JP7411955B2 - 縦型洗濯機 - Google Patents

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Description

この発明は、縦型洗濯機に関する。
下記特許文献1に開示された縦型洗濯機は、洗濯脱水槽と、洗濯脱水槽の底部に設けられたパルセータと、洗濯脱水槽およびパルセータのそれぞれを回転させるモータとを含む。縦型洗濯機において脱水運転が終了すると、洗濯された衣類が、互いに絡み合い、洗濯脱水槽の内壁面や底部に押し固められた状態になる。そこで、縦型洗濯機では、衣類を洗濯脱水槽から剥がすはがし行程と、絡み合った衣類をほぐすほぐし行程とが実行される。はがし行程およびほぐし行程のそれぞれでは、モータのONおよびOFFが繰り返されることによってパルセータが一方向だけに回転する。
特開2018-79061号公報
特許文献1の縦型洗濯機のようにパルセータを一方向だけに回転させるはがし行程やほぐし行程では、洗濯物を洗濯脱水槽から効果的に剥がしたり、絡み合った衣類を十分にほぐしたりすることが困難である。他の洗濯物と絡み合って洗濯脱水槽の内周部に貼り付いたままの状態で取り出された洗濯物には、深い皺が残るので、洗濯物の仕上がりが損なわれてしまう。
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、脱水運転後の洗濯物の仕上がりの向上を図れる縦型洗濯機を提供することを目的とする。
本発明は、駆動力を発生する駆動手段と、洗濯物の出入口が形成された上端部と、底壁が設けられた下端部とを有し、前記駆動手段の駆動力を受けて回転する回転槽と、前記回転槽内において前記底壁上に配置され、前記駆動手段の駆動力を受けて回転する回転翼であって、上側へ隆起した隆起部が設けられた上面部を有する回転翼と、前記駆動手段を制御することによって前記回転槽および前記回転翼を回転させる制御手段であって、前記回転槽を回転させることによって前記回転槽内の洗濯物を脱水する脱水運転と、前記脱水運転後に前記回転槽内の洗濯物を仕上げる仕上げ運転とを実行する制御手段とを含み、前記隆起部が、前記回転翼の回転方向における一方側の第1傾斜面部と、前記回転方向における他方側の第2傾斜面部とを有し、前記回転翼の回転軸線に直交する平坦面に対する前記第1傾斜面部の鋭角の傾斜角度が、前記平坦面に対する前記第2傾斜面部の鋭角の傾斜角度よりも大きく、前記制御手段が、前記回転翼を、前記隆起部において前記第1傾斜面部が前記第2傾斜面部よりも先頭に位置するように正転させたり、前記隆起部において前記第2傾斜面部が前記第1傾斜面部よりも先頭に位置するように逆転させたりすることができ、前記制御手段が、前記仕上げ運転中において、前記回転翼の正転および逆転を繰り返すことによって前記回転槽の内周部から洗濯物を剥がす剥がし処理と、前記剥がし処理後に前記剥がし処理とは異なる回転条件で前記回転翼の正転および逆転を繰り返すことによって前記回転槽内における洗濯物の絡みをほぐすほぐし処理とを実行する、縦型洗濯機である。
また、本発明は、前記剥がし処理では、前記回転翼の正転時間が前記回転翼の逆転時間よりも長く、前記ほぐし処理では、前記回転翼の逆転時間が前記回転翼の正転時間よりも長いことを特徴とする。
また、本発明は、前記ほぐし処理での前記回転翼の回転数が、前記剥がし処理での前記回転翼の回転数よりも低いことを特徴とする。
本発明によれば、縦型洗濯機では、脱水運転における回転槽の回転により生じた遠心力によって回転槽内の洗濯物が脱水されるので、脱水運転の終了時点では、回転槽内の複数の洗濯物が絡み合って回転槽の内周部に貼り付いた状態にあることが想定される。そこで、縦型洗濯機では、脱水運転後に、回転槽内の洗濯物を仕上げる仕上げ運転が実行される。仕上げ運転中では、剥がし処理と、剥がし処理後のほぐし処理とが実行され、剥がし処理およびほぐし処理のそれぞれでは、回転翼の正転および逆転を繰り返される。
回転翼において回転槽内の洗濯物に臨む上面部には、上側へ隆起した隆起部が設けられ、隆起部は、回転翼の回転方向における両側にそれぞれ配置された第1傾斜面部および第2傾斜面部を有し、第1傾斜面部は、第2傾斜面部よりも傾斜が急である。
正転中の回転翼の隆起部では、第1傾斜面部が第2傾斜面部よりも先頭に位置する。そのため、剥がし処理での回転翼の正転中では、傾斜の急な第1傾斜面部が、第2傾斜面部よりも先に洗濯物に接触して回転槽の内周部の洗濯物を掻き取ることによって、回転槽の内周部から洗濯物を剥がす。
逆転中の回転翼の隆起部では、第2傾斜面部が第1傾斜面部よりも先頭に位置する。そのため、ほぐし処理での回転翼の逆転中では、傾斜の緩い第2傾斜面部が、第1傾斜面部よりも先に回転槽内の洗濯物に接触して洗濯物を上下に揺さぶって分散することによって、洗濯物をほぐす。
剥がし処理とほぐし処理とでは、回転翼の正転および逆転についての回転条件が異なる。そのため、剥がし処理では、回転翼の正転が主となる回転条件によって回転翼の正転が促進されることにより、回転槽の内周部から洗濯物を効果的に剥がすことができる。そして、剥がし処理後のほぐし処理では、回転翼の逆転が主となる回転条件によって回転翼の逆転が促進されることにより、回転槽内の洗濯物を効果的にほぐすことができる。このように回転槽の内周部から剥がされて絡みがほぐされた洗濯物には深い皺が残りにくいので、脱水運転後の洗濯物の仕上がりの向上を図れる。
また、本発明によれば、剥がし処理では、回転翼の正転時間が回転翼の逆転時間よりも長いので、回転翼の正転が促進されることにより、回転槽の内周部から洗濯物を効果的に剥がすことができる。一方、ほぐし処理では、回転翼の逆転時間が回転翼の正転時間よりも長いので、回転翼の逆転が促進されることにより、回転槽内の洗濯物を効果的にほぐすことができる。
また、本発明によれば、ほぐし処理での回転翼の回転数が、剥がし処理での回転翼の回転数よりも低い。そのため、ほぐし処理では、回転翼の低速逆転によって回転槽内の洗濯物が上下に優しく揺さぶられるので、洗濯物同士を再び絡ませることなく効果的にほぐすことができる。
この発明の一実施形態に係る縦型洗濯機の模式的な縦断面右側面図である。 縦型洗濯機の電気的構成を示すブロック図である。 縦型洗濯機に含まれる回転翼の斜視図である。 図3のA矢印から見た回転翼の側面図である。 縦型洗濯機で実行される仕上げ運転を示すタイムチャートである。 脱水運転の終了直後の縦型洗濯機の回転槽の平面図である。 仕上げ運転における剥がし処理の終了直後の回転槽の平面図である。 仕上げ運転におけるほぐし処理の終了直後の回転槽の平面図である。
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る縦型洗濯機1の模式的な縦断面右側面図である。図1の紙面に直交する方向を縦型洗濯機1の左右方向Xといい、図1における左右方向を縦型洗濯機1の前後方向Yといい、図1における上下方向を縦型洗濯機1の上下方向Zという。左右方向Xのうち、図1の紙面の奥側を縦型洗濯機1の左側X1といい、図1の紙面の手前側を縦型洗濯機1の右側X2という。前後方向Yのうち、図1における左側を前側Y1といい、図1における右側を後側Y2という。上下方向Zのうち、上側を上側Z1といい、下側を下側Z2という。
縦型洗濯機1は、筐体2と、筐体2内に配置される外槽3と、外槽3内に収容される回転槽4と、回転槽4内の下部に配置される回転翼5と、回転槽4や回転翼5を回転させる駆動力を発生する駆動手段の一例としての電動のモータ6と、モータ6の駆動力を回転槽4や回転翼5に伝達する電動の伝達機構7とを含む。
筐体2は、例えば金属製であり、ボックス状に形成される。筐体2の上面部2Aには、筐体2の内外を連通させる開口2Bが形成される。上面部2Aには、開口2Bを開閉する扉8が設けられる。上面部2Aにおいて例えば開口2Bよりも前側Y1の領域には、スイッチや液晶パネルなどで構成された表示操作部9が設けられる。使用者は、表示操作部9のスイッチなどを操作することによって、縦型洗濯機1の運転条件を自由に選択したり、縦型洗濯機1に対して運転開始や運転停止などを指示したりすることができる。表示操作部9の液晶パネルなどには、縦型洗濯機1の運転に関する情報が目視可能に表示される。
外槽3は、例えば樹脂製であり、有底円筒状に形成される。外槽3は、ばねおよび減衰機構を有する吊棒やショックアブソーバなどの支持部材10を介して筐体2に連結され、支持部材10によって弾性支持される。外槽3は、上下方向Zに沿って配置された略円筒状の円周壁3Aと、円周壁3Aの中空部分を下側Z2から塞ぐ底壁3Bと、円周壁3Aの上側Z1側の端縁を縁取りつつ円周壁3Aの円中心側へ張り出したリング状の環状壁3Cとを有する。環状壁3Cの内側には、円周壁3Aの中空部分に上側Z1から連通する出入口3Dが形成される。出入口3Dは、筐体2の開口2Bに対して下側Z2から対向し、連通した状態にある。環状壁3Cには、出入口3Dを開閉する扉11が設けられる。底壁3Bは、略水平に延びる円板状に形成され、底壁3Bの円中心位置には、底壁3Bを貫通する貫通孔3Eが形成される。
外槽3内には、水が溜められる。外槽3には、水道水の蛇口につながった給水路12が上側Z1から接続され、水道水が給水路12から外槽3内に供給される。給水路12の途中には、給水を開始したり停止したりするために開閉される給水弁13が設けられる。外槽3には、排水路14が下側Z2から接続され、外槽3内の水は、排水路14から機外に排出される。排水路14の途中には、排水を開始したり停止したりするために開閉される排水弁15が設けられる。
回転槽4は、例えば金属製であり、外槽3よりも一回り小さい有底円筒状に形成され、内部に洗濯物Qを収容することができる。回転槽4は、上下方向Zに沿って配置された略円筒状の円周壁4Aと、円周壁4Aの中空部分を下側Z2から塞ぐ底壁4Bとを有する。
円周壁4Aの内周面4Cは、回転槽4の内周部を構成する。内周面4Cの上端部は、回転槽4全体の上端部4Dをなす。回転槽4の上端部4Dには、内周面4Cの上端部によって縁取られた出入口4Eが形成される。出入口4Eは、円周壁4Aの中空部分を上側Z1に露出させる。出入口4Eは、外槽3の出入口3Dに対して下側Z2から対向し、連通した状態にある。出入口3Dおよび出入口4Eは、扉11によって一括開閉される。縦型洗濯機1の使用者は、開放された開口2B、出入口3Dおよび出入口4Eを介して、回転槽4に対して洗濯物Qを出し入れする。
回転槽4は、外槽3内に同軸上で収容される。外槽3および回転槽4は、洗濯槽16を構成する。洗濯槽16の全体は、支持部材10によって弾性支持される。外槽3内に収容された状態の回転槽4は、その中心軸をなして上下方向Zに延びる回転軸線Jを中心として回転可能である。また、回転槽4の円周壁4Aおよび底壁4Bの少なくともいずれかには、図示しない貫通孔が複数形成され、外槽3内の水は、当該貫通孔を介して、外槽3と回転槽4との間で行き来できる。そのため、外槽3内の水位と回転槽4内の水位とは、一致する。
回転槽4の底壁4Bは、回転槽4の下端部であり、外槽3の底壁3Bに対して上側Z1に間隔を隔てて略平行に延びる円板状に形成される。底壁4Bにおいて回転軸線Jと一致する円中心位置には、底壁4Bを貫通する貫通孔4Fが形成される。底壁4Bには、貫通孔4Fを取り囲みつつ回転軸線Jに沿って下側Z2へ延び出た管状の支持軸17が設けられる。支持軸17は、外槽3の底壁3Bの貫通孔3Eに挿通されて、支持軸17の下端部は、底壁3Bよりも下側Z2に位置する。
回転翼5は、いわゆるパルセータであり、回転軸線Jを円中心とする円盤状に形成され、回転槽4内における底壁4B上に回転槽4と同軸上に配置される。回転翼5において回転槽4の出入口4Eを臨む上面部5Aには、回転軸線Jを中心として放射状に配置される複数の隆起部5Bが設けられる。隆起部5Bは、回転翼5における羽根部分である。
この実施形態では、2つの隆起部5Bが、回転翼5の回転軸線Jまわりの回転方向Pにおいて180度ずれた位置に1つずつ設けられ、それぞれの隆起部5Bは、回転軸線Jを基準とする径方向Rに延びながら上側Z1へ隆起して形成される(図3参照)。それぞれの隆起部5Bは、回転方向Pにおける一方側の第1傾斜面部5Cと、回転方向Pにおける他方側の第2傾斜面部5Dとを有し、第1傾斜面部5Cと第2傾斜面部5Dとは、径方向Rの外側から見て左右非対称な逆V字状つまり山型をなすように、回転方向Pにおける隆起部5Bの両側に1つずつ配置される(図4参照)。
回転軸線Jに直交する仮想の平坦面Tに対する第1傾斜面部5Cの鋭角の傾斜角度αは、平坦面Tに対する第2傾斜面部5Dの鋭角の傾斜角度βよりも大きい(図4参照)。つまり、第1傾斜面部5Cは、第2傾斜面部5Dよりも傾斜が急である。一例として、傾斜角度αは、約45度であり、傾斜角度βは、約35度である。なお、第1傾斜面部5Cおよび第2傾斜面部5Dのそれぞれでは、全域が平坦面によって構成されなくてもよい。その場合、第1傾斜面部5Cにおける平坦部分と平坦面Tとがなす鋭角の交差角度を傾斜角度αと定義してもよいし、第1傾斜面部5Cにおける曲面部分に対する仮想の接線と平坦面Tとがなす鋭角の交差角度を傾斜角度αと定義してもよい。第2傾斜面部5Dの傾斜角度βの定義についても同様である。
回転翼5には、その円中心から回転軸線Jに沿って下側Z2へ延びる回転軸18が設けられる。回転軸18は、支持軸17の中空部分に挿通されて、回転軸18の下端部は、外槽3の底壁3Bよりも下側Z2に位置する。なお、回転翼5の上面部5Aにおいて隆起部5B以外の領域は、隆起部5Bよりも低い位置に配置されるのであれば任意に構成でき、例えば、回転軸線J側へ向かうにつれて下降するテーパ面であってもよい。また、上面部5Aには、2つの隆起部5Bの間の中央位置において上側Z1へ突出する半球状の凸部5Eが設けられてもよいし、回転翼5を上下方向Zに貫通する複数の貫通孔5Fが形成されてもよい(図3参照)。
モータ6は、例えばインバータモータによって構成される。モータ6は、筐体2内において、外槽3の下側Z2に配置される。モータ6は、回転軸線Jを中心として回転する出力軸19を有する。伝達機構7は、支持軸17および回転軸18のそれぞれの下端部と、出力軸19の上端部との間に介在される。
伝達機構7は、モータ6が出力軸19から出力する駆動力を、支持軸17および回転軸18の一方または両方に対して選択的に伝達する。伝達機構7として、公知のものが用いられる。この実施形態ではモータ6および伝達機構7が外槽3に固定されるが、モータ6が筐体2に固定されて、モータ6の駆動力がベルトなどの伝達部材を介して伝達機構7から支持軸17や回転軸18に伝達されてもよい。モータ6の駆動力が支持軸17に伝達されると、回転槽4が、モータ6の駆動力を受けて支持軸17つまり回転軸線Jまわりに回転する。モータ6の駆動力が回転軸18に伝達されると、回転翼5が、モータ6の駆動力を受けて回転軸18つまり回転軸線Jまわりに回転する。回転槽4および回転翼5のそれぞれの回転方向は、前述した回転方向Pである。回転方向Pは、平面視で反時計回りの第1回転方向P1と、平面視で時計回りの第2回転方向P2とを含む(図3も参照)。第1回転方向P1と第2回転方向P2とは、互いに反対の方向である。また、この実施形態では、モータ6の回転方向つまり出力軸19の回転方向と、回転槽4および回転翼5のそれぞれの回転方向Pとは一致する。
図2は、縦型洗濯機1の電気的構成を示すブロック図である。縦型洗濯機1は、制御手段の一例としての制御部21を含む。制御部21は、例えば、CPU22と、ROMやRAMなどのメモリ23と、計時用のタイマ24とを含むマイコンとして構成され、筐体2内に内蔵される(図1も参照)。
縦型洗濯機1は、水位センサ25と、回転数センサ26とをさらに含む。モータ6、伝達機構7、給水弁13、排水弁15、表示操作部9、水位センサ25および回転数センサ26のそれぞれは、制御部21に対して電気的に接続される。
制御部21は、モータ6の回転を制御してモータ6に駆動力を発生させたり、モータ6の回転を停止したりする。制御部21は、伝達機構7を制御することによって、モータ6の駆動力の伝達先を支持軸17および回転軸18の一方または両方へと切り替える。モータ6の駆動力が支持軸17に伝達されると、回転槽4が回転する。モータ6の駆動力が回転軸18に伝達されると、回転翼5が回転する。このように、制御部21は、モータ6および伝達機構7を制御することによって、回転槽4および回転翼5を回転させる。
制御部21は、モータ6の回転方向を制御することにより、モータ6を正転させたり逆転させたりすることができる。モータ6を正転に応じて回転槽4および回転翼5も正転し、モータ6を逆転に応じて回転槽4および回転翼5も逆転する。この実施形態では、正転するモータ6の駆動力を受けた回転槽4および回転翼5は、第1回転方向P1(図3参照)に正転する。正転中の回転翼5における各隆起部5Bでは、第1傾斜面部5Cが第2傾斜面部5Dよりも先頭に位置する(図4も参照)。逆転するモータ6の駆動力を受けた回転槽4および回転翼5は、第2回転方向P2(図3参照)に逆転する。逆転中の回転翼5における各隆起部5Bでは、第2傾斜面部5Dが第1傾斜面部5Cよりも先頭に位置する(図4も参照)。
制御部21は、給水弁13および排水弁15の開閉を制御する。制御部21が排水弁15を閉じた状態で給水弁13を開くと、洗濯槽16に給水されて水が溜まる。制御部21が排水弁15を開くと、洗濯槽16が排水される。使用者が表示操作部9を操作して洗濯物Qの脱水条件などについて選択すると、制御部21は、その選択を受け付ける。制御部21は、表示操作部9の表示を制御する。
水位センサ25は、洗濯槽16の水位、つまり外槽3および回転槽4の水位を検知するセンサであり、水位センサ25の検出結果は、リアルタイムで制御部21に入力される。回転数センサ26は、モータ6の回転数、厳密には、モータ6における出力軸19の回転数を検出する装置であり、例えば、ホールICで構成される。回転数センサ26が読み取った回転数は、リアルタイムで制御部21に入力される。制御部21は、入力された回転数に基いて、例えば、モータ6に印加する電圧のデューティ比を制御することによって、モータ6を所望の回転数で回転させる。回転槽4の回転数は、この実施形態ではモータ6の回転数と同じである。回転翼5の回転数は、実際には、伝達機構7での減速比などの所定の定数をモータ6の回転数に乗じて得られる値、つまりモータ6の回転数よりも低い値である。しかし、この実施形態では、回転翼5の回転数とモータ6の回転数とが同じであるとみなす。回転数センサ26は、モータ6の回転数を検出することによって、回転槽4および回転翼5のそれぞれの回転数も検出する。
次に、縦型洗濯機1において制御部21が実行する洗い運転、すすぎ運転および脱水運転について、説明する。縦型洗濯機1には、洗い運転、すすぎ運転および脱水運転をこの順番で実行する一般的な縦型洗濯機に限らず、洗濯物Qを乾燥させる乾燥運転も実行する縦型洗濯乾燥機も含まれるが、以下では、乾燥運転についての説明は省略する。
洗い運転では、制御部21は、洗濯槽16に所定時間給水し、モータ6によって回転翼5だけを回転させる。これにより、回転槽4内の洗濯物Qは、洗濯物Qを下側Z2から臨んだ状態で回転する回転翼5の隆起部5Bによって撹拌されたり、洗い運転開始前に回転槽4内に投入された洗剤によって汚れが分解されたりすることによって洗浄される。洗い運転後のすすぎ運転では、制御部21は、洗濯槽16に所定時間給水し、モータ6によって回転翼5だけを回転させる。これにより、回転槽4内の洗濯物Qは、回転する回転翼5が回転槽4内に発生させる水道水の水流によってすすがれる。すすぎ運転は、複数回実行されてもよい。
脱水運転では、制御部21は、回転槽4および回転翼5を高速回転させる。具体的には、制御部21は、段階的にモータ6をONにしてモータ6の回転数を上昇させて、最終的には、モータ6の回転数を例えば800rpm以上1000rpm以下という所定の脱水回転数まで上昇させてから、脱水回転数で回転するようにモータ6を制御する。これにより、回転槽4および回転翼5も脱水回転数で回転する。この回転で生じた遠心力により、回転槽4内の洗濯物Qは、径方向Rの外側へ移動して回転槽4の内周面4Cに押し付けられることによって脱水される。脱水運転中の排水弁15は開いた状態にあり、脱水によって洗濯物Qから染み出た水分は、排水路14を通って排出される。脱水回転数での回転槽4の定常回転が所定時間継続すると、制御部21は、モータ6をOFFにしてモータ6の回転を停止する。これにより、脱水運転が終了する。脱水運転には、洗い運転とすすぎ運転との間に実行される中間脱水運転や、最後のすすぎ運転の後に実行される最終脱水運転があってもよい。
脱水運転、詳しくは最終脱水運転の終了時点では、回転槽4内の複数の洗濯物Qが絡み合って回転槽4の内周面4Cに貼り付いた状態にあることが想定される(後述する図6を参照)。この状態の洗濯物Qは、回転槽4内から取り出しにくいし、絡み合った洗濯物Q同士をほどくのが大変である。絡み合った洗濯物Qを放置したままにすると、深い皺が洗濯物Qに残ることによって洗濯物Qの仕上がりが損なわれるので、絡み合った洗濯物Qは早めにほどく必要がある。そこで、制御部21は、脱水運転後に、回転槽4内の洗濯物Qを仕上げる仕上げ運転を実行する。
図5のタイムチャートを主に参照して、仕上げ運転について説明する。図5のタイムチャートでは、横軸が経過時間を示し、縦軸が、モータ6の回転数(単位:rpm)を示す。なお、縦軸において、0rpmより上では正転時におけるモータ6の回転数を示し、0rpmより下では逆転時におけるモータ6の回転数を示す。また、この実施形態における回転数は、絶対値である。前述したように、この実施形態では、回転翼5の回転数とモータ6の回転数とが同じであるとみなすので、図5のタイムチャートは、回転翼5の回転数の推移を示す。仕上げ運転は、剥がし処理と、剥がし処理後のほぐし処理とを含み、制御部21は、仕上げ運転中において、これらの処理を順に実行する。
剥がし処理では、制御部21は、まず、モータ6および伝達機構7を制御してモータ6の駆動力の伝達先を回転翼5だけにし、その後、モータ6のONおよびOFFを繰り返すことによって回転翼5を反転させる。回転翼5の反転とは、回転翼5が正転および逆転を交互に繰り返すことである。正転時における回転翼5の最高回転数V1は、例えば700rpmである。制御部21は、回転翼5の正転時において、所定の正転時間W1の間、回転翼5の回転数を最高回転数V1に維持し、回転翼5を最高回転数V1で定常回転させる。逆転時における回転翼5の最高回転数V2は、例えば700rpmである。制御部21は、回転翼5の逆転時において、所定の逆転時間W2の間、回転翼5の回転数を最高回転数V2に維持し、回転翼5を最高回転数V2で定常回転させる。この実施形態では、最高回転数V1と最高回転数V2とで同じであるが、これらが互いに異なってもよい。一方、剥がし処理では、回転翼5の正転時間W1は、回転翼5の逆転時間W2よりも長い。なお、正転時間W1および逆転時間W2のそれぞれは、回転翼5の回転数が最高回転数で維持される時間に限らず、回転翼5の回転数が0rpmから最高回転数まで上昇して0rpmまで低下するまでの時間、つまりモータ6のON時間を指してもよい。
第1回転方向P1に正転中の回転翼5の各隆起部5Bでは、傾斜の急な第1傾斜面部5Cが、絡み合った状態で回転槽4の内周面4Cに貼り付いた洗濯物Qに第2傾斜面部5Dよりも先に接触して洗濯物Qを回転方向Pに沿って掻き取ることによって、内周面4Cから洗濯物Qを剥がし、回転槽4の回転軸線J側へ寄せる(図7参照)。剥がし処理では、前述したように回転翼5の正転時間W1が回転翼5の逆転時間W2よりも長いので、回転翼5の正転が主となる回転条件によって回転翼5の正転が促進されることにより、回転槽4の内周面4Cから洗濯物Qを効果的に剥がすことができる。剥がし処理中に第2回転方向P2に逆転時間W2ずつ逆転する回転翼5の各隆起部5Bでは、第2傾斜面部5Dが、内周面4Cから剥がされた洗濯物Qの下側Z2を通過することによって洗濯物Qを上下に揺さぶるので、洗濯物Qが回転槽4内で素早く分散される。
制御部21は、例えば20秒の剥がし処理時間だけ回転翼5の反転を継続すると、モータ6をOFFにして剥がし処理を終了する。剥がし処理の終了時には、回転槽4内で内周面4Cから剥がされた洗濯物Qが、回転槽4の回転軸線J側に集まって若干ほぐされた状態にある(図7参照)。
剥がし処理後のほぐし処理では、制御部21は、モータ6の駆動力の伝達先を引き続き回転翼5だけにした状態で、モータ6のONおよびOFFを繰り返すことによって回転翼5を反転させる。つまり、制御部21は、ほぐし処理でも、回転翼5の正転および逆転を交互に繰り返す。ただし、回転翼5の正転および逆転についての回転条件が、剥がし処理とほぐし処理とで異なる。具体的に、剥がし処理は回転翼5の正転から開始されるが、ほぐし処理は回転翼5の逆転から開始される。また、ほぐし処理の逆転時における回転翼5の最高回転数V3は、剥がし処理の逆転時における回転翼5の最高回転数V2よりも低く、例えば300rpm以上450rpm以下である。また、ほぐし処理の正転時における回転翼5の最高回転数V4は、剥がし処理の正転時における回転翼5の最高回転数V1よりも低く、例えば300rpm以上450rpm以下である。このように、ほぐし処理での回転翼5の回転数が、剥がし処理での回転翼5の回転数よりも低い。
ほぐし処理では、制御部21は、回転翼5の逆転時において、所定の逆転時間W3の間、回転翼5の回転数を最高回転数V3に維持し、回転翼5を最高回転数V3で定常回転させる。一方、制御部21は、回転翼5の正転時において、所定の正転時間W4の間、回転翼5の回転数を最高回転数V4に維持し、回転翼5を最高回転数V4で定常回転させる。この実施形態では、最高回転数V3と最高回転数V4とで同じであるが、これらが互いに異なってもよい。一方、ほぐし処理では、回転翼5の逆転時間W3は、回転翼5の正転時間W4よりも長い。なお、逆転時間W3および正転時間W4のそれぞれは、回転翼5の回転数が最高回転数で維持される時間に限らず、回転翼5の回転数が0rpmから最高回転数まで上昇して0rpmまで低下するまでの時間、つまりモータ6のON時間を指してもよい。
ほぐし処理では、第2回転方向P2に逆転中の回転翼5の各隆起部5Bにおいて傾斜の緩い第2傾斜面部5Dが、内周面4Cから剥がされた洗濯物Qの下側Z2を第1傾斜面部5Cよりも先に通過することによって洗濯物Qを上下に長時間揺さぶる。これにより、剥がし処理によって回転槽4の内周面4Cから剥がされたものの絡み合った状態にある複数の洗濯物Q(図7参照)は、揺さぶられることによって分散するので、回転槽4内における複数の洗濯物Q間での絡みを効果的にほぐすことができる。ほぐし処理では、前述したように逆転時間W3が正転時間W4よりも長いので、回転翼5の逆転が主となる回転条件によって回転翼5の逆転が促進されることにより、回転槽4内の洗濯物Qを効果的にほぐすことができる。ほぐし処理中に回転翼5が正転時間W4ずつ正転することにより、各隆起部5Bの第1傾斜面部5Cが、回転槽4における内周面4C側の洗濯物Qを回転軸線J側へ素早く寄せる。
制御部21は、例えば40秒のほぐし処理時間だけ回転翼5の反転を継続すると、モータ6をOFFにしてほぐし処理を終了する。これにより、仕上げ運転の全体が終了する。仕上げ運転全体に要する時間は、例えば1分間である。仕上げ運転の終了時には、回転槽4内で内周面4Cから剥がされたそれぞれの洗濯物Qが、回転槽4の回転軸線J側に集まってほぐれてふっくらした状態にある(図8参照)。つまり、仕上げ処理後の回転槽4内の洗濯物Qは、絡みがほぐれた状態で回転槽4の回転中心側の取り出しやすい位置に配置されるので、使用者は、回転槽4内の洗濯物Qを容易に取り出すことができる。
このように、仕上げ運転では、洗濯物Qが、剥がし処理によって回転槽4の内周面4Cから剥がされた後に、ほぐし処理によって他の洗濯物Qと絡まないようにほぐされるので、回転槽4内から取り出した洗濯物Qには、深い皺が残りにくい。そのため、脱水運転後の洗濯物Qの仕上がりの向上を図れる。また、前述したように、ほぐし処理での回転翼5の回転数が、剥がし処理での回転翼5の回転数よりも低い。そのため、剥がし処理では、回転翼5の高速正転によって回転槽4の内周面4Cの洗濯物Qが漏れなく掻き取られるので、回転槽4の内周面4Cから洗濯物Qを効果的に剥がすことができる。一方、ほぐし処理では、回転翼5の低速逆転によって回転槽4内の洗濯物Qが上下に優しく揺さぶられるので、洗濯物Q同士を再び絡ませることなく効果的にほぐすことができる。なお、剥がし処理やほぐし処理において、回転翼5を正転方向または逆転方向のどちらか一方向だけに回転させると、洗濯物Qが捩じれるおそれがある。しかし、この実施形態のように回転翼5を反転させることによって、剥がし処理では、洗濯物Qの捩じれを抑制しながら洗濯物Qを回転槽4の内周面4Cから剥がすことができ、ほぐし処理では、洗濯物Qの捩じれを抑制しながら洗濯物Qの絡みをほぐすことができる。
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、回転槽4の回転中心である回転軸線Jは、この実施形態では垂直に延びるが、垂直方向に対して傾斜して配置されてもよい。
回転翼5の上面部5Aに設けられる隆起部5Bの数は任意に変更でき、例えば単数であってもよい。
1 縦型洗濯機
4 回転槽
4B 底壁
4C 内周面
4D 上端部
4E 出入口
5 回転翼
5A 上面部
5B 隆起部
5C 第1傾斜面部
5D 第2傾斜面部
6 モータ
21 制御部
J 回転軸線
P 回転方向
P1 第1回転方向
P2 第2回転方向
Q 洗濯物
T 平坦面
W1 剥がし処理における正転時間
W2 剥がし処理における逆転時間
W3 ほぐし処理における逆転時間
W4 ほぐし処理における正転時間
Z1 上側
α 平坦面Tに対する第1傾斜面部5Cの鋭角の傾斜角度
β 平坦面Tに対する第2傾斜面部5Dの鋭角の傾斜角度

Claims (3)

  1. 駆動力を発生する駆動手段と、
    洗濯物の出入口が形成された上端部と、底壁が設けられた下端部とを有し、前記駆動手段の駆動力を受けて回転する回転槽と、
    前記回転槽内において前記底壁上に配置され、前記駆動手段の駆動力を受けて前記回転槽に対して回転する回転翼であって、上側へ隆起した隆起部が設けられた上面部を有する回転翼と、
    前記駆動手段を制御することによって前記回転槽および前記回転翼を回転させる制御手段であって、前記回転槽を回転させることによって前記回転槽内の洗濯物を脱水する脱水運転と、前記脱水運転後に脱水されたままの前記回転槽内の洗濯物を仕上げる仕上げ運転とを実行する制御手段とを含み、
    前記隆起部は、前記回転翼の回転方向における一方側の第1傾斜面部と、前記回転方向における他方側の第2傾斜面部とを有し、
    前記回転翼の回転軸線に直交する平坦面に対する前記第1傾斜面部の鋭角の傾斜角度は、前記平坦面に対する前記第2傾斜面部の鋭角の傾斜角度よりも大きく、
    前記制御手段は、前記回転翼を、前記隆起部において前記第1傾斜面部が前記第2傾斜面部よりも先頭に位置するように正転させたり、前記隆起部において前記第2傾斜面部が前記第1傾斜面部よりも先頭に位置するように逆転させたりすることができ、
    前記制御手段は、前記仕上げ運転中において、前記回転槽に対する前記回転翼の正転および逆転を繰り返すことによって前記回転槽の内周部から洗濯物を剥がす剥がし処理と、前記剥がし処理後に前記剥がし処理とは異なる回転条件で前記回転槽に対する前記回転翼の正転および逆転を繰り返すことによって前記回転槽内における洗濯物の絡みをほぐすほぐし処理とを実行する、縦型洗濯機。
  2. 前記剥がし処理では、前記回転翼の正転時間が前記回転翼の逆転時間よりも長く、前記ほぐし処理では、前記回転翼の逆転時間が前記回転翼の正転時間よりも長い、請求項1に記載の縦型洗濯機。
  3. 前記ほぐし処理での前記回転翼の回転数が、前記剥がし処理での前記回転翼の回転数よりも低い、請求項1または2に記載の縦型洗濯機。
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