JP7399368B2 - レーダ信号処理装置、レーダ信号処理方法及び目標観測システム - Google Patents
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Description
図1は、実施の形態1に係るレーダ信号処理装置30を含む目標観測システムを示す構成図である。
図1に示す目標観測システムは、アンテナ部10、信号送受信部20及びレーダ信号処理装置30を備えている。
アンテナ部10は、信号送受信部20から出力された送信信号に係る電磁波を目標に向けて放射する。
アンテナ部10は、目標等による電磁波の反射波を受信し、反射波の受信信号を信号送受信部20に出力する。
信号送受信部20は、アンテナ部10から出力された受信信号をデジタル信号に変換し、デジタル信号である受信データをレーダ信号処理装置30に出力する。
レーダ信号処理装置30は、パルス信号を生成し、パルス信号を信号送受信部20に出力する。
レーダ信号処理装置30は、信号送受信部20から出力された受信データから、SAR画像を再生する。
図2に示す信号送受信部20は、発振部21、乗算部22、増幅部23、切り換え部24及び受信機29を備えている。
受信機29は、増幅部25、乗算部26、フィルタ部27及びアナログデジタル変換部(以下「A/Dコンバータ」という)28を備えている。
受信機29は、目標等による反射波の受信処理を実施し、反射波の受信データをレーダ信号処理装置30に出力する。
図1に示す目標観測システムでは、信号送受信部20が、1つの受信機29のみを備えている。信号送受信部20が、複数の受信機29を備えていても、レーダ信号処理装置30は、SAR画像に現れているアジマスアンビギュイティを抑圧することが可能である。
乗算部22は、レーダ信号処理装置30から出力されたパルス信号に、発振部21から出力された搬送波を乗算することで、パルス信号の周波数をアップコンバートする。
乗算部22は、送信信号として、周波数アップコンバート後のパルス信号を増幅部23に出力する。
切り換え部24は、増幅部23から出力された送信信号をアンテナ部10に出力し、アンテナ部10から出力された受信信号を増幅部25に出力する。
乗算部26は、増幅部25から出力された受信信号に、発振部21から出力された搬送波を乗算することで、受信信号の周波数をダウンコンバートする。
A/Dコンバータ28は、フィルタ部27から出力された受信信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換する。
A/Dコンバータ28は、受信データとして、デジタル信号をレーダ信号処理装置30に出力する。
図4は、実施の形態1に係るレーダ信号処理装置30のハードウェアを示すハードウェア構成図である。
図3に示すレーダ信号処理装置30は、パルス信号生成部31、信号挿入部32、画像再生部33、フーリエ変換部34、マップ分割部35、逆フーリエ変換部36、利得算出部37及び偽像抑圧部38を備えている。
パルス信号生成部31は、パルス信号を繰り返し生成し、生成したパルス信号を乗算部22に繰り返し出力する。
信号挿入部32は、A/Dコンバータ28から出力された受信データを繰り返し取得する。
信号挿入部32は、それぞれの受信データのヒット方向に0の信号を挿入する。
信号挿入部32は、それぞれの0信号挿入後の受信データを画像再生部33に出力する。
画像再生部33は、信号挿入部32から、それぞれの0信号挿入後の受信データを取得する。
画像再生部33は、それぞれの0信号挿入後の受信データからSAR画像を再生する。
画像再生部33は、SAR画像を再生する際に、SAR画像に現れている目標の真像及び偽像のそれぞれに対して、レンジセルマイグレーション補正を行っている。
画像再生部33は、SAR画像を示す画像信号をフーリエ変換部34、利得算出部37及び偽像抑圧部38のそれぞれに出力する。
フーリエ変換部34は、画像再生部33から、SAR画像を示す画像信号を取得する。
フーリエ変換部34は、SAR画像を示す画像信号をアジマス方向にフーリエ変換する。
フーリエ変換部34は、フーリエ変換後の信号をマップ分割部35に出力する。
マップ分割部35は、フーリエ変換部34によるフーリエ変換後の信号が示すレンジドップラー周波数マップをドップラー周波数方向に分割する。
マップ分割部35は、複数の分割後のレンジドップラー周波数マップである分割マップのそれぞれを示す信号を逆フーリエ変換部36に出力する。
逆フーリエ変換部36は、マップ分割部35から、複数の分割マップを示す信号を取得する。
逆フーリエ変換部36は、それぞれの分割マップを示す信号を逆フーリエ変換し、それぞれの逆フーリエ変換後の信号である分割再生信号を利得算出部37に出力する。
利得算出部37は、画素選択部37a及び利得算出処理部37bを備えている。
利得算出部37は、画像再生部33から、SAR画像を示す画像信号を取得し、逆フーリエ変換部36から、複数の分割再生信号を取得する。
利得算出部37は、それぞれの分割再生信号と画像信号とを用いて、SAR画像に現れている目標の偽像を抑圧するための偽像抑圧用利得を算出する。
利得算出部37は、偽像抑圧用利得を偽像抑圧部38に出力する。
画素選択部37aは、複数の分割再生信号のそれぞれが示す分割再生画像において、画像内の画素位置が同じ画素の組をそれぞれ特定する。
画素選択部37aは、それぞれの組に含まれている複数の画素の中で、強度が最小の画素である強度最小画素を選択する。
利得算出処理部37bは、画像再生部33から、SAR画像を示す画像信号を取得する。
利得算出処理部37bは、SAR画像に含まれている複数の画素の中で、画素選択部37aにより選択されたそれぞれの強度最小画素と画像内の画素位置が同じ画素を特定する。
利得算出処理部37bは、特定したそれぞれの画素の強度で、それぞれの強度最小画素の強度を除算し、偽像抑圧用利得として、強度の除算結果を偽像抑圧部38に出力する。
偽像抑圧部38は、画像再生部33から、SAR画像を示す画像信号を取得し、利得算出部37から、偽像抑圧用利得を取得する。
偽像抑圧部38は、偽像抑圧用利得を画像信号に乗算する。偽像抑圧部38による利得乗算後の画像信号が示すSAR画像は、アジマスアンビギュイティが抑圧されている。
パルス信号生成回路41、信号挿入回路42、画像再生回路43、フーリエ変換回路44、マップ分割回路45、逆フーリエ変換回路46、利得算出回路47及び偽像抑圧回路48のそれぞれは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又は、これらを組み合わせたものが該当する。
ソフトウェア又はファームウェアは、プログラムとして、コンピュータのメモリに格納される。コンピュータは、プログラムを実行するハードウェアを意味し、例えば、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)が該当する。
レーダ信号処理装置30が、ソフトウェア又はファームウェア等によって実現される場合、パルス信号生成部31、信号挿入部32、画像再生部33、フーリエ変換部34、マップ分割部35、逆フーリエ変換部36、利得算出部37及び偽像抑圧部38におけるそれぞれの処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムがメモリ51に格納される。そして、コンピュータのプロセッサ52がメモリ51に格納されているプログラムを実行する。
図6は、レーダ信号処理装置30の処理手順であるレーダ信号処理方法を示すフローチャートである。
レーダ信号処理装置30のパルス信号生成部31は、パルス信号を繰り返し生成し、生成したパルス信号を乗算部22に繰り返し出力する。
パルス信号生成部31により生成されるパルス信号は、例えば、単純なパルス信号であってもよいし、チャープパルス信号であってもよい。
パルス信号生成部31により生成されるパルス信号のPRFは、SAR画像の観測範囲を広げるため、例えば、アジマスアンビギュイティがSAR画像に現れる程度に下げられている。
乗算部22は、発振部21から、搬送波を取得する。
乗算部22は、レーダ信号処理装置30から、パルス信号を繰り返し取得する。
乗算部22は、取得したそれぞれのパルス信号に対して搬送波を乗算することで、それぞれのパルス信号の周波数をアップコンバートする。パルス信号の周波数は、乗算部22によって、アップコンバートされることで、例えば、高周波数帯の周波数になる。
乗算部22は、送信信号として、それぞれの周波数アップコンバート後のパルス信号を増幅部23に出力する。
増幅部23は、それぞれの送信信号を増幅し、それぞれの増幅後の送信信号を切り換え部24に出力する。
切り換え部24は、増幅部23から送信信号を受ける毎に、当該送信信号をアンテナ部10に出力する。
送信信号に係る電磁波は、目標、又は、目標の背景等によって反射される。目標等による反射波は、アンテナ部10によって受信される。
アンテナ部10は、反射波を受信する毎に、当該反射波の受信信号を信号送受信部20の切り換え部24に出力する。
増幅部25は、切り換え部24から受信信号を受ける毎に、当該受信信号を増幅し、増幅後の受信信号を乗算部26に出力する。
乗算部26は、増幅部25から増幅後の受信信号を受ける毎に、当該受信信号に対して搬送波を乗算することで、受信信号の周波数をダウンコンバートする。受信信号の周波数は、乗算部26によって、ダウンコンバートされることで、例えば、中間周波数帯の周波数になる。
乗算部26は、周波数ダウンコンバート後の受信信号をフィルタ部27に出力する。
A/Dコンバータ28は、フィルタ部27から帯域外成分抑圧後の受信信号を受ける毎に、当該受信信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換する。
A/Dコンバータ28は、デジタル信号である受信データs0(n,h0)をレーダ信号処理装置30の信号挿入部32に出力する。受信データs0(n,h0)は、レンジ-ヒットの次元で表されている。nは、レンジセル番号であり、h0は、反射波に係るパルス信号を識別するヒット番号である。
信号挿入部32は、受信データs0(n,h0)を取得する毎に、以下の式(1)に示すように、当該受信データs0(n,h0)のヒット方向に0の信号を挿入する(図6のステップST1)。
信号挿入部32は、それぞれの0信号挿入後の受信データs1(n,h)を画像再生部33に出力する。
式(1)に示す受信データs1(n,h)は、Mの間隔でs0(n,h0)を有している。信号挿入部32によって、0の信号がヒット方向に挿入されることで、PRFがM倍になる。また、信号挿入部32によって、0の信号がヒット方向に挿入されることで、目標を示す真像のレプリカ信号が発生し、レプリカ信号が偽像の一部になる。
図3に示すレーダ信号処理装置30では、信号挿入部32が、受信データs0(n,h0)のヒット方向に0の信号を挿入している。信号挿入部32が、0の信号を挿入しなくても、画像再生部33により再生されるSAR画像の観測範囲が十分に広ければ、信号挿入部32が、受信データs0(n,h0)のヒット方向に0の信号を挿入する処理を省略してもよい。
画像再生部33は、それぞれの0信号挿入後の受信データs1(n,h)から、SAR画像を再生する(図6のステップST2)。
画像再生部33によるSAR画像の再生方法は、どのような方法でもよいが、例えば、レンジ-ドップラー法、又は、チャープスケーリング法を用いることができる。
画像再生部33は、SAR画像を再生する際に、SAR画像に現れている目標の真像及び偽像のそれぞれに対して、レンジセルマイグレーション補正を行っている。
画像再生部33は、SAR画像を示す画像信号s2(r,az)をフーリエ変換部34、利得算出部37及び偽像抑圧部38のそれぞれに出力する。rは、レンジビン番号であり、azは、アジマスビン番号である。
図3に示すレーダ信号処理装置30では、画像再生部33が、画像信号s2(r,az)をフーリエ変換部34、利得算出部37及び偽像抑圧部38のそれぞれに出力している。しかし、これは一例に過ぎず、画像再生部33が、画像信号s2(r,az)を図示せぬ記憶装置に出力し、フーリエ変換部34、利得算出部37及び偽像抑圧部38のそれぞれが、記憶装置から、画像信号s2(r,az)を取得するようにしてもよい。
フーリエ変換部34は、SAR画像を示す画像信号s2(r,az)をアジマス方向にフーリエ変換する(図6のステップST3)。
画像信号s2(r,az)のフーリエ変換方法としては、例えば、FFT(Fast Fourier Transformation)、又は、DFT(Discrete Fourier Transform)がある。
フーリエ変換部34によるフーリエ変換後の信号s2(r,f)は、図7に示すようなレンジドップラー周波数マップを示す信号である。fは、ドップラー周波数である。
フーリエ変換部34は、フーリエ変換後の信号s2(r,f)をマップ分割部35に出力する。
図7において、横軸は、ドップラー周波数であり、縦軸は、レンジである。実線は、目標を示す真像であり、破線は、偽像を示している。
画像再生部33は、上述したように、SAR画像を再生する際に、SAR画像に現れている目標の真像及び偽像のそれぞれに対して、レンジセルマイグレーション補正を行っている。このため、真像を示す信号のレンジセルマイグレーションカーブは、ドップラー周波数方向を示す横軸と平行な水平直線になる。一方、ドップラー周波数の変化に伴ってレンジが変化する偽像のレンジセルマイグレーションカーブは、ドップラー周波数方向を示す横軸に対して斜めの線分となる。
したがって、真像は、ドップラー周波数帯域において、レンジが変化しない水平な直線で表される。一方、偽像は、ドップラー周波数帯域の一部において、レンジが変化する斜めの線分で表される。
マップ分割部35は、図8に示すように、フーリエ変換後の信号s2(r,f)が示すレンジドップラー周波数マップをドップラー周波数方向に分割する(図6のステップST4)。
図8は、マップ分割部35による分割後のレンジドップラー周波数マップの一例を示す説明図である。
図8において、横軸は、ドップラー周波数であり、縦軸は、レンジである。実線は、目標を示す真像であり、破線は、偽像を示している。
図8は、レンジドップラー周波数マップが、5つの分割マップに分割されている例を示している。
真像は、ドップラー周波数帯域において、レンジが変化しない水平な直線で表される。このため、真像がドップラー周波数方向に分割されても、それぞれのドップラー周波数における真像のレンジは同じである。
一方、偽像は、ドップラー周波数帯域の一部において、レンジが変化する斜めの線分で表される。このため、偽像がドップラー周波数方向に分割されることで、それぞれのドップラー周波数における偽像のレンジは、互いにずれている。
マップ分割部35は、M個の分割マップを示す信号s3,m(r,f)を逆フーリエ変換部36に出力する。m=1,・・・,Mである。
逆フーリエ変換部36は、それぞれの分割マップを示す信号s3,m(r,f)を逆フーリエ変換する(図6のステップST5)。
分割マップを示す信号s3,m(r,f)の逆フーリエ変換方法としては、例えば、IFFT(Inverse Fast Fourier Transformation)、又は、IDFT(Inverse Discrete Fourier Transform )がある。
逆フーリエ変換部36は、それぞれの逆フーリエ変換後の信号である分割再生信号s3 ,m(r,az)を利得算出部37に出力する。
利得算出部37は、M個の分割再生信号s3,m(r,az)とSAR画像を示す画像信号s2(r,az)とを用いて、偽像抑圧用利得g0(r,az)を算出する(図6のステップST6)。
以下、利得算出部37による利得算出処理を具体的に説明する。
画素選択部37aは、M個の分割再生信号s3,m(r,az)のそれぞれが示す分割再生画像において、画像内の画素位置が同じ画素の組をそれぞれ特定する。例えば、分割再生画像の水平方向の画素数がH、分割再生画像の垂直方向の画素数がVであれば、画素選択部37aは、H×V個の組を特定する。
画素選択部37aは、強度の比較結果に基づいて、それぞれの組に含まれているM個の画素の中で、強度が最小の画素である強度最小画素を選択する。
画素選択部37aは、以下の式(3)に示すように、強度最小画素の強度の絶対値であるmin(|s3,m(r,az)|)を、強度最小画素の強度s4(r,az)として利得算出処理部37bに出力する。
偽像がドップラー周波数方向に分割されることで、それぞれのドップラー周波数における偽像のレンジが互いにずれている。このため、強度最小画素の強度s4(r,az)は、偽像を表していない画素の強度である可能性が高い。
利得算出処理部37bは、SAR画像に含まれているH×V個の画素の中で、画素選択部37aにより選択されたそれぞれの強度最小画素と画像内の画素位置が同じ画素を特定する。
利得算出処理部37bは、以下の式(4)に示すように、特定したそれぞれの画素の強度の絶対値|s2(r,az)|で、それぞれの強度最小画素の強度s4(r,az)を除算する。
利得算出処理部37bは、偽像抑圧用利得g0(r,az)として、強度の除算結果を偽像抑圧部38に出力する。
偽像抑圧部38は、以下の式(5)に示すように、偽像抑圧用利得g0(r,az)を画像信号s2(r,az)に乗算する(図6のステップST7)。
偽像抑圧部38による利得乗算後の画像信号s5(r,az)が示すSAR画像は、アジマスアンビギュイティが抑圧されている。
偽像抑圧部38は、アジマスアンビギュイティ抑圧後のSAR画像を外部のディスプレイ等に表示させる。
図3に示すレーダ信号処理装置30では、偽像抑圧部38が、アジマスアンビギュイティ抑圧後のSAR画像を外部のディスプレイ等に表示させている。しかし、これは一例に過ぎず、偽像抑圧部38が、アジマスアンビギュイティ抑圧後のSAR画像を示す画像信号s5(r,az)を図示せぬ記憶装置に記憶させるようにしてもよい。
実施の形態2では、利得算出処理部37cが偽像抑圧用利得g0(r,az)を調整するレーダ信号処理装置30について説明する。
図9は、実施の形態2に係るレーダ信号処理装置30を示す構成図である。
図10は、実施の形態2に係るレーダ信号処理装置30のハードウェアを示すハードウェア構成図である。
図9に示すレーダ信号処理装置30は、パルス信号生成部31、信号挿入部32、画像再生部33、フーリエ変換部34、マップ分割部35、逆フーリエ変換部36、利得算出部39及び偽像抑圧部38を備えている。
利得算出部39は、画素選択部37a及び利得算出処理部37cを備えている。
利得算出部39は、図3に示す利得算出部37と同様に、強度の比較結果とSAR画像を示す画像信号とを用いて、偽像抑圧用利得g0(r,az)を算出する。
利得算出部39は、算出した偽像抑圧用利得g0(r,az)を調整し、調整後の偽像抑圧用利得を偽像抑圧部38に出力する。
利得算出処理部37cは、強度の除算結果である偽像抑圧用利得g0(r,az)が1よりも大きければ、偽像抑圧用利得g0(r,az)を1に置き換える置換処理を行う。
また、利得算出処理部37cは、置換処理後の偽像抑圧用利得g1(r,az)に対する移動平均処理を実施する。
さらに、利得算出処理部37cは、移動平均処理後の偽像抑圧用利得g2(r,az)を冪乗し、偽像抑圧用利得として、冪乗後の偽像抑圧用利得g3(r,az)を偽像抑圧部38に出力する。
パルス信号生成回路41、信号挿入回路42、画像再生回路43、フーリエ変換回路44、マップ分割回路45、逆フーリエ変換回路46、利得算出回路49及び偽像抑圧回路48のそれぞれは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又は、これらを組み合わせたものが該当する。
レーダ信号処理装置30が、ソフトウェア又はファームウェア等によって実現される場合、パルス信号生成部31、信号挿入部32、画像再生部33、フーリエ変換部34、マップ分割部35、逆フーリエ変換部36、利得算出部39及び偽像抑圧部38におけるそれぞれの処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムが図5に示すメモリ51に格納される。そして、図5に示すプロセッサ52がメモリ51に格納されているプログラムを実行する。
画素選択部37aは、強度最小画素の強度の絶対値であるmin(|s3,m(r,az)|)を、強度最小画素の強度s4(r,az)として利得算出処理部37cに出力する。
利得算出処理部37cは、図3に示す利得算出処理部37bと同様に、画像再生部33から、SAR画像を示す画像信号s2(r,az)を取得する。
利得算出処理部37cは、図3に示す利得算出処理部37bと同様に、SAR画像に含まれているH×V個の画素の中で、画素選択部37aにより選択されたそれぞれの強度最小画素と画像内の画素位置が同じ画素を特定する。
利得算出処理部37cは、図3に示す利得算出処理部37bと同様に、特定したそれぞれの画素の強度の絶対値|s2(r,az)|で、それぞれの強度最小画素の強度s4(r,az)を除算する。
利得算出処理部37cは、以下の式(6)に示すように、偽像抑圧用利得g0(r,az)が1よりも大きければ、偽像抑圧用利得g0(r,az)をg1(r,az)=1に置き換える置換処理を行う。
利得算出処理部37cは、偽像抑圧用利得g0(r,az)が1以下であれば、偽像抑圧用利得g0(r,az)をg1(r,az)とする置換処理を行う。
利得算出処理部37cは、偽像抑圧用利得として、冪乗後の偽像抑圧用利得g3(r,az)を偽像抑圧部38に出力する。
偽像抑圧部38は、以下の式(8)に示すように、偽像抑圧用利得g3(r,az)を画像信号s2(r,az)に乗算する。
偽像抑圧部38は、例えば、アジマスアンビギュイティ抑圧後のSAR画像を外部のディスプレイ等に表示させる。
Claims (10)
- 合成開口レーダ画像を示す画像信号をアジマス方向にフーリエ変換するフーリエ変換部と、
前記フーリエ変換部によるフーリエ変換後の信号が示すレンジドップラー周波数マップをドップラー周波数方向に分割し、複数の分割後のレンジドップラー周波数マップである分割マップのそれぞれを示す信号を出力するマップ分割部と、
前記マップ分割部から出力されたそれぞれの分割マップを示す信号を逆フーリエ変換し、それぞれの逆フーリエ変換後の信号である分割再生信号を出力する逆フーリエ変換部と、
前記逆フーリエ変換部から出力されたそれぞれの分割再生信号と前記画像信号とを用いて、前記合成開口レーダ画像に現れている目標の偽像を抑圧するための偽像抑圧用利得を算出する利得算出部と、
前記利得算出部により算出された偽像抑圧用利得を前記画像信号に乗算する偽像抑圧部と
を備えたレーダ信号処理装置。 - 前記利得算出部は、
前記逆フーリエ変換部から出力された複数の分割再生信号のそれぞれが示す画像において、画像内の画素位置が同じ画素の組をそれぞれ特定し、それぞれの組に含まれている複数の画素の中で、強度が最小の画素である強度最小画素を選択する画素選択部と、
前記合成開口レーダ画像に含まれている複数の画素の中で、前記画素選択部により選択されたそれぞれの強度最小画素と画像内の画素位置が同じ画素を特定し、特定したそれぞれの画素の強度で、それぞれの強度最小画素の強度を除算し、前記偽像抑圧用利得として、強度の除算結果を前記偽像抑圧部に出力する利得算出処理部とを備えていることを特徴とする請求項1記載のレーダ信号処理装置。 - 前記利得算出処理部は、前記強度の除算結果が1よりも大きければ、前記強度の除算結果を1に置き換えることを特徴とする請求項2記載のレーダ信号処理装置。
- 前記利得算出処理部は、前記強度の除算結果に対する移動平均処理を実施し、前記偽像抑圧用利得として、移動平均処理後の除算結果を前記偽像抑圧部に出力することを特徴とする請求項2記載のレーダ信号処理装置。
- 前記利得算出処理部は、前記強度の除算結果を冪乗し、前記偽像抑圧用利得として、冪乗後の除算結果を前記偽像抑圧部に出力することを特徴とする請求項2記載のレーダ信号処理装置。
- 受信機から、目標による反射波の受信データを取得し、前記受信データのヒット方向に0の信号を挿入する信号挿入部と、
前記信号挿入部による0信号挿入後の受信データから合成開口レーダ画像を再生し、前記合成開口レーダ画像を示す画像信号を前記フーリエ変換部、前記利得算出部及び前記偽像抑圧部のそれぞれに出力する画像再生部と
を備えたことを特徴とする請求項1記載のレーダ信号処理装置。 - 前記画像再生部は、前記合成開口レーダ画像に現れている目標の真像及び偽像のそれぞれに対して、レンジセルマイグレーション補正を行うことを特徴とする請求項6記載のレーダ信号処理装置。
- フーリエ変換部が、合成開口レーダ画像を示す画像信号をアジマス方向にフーリエ変換し、
マップ分割部が、前記フーリエ変換部によるフーリエ変換後の信号が示すレンジドップラー周波数マップをドップラー周波数方向に分割し、複数の分割後のレンジドップラー周波数マップである分割マップのそれぞれを示す信号を出力し、
逆フーリエ変換部が、前記マップ分割部から出力されたそれぞれの分割マップを示す信号を逆フーリエ変換し、それぞれの逆フーリエ変換後の信号である分割再生信号を出力し、
利得算出部が、前記逆フーリエ変換部から出力されたそれぞれの分割再生信号と前記画像信号とを用いて、前記合成開口レーダ画像に現れている目標の偽像を抑圧するための偽像抑圧用利得を算出し、
偽像抑圧部が、前記利得算出部により算出された偽像抑圧用利得を前記画像信号に乗算する
レーダ信号処理方法。 - 目標による反射波の受信処理を実施し、前記反射波の受信データを出力する受信機と、
前記受信機より出力された受信データから合成開口レーダ画像を再生し、前記合成開口レーダ画像を示す画像信号を出力する画像再生部と、
前記画像再生部から出力された画像信号をアジマス方向にフーリエ変換するフーリエ変換部と、
前記フーリエ変換部によるフーリエ変換後の信号が示すレンジドップラー周波数マップをドップラー周波数方向に分割し、複数の分割後のレンジドップラー周波数マップである分割マップのそれぞれを示す信号を出力するマップ分割部と、
前記マップ分割部から出力されたそれぞれの分割マップを示す信号を逆フーリエ変換し、それぞれの逆フーリエ変換後の信号である分割再生信号を出力する逆フーリエ変換部と、
前記逆フーリエ変換部から出力されたそれぞれの分割再生信号と前記画像信号とを用いて、前記合成開口レーダ画像に現れている目標の偽像を抑圧するための偽像抑圧用利得を算出する利得算出部と、
前記利得算出部により算出された偽像抑圧用利得を前記画像信号に乗算する偽像抑圧部と
を備えた目標観測システム。 - 前記受信機から、目標による反射波の受信データを取得し、前記受信データのヒット方向に0の信号を挿入する信号挿入部を備え、
前記画像再生部は、
前記信号挿入部による0信号挿入後の受信データから合成開口レーダ画像を再生することを特徴とする請求項9記載の目標観測システム。
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