JP7413783B2 - 液体吐出ヘッドの払拭装置、液体吐出ヘッドの払拭方法、液体吐出ヘッドの払拭ユニット、及び液体吐出装置 - Google Patents

液体吐出ヘッドの払拭装置、液体吐出ヘッドの払拭方法、液体吐出ヘッドの払拭ユニット、及び液体吐出装置 Download PDF

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本発明は、液体吐出ヘッドの払拭装置、液体吐出ヘッドの払拭方法、液体吐出ヘッドの払拭ユニット、及び液体吐出装置に関する。
インクジェットプリンタに代表される液体吐出装置は、液体吐出ヘッドから液滴を吐出させ、記録媒体上に画像形成を行う。このような液体吐出装置においては、液体吐出ヘッドのノズル形成面に付着した異物によって吐出不良等の不具合が生じるため、定期的にノズル形成面をクリーニングする必要がある。ノズル形成面のクリーニングに用いられる払拭部材としては、不織布や織布に代表されるシート状の払拭部材を組み合わせた払拭部材が既に知られている。
特許文献1には、ノズル面に対して所望の払拭を行うことで吐出安定性の向上、ノズル面の劣化を防止するノズル面清掃装置とそれを具備する画像記録装置が開示されている。これは、特に洗浄液が付与された払拭部材をノズル面に当接させて、ノズル面を払拭するもので、ノズル面に付着するインクの残渣、紙粉などのさまざまな異物により、ノズル面から吐出されるインク液滴が影響を受けてインク液滴の吐出方向にばらつきが生じ、結果的に画像品質が劣化することを防止するものである。適切なメンテナンス方法により異物を定期的に除去することが重要とされている。特許文献1では、吸収性を有する払拭部材を走行させる払拭部材走行手段と、払拭部材に洗浄液を付与する洗浄液付与手段と、洗浄液付与状態を検知する検知手段と、払拭部材でノズル面を払拭する押圧手段が具備されている。
本発明は、ノズル形成面の撥水膜の摩耗を抑えつつノズル形成面に付着した異物を払拭できる払拭装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の液体吐出ヘッドの払拭装置は、
帯状の払拭部材と、
洗浄液を含む前記払拭部材を液体吐出ヘッドにおける撥水膜を有するノズル形成面に押し当てる押し当て手段と、
前記液体吐出ヘッドと、前記押し当て手段により前記ノズル形成面に押し当てられた前記払拭部材との相対移動を制御する制御手段と、
を有する液体吐出ヘッドの払拭装置であって、
前記制御手段が、前記液体吐出ヘッドと前記押し当て手段により前記ノズル形成面に押し当てられた前記払拭部材との第1相対移動の速度(T1)と、前記第1相対移動の後の前記液体吐出ヘッドと前記押し当て手段により前記ノズル形成面に押し当てられた前記払拭部材との第2相対移動の速度(T2)との比(T1/T2)の絶対値が、0.2未満となるように、前記相対移動を制御する、
ことを特徴とする。
本発明によると、ノズル形成面の撥水膜の摩耗を抑えつつノズル形成面に付着した異物を払拭できる払拭装置を提供することができる。
図1は、払拭装置の一例を模式的に表した図である。 図2Aは、本発明による払拭の実施形態(実施形態A)を説明するための図である(その1)。 図2Bは、本発明による払拭の実施形態(実施形態A)を説明するための図である(その2)。 図2Cは、本発明による払拭の実施形態(実施形態A)を説明するための図である(その3)。 図2Dは、本発明による払拭の実施形態(実施形態A)を説明するための図である(その4)。 図2Eは、本発明による払拭の実施形態(実施形態A)を説明するための図である(その5)。 図2Fは、本発明による払拭の実施形態(実施形態A)を説明するための図である(その6)。 図2Gは、本発明による払拭の実施形態(実施形態A)を説明するための図である(その7)。 図2Hは、本発明による払拭の実施形態(実施形態A)を説明するための図である(その8)。 図3Aは、本発明による払拭の実施形態(実施形態B)を説明するための図である(その1)。 図3Bは、本発明による払拭の実施形態(実施形態B)を説明するための図である(その2)。 図3Cは、本発明による払拭の実施形態(実施形態B)を説明するための図である(その3)。 図4は、シート状の払拭部材の断面の一例を模式的に表した図である。 図5は、払拭部材に滴下された着色液の状態の一例を模式的に表した図である。 図6は、払拭装置を組み込んだ画像形成装置の一例を模式的に表した図である。 図7は、液体吐出ヘッドのノズル形成面の一例を模式的に表した図である。
(液体吐出ヘッドの払拭装置、液体吐出ヘッドの払拭方法、液体吐出ヘッドの払拭ユニット)
本発明の液体吐出ヘッドの払拭装置は、帯状の払拭部材と、押し当て手段と、制御手段とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
前記押し当て手段は、洗浄液を含む前記払拭部材を液体吐出ヘッドにおけるノズル形成面に押し当てる手段である。前記ノズル形成面は、撥水膜を有する。
前記制御手段は、前記液体吐出ヘッドと、前記押し当て手段により前記ノズル形成面に押し当てられた前記払拭部材との相対移動を制御する手段である。
更に、前記制御手段は、第1相対移動の速度(T1)と、第2相対移動の速度(T2)との比(T1/T2)の絶対値が、0.2未満となるように、前記相対移動を制御する手段である。
前記第1相対移動は、前記液体吐出ヘッドと前記押し当て手段により前記ノズル形成面に押し当てられた前記払拭部材との相対移動である。
前記第2相対移動は、前記第1相対移動の後の前記液体吐出ヘッドと前記押し当て手段により前記ノズル形成面に押し当てられた前記払拭部材との相対移動である。
本発明の液体吐出ヘッドの払拭方法は、押し当て工程と、制御工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
前記押し当て工程は、洗浄液を含む帯状の払拭部材を液体吐出ヘッドにおけるノズル形成面に押し当てる工程である。前記ノズル形成面は、撥水膜を有する。
前記制御工程は、前記液体吐出ヘッドと、前記押し当て手段により前記ノズル形成面に押し当てられた前記払拭部材との相対移動を制御する工程である。
更に、前記制御工程においては、第1相対移動の速度(T1)と、第2相対移動の速度(T2)との比(T1/T2)の絶対値が、0.2未満となるように、前記相対移動が制御される。
前記第1相対移動は、前記液体吐出ヘッドと前記押し当て手段により前記ノズル形成面に押し当てられた前記払拭部材との相対移動である。
前記第2相対移動は、前記第1相対移動の後の前記液体吐出ヘッドと前記押し当て手段により前記ノズル形成面に押し当てられた前記払拭部材との相対移動である。
本発明の液体吐出ヘッドの払拭ユニットは、本発明の液体吐出ヘッドの払拭装置と、洗浄液付与手段とを有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
従来の払拭装置では、払拭部材によりノズル形成面を払拭する動作によりノズル形成面自体に摺擦作用を与えることが避けられず、ノズル形成面での安定吐出を得るために設けられた撥水膜を摩耗させてしまう。このノズル形成面払拭と撥水膜摩耗はトレードオフの関係にあり、その両立が望まれている。
本発明では、洗浄液を含む払拭部材を液体吐出ヘッドにおけるノズル形成面に押し当てた後に、まず、液体吐出ヘッドと払拭部材との相対移動速度を遅い第1相対移動の速度(T1)(T1は速度0mm/秒を含む)とする。次に、液体吐出ヘッドと払拭部材との相対移動速度を第1の相対移動の速度(T1)よりも早い第2相対移動の速度(T2)とする。そして、第1相対移動の間に、液体吐出ヘッドのノズル形成面に、洗浄液が付与される。第2相対移動の間に、ノズル形成面が払拭部材により摺擦される。
洗浄液を含む払拭部材を液体吐出ヘッドにおけるノズル形成面に押し当てた後に、すぐに第2相対移動の速度(T2)にする場合、洗浄液がノズル形成面に十分に付与されない状態でノズル形成面が払拭部材により摺擦されるため、摺擦作用が強く、撥水膜の摩耗が起こりやすい。
一方、本発明では、洗浄液を含む払拭部材を液体吐出ヘッドにおけるノズル形成面に押し当てた後に、遅い速度(T1)の第1相対移動を設ける。そして、その後に第2相対移動にすることにより、洗浄液がノズル形成面に付与された状態でノズル形成面が払拭部材により摺擦し、ノズル形成面の異物を除去できる。洗浄液がノズル形成面に付与された状態でノズル形成面が払拭部材により摺擦されるため、洗浄液により摺擦作用を抑えることができ、撥水膜の摩耗を抑えることができる。また、比(T1/T2)の絶対値を0.2未満とすることで、第1相対移動の際の運動エネルギーを第2相対移動の際の運動エネルギーに対して十分に小さくできるため、第1相対移動の際のノズル形成面の撥水膜の摩耗を抑制できる。
第1相対移動の際に洗浄液をノズル形成面に付与し、ノズル形成面の異物(例えば、インク乾固物)を軟化させることで、第2相対移動の際の払拭をより弱い力でも綺麗に行うことができるようになり、撥水膜摩耗を低減できる。
すなわち、本発明は払拭部材のノズル形成面に対する摺擦を低減することを目的とし、摺擦による撥水膜摩耗を抑制することができる。払拭部材とノズル形成面との相対速度が0であれば洗浄液が付与される量に関係なく摺擦作用は生じず、後述する相対速度の範囲内であれば洗浄液の付与状態と併せて撥水膜摩耗が良好に抑制できることが可能である。
なお、異物とは、例えば、液体吐出ヘッドから吐出される液体がノズル形成面で乾燥して生じる固着物である。
また、顔料成分を含有するインクを使用するシステムにおいては、顔料成分自体が高硬度の微細粒子であり、それを払拭する際に微細高硬度粒子による撥水膜の摩耗は不可避となり、本発明の効果は大きい。
前記比(T1/T2)の絶対値は、0.2未満であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0以上0.15以下であってもよいし、0以上0.1以下であってもよい。
前記第1相対移動の速度(T1)としては、前記比(T1/T2)の絶対値が0.2未満であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0mm/秒以上10mm/秒以下などが挙げられる。
前記第2相対移動の速度(T2)としては、ノズル形成面の異物の払拭のための条件に応じて適宜選択することができ、例えば、20mm/秒以上100mm/秒以下などが挙げられる。
前記制御手段は、前記液体吐出ヘッドを移動させず、前記ノズル形成面と平行な方向である第1方向に前記押し当てローラを第1移動速度で移動させつつ、かつ前記第1方向と反対方向に前記払拭部材を第2移動速度で移動させることで、前記第1相対移動を制御することが好ましい。
前記制御工程においては、前記液体吐出ヘッドを移動させず、前記ノズル形成面と平行な方向である第1方向に前記押し当てローラを第1移動速度で移動させつつ、かつ前記第1方向と反対方向に前記払拭部材を第2移動速度で移動させることで、前記第1相対移動を制御することが好ましい。
実施形態としては、前記第1相対移動の速度(T1)が、0mm/秒であり、前記第1移動速度と、前記第2移動速度とが、同じ速度であることが好ましい。
前記第1移動速度、及び前記第2移動速度としては、それぞれ、例えば、0mm/秒超50mm/秒以下などが挙げられる。
前記押し当て手段は、前記第1相対移動の際に前記払拭部材を前記ノズル形成面に押し当てる第1押し当て部材と、前記第2相対移動の際に前記払拭部材を前記ノズル形成面に押し当てる第2押し当て部材とを有することが好ましい。
前記押し当て工程は、前記第1相対移動の際には前記払拭部材を前記ノズル形成面に押し当てる第1押し当て部材により行われ、前記第2相対移動の際には前記払拭部材を前記ノズル形成面に押し当てる第2押し当て部材により行われることが好ましい。
前記第1押し当て部材は、前記払拭部材を前記ノズル形成面に押し当てる平面を有することが好ましい。
前記制御手段は、前記第1相対移動の開始から前記第2相対移動の開始までの時間が2秒以上30秒以下であるように、前記相対移動を制御することが好ましく、前記第1相対移動の開始から前記第2相対移動の開始までの時間が5秒以上20秒以下であるように、前記相対移動を制御することがより好ましい。
前記制御工程は、前記第1相対移動の開始から前記第2相対移動の開始までの時間が2秒以上30秒以下であるように、前記相対移動を制御することが好ましく、前記第1相対移動の開始から前記第2相対移動の開始までの時間が5秒以上20秒以下であるように、前記相対移動を制御することがより好ましい。
以下、図を用いて、本発明の実施形態について説明する。
図1は、払拭ユニットの一例の概略図である。
払拭ユニットは、洗浄液付与手段である洗浄液滴下装置430と、払拭装置とを有する。払拭装置は、払拭部材の一例であるシート状払拭部材320を搬送方向(図1中の矢印方向)に向けて送り出す送り出しローラ410と、洗浄液滴下装置430により洗浄液を付与されたシート状払拭部材320をノズル形成面に押し当てる押し当て手段の一例である押し当てローラ400と、払拭に使われたシート状払拭部材320を回収する巻き取りローラ420と、を有する。なお、図1においては、液体吐出ノズルである記録ヘッド4のノズル形成面に異物500が付着している。ノズル形成面に付着する異物500としては、ノズルからインクを吐出した際に発生するミストインクや、クリーニング等でノズルからインクを吸引したときに付着するインク、ミストインクやキャップ部材に付着したインクがノズル面で乾燥した固着インク、被印刷物から発生する紙粉などが挙げられる。
洗浄液は、途中に洗浄液を供給するポンプを設けられた洗浄液供給チューブを介し、洗浄液を収容する洗浄液収容容器から供給される。なお、払拭装置はシート状払拭部材320のほかに、ノズル形成面を払拭するゴムブレード等を備えていてもよい。また、押し当てローラ400はバネを用いて、クリーニング部とノズル形成面の距離を調整することで、押し当て力を調整することができる。押し当て力は、ノズル形成面の幅や押し当てローラ400の幅に応じて適宜調整すればよく、例えば、ノズル形成面に対してシート状払拭部材320を3cm幅で押し当てる場合、0.5N以上3.0N以下の押し当て力が設定されていることが好ましい。押し当て部材はローラに限らず、固定された樹脂やゴムの部材であっても良い。ゴムブレード等を備えている場合、シート状払拭部材320にゴムブレード等を当接させる機構を設けて、シート状払拭部材320にゴムブレード等のクリーニング機能を持たせても良い。また、送り出しローラ410によるシート状払拭部材320の送り出し量と、巻き取りローラ420によるシート状払拭部材320の巻き取り量を調整することにより、シート状払拭部材320に生じる張力を調整することができる。シート状払拭部材は、ノズル形成面に押し当てられながら払拭動作を行うが、このときシート状払拭部材はノズル形成面との摩擦力によりたるみが生じやすく、たるみが生じると払拭効果が低減されてしまうため、前記の張力の適切な設定が重要である。さらに確実にシート状払拭部材の払拭効果を確保するためには、別途設ける払拭部材へのブレーキ機構等により、払拭効果の低下を回避することができる。また、シート状払拭部材は、小型化の観点から図1に示すようにロール状に巻き取られた状態で収納されていることが好ましいが、これに限らず、折り畳んで収納されている状態であってもよい。
また、洗浄液付与手段としては、洗浄液滴下装置以外の手段であってもよく、例えば、洗浄液をローラで付与する洗浄液付与ローラ、洗浄液をスプレーで付与する洗浄液付与スプレーなどが挙げられる。
本実施形態では、払拭の一例として、払拭されるノズル形成面に洗浄液を塗布する工程、それに続いて、シート状払拭部材によりノズル形成面を払拭する工程により構成され、洗浄液塗布とノズル形成面払拭が独立して行われることが従来の払拭動作と異なるものである。ノズル形成面にはノズルからのインク吐出を安定して持続させるためにノズルを含む全面にフッ素原子等を含有する撥水膜が、乾式法あるいは湿式法により形成される。撥水膜はサブミクロンの薄膜であり摩耗によりその撥水性が低下するため、撥水性を低下させず安定したインク吐出を長期に維持するためには、できるだけ撥水膜を摩耗させないことが必要となる。撥水膜の摩耗は、物理的に接触する物体との摺擦によって生じ、その接触圧力が大きい程摩耗量が大きくなるので、ノズル面に対しては最低限の接触にとどめることと、接触させる場合にはその接触圧をできる限り低くすることが好ましい。
図2A~図2Hを用いて、本発明による払拭の一実施形態(実施形態A)を説明する。なお、図1とは、洗浄液付与手段が異なる。
まず、図2A、図2B、及び図2Cに示すように、洗浄液滴下装置430によりシート状払拭部材320の一部に洗浄液431を付与する。
シート状払拭部材320は、不図示の送り出しローラ及び巻き取りローラの回転により、押し当てローラ400上を矢印の方向に移動する。その際に、押し当てローラ400の上方に配置された洗浄液滴下装置430により、押し当てローラ400上のシート状払拭部材320の一部に洗浄液431が滴下される。
次に、図2Cに示すように、所定の量の洗浄液431がシート状払拭部材320に含有されたら、図2D、及び図2Eに示すように、シート状払拭部材320は、不図示の送り出しローラ及び巻き取りローラの回転により、押し当てローラ400上を矢印の方向に移動する。この際、洗浄液滴下装置430は必要ないため、他の箇所に移動されている。
所定の位置までシート状払拭部材320における洗浄液431を含有する箇所が移動したら、記録ヘッド4を、押し当てローラ400上のシート状払拭部材320に接触させる。この際、ノズル形成面がシート状払拭部材320に接するようにする。
次に、図2F及び図2Gに示すように、第1相対移動を行う。ここでの第1相対移動では、記録ヘッド4は移動させない。即ち、記録ヘッド4の移動速度(V)は、0mm/secである。他方、シート状払拭部材320及び押し当てローラ400を含む払拭セット300を矢印の方向に速度T1で移動させる。その際、押し当てローラ400を矢印の方向に速度T1で回転させる。更に、その回転に伴って、シート状払拭部材320を矢印の方向にT1で移動させる。ここで、速度T1と速度T1とを同じ速度にする。そうすることで、第1相対移動の速度(T1)は、0mm/secとなる(T1=T1-T1-V=0mm/s)。第1相対移動の間、記録ヘッド4のノズル形成面は、洗浄液431が付与されたシート状払拭部材320に接しているが、ノズル形成面と、シート状払拭部材320との相対移動の速度は0mm/secである。そのため、ノズル形成面はシート状払拭部材320に摺擦されることがなく、ノズル形成面に洗浄液431を付与することができる。なお、第1相対移動の際の、押し当てローラ400の記録ヘッド4への押圧力は、ノズル形成面に洗浄液を均一に塗布できればよく、強く押圧する必要はない。
次に、図2Hに示すように、第2相対移動を行う。ここでの第2相対移動では、記録ヘッド4は移動させない。即ち、記録ヘッド4の移動速度(V)は、0mm/secである。他方、シート状払拭部材320及び押し当てローラ400を含む払拭セット300を矢印の方向に速度T2で移動させる。速度T2は、例えば、30mm/sec以上100mm/sec以下である。その際、押し当てローラ400は回転させず、かつシート状の払拭部材320は搬送させない。即ち、押し当てローラ400の矢印の方向への回転速度(T2)は、0mm/secである。シート状払拭部材320の矢印の方向への移動速度(T2)も0mm/secである。そうすることで、第2相対移動の速度(T2)は、速度T2と同じとなる(T2=T2-T2-V=T2)。第2相対移動の間、記録ヘッド4のノズル形成面は、洗浄液431が付与されたシート状払拭部材320に接しており、かつ、ノズル形成面と、シート状払拭部材320との相対移動の速度は、例えば、30mm/sec以上100mm/sec以下である。そのため、ノズル形成面はシート状払拭部材320に摺擦され、ノズル形成面の異物は、払拭される。その際、第1相対移動により、洗浄液431が適度にノズル形成面に付与されているため、摺擦の際の撥水膜の摩耗を抑制することができる。なお、第2相対移動の際の、押し当てローラ400の記録ヘッド4への押圧力は、ノズル形成面の撥水膜の摩耗をより抑制するために、できるだけ低圧で行うことが好ましい。
次に、図3A~図3Cを用いて、本発明による払拭の他の実施形態(実施形態B)を説明する。なお、図1とは、洗浄液付与手段が異なる。この実施形態では、第1相対移動の際の払拭部材のノズル形成面への押し当てと、第2相対移動の際の払拭部材のノズル形成面への押し当てとを異なる押し当て部材で行う。
まず、図3Aに示すように、洗浄液滴下装置430によりシート状払拭部材320の一部に洗浄液431を付与する。
シート状払拭部材320は、不図示の送り出しローラ及び巻き取りローラの回転により、押し当て板400A上を矢印の方向に速度T1で移動する。シート状払拭部材320は、押し当てローラ400B及び支持ローラ440により支持されている。押し当て板400Aの上方に配置された洗浄液滴下装置430により、押し当て板400A上のシート状払拭部材320の一部に洗浄液431が滴下される。
所定の量の洗浄液431がシート状払拭部材320に含有されたら、洗浄液431が含有されているシート状払拭部材320の箇所を、押し当て板400A上に移動させる。そして、図3Bに示すように、記録ヘッド4を、押し当て板400A上のシート状払拭部材320に接触させる。この際、ノズル形成面がシート状払拭部材320に接するようにする。加えて、押し当て板400Aにより記録ヘッド4にわずかな押圧力を付与する。そして、第1相対移動を行う。ここでの第1相対移動では、記録ヘッド4は移動させない。即ち、記録ヘッド4の移動速度(V)は、0mm/secである。他方、シート状の払拭部材320の移動速度(T1)は0mm/secとする。そうすることで、第1相対移動の速度(T1)は、0mm/secとなる(T1=T1-V=0mm/s)。第1相対移動の間、シート状払拭部材320は、押し当て板400Aにより記録ヘッド4のノズル形成面に押し当てられており、記録ヘッド4のノズル形成面は、洗浄液431が付与されたシート状払拭部材320に接している。第1相対移動の間、ノズル形成面と、シート状払拭部材320との相対移動の速度(T1)は0mm/secである。そのため、ノズル形成面はシート状払拭部材320に摺擦されることがなく、ノズル形成面に洗浄液431を付与することができる。
次に、図3Cに示すように、第2相対移動を行う。ここでの第2相対移動では、記録ヘッド4は移動させない。即ち、記録ヘッド4の移動速度(V)は、0mm/secである。他方、シート状払拭部材320、押し当て板400A、押し当てローラ400B、及び支持ローラ440を含む払拭セット300を矢印の方向に速度T2で移動させる。速度T2は、例えば、30mm/sec以上100mm/sec以下である。その際、押し当てローラ400Bは回転させず、かつシート状払拭部材320は搬送させない。即ち、押し当てローラ400の回転速度は、0mm/secである。シート状払拭部材320の矢印の方向への移動速度(T2)も0mm/secである。そうすることで、第2相対移動の速度(T2)は、速度T2と同じとなる(T2=T2-T2-V=T2)。第2相対移動の間、シート状払拭部材320は、押し当てローラ400Bにより記録ヘッド4のノズル形成面に押し当てられている。第2相対移動の間、記録ヘッド4のノズル形成面は、洗浄液431が付与されたシート状払拭部材320に接しており、かつ、ノズル形成面と、シート状払拭部材320との相対移動の速度(T2)は、例えば、30mm/sec以上100mm/sec以下である。そのため、ノズル形成面はシート状払拭部材320に摺擦され、ノズル形成面の異物は、払拭される。その際、第1相対移動により、洗浄液431が適度にノズル形成面に付与されているため、摺擦の際の撥水膜の摩耗を抑制することができる。なお、第2相対移動の際の、押し当てローラ400Bの記録ヘッド4への押圧力は、ノズル形成面の撥水膜の摩耗をより抑制するために、できるだけ低圧で行うことが好ましい。
<払拭部材>
次に、払拭部材の一例について図4を用いて説明する。図4はシート状の払拭部材の断面の一例を模式的に表した図である。図4に示す払拭部材700は、一例として、2層の不織布であって、液体吐出ヘッドのノズル形成面を払拭するためにノズル形成面と接触する表面を有する第一層目710と、ノズル形成面と接触しない裏面を有する第二層目720(第一層目以外の層)と、を有する。これ以外にも、例えば、1層のみからなる単層構造、吸収したインクの裏写り防止や払拭部材の強度向上を目的としてフィルムを裏打ちした3層構造、吸収性の異なる複数の吸収層を第二層以降に設けた多層構造などでも良い。すなわち、払拭部材は、単層構造であってもよいが、第一層目以外の少なくとも一つの層を有する積層構造であってもよい。
次に、払拭部材の特性の一例について説明する。本実施形態の払拭部材は、洗浄液を含有した状態でノズル形成面を極力摺擦しないようにノズル形成面に押し当てられるが、払拭部材表面に過剰の洗浄液が存在した状態でノズル形成面に押し当てられると洗浄液がノズル内に逆流し、インクの混色や吐出不良を誘発する場合があることが観測された。そのため、それを生じさせにくくする払拭部材の特性について独自に調査した結果から、以下の条件を導出した。
図5に示すように、払拭部材のノズル形成面に接触する面(第一層目710の面)に対して色材を含有する着色液を滴下してから60秒経過したときに、ノズル形成面に接触する面における色材の拡散面積Ss及びノズル形成面に接触しない面(第二層目720の面)における色材の拡散面積Sbが下記(式1)を満たすことで、前記不具合を回避可能である。
Figure 0007413783000001
上記(式1)の詳細について説明する。
(式1)は、払拭部材における液体(洗浄液)の拡散性を示し、次の[払拭部材における液体の拡散性]のように定義される。
なお、Ssは、表面層のノズル形成面と接する面の洗浄液拡散面積に対応する。
Sbは、裏面層における表面層側と反対側の面の洗浄液拡散面積に対応する。
[払拭部材における液体の拡散性]
払拭部材における液体の拡散性は、払拭部材のノズル形成面に接触する面に対して色材を含有する着色液を滴下した後、ノズル形成面に接触する面における色材の拡散面積Ss及びノズル形成面に接触しない面における色材の拡散面積Sbを算出することにより求められる。
「着色液」は、蒸留水および色材である食用赤色104号(ダイワ化成株式会社製)からなり、食用赤色104号の着色液全量に対する含有量は0.2質量%である。また、着色液は、ノズル形成面に接触する面が上面となるように設置された払拭部材(言い換えると、ノズル形成面に接触する面が重力方向と逆向きに設置された払拭部材)に対して滴下される。このとき、着色液の払拭部材に対する滴下量は、15μLである。
払拭部材に対して着色液を滴下してから60秒経過したとき、払拭部材のノズル形成面に接触する面と払拭部材のノズル形成面に接触しない面を撮影し、着色液の色材により形成される赤色領域の面積を算出する。払拭部材のノズル形成面に接触する面における赤色領域の面積を色材の「拡散面積Ss」と表し、払拭部材のノズル形成面に接触しない面における赤色領域の面積を色材の「拡散面積Sb」と表す。
拡散面積Ssと拡散面積Sbの比(Sb/Ss)は、払拭部材で払拭された液体の払拭部材中における拡散状態を示し、ノズル形成面に付着した液体を適切に除去するための指標ともなる。図5は、払拭部材に滴下された着色液の状態の一例を示す模式図であり、図5に示す通り、着色液は払拭部材内部に浸透し、払拭部材のノズル形成面に接触する面における赤色領域の面積である拡散面積Ssと、払拭部材のノズル形成面に接触しない面における赤色領域の面積である拡散面積Sbを形成する。
本実施形態の払拭部材は、ノズル形成面への洗浄液塗布と併せて、ノズル形成面に付着した液体を除去する機能を有する。従って、払拭部材には、ノズル形成面に付着していた液体と洗浄液が吸収され得るが、液体と洗浄液の払拭部材内部における好ましい状態は、「払拭部材内部で面方向への広がりが抑制されている状態」、「払拭部材のノズル形成面に接触する面側における面方向への拡散が抑制され、ノズル形成面に接触する面側からノズル形成面に接触しない面側への移動が速い状態」の2点である。これら状態は、払拭部材において、拡散面積Ss及び拡散面積Sbが上記(式1)を満たしていることで実現することができる。
前者の「払拭部材内部で面方向への広がりが抑制されている状態」が実現されることにより、払拭装置における払拭部材の使用量を少なくする効果を得ることができる。不織布等で構成される払拭部材は巻き取った形状で払拭装置に搭載されることが多いが、従来の払拭部材は、ノズル形成面から払拭した液体の払拭部材内部における面方向への広がりが抑制されていないため、払拭部材の搭載量が多くなり、払拭装置の省スペース化が困難となっていた。本実施形態の払拭部材は、「払拭部材内部で面方向への広がりが抑制されている状態」であるため、払拭部材の搭載量を軽減でき、払拭装置の省スペース化を実現することができる。
また、後者の「払拭部材のノズル形成面に接触する面側における面方向への拡散が抑制され、ノズル形成面に接触する面側からノズル形成面に接触しない面側への移動が速い状態」が実現されることにより、払拭後のノズル形成面における液体の残留を抑制することができ、前述したように、液体の残留に伴うノズルにおける吐出不良を抑制する効果を得ることができる。なお、従来の払拭部材を用いた払拭では、ノズル形成面に付着した液体を払拭する際に、ノズル形成面に接触する面側からノズル形成面に接触しない面側への液体の移動速度が本実施形態の払拭部材ほどは優れないため、払拭部材が液体を除去する動作(状払拭部材とノズル形成面の相対移動)はノズル形成面上の液体量が多い状態で実行される。すると、液体に含まれる成分(例えば、顔料等の、払拭時にノズル形成面に対して研磨剤として機能する成分)により、ノズル形成面にダメージを与える場合があり、特に表面に設けられた撥水膜を摩耗または剥離させてしまう場合があった。本実施形態の払拭部材は、ノズル形成面に接触する面側からノズル形成面に接触しない面側への液体の移動速度が優れるため、払拭時にノズル形成面に対して与えるダメージを抑制する効果も得ることができる。そのため、本実施形態の払拭部材を、本発明の液体吐出ヘッドの払拭装置、及び液体吐出ヘッドの払拭方法に用いると、撥水膜の摩耗をより低減させることができる。
ここで、後者の「払拭部材のノズル形成面に接触する面側における面方向への拡散が抑制され、ノズル形成面に接触する面側からノズル形成面に接触しない面側への移動が速い状態」が実現されることは、本発明の液体吐出ヘッドの払拭装置、及び液体吐出ヘッドの払拭方法においては、ノズル形成面への押し当て荷重により払拭部材が圧縮され、内部より洗浄液が押し出されることになるので、洗浄液塗布工程に対しての不具合は生じない。
なお、上記(式1)を満たす払拭部材は、払拭部材の材料や構成を適宜調整することで作製できる。例えば、特に限定されないが、ノズル形成面に接触する面を有する層(この層の一例を「表面層」と称する)及びノズル形成面に接触しない面を有する層(この層の一例を「裏面層」と称する)を備えた2層からなる払拭部材において、各層の特性を調整すること等が挙げられる。例えば、ノズル形成面における液体の払拭性及びノズル形成面から除去した液体の吸収性をそれぞれ表面層と裏面層に機能分離させることにより、払拭部材の払拭能力を向上させることができる。以下、一例として、2層からなる払拭部材の詳細について説明する。
-ノズル形成面に接触する面を有する層(表面層)-
払拭部材の表面層は、液体吐出ヘッドに押し当てられることでノズル形成面に接触する層であって、ノズルから溢れ出た余剰液体を吸収することでノズル形成面から余剰液体を除去する。また、払拭部材に洗浄液が付与されていた場合、表面層は洗浄液をノズル形成面に付与することで、ノズル形成面で乾燥して付着した液体の固着物を溶解または膨張させ、更にそれを吸収することでノズル形成面から除去する。表面層の形状、材質、大きさ、構造などについては特に制限はなく、払拭対象であるノズル形成面の形状等に基づいて適宜選択することができる。
表面層の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、不織布であれば半合成繊維のキュプラや合成繊維のポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン(Ny)、ポリビニルアルコール(PVA)などからなる多孔質体や織布、編布などが挙げられる。
表面層は、適宜製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、NE107(セルロース)、NE507(セルロース)(いずれも、旭化成株式会社製);M1020-8T(PET)、M2028-8T(PET)、H2070-7S(PET)(いずれも、東レ株式会社製)などを利用でき、表面層に適用する場合の層厚、空隙率、繊維径に合致するものを適宜選定することができる。表面層の製造方法としては、例えば、不織布では、ウェブ工程として、乾式、湿式、エアレイド式等の方式があり、バインディング工程としてはケミカルボンド式、サーマルボンド式、ニードルパンチ式等の方式が挙げられる。
-ノズル形成面に接触しない面を有する層(裏面層)-
払拭部材の裏面層は、液体吐出ヘッドのノズル形成面と接触しない層であって、上記表面層から移動(浸透)してきたノズル形成面から除去された液体を保持する。裏面層の形状、材質、大きさ、構造などについては特に制限はなく、払拭対象であるノズル形成面の形状等に基づいて適宜選択することができる。
裏面層の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、不織布であれば半合成繊維のキュプラや合成繊維のポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン(Ny)、ポリビニルアルコール(PVA)などからなる多孔質体や織布、編布などが挙げられる。
裏面層は、適宜製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、NE107(セルロース)、NE507(セルロース)(いずれも、旭化成株式会社製);M1020-8T(PET)、M2028-8T(PET)、H2070-7S(PET)(いずれも、東レ株式会社製)などを利用でき、裏面層に適用する場合の層厚、空隙率、繊維径に合致するものを適宜選定することができる。
裏面層の製造方法としては、例えば、不織布では、ウェブ工程として、乾式、湿式、エアレイド式等の方式があり、バインディング工程としてはケミカルボンド式、サーマルボンド式、ニードルパンチ式等の方式が挙げられる。
-層厚-
表面層の層厚(「ノズル形成面に接触する面を有する層の層厚Ts」の一例)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜調整することができるが、例えば、0.10mm以上0.30mm以下が好ましい。0.10mm以上0.30mm以下であることにより、ノズル形成面から吸収した液体や液体の固着物が洗浄液で溶解または膨張した溶解物を裏面側へ短時間で移動させることができる。また、ノズル形成面に固着した液体の乾燥物をかきとりやすくすることができる。
なお、表面層の層厚は、次のようにして測定することができる。まず、表面層を光学定盤上に載置し、層厚を算出しようとする位置に、直径25mm、厚さ3mmのステンレス製ディスクを重ね、重ねてから10秒後の表面層の厚さを計測する。計測には、レーザー測距センサー(パナソニック株式会社製、HG-C1030)を用い、ステンレス製ディスクの上部から光学定盤表面までの距離を計測し、得られた距離からステンレス製ディスクの厚さ3mmを差し引いて、表面層の層厚を算出する。なお、層厚を測定する表面層は、払拭部材の各層を積層する前のものを用いてもよく、積層したものを分離して用いてもよい。
裏面層の層厚(「ノズル形成面に接触しない面を有する層の層厚Tb」の一例)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜調整することができるが、例えば、0.20mm以上0.40mm以下が好ましい。0.20mm以上0.40mm以下であることにより、ノズル形成面から吸収した液体や液体の固着物が洗浄液で溶解または膨張した溶解物を保持しやすくすることができる。また、液体や溶解物が保持されやすくなることで、払拭部材が液体を除去する工程は、ノズル形成面上の液体量が少ない状態で実行されることができ、払拭に伴うノズル形成面へのダメージを抑制することができる。また、払拭部材の搭載量を軽減でき、払拭装置の省スペース化を実現することができる。
なお、裏面層の層厚は、表面層の層厚の測定と同様にして測定することができる。
また、表面層の層厚及び裏面層の層厚の合計の厚さ(払拭部材の厚さ)は、払拭部材を省スペース化する観点から制約を受ける場合がある。その場合、払拭部材全体で適切な量の液体を吸収できるようにする観点から、裏面層の層厚(Tb)は、表面層の層厚(Ts)より大きいことが好ましい。すなわち、下記(式2)を満たすことが好ましい。
-空隙率-
表面層の空隙率(「ノズル形成面に接触する面を有する層の層厚Ts」の一例)および裏面層の空隙率(「ノズル形成面に接触しない面を有する層の層厚Tb」の一例)は、ノズル形成面から吸収した液体や液体の固着物が洗浄液で溶解または膨張した溶解物を適切に保持する点から、それぞれ独立して、50%以上であることが好ましく、50%以上95%以下であることがより好ましい。空隙率が50%以上であると、液体や溶解物を払拭部材内部に十分吸収することができる。空隙率が95%以下であると、液体や溶解物をノズル形成面から払拭する際に十分な毛管力を得られ、液体の吸収力が向上する。
なお、表面層と裏面層の空隙率は、次のようにして測定することができる。まず、払拭部材における各層の層厚と単位面積当たりの質量から各層のかさ密度を算出する。このとき、各層の層厚は、上記の測定方法に従って測定される。次に、算出されたかさ密度と払拭部材における各層を構成する材質の真密度との比から、単位体積当たりの各層の空隙率を算出する。
また、表面層の空隙率(Ps)は裏面層の空隙率(Pb)より大きいことが好ましい。すなわち、下記(式3)を満たすことが好ましい。
表面層の空隙率が裏面層の空隙率より大きいことで、表面層で払拭した液体や溶解物を裏面層に移動させることができ、また、裏面層から表面層に液体や溶解物が逆流することを抑制することができる。
-繊維径-
表面層の繊維径(「ノズル形成面に接触する面を有する層の繊維径Fs」の一例)および裏面層の繊維径(「ノズル形成面に接触しない面を有する層の層厚Fb」の一例)は、払拭性を維持する点から、それぞれ独立して、5μm以上20μm以下であることが好ましい。各層の繊維径は、繊維径が大きいほうが強い圧縮に対しても空隙を保ちやすいこと、繊維径が大きいほうがノズル形成面から液体の固着物をかきとる際に除去しやすいこと、繊維径が小さいほうが液体を吸収しようとするときの毛管力を大きくできること等の知見に基づいて適宜調整される。
なお、表面層と裏面層の繊維径は、次のように測定される。すなわち、払拭部材の各層の断面又は表面を、オリンパス株式会社製レーザー顕微鏡OLS4100を用いて形状計測し、視野内の繊維部分の5箇所から繊維径を求め、それらの平均値を払拭部材の各層の繊維径とする。また、繊維径は、顕微鏡等により拡大観察して測定する方法以外に、慣例的に、デニール(9,000メートルの糸の質量をグラムで表した単位)やテックス(デニールの定義の9,000メートルを1,000メートルにした単位)を用い、繊維の材質(密度)から繊維径を求めることもできる。
また、表面層の繊維径(Fs)は裏面層の繊維径(Fb)より大きいことが好ましい。すなわち、下記(式4)を満たすことが好ましい。
以上のように、本実施形態の払拭部材は、表面層及び裏面層の特性値である層厚、空隙率、繊維径等を、それぞれ独立して、適宜調整することができる。また、裏面層に液体や溶解物の吸収性機能を持たせることにより、払拭部材全体における液体や溶解物の吸収性が向上するとともに、吸収された液体や溶解物がノズル形成面に再転写されて払拭性が低下することを抑制することができる。
<洗浄液>
払拭装置に搭載されてもよい洗浄液は、ノズル形成面に固着した液体の乾燥物等を溶解・膨潤させて払拭しやすくし、また、払拭時に潤滑剤としても作用する。払拭部材によりノズル形成面から払拭される液体には顔料等の固形分が含まれる場合があるが、顔料等は払拭時にノズル形成面に対する研磨剤として機能し、ノズル形成面の撥水膜を劣化させる原因となり得る。そこで、ノズル形成面に付与される洗浄液量をノズル形成面に存在する液体量に対して90質量%以上とすることで、洗浄液の潤滑作用により払拭時のノズル形成面の撥水膜の劣化を抑制することができる。なお、洗浄液は収容容器に充填されて払拭装置に搭載されることが好ましい。
洗浄液は、例えば、有機溶剤、水、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴材、防錆材、及びpH調整剤などを含有することが好ましい。
有機溶剤としては、例えば、低級アルコール等を含むことが好ましい。また、低級アルコールとしては、例えば、エチレングリコール等を含むことがより好ましい。エチレングリコール等の低級アルコールを含む洗浄液は、ノズル形成面に固着した液体の乾燥物等を溶解・膨潤させやすく、揮発性も高いため、高い洗浄効果とノズル形成面に残存しにくい効果を両立することができ、払拭性が向上する。
<洗浄液付与手段>
前記洗浄液付与手段としては、前記払拭部材に前記洗浄液を付与する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記洗浄液付与手段としては、例えば、洗浄液を一定量付与することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ノズル、スプレイ、ディスペンサー、塗布装置などが挙げられる。
(液体吐出装置)
本発明の液体吐出装置は、本発明の液体吐出ヘッドの払拭ユニットを有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
前記その他の手段としては、例えば、加熱手段、制御手段などが挙げられる。
<液体>
液体吐出装置に搭載される液体の一例としてインクについて説明する。なお、液体としてはこれに限られず、例えば、インク吐出前に記録媒体に付与される前処理液、及びインク吐出後に記録媒体のインク膜に付与される後処理液などであってもよい。
インクは、特に限定されないが、例えば、有機溶剤、水、色材、樹脂、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴材、防錆材、及びpH調整剤などを含有することが好ましい。色材としては、例えば、顔料等が挙げられる。なお、液体の一例としてのインクは、液体収容容器の一例であるインク収容容器に充填されて液体吐出装置に搭載されることが好ましい。
ここで、本発明の液体吐出ヘッドの払拭ユニットを備えた液体吐出装置について図面を参照して説明する。
図6は、払拭装置を組み込んだ画像形成装置の一例を模式的に表した図である。図7は、液体吐出ヘッドのノズル形成面の一例を模式的に表した図である。
図6に示す画像形成装置は、シリアル型の液体吐出装置である。画像形成装置は、左右の側板に横架した主ガイド部材1及び従ガイド部材でキャリッジ3を移動可能に保持している。そして、キャリッジ3は、主走査モータ5によって、駆動プーリ6と従動プーリ7との間に架け渡したタイミングベルト8を介して主走査方向(キャリッジ移動方向)に往復移動する。このキャリッジ3には、液体吐出ヘッドの一例である記録ヘッド4a、4b(区別しないときは「記録ヘッド4」という。)を搭載している。記録ヘッド4は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出する。また、記録ヘッド4は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド4は、図7に示すように、ノズル形成面41に、複数のノズル4nを配列した2つのノズル列Na、Nbを有する。記録ヘッド4を構成する液体吐出ヘッドとしては、例えば、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータを用いることができる。
また、図6に示す画像形成装置は、用紙10を搬送するために、用紙を静電吸着して記録ヘッド4に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト12を備えている。この搬送ベルト12は、無端状ベルトであり、搬送ローラ13とテンションローラ14との間に掛け渡されている。そして、搬送ベルト12は、副走査モータ16によって、タイミングベルト17及びタイミングプーリ18を介して搬送ローラ13が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。この搬送ベルト12は、周回移動しながら帯電ローラによって帯電(電荷付与)される。
さらに、キャリッジ3の主走査方向の一方側には搬送ベルト12の側方に記録ヘッド4の維持回復を行う維持回復機構20が配置され、他方側には搬送ベルト12の側方に記録ヘッド4から空吐出を行う空吐出受け21がそれぞれ配置されている。維持回復機構20は、例えば記録ヘッド4のノズル形成面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材20a、ノズル形成面を払拭する機構20b、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出受けなどで構成されている。ノズル形成面を払拭する機構20bが、本発明の液体吐出ヘッドの払拭装置である。
また、搬送ベルト12と維持回復機構20との間の記録領域外であって、記録ヘッド4に対向可能な領域には、吐出検知ユニット100が配置されている。一方、キャリッジ3には、吐出検知ユニット100の電極板を清掃する清掃ユニット200が設けられている。
また、画像形成装置は、キャリッジ3の主走査方向に沿って両側板間に、所定のパターンを形成したエンコーダスケール23を張装している。また、キャリッジ3にはエンコーダスケール23のパターンを読み取る透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ24が設けられている。これらのエンコーダスケール23とエンコーダセンサ24によってキャリッジ3の移動を検知するリニアエンコーダ(主走査エンコーダ)を構成している。
また、搬送ローラ13の軸にはコードホイール25が取り付けられており、このコードホイール25に形成したパターンを検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ26も設けられている。これらのコードホイール25とエンコーダセンサ26によって搬送ベルト12の移動量及び移動位置を検出するロータリエンコーダ(副走査エンコーダ)が構成されている。
このように構成された画像形成装置において、用紙10が帯電された搬送ベルト12上に給紙されることで吸着され、搬送ベルト12の周回移動によって用紙10が副走査方向に搬送される。そこで、キャリッジ3を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド4を駆動することにより、停止している用紙10にインク滴を吐出して1行分を記録する。そして、用紙10を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙10の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙10を排紙トレイに排紙する。
また、記録ヘッド4のクリーニングを行う場合は、印字(記録)待機中にキャリッジ3を維持回復機構20に移動させ、維持回復機構20により清掃を実施する。また、記録ヘッド4は移動せず、維持回復機構20が移動してヘッドを清掃するようにしてもよい。図6で示した記録ヘッド4は、図7に示すように複数のノズル4nを配列した2つのノズル列Na、Nbを有する。記録ヘッド4aの一方のノズル列Naはブラック(K)の液滴を、他方のノズル列Nbはシアン(C)の液滴を吐出する。記録ヘッド4bの一方のノズル列Naはマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列Nbはイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
まず、本実施例および比較例で使用した払拭部材における各層の層厚、空隙率、及び繊維径の測定方法を説明する。
-層厚-
払拭部材における各層を光学定盤上に載置し、厚さを算出しようとする部位に、直径25mm、厚さ3mmのステンレス製ディスクを重ね、重ねてから10秒後に各層の厚さを計測した。
計測には、レーザー測距センサー(パナソニック株式会社製、HG-C1030)を用い、ステンレス製ディスクの上部から光学定盤表面までの距離を計測し、得られた距離からステンレス製ディスクの厚さ3mmを差し引いて、各層の厚さを算出した。なお、各層の層厚は、積層前の試料を別個に測定することにより求めた。
-空隙率-
払拭部材における各層の層厚と単位面積当たりの質量とから各層のかさ密度を算出した。このとき、各層の層厚は、上記の測定方法に従って測定された。次に、算出されたかさ密度と各層を構成する材質の真密度との比から、単位体積当たりの各層の空隙率を算出した。
-繊維径-
払拭部材における各層の繊維径は、各層の断面又は表面をオリンパス株式会社製レーザー顕微鏡OLS4100により計測することで求めた。視野内の繊維部分の5箇所から繊維径を求め、それらの平均値を払拭部材における各層の繊維径とした。
(実施例1~10及び比較例1~2)
<払拭部材(ウェブ)の作製>
下記表1に示す特性(厚さ、空隙率、繊維径、材質)を有する幅30mm、長さ10mのシート状の試作試料を用意した。次に、2つの異なる試作試料を、それぞれノズル形成面に接触する面を有する層(表面層)及びノズル形成面に接触しない面を有する層(裏面層)として、サーマルボンド方式により合一させることで払拭部材1~4の2層を有する払拭部材を作製した。なお、払拭部材4については、表面層を加圧することで平滑化処理を行った上で作製した。払拭部材5については、市販の試料(旭化成株式会社製、単層セルロース不織布)を、幅30mm、長さ10mに切り出すことで単層の払拭部材として作製した。
なお、表1中の「PET」はポリエチレンテレフタレートを表し、「PE」はポリエチレンを表し、「PP」はポリプロピレンを表す。また、表1中の「PET/PE」は、PETとPEからなる芯鞘型複合繊維を表し、「PP/PE」は、PPとPEからなる芯鞘型複合繊維を表し、「PP/PE+セルロース」は、PPとPEからなる芯鞘型複合繊維とセルロース繊維の混合物を表す。
[払拭部材における液体の拡散性評価]
蒸留水および色材である食用赤色104号(ダイワ化成株式会社製)からなる着色液を用意した。食用赤色104号の着色液全量に対する含有量は0.2質量%であった。次に、表面層が上面となるように設置された払拭部材(言い換えると、表面層が重力方向と逆向きに設置された払拭部材)に対して、マイクロピペット00-NPP-100(株式会社ニチリョー製)を用いて着色液を15μL滴下した。滴下後、1秒ごとの色材の拡散状態をCCDカメラ(BaslerAG社製、acA2500)で表面層側と裏面層側から同時に撮影し、赤色部分(色材拡散部分)の面積から表面層側の拡散面積Ss及び裏面層側の拡散面積Sbを算出した。なお、拡散面積Ss及び拡散面積Sbは、着色液を滴下してから60秒後の値を採用した。表1に、「拡散面積Ss」、「拡散面積Sb」、「Sb/Ss」の値を示す。
Figure 0007413783000005
<払拭性評価、印字ヘッド撥水膜劣化評価>
プロダクションプリンター(ProL5160、株式会社リコー製)の印字ヘッドメンテナンス機構(払拭部材と洗浄液による印字ヘッドクリーニング機構)を別途単体の機構として模倣した評価装置に、さらに図2A~図2H、又は図3A~図3Cで示した印字ヘッドへの洗浄液塗布及び払拭機構を追加して、本件実施例及び比較例の評価装置として用意した。
各評価については、ProL5160の印字ヘッドのノズルプレートのみを縦80mm×横25mm×厚さ2mmのステンレス板に張り付けたものを被払拭部材とした。評価は、実験室環境20℃60%RHで実施した。
図2A~図2Hに示した構成(以下、「構成1」)、又は図3A~図3Cに示した構成(以下、「構成2」)において、ローラ状押し当て部材(押し当てローラ400、押し当てローラ400B)は、φ10mm、長さ30mmのローラであり、ローラ表層は1mm厚のEPDMゴム(JISA50度)で被覆されたものを用いた。また、図3A~図3Cにおいて板状押し当て部材(押し当て板400A)は、上記被払拭部材と同サイズの2mm厚ステンレス板上に1mm厚のEPDMゴム(JISA50度)を被覆したものとした。ローラ状押し当て部材の当接荷重は3N、板状押し当て部材の当接荷重は10Nとした。
構成1を用いた払拭では、前述の実施形態Aで説明した払拭を行った。
構成2を用いた払拭では、前述の実施形態Bで説明した払拭を行った。
〔印字ヘッド撥水膜劣化評価〕
・洗浄液:ProL5160用(50μLを1シーケンス毎に払拭部材に塗布)
・インク:ProL5160用黒色(5μLを1シーケンス毎に払拭部材上に滴下)
・払拭速度:表2参照
・洗浄液塗布開始から払拭開始までの間隔:表2参照
・劣化評価用シーケンス:
-構成1(図2A~図2H)の場合の1シーケンス-
<1-1>払拭部材へ洗浄液を塗布(図2A~図2C)
<1-2>払拭部材からヘッドへの洗浄液の塗布(図2F~図A2G)を1回
<1-3>払拭部材による払拭(図2H)を4回
-構成2(図3A~図3C)の場合の1シーケンス-
<2-1>払拭部材へ洗浄液を塗布(図3A)
<2-2>払拭部材からヘッドへの洗浄液の塗布(図3B)を1回
<2-3>払拭部材による払拭(図3C)を4回
撥水膜の劣化状態は、合計1000回のシーケンス実施後のインクに対する後退接触角により評価した。
英弘精機株式会社製、顕微自動接触角措定装置OCA200を用い、5か所測定した平均値とした。結果を表2に示した。
〔払拭性評価手順〕
・払拭用印字パターン:黒色インクドットパターン印刷後乾燥し、払拭用試料とした。
(50%グレー相当の濃度となるように調整)
・洗浄液:ProL5160用(50μLを払拭部材に塗布)
・払拭評価用シーケンス
-構成1(図2A~図2H)の場合の1シーケンス-
<1-1>払拭部材へ洗浄液を塗布(図2A~図2C)
<1-2>払拭部材からヘッドへの洗浄液の塗布(図2F~図A2G)を1回
<1-3>払拭部材による払拭(図2H)を1回
-構成2(図3A~図3C)の場合の1シーケンス-
<2-1>払拭部材へ洗浄液を塗布(図3A)
<2-2>払拭部材からヘッドへの洗浄液の塗布(図3B)を1回
<2-3>払拭部材による払拭(図3C)を1回
・洗浄液塗布開始から払拭開始までの間隔:表2参照
・払拭性評価
劣化評価用シーケンスを1000回行った後に、払拭評価用シーケンスを1回行った。その後、以下の評価基準及び方法で評価した。
〔払拭率算出方法〕
払拭前後の試料面画像をスキャナで取り込み、画像から試料面上に残留するインク面積を算出した。(取り込み画像は二値化によってインク部分を抽出し、そのピクセル数を読み取って払拭前後のピクセル数の比から払拭率を算出した。)
〔評価基準〕
A:払拭率50%以上
B:払拭率20%以上50%未満
C:払拭率20%未満
Figure 0007413783000006
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
る。
<1> 帯状の払拭部材と、
洗浄液を含む前記払拭部材を液体吐出ヘッドにおける撥水膜を有するノズル形成面に押し当てる押し当て手段と、
前記液体吐出ヘッドと、前記押し当て手段により前記ノズル形成面に押し当てられた前記払拭部材との相対移動を制御する制御手段と、
を有する液体吐出ヘッドの払拭装置であって、
前記制御手段が、前記液体吐出ヘッドと前記押し当て手段により前記ノズル形成面に押し当てられた前記払拭部材との第1相対移動の速度(T1)と、前記第1相対移動の後の前記液体吐出ヘッドと前記押し当て手段により前記ノズル形成面に押し当てられた前記払拭部材との第2相対移動の速度(T2)との比(T1/T2)の絶対値が、0.2未満となるように、前記相対移動を制御する、
ことを特徴とする液体吐出ヘッドの払拭装置である。
<2> 前記第1相対移動の速度(T1)が、0mm/秒以上10mm/秒以下である前記<1>に記載の液体吐出ヘッドの払拭装置である。
<3> 前記第2相対移動の速度(T2)が、20mm/秒以上100mm/秒以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載の液体吐出ヘッドの払拭装置である。
<4> 前記制御手段が、前記液体吐出ヘッドを移動させず、前記ノズル形成面と平行な方向である第1方向に前記押し当てローラを第1移動速度で移動させつつ、かつ前記第1方向と反対方向に前記払拭部材を第2移動速度で移動させることで、前記第1相対移動を制御する、前記<1>から<3>のいずれかに記載の液体吐出ヘッドの払拭装置である。
<5> 前記第1相対移動の速度(T1)が、0mm/秒であり、
前記第1移動速度と、前記第2移動速度とが、同じ速度である、
前記<4>に記載の液体吐出ヘッドの払拭装置である。
<6> 前記押し当て手段が、前記第1相対移動の際に前記払拭部材を前記ノズル形成面に押し当てる第1押し当て部材と、前記第2相対移動の際に前記払拭部材を前記ノズル形成面に押し当てる第2押し当て部材と、を有する前記<1>から<5>のいずれかに記載の液体吐出ヘッドの払拭装置である。
<7> 前記第1押し当て部材が、前記払拭部材を前記ノズル形成面に押し当てる平面を有する、前記<6>に記載の液体吐出ヘッドの払拭装置である。
<8> 前記制御手段が、前記第1相対移動の開始から前記第2相対移動の開始までの時間が5秒以上20秒以下であるように、前記相対移動を制御する、前記<1>から<7>のいずれかに記載の液体吐出ヘッドの払拭装置である。
<9> 前記払拭部材が、裏面層と、前記ノズル形成面に接する表面層とを有し、
前記表面層の前記ノズル形成面と接する面の洗浄液拡散面積(Ss)と、前記裏面層における前記表面層側と反対側の面の洗浄液拡散面積(Sb)とが、下記(式1)を満たす前記<1>から<8>のいずれかに記載の液体吐出ヘッドの払拭装置である。
0.8<(Sb/Ss)<1.2 (式1)
<10> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の液体吐出ヘッドの払拭装置と、
前記払拭部材に前記洗浄液を付与する洗浄液付与手段と、
を有することを特徴とする液体吐出ヘッドの払拭ユニットである。
<11> ノズル形成面を有し、ノズル孔から液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記<10>に記載の液体吐出ヘッドの払拭ユニットと、
を有することを特徴とする液体吐出装置である。
<12> 前記払拭部材に前記洗浄液を付与する洗浄液付与手段を有する前記<11>に記載の液体吐出装置。
<13> 洗浄液を含む帯状の払拭部材を液体吐出ヘッドにおける撥水膜を有するノズル形成面に押し当てる押し当て工程と、
前記液体吐出ヘッドと、前記押し当て手段により前記ノズル形成面に押し当てられた前記払拭部材との相対移動を制御する制御工程と、
を含む液体吐出ヘッドの払拭方法であって、
前記制御工程において、前記液体吐出ヘッドと前記押し当て手段により前記ノズル形成面に押し当てられた前記払拭部材との第1相対移動の速度(T1)と、前記第1相対移動の後の前記液体吐出ヘッドと前記押し当て手段により前記ノズル形成面に押し当てられた前記払拭部材との第2相対移動の速度(T2)との比(T1/T2)の絶対値が、0.2未満となるように、前記相対移動が制御される、
ことを特徴とする液体吐出ヘッドの払拭方法である。
前記<1>から<9>のいずれかに記載の液体吐出ヘッドの払拭装置、前記<10>に記載の液体吐出ヘッドの払拭ユニット、前記<11>から<12>のいずれかに記載の液体吐出装置、及び前記<13>に記載の液体吐出ヘッドの払拭方法によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができるである。
3 キャリッジ
4、4a、4b 記録ヘッド
4n ノズル
20 維持回復機構
20b ノズル形成面を払拭する機構
41 ノズル形成面
300 払拭セット
320 シート状払拭部材
400 押し当てローラ
400A 押し当て板
400B 押し当てローラ
410 送り出しローラ
420 巻き取りローラ
430 洗浄液滴下装置
500 異物
特開2013-169761号公報

Claims (12)

  1. 帯状の払拭部材と、
    洗浄液を含む前記払拭部材を液体吐出ヘッドにおける撥水膜を有するノズル形成面に押し当てる押し当て手段と、
    前記液体吐出ヘッドと、前記押し当て手段により前記ノズル形成面に押し当てられた前記払拭部材との相対移動を制御する制御手段と、
    を有する液体吐出ヘッドの払拭装置であって、
    前記制御手段が、前記液体吐出ヘッドと前記押し当て手段により前記ノズル形成面に押し当てられた前記払拭部材との第1相対移動の速度(T1)と、前記第1相対移動の後の前記液体吐出ヘッドと前記押し当て手段により前記ノズル形成面に押し当てられた前記払拭部材との第2相対移動の速度(T2)との比(T1/T2)の絶対値が、0.2未満となるように、前記相対移動を制御
    前記押し当て手段が、前記第1相対移動の際に前記払拭部材を前記ノズル形成面に押し当てる第1押し当て部材と、前記第2相対移動の際に前記払拭部材を前記ノズル形成面に押し当てる第2押し当て部材と、を有することを特徴とする液体吐出ヘッドの払拭装置。
  2. 前記第1相対移動の速度(T1)が、0mm/秒以上10mm/秒以下である請求項1に記載の液体吐出ヘッドの払拭装置。
  3. 前記第2相対移動の速度(T2)が、20mm/秒以上100mm/秒以下である請求項1から2のいずれかに記載の液体吐出ヘッドの払拭装置。
  4. 前記制御手段が、前記液体吐出ヘッドを移動させず、前記ノズル形成面と平行な方向である第1方向に前記押し当て手段を第1移動速度で移動させつつ、かつ前記第1方向と反対方向に前記払拭部材を第2移動速度で移動させることで、前記第1相対移動を制御する、請求項1から3のいずれかに記載の液体吐出ヘッドの払拭装置。
  5. 前記第1相対移動の速度(T1)が、0mm/秒であり、
    前記第1移動速度と、前記第2移動速度とが、同じ速度である、
    請求項4に記載の液体吐出ヘッドの払拭装置。
  6. 前記第1押し当て部材が、前記払拭部材を前記ノズル形成面に押し当てる平面を有する、請求項1から5のいずれかに記載の液体吐出ヘッドの払拭装置。
  7. 前記制御手段が、前記第1相対移動の開始から前記第2相対移動の開始までの時間が5秒以上20秒以下であるように、前記相対移動を制御する、請求項1からのいずれかに記載の液体吐出ヘッドの払拭装置。
  8. 前記払拭部材が、裏面層と、前記ノズル形成面に接する表面層とを有し、
    前記表面層の前記ノズル形成面と接する面の洗浄液拡散面積(Ss)と、前記裏面層における前記表面層側と反対側の面の洗浄液拡散面積(Sb)とが、下記(式1)を満たす請求項1からのいずれかに記載の液体吐出ヘッドの払拭装置。
    0.8<(Sb/Ss)<1.2 (式1)
  9. 請求項1からのいずれかに記載の液体吐出ヘッドの払拭装置と、
    前記払拭部材に前記洗浄液を付与する洗浄液付与手段と、
    を有することを特徴とする液体吐出ヘッドの払拭ユニット。
  10. ノズル形成面を有し、ノズル孔から液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
    請求項に記載の液体吐出ヘッドの払拭ユニットと、
    を有することを特徴とする液体吐出装置。
  11. 前記払拭部材に前記洗浄液を付与する洗浄液付与手段を有する請求項10に記載の液体吐出装置。
  12. 洗浄液を含む帯状の払拭部材を液体吐出ヘッドにおける撥水膜を有するノズル形成面に押し当て手段により押し当てる押し当て工程と、
    前記液体吐出ヘッドと、前記押し当て手段により前記ノズル形成面に押し当てられた前記払拭部材との相対移動を制御する制御工程と、
    を含む液体吐出ヘッドの払拭方法であって、
    前記制御工程において、前記液体吐出ヘッドと前記押し当て手段により前記ノズル形成面に押し当てられた前記払拭部材との第1相対移動の速度(T1)と、前記第1相対移動の後の前記液体吐出ヘッドと前記押し当て手段により前記ノズル形成面に押し当てられた前記払拭部材との第2相対移動の速度(T2)との比(T1/T2)の絶対値が、0.2未満となるように、前記相対移動が制御され、
    前記押し当て手段が、前記第1相対移動の際に前記払拭部材を前記ノズル形成面に押し当てる第1押し当て部材と、前記第2相対移動の際に前記払拭部材を前記ノズル形成面に押し当てる第2押し当て部材と、を有することを特徴とする液体吐出ヘッドの払拭方法。
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