JP7419128B2 - 廃液処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、廃液処理方法に関し、より具体的には印刷に用いられた水溶性樹脂を中性水で安全かつ効率よく回収可能な廃液処理方法である。
近年、プラスチックは、容器、包装袋等と極めて多岐にわたる用途で使用されており、それらの多くは機能的な理由から、全く異なる種類のフィルムやアルミ等の無機物、インキ等から構成されている。インキ等の色材を容器等の基材の表面に印刷や印刷加工等することによって形成された印刷層は、容器や包装袋にとって一般消費者に向けた情報伝達や製品の物流管理において無くてはならないものである。
プラスチックは自然界で分解しにくいこと、省資源、経済性等より一部は分別され回収されており、再生加工されて二次製品として利用されている。しかし、再生に際して印刷等が施されたプラスチック製品が混入すると再生製品全体が着色されたり、あるいは部分的に着色されたりすることから、再生製品の着色は商品価値を著しく低下され、再使用できない場合が多い。また、物性的に致命的な欠点を起こす場合がある。このような印刷等が施されたプラスチック製品は、再使用のための回収がされず廃棄されているのが現状である。
印刷等が施されているプラスチックフィルム、プラスチック容器等は再生利用されることは少なく、ほとんど廃棄されている現状に鑑み、印刷されたプラスチックをリサイクルする観点から、プラスチック製品から印刷層を除去する方法が従来から検討されている(例えば、特許文献1)。
特開2001-131484号公報
前記特許文献1に記載の技術ではインク層の除去にアルカリ水溶液を用いる。アルカリ水溶液は人体に対する危険性が高く、取扱に注意を要する。また、印刷物をアルカリ水溶液に浸漬すると基材がアルカリに侵食されるおそれがある。
前記課題に対し、本出願人は、中性水で安全かつ効率よく除去可能でありながら耐水性に優れる印刷物を実現できる印刷用水溶性樹脂、及び印刷プライマー用水溶性樹脂に係る発明について特許出願を行った(特願2019-085036、及び特願2019-119695)。
上記出願に係る印刷用水溶性樹脂を含有する印刷層、及び印刷用プライマー用水溶性樹脂を含有する印刷プライマー層は、中性水で安全かつ効率よく除去可能でありながら耐水性に優れるが、当該印刷層等を除去した際に生じる廃液には当該印刷層等に由来する前記水溶性樹脂が含まれており、廃棄に手間及びコストがかかる。
本発明は、前記実情に鑑み、印刷用水溶性樹脂を含有する印刷層、又は印刷用プライマー用水溶性樹脂を含有する印刷プライマー層(本明細書において、印刷層及び印刷プライマー層を合わせて「表示用被膜」と称する)に由来する水溶性樹脂を含有する廃液から当該水溶性樹脂を回収することによって環境への負荷を低減することができる廃液処理方法を提供する。
また、本発明は、印刷基材及び水溶性樹脂を含有する表示用被膜を有する印刷物から、前記印刷基材と水溶性樹脂を分別し、当該水溶性樹脂を回収することによって環境への負荷を低減することができる水溶性樹脂分別方法を提供する。
本発明は、印刷基材と、水溶性樹脂を含有する表示用被膜と、を有する印刷物から前記表示用被膜を除去する際に生じる廃液から前記水溶性樹脂を回収する廃液処理方法であって、前記廃液に金属塩を添加する工程(i)、前記金属塩が添加された廃液を30℃以上で加熱処理して前記水溶性樹脂を塩析させる工程(ii)、及び塩析した前記水溶性樹脂を前記廃液から回収する工程(iii)を有する廃液処理方法である。
また、本発明は、印刷基材と、水溶性樹脂を含有する表示用被膜と、を有する印刷物を30℃以上の中性水に暴露して前記水溶性樹脂を含有する廃液を得る工程(A)、並びに前記廃液処理方法を構成する工程(i)、工程(ii)、及び工程(iii)を有する水溶性樹脂分別方法である。
本発明によれば、水溶性樹脂を含有する表示用被膜に由来する水溶性樹脂を含有する廃液から当該水溶性樹脂を回収することによって環境への負荷を低減することができる廃液処理方法を提供することができる。
また、本発明によれば、印刷基材、及び水溶性樹脂を含有する表示用被膜を有する印刷物から、前記印刷基材と水溶性樹脂を分別し、当該水溶性樹脂を回収することによって環境への負荷を低減することができる水溶性樹脂分別方法を提供することができる。
<廃液処理方法>
本実施形態の廃液処理方法は、印刷基材と、水溶性樹脂を含有する表示用被膜と、を有する印刷物から前記表示用被膜を除去する際に生じる廃液から前記水溶性樹脂を回収する廃液処理方法であって、前記廃液に金属塩を添加する工程(i)、前記金属塩が添加された廃液を30℃以上で加熱処理して前記水溶性樹脂を塩析させる工程(ii)、及び塩析した前記水溶性樹脂を前記廃液から回収する工程(iii)を有する。本実施形態の廃液処理方法によれば、表示用被膜に由来する水溶性樹脂を含有する廃液から当該水溶性樹脂を回収することによって環境への負荷を低減することができる廃液処理方法を提供することができる。
前記印刷物は、前記印刷基材表面に、水溶性樹脂を含有する表示用皮膜を有する。当該表示用被膜は水溶性樹脂を含有する印刷層、又は水溶性樹脂を含有する印刷プライマー層を有する。
前記印刷層は、前記水溶性樹脂と、インキ等の色材とを含有し、中性水で除去可能なものである。
前記印刷プライマー層は、前記水溶性樹脂を含有し、中性水で除去可能なものである。
〔水溶性樹脂〕
前記水溶性樹脂は、前記樹脂の生成に係る重合を構成する親水基以外の親水性基(以下、単に親水性基とも称する。)を有するモノマーユニットA、及び親水性基を有さないモノマーユニットBを有し、全モノマーユニットの合計に対する前記モノマーユニットAの割合が5~35mol%である。前記印刷層、及び印刷プライマー層は、前記水溶性樹脂を含有することにより、中性水で安全かつ効率よく除去可能でありながら耐水性に優れる印刷層及び印刷プライマー層を実現できる。なお、本明細書において、水溶性とは、30℃の中性水100gに0.01g以上溶解することをいう。
なお、前記中性水としては、pH6~8の水又は水溶液が挙げられる。前記中性水としては、具体的には、脱イオン水、純水、水道水、工業用水が挙げられ、入手容易性の観点から脱イオン水又は水道水が好ましい。また、前記中性水は水溶性有機溶媒、界面活性剤などの他の成分を含んでいてもよい。前記水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、2-プロパノールなどの低級アルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類が挙げられる。前記界面活性剤としては、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、オレフィンスルホン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩等のアニオン界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルグリコシド等のノニオン界面活性剤が挙げられる。
前記水溶性樹脂の例としては、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性ポリアミド樹脂、水溶性ポリイミド樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリアリルアミン樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性フェノキシ樹脂、水溶性尿素樹脂、水溶性メラミン樹脂、及びポリビニルアルコール樹脂、並びにこれらの樹脂の変性物が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、本発明の効果発現の観点から、水溶性ポリエステル樹脂及び水溶性ポリアミド樹脂、水溶性アクリル樹脂からなる群より選ばれる1種以上が好ましく、水溶性ポリエステル樹脂がより好ましい。
[モノマーユニットA]
前記モノマーユニットAは親水性基を有する。また、当該モノマーユニットAを誘導するためのモノマーをモノマーAと称する。
前記モノマーユニットAは、前記親水性基を有するモノマーユニットであれば特に限定されないが、前記水溶性樹脂の中性水への溶解性及び耐水性を向上させる観点から、前記親水性基を有するジカルボン酸モノマーユニット(以下、親水性ジカルボン酸モノマーユニットAとも称する。)が好ましい。
前記モノマーAは、前記水溶性樹脂の中性水への溶解性及び耐水性を向上させる観点、並びに水溶性樹脂製造時の重合反応の容易さの観点から、前記親水基を有するカルボン酸、アミン、アミノ酸からなる群より選ばれる1種以上が好ましく、前記親水基を有するカルボン酸がより好ましい。当該カルボン酸の中でも、同様の観点から前記親水基を有する芳香族カルボン酸が好ましく、ヒドロキシ基含有芳香族ジカルボン酸、第1級アミノ基含有芳香族ジカルボン酸、スルホン酸基含有芳香族ジカルボン酸、及びスルホン酸塩基含有芳香族ジカルボン酸からなる群より選ばれる1種以上がより好ましく、スルホン酸塩基含有芳香族ジカルボン酸からなる群より選ばれる1種以上がより好ましい。これらの中でも同様の観点からスルホフタル酸、及びスルホナフタレンジカルボン酸からなる群より選ばれる1種以上が好ましく、スルホフタル酸からなる群より選ばれる1種以上が更に好ましく、スルホイソフタル酸及びスルホテレフタル酸からなる群より選ばれる1種以上が更に好ましく、5-スルホイソフタル酸が更に好ましい。
前記親水性基としては、前記水溶性樹脂の中性水への溶解性を向上させる観点、及び水溶性樹脂製造時の重合反応の容易さの観点から、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、第4級アンモニウム塩基、オキシアルキレン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボキシル塩基、リン酸基、リン酸塩基、スルホン酸基、及びスルホン酸塩基からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。これらの中でも前記水溶性樹脂の耐熱性を向上させる観点から、第4級アンモニウム塩基、オキシアルキレン基、カルボキシル塩基、リン酸塩基、及びスルホン酸塩基からなる群より選ばれる1種以上が好ましく、第4級アンモニウム塩基、オキシアルキレン基、及びスルホン酸塩基からなる群より選ばれる1種以上がより好ましく、スルホン酸塩基が更に好ましい。
前記スルホン酸塩基は、前記水溶性樹脂の中性水への溶解性を向上させる観点、及び水溶性樹脂製造時の重合反応の容易さの観点から、-SO(ただし、Mはスルホン酸塩基を構成するスルホン酸基の対イオンを示し、前記水溶性樹脂の中性水への溶解性を向上させる観点から金属イオン及びアンモニウムイオンからなる群より選ばれる1種以上が好ましく、金属イオンからなる群より選ばれる1種以上がより好ましく、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンからなる群より選ばれる1種以上が更に好ましく、アルカリ金属イオンからなる群より選ばれる1種以上が更に好ましく、ナトリウムイオン及びカリウムイオンからなる群より選ばれる1種以上が更に好ましく、ナトリウムイオンが更に好ましい。)で表されるスルホン酸塩基が好ましい。
前記水溶性樹脂中の前記親水性基の含有量は、前記水溶性樹脂の中性水への溶解性を向上させる観点から、0.5mmol/g以上が好ましく、0.6mmol/g以上がより好ましく、0.7mmol/g以上が更に好ましく、前記水溶性樹脂の耐水性を向上させる観点から、3.0mmol/g以下が好ましく、2.0mmol/g以下がより好ましく、1.5mmol/g以下が更に好ましい。
前記水溶性樹脂の全モノマーユニットの合計に対する前記モノマーユニットAの割合は、前記水溶性樹脂の中性水への溶解性を向上させる観点から、5mol%以上であり、7mol%以上が好ましく、10mol%以上がより好ましく、12mol%以上が更に好ましく、前記水溶性樹脂の耐水性を向上させる観点から、35mol%以下であり、30mol%以下が好ましく、20mol%以下がより好ましく、15mol%以下が更に好ましく、13mol%以下が更に好ましい。
[モノマーユニットB]
前記モノマーユニットBは前記親水性基を有さない。前記モノマーユニットBは、前記親水基を有さないモノマーユニットであれば特に限定されないが、前記水溶性樹脂の中性水への溶解性及び耐水性を向上させる観点から、前記親水基を有さないジカルボン酸モノマーユニット(以下、疎水性ジカルボン酸モノマーユニットBとも称する)が好ましい。
前記疎水性ジカルボン酸モノマーユニットBを誘導するためのジカルボン酸は、前記水溶性樹脂の中性水への溶解性及び耐水性を向上させる観点、並びに水溶性樹脂製造時の重合反応の容易さの観点から、前記親水基を有さない芳香族ジカルボン酸及び前記親水基を有さない脂肪族ジカルボン酸からなる群より選ばれる1種以上がより好ましい。これらの中でも、同様の観点から、テレフタル酸、イソフタル酸、2,5-フランジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、及び1,3-アダマンタンジカルボン酸からなる群より選ばれる1種以上が更に好ましく、テレフタル酸、イソフタル酸、及び2,6-ナフタレンジカルボン酸からなる群より選ばれる1種以上が更に好ましい。
前記水溶性樹脂中の全モノマーユニットの物質量の合計に対する、前記モノマーユニットBの物質量の割合は、前記水溶性樹脂の耐水性を向上させる観点から、15mol%以上が好ましく、25mol%以上がより好ましく、30mol%以上が更に好ましく、前記水溶性樹脂の中性水への溶解性を向上させる観点から、45mol%以下が好ましく、42mol%以下がより好ましく、40mol%以下が更に好ましい。
前記水溶性樹脂中の前記モノマーユニットAと前記モノマーユニットBのmol比(前記モノマーユニットA/前記モノマーユニットB)は、前記水溶性樹脂の中性水への溶解性及び耐水性を向上させる観点から、10/90以上が好ましく、15/85以上がより好ましく、18/82以上が更に好ましく、20/80以上が更に好ましく、同様の観点から70/30以下が好ましく、65/35以下がより好ましく、60/40以下が更に好ましく、40/60以下が更に好ましく、30/70以下が更に好ましい。
前記水溶性樹脂の重量平均分子量は、印刷層及び印刷プライマー層の強度の観点から、1000以上が好ましく、5000以上がより好ましく、10000以上が更に好ましく、15000以上が更に好ましく、前記水溶性樹脂の中性水への溶解性を向上させる観点から、80000以下が好ましく、50000以下がより好ましく、30000以下が更に好ましく、20000以下が更に好ましい。なお、本明細書において重量平均分子量は実施例に記載の方法によって測定する。
(ジオールモノマーユニットC)
前記水溶性樹脂が水溶性ポリエステル樹脂の場合は、前記モノマーユニットA及び前記モノマーユニットB以外のジオールモノマーユニットCを有する。前記ジオールモノマーユニットCを誘導するためのジオールを、ジオールCとも称する。
前記ジオールCとしては、脂肪族ジオール、芳香族ジオール等を用いることができるが、水溶性ポリエステル樹脂の製造コストの観点から、脂肪族ジオールが好ましい。
前記ジオールCの炭素数は、前記水溶性ポリエステル樹脂の中性水への溶解性及び耐水性を向上させる観点から、2以上が好ましく、同様の観点から、31以下が好ましく、25以下がより好ましく、20以下が更に好ましく、15以下が更に好ましい。
前記脂肪族ジオールとしては、鎖式ジオール、及び環式ジオールからなる群より選ばれる1種以上が挙げられるが、前記水溶性ポリエステル樹脂の中性水への溶解性及び耐水性を向上させる観点から、鎖式ジオールが好ましい。
前記鎖式ジオールの炭素数は、前記水溶性ポリエステル樹脂の中性水への溶解性及び耐水性を向上させる観点から、2以上が好ましく、同様の観点から、6以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましく、2が更に好ましい。
前記ジオールCは、エーテル酸素を有していても良いが、前記ジオールCが鎖式脂肪族のジオールの場合は、前記水溶性ポリエステル樹脂の中性水への溶解性及び耐水性を向上させる観点から、エーテル酸素の数は1以下が好ましく、前記ジオールCが環式脂肪族のジオールの場合は、同様の観点から、エーテル酸素の数は2以下が好ましい。
前記鎖式ジオールは、前記水溶性樹脂の中性水への溶解性及び耐水性を向上させる観点から、エチレングリコール、プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールからなる群より選ばれる1種以上が好ましく、エチレングリコール、及び1,3-プロパンジオールからなる群より選ばれる1種以上がより好ましい。
前記環式ジオールは、前記水溶性樹脂の中性水への溶解性及び耐水性を向上させる観点から、1,4-シクロヘキサンジメタノール、及び水添ビスフェノールAからなる群より選ばれる1種以上が好ましく、1,4-シクロヘキサンジメタノールがより好ましい。
(水溶性ポリエステル樹脂)
前記水溶性ポリエステル樹脂は、前記水溶性樹脂の中性水への溶解性及び耐水性を向上させる観点から、前記水溶性ポリエステル樹脂中の全ジカルボン酸モノマーユニットの合計に対する、前記親水性ジカルボン酸モノマーユニットAの割合、及び前記疎水性ジカルボン酸モノマーユニットBの割合が、それぞれ10~70mol%、及び30~90mol%であり、前記疎水性ジカルボン酸モノマーユニットBを誘導するための前記親水性基を有さないジカルボン酸が2,6-ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、及びイソフタル酸から選ばれる1種以上である水溶性ポリエステル樹脂が好ましい。
前記水溶性ポリエステル樹脂は、本実施形態の効果を損なわない範囲で、前記親水性ジカルボン酸モノマーユニットA、前記疎水性ジカルボン酸モノマーユニットB、及び前記ジオールモノマーユニットC以外のモノマーユニットを有していても良い。
前記水溶性ポリエステル樹脂の製造方法には特に限定はなく、従来公知のポリエステル樹脂の製造方法を適用できる。
前記印刷基材は印刷の対象となるものであれば特に限定されない。また、印刷の対象である前記印刷基材の成分も特に限定されず、樹脂基材、金属基材、ガラス基材、紙基材、木材基材、繊維質基材が挙げられる。さらに樹脂基材ではナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン66などのナイロン系樹脂の他、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)などのポリエステル系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)などのポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体系樹脂等の合成樹脂が例示できる。
〔廃液〕
前記廃液は、前記印刷基材と、前記表示用被膜と、を有する前記印刷物から前記表示用被膜を除去する際に生じる、前記水溶性樹脂が溶解及び/又は分散しているものである。前記印刷物から前記表示用被膜を除去する方法としては、後述の工程(A)が例示できる。
〔工程(i)〕
前記工程(i)は、前記廃液に金属塩を添加する工程である。
前記金属塩を添加する前の前記廃液に溶解している水溶性樹脂の量、及び分散している水溶性樹脂の量の合計は、前記廃液中に溶解等している水溶性樹脂を塩析させやすくする観点から、前記中性水100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1.0質量部以上が更に好ましく、1.5質量部以上がより更に好ましく、2.0質量部以上がより更に好ましく、また、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下が更に好ましく、7質量部以下がより更に好ましく、5質量部以下がより更に好ましく、4質量部以下がより更に好ましい。
前記金属塩としては、長周期型周期表1A~7A族、8族及び1B~3B族に属する元素の塩からなる群から選ばれる1種以上が例示でき、前記廃液中に溶解等している水溶性樹脂を塩析させやすくする観点から、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群より選ばれる1種以上が好ましく、アルカリ土類金属塩からなる群より選ばれる1種以上が更に好ましく、カルシウム塩が更に好ましい。
前記カルシウム塩としては、前記廃液中に溶解等している水溶性樹脂を塩析させやすくする観点から、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、ホウ酸塩、過塩素酸塩、チオシアン酸塩、及びフルオロスルホン酸塩からなる群より選ばれる1種以上が好ましく、ハロゲン化物からなる群より選ばれる1種以上がより好ましく、塩化カルシウムが更に好ましい。
前記金属塩の水への溶解度は、水溶性樹脂の回収性の観点から、20℃での溶解度が1g/100cm以上が好ましい。
前記溶解度は、前記廃液中に溶解等している水溶性樹脂を塩析させやすくする観点から、1g/100cm以上であり、10g/100cm以上がより好ましく、50g/100cm以上が更に好ましく、70g/100cm以上が更に好ましい。
前記工程(i)における前記金属塩の添加量は、前記廃液中に溶解等している水溶性樹脂を塩析させやすくする観点から、前記廃液中に溶解等している前記水溶性樹脂100質量部に対して、1質量部以上であり、10質量部以上が好ましく、50質量部以上がより好ましく、80質量部以上が更に好ましい。
前記工程(i)における前記金属塩の添加量は、生産性向上の観点から、前記廃液中に溶解等している前記水溶性樹脂100質量部に対して、1000質量部以下が好ましく、500質量部以下がより好ましく、150質量部以下が更に好ましく、120質量部以下が更に好ましい。
前記工程(i)では、前記水溶性樹脂を塩析させやすくする観点から、前記廃液を撹拌しながら前記金属塩を添加するのが好ましい。
〔工程(ii)〕
前記工程(ii)は、前記金属塩が添加された廃液を30℃以上で加熱処理して前記水溶性樹脂を塩析させる工程である。
前記金属塩が添加された廃液を加熱処理する際の温度は、前記廃液中に溶解等している水溶性樹脂を塩析させやすくする観点から、30℃以上であり、35℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましい。前記金属塩が添加された廃液を加熱処理する際の温度は、前記廃液中に溶解等している生産効率向上の観点から、100℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましく、60℃以下が更に好ましい。
前記金属塩が添加された廃液を加熱処理する時間は、前記廃液中に溶解等している水溶性樹脂を塩析させやすくする観点から、1分以上が好ましく、5分以上がより好ましく、10分以上が更に好ましく、生産効率、経済性の観点から、3時間以下が好ましく、2時間以下がより好ましく、1時間以下が更に好ましく、30分以下がより更に好ましい。
前記工程(ii)において、前記金属塩が添加された廃液を加熱する加熱手段は特に限定されず、公知一般の加熱方法を用いることができる。
前記工程(ii)において、前記水溶性樹脂を塩析させやすくする観点から、金属塩が添加された廃液を撹拌し、混合するのが好ましい。
〔工程(iii)〕
前記工程(iii)は、塩析した前記水溶性樹脂を前記廃液から回収する工程である。
前記工程(iii)において、塩析した水溶性樹脂を前記廃液から分離及び回収する手法は特に限定されず公知の手法を用いることができるが、分離精度及び簡便さの観点から、遠心分離、濾過、及びデカンテーションのいずれかが好ましく、濾過がより好ましい。濾過としては、濾紙や濾布等を使用した常圧濾過;フィルタープレス、加圧濾紙濾過機、リーフフィルター、ロータリープレス等を使用した加圧式濾過;回転ドラム式連続濾過機、真空フィルター等を使用した減圧濾過等が挙げられるが、簡便性の点で、減圧濾過が好ましい。
前記工程(iii)における回収率は、配管詰まり防止の観点から、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましく、90%以上がより更に好ましく、100%以上がより更に好ましい。なお、当該回収率は実施例に記載の方法によって測定する。
前記工程(i)、前記工程(ii)、及び前記工程(iii)は、この順に行うのが好ましい。
前記印刷基材から除去された前記印刷層が前記廃液中に存在する場合、当該廃液から当該印刷層を除去する印刷層除去工程を有していてもよい。当該印刷層除去工程における方法としては、前記廃液を濾過し、前記印刷層を除去する方法が例示できる。当該印刷層除去工程で前記廃液から色材を含む前記印刷層を除去した後に前記工程(i)~(iii)を行うことにより、前記水溶性樹脂を色相が優れた状態で回収することができる。
<水溶性樹脂分別方法>
本実施形態の水溶性樹脂分別方法は、前記印刷基材と、前記表示用被膜と、を有する前記印刷物を30℃以上の中性水に暴露して前記水溶性樹脂を含有する廃液を得る工程(A)、並びに前記廃液処理方法を構成する前記工程(i)、前記工程(ii)、及び前記工程(iii)を有する。本実施形態の水溶性樹脂分別方法によれば、前記印刷基材及び前記水溶性樹脂を含有する前記表示用被膜を有する前記印刷物から、前記印刷基材と前記水溶性樹脂を分別し、当該水溶性樹脂を回収することによって環境への負荷を低減することができる。
〔工程(A)〕
前記工程(A)は、前記印刷基材と、前記表示用被膜と、を有する前記印刷物を30℃以上の中性水に暴露して前記水溶性樹脂を含有する廃液を得る工程である。
前記工程(A)における、前記印刷物を処理する前記中性水の温度は、前記印刷層を効率よく除去する観点から30℃以上であり、40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、60℃以上が更に好ましい。水温の上限、及び前記工程(i)~(iii)における廃液の温度制御の容易性の観点から、100℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましく、80℃以下が更に好ましい。
前記水溶性樹脂分別方法において、前記印刷基材から除去された前記印刷層が前記廃液中に存在する場合、前記水溶性樹脂分別方法は前記印刷層除去工程を有していてもよい。
前記印刷物を30℃以上の前記中性水で処理する方法としては特に限定されず、例えば、浸漬洗浄、電解洗浄、スプレー洗浄、スクラブ洗浄、超音波洗浄、蒸気洗浄等が挙げられる。また、前記印刷物に裁断等の処理を施した後、前記中性水で処理してもよい。
「常圧」とは101.3kPaを示す。
<合成方法>
〔水溶性ポリエステル樹脂1の合成〕
2Lステンレス製セパラブルフラスコ(K字管、撹拌機、窒素導入管付)に2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル(東京化成工業社製、一級)97.7g、5-スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム(和光純薬工業社製)40.6g、エチレングリコール(和光純薬工業社製、特級)76.7g、チタンテトラブトキシド(東京化成工業社製、一級)82mg、酢酸ナトリウム(和光純薬工業社製、特級)506mgを仕込み、常圧、窒素雰囲気下、撹拌しながらマントルヒータで1時間かけて外温140℃から260℃まで昇温し、その温度で6.5時間撹拌してエステル交換反応を行った。その後、30分間かけて外温260から290℃まで昇温し、同時に常圧から5.3kPaまで減圧し、そのまま1時間半反応を行った。この後、800Paで30分間撹拌しながら反応を行った後、常圧に戻した。常圧で15分間かけて外温290℃から295℃まで昇温した後、420Paで15分間撹拌しながら反応を行い、この後15分間かけて470Paから100Paまで徐々に減圧度を増しながら撹拌して反応を行い、常圧に戻して水溶性ポリエステル樹脂1を得た。
〔水溶性ポリエステル樹脂2の合成〕
2Lステンレス製セパラブルフラスコ(K字管、撹拌機、窒素導入管付)にテレフタル酸ジメチル(東京化成工業社製)100.0g、イソフタル酸ジメチル(東京化成工業社製)100.0g、5-スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム(三洋化成工業社製)91.6g、1,4-シクロヘキサンジメタノール(富士フイルム和光純薬社製、シス-トランス混合物)146.1g、1,3-プロパンジオール(東京化成工業社製)104.6g、チタンテトラブトキシド(東京化成工業社製)210mg、酢酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬社製)563mgを仕込み、常圧、窒素雰囲気下、撹拌しながらマントルヒータで25分間かけて外温160℃から220℃まで昇温し、その温度で6時間撹拌してエステル交換反応を行った。その後、20分間かけて外温220から240℃まで昇温し、同時に常圧から1.9kPaまで減圧し、そのまま1時間反応を行った。その後、240℃のまま0.6kPaまでさらに減圧して1時間反応を行い、最後に常圧に戻して、水溶性ポリエステル樹脂2を得た。
<分析方法>
〔水溶性ポリエステル樹脂中の全モノマーユニットの物質量の合計に対する、5-スルホイソフタル酸ジメチルナトリウムから誘導されるモノマーユニット(モノマーユニットA)の物質量の割合〕
試料を重クロロホルム、重トリフルオロ酢酸の混合溶媒に溶解し、Agilent社製NMR、MR400を用いたプロトンNMR測定により5-スルホイソフタル酸ジメチルナトリウムから誘導されるモノマーユニット(モノマーユニットA)中のベンゼン環由来ピークの積分値Aを、モノマーユニットA中のベンゼン環に対応するプロトンの数で除した物質量A、及びテレフタル酸ジメチルもしくはイソフタル酸ジメチルもしくはその両方から誘導されるモノマーユニット(モノマーユニットB)中のベンゼン環由来ピークの積分値Bを、モノマーユニットB中のベンゼン環に対応するプロトンの数で除した物質量Bを算出した。物質量Aを、物質量A及び物質量Bの和の2倍量で除して求められた値を100分率で表したもの(100×物質量A/(2×(物質量A+物質量B)))を、水溶性ポリエステル樹脂中の全モノマーユニットの物質量の合計に対する、モノマーユニットAの物質量の割合とした。
〔水溶性ポリエステル樹脂のスルホン酸基量〕
上記方法で求めたスルホイソフタル酸塩基モノマーユニットの組成からポリエステル中のスルホン酸塩基量(mmol/g)を下式に従い算出した。但し、全ジカルボン酸モノマーユニットのmol数と全ジオールモノマーユニットのmol数は等しいと仮定した。
スルホン酸基量(mmol/g)=A×1000/(A×(Ms+Mo)+(100-A)×(Mc+Mo)-2×18.0×100)
・A:全ジカルボン酸モノマーユニット中のスルホイソフタル酸塩基モノマーユニットの割合(mol%)
・Ms:スルホイソフタル酸塩(遊離ジカルボン酸型)の分子量
・Mo:ジオールの分子量(遊離ジオール型。ただし、ジオール種が複数の場合は数平均分子量)
・Mc:スルホイソフタル酸塩基以外のジカルボン酸の分子量(遊離ジカルボン酸型。ただし、該ジカルボン酸種が複数の場合は数平均分子量)
〔重量平均分子量(Mw)〕
下記条件により、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法を用いて標準ポリスチレン、または標準ポリメチルメタクリレートから校正曲線を作成し、重量平均分子量(Mw)を求めた。
・装置:HLC-8320 GPC(東ソー社製、検出器一体型)
・カラム:α-M×2本(東ソー社製、7.8mmI.D.×30cm)
・溶離液:60mmol/Lリン酸+50mmol/L臭素化リチウムジメチルホルムアミド溶液
・流量:1.0mL/min
・カラム温度:40℃
・検出器:RI検出器
・標準物質:ポリスチレン
<評価方法>
〔実施例1~3、比較例1〕
[サンプルの作成]
PET基材フィルム(フタムラ化学社製、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に、表1に記載の各水溶性樹脂:10質量%、脱イオン水:90質量%の水溶液を、卓上グラビア印刷機(松尾産業社製、Kプリンティングプルーファー)を用いて塗布し、90℃で5分間加熱することで乾燥させ、印刷プライマー層を形成させた。さらにこの印刷プライマー層上に、希釈液(東洋インキ社製、PN102溶剤)でザーンカップ#3(離合社製)で15秒となるように粘度を調整した油性グラビアインキ(東洋インキ社製、PANNECO AМ)を使用して卓上グラビア印刷機(松尾産業社製、Kプリンティングプルーファー)にて印刷を行い、印刷層、印刷プライマー、基材フィルムがこの順に積層されてなる印刷物のサンプルを作成した。
[表示用被膜の除去]
作成した各サンプルを30mm角に裁断したのち、70℃の水道水200mLに浸漬させ、マグネティックスターラーで10分間撹拌をしながら基材から表示用皮膜を除去した後、基材フィルムを取り出して印刷層及び水溶性樹脂が溶解又は分散している廃液を得た。なお、比較例1に係る印刷層は印刷物から除去できなかった。
[水溶性樹脂の回収]
(実施例1、3)
下記に記載の濾過方法で廃液を濾過して廃液中の印刷層を除去した後、当該濾過後の廃液に表1に記載の配合で金属塩(塩化カルシウム)を添加し、マグネティックスターラーで攪拌しながら、50℃に加熱し、10分間その温度を維持して水溶性樹脂を塩析させ、下記の方法で瀘別して回収した。
(濾過方法)
廃液に溶解又は分散されている印刷層、又は前記金属塩の添加により凝集した水溶性樹脂を減圧濾過(減圧度:-0.1MPa、ブフナー漏斗:70mm、フィルター:アドバンテック社製、濾紙 No.5C/70mm)により濾別した。
(実施例2)
前記廃液に、表1に記載の配合で金属塩(塩化カルシウム)を添加し、マグネティックスターラーで攪拌しながら、50℃に加熱し、10分間その温度を維持して水溶性樹脂を塩析させて回収した。
(水溶性樹脂残存率)
金属塩を添加し、塩析により凝集沈殿した水溶性樹脂を濾過により回収後、得られた濾液について、紫外可視分光分析装置(UV-Vis、島津製作所社製、UV-2550)を用い、濾液中の水溶性樹脂が有する芳香族環由来のピーク強度(例えば、水溶性樹脂1におけるナフタレン骨格の場合、357nm付近)を測定し、その水溶性樹脂の芳香環由来のピーク強度と水溶性樹脂水溶液濃度を校正することで、濾液中の水溶性樹脂残存量を算出した。
(回収樹脂の色相評価)
金属塩を添加し、濾過により回収した印刷物、及び水溶性樹脂について、印刷物、及び水溶性樹脂が10質量%となるように作成したDMF溶液のうち0.5mLをコピー用紙に、約5.0cmとなるように塗工し、色差計(日本電色工業社製、NF777)を用いて、塗工前後のコピー用紙の色差ΔE(L*, a*, b*を測定して算出)を測定することにより、回収物の色相評価を行った。
各評価結果を表1に示す。
Figure 0007419128000001

Claims (10)

  1. 印刷基材と、水溶性樹脂を含有する表示用被膜と、を有する印刷物を中性水に暴露して前記表示用被膜を除去する際に生じる廃液から前記水溶性樹脂を回収する廃液処理方法であって、
    前記水溶性樹脂が、親水性基を有するモノマーユニットA、及び親水性基を有さないモノマーユニットBを有し、前記水溶性樹脂中の全モノマーユニットの合計に対する前記モノマーユニットAの割合が5~35mol%であり、
    前記廃液に、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群より選ばれる1種以上の金属塩を添加する工程(i)、
    前記金属塩が添加された廃液を30℃以上で加熱処理して前記水溶性樹脂を塩析させる工程(ii)、及び
    塩析した前記水溶性樹脂を前記廃液から回収する工程(iii)を有し、前記工程(i)、前記工程(ii)、前記工程(iii)をこの順に行う、廃液処理方法。
  2. 前記表示用被膜が印刷層を有する、請求項1に記載の廃液処理方法。
  3. 前記廃液から前記印刷層を除去する印刷層除去工程を有する、請求項に記載の廃液処理方法。
  4. 前記印刷層除去工程後に前記工程(i)~(iii)を行う、請求項に記載の廃液処理方法。
  5. 表示用被膜が印刷プライマー層を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の廃液処理方法。
  6. 前記水溶性樹脂が、スルホン酸塩基を有するモノマーユニットA、及び親水性基を有さないモノマーユニットBを有する、請求項1~のいずれか1項に記載の廃液処理方法。
  7. 印刷基材と、水溶性樹脂を含有する表示用被膜と、を有する印刷物を30℃以上の中性水に暴露して前記水溶性樹脂を含有する廃液を得る工程(A)、並びに
    請求項1~6のいずれか1項に記載の廃液処理方法を構成する工程(i)、工程(ii)、及び工程(iii)を有する水溶性樹脂分別方法であって、
    前記水溶性樹脂が、親水性基を有するモノマーユニットA、及び親水性基を有さないモノマーユニットBを有し、前記水溶性樹脂中の全モノマーユニットの合計に対する前記モノマーユニットAの割合が5~35mol%であり、
    前記工程(i)、前記工程(ii)、前記工程(iii)をこの順に行う、水溶性樹脂分別方法。
  8. 前記表示用被膜が印刷層を有する、請求項7に記載の水溶性樹脂分別方法。
  9. 前記廃液から前記印刷層を除去する印刷層除去工程を有する、請求項8に記載の水溶性樹脂分別方法。
  10. 前記印刷層除去工程後に前記工程(i)~(iii)を行う、請求項9に記載の水溶性樹脂分別方法。
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