JP6289389B2 - 画像レーダ装置 - Google Patents

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この発明は、観測対象である目標とレーダとの間の相対的な位置関係を変えながら電波を繰り返し送受信するレーダの受信信号を開口合成することで、目標について高分解能化された電波画像を再生する画像レーダ装置に関するものである。
合成開口レーダであるSAR(Synthetic Aperture Radar)や、逆合成開口レーダであるISAR(Inverse SAR)などの画像レーダでは、目標とレーダの相対位置を変えながら異なる複数の時刻に目標を観測し、各観測で得られた受信信号を、目標に固定された座標系内でのレーダの方向(見込み角)を考慮しながら合成(開口合成)することで、画像の高分解能化が図られている。
SARでは、静止中の目標(例えば、地表面、地上構造物、静止している車両など)の観測が主に想定され、レーダが位置を変えることで見込み角の変化が得られる。
一方、ISARでは、移動する目標(例えば、航空機、車両、船舶など)の観測が主に想定され、目標の運動(例えば、位置の移動、回転、動揺など)を利用することで、必ずしもレーダ自身が位置を変化しなくても、見込み角の変化が得られる。
目標上のある反射点に関する各観測において、電波の送信時刻を基準とする相対時刻における受信信号は、その観測の際のレーダと目標の相対位置関係によって定まる「送信アンテナから当該反射点を介して受信アンテナに至る電波の伝搬経路」を電波が移動するのに要する分の時間遅延を生じ、かつ、その反射点の形状や材質に応じた振幅倍された送信信号として与えられる。目標上に複数の反射点が存在する場合は、これらの重ね合わせとして与えられる。以下では、電波の送信時刻からの経過時間をファストタイム(fast time)と称する。また、上記伝搬経路を電波が移動することによって生じる時間遅延を伝搬遅延時間と称する。この受信信号(または、この受信信号を必要に応じて後述するパルス圧縮などで高分解能化した信号)のファストタイムに対する分布(プロフィール)は、各反射点の伝搬遅延時間の影響が反映されていることを踏まえ、以下では遅延プロフィールと称する。なお、ファストタイムを光速倍したプロフィールは、伝搬経路長に対するプロフィールとみなせる。さらに、送信アンテナと受信アンテナの位置が一致するモノスタティック(monostatic)観測の場合には、各反射点の伝搬経路長の1/2がその各反射点までの距離となることから、遅延プロフィールのファストタイムを(光速/2)倍したプロフィールは、レーダからの距離(レンジ)に対するプロフィールとみなせる。このプロフィールはレンジプロフィールとして良く知られている。
各観測で得られた上記各遅延プロフィールの観測毎の履歴(ヒストリ)を、ファストタイムと各観測の時刻を2軸とする2次元分布としたものを遅延ヒストリと称する。各観測における電波の送信時刻をスロータイム(slow time)と称する。遅延ヒストリを与えるこれら2種類の時間のうち、ファストタイムをフーリエ変換(FT:Fourier Transform)した周波数をファスト周波数と称し、スロータイムをフーリエ変換した周波数をドップラー周波数と称する。
以下では、ファストタイムの軸とファスト周波数の軸をまとめてファスト軸、スロータイムの軸とドップラー周波数の軸をまとめてスロー軸と呼ぶことがある。
遅延プロフィールをFTして得られるファスト周波数に対するプロフィールを遅延スペクトルと称する。また、遅延ヒストリをファスト周波数方向にFTして得られる遅延スペクトルのヒストリを遅延スペクトルヒストリと称する。
開口合成を実施する一つの方法として、遅延ヒストリをスロータイム方向にFTすることで、「各反射点に関する受信信号を、ファストタイムとドップラー周波数を軸とする遅延ドップラー分布上の一つのファストタイムとドップラー周波数の点に結像させる」方法が挙げられる。しかし、このような方法で画像を結像させるには、少なくとも、観測中の各反射点の伝搬遅延の変化が、ファストタイム軸方向の分解能セルの大きさ以下となることが必要となる。これを超えた場合には、目標の信号は複数の分解能セルに亘って存在することとなり、これが画像のぼけの一因となる。しかし、目標とレーダの相対運動や前記分解能セルの大きさ、観測時間の長さ等によっては、上記分解能セルを超えた移動が発生することも有り得る。従って、何らかの方法で、この分解能セルの移動、言い換えると、伝搬遅延時間のスロータイムに対する変化を推定して、この変化を打ち消すように補償してやる必要がある。
例えば、SARで静止目標を画像化するような場合では、レーダプラットフォームに搭載されている運動センサの計測結果を利用することで、受信信号を補償することができる可能性がある。しかし、ISARやSARで移動目標を画像化するような場合、または、SARで静止目標を画像化する場合でも、レーダプラットフォームに運動センサが搭載されていない等の理由で相対運動が不明な場合などには、この実現が困難なものとなる。
以下の非特許文献1には、遅延スペクトルヒストリの各ファスト周波数に応じたサンプリング間隔で、遅延スペクトルヒストリ上の信号をスロータイム方向にリサンプリングすることで、遅延ヒストリにおけるスロータイムに対する電波の伝搬遅延時間の1次変化を補償する方法が提案されている。
この方法は、KT(Keystone Transform)と呼ばれている。しかし、この方法では、リサンプリングの処理負荷が高いという問題がある。また、ドップラー周波数の折返す信号に適用できない問題がある。
以下の非特許文献2には、リサンプリングの処理負荷が高いという問題を解決している方法が開示されている。
即ち、非特許文献2には、スケーリング理論(SP:Scaling Principle)に基づいて、レーダの受信信号と、スロータイム軸方向の位相の変化が2次の信号である複数の2次位相信号とを畳み込み演算することで、KTにおけるリサンプリングを実現する方法が開示されている。しかし、この方法でもドップラー周波数の折返す信号に適用できない問題がある。
Perry, R.P.;DiPietro, R.C.;Fante, R., "SAR imaging of moving targets," Aerospace and Electronic Systems, IEEE Transactions on , vol.35, no.1, pp.188,200, Jan 1999 Daiyin Zhu; Li, Yong; Zhaoda Zhu, "A Keystone Transform Without Interpolation for SAR Ground Moving-Target Imaging," Geoscience and Remote Sensing Letters, IEEE , vol.4, no.1, pp.18,22, Jan. 2007
従来の画像レーダ装置は以上のように構成されているので、スロータイムに対する電波の伝搬遅延時間の1次変化を正しく補償することができないことがある。即ち、ドップラー周波数が折り返さない目標についてはスロータイムに対する電波の伝搬遅延時間の1次変化を正しく補償することができる。しかし、伝搬遅延時間の変化が大きく、ドップラー周波数が折り返す目標については、折り返した見かけ上のドップラー周波数の1次変化のみが補償されて、目標の真のドップラー周波数の1次変化が補償されない。このため、目標の真のドップラー周波数と、折り返した見かけ上のドップラー周波数との差に相当する1次成分が残存し、目標の像がぼけてしまうという課題があった。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、ドップラー周波数が折り返す目標についても、スロータイムに対する電波の伝搬遅延時間の1次変化を正しく補償することができる画像レーダ装置を得ることを目的とする。
この発明に係る画像レーダ装置は、観測対象である目標との相対的な位置関係を変えながら電波を繰り返し送受信するレーダから、電波の受信信号として、電波の送信時刻からの経過時間であるファストタイムと電波の送信時刻であるスロータイムとの2次元分布である遅延ヒストリを取得する信号取得手段と、信号取得手段により取得された遅延ヒストリをファストタイム方向にフーリエ変換することで得られる遅延スペクトルヒストリをスロータイム方向にアップサンプリングするアップサンプリング手段とを設け、補償手段が、アップサンプリング手段によりアップサンプリングされた遅延スペクトルヒストリの各ファスト周波数に応じたサンプリング間隔で、遅延スペクトルヒストリ上の信号をスロータイム方向にリサンプリングすることで、遅延ヒストリにおけるスロータイムに対する電波の伝搬遅延時間の変化を補償するようにしたものである。
この発明によれば、信号取得手段により取得された遅延ヒストリをファストタイム方向にフーリエ変換することで得られる遅延スペクトルヒストリをスロータイム方向にアップサンプリングするアップサンプリング手段を設けるように構成したので、ドップラー周波数が折り返す目標についても、スロータイムに対する電波の伝搬遅延時間の1次変化を正しく補償することができる効果がある。
この発明の実施の形態1による画像レーダ装置を示す構成図である。 この発明の実施の形態1による画像レーダ装置のKT補償回路6を示す構成図である。 KT補償回路6の受信信号スケーリング変換回路25を示す構成図である。 最小マージン付加回路23におけるマージ付加処理を示す説明図である。 遅延ドップラー画像の一例を示す説明図である。 アップサンプリングによってドップラー帯域が拡張された遅延ドップラー画像一例を示す説明図である。 真像偽像グルーピング回路7によるグループ分けを示す説明図である。 この発明の実施の形態2による画像レーダ装置を示す構成図である。 この発明の実施の形態2による画像レーダ装置を示す構成図である。
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面にしたがって説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による画像レーダ装置を示す構成図である。
図1において、レーダ受信信号取得回路1は観測対象である目標との相対的な位置関係を変えながら電波を繰り返し送受信するレーダから、電波の受信信号として、電波の送信時刻からの経過時間(以下、「ファストタイム」と称する)と、各観測における電波の送信時刻(以下、「スロータイム」と称する)との2次元分布である遅延ヒストリを取得する回路である。
また、レーダ受信信号取得回路1は2次元分布である遅延ヒストリにおけるスロータイムの切出し幅を設定する処理を実施する。即ち、KT補償回路6による遅延ヒストリの補償に伴って生じるファスト周波数毎のスロータイム幅の相違が補正された後でも、画像再生回路12の画像化に用いるスロータイム幅Tを確保するために、スロータイムの切出し幅Tcutを設定する。
さらに、レーダ受信信号取得回路1は設定した切出し幅Tcutで遅延ヒストリを切出し、切出した遅延ヒストリを前処理補償回路4に出力する処理を実施する。なお、レーダ受信信号取得回路1は信号取得手段を構成している。
ここで、SARやISARなどのレーダが電波を送受信する処理は一般的なものであるが、例えば、レーダ内の送信アンテナから送信機で生成された高周波信号を電波として目標に向けて放射したのち、目標に反射されて戻ってきた当該電波の反射波が受信アンテナに入射されると、受信機が当該電波の反射波を検波して復調することで受信信号を取得する処理を繰り返し実施するものである。また、必要に応じて、電波の送信信号を用いて、受信信号をパルス圧縮することで、ファストタイム軸(または、ファストタイム軸を(光速/2)倍したレンジ軸)を高分解能化させる処理も実施する。
ただし、レーダは、送信アンテナと受信アンテナを別々に実装している必要はなく、送信と受信を時分割で行う送受信アンテナと、送信信号と受信信号を切り換える送受切換器とを実装するものであってもよい。
また、送信系と受信系が別の位置に配置されているbistatic構成のレーダであってもよいし、放送波のように空間を飛交う既存の電波を送信波として利用するレーダであってもよい。
既存の電波を送信波として利用する場合は、目標の散乱波を受信する第1の受信系と、送信局からの直接波を受信する第2の受信系とを用意し、2つの受信系の相互相関によって、上記のファストタイム軸の高分解能化を実現するようにする。この場合は、その伝搬遅延時間は、直接波のパスの伝搬遅延時間を基準とした値になる。なお、使用する既存の電波が一般的な画像レーダで用いられるパルス波形ではなく連続波であった場合でも、反射波や直接波を適当な時間幅や時間間隔で切出すことで、異なるスロータイムにおける受信信号を得ることができる。
画像化パラメータ設定回路2は画像再生回路12の画像化に用いるパラメータとして、例えば、画像化に用いる遅延ヒストリの送信時刻幅であるスロータイム幅T[s]を設定する回路である。
最終的に画像化に用いるスロータイム幅Tが定まると、ドップラー周波数の分解能が1/T[s]に定まる。レーダのパルス繰り返し周波数がF[Hz]、最終的に画像化に用いるパルス数がHであるとすると、スロータイム幅TはH/Fで与えられる。
外部運動推定回路30は例えば目標を追尾するレーダ、あるいは、レーダプラットフォームに搭載されている運動センサや位置センサなどから構成されており、目標の位置変化、レーダの位置変化又は目標とレーダの間の相対的な位置関係の変化を観測する外部機器である。
前処理補償量・アップサンプリング数設定回路3は外部運動推定回路30により観測された目標とレーダの間の相対的な位置関係の変化から、スロータイムに対する電波の伝搬遅延時間の変化を推定して、その伝搬遅延時間の変化を打ち消すため、レーダ受信信号取得回路1により取得された遅延スペクトルヒストリを補償する補償量を算出する。あるいは、伝搬遅延1次変化算出回路14により算出された伝搬遅延の1次変化から、その遅延スペクトルヒストリの補償量を算出する処理を実施する。
また、前処理補償量・アップサンプリング数設定回路3はスロータイムに対する電波の伝搬遅延時間の変化に対応するドップラー周波数から、アップサンプリングの点数N(Nは1以上の整数)を設定する処理を実施する。
前処理補償回路4は前処理補償量・アップサンプリング数設定回路3により算出された補償量にしたがって、レーダ受信信号取得回路1により取得された遅延スペクトルをファストタイム方向にフーリエ変換することで得られる遅延スペクトルヒストリを補償することで、その遅延スペクトルを補償する処理を実施する。なお、前処理補償量・アップサンプリング数設定回路3及び前処理補償回路4から前処理手段が構成されている。
アップサンプリング回路5は前処理補償回路4により補償された遅延スペクトルヒストリを電波のスロータイム方向にアップサンプリングする。
即ち、アップサンプリング回路5は遅延スペクトルヒストリにおけるスロータイム方向のセル間に、(N−1)個の0のセルを挿入することで、遅延スペクトルヒストリのサンプリング周波数をN倍にする。なお、前処理補償量・アップサンプリング数設定回路3及びアップサンプリング回路5からアップサンプリング手段が構成されている。
KT補償回路6はスケーリング理論であるSPが適用されているKT処理を実施する回路であり、アップサンプリング回路5によりアップサンプリングされた遅延スペクトルヒストリの各ファスト周波数に応じたサンプリング間隔で、遅延スペクトルヒストリ上の信号をスロータイム方向にリサンプリングすることで、遅延ヒストリにおけるスロータイムに対する電波の伝搬遅延時間の変化を補償する処理を実施する。
即ち、KT補償回路6は遅延スペクトルヒストリ上の信号をリサンプリングする処理の途中で発生するスロータイム方向及びドップラー周波数方向の信号の拡大に対処するために、遅延スペクトルヒストリ上の信号の拡大幅に相当するサイズのマージン(値が0の領域)を遅延スペクトルヒストリ上の信号の両端に付加してから、当該信号のリサンプリングを実施する。KT補償回路6は補償手段を構成している。
なお、リサンプリング処理の途中で、遅延スペクトルヒストリ上の信号の信号幅が拡大するのは、スケーリング理論であるSPを用いてリサンプリングする場合の特有の現象である。ただし、SPを用いてリサンプリングする場合でも、正しいマージンを設定すれば、リサンプリング処理後には、遅延スペクトルヒストリ上の信号は元の信号幅に戻る。
真像偽像グルーピング回路7はKT補償回路6により補償された遅延ヒストリから得られる遅延ドップラー分布上に複数の目標の真像と偽像が存在している場合、その遅延ドップラー分布のドップラー軸上に等間隔で並んでいる真像と偽像を同一のグループに含めるグループ分けを実施する。
目標毎領域分割回路8は真像偽像グルーピング回路7によりグループ分けされた真像又は偽像を含む領域の遅延ドップラー分布上の位置を決定する処理を実施する。なお、真像偽像グルーピング回路7及び目標毎領域分割回路8からグループ分け手段が構成されている。
目標毎真像判定回路9は真像偽像グルーピング回路7により分けられたグループ毎に、当該グループに含まれている遅延ドップラー分布上の目標の真像と偽像の中から、真像及び偽像の電力を比較することで、目標の真像を判別する処理を実施する。なお、目標毎真像判定回路9は真像判別手段を構成している。
真像切出回路10は遅延ドップラー分布から目標毎真像判定回路9により判別された目標の真像を含む領域を切出して、その領域を出力する処理を実施する。
高次補償回路11は真像切出回路10から出力された目標の真像を含む領域に対する高次の変化(2次以上の変化)を補償する処理を実施する。なお、高次補償回路11は第1の高次補償手段を構成している。
画像再生回路12は高次補償回路11により高次の変化が補償された目標の真像を含む領域から目標の画像を再生する処理を実施する。
ドップラー周波数推定回路13は目標毎真像判定回路9により判別された各目標の真像のピーク位置から、各目標のドップラー周波数を特定する処理を実施する。
伝搬遅延1次変化算出回路14はレーダから送信される電波の中心周波数と、ドップラー周波数推定回路13により特定されたドップラー周波数とから、伝搬遅延の1次変化を算出する処理を実施する。なお、ドップラー周波数推定回路13及び伝搬遅延1次変化算出回路14から1次変化算出手段が構成されている。
目標ラジアル速度算出回路15は伝搬遅延1次変化算出回路14により算出された伝搬遅延の1次変化から、レーダと目標との間の距離の時間変化を示すラジアル速度を算出する処理を実施する。なお、目標ラジアル速度算出回路15はラジアル速度算出手段を構成している。
図1の例では、画像レーダ装置の構成要素であるレーダ受信信号取得回路1、画像化パラメータ設定回路2、前処理補償量・アップサンプリング数設定回路3、前処理補償回路4、アップサンプリング回路5、KT補償回路6、真像偽像グルーピング回路7、目標毎領域分割回路8、目標毎真像判定回路9、真像切出回路10、高次補償回路11、画像再生回路12、ドップラー周波数推定回路13、伝搬遅延1次変化算出回路14及び目標ラジアル速度算出回路15のそれぞれが専用のハードウェア(例えば、CPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなど)で構成されているものを想定しているが、画像レーダ装置がコンピュータで構成されていてもよい。
画像レーダ装置がコンピュータで構成される場合、レーダ受信信号取得回路1、画像化パラメータ設定回路2、前処理補償量・アップサンプリング数設定回路3、前処理補償回路4、アップサンプリング回路5、KT補償回路6、真像偽像グルーピング回路7、目標毎領域分割回路8、目標毎真像判定回路9、真像切出回路10、高次補償回路11、画像再生回路12、ドップラー周波数推定回路13、伝搬遅延1次変化算出回路14及び目標ラジアル速度算出回路15の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
図2はこの発明の実施の形態1による画像レーダ装置のKT補償回路6を示す構成図である。
図2において、マージン最小化2次位相係数決定回路21は受信信号スケーリング変換回路25で遅延ヒストリの補償処理が実施されても、折り返し信号が発生しない限界のスロータイム幅(折り返し信号が発生しない範囲で最大のスロータイム幅)及びドップラー周波数幅(折り返し信号が発生しない範囲で最大のドップラー周波数幅)と、電波の中心周波数に対する送信帯域幅の比である比帯域とから、2次の位相変化を定める2次位相係数bを決定する回路である。
2次位相信号パラメータ設定回路22はマージン最小化2次位相係数決定回路21により決定された2次位相係数bを用いて、電波のスロータイム方向及びドップラー周波数方向の変化に対して2次の位相変化を有する2次位相信号のスロータイム幅w,w,w,wを設定する回路である。
最小マージン付加回路23はマージン最小化2次位相係数決定回路21により決定された2次位相係数bにしたがってマージンのサイズを設定し、そのサイズを有するマージンを遅延スペクトルヒストリ上の信号の両端に付加する回路である。
即ち、最小マージン付加回路23はマージン最小化2次位相係数決定回路21により決定された2次位相係数bを用いて、2次位相信号のドップラー周波数幅W (max)を計算し、遅延スペクトルヒストリ上の信号のスロータイム幅が、2次位相信号パラメータ設定回路22により設定されたスロータイム幅wと一致するように、サイズが(w−d)のマージンを遅延スペクトルヒストリ上の信号のスロータイムの両端に付加してから、マージン付加後の信号をスロータイム方向にフーリエ変換し、フーリエ変換後の信号のドップラー周波数幅が2次位相信号のドップラー周波数幅W (max)と一致するように、サイズが(W (max)−D)のマージンをフーリエ変換後の信号のドップラー周波数の両端に付加する処理を実施する。
2次位相信号生成回路24は2次位相信号パラメータ設定回路22により設定された2次位相信号のスロータイム幅w,w,w,wに基づいて、スロータイム及びファスト周波数についてのサンプル点が、最小マージン付加回路23によりマージンが付加された遅延スペクトルヒストリ上の信号と同じである4種類の2次位相信号Q,Q,Q,Qを生成する回路である。4種類の2次位相信号Q,Q,Q,Qは相互に位相変化が関連している。
受信信号スケーリング変換回路25は最小マージン付加回路23によりマージンが付加された遅延スペクトルヒストリ上の信号と2次位相信号生成回路24により生成された4種類の2次位相信号Q,Q,Q,Qとを用いて、SPに基づくKT処理を実施することで、遅延ヒストリにおけるスロータイムに対する電波の伝搬遅延時間の変化を補償する回路である。
マージン除去回路26は受信信号スケーリング変換回路25によりスロータイムに対する電波の伝搬遅延時間の変化が補償された信号に付加されているマージンを除去する回路である。
即ち、マージン除去回路26は最小マージン付加回路23と逆の操作であり、受信信号スケーリング変換回路25によりスロータイムに対する電波の伝搬遅延時間の変化が補償された信号をスロータイム方向にフーリエ変換して得られる遅延ドップラー分布から、0ドップラー周波数を中心とするドップラー周波数幅Dの信号を抽出するとともに、そのドップラー周波数幅Dの信号をドップラー周波数方向に逆フーリエ変換して得られる遅延ヒストリから、0スロータイムを中心とするスロータイム幅dの信号を抽出することで、スロータイムとドップラー周波数の両者のマージンが除去された遅延ヒストリを得る。
受信信号整形回路27は遅延ヒストリの補償に伴って生じるファスト周波数毎のスロータイム幅の相違を補正し、スロータイム幅補正後の遅延ヒストリを真像偽像グルーピング回路7に出力する回路である。
即ち、受信信号整形回路27はマージン除去回路26によりマージンが除去された遅延ヒストリから、0スロータイムを中心として、画像化パラメータ設定回路2により設定された画像化に用いるスロータイム幅Tの信号を切出し、その切出したスロータイム幅Tの信号を真像偽像グルーピング回路7に出力する。
図3はKT補償回路6の受信信号スケーリング変換回路25を示す構成図である。
図3において、スロータイムFT部31は最小マージン付加回路23によりマージンが付加された遅延スペクトルヒストリ上の信号Gftをスロータイム方向にフーリエ変換し、フーリエ変換後の信号Gffを出力する処理を実施する。
スロータイムFT部32は2次位相信号生成回路24により生成された2次位相信号QであるQ1ftをスロータイム方向にフーリエ変換し、フーリエ変換後の信号Q1ffを出力する処理を実施する。
乗算回路33はスロータイムFT部31から出力された信号Gffに対して、スロータイムFT部32から出力された2次位相信号Q1ffを乗算する処理を実施する。
スロータイムIFT部34は乗算回路33の乗算結果Gff×Q1ffをドップラー周波数方向に逆フーリエ変換し、逆フーリエ変換後の信号X1ft(遅延スペクトルヒストリ上の信号Gftと2次位相信号Q1ftとの畳み込み演算結果Gft*Q1ftに相当する)を出力する処理を実施する。
乗算回路35はスロータイムIFT部34から出力された逆フーリエ変換後の信号X1ftに対して、2次位相信号生成回路24により生成された2次位相信号QであるQ2ftを乗算する処理を実施する。
スロータイムFT部36は乗算回路35の乗算結果X2ft=X1ft×Q2ftをスロータイム方向にフーリエ変換し、フーリエ変換後の信号X2ffを出力する処理を実施する。
スロータイムFT部37は2次位相信号生成回路24により生成された2次位相信号QであるQ3ftをスロータイム方向にフーリエ変換し、フーリエ変換後の信号Q3ffを出力する処理を実施する。
乗算回路38はスロータイムFT部36から出力されたフーリエ変換後の信号X2ffに対して、スロータイムFT部37から出力された2次位相信号Q3ffを乗算する処理を実施する。
スロータイムIFT部39は乗算回路38の乗算結果X2ff×Q3ffをドップラー周波数方向に逆フーリエ変換し、逆フーリエ変換後の信号X3ft(乗算回路35の乗算結果X2ftと2次位相信号Q3ftとの畳み込み演算結果X2ft*Q3ftに相当する)を出力する処理を実施する。
乗算回路40はスロータイムIFT部39から出力された逆フーリエ変換後の信号X3ftに対して、2次位相信号生成回路24により生成された2次位相信号QであるQ4ftを乗算し、その乗算結果X3ft×Q4ftをUftとして出力する処理を実施する。
次に動作について説明する。
レーダは、観測対象である目標との相対的な位置関係を変えながら電波を繰り返し送受信する。
即ち、レーダは、目標との相対的な位置関係を変えながら、送信アンテナから送信機で生成された高周波信号である電波を目標に向けて放射する。
レーダは、目標に反射されて戻ってきた当該電波の反射波が受信アンテナに入射されると、受信機が当該電波の反射波を検波して復調することで受信信号を取得する。
レーダ受信信号取得回路1は、レーダからの受信信号として、ファストタイムとスロータイムとの2次元分布である遅延ヒストリを取得する。
画像化パラメータ設定回路2は、画像再生回路12の画像化に用いるパラメータとして、例えば、画像化に用いる遅延ヒストリの送信時刻幅であるスロータイム幅T[s]を設定する。
最終的に画像化に用いるスロータイム幅Tが定まると、ドップラー周波数の分解能が1/T[s]に定まる。レーダのパルス繰り返し周波数がF[Hz]、最終的に画像化に用いるパルス数がHであるとすると、スロータイム幅TはH/Fで与えられる。
レーダ受信信号取得回路1は、画像化パラメータ設定回路2が、画像化に用いる遅延ヒストリのスロータイム幅Tを設定すると、取得した遅延ヒストリにおけるスロータイムの切出し幅Tcutを設定する。
即ち、レーダ受信信号取得回路1は、KT補償回路6の受信信号スケーリング変換回路25による遅延ヒストリの補償に伴って生じるファスト周波数毎のスロータイム幅の相違が受信信号整形回路27によって補正された後でも、画像再生回路12の画像化に用いるスロータイム幅Tを確保するために、スロータイムの切出し幅Tcutを設定する。
具体的には、レーダ受信信号取得回路1は、レーダから放射される電波である送信信号の中心周波数がF[Hz]、送信信号の帯域幅がB[Hz]であるとすれば、画像化パラメータ設定回路2により設定されたスロータイム幅T[s]を用いて、切出しスロータイム幅の下限値Tcutmin[s]を下記の式(1)によって得る。
Figure 0006289389
式(1)において、ξは比帯域(=B/F)である。
式(1)では、信号の最小ファスト周波数(F−B/2)における信号のスロータイム幅が、スロータイムに対する電波の伝搬遅延時間の1次変化を補償するKT処理を実施することで、元信号の(2−ξ)/2倍になることを踏まえ、そのスロータイム幅が所望のスロータイム幅T(最終的に画像化に用いるスロータイム幅)と一致するように下限値Tcutminを定めている。
レーダ受信信号取得回路1は、切出しスロータイム幅の下限値Tcutminを求めると、下記の式(2)によって、パルス数Hcutを設定する。
パルス数Hcutとして、下記の式(2)を満足する整数のうち、なるべく小さな整数を設定する。
Figure 0006289389
処理の構成によっては、パルス数Hcutが偶数や2のべき乗であることが望ましい場合があるが、このような場合も、式(2)を満たし、かつ、その他の要求条件を満足するように設定すればよい。
以下では、パルス数Hcutを1/2にするための式の簡素化のため、パルス数Hcutを偶数として説明するが、奇数の場合も切り上げや切り捨てを実施する関数を導入すれば容易に対応できるため、本質的な問題ではない。
レーダ受信信号取得回路1は、パルス数Hcutを設定すると、下記の式(3)に示すように、そのパルス数Hcutとレーダのパルス繰り返し周波数Fから、スロータイムの切出し幅Tcutを設定する。
Figure 0006289389
レーダ受信信号取得回路1は、スロータイムの切出し幅Tcutを設定すると、その切出し幅Tcutで、取得した遅延ヒストリの切出しを行う。
また、レーダ受信信号取得回路1は、切出した遅延ヒストリをファストタイム方向にフーリエ変換することで遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)を得て、その遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)を前処理補償回路4に出力する。
前処理補償量・アップサンプリング数設定回路3、前処理補償回路4及びアップサンプリング回路5の処理内容を説明する前に、KT補償回路6が実施するSP(Scaling Principle)に基づくKT処理の概要について説明する。
この実施の形態1では、KT補償回路6が、SPに基づくKT処理を実施することを想定しているが、非特許文献1に開示されている一般的なKT処理を実施するものであってもよい。
ここでは、目標とレーダの相対運動の影響で発生するスロータイムに対する電波の伝搬遅延時間の変化は、1次の成分が支配的であると想定し、下記の式(4)に示すように、スロータイムに対する電波の伝搬遅延時間の変化を0次の係数sと1次の係数sを用いて表記する。
Figure 0006289389
この場合、遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)は、下記の式(5)のように与えられる。
Figure 0006289389
遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)に対応する遅延ヒストリGtt(τ,η)は、下記の式(6)に示すように、遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)をρ方向に逆フーリエ変換(IFT)することで得られる。τはファストタイムである。
以下、a(x)をx方向にIFTする演算子をF −1[a(x)]で表し、また、a(x)をx方向にFTする演算子をF[a(x)]で表すようにする。
Figure 0006289389
式(6)において、sinc(x)は良く知られているsinc関数であり、下記の式(7)で与えられる。
Figure 0006289389
sinc(x)は、x=0で最大値の1になる。したがって、仮にs=0の場合には、スロータイムηによらず、ファストタイムτ=sでピークになる。
しかし、τ≠sの場合には、ピークのファストタイムの位置がスロータイムηの経過とともに変化する。
簡易なレーダ画像再生では、遅延ヒストリ(または、遅延ヒストリのファストタイム軸を定数倍したレンジヒストリ)をスロータイム方向にフーリエ変換することで、目標上の各反射点分布を遅延ドップラー分布(または、レンジドップラー分布)として得るが、上記のようにピークのファストタイムの位置がスロータイムηの経過とともに変化する遅延ヒストリでは、遅延ドップラー分布のピークが一点に結像せずにぼけが生じる。
また、例えば、建物や地形などの地上の固定目標を移動式レーダで観測するSARのように、目標とレーダの相対的な位置変化が既知である場合には、上記遅延ヒストリのスロータイム方向のフーリエ変換ではなく、相対位置関係の変化を考慮したより詳細な画像再生を行う場合がある。しかし、このような運用でも、相対的な位置変化に関する推定誤差が存在する場合や、観測シーン中に未知の移動目標が存在する場合には同様の問題が発生する。
したがって、遅延ドップラー分布のピークを一点に結像させるためには、式(4)のsηを推定して、スロータイムに対する電波の伝搬遅延時間の1次成分の変化を打ち消すように補償してやる必要がある。
しかし、遅延ヒストリに含まれる雑音やクラッタなどの不要信号のレベルが大きい場合や、相対運動が異なる複数の目標の信号が混在している場合などでは、sηの推定が困難なものとなる。
KT処理は、この推定問題を回避して補償を実現可能とする技術である。そのために、ファスト周波数ρに依存して変化する下記の式(8)に示すα(ρ)を導入する。
Figure 0006289389
式(8)のα(ρ)を用いて、下記の式(9)に示すUft(ρ,η)を得る。
Figure 0006289389
ただし、
Figure 0006289389
式(9)のUft(ρ,η)をρ方向にIFTすると、下記の式(11)に示すUtt(τ,η)が得られる。ただし、ここではT’(ρ)におけるρ依存性を無視している。この問題については後ほど触れる。
Figure 0006289389
式(11)より、Utt(τ,η)では、Gtt(τ,η)で発生していたピークのファストタイム位置が、スロータイムηに依存して変化することが解消されていることが分かる。
このことは、Utt(τ,η)をスロータイム方向にフーリエ変換して得られる遅延ドップラー分布(レーダ画像に相当する画像)、即ち、下記の式(12)のUtf(τ,γ)では、信号がファストタイム軸上でS、ドップラー周波数軸上で−Fの位置に結像することから、明確に把握することができる。ただし、γはドップラー周波数である。
Figure 0006289389
ここで、Uft(ρ,η)を得る処理であるUft(ρ,η)=Gft(ρ,α(ρ)η)は、Gft(ρ,α(ρ)η)の信号分布のη方向のスケーリングをファスト周波数ρ毎に、α(ρ)に変える操作に相当する。
このことを踏まえて、以下、α(ρ)をスケーリング係数と称する。
また、η軸を離散的な時間でサンプリングしてデータを得るような一般的な運用では、そのサンプリングの周期であるΔをファスト周波数ρ毎に変えたα(ρ)Δで得るリサンプリングとみなすこともできる。リサンプリングに要する処理負荷は一般的に高く、この処理負荷の低減が課題となっている。
スケーリング理論であるSPを用いると、4種類の信号の乗算とFT/IFTを組み合わせた軽い処理で実現することができるので、処理負荷が高くなる問題を解決することができる。
4種類の信号は、いずれもリサンプリングを行う軸方向の変化(ここでは、スロータイム方向の変化)に対して、2次の位相変化を有することから、以下では、4種類の信号を2次位相信号と称する。
まず、u(η)のスロータイムをα倍した信号(サンプリング間隔をα倍した信号)であるu(η)は、SPに基づくと、下記の式(13)で得られる。
Figure 0006289389
ここで、x(η)y(η)は、x(η)とy(η)の畳み込み演算である。
また、p(η)(k=1,2,3,4)は、4種類の2次位相信号であり、下記の式(14)〜(17)で与えられる。
Figure 0006289389

Figure 0006289389

Figure 0006289389

Figure 0006289389
式(14)〜(17)において、bは4種類の2次位相信号のスロータイムに対する2次位相の特性を与えるパラメータであり、以下では、2次位相係数と称する。
以上の計算における畳み込み演算部分は、良く知られる畳み込み定理に基づいてスロータイムをフーリエ変換したドップラー周波数領域での乗算と、ドップラー周波数軸上での逆フーリエ変換で実現することができる。
したがって、SPの処理は、FT、IFT及び乗算処理で実現することができる。
このSPの原理をKT処理に適用する場合、αをρに応じて変化する前述のα(ρ)に置き代えて、ファスト周波数ρ毎にスケーリングを変えればよい。
KT用の4種類の2次位相信号であるQ1ft(ρ,η)、Q2ft(ρ,η)、Q3ft(ρ,η)、Q4ft(ρ,η)は、下記の式(18)〜(21)で与えられる。
なお、Qkft(ρ,η)の添え字であるk(k=1,2,3,4)は、2次位相信号の番号、ftはファスト軸が周波数で、スロー軸が時間であることを示している。
Figure 0006289389

Figure 0006289389

Figure 0006289389

Figure 0006289389
式(18)〜(21)において、rect(x)は、取り扱う信号が有限の時間幅及び周波数幅であることを考慮して導入している一般的な矩形関数であり、下記の式(22)のように定義される。
Figure 0006289389
式(18)〜(21)におけるrect関数内の分母のw(k=1,2,3,4)は、2次位相信号Qkft(ρ,η)が0とはならないスロータイムηの幅を与えるものである。
以下では、これらを2次位相信号のスロータイム幅と称する。スロータイム幅の定め方については後述する。
2次位相信号Qkft(ρ,η)をスロータイム方向にフーリエ変換して得られる遅延スペクトルドップラー分布Qkff(ρ,γ)は、良く知られる停留位相近似に基づくと、近似的に下記の式(23)〜(26)で表される。ただし、ここでは議論に関係がない定数倍を省略している。
Figure 0006289389

Figure 0006289389

Figure 0006289389

Figure 0006289389
式(23)〜(26)において、遅延スペクトルドップラー分布Qkff(ρ,γ)のドップラー周波数幅を与えるW(k=1,2,3,4)は、停留位相近似に基づいて下記の式(27)〜(30)で与えられる。
Figure 0006289389

Figure 0006289389

Figure 0006289389

Figure 0006289389
これらの信号を用いたSPに基づくKT処理を行ってGft(ρ,η)からUft(ρ,η)を得る処理は、下記の式(31)で表される。
Figure 0006289389
ft(ρ,η)からUft(ρ,η)を得る処理を行う受信信号スケーリング変換回路25の処理ブロックは、図3の通りである。
受信信号スケーリング変換回路25の処理内容は後述するが、Gft(ρ,η)とQ1ft(ρ,η)の畳み込み演算がスロータイムFT部31,32、乗算回路33及びスロータイムIFT部34で実現される。
また、スロータイムIFT部34の出力とQ2ft(ρ,η)の乗算が乗算回路35で実現される。
さらに、乗算回路35の出力とQ3ft(ρ,η)の畳み込み演算がスロータイムFT部36,37、乗算回路38及びスロータイムIFT部39で実現される。
また、スロータイムIFT部39の出力とQ4ft(ρ,η)の乗算が乗算回路40で実現される。
乗算回路33,35,38,40において、Q1ff(ρ,γ),Q2ft(ρ,η),Q3ff(ρ,γ),Q4ft(ρ,η)を乗算する際には、データの欠損が生じないように、乗算する信号の幅(Qkft(ρ,η)を乗算する際にはスロータイム幅w、Qkff(ρ,γ)を乗算する際にはドップラー周波数幅W)が、もう一方の入力信号の幅をカバーすることが可能な分だけ確保しておく必要がある。
また、処理の過程の信号のスロータイム幅やドップラー周波数幅が変化する点には注意する必要がある。特に、スロータイム幅やドップラー周波数幅が広がった際に、元信号のスロータイム幅やドップラー周波数幅を超えて信号が折り返す可能性があるので、注意する必要がある。
ブロック内の各処理は、折り返し信号の発生を想定していないことから、折り返し信号の発生の影響で、再生画像の歪みや意図しない偽像等の問題が発生する。
したがって、再生画像の歪みや偽像が発生する問題を回避するには、入力信号の処理前に、予めスロータイムやドップラー周波数に対してマージン(値が0の領域)を設けておく必要がある。
ここで、図4は最小マージン付加回路23におけるマージ付加処理を示す説明図である。
左上の元データにおける横軸は入力信号のスロータイム軸又はドップラー周波数軸である。
折り返し問題は、スロータイム軸及びドップラー周波数軸のいずれでも発生することから、ここでは、これらをまとめてスロー軸と呼んで統一的に説明する。
まず、単純にKT処理に対してSP処理を適用した場合について考える。
処理過程のある段階で、スロー軸が広がるため、元の幅(スロータイム幅d又はドップラー周波数幅D)を超えた分の信号が発生し、元の幅を超えた分の信号が、折り返し信号として、図4の左側に示すように重畳される。
これに対して、図4の右側に示すように、十分なスロー軸幅のマージン(元の幅を超えている拡大幅に相当するサイズのマージン)を追加しておけば、処理過程のある段階で、スロー軸が広がっても、折り返し信号が発生しないため、折り返し信号の重畳を回避することができる。
ただし、このマージンの幅を広くする程、データ容量の増大によって処理負荷も増大する。
したがって、処理負荷低減の観点からは、マージンのサイズを必要最小限のサイズとすることが望ましい。
このため、マージン最小化2次位相係数決定回路21では、マージンのサイズが必要最小限のサイズになるように2次位相係数bを設定する。
即ち、信号の広がり幅は2次位相係数bによって変化し、必要なマージンも2次位相係数bによって変化するため、マージン最小化2次位相係数決定回路21は、各処理段での信号の広がり幅及び所要マージンの特性を見積もった上で、マージンのサイズが必要最小限のサイズとなるように、2次位相係数bを設定する。
2次位相係数bの設定は、以下のように行われる。
入力信号のドップラー周波数の幅をDで与える。ここでのDは、元信号に含まれる目標信号の真のドップラー周波数幅ではなく、これを超えると、折り返し信号が発生するぎりぎりの幅(折り返し信号が発生しない範囲で最大のドップラー周波数幅)である。
また、各目標のドップラー周波数γtgtは、−D/2≦γtgt<D/2を満足するものとする。
このDは、一般的には、パルス繰り返し周波数F[Hz]と等しいと考えて差し支えない。
また、入力信号のスロータイム幅dは、レーダ受信信号取得回路1により設定された切出し幅Tcutに等しいものとする。
以下では、第k番目の2次位相信号(または、2次位相信号をスロータイム方向にフーリエ変換した結果)を乗算した後の信号をスロータイム軸上ではSkft(ρ,η)、ドップラー周波数軸上ではSkff(ρ,γ)で表すものとする。また、そのスロータイム幅をd、ドップラー周波数幅をDで表すものとする。なお、これらは必要に応じてファスト周波数ρの関数d(ρ),D(ρ)に拡張する。
まず、遅延スペクトルドップラー分布Q1ff(ρ,γ)のドップラー周波数幅Wは、Dと等しいか、僅かに大きいことが望ましいので、ここでは、1と等しいか、1より僅かに大きな定数βを導入して、ドップラー周波数幅Wを下記の式(32)で与えるようにする。
Figure 0006289389
次に、2次位相信号Q1ft(ρ,η)と畳込み後の信号S1ft(ρ,η)のスロータイム幅の最大値d[s]を見積もる。
2次位相信号Q1ft(ρ,η)をスロータイム方向にフーリエ変換したQ1ff(ρ,γ)において、畳込み後の信号S1ft(ρ,η)のスロータイム幅の変化に寄与する実効的な成分のドップラー周波数幅W (eff)は、下記の式(33)に示すように、受信信号自身のドップラー周波数幅であるDで制限される。
Figure 0006289389
スロータイム幅の変化に寄与する実効的な成分のドップラー周波数幅W (eff)に対応する時間幅w (eff)は、下記の式(34)で与えられる。
Figure 0006289389
畳み込み演算によって元の信号のスロータイム幅がw (eff)だけ広がるため、スロータイム幅の最大値dは、下記の式(35)で与えられる。
Figure 0006289389
については、スロータイム幅の最大値dの時間幅を過不足なくカバーするために、βを1と等しいか、僅かに大きい定数として、下記の式(36)で与えるようにする。
Figure 0006289389
このwが、SPの処理の途中で生じる信号のスロータイム幅の最大値となり、これが折り返さないようにスロータイム幅のマージンを確保する必要がある。
次に、S2ff(ρ,γ)のドップラー周波数幅であるD(ρ)[Hz]を見積もる。
ここでは幅がファスト周波数ρに依存することを明示化するために、ファスト周波数ρの関数として表している。
2次位相信号Q2ft(ρ,η)のスロータイム幅を、dをカバーするように定めた場合、2次位相信号Q2ft(ρ,η)において、信号のドップラー周波数幅の変化に寄与する実効的な成分のスロータイム幅w (eff)は、dと等しくなる。
Figure 0006289389
信号のドップラー周波数幅の変化に寄与する実効的な成分のスロータイム幅w (eff)に対応するドップラー周波数幅W (eff)(ρ)は、下記の式(38)で与えられる。
Figure 0006289389
したがって、S2ff(ρ,γ)のドップラー周波数幅であるD(ρ)は、下記の式(39)のように表される。
Figure 0006289389
次に、wを定める。2次位相信号Q3ft(ρ,η)をスロータイム方向にフーリエ変換したQ3ff(ρ,γ)がS2ff(ρ,γ)のドップラー周波数幅をカバーするために、βを1と等しいか、僅かに大きい定数として、W(ρ)が下記の式(40)を満足する必要がある。
Figure 0006289389
したがって、wに課される条件は、下記の式(41)で与えられる。
Figure 0006289389
ここで、式(41)を満足する最小のwを見積もるために、式(41)の最右辺における|ρ|(db+D)+(F+ρ)D(=A(ρ)とする)のρに対する振舞を調べる。
A(ρ)は、下記の式(42)から分かるように、ρ<0では単調減少、ρ≧0では単調増加となるため、A(ρ)の最大値は、ρ=B/2又はρ=−B/2になる場合となり、これらのρをA(ρ)に代入することで、ρ=B/2のとき、最大値(Bdb+2(F+B)D)/2となることが確認される。
Figure 0006289389
このことを踏まえると、wは下記の式(43)のように与えられる。
Figure 0006289389
ξは比帯域(=B/F)であるため、W(ρ)は下記の式(44)のように与えられる。
Figure 0006289389
このW(ρ)の最大値W (max)が、SP処理の途中段で発生する信号のドップラー周波数幅の最大値となる。
maxρ(α(ρ))=F/(F−B/2)=2/(2−ξ)であることを踏まえると、最大値W (max)は、下記の式(45)で与えられる。
Figure 0006289389
2次位相信号Q4ft(ρ,η)の乗算は、SP処理の最終段のdechirp処理であり、wについては、S3ft(ρ,η)の情報欠落を生じさせない程度の十分広い幅に設定しておいてよい。
ここでは、マージン幅に影響を及ぼさない範囲での最大幅として、この値を下記の式(46)に示すようにwに一致させるようにする。
Figure 0006289389
したがって、信号の折返しを発生させないようにするためには、マージンを含む処理データのスロータイム幅がw以上で、ドップラー周波数幅がW (max)以上にすればよい。そこで、ここでは、スロータイム幅をw、ドップラー周波数幅をW (max)に設定するものとする。
ただし、上で示しているスロータイム幅w及びドップラー周波数幅W (max)は、2次位相係数bに依存する形で表現されており、2次位相係数bの決定については自由度がある。
そこで、以下では、処理データ容量に比例するスロータイム方向のデータ点数が最小となるように、2次位相係数bを定める。
スロータイム幅wの信号のドップラー周波数分解能が1/wで、ドップラー周波数幅W (max)の信号の時間分解能が1/W (max)で与えられることを踏まえると、スロータイム方向の所要のデータ点数は、2次位相係数bの関数N(b)として、下記の式(47)で定式化される。
Figure 0006289389
式(47)に対して、既に得られたw,W (max)を代入すると、下記の式(48)が得られる。
Figure 0006289389
式(48)の関数N(b)を最小化する2次位相係数bが最適な設計値b(opt)となる。
最適な設計値であるb(opt)は、関数N(b)が極値となるbとして得られるが、関数N(b)が極値になるには、下記の式(49)を満足することが必要条件となる。
Figure 0006289389
式(49)を満足するb(opt)は、下記の式(50)のようになる。
Figure 0006289389
b<b(opt)のときdN(b)/db<0になって関数N(b)が単調に減少し、b>b(opt)のときdN(b)/db>0になって関数N(b)が単調に増加することから、関数N(b)はb(opt)で最小となることが確かめられる。
スロータイム幅w(k=1,2,3,4)の最適値w (opt)は、2次位相係数bの最適な設計値であるb(opt)を用いて、下記の式(51)〜(54)のように与えられる。
Figure 0006289389

Figure 0006289389

Figure 0006289389

Figure 0006289389
なお、式(51)は、式(27)及び式(32)からWを消去することで得られる関係式(w=B/b)において、b=b(opt)を代入することにより得られる。
また、W(ρ)の最大値W (max)の最適値W (max,opt)は、下記の式(55)で与えられる。
Figure 0006289389
以上がSPに基づくKT処理の概要である。
KT補償回路6が、SPに基づくKT処理を実施することで、リサンプリングの処理負荷を軽減することができるが、スロータイムに対する電波の伝搬遅延時間の1次変化を正しく補償することができないことがある。
即ち、ドップラー周波数が折り返さない目標についてはスロータイムに対する電波の伝搬遅延時間の1次変化を正しく補償することができるが、伝搬遅延時間の変化が大きく、ドップラー周波数が折り返す目標については、折り返した見かけ上のドップラー周波数の1次変化のみが補償されて、目標の真のドップラー周波数の1次変化が補償されない。このため、目標の真のドップラー周波数と、折り返した見かけ上のドップラー周波数との差に相当する1次成分が残存し、目標の像がぼけてしまうことがある。
この実施の形態1では、ドップラー周波数が折り返す目標についても、スロータイムに対する電波の伝搬遅延時間の1次変化を正しく補償することができるようにするために、アップサンプリング回路5や前処理補償回路4を設けている。
外部運動推定回路30は、目標の位置変化、レーダの位置変化又は目標とレーダの間の相対的な位置関係の変化を観測し、その観測結果を前処理補償量・アップサンプリング数設定回路3に出力する。
前処理補償量・アップサンプリング数設定回路3は、外部運動推定回路30により観測された目標とレーダの間の相対的な位置関係の変化から、スロータイムに対する電波の伝搬遅延時間の変化を推定する。
例えば、レーダと目標の共通の座標系において、レーダによる目標観測中の時刻がηであるとき、レーダの位置ベクトルがrrdr(η)、目標の位置ベクトルがrtgt(η)であるとすると、伝搬遅延時間s(η)は、下記の式(56)で算出することができる。明細書の文章中では、ベクトルの“r”を細字で記述しているが、式(56)の中では“r”を太字で記述している。
Figure 0006289389
式(56)において、Cは光速である。
レーダの送信機と受信機の位置が異なる場合、送信機の位置ベクトルがrtra(η)、受信機の位置ベクトルがrrec(η)であるとすると、伝搬遅延時間s(η)は、下記の式(57)で算出することができる。
Figure 0006289389
前処理補償量・アップサンプリング数設定回路3は、スロータイムに対する電波の伝搬遅延時間s(η)の変化を推定すると、下記の式(58)に示すように、その伝搬遅延時間s(η)の変化を打ち消すための遅延スペクトルヒストリの補償量を算出する。
遅延スペクトルヒストリの補償量=ej2π(ρ+Fc)×s(η) (58)
ここでは、前処理補償量・アップサンプリング数設定回路3が、スロータイムに対する電波の伝搬遅延時間s(η)の変化を推定するようにしているが、後述する伝搬遅延1次変化算出回路14により算出された伝搬遅延時間の1次変化から、遅延スペクトルヒストリの補償量を算出するようにしてもよい。例えば、観測時刻を僅かに変えながら画像再生を繰り返すような運用において、過去の観測で後述する伝搬遅延1次変化算出回路14により算出された伝搬遅延時間を用いて、現在の画像再生に用いる補償量を計算するような方法が考えられる。
また、前処理補償量・アップサンプリング数設定回路3は、アップサンプリング回路5が実施するアップサンプリングの点数N(Nは1以上の整数)を設定する。
アップサンプリングの点数Nが大きくなるほど、ドップラー周波数の幅が広くなるため、ドップラー周波数のサポート帯域幅を拡大して折返し信号の重畳を回避する観点からは、アップサンプリングの点数Nが大きい方が望ましい。しかし、アップサンプリングの点数Nを大きくと、データ容量の増大、ひいては、処理負荷の増大を引き起こすため、アップサンプリングの点数Nを大きくすればよいというものではない。
アップサンプリングの点数Nの設定方法として、例えば、画像レーダ装置や運用におけるデータ容量や処理負荷の制約を満足する最大のアップサンプリング点数を設定するような方法が考えられる。
また、別の設定方法として、何らかの方法で想定されるドップラー周波数の最大値を踏まえて、その最大値が折り返さない、または、その最大値のA倍が折り返さない、または、ドップラー周波数が何らかの分布形状で与えられる場合に、その分布のAパーセントが折り返さないなど、想定されるドップラー周波数に基づいて必要最小限のアップサンプリングの点数Nを設定する方法が考えられる。
この実施の形態1では、前処理補償量・アップサンプリング数設定回路3が、スロータイムに対する電波の伝搬遅延時間s(η)の変化に対応するドップラー周波数から、アップサンプリングの点数N(Nは1以上の整数)を設定するものを想定する。
なお、処理負荷の制約に関する別の工夫として、伝搬遅延の変化が予め何らかの手段で予測可能な場合には、前処理として、この変化を打ち消すように予備的な補償を行うことで、目標像の真のドップラー周波数を下げれば、所要のアップサンプリング点数を下げることができる。
前処理補償回路4は、前処理補償量・アップサンプリング数設定回路3が遅延スペクトルの補償量ej2π(ρ+Fc)×s(η)を算出すると、その補償量ej2π(ρ+Fc)×s(η)をレーダ受信信号取得回路1から出力された式(5)の遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)に乗算することで、その遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)を補償する。遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)を補償することは、その遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)をファストタイム方向に逆フーリエ変換することで得られる遅延スペクトルを補償することに相当する。
なお、前処理補償量・アップサンプリング数設定回路3が伝搬遅延時間s(η)の変化の推定に用いている各種の位置ベクトルの算出精度が低い場合、前処理補償回路4が伝搬遅延時間s(η)の変化を打ち消すように、レーダ受信信号取得回路1により取得された遅延ヒストリを補償しても、伝搬遅延時間s(η)の変化が残存する可能性があるが、前処理補償回路4が補償処理を実施しない場合よりは、伝搬遅延時間s(η)の変化が低減されることが期待される。
上記の補償処理を行うことで、ドップラー周波数の折返しが低減されて、必要なアップサンプリング数も低減できることが期待される。
アップサンプリング回路5は、前処理補償回路4が遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)を補償すると、その遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)をスロータイム方向にアップサンプリングする。遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)をアップサンプリングすることは、その遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)をファストタイム方向に逆フーリエ変換することで得られる遅延スペクトルをアップサンプリングすることに相当する。
具体的には、以下のようにして、遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)をアップサンプリングする。
前処理補償回路4により補償された遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)のファスト(ファストタイム、ファスト周波数)軸及びスロー軸(スロータイム、ドップラー周波数)は、離散化されているものとする。
遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)をスロータイム方向にN倍のアップサンプリングを行う場合は、元の遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)に対して、各々のスロータイムのセル間に、(N−1)個の0のセルを挿入する。
これにより、見かけ上のサンプリング周波数が高くなるので、セル挿入後の遅延スペクトルヒストリをスロータイム方向にフーリエ変換することで得られる遅延スペクトルドップラー分布においても、ドップラー周波数の帯域幅がN倍に拡張される。
ここで、図5は遅延ドップラー画像の一例を示す説明図であり、(a)はレーダと目標の間の相対運動の影響でぼけた遅延ドップラー画像、(b)はぼけが生じていない理想的な遅延ドップラー画像を示している。
図5では、2つの目標(目標A、目標B)の像が同一画像上に存在している例を示している。
また、図6はアップサンプリングによってドップラー帯域が拡張された遅延ドップラー画像一例を示す説明図であり、(a)はアップサンプリング直後の遅延ドップラー画像、(b)はKT処理後の遅延ドップラー画像を示している。
例えば、元の遅延ドップラー分布が図5(a)に示すような画像である場合、遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)をスロータイム方向にN倍のアップサンプリングを行うと、図6(a)に示すように、目標毎に、ドップラー周波数方向にパルス繰り返し周波数周期で繰り返されたような画像、即ち、同じ形のレプリカがN(図6の例では、N=5)個発生する。
この時点では、未だ2つの目標(目標A、目標B)の像はぼけているが、これらレプリカのうち、1つのレプリカは、目標の真のドップラー周波数の位置に存在するものとなる。
したがって、目標の真のドップラー周波数の位置に存在していない像(以下、「偽像」と称する)に対して、KT処理を適用すると、図6(b)に示すように、真のドップラー周波数の位置に存在している像(以下、「真像」と称する)は結像し、真のドップラー周波数の位置から離れる程にぼけるような特性になる。
図6の例では、目標Aについては左から3番目の真像が結像し、目標Bについては左から4番目の真像が結像している。
よって、1次成分が正しく補償された目標像の生成を、この結像した真像の切出しで代用することができる。
KT補償回路6は、アップサンプリング回路5が、遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)をスロータイム方向にアップサンプリングすると、アップサンプリング後の遅延スペクトルヒストリに対して、上述したSPに基づくKT処理を実施する。
以下、KT補償回路6の処理内容を具体的に説明する。
KT補償回路6のマージン最小化2次位相係数決定回路21は、受信信号スケーリング変換回路25で遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)上の信号のリサンプリング処理が実施されても、折り返し信号が発生しないようにするのに必要かつ十分なマージンのサイズが得られるようにするため、限界のスロータイム幅d、限界のドップラー周波数幅D及び比帯域ξ(=B/F)を式(50)に代入することで、2次位相係数bの最適な設計値b(opt)を算出する。
2次位相信号パラメータ設定回路22は、マージン最小化2次位相係数決定回路21が2次位相係数bの最適な設計値b(opt)を算出すると、2次位相係数bの最適な設計値b(opt)を式(51)〜(54)に代入することで、2次位相信号Qkft(ρ,η)のスロータイム幅の最適値w (opt)を算出する。
最小マージン付加回路23は、マージン最小化2次位相係数決定回路21が2次位相係数bの最適な設計値b(opt)を算出すると、2次位相係数bの最適な設計値b(opt)を式(55)に代入することで、ドップラー周波数幅の最適値W (max,opt)を算出する。
最小マージン付加回路23は、ドップラー周波数幅の最適値W (max,opt)を算出すると、アップサンプリング回路5によりアップサンプリングされた遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)に対して、スロータイム幅が最適値w (opt)になり、ドップラー周波数幅が最適値W (max,opt)になるように、値が0の領域であるマージンを各軸上で加える処理を行う。
具体的には、以下のようにマージンを付加する。
最初に、最小マージン付加回路23は、スロータイム幅が最適値w (opt)と一致するように、遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)の両端に、不足しているスロータイム幅(w (opt)−d)と同一サイズのマージンを付加する。
次に、最小マージン付加回路23は、マージン付加後の遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)をスロータイム方向にフーリエ変換し、フーリエ変換後の遅延スペクトルヒストリである遅延スペクトルドップラー分布Gff(ρ,γ)のドップラー周波数幅が2次位相信号のドップラー周波数幅W (max,opt)と一致するように、遅延スペクトルドップラー分布Gff(ρ,γ)の両端に、不足しているドップラー周波数幅(W (max,opt)−D)と同一サイズのマージンを付加する。
ここでは、遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)の両端に、不足しているスロータイム幅(w (opt)−d)と同一サイズのマージンを付加してから、遅延スペクトルドップラー分布Gff(ρ,γ)の両端に、不足しているドップラー周波数幅(W (max,opt)−D)と同一サイズのマージンを付加する例を示しているが、スロータイム幅がw (opt)の空のデータ領域を確保した上で、このデータ領域の中央に遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)を配置してから、この遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)をスロータイム方向にフーリエ変換し、さらに、別途確保したドップラー周波数幅がW (max,opt)の空のデータ領域の中央に、遅延スペクトルドップラーGff(ρ,γ)を配置するようにしてもよい。
以下、スロータイム及びドップラー周波数のサンプルが離散的な一般的な場合の処理方法を具体的に説明する。
スロータイムのサンプリング周波数がF[Hz]であるとき、離散化を考慮して、xの小数点以下を切り上げる関数ceil(x)を導入し、スロータイム軸でのマージン付加後のスロータイム方向のセル数Htimeを下記の式(59)のように定める。
Figure 0006289389
これにより、このマージン付加後の信号のスロータイム幅δtimeは、下記の式(60)のように与えられる。
Figure 0006289389
したがって、この信号のドップラー周波数セル幅Δfreqは、下記の式(61)のように与えられる。
Figure 0006289389
よって、ドップラー周波数軸上でのマージン付加後のセル数Hfreqは、下記の式(62)のように与えられる。
Figure 0006289389
ここでは、サンプル番号hを導入して、入力信号のスロータイム及びドップラー周波数を離散的に取り扱っている。
スロータイムを離散的に表現した信号をG0ft(ρ,h)(≡Gft(ρ,h/F),h=−Hcut/2,・・・,(Hcut/2)−1)で表す。
そして、スロータイム軸上でのマージンを付加するため、スロータイム方向のサンプル数がHtimeのデータ格納配列G1ft(ρ,h)を用意した上で、下記の式(63)によってG0ft(ρ,h)の値を配置する。
Figure 0006289389
これにより、スロータイム軸上でのマージンの付加が実現される。ここでは、式の表記の簡単化のため、Hcut,Htime,Hfreqが偶数であるとして取り扱うが、四捨五入、切り上げや切り捨てなどのオペレータを導入すれば、奇数であっても用いることできることは言うまでもない。
次に、G1ft(ρ,h)をh方向に離散フーリエ変換することで、G1ff(ρ,m)を得る。ただし、m=−Htime/2,・・・,(Htime/2)−1である。
1ft(ρ,h)のスロータイム幅がHtime/Fであることから、ドップラー周波数のステップ幅はF/Htimeとなる。即ち、第m番目のドップラーセルのドップラー周波数γ(m)は、γ(m)=mF/Htime[Hz]となる。
次に、ドップラー周波数軸上でマージンを付加するため、ドップラー周波数方向のサンプル数がHfreqのデータ格納配列G2ff(ρ,m)を用意した上で、下記の式(64)によってG1ff(ρ,m)の値を配置する。
Figure 0006289389
これにより、ドップラー周波数軸上のマージンの付加も実現される。
得られたG2ff(ρ,m)をm方向に離散逆フーリエ変換することで、スロータイム及びドップラー周波数軸の両者で所要の幅のマージンが付加された遅延スペクトルヒストリG2ft(ρ,h)が得られる。ただし、h=−Hfreq/2,・・・,0,・・・,(Hfreq/2)−1である。
なお、G2ff(ρ,m)のドップラー周波数幅がFfreq/Htimeであることから、G2ft(ρ,h)のスロータイムのステップ幅はHtime/Ffreqとなる。
即ち、η(h)=h・Htime/Ffreqとなる。
2次位相信号生成回路24は、2次位相信号パラメータ設定回路22により設定された2次位相信号のスロータイム幅w,w,w,wに基づいて、スロータイム及びファスト周波数についてのサンプル点が、最小マージン付加回路23によりマージンが付加された遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)と同じである4種類の2次位相信号Q1ft(ρ,η),Q2ft(ρ,η),Q3ft(ρ,η),Q4ft(ρ,η)を生成する。
即ち、2次位相信号生成回路24は、2次位相信号パラメータ設定回路22により設定された2次位相信号のスロータイム幅w,w,w,wを式(18)〜(21)に代入することで、2次位相信号Q1ft(ρ,η),Q2ft(ρ,η),Q3ft(ρ,η),Q4ft(ρ,η)を生成する。このとき、スロータイム幅やステップ幅は、最小マージン付加回路23によって定められたものを用いる。
受信信号スケーリング変換回路25は、最小マージン付加回路23によりマージンが付加された遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)と2次位相信号生成回路24により生成された4種類の2次位相信号Q1ft(ρ,η),Q2ft(ρ,η),Q3ft(ρ,η),Q4ft(ρ,η)とを用いて、SPに基づくKT処理を実施することで、目標とレーダの間の相対運動に起因して発生しているスロータイムに対する電波の伝搬遅延時間の1次変化を補償する。
以下、受信信号スケーリング変換回路25の処理内容を具体的に説明する。
受信信号スケーリング変換回路25のスロータイムFT部31は、最小マージン付加回路23からマージンが付加された遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)を受けると、その遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)をスロータイム方向にフーリエ変換し、フーリエ変換後の遅延スペクトルヒストリである遅延スペクトルドップラー分布Gff(ρ,γ)を乗算回路33に出力する。
スロータイムFT部32は、2次位相信号生成回路24から2次位相信号Q1ft(ρ,η)を受けると、その2次位相信号Q1ft(ρ,η)をスロータイム方向にフーリエ変換し、フーリエ変換後の2次位相信号Q1ff(ρ,γ)を乗算回路33に出力する。
乗算回路33は、スロータイムFT部31から出力された遅延スペクトルドップラー分布Gff(ρ,γ)と、スロータイムFT部32から出力された2次位相信号Q1ff(ρ,γ)とを周波数軸上で乗算し、その乗算結果Gff(ρ,γ)×Q1ff(ρ,γ)をスロータイムIFT部34に出力する。
スロータイムIFT部34は、乗算回路33の乗算結果Gff(ρ,γ)×Q1ff(ρ,γ)をドップラー周波数方向に逆フーリエ変換し、その逆フーリエ変換結果X1ft(ρ,η)を乗算回路35に出力する。この逆フーリエ変換結果X1ft(ρ,η)は、遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)と2次位相信号Q1ft(ρ,η)の畳み込み演算結果Gft(ρ,η)*Q1ft(ρ,η)に相当する。
乗算回路35は、スロータイムIFT部34から逆フーリエ変換結果X1ft(ρ,η)を受けると、その逆フーリエ変換結果X1ft(ρ,η)と2次位相信号生成回路24から出力された2次位相信号Q2ft(ρ,η)とを時間軸上で乗算し、その乗算結果X2ft(ρ,η)=X1ft(ρ,η)×Q2ft(ρ,η)をスロータイムFT部36に出力する。
スロータイムFT部36は、乗算回路35の乗算結果X2ft(ρ,η)をスロータイム方向にフーリエ変換し、フーリエ変換結果であるX2ff(ρ,γ)を乗算回路38に出力する。
スロータイムFT部37は、2次位相信号生成回路24から2次位相信号Q3ft(ρ,η)を受けると、その2次位相信号Q3ft(ρ,η)をスロータイム方向にフーリエ変換し、フーリエ変換後の2次位相信号Q3ff(ρ,γ)を乗算回路38に出力する。
乗算回路38は、スロータイムFT部36から出力されたフーリエ変換結果X2ff(ρ,γ)と、スロータイムFT部37から出力された2次位相信号Q3ff(ρ,γ)とを周波数軸上で乗算し、その乗算結果X2ff(ρ,γ)×Q3ff(ρ,γ)をスロータイムIFT部39に出力する。
スロータイムIFT部39は、乗算回路38の乗算結果X2ff(ρ,γ)×Q3ff(ρ,γ)をドップラー周波数方向に逆フーリエ変換し、その逆フーリエ変換結果X3ft(ρ,η)を乗算回路40に出力する。この逆フーリエ変換結果X3ft(ρ,η)は、乗算回路35の乗算結果X2ft(ρ,η)と2次位相信号Q3ft(ρ,η)の畳み込み演算結果X2ft(ρ,η)*Q3ft(ρ,η)に相当する。
乗算回路40は、スロータイムIFT部39から逆フーリエ変換結果X3ft(ρ,η)を受けると、その逆フーリエ変換結果X3ft(ρ,η)と2次位相信号生成回路24から出力された2次位相信号Q4ft(ρ,η)とを時間軸上で乗算し、その乗算結果X3ft(ρ,η)×Q4ft(ρ,η)を遅延スペクトルヒストリUft (margin)(ρ,η)としてマージン除去回路26に出力する。
なお、乗算回路33,35の処理によって信号の幅が拡大しているが、正しいマージンが設定されているため、乗算回路38,40の処理によって信号の幅が元の幅に戻っている。
マージン除去回路26は、受信信号スケーリング変換回路25からスロータイムに対する電波の伝搬遅延時間の1次変化が補償されている遅延スペクトルヒストリUft (margin)(ρ,η)を受けると、その遅延スペクトルヒストリUft (margin)(ρ,η)に付加されているマージンを除去する。
即ち、マージン除去回路26は、最小マージン付加回路23と逆の操作であり、最初に、遅延スペクトルヒストリUft (margin)(ρ,η)をスロータイム方向にフーリエ変換して得られる遅延ドップラー分布から、0ドップラー周波数を中心とするドップラー周波数幅Dの信号を抽出する。
次に、マージン除去回路26は、ドップラー周波数幅Dの信号を逆フーリエ変換して得られる遅延スペクトルヒストリから、0スロータイムを中心とするスロータイム幅dの信号を抽出することで、スロータイムとドップラー周波数の両者のマージンが除去された遅延スペクトルヒストリを得る。
以下、最小マージン付加回路23での説明と同様に、スロータイムとドップラー周波数が離散している場合のマージン除去回路26の具体的な処理を説明する。
まず、U2ft(ρ,h)=Uft (margin)(ρ,h・Htime/Ffreq)とする。ただし、h=−Hfreq/2,・・・,0,・・・,(Hfreq/2)−1)である。
2ft(ρ,h)をh方向に離散フーリエ変換して得られるU2ff(ρ,m)(m=−Htime/2,・・・,(Htime/2)−1)において、下記の式(65)によって0ドップラーを中心とするHtimeのドップラーセル幅の信号をU1ff(ρ,m)として得る。
Figure 0006289389
次に、U1ff(ρ,m)をm方向に逆離散フーリエ変換して得られるU1ft(ρ,h)(h=−Htime/2,・・・,(Htime/2)−1)において、下記の式(66)に示すように、0を中心とするHcut幅の信号を抽出して、Hcut幅の信号をU0ft(ρ,h)と表す。
Figure 0006289389
0ft(ρ,h)では、付加されたマージンが取り除かれている。また、そのスロータイムのステップ幅が元の値である1/Fに戻っている。
受信信号整形回路27は、KT補償回路6でのSPに基づくKT処理(スロータイムに対する電波の伝搬遅延時間の変化の補償)に伴って生じるファスト周波数毎のスロータイム幅の相違を補正し、スロータイム幅の相違を補正した遅延ヒストリを真像偽像グルーピング回路7に出力する。
即ち、受信信号整形回路27は、マージン除去回路26によりマージンが除去された遅延ヒストリから、0スロータイムを中心として、画像化パラメータ設定回路2により設定された画像化に用いるスロータイム幅T[s]の信号を切出し、その切出したスロータイム幅Tの信号を真像偽像グルーピング回路7に出力する。または、マージン除去回路26によりマージンが除去された遅延ヒストリの中で、0スロータイムを中心として、スロータイム幅Tの範囲外の値をゼロとするような重みづけを行う。
なお、スロータイムを離散化した表現では、最終的に画像化に用いるサンプル数(パルス数)Hの分のデータを切出して、下記の式(67)のような整形後の遅延スペクトルヒストリUft (last)(ρ,h)を得る。
Figure 0006289389
以上の各ブロックの処理を経て得られた遅延スペクトルヒストリUft (last)(ρ,h)は、KT処理の効果によって、スロータイムに対する電波の伝搬遅延時間の1次変化が解消されている。また、SPを適用した弊害で発生しているファスト周波数毎のスロータイム幅の相違も解消されている。
真像偽像グルーピング回路7は、KT補償回路6により補償された遅延ヒストリから得られる遅延ドップラー分布上に複数の目標の真像と偽像が存在している場合、その遅延ドップラー分布のドップラー軸上に等間隔で並んでいる真像と偽像を同一のグループに含めるグループ分けを実施する。
図7は真像偽像グルーピング回路7によるグループ分けを示す説明図である。
図7の例では、同一画像上に存在している2つの目標(目標A、目標B)の像のグループ分けを実施しており、各目標の像は、目標パルス繰り返し周波数(PRF)間隔に並んでいることを利用して、グループ分けしている。
具体的には、図6(b)に示すようなKT処理後の遅延ドップラー画像については、真のドップラー周波数Fの幅を有するN枚のサブ画像とみなし、N枚のサブ画像のドップラー周波数として、真のドップラー周波数Fによって定まる見かけ上のドップラー周波数F’(n)=F (mod F)(n=0,1,…1,N−1)を定める。
そして、見かけ上のドップラー周波数F’(n)を互いに合わせることで、N枚のサブ画像を統合する。
この統合の方法としては、例えば、各ファストタイム、見かけのドップラー周波数毎に最大値をとるような方法や、各ファストタイム、見かけのドップラー周波数毎に平均値や総和値をとるような方法が考えられる。
このように統合された画像は、同じ目標についての真像と偽像が、同じ見かけ上のドップラー周波数位置で合成されたような画像になる。即ち、この統合画像上では、各目標の真像と偽像が統合された1つの目標像として得られると期待される。
目標毎領域分割回路8は、真像偽像グルーピング回路7が目標像のグループ分けを実施すると、グループ毎に、当該グループ内の目標像(真像、偽像)を含む領域の遅延ドップラー分布上の位置を決定する。
即ち、目標毎領域分割回路8は、真像偽像グルーピング回路7による統合画像上で、目標検出を実施して、それぞれの目標像を含むファストタイム及び見かけのドップラー周波数の範囲を定め、目標像(真像、偽像)を含む領域を図7(b)の破線で示すような元の遅延ドップラー分布に展開する。
これにより、遅延ヒストリ上に複数の目標の信号が存在し、かつ、複数の目標の間の信号強度の差が大きいために、ある目標(小目標)の結像した真像のピーク電力が、別の目標の結像しなかった偽像のピーク電力より小さいような場合でも、その小目標の真像を正しく選択することができるようになる。
なお、観測目標数が1個の場合には、真像偽像グルーピング回路7におけるグルーピング処理や、目標毎領域分割回路8による領域分割処理を省略することができる。
目標毎真像判定回路9は、目標毎領域分割回路8が、グループ毎に、目標像(真像、偽像)を含む領域の遅延ドップラー分布上の位置を決定すると、当該グループに含まれている遅延ドップラー分布上の目標の真像と偽像の中から、真像及び偽像の電力を比較することで、目標の真像を判別する。
真像は結像しているので、真像の各反射点がそれぞれ積み上がってピークの電力が高くなるのに対して、偽像は結像していないので、偽像の各反射点が積み上がらずにピークの電力が高くならないことを利用すれば、真像と偽像を区別することができる。したがって、目標毎真像判定回路9は、同一グループ内の目標像の中で、ピーク電力が最も高い像を真像として選択する。
真像切出回路10は、目標毎真像判定回路9が各目標の真像を判別すると、遅延ドップラー分布から各目標の真像を含む領域を切出して、その領域を高次補償回路11に出力する。
高次補償回路11は、真像切出回路10から各目標の真像を含む領域を受けると、各目標の真像を含む領域に対する高次の変化(2次以上の変化)を補償する。
例えば、目標の真像を含む領域をドップラー軸方向に逆フーリエ変換することで得られる遅延ヒストリに対して、フェーズグラディエント・ オートフォーカス(PGA:Phase Gradient Autofocus)と呼ばれる一般的な高次補償処理を適用することで、高次の変化(2次以上の変化)を補償する。PGAは、再生画像の誤差を推定して補償することで、再生画像の分解能を改善する処理である。
既に、真像切出回路10までの処理で、ファストタイムの変化の主要な成分である1次成分が補償されているので、1次成分が存在する場合(例えば、目標上の反射点がファストタイムの分解能セルを超えて移動しているような場合)よりは、高次補償回路11の補償処理を容易に実現できることが期待される。
画像再生回路12は、高次補償回路11により高次の変化が補償された各目標の真像を含む領域から各目標の画像を再生する。
即ち、画像再生回路12は、高次補償回路11による高次補償処理後の遅延ヒストリをドップラー軸方向にフーリエ変換して、再度、結像した画像を得るようにする。
ドップラー周波数推定回路13は、目標毎真像判定回路9が各目標の真像を判別すると、各目標の真像のピーク位置から、各目標のドップラー周波数を特定する。即ち、遅延ドップラー分布上で、各目標の真像のピーク位置に対応するドップラー周波数を特定する。
伝搬遅延1次変化算出回路14は、ドップラー周波数推定回路13が各目標のドップラー周波数を特定すると、レーダから送信される電波の中心周波数fと、第m番目の目標の真のドップラー周波数fdm(図7の例では、m=1,2)を下記の式(68)に代入することで、各目標についての伝搬遅延時間の1次変化s1を算出する。
s1=−fdm/f (68)
ここで得られた伝搬遅延時間の1次変化s1は、式(4)の1次係数s1相当のものであり、これに基づいても伝搬遅延時間の1次変化相当の成分の補償量を算出することができる。この算出値は、外部運動推定回路30により観測された目標とレーダの間の相対的な位置関係の変化から推定された同様の1次変化と比べて精度が高いことも期待される。このことを踏まえ、上記s1を、前処理補償量・アップサンプリング数設定回路3に与えても構わない。特に、観測時間を僅かにずらせながら画像再生を繰り返すような用途で、かつ、上記伝搬遅延時間の1次の成分が、僅かな観測時間の相違に対してあまり変化しないと期待される場合は、過去の観測結果の画像再生の過程で得られた上記s1に基づいて現在の画像再生のための補償量を高精度に推定できることも期待される。
目標ラジアル速度算出回路15は、伝搬遅延1次変化算出回路14が伝搬遅延の1次変化s1を算出すると、その伝搬遅延の1次変化s1を下記の式(69)に代入することで、レーダと各目標との間の距離の時間変化を示すラジアル速度Vrを算出する。レーダの送信機と受信機の位置が異なる場合、送信機から目標を介して受信機に至る経路長の1/2の時間変化を示すラジアル速度Vrを算出する。
Vr=C×s1/2 (69)
ただし、Cは光速である。
ラジアル速度Vrは、目標とレーダの間の運動を表す重要パラメータであり、有用である。
このラジアル速度Vrは、上記のようにドップラー周波数から換算され、また、高精度に得ることができる。しかし、ドップラー周波数の折返しが発生する一般的なケースにおいては、上記の換算を用いても折返しの発生したドップラー周波数に対する偽の値しか得ることができないが、今回の方法では、結果として折返しの発生を回避する効果があるので、ドップラー周波数に基づく高精度なラジアル速度の推定が実現される。
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、前処理補償回路4により補償された遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)をスロータイム方向にアップサンプリングするアップサンプリング回路5を設けるように構成したので、ドップラー周波数が折り返す目標についても、スロータイムに対する電波の伝搬遅延時間の1次変化を正しく補償することができる効果を奏する。
また、想定される相対運動に基づく必要十分なアップサンプリングによって処理データ容量や処理負荷の増大を低減することができる。
前処理補償回路4が、追尾レーダの情報、運動センサの情報、あるいは、過去の補償で得られた情報(伝搬遅延1次変化算出回路14により算出された伝搬遅延の1次変化s1)に基づく前処理補償を実施することで、想定される相対運動を低減して、さらなる処理データ容量や処理負荷を低減することができるとともに、ドップラー周波数の折返しを解消することができる。
また、真像偽像グルーピング回路7が、KT補償回路6により補償された遅延ヒストリから得られる遅延ドップラー分布上に複数の目標の真像と偽像が存在している場合、その遅延ドップラー分布のドップラー軸上に等間隔で並んでいる真像と偽像を同一のグループに含めるグループ分けを実施するようにしているので、複数の目標が存在している場合でも、複数の目標の画像の再生や、複数の目標のラジアル速度の推定を行うことができる。
また、目標のドップラー周波数が折り返す場合でも、ドップラー周波数の真値を真像位置から把握することができるので、このような状況においても、ドップラー周波数に基づく高精度なラジアル速度を推定することができる。
実施の形態2.
図8はこの発明の実施の形態2による画像レーダ装置を示す構成図であり、図8において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
1次補償回路16は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、伝搬遅延1次変化算出回路14により算出された伝搬遅延の1次変化s1を打ち消すように、前処理補償回路4から出力された遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)を補償する処理を実施する。なお、1次補償回路16は1次変化補償手段を構成している。
真像切出回路17は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、1次補償回路16により補償された遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)から0ドップラー周波数付近の像を目標の真像として切出す回路である。
高次補償回路18は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、真像切出回路17により切出された目標の真像に対する高次の変化(2次以上の変化)を補償する処理を実施する。なお、高次補償回路18は第2の高次補償手段を構成している。
次に動作について説明する。
1次補償回路16、真像切出回路17及び高次補償回路18以外は、上記実施の形態1と同様であるため、ここでは、1次補償回路16、真像切出回路17及び高次補償回路18の処理内容だけが異なる。
1次補償回路16は、伝搬遅延1次変化算出回路14が伝搬遅延の1次変化s1を算出すると、その伝搬遅延の1次変化s1を打ち消すための補償量を算出する。
この補償量の算出は、前処理補償量・アップサンプリング数設定回路3が、伝搬遅延1次変化算出回路14により算出された伝搬遅延の1次変化s1から遅延スペクトルヒストリの補償量を算出するものと同様である。
即ち、式(58)に相当する補償量であり、式(58)の伝搬遅延時間s(η)の変化が、伝搬遅延の1次変化s1に対応する伝搬遅延時間になっている。
ただし、1次補償回路16が補償量の算出に用いる伝搬遅延の1次変化s1が、伝搬遅延1次変化算出回路14により算出された最新の1次変化s1であるのに対して、前処理補償量・アップサンプリング数設定回路3が補償量の算出に用いる伝搬遅延の1次変化s1が、伝搬遅延1次変化算出回路14により前回算出された1次変化s1である点で相違している。
1次補償回路16は、伝搬遅延の1次変化s1を打ち消すための補償量を算出すると、前処理補償回路4と同様に、その補償量を遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)に乗算することで、その遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)を補償する。遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)を補償することは、その遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)をファストタイム方向に逆フーリエ変換することで得られる遅延スペクトルを補償することに相当する。
なお、1次補償回路16では、入力される1次変化の数が目標数に応じて複数存在する場合は、各々の1次変化に対する1次補償を行う。
真像切出回路17は、1次補償回路16が遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)を補償すると、その遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)から0ドップラー周波数付近の像を目標の真像として切出し、目標の真像を高次補償回路18に出力する。
1次補償回路16から出力される遅延スペクトルヒストリGft(ρ,η)では、遅延ドップラー分布において、目標の真像が0ドップラー周波数付近に存在しているので、ドップラー周波数付近の像を目標の真像として切出すようにしている。
なお、切出す範囲は、例えば、ドップラー周波数付近において、予め設定されている閾値より大きい電力が連続している範囲などが考えられる。
高次補償回路18は、真像切出回路17が目標の真像を切出すと、目標の真像に対する高次の変化(2次以上の変化)を補償する。
高次補償回路18による高次変化の補償処理は、図1の高次補償回路11と同様の補償処理である。
画像再生回路12は、高次補償回路18により高次の変化が補償された各目標の真像を再生する。
即ち、画像再生回路12は、高次補償回路18による高次補償処理後の遅延ヒストリをドップラー軸方向にフーリエ変換して、再度、結像した画像を得るようにする。
以上で明らかなように、この実施の形態2の場合も、上記実施の形態1と同様の効果が得られる。したがって、ドップラー周波数が折り返す目標についても、スロータイムに対する電波の伝搬遅延時間の1次変化を正しく補償することができる。
なお、図9に示すように、図8の画像レーダ装置に対して、目標毎真像判定回路9の後段に、真像切出回路10、高次補償回路11及び画像再生回路12を接続するように構成してもよい。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
1 レーダ受信信号取得回路(信号取得手段)、2 画像化パラメータ設定回路、3 前処理補償量・アップサンプリング数設定回路(前処理手段、アップサンプリング手段)、4 前処理補償回路(前処理手段)、5 アップサンプリング回路(アップサンプリング手段)、6 KT補償回路(補償手段)、7 真像偽像グルーピング回路(グループ分け手段)、8 目標毎領域分割回路(グループ分け手段)、9 目標毎真像判定回路(真像判別手段)、10 真像切出回路、11 高次補償回路(第1の高次補償手段)、12 画像再生回路、13 ドップラー周波数推定回路(1次変化算出手段)、14 伝搬遅延1次変化算出回路(1次変化算出手段)、15 目標ラジアル速度算出回路(ラジアル速度算出手段)、16 1次補償回路(1次変化補償手段)、17 真像切出回路、18 高次補償回路(第2の高次補償手段)、21 マージン最小化2次位相係数決定回路、22 2次位相信号パラメータ設定回路、23 最小マージン付加回路、24 2次位相信号生成回路、25 受信信号スケーリング変換回路、26 マージン除去回路、27 受信信号整形回路、30 外部運動推定回路(外部機器)、31 スロータイムFT部、32 スロータイムFT部、33 乗算回路、34 スロータイムIFT部、35 乗算回路、36 スロータイムFT部、37 スロータイムFT部、38 乗算回路、39 スロータイムIFT部、40 乗算回路。

Claims (10)

  1. 観測対象である目標との相対的な位置関係を変えながら電波を繰り返し送受信するレーダから、前記電波の受信信号として、前記電波の送信時刻からの経過時間であるファストタイムと前記電波の送信時刻であるスロータイムとの2次元分布である遅延ヒストリを取得する信号取得手段と、
    前記信号取得手段により取得された遅延ヒストリをファストタイム方向にフーリエ変換することで得られる遅延スペクトルヒストリをスロータイム方向にアップサンプリングするアップサンプリング手段と、
    前記アップサンプリング手段によりアップサンプリングされた遅延スペクトルヒストリの各ファスト周波数に応じたサンプリング間隔で、前記遅延スペクトルヒストリ上の信号をスロータイム方向にリサンプリングすることで、前記遅延ヒストリにおけるスロータイムに対する電波の伝搬遅延時間の変化を補償する補償手段と
    を備えた画像レーダ装置。
  2. 前記アップサンプリング手段は、前記スロータイムに対する電波の伝搬遅延時間の変化に基づいてアップサンプリングの点数であるN(Nは1以上の整数)を設定し、前記遅延スペクトルヒストリにおけるスロータイム方向のセル間に、(N−1)個の0のセルを挿入することで、前記遅延スペクトルヒストリのサンプリング周波数をN倍にすることを特徴とする請求項1記載の画像レーダ装置。
  3. 外部機器により観測された前記目標と前記レーダの間の相対的な位置関係の変化から、前記スロータイムに対する電波の伝搬遅延時間の変化を推定して、前記伝搬遅延時間の変化を打ち消すように、前記遅延スペクトルヒストリを補償し、補償後の遅延スペクトルヒストリを前記アップサンプリング手段に出力する前処理手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像レーダ装置。
  4. 前記補償手段により補償された遅延ヒストリから得られる遅延ドップラー分布上の前記目標の真像と偽像の中から、前記真像及び前記偽像の電力を比較することで、前記目標の真像を判別する真像判別手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の画像レーダ装置。
  5. 前記真像判別手段により判別された目標の真像に対する2次以上の変化を補償する第1の高次補償手段を備えたことを特徴とする請求項4記載の画像レーダ装置。
  6. 前記レーダから送信される電波の中心周波数と、前記真像判別手段により判別された目標の真像のドップラー周波数とから伝搬遅延の1次変化を算出する1次変化算出手段と、
    前記1次変化算出手段により算出された伝搬遅延の1次変化から、前記レーダと前記目標との間の距離の時間変化を示すラジアル速度を算出するラジアル速度算出手段とを備えたことを特徴とする請求項4または請求項5記載の画像レーダ装置。
  7. 前記補償手段により補償された遅延ヒストリから得られる遅延ドップラー分布上の前記目標の真像と偽像の中から、前記真像及び前記偽像の電力を比較することで、前記目標の真像を判別する真像判別手段と、
    前記レーダから送信される電波の中心周波数と、前記真像判別手段により判別された目標の真像のドップラー周波数とから伝搬遅延の1次変化を算出する1次変化算出手段とを備え、
    前記前処理手段は、前記1次変化算出手段により算出された伝搬遅延の1次変化から、前記遅延スペクトルヒストリの補償量を算出することを特徴とする請求項3記載の画像レーダ装置。
  8. 前記補償手段により補償された遅延ヒストリから得られる遅延ドップラー分布上に複数の目標の真像と偽像が存在している場合、前記遅延ドップラー分布のドップラー軸上に等間隔で並んでいる真像と偽像を同一のグループに含めるグループ分けを行うグループ分け手段を設け、
    前記真像判別手段は、前記グループ分け手段により分けられたグループ毎に、当該グループに含まれている前記遅延ドップラー分布上の目標の真像と偽像の中から、前記真像及び前記偽像の電力を比較することで、当該目標の真像を判別することを特徴とする請求項4記載の画像レーダ装置。
  9. 前記1次変化算出手段により算出された伝搬遅延の1次変化を打ち消すように、前記前処理手段から出力された遅延スペクトルヒストリを補償する1次変化補償手段と、
    前記1次変化補償手段により補償された遅延スペクトルヒストリにおける2次以上の変化を補償する第2の高次補償手段とを備えたことを特徴とする請求項7記載の画像レーダ装置。
  10. 前記補償手段は、前記リサンプリングでの処理の途中で、スロータイム方向及びドップラー周波数方向に拡大する前記遅延スペクトルヒストリ上の信号の拡大幅に相当するサイズのマージンを前記遅延スペクトルヒストリ上の信号の両端に付加してから、当該信号をリサンプリングすることを特徴とする請求項1から請求項9のうちのいずれか1項記載の画像レーダ装置。
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