JP2023153764A - 縦型洗濯機 - Google Patents
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Abstract
【課題】洗いの基本性能を確保し、効率の良い洗濯ができる縦型洗濯機を提供する。【解決手段】外槽3に水が溜まった状態で洗濯槽4を回転させることにより、外槽3に溜まった水を外槽3と洗濯槽4との間で上昇させる槽回転処理を行う縦型洗濯機1において、制御部は、洗い工程において、給水部によって洗濯槽に予め定める洗い設定水位Wよりも少ない所定の低水位まで給水させ、洗濯槽4の回転時に溢水口30から溢水しないように、駆動部によって洗濯槽4を所定の回転数で回転させて槽回転処理を行う。【選択図】図4
Description
本開示は、縦型洗濯機に関する。
下記の特許文献1に記載の縦型洗濯機は、洗い工程において、洗濯水が溜まった洗濯槽を回転させて外槽内の洗濯水を外槽と洗濯槽との間で上昇させて洗濯槽内の洗濯物に浴びせる槽回転処理とを実行する。
特許文献1に記載の縦型洗濯機においては、槽回転処理により外槽内の洗濯水が洗濯槽と外槽との間で上昇した場合、外槽の上部に設けられた溢水口から溢水して洗濯水が排水される問題がある。このため、洗い工程及びすすぎ工程が順に行われる縦型洗濯機において、洗濯の前半、つまり洗い工程において、洗剤が溶け込んだ洗濯水を溢水させるおそれのある槽回転処理は、洗濯全体の効率化を考慮すると、行うべきではないという課題がある。
本開示は、かかる課題を解決するためになされたもので、洗いの基本性能を確保し、効率の良い洗濯ができる縦型洗濯機を提供することを目的とする。
(1)本開示に係る縦型洗濯機は、水を溜める外槽と、前記外槽内に回転可能に配置され、洗濯物を収容する洗濯槽と、前記洗濯槽内の底部に設けられ、洗濯槽に収容された洗濯物を攪拌するための回転翼と、前記洗濯槽内に給水をするための給水部と、前記外槽の上部に設けられ、前記外槽に所定の満水位以上の水が溜まったときに、その水を溢れ出させる溢水口と、前記洗濯槽及び前記回転翼を回転させる駆動力を発生する駆動部と、前記給水部及び前記駆動部を制御する制御部と、を含み、前記外槽に水が溜まった状態で前記洗濯槽を回転させることにより、前記外槽に溜まった水を前記外槽と前記洗濯槽との間で上昇させる槽回転処理を行う縦型洗濯機において、前記制御部は、洗い工程において、前記給水部によって前記洗濯槽に予め定める洗い設定水位よりも少ない所定の低水位まで給水し、前記洗濯槽の回転時に前記溢水口から溢水しないように、前記駆動部によって前記洗濯槽を所定の回転数で回転して前記槽回転処理を行う。
本開示によれば、制御部は、洗い工程(の前半部)において、洗濯槽に予め定める洗い設定水位よりも少ない所定の低水位(この水位を「槽回転適性水位」という。)まで給水し、洗濯槽を所定の回転数で回転させて槽回転処理を行う。よって、槽回転処理中に、洗濯水が溢水口から溢水することはない。また、槽回転処理により、洗剤が混ざった洗濯水がかき混ぜられ、泡を発生させるので、洗濯水を洗濯物の繊維の奥まで浸透させ、少ない水で洗浄力を高めることができる。
しかも、槽回転処理は、洗い工程(の前半部)において行われるので、洗浄力の高い洗い工程を実現でき、また洗濯水が溢水することがないので、洗濯水が無駄にならない。
(2)(1)に記載の縦型洗濯機において、前記制御部が、前記駆動部によって前記洗濯槽を回転する前記所定の回転数は、前記洗濯槽の回転により本縦型洗濯機に生じる第一の共振点を超えた回転数であってもよい。
(3)(2)に記載の縦型洗濯機において、前記制御部が前記駆動部によって前記洗濯槽を回転する前記所定の回転数は、前記洗濯槽の回転により本縦型洗濯機に生じる前記第一の共振点を超え第二の共振点未満の回転数であってもよい。
これらによれば、槽回転処理における洗濯槽の回転数が本縦型洗濯機に生じる第一共振点及び第二共振点を回避した第一共振点及び第二共振点の間の共振の谷間の回転数に設定されている。よって、槽回転処理における洗濯槽の揺れを少なくして、洗濯水の(溢水による)水溢れを防止することができる。
(4)(1)から(3)のいずれかに記載の縦型洗濯機において、前記制御部は、前記洗い工程において、前記洗濯槽に前記所定の低水位まで給水し、前記駆動部によって前記回転翼を回転させることによって前記洗濯槽内の洗濯物をほぐすほぐし処理を行い、前記ほぐし処理の後に前記槽回転処理を行ってもよい。
これによれば、槽回転処理前にほぐし処理をすることで、槽回転処理中の洗濯物のアンバランスに起因する洗濯水の(溢水による)水溢れを防止することができる。また、槽回転処理中に洗濯水が揺動して生じる水溢れを防止することができる。
(5)(1)から(4)のいずれかに記載の縦型洗濯機は、前記外槽に溜まった水の水位を検知する水位検知部を更に含み、前記制御部は、前記駆動部によって前記洗濯槽を回転させる前に、前記水位検知部で検知された前記外槽の水位が所定水位よりも高い水位である場合は、前記槽回転処理は行わないか、又は、前記洗濯槽の回転数を抑制して槽回転処理を行ってもよい。
これによれば、槽回転処理を行う前に水位を検知し、洗濯槽の水位が槽回転適性水位よりも高い所定水位(例えば異常水位又は抑制水位)よりも高い水位では、槽回転処理は行わないか、又は、洗濯槽の回転数を抑制して槽回転処理を行う。よって、槽回転処理中の洗濯水の溢水を適切に防止することができる。
本開示によれば、縦型洗濯機において、洗いの基本性能を確保し、効率の良い洗濯ができる。
以下には、図面を参照して、本開示の実施形態について具体的に説明する。
図1A~1Cは、本開示において行われる槽回転処理(槽回転洗い)を説明するための図で、図1Aは、縦型洗濯機の概略構成と、槽回転適性水位と、槽回転洗いの水位と、溢水水位との関係を示す図、図1Bは、洗濯機に生じる共振点と洗濯槽の回転数との関係を示す図、図1Cは、洗濯機に生じる共振点と振動の振幅との関係を示す図である。
図1Aを参照して、縦型洗濯機1は、筺体2内に設けられた有底円筒形状の外槽3と、外槽3内に、外槽3と同軸状に収められた有底円筒形状の洗濯槽4と、洗濯槽4の内底部に設けられた回転翼5とを含む。洗濯槽4の側周壁には図示しないが例えば多数のパンチング孔によって、通水孔が形成されている。洗濯槽4内に給水部(図示せず)から給水がされると、洗濯槽4に溜まった水は外槽3へ流出し、静止状態では、洗濯槽4の水位と外槽3の水位は等しくなる。そして、洗濯槽4及び外槽3に、槽回転適性水位まで水が溜められる。
外槽3の外底面(下面)には、モータ6が取り付けられており、モータ6の回転力はクラッチ機溝7や軸17、18を介して洗濯槽4又は回転翼5へ与えられる。
外槽3の下面には、排水路15が連通されている。排水路15には、排水路15を開閉する排水弁16が介在されている。
外槽3の上部には、外槽3に所定の満水位以上の水が溜まったとき(破線で示す溢水水位)に、その水を溢れ出させる溢水口30が設けられている。溢水口30は、溢水路31の上端に繋がり、溢水路31の下端は、排水弁16よりも下流側で、排水路15に合流している。
外槽3の外側部には、外槽3に溜まった水の水位を検知するための水位検知部28が設けられている。
そして、洗濯槽4の回転等により外槽3に振動が生じた場合に、その振動が外槽3から筺体2に伝達され難いように、図示しない振動吸収部材等を介し、外槽3は筺体2内に設置されている。
図1Aにおいて、槽回転適性水位を、1点鎖線で示す。槽回転適性水位まで洗濯水が溜められ、その状態で槽回転洗いが行われた時の洗濯水の水位を、2点鎖線で示す。槽回転洗いでは、洗濯槽4が所定の回転数(所定の回転数として、一例として、200rpmを例示できる。)で回転する。洗濯槽4が回転すると、洗濯槽4内に溜まった水に遠心力が働き、洗濯槽4内の水は洗濯槽4の側周壁から外槽3へと流出する。そして、洗濯槽4と外槽3との間の水位が、2点鎖線で示すように上昇する。
本開示においては、槽回転洗いにおける洗濯水の水位は、外槽3に設けられた溢水口30から水が溢れ出る水位である溢水水位(図1Aに破線で示す)よりも低い水位に設定されている。
ここで、本願発明者の知見によれば、洗濯槽4の回転数を徐々に上げていくと、ある2つの回転数において、外槽3が大きく振動する。一方の回転数では、外槽3の横方向の振動が大きくなり、他方の回転数では、外槽3の縦方向の振動が大きくなる。このように、洗濯槽4のある2つの回転数において外槽3の振動が大きくなる現象は、洗濯槽4および外槽3等の固有振動数に起因して共振が生じることによるものと考えられる。
図1Cに示すように、図1Aに示す縦型洗濯機1においては、槽回転洗いを行う場合、洗濯槽4の回転数を徐々に上げていくと、例えば洗濯槽4の回転数が100rpm~160rpm辺りで(洗濯槽4の容量10kgの場合の一例)、第1の共振点を迎え、その振動の振幅が第1の最大振幅となり、外槽3は大きく横揺れする。
その後、洗濯槽4の回転数が160rpmを超えると、外槽3の振動の振幅は一旦低下して安定する。そして、例えば洗濯槽4の回転数が240rpm~300rpm辺りで(洗濯槽4の容量10kgの場合の一例)、第2の共振点を迎え、その振動の振幅として第2の最大振幅を生じて、外槽3は大きく縦揺れする。
本開示では、縦型洗濯機1において、洗濯槽4を回転させた場合の上記の共振特性に鑑みて、図1Bに示すように、槽回転洗いを行う場合の洗濯槽4の回転数が、第1の共振点と第2の共振点との間の振動の振幅の谷となる所定の回転数に設定されている。
具体的には、図1Bに示すように、槽回転洗いでは、洗濯槽4の回転数は、約200rpmに設定されている。なお、槽回転洗いにおける洗濯槽の回転数は、約200rpmに限らず、共振の谷となる約170rpm~230rpmの範囲内にある任意の回転数であってもよい。
図2は、本開示の一実施形態に係る縦型洗濯機1の模式的な縦断面図である。縦型洗濯機1は、筐体2と、外槽3と、洗濯槽4と、回転翼の一例としてのパルセータ5と、駆動部の一例としてのモータ6と、クラッチ7とを含む。
筐体2は、例えば金属製であり、ボックス状に形成されている。筐体2の上面2Aには、筐体2の内外を連通させる開口2Bが形成されている。上面2Aには、開口2Bを開閉する扉10が設けられている。上面2Aにおける開口2Bの周囲には、液晶操作パネルなどで構成された表示操作部11が設けられていてもよい。縦型洗濯機1の使用者は、表示操作部11を操作することによって、縦型洗濯機1で実行される洗濯運転についての運転条件を選択したり、縦型洗濯機1に対して洗濯運転の開始や停止などを指示したりすることができる。表示操作部11には、使用者向けの情報が表示される。
外槽3は、例えば樹脂製であり、有底円筒状に形成されている。外槽3は、上下方向に沿って配置された略円筒状の円周壁3Aと、円周壁3Aの中空部分を下側から塞いだ底壁3Bと、円周壁3Aの上端縁に沿って円周壁3Aの円中心側へ張り出したリング状の環状壁3Cとを有する。環状壁3Cの内側には、円周壁3Aの中空部分に上側から連通した出入口3Dが形成されている。出入口3Dは、筐体2の開口2Bに対して下側から対向して連通した状態にある。環状壁3Cには、出入口3Dを開閉する扉12が設けられている。環状壁3Cの下面には、出入口3Dを縁取りつつ斜め下側へ傾斜したガイド面3Eが設けられている。底壁3Bは、略水平に延びる円板状に形成され、底壁3Bの円中心位置には、底壁3Bを貫通した貫通孔3Fが形成されている。
外槽3の環状壁3Cには、水道水の蛇口につながった給水路13が上側から接続されている。給水路13の途中には、給水弁14が設けられている。給水弁14は、例えば電磁弁によって構成されていてもよい。外槽3の底壁3Bには、排水路15が下側から接続されている。排水路15の途中には、排水弁16が介装されている。排水弁16は、例えばトルクモータ(図示せず)によって開閉される。排水弁16が閉じた状態で給水弁14が開くと、給水路13から洗濯槽4内に給水されることによって、洗濯槽4及び外槽3内に水が溜められる。給水弁14が閉じると、給水が停止する。排水弁16が開くと、外槽3内の水が排水路15から機外に排出される。なお、給水弁14(および給水路13)が給水部として機能する。
洗濯槽4は、一例としてステンレス板等の金属製であり、外槽3よりも一回り小さい有底円筒状に形成され、内部に洗濯物Qを収容することができる。洗濯槽4は、外槽3内に同軸状で配置されている。外槽3内に収容された状態の洗濯槽4は、その中心軸をなして上下方向に延びる軸線Jを中心として回転可能である。洗濯槽4は、上下方向に沿って配置された略円筒状の円周壁4Aと、円周壁4Aの中空部分を下側から塞いだ底壁4Bと、円周壁4Aの上端縁に沿って軸線J側へ張り出したリング状の環状壁4Cとを有する。
円周壁4Aの内周面は、洗濯槽4の内周面である。円周壁4Aは、外槽3の円周壁3Aによって取り囲まれた状態にある。底壁4Bは、洗濯槽4の下端に設けられている。環状壁4Cは、外槽3の環状壁3Cに対して下側から対向した状態にある。環状壁4Cの内側には、出入口4Dが形成されている。出入口4Dは、洗濯槽4の上端に位置し、円周壁4Aの中空部分を上側に露出させている。出入口4Dは、外槽3の出入口3Dに対して下側から対向して連通した状態にある。使用者は、開放された開口2B、出入口3Dおよび出入口4Dを介して、洗濯槽4に対して上側から洗濯物Qを出し入れする。
洗濯槽4の円周壁4Aおよび底壁4Bには、例えばパンチング孔により形成された通水孔4Eが多数個形成され、外槽3内の水は、通水孔4Eを介して外槽3と洗濯槽4との間で行き来して、洗濯槽4内にも溜まる。そのため、外槽3内の水位と洗濯槽4内の水位とは、一致する。なお、通水孔4Eは、円周壁4Aには設けられずに、底壁4Bだけに設けられていてもよい。
洗濯槽4の底壁4Bは、円板状に形成され、外槽3の底壁3Bに対して上側に間隔を隔てて略平行に延びる。底壁4Bにおいて軸線Jと一致する円中心位置には、底壁4Bを貫通した貫通孔4Fが形成されている。底壁4Bには、貫通孔4Fを取り囲みつつ軸線Jに沿って下側へ延び出た管状の支持軸17が設けられている。支持軸17は、外槽3の底壁3Bの貫通孔3Fに挿通されて、支持軸17の下端部は、底壁3Bよりも下側に位置する。
パルセータ5は、軸線Jを円中心とする円盤状に形成され、洗濯槽4内において底壁4B上に配置されている。パルセータ5において洗濯槽4の出入口4Dを臨む上面には、放射状に配置された複数の羽根5Aが設けられている。パルセータ5には、その円中心から軸線Jに沿って下側へ延びる回転軸18が設けられている。回転軸18は、支持軸17の中空部分に挿通されて、回転軸18の下端部は、外槽3の底壁3Bよりも下側に位置する。
モータ6は、インバータモータなどの電動モータである。モータ6は、筐体2内において、外槽3の下面に配置されていてもよい。モータ6は、軸線Jを中心として回転する出力軸19を有し、発生した駆動力を出力軸19から出力する。
クラッチ7は、支持軸17および回転軸18のそれぞれの下端部と、モータ6から上側に突出した出力軸19の上端部との間に介在されている。クラッチ7は、モータ6が出力軸19から出力する駆動力を、支持軸17及び回転軸18の一方または両方に対して選択的に伝達する。モータ6からの駆動力が支持軸17に伝達されると、洗濯槽4が、モータ6の駆動力を受けて軸線Jまわりに回転する。モータ6からの駆動力が回転軸18に伝達されると、パルセータ5が、モータ6の駆動力を受けて軸線Jまわりに回転する。クラッチ7としては、公知の伝達機構が用いられる。前述したトルクモータ(図示せず)がクラッチ7を作動させてもよい。
外槽3の上部には、外槽3に所定の満水位以上の水が溜まったときに、その水を溢れ出させる溢水口30が設けられている。溢水口30には、外槽3の外側面に沿って上下方向に延びる溢水路31の上端が連通されている。溢水路31の下端は排水弁16よりも下流側の排水路15に合流している。
本実施形態に係る縦型洗濯機1において、洗濯槽4に溜める水量としては、洗い設定水位Wが決められていると共に、槽回転洗いに適した槽回転適性水位、異常水位及び抑制水位(後述する)が予め決められている。
図3は、縦型洗濯機1の電気的構成を示すブロック図である。縦型洗濯機1は、制御部の構成要素としてのマイクロコンピュータ21を含む。マイクロコンピュータ21は、例えば、CPU22と、ROMやRAMなどのメモリ23と、計時用のタイマ24とを含み、筐体2内に内蔵されている(図2参照)。
前述したモータ6、クラッチ7、給水弁14および排水弁16のそれぞれは、例えば駆動回路25を介してマイクロコンピュータ21に接続され、前述した表示操作部11もマイクロコンピュータ21に接続されている。マイクロコンピュータ21は、モータ6をONにして駆動させたり、OFFにして停止させたりする。マイクロコンピュータ21は、モータ6の回転方向を制御することもできる。そのため、モータ6は、正転したり逆転したりすることができる。マイクロコンピュータ21は、クラッチ7を制御することによって、モータ6の駆動力の伝達先を洗濯槽4およびパルセータ5の一方または両方へと切り替える。マイクロコンピュータ21は、給水弁14および排水弁16の開閉を制御する。使用者が表示操作部11を操作して運転条件などについて選択すると、マイクロコンピュータ21は、その選択を受け付ける。マイクロコンピュータ21は、表示操作部11の表示内容を制御する。
縦型洗濯機1は、マイクロコンピュータ21に接続されたブザー26、回転数読取装置27および水位検出部28をさらに含む。マイクロコンピュータ21は、所定の音をブザー26で発生させることによって、洗濯運転の開始や終了などを使用者に知らせる。
回転数読取装置27は、モータ6の回転数、厳密には、モータ6における出力軸19の回転数を読み取る装置であり、例えばホールICで構成されていてもよい。回転数読取装置27が読み取った回転数は、リアルタイムでマイクロコンピュータ21に入力される。マイクロコンピュータ21は、入力された回転数に基いて、モータ6に印加する電圧のデューティ比を制御することによって、所望の回転数で回転するようにモータ6を制御する。なお、洗濯槽4およびパルセータ5のそれぞれの回転数は、モータ6の回転数と同じであってもよいし、クラッチ7での減速比などの所定の定数をモータ6の回転数に乗じて得られる値であってもよい。
水位検出部28は、外槽3内の水位つまり洗濯槽4内の水位を検出する水位センサである。水位検出部28の一例として、外槽3内の圧力に基いて外槽3内の水位を検出する圧力式水位センサを採用できる。
マイクロコンピュータ21は、モータ6、クラッチ7、給水弁14および排水弁16の動作を制御することによって、洗濯運転を実行する。洗濯運転は、洗濯物Qを洗う洗い工程と、洗い工程後に洗濯物Qをすすぐすすぎ工程と、すすぎ工程の後に洗濯槽4を回転させて洗濯物Qを脱水する脱水工程とを有する。なお、縦型洗濯機1は、脱水工程の後に洗濯物Qを乾燥させる乾燥工程も実行する洗濯乾燥機であってもよい。
本実施形態に係る縦型洗濯機1の特徴の1つは、洗い工程の(前半部)において、洗濯槽4に予め定める洗い設定水位Wよりも少ない所定の低水位(以下、この水位を「槽回転適性水位」という。)まで給水し、その状態で溢水口30から溢水しない所定の回転数(例えば約200rpm)で洗濯槽4を回転することにより、外槽3内の水を外槽3と洗濯槽4との間で上昇させる槽回転処理を行うようにしたことである。
このように、洗い工程の(前半部)において、槽回転処理を行うと、槽回転により洗濯水(水と洗剤)がかき混ぜられ、泡を発生させ、洗濯水(洗浄液)を洗濯物の繊維の奥まで浸透させることができる。よって、少ない水で洗浄力を高められる。
図4は、本実施形態に係る縦型洗濯機1における洗い工程の内容を具体的に示す処理順序のブロック図である。図4では、処理の内容が左から右に向かって、ステップS1~S7で示されている。
使用者が洗濯物Qを洗濯槽4内に投入して洗濯運転の開始を指示すると、マイクロコンピュータ21は、洗濯運転を開始する。なお、使用者は、洗濯物Qの投入に前後して、洗剤を洗濯槽4内に投入してもよい。
図4のブロック図を参照して、まず、マイクロコンピュータ21は、洗濯槽4内の洗濯物Qの量、つまり負荷量を検出する(ステップS1)。負荷量検出の一例として、マイクロコンピュータ21は、洗濯槽4を低速で定常回転させたときのモータ6の回転数のばらつきによって負荷量を検出することができる。マイクロコンピュータ21は、これから給水して洗濯槽4内に溜める水の水位W(図2参照)を、検出した負荷量に基いて決定する。水位Wと負荷量との関係は、実験などで予め求められてメモリ23に記憶されている。
そして、マイクロコンピュータ21は、洗い工程の最初の給水処理として、給水弁14を連続的に開いて洗濯槽4内に給水する(ステップS2)。排水弁16が閉じた状態にあるので、洗濯槽4内の水位が上昇する。洗濯槽4内の水位が、先ほど決定した水位Wよりも少ない所定の低水位である槽回転適性水位になると、マイクロコンピュータ21は、給水弁14を閉じることによって給水を停止する。これにより、給水処理が終了する。
給水処理の後に、マイクロコンピュータは、洗濯槽4内に水が溜まった状態において、ほぐし処理を実行する(ステップS3)。マイクロコンピュータ21は、ほぐし処理では、モータ6を間欠駆動させることによってパルセータ5を反転させる。本実施形態では、一例として、パルセータ5は、0.5秒の間隔で正転及び逆転を交互に繰り返すように反転する。これにより、洗濯槽4内で水に浸かった洗濯物Qが、反転するパルセータ5によってほぐされる。そのため、洗濯物Qの偏りが解消される。洗濯物Qの偏りとは、洗濯槽4内における洗濯物Qの偏在のことであり、アンバランスとも呼ばれる。所定のほぐし時間が経過すると、マイクロコンピュータ21は、ほぐし処理を終了する。
ほぐし処理後に、マイクロコンピュータ21は、槽回転処理を実行する(ステップS4)。
図5のフローチャートを参照して、槽回転処理の内容について具体的に説明をする。
槽回転処理では、まず、マイクロコンピュータ21は、洗濯槽4の水位が異常水位以上か否かの判別をする(ステップS41)。異常水位とは、洗濯槽4に溜まった水の水位が、槽回転適性水位を一定量超えた水位をいう。洗濯槽4の水位が異常水位になる場合としては、次のような場合が想定される。洗濯槽4に収容された洗濯物が多い場合、つまり負荷量が多い場合は、給水(図4のステップS2)により槽回転適性水位まで給水がされた後、ほぐし処理(図4のステップS3)が行われることにより、多量の負荷から水が浸み出して洗濯槽4の水位が上昇することが想定される。
槽回転適性水位を一定量超えた異常水位では、槽回転洗いを行うと、外槽3と洗濯槽4との間で水が上昇し過ぎて、溢水口30から洗濯水が溢水するおそれがある。そこで、本実施形態では、マイクロコンピュータ21が異常水位以上であると判別した場合は(ステップS41でYES)、槽回転洗いは行わずに、槽回転処理を終了することにした。
ステップS41で、マイクロコンピュータ21が洗濯槽4の水位が異常水位以上でないと判別すると、さらに、洗濯槽4の水位が抑制水位以上か否かの判別をする(ステップS42)。抑制水位とは、洗濯槽4に溜まった水の水位が異常水位に達してはいないが、槽回転適性水位を超えた所定の水位をいう。
抑制水位以上では、槽回転洗いにおいて、洗濯槽4を予め定める回転数(例えば約200rpm)で回転すると、外槽3と洗濯槽4との間で水が上昇し過ぎて、溢水口30から洗濯水が溢水するおそれがある。そこで、本実施形態では、マイクロコンピュータ21が抑制水位以上であると判別した場合は、モータ6の回転速度を抑制して、洗濯槽4の回転数を、たとえば約180rpmに設定する(ステップS43)。
次いで、マイクロコンピュータ21は、モータ6の駆動力がパルセータ5から洗濯槽4に伝達されるようにクラッチ7を切り替える(ステップS44)。そして、マイクロコンピュータ21は、予め定める設定回転数(例えば約200rpm)又は抑制回転数(例えば約180rpm)で洗濯槽4が回転するように、モータ6を回転させる(ステップS45)。
マイクロコンピュータ21は、タイマ24によって時間を計測し、予め定める槽回転時間が経過するまでモータ6を回転させ(ステップS46→S45→S46)、予め定める槽回転時間が経過したら、モータ6の回転を停止して(ステップS47)、槽回転処理を終了する。
図4を再び参照して、槽回転処理(ステップS4)が終了した後、攪拌処理が行われる(ステップS5)。
本実施形態では、攪拌処理に先立ち、マイクロコンピュータ21は、洗濯槽4内の水位を検出し、水位が負荷量検知(ステップS1)で決定した負荷量に基づく洗い設定水位Wになるように、追加の給水を行う。
洗濯槽4内に洗い設定水位Wまで水が溜まった状態において、マイクロコンピュータ21は、攪拌処理を実行する。具体的には、マイクロコンピュータ21は、モータ6の駆動力がパルセータ5に伝達されるように必要に応じてクラッチ7を切り替えてから、モータ6を駆動させることによってパルセータ5を回転させる(ステップS5)。パルセータ5は、同じ方向に連続回転してもよいが、本実施形態では、モータ6の間欠駆動によって、パルセータ5は、1秒~2秒の間隔で正転および逆転を交互に繰り返すように反転する。攪拌処理では、洗濯槽4内の洗濯物Qが、反転するパルセータ5によって攪拌洗いされる。なお、ステップS2での給水処理中においてもパルセータ5が回転してもよく、これにより、洗剤が水に溶けやすくなる。水に溶けた洗剤によって洗濯物Qの汚れが分解される。所定の撹拌時間が経過すると、マイクロコンピュータ21は、攪拌処理を終了する。
攪拌処理後に、マイクロコンピュータ21は、引き続き洗濯槽4内に水が溜まった状態において、ほぐし処理を実行する(ステップS6)。マイクロコンピュータ21は、ほぐし処理では、攪拌処理とは異なる条件でモータ6を間欠駆動させることによってパルセータ5を反転させてもよい。本実施形態では、一例として、パルセータ5は、攪拌処理のときよりも短い0.5秒の間隔で正転及び逆転を交互に繰り返すように、攪拌処理のときよりも高い回転数で反転する。これにより、洗濯槽4内で水に浸かった洗濯物Qが、反転するパルセータ5によってほぐされる。そのため、洗濯物Qの偏りが解消される。洗濯物Qの偏りとは、洗濯槽4内における洗濯物Qの偏在のことであり、アンバランスとも呼ばれる。所定のほぐし時間が経過すると、マイクロコンピュータ21は、ほぐし処理を終了する。
そして、ほぐし処理が終了すると、マイクロコンピュータ21は、排水弁16を開き、洗濯槽4及び外槽3に溜まった洗濯水を排水し(ステップS7)、洗い工程が終了する。
なお、洗い工程終了後は、従来の洗濯機と同様に、中間脱水工程、シャワーすすぎ工程、すすぎ工程、脱水工程、乾燥工程等が行われてもよい。
本開示は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
1 縦型洗濯機
3 外槽
4 洗濯槽
4B 底壁
4D 出入口
4E 通水孔
5 回転翼(パルセータ)
6 モータ(駆動部)
13 給水路(給水部)
14 給水弁(給水部)
15 排水路
16 排水弁
21 マイクロコンピュータ(制御部)
27 回転数読取装置
28 水位検知部
30 溢水口
31 溢水路
Q 洗濯物
W 洗い設定水位
3 外槽
4 洗濯槽
4B 底壁
4D 出入口
4E 通水孔
5 回転翼(パルセータ)
6 モータ(駆動部)
13 給水路(給水部)
14 給水弁(給水部)
15 排水路
16 排水弁
21 マイクロコンピュータ(制御部)
27 回転数読取装置
28 水位検知部
30 溢水口
31 溢水路
Q 洗濯物
W 洗い設定水位
Claims (6)
- 水を溜める外槽と、
前記外槽内に回転可能に配置され、洗濯物を収容する洗濯槽と、
前記洗濯槽内の底部に設けられ、洗濯槽に収容された洗濯物を攪拌するための回転翼と、
前記洗濯槽内に給水をするための給水部と、
前記外槽の上部に設けられ、前記外槽に所定の満水位以上の水が溜まったときに、その水を溢れ出させる溢水口と、
前記洗濯槽及び前記回転翼を回転させる駆動力を発生する駆動部と、
前記給水部及び前記駆動部を制御する制御部と、を含み、
前記外槽に水が溜まった状態で前記洗濯槽を回転させることにより、前記外槽に溜まった水を前記外槽と前記洗濯槽との間で上昇させる槽回転処理を行う縦型洗濯機において、
前記制御部は、洗い工程において、
前記給水部によって前記洗濯槽に予め定める洗い設定水位よりも少ない所定の低水位まで給水し、
前記洗濯槽の回転時に前記溢水口から溢水しないように、前記駆動部によって前記洗濯槽を所定の回転数で回転して前記槽回転処理を行う、
縦型洗濯機。 - 前記制御部が、前記駆動部によって前記洗濯槽を回転する前記所定の回転数は、前記洗濯槽の回転により本縦型洗濯機に生じる第一の共振点を超えた回転数である、請求項1に記載の縦型洗濯機。
- 前記制御部が前記駆動部によって前記洗濯槽を回転する前記所定の回転数は、前記洗濯槽の回転により本縦型洗濯機に生じる前記第一の共振点を超え第二の共振点未満の回転数である、請求項2に記載の縦型洗濯機。
- 前記制御部は、前記洗い工程において、
前記洗濯槽に前記所定の低水位まで給水し、
前記駆動部によって前記回転翼を回転させることによって前記洗濯槽内の洗濯物をほぐすほぐし処理を行い、
前記ほぐし処理の後に前記槽回転処理を行う、
請求項1~3のいずれか1項に記載の縦型洗濯機。 - 前記外槽に溜まった水の水位を検知する水位検知部を更に含み、
前記制御部は、前記駆動部によって前記洗濯槽を回転させる前に、前記水位検知部で検知された前記外槽の水位が所定水位よりも高い水位である場合は、前記槽回転処理は行わないか、又は、前記洗濯槽の回転数を抑制して槽回転処理を行う、請求項1~3のいずれか1項に記載の縦型洗濯機。 - 前記外槽に溜まった水の水位を検知する水位検知部を更に含み、
前記制御部は、前記駆動部によって前記洗濯槽を回転させる前に、前記水位検知部で検知された前記外槽の水位が所定水位よりも高い水位である場合は、前記槽回転処理は行わないか、又は、前記洗濯槽の回転数を抑制して槽回転処理を行う、請求項4に記載の縦型洗濯機。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022063055 | 2022-04-05 | ||
JP2022063055 | 2022-04-05 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023153764A true JP2023153764A (ja) | 2023-10-18 |
Family
ID=88349739
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2023060772A Pending JP2023153764A (ja) | 2022-04-05 | 2023-04-04 | 縦型洗濯機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2023153764A (ja) |
-
2023
- 2023-04-04 JP JP2023060772A patent/JP2023153764A/ja active Pending
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