JP7413688B2 - 複合紙製容器及びその製造方法 - Google Patents
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Description
紙製容器にプラスチックから別途成形された螺子部を接合することも提案されており、例えば下記特許文献1には、紙を主体とし、その両面にプラスチック層とその片面にバリア層として珪素酸化物蒸着フィルムと、この蒸着面にプラスチック層を設けてなる積層素材を用いて、胴部および底板からなり、内面が蒸着面のプラスチック層になるようにカップ状に成形し、その胴部の頂部開口部周囲、胴部の重合部、胴部と底板との結合部にプラスチックの保護材を設けた紙容器であって、前記胴部の頂部開口部周囲の保護材外壁にネジ部を設けたことを特徴とするネジ機能付紙容器が提案されている。
紙製容器とプラスチック部材の分別廃棄を容易にすることも提案されており、例えば、下記特許文献3には、口栓が融着している紙容器の表側の胴部の面から開口部をまたぐように、トップ面にかけて折り曲げ可能ラインが形成され、注出筒を手でもぎ取ることができることができる紙容器が提案されている。
従って本発明の目的は、樹脂製部材を有する複合紙製容器において、廃棄時に樹脂製部材を容易且つ確実に分離することが可能な複合紙製容器を提供することである。
本発明の複合紙製容器においては、
1.前記注出筒と前記環状嵌合部は、同一の内径及び外径を有すること、
2.前記環状嵌合部のスパウト軸方向の高さが、前記紙製容器本体の側壁部の厚みと同じであること、
3.前記紙製容器本体における前記台座との接合面が0.5μm以上の表面粗さ(Ra)を有すること、
が好適である。
本発明によればまた、上記複合紙製容器の製造方法であって、前記紙製容器本体を射出金型に導入し、熱可塑性樹脂を射出することにより、該熱可塑性樹脂から成る樹脂製部材の成形と紙製容器本体の接合を行うことを特徴とする複合紙製容器の製造方法が提供される。
本発明の複合紙製容器を添付図面図1及び図1のX部分を拡大して示す図2に基づき説明する。
図1に示すように、本発明の一例の複合紙製容器1は、紙製容器本体2、及び紙製容器本体2の開口部に位置し、紙製容器本体2を外側からタガ締めするように位置する別体の環状部材10とから成っている。
紙製容器本体2は、底部3及び側壁部4から成り、側壁部4の上方が開口部5として形成されているカップ型紙容器である。紙製容器本体は、図2から明らかなように、紙基材2a及び耐湿性を有する熱可塑性樹脂から成る内層2bを有する多層構造を有している。
環状部材10は、環状壁11及び環状壁11の上端から半径方向内方に突出する突出部12から成っている。図1から明らかなように、環状壁11は、前述した紙製容器本体2の側壁部4の上方、すなわち開口部5付近の外面と接触する内径を有しており、突出部12は、紙製容器本体2の開口部5の先端面(開口端面)6と接触するように形成されている。また環状壁11の外面には、係合部として凸状の螺子条14が形成されており、蓋部材(図示せず)と係合して、容器のリシール性が確保されている。
紙製容器本体の側壁部を外側からタガ締めするように覆うと共に、開口端面を剛性を有する環状部材が覆うことにより、剛性に乏しい紙製容器本体の開口部を補強することができる。また開口部に限らず、紙製容器本体外面の一部を樹脂製部材により覆い補強することにより、剛性を持たせることが可能となる。すなわち、内容品の残量が減少すると自立性が難しくなる容器形態や、変形しやすい容器形態において、剛性を持たせることで、利便性や外観を保つことができる。
その一方、紙製容器本体2と環状部材10の接着部分13は、紙製容器本体の開口端面6の内面側部分のごく一部分であることから、接着部分13が強接着状態であったとしても、環状部材10を分離するために環状部材の側壁部4の下端に上方或いは斜め上方の外力を加えることにより、環状部材10は容易に紙製容器本体2から分離することが可能になる。そのため、内容物を使用後、紙製容器本体から熱可塑性樹脂から成る環状部材を完全に取り除くことができ、容易に分別廃棄することができる。
更に図示していないが、紙容器本体に剥離の起点となる位置にミシン目やスリットなどの弱化部を設けたり、環状壁の下端に指かかりのための突起部設ける、使用者が押込み部を視認できるように表示を設ける等、とすることにより、環状部材の分離がより容易になる。前記弱化部は、下記容器本体から開口端面6にかけて形成してもよい。紙製容器本体の押込み部を押し込んだときに、剥離の起点が形成されると同時に弱化部が破断し、紙製容器本体と環状部材10の間に隙間が確保されるので、環状部材10の分離がさらに容易になる。
図3に示す本発明の複合紙製容器は、紙製容器本体がゲーブルトップ型の紙容器20であり、樹脂製部材がスパウト30から成るものである。
全体を20で表す紙製容器本体は、底部21、側壁部22及び側壁部22の上方に位置する屋根型の斜面23から成っており、斜面23には、スパウトを装着するための開口24が形成されている。この紙製容器本体においても、図4から明らかなように、紙基材22a及び耐湿性を有する熱可塑性樹脂から成る内層22bを有する積層体から成形されている。
全体を1で表すスパウトは、紙製容器本体の斜面23との接合面となる台座31と、この台座31から容器外方に垂直に延びる注出筒32と、容器内方に延びる環状の嵌合部33とから成っており、注出筒32と環状嵌合部33は同一の内径及び外径を有しており、環状嵌合部33の外径は、紙製容器本体の開口24の口径と合致する。また注出筒32の外面には、係合部として凸状の螺子条14が形成されており、蓋部材(図示せず)と係合して、容器のリシール性が確保されている。
その一方、紙製容器本体20とスパウト30の接着部分35は、紙製容器本体の開口端面26の内面側部分のごく一部分であることから、接着部分35が強接着状態であったとしても、スパウト30の注出筒32の半径方向の外力を加えることにより、スパウト30の台座31が容易に紙製容器本体20の斜面23と剥離して、スパウト全体を紙製容器本体から容易に取り除くことが可能となる。
また蓋部材として、可撓性を有するシート状の蓋部材を使用する場合には、環状部材10の突出部11の上面にシート状の蓋部材を接合することができ、紙製容器本体にフランジを形成することなく、蓋部材を確実に固定することが可能となる。
本発明の紙製複合容器に用いられる紙製容器本体は、紙を主体とする材料から成り、少なくとも樹脂製部材と接合する面に、樹脂製部材を構成する溶融状態にある熱可塑性樹脂が含浸し、樹脂製部材を構成する熱可塑性樹脂が充填され得る凹部を有することが重要である。すなわち、紙製容器本体に用いる紙基材の種類にもよるが、紙を構成する複数の繊維間には空隙が形成され、この空隙が紙製容器本体の接合表面に凹部として存在し、この凹部に熱可塑性樹脂が充填されることによってアンカー効果が発現される。
このような凹部の程度は用いる紙基材の種類、繊維の目の粗さ等によって異なるが、表面粗さ(Ra)で表して0.5μm以上、特に1.0μm以上の範囲にあることが好適である。なお紙で使用されるベック平滑度で示すと、表面粗さ(Ra)とは一概には一致しないが60秒以下であることが好適である。
また紙製容器本体は、紙製容器の用途にもよるが、液体を含有する内容物を収納する場合には、少なくとも容器内面となる側に耐湿性の熱可塑性樹脂から成る内層を有する積層体であることが好ましい。また容器内面にこのような耐湿性熱可塑性樹脂から成る内層を有することにより、前述したように、樹脂製部材との間に接着部分を形成することが可能となり、樹脂製部材を強固に紙製容器に固定することも可能となる。
更に紙製容器本体の樹脂製部材の接合箇所は、凹部のある紙基材であることが望ましいが、それ以外の箇所では、容器外面にも容器内面と同様の熱可塑性樹脂から成る層を形成することもできる。また樹脂製部材と弱接着の樹脂外層を紙製容器本体外面全面に形成することもできる。
また前記内層を構成する耐湿性を有する熱可塑性樹脂としては、オレフィン系樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂等を使用することができ、特にオレフィン系樹脂を好適に使用することができる。オレフィン系樹脂としては、低-、中-、高-密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン-α-オレフィン共重合体などエチレン系重合体、ホモポリプロピレン、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-α-オレフィン共重合体などのプロピレン系重合体を例示することができる。
また本発明の紙製容器本体においては、上述した内外層のみならず、例えば、紙基材と上記内層又は上記外層の間に、接着樹脂層、金属箔等の他の層を有していてもよい。
紙製容器本体は、側壁部に貼り合せのためのオーバーラップ部が形成されていてもよく、図1に示したような環状部材が形成されることにより、オーバーラップ部の段差の影響を軽減することができ、蓋部材とのスムーズな係合が可能になる。
本発明の複合紙製容器に用いる樹脂製部材は、図1に示したように紙製容器本体の開口端面及び側壁部外面を被覆して、紙製容器本体の開口部を補強して係合部やフランジ部を形成し得る環状部材の他、図3に示したように紙製容器本体の開口に嵌合して取り付けられるスパウト、或いは紙製容器本体に形成された孔を覆うように閉塞して、ストロー等の差し込み口となる部材等、種々の形態をとることができる。
樹脂製部材は、紙製容器本体の少なくとも一部に接合されていればよく、例えば図1に示した具体例では、側壁部の上部にのみ環状部材が形成されていたが、側壁部の大部分を覆うように形成してもよい。
また樹脂製部材は、図1及び図3に示したように、螺子部等の係合部を有することが好ましく、これにより、蓋部材との確実な係合が可能となり、紙製容器にリシール機能を付与することが可能となる。また図に示した具体例では、係合部として凸状の螺子条が形成されていたが、これに限定されず、蓋部材に凸状の螺子条が形成され、環状壁に凹状の螺子溝が形成されていてもよい、また係合部は螺子係合に限定されず、環状壁及び蓋部材のそれぞれに径方向に突出する環状突部が形成されこれらが上下方向に係合する係合部であってもよいし、或いは周方向に係合するラチェット状の係合部であってもよい。
樹脂製部材は、インサート成形により成形及び紙製容器本体との一体化が可能な熱可塑性樹脂から成ることが特に好適である。樹脂製部材を形成し得る熱可塑性樹脂は、紙製容器本体の内層との関係から上述したとおりである。
本発明の複合紙製容器は、それぞれ別に成形された樹脂製部材及び紙製容器本体を、樹脂製部材の成形と、樹脂製部材の紙製容器本体への一体化を同時に行うインサート成形により製造することが好ましい。すなわち、溶融状態にある熱可塑性樹脂が、紙製容器本体が設置された金型内に射出されることにより、溶融樹脂は射出による圧力をかけられているので、紙基材の繊維間の空隙に容易に含浸する。繊維間に含浸した溶融熱可塑性樹脂が冷却固化されると、樹脂製部材の紙基材との接合面においては、樹脂製部材は表面凹部に充填された状態となり、隙間なく一体化されることから、所望の疑似接着状態を発現できる。また樹脂製部材が、図1に示したような紙製容器本体の外側に位置する環状部材である場合には、溶融熱可塑性樹脂が冷却することにより収縮し、紙製容器本体を外側からタガ締めすることから、環状部材と紙製容器本体の疑似接着状態はより強固となる。
一般的にオフィス用として市販されているカール部外径72mm、ハイト80mm、内容量205mlの内面ポリエチレンラミネートされた紙コップのカール部分をハサミで切って取り除き、射出金型にインサートし、型締め力45tonで型締めを行い、射出温度180℃、射出速度8mm/sec、 射出圧力10MPaにて溶融樹脂を射出して環状部材を成形し、複合紙製容器とした。なお環状部材は直鎖状低密度ポリエチレン(プライムポリマー製ネオゼックス 45200)から成る。成形した複合紙製容器を、開口端部付近の断面写真である図5及び図5のX部分を拡大して示す図6において説明する。図5に示すように、紙基材2aの内面側には熱可塑性樹脂から成る内層2bが存在しており、外面側には環状部材10環状壁11が存在している。図6から明らかなように環状部材10の環状壁11と紙基材2aの界面は凹凸のある状態となっており、アンカー効果の発現が推察される。
成形した複合紙製容器における紙コップの環状部材のすぐ下の部分を押込み、紙コップと環状部材の剥離起点を作成した後、徐々に周方向に剥がしていくことにより、完全に紙コップから環状部材を分離できた。なお環状部材を容器の軸方向に引っ張ったり、周方向にねじるだけでは紙コップからは分離できなかった。一度分離した環状部材は、成形収縮により縮径しているため、紙コップの元の位置には嵌らなかった。
Claims (5)
- 少なくとも底部及び側壁部を有する紙製容器本体と、樹脂製部材とから成る複合紙製容器であって、
前記紙製容器本体は、内面に熱可塑性樹脂から成る層を有し、
前記樹脂製部材は、紙製容器本体との接合面となる台座、該台座から容器外方に延びる注出筒、及び前記台座から容器内方に延びる環状嵌合部とから成るスパウトであり、
前記台座が容器本体と疑似接着状態であり、
前記環状嵌合部が、前記紙製容器本体の端部を被覆し且つ内面の熱可塑性樹脂から成る層と強接着状態であり、
前記注出筒の外面には、螺子部が形成されており、
前記樹脂製部材は、前記紙製容器本体の少なくとも一部で剥離可能に接合されており、該接合界面において、紙製容器本体の表面凹部に樹脂製部材を構成する樹脂が充填されていることを特徴とする複合紙製容器。 - 前記注出筒と前記環状嵌合部は、同一の内径及び外径を有する請求項1記載の複合紙製容器。
- 前記環状嵌合部のスパウト軸方向の高さが、前記紙製容器本体の側壁部の厚みと同じである請求項1又は2記載の複合紙製容器。
- 前記紙製容器本体における前記台座との接合面が0.5μm以上の表面粗さ(Ra)を有する請求項1~3の何れかに記載の複合紙製容器。
- 請求項1~4の何れかに記載の複合紙製容器の製造方法であって、
前記紙製容器本体を射出金型に導入し、熱可塑性樹脂を射出することにより、該熱可塑性樹脂から成る樹脂製部材の成形と紙製容器本体の接合を行うことを特徴とする複合紙製容器の製造方法。
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