成する車室外発信機と、ラゲージドアまたはその近辺に設けられて、ラゲージドアの後方に検知エリアを形成する車室外発信機によって構成されている。ちなみに、これら検知エリアは、たとえば各車室外発信機を中心とする半径「0.7〜1.0m」程度とされる。
また、図1に示されるように、車両側装置100はECU108を有している。このECU108は、CPU110及びメモリ112等を備えたコンピュータであり、メモリ112等に予め記憶保持されたプログラムに従って種々の処理を実行する。
例えばCPU110はメモリ112等に予め記憶保持されたプログラムに従って、次のような処理を行う。すなわち、CPU110は、車両が駐車されている場合であって車両ドアの施錠(ロック)時に、「0.3[秒]程度」の短い時間に設定された所定周期毎に、車室外発信機104に送信要求信号を出力する。送信要求信号が供給されると、車室外発信機104は、その送信要求信号を検知エリアに送信する。この車室外発信機104による送信要求信号の送信時に電子キー200が検知エリア内にある場合、IDコードが含まれる応答信号がその電子キー200から返信される(無線双方向通信)。
図1に示されるように、車両側装置100は受信機106を有している。この受信機106は、車両内部の所定位置に設置されており、電子キー200から上述のように返信される上記応答信号を受信する。また、受信機106は、電子キー200から送信される後述の開錠信号や施錠信号等も受信する(無線単方向通信)。そして、受信機106は、上記応答信号や開錠信号、施錠信号等、受信した信号をECU108に出力する。
ECU108(詳しくはCPU110)は、異なる時点において順番に、車室内発信機102及び車室外発信機104に送信要求信号を出力する。そのため、CPU110は、上記応答信号が供給される時期を判断することにより、その応答信号がどの検知エリアから送信されたものであるか決定することが可能である。すなわち、CPU110は、電子キー200がどの検知エリアに存在するか決定することが可能であり、そのため、電子キー200の所在が車室内であるか車室外であるか決定することが可能である。
既述したように、CPU110に供給される上記応答信号には、この応答信号を返信した電子キー200のIDコードが含まれている。そのため、CPU110は、応答信号を返信した電子キー200を照合することが可能である。既述したように、電子キー200の所在も決定することができるため、CPU110は、電子キー200の車室外照合及び車室内照合を実行することが可能である。
また、図1に示されるように、車両側装置100はタッチセンサ114を有している。このタッチセンサ114は、ユーザが座席に対して乗降するための車両ドア(D席ドア、P席ドア、DR席ドア、PR席ドア等)のドアアウトサイドハンドル(図示略)にそれぞれ設けられており、そのハンドルに車両の搭乗者が触れたことを検知して、その旨を示す接触信号をECU108に供給する。
また、図1に示されるように、ECU108は、ドアロック機構116と接続されている。ECU108は、このドアロック機構116との間でも信号の送受信が可能である。ここで、ドアロック機構116は、ECU108からの信号に基づいて車両ドアをロック(施錠)状態あるいはアンロック(開錠)とすることが可能であるとともに、実際に車両ドアが開かれているかあるいは閉じられているか(すなわち車両ドアの実際の開閉状態)について、各別に検出することが可能である。ドアロック機構116が特許請求の範囲に記載のドア開閉状態検出手段に相当する。
次に、電子キー200の構成について説明する。図1に示されるように、電子キー200は、受信部202、送信部204、ECU206、アンロックスイッチ208、ロックスイッチ210を有して構成されている。
このうち、受信部202は、車室内発信機102及び車室外発信機104から送信される送信要求信号を受信し、この受信した送信要求信号をECU206に出力する。アンロックスイッチ208は、ユーザが開錠信号の送信を指示する際に操作するスイッチである。
ロックスイッチ210は、ユーザが施錠信号の送信を指示する際に操作するスイッチである。これらアンロックスイッチ208及びロックスイッチ210は、ユーザによって操作されると、操作された旨を示す信号をECU206に出力する。
また、ECU206は、受信部202から送信要求信号が供給されると、当該電子キー200のIDコードを含む応答信号を生成して送信部204に出力し(無線双方向通信、いわゆるスマート)、アンロックスイッチ208から信号が入力されると、アンロック操作が行われた旨を示す開錠信号を送信部204に出力し(無線単方向通信、いわゆるワイヤレス)、ロックスイッチ210から信号が入力されると、ロック操作が行われた旨を示す施錠信号を送信部204に出力する(無線単方向通信、いわゆるワイヤレス)。そして、送信部204は、ECU206から供給される各種信号を送信する。
以上の説明を踏まえ、ECU108についてさらに説明する。ECU108(詳しくはCPU110)は、電子キー200が検出された検出エリアのドアアウトサイドハンドルに車両の搭乗者が触れた旨を示す接触信号をタッチセンサ114から受信するか否かを判断する。なお、ECU108は、接触信号を受信した場合、第2アンロック操作がされたと判断する。従って、ECU108が特許請求の範囲に記載のアンロック操作判断部に相当する。また、ECU108は、電子キー200との間における上記無線双方向通信によって車室外照合が成立するか否かも判断する。ここで、タッチセンサ114から上記接触信号を受信し、且つ、電子キー200の車室外照合が成立すると、ECU108は、複数の車両ドアのうちの所定の車両ドアをドアロック機構116によってアンロック(開錠)する。
また、ECU108(詳しくはCPU110)は、受信機106で受信した信号が上記開錠信号である場合、第1アンロック操作がされたと判断し、複数の車両ドアのうちの所定の車両ドアをドアロック機構116によってアンロック(開錠)する。また、受信機106で受信した信号が上記施錠信号である場合、ECU108は、複数の車両ドアのうちの所定の車両ドアをドアロック機構116によってロック(施錠)する。
また、ECU108(詳しくはCPU110)は、車室外照合が成立してアンロックを行なった場合、そのときの車両ドアの施錠状態をメモリ112に記憶保持する。このメモリ112が特許請求の範囲に記載の記憶保持部に相当する。なお、本実施の形態では、記憶保持部としてメモリ112を採用したがこれに限らない。他にもハードディスクドライブ装置等を採用することができる。また、ECU108は、アンロックを行なった場合には、アンロックを行った時を起点とする経過時間を計測する。
そして、ドアロック機構116によって車両ドアのいずれも開かれたことが検出されることなく、経過時間が所定時間(例えば「30[秒]」)を上回ることが判断された場合であって、メモリ112に記憶保持されている車両ドアの施錠状態に基づいて、第1アンロック操作または第2アンロック操作が行われた時に車両ドアが全て施錠されていたと判断する場合には、ドアロック機構116によって車両ドアを全て施錠する。
一方、CPU110は、ドアロック機構116によって車両ドアのいずれも開かれたことが検出されることなく、経過時間が所定時間(例えば「30[秒]」)を上回ることが判断された場合であっても、メモリ112に記憶保持されている車両ドアの施錠状態に基づいて、無線双方向通信によるアンロック操作(第2アンロック操作)の実行時に車両ドアのいずれかが開錠されていたと判断する場合には、さらに、次の判断を行なう。
すなわち、さらに、電子キー200が車室内照合を行って電子キー200が車室内にあるか否かを判断する。そして、電子キー200が車室内にないと判断する場合には、ドアロック機構116を制御することで車両ドアを全て施錠する。しかしながら、CPU110は、電子キー200が車室内にあると判断する場合にはアンロックを行なわない。
ところで、従来のオートロックシステム、すなわち、第1アンロック操作後、車両ドアのいずれも開かれることなく所定時間が経過した場合に自動的に全てのドアをロックするようになっているワイヤレスエントリーシステムでは、電子キーが車室内に閉じ込められてしまうことがある。
具体的には、例えば電子キー200を各自携帯する車両のユーザが2名いるとする。そして、一方のユーザが自己の電子キー200を車室内においたまま車両から離れ、他方のユーザが自己の電子キー200にてアンロック操作をした後にそのまま車両から離れたとする。すると、後者のユーザによるアンロック操作後に車両ドアが開かれていないため、一定時間経過後に車両ドアが全て施錠されてしまい、前者のユーザの電子キー200は車室内に閉じ込められてしまう。
以下、こうした課題を解決するオートロックシステム1の動作について、図2を参照しつつ説明する。なお、図2は、オートロックシステム1によって実行されるオートロック処理の処理手順を示すフローチャートである。
このオートロック処理が実行開始されると、ECU108は、まず、ステップS1の判断処理として、車両ドアの第1アンロック操作及び車両ドアの第2アンロック操作のいずれかがされたか否かを判断する。すなわち、タッチセンサ114から接触信号を受信したか否か、及び、電子キー200から開錠信号を受信したか否かを判断する。ここで、第1アンロック操作も、第2アンロック操作も、両方とも行わていないと判断される場合(ステップS1の判断処理で「No」)、ECU108は、ステップS1の判断処理を再度実行する。要は、ECU108は、第1アンロック操作及び第2アンロック操作のどちらかが実行されるまで待機しており、どちらかのアンロック操作がされたと判断される場合(ステップS1の判断処理で「Yes」)、ECU108は、そのアンロック操作に基づいて定まる所定のドアをアンロックした後に、続くステップS2の判断処理を実行する。
ECU108は、続くステップS2の判断処理として、上記ドアロック機構116によって検出される車両ドアの実際の開閉状態に基づいて、車両ドアのいずれかが開けられたか否かを判断する。ここで、車両ドアのいずれかが開かれたと判断される場合(ステップS2の判断処理で「Yes」)、ECU108は、そのままこのオートロック処理を終了する。
一方、上記ステップS2の判断処理において、車両ドアのいずれも開かれていないと判断される場合(ステップS2の判断処理で「No」)、車両ドアがアンロック状態で車両が放置されており、長時間にわたると車両が盗難される可能性が高くなる。そこで、ECU108は、続くステップS3の判断処理として、第1アンロック操作または第2アンロック操作が最後に実行された時点を起点とする経過時間を計測し、その経過時間が一定時間(例えば「30[秒]」)を上回るか否かを判断する。ここで、上記経過時間が一定時間に達していないと判断される場合(ステップS3の判断処理で「No」)、車両ドアがアンロック状態で車両が放置されている時間は短い。そのため、ECU108は、先のステップS2の判断処理及びこのステップS3の判断処理を繰り返し実行することで、車両ドアがアンロック状態で車両が放置されている時間が長時間にわたるか否かを判断する。
ここで、上記経過時間が一定時間を上回ると判断される場合(ステップS3の判断処理で「Yes」)、車両ドアがアンロック状態で車両が放置されている時間が長時間にわたるため、車両が盗難される可能性が高くなり、こうした車両盗難を防止すべく、車両ドアを全て施錠するとよい。ただし、電子キー200の車室内への閉じ込みを防止する必要もある。そこで、ECU108は、続くステップS4の判断処理として、上記アンロック操作がタッチセンサ114へ触れられたという第2アンロック操作か、電子キー200のアンロックスイッチ208が押されたという第1アンロック操作かを判断する。前者の場合には、いわゆるスマートシステムにおけるアンロック操作であり、後者の場合にはワイヤレスシステムにおけるアンロック操作である。
ワイヤレスシステムにおけるアンロック操作である場合、電子キー200はユーザに所持されていることになるので、車両ドアを全て施錠したところで電子キー200を車室内へ閉じ込めてしまうことはない。したがって、ECU108は、続くステップS5の処理として、車両ドアを全て施錠し、このオートロック処理を終了する。
一方、先のステップS4の判断処理において、スマートシステムにおけるアンロック操作であると判断した場合、上述した事例のように、電子キー200が車室内にあるにもかかわらず、車室外照合が成立してアンロックが行なわれた可能性もある。この場合において、車両ドアを全て施錠すると、電子キー200を車室内に閉じ込めてしまう。そのため、ECU108は、続くステップS6の判断処理として、アンロック操作時において車両ドアが全て施錠状態であったか否かを判断する。
ここで、車両ドアが全て施錠状態であったと判断される場合(ステップS6の判断処理で「Yes」)、通常のケースであるため、電子キー200が車室内にある可能性は低いと考えられる。そのため、ECU108は、続くステップS5の処理として、セキュリティ性を優先させて車両ドアを全て施錠する。
一方、先のステップS6の判断処理において、車両ドアが全て施錠状態であったと判断されない場合(ステップS6の判断処理で「No」)、車両ドアのいずれかが開錠状態であることを意味する。この場合、上記事例のように、電子キー200が車室内にある可能性もあるため、ECU108は、続くステップS7の処理として、電子キー200の車室内照合を実行し、続くステップS8の判断処理として、電子キー200の車室内照合が成立するか否かを判断する。
ここで、電子キー200の車室内照合が成立すると判断されない場合(ステップS8の判断処理で「No」)、電子キー200は車室外にあることを意味する。そのため、ECU108は続くステップS5の処理として、車両ドアを全て施錠する。このようにオートロックを実行しても、電子キー200が車室外にあることが確認されているため、電子キー200を車室内に閉じ込めるおそれはない。一方、電子キー200の車室内照合が成立すると判断される場合(ステップS8の判断処理で「Yes」)、電子キー200は車室内にあることを意味するため、ECU108はそのままこのオートロック処理を終了する。これにより、電子キー200を車室内に閉じ込めることを確実に低減することができる。
なお、本発明に係るオートロックシステムは、上記実施の形態にて例示した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々に変形して実施することが可能である。すなわち、上記実施の形態を適宜変更した例えば次の形態として実施することもできる。
上記実施の形態では、ECU108は、先の図2に示すように、ステップS4の判断処理として、アンロック操作がスマートによる第2アンロック操作かワイヤレスによる第1アンロック操作かを判断していたが、この判断処理を割愛してもよい。すなわち、図2に対応する図として図3に示す変形例のように、ECU108は、上記ステップS3の判断処理において、上記経過時間が一定時間を上回ると判断される場合、先のステップS6の判断処理に移行してもよい。
また、上記実施の形態では、ECU108は、先の図2または図3に示すように、ステップS7の処理として、電子キー200の車室内照合を実行し、続くステップS8の判断処理として、電子キー200の車室内照合が成立するか否かを判断していたが、これらステップS7の処理及びステップS8の判断処理を割愛してもよい。
具体的には、図4に示す変形例のように、先の図2に示したオートロック処理からステップS7の処理及びステップS8の判断処理を割愛し、ステップS6の判断処理において、車両ドアが全てロックされていないと判断される場合には、そのままこのオートロック処理を終了してもよい。具体的には、ECU108は、上記ステップS3の判断処理において、上記経過時間が一定時間を上回ると判断される場合、ステップS6の判断処理に移行する。このステップS6の判断処理において、車両ドアが全て施錠状態であったと判断される場合、ECU108は、ステップS5の処理として、車両ドアを全て施錠し、このオートロック処理を終了する。一方、ステップS6の判断処理において、車両ドアが全て施錠状態であったと判断されない場合、ECU108は、車両ドアを全て施錠することなく、このオートロック処理を終了することとすれば、セキュリティ性を低下させることなく、携帯機の車室内への閉じ込みをより低減することができる。
また、上記実施の形態では、ワイヤレスシステムとスマートシステムを双方とも備えていたが、スマートシステムを割愛してワイヤレスシステムのみを備えることとしてもよい。すなわち、図1に対応する図として図5に示すように、オートロックシステム1aは、上記受信部202が割愛された電子キー200aと、車室内発信機102及び車室外発信機104が割愛された車両側装置100aから構成されることとしてもよい。
本発明に係るオートロックシステムの一実施の形態について、その全体構成を示すブロック図。 本実施の形態によって実行されるオートロック処理について、その処理手順を示すフローチャート。 本実施の形態によって実行されるオートロック処理の変形例について、その処理手順を示すフローチャート。 本実施の形態によって実行されるオートロック処理の他の変形例について、その処理手順を示すフローチャート。 本発明に係るオートロックシステムの変形例について、その全体構成を示すブロック図。
符号の説明
1、1a…オートロックシステム、100、100a…車両側装置、102…車室内発信機、104…車室外発信機、106…受信機、108…ECU、110…CPU、112…メモリ(記憶保持部)、114…タッチセンサ、116…ボデーECU、118…ドアロック機構(車両ドア開閉状態検出手段)、200、200a…電子キー(携帯機)、202…受信部、204…送信部、206…ECU、208…アンロックスイッチ、210…ロックスイッチ。

Claims (4)

  1. アンロックスイッチを有し、このアンロックスイッチが押されたことに基づいて、車両が有する複数の車両ドアのうち所定の車両ドアを開錠することを指示する開錠信号を車両に向けて無線送信する携帯機と、
    前記複数の車両ドアの開閉状態を各別に検出するドア開閉状態検出手段と、
    前記開錠信号を受信した場合、前記複数の車両ドアのうち所定の車両ドアを開錠するための第1アンロック操作がされたと判断するアンロック操作判断部と、
    前記アンロック操作判断部によって第1アンロック操作がされたと最後に判断された時点を起点とする経過時間を計測する経過時間計測部と、
    前記アンロック操作判断部によって第1アンロック操作がされたと判断されたことに基づいて第1アンロック操作に対応する所定の車両ドアをアンロックするアンロック実行部と、
    そのアンロック実行部によって車両ドアがアンロックされた後、前記ドア開閉状態検出手段によって前記複数の車両ドアのいずれも開かれたことが検出されることなく、前記経過時間計測部によって計測される前記経過時間が所定時間を上回ると判断された場合には、前記複数の車両ドアを全て施錠する計時オートロックを実行するオートロック実行部とを備えるオートロックシステムであって、
    前記アンロック操作判断部によって第1アンロック操作がされたと判断された時点における、前記複数の車両ドアの施錠状態を記憶保持する記憶保持部を備え、
    前記オートロック実行部は、前記記憶保持部に記憶保持されている前記複数の車両ドアの施錠状態に基づいて、第1アンロック操作がされた時に前記複数の車両ドアが全て施錠されていたと判断する場合には前記計時オートロックを実行する一方、第1アンロック操作がされた時に前記複数の車両ドアのいずれかが開錠されていたと判断する場合には、前記計時オートロックを実行しないことを特徴とするオートロックシステム。
  2. 請求項1に記載のオートロックシステムにおいて、
    前記携帯機と前記車両との間における無線双方向通信を行なって、前記車両の外側の所定範囲に予め登録された携帯機があるか否かを判定する車室外照合を行なう車室外照合手段と、
    車両ドアの車室外側に設けられ、ユーザに触れられたことを検出し、その旨を示す接触信号を送信するタッチセンサとをさらに備え、
    前記アンロック操作判断部は、前記接触信号を受信した場合、前記複数の車両ドアのうち所定の車両ドアを開錠するための第2アンロック操作がされたと判断し、
    前記経過時間計測部は、前記アンロック操作判断部によって、第1アンロック操作及び第2アンロック操作のいずれか一方がされたと最後に判断された時点を起点とする経過時間を計測し、
    前記アンロック実行部は、前記アンロック操作判断部によって第1アンロック操作がされたと判断されたこと、及び、前記アンロック操作判断部によって第2アンロック操作がされたと判断され、且つ、前記車室外照合手段によって車両の外側の所定範囲に予め登録された携帯機があると判定されたことのいずれか一方に基づいて、対応する所定の車両ドアをアンロックし、
    前記記憶保持部は、前記アンロック操作判断部によって第1アンロック操作及び第2アンロック操作のいずれか一方がされたと判断された時点における、前記複数の車両ドアの施錠状態を記憶保持し、
    前記オートロック実行部は、前記記憶保持部に記憶保持されている前記複数の車両ドアの施錠状態に基づいて、第1アンロック操作及び第2アンロック操作のいずれか一方がされた時に前記複数の車両ドアが全て施錠されていたと判断する場合には前記計時オートロックを実行する一方、第1アンロック操作及び第2アンロック操作のいずれかがされた時に前記複数の車両ドアのいずれかが開錠されていたと判断する場合には、前記計時オートロックを実行しないことを特徴とするオートロックシステム。
  3. 請求項2に記載のオートロックシステムにおいて、
    前記車両の車室内に前記携帯機があるか否かを判定する車室内照合手段をさらに備え、
    前記オートロック実行部は、第2アンロック操作が行なわれた時に前記複数の車両ドアのいずれかが開錠されていたと判断される場合、前記車室内照合手段によって前記携帯機が前記車室内にあるか否かを判定させ、前記携帯機が車室内にあると判定された場合には前記計時オートロックを実行しない一方、前記携帯機が車室内にないと判定された場合には前記計時オートロックを実行することを特徴とするオートロックシステム。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のオートロックシステムにおいて、
    前記オートロック実行部は、前記アンロック実行部が前記開錠信号に基づいてアンロックを行なった場合には、前記複数の車両ドアの施錠状態にかかわらず、前記計時オートロックを実行することを特徴とするオートロックシステム。
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