JP6249796B2 - 合成開口レーダ信号処理装置及び合成開口レーダ信号処理方法 - Google Patents

合成開口レーダ信号処理装置及び合成開口レーダ信号処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6249796B2
JP6249796B2 JP2014014596A JP2014014596A JP6249796B2 JP 6249796 B2 JP6249796 B2 JP 6249796B2 JP 2014014596 A JP2014014596 A JP 2014014596A JP 2014014596 A JP2014014596 A JP 2014014596A JP 6249796 B2 JP6249796 B2 JP 6249796B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
image
error
complex sar
processing
sar image
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2014014596A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015141124A (ja
Inventor
廣愛 浅見
廣愛 浅見
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP2014014596A priority Critical patent/JP6249796B2/ja
Publication of JP2015141124A publication Critical patent/JP2015141124A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6249796B2 publication Critical patent/JP6249796B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Radar Systems Or Details Thereof (AREA)

Description

この発明は、例えば、航空機や人工衛星などのプラットフォームに搭載され、地形の3次元情報を取得する合成開口レーダ信号処理装置及び合成開口レーダ信号処理方法に関するものである。
地形の3次元情報を得る技術として、光学センサによる航空測量やステレオ視などがある。
しかし、これらの技術では、雲天時や夜間に観測することが不可能であるため、近年、天候や観測時間に依存せずに、地形の3次元情報を取得することができる干渉型合成開口レーダ(SAR:Synthetic Aperture Radar)の技術が開発されている。
干渉型SARを用いている合成開口レーダ信号処理装置では、異なる観測条件で得られた2つの反射エコーからSAR画像をそれぞれ再生し、2つのSAR画像を干渉させて3次元情報を算出するようにしている。
このとき、電波散乱特性や軌道間距離等の影響で、2つのSAR画像の相関が十分に得られない場合、2つのSAR画像を干渉させて得られる干渉画像(インタフェログラム)に位相ノイズが発生するため、3次元情報の算出精度が劣化することがある。
以下の特許文献1には、干渉画像の位相ノイズをフィルタリング処理によって除去する手法が開示されている。
また、以下の特許文献2には、ウェーブレット変換を用いて干渉画像の位相ノイズを低減させることで、3次元情報の精度を高める手法が開示されている。
これにより、2つのSAR画像の相関が十分でない場合に生じる位相ノイズを除去することができる。しかし、合成開口レーダ信号処理装置は、人工衛星等に搭載されるため、衛星軌道上で放射線等を受けることがあり、放射線等を受けることで、処理対象の信号にビット誤りが生じる可能性がある。
処理対象の信号にビット誤りが生じると、信号の表わす画素の画素値(電力)に大きな変動をもたらす可能性がある。
特開2001−83243号公報(段落番号[0009]、図1) 特開2004−191053号公報(段落番号[0006]、図1)
従来の合成開口レーダ信号処理装置は以上のように構成されているので、2つのSAR画像の相関が十分でない場合に生じる位相ノイズを除去することができるが、放射線等を受けることで処理対象の信号に生じるビット誤りの影響を除去する手段を備えておらず、3次元情報の算出精度が劣化してしまうことがある課題があった。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、放射線等を受けることで処理対象の信号に生じるビット誤りの影響を除去することができる合成開口レーダ信号処理装置及び合成開口レーダ信号処理方法を得ることを目的とする。
この発明に係る合成開口レーダ信号処理装置は、第1のパルス信号の反射エコーから第1の複素SAR画像を再生して、第1の複素SAR画像を構成する画素の中で誤りが発生している画素を検出するとともに、第2のパルス信号の反射エコーから第2の複素SAR画像を再生して、第2の複素SAR画像を構成する画素の中で誤りが発生している画素を検出する画像再生手段と、第1及び第2の複素SAR画像を構成する画素のうち、画像再生手段により誤りの発生が検出された画素以外の画素を用いて、第1の複素SAR画像と第2の複素SAR画像のずれ量を算出し、ずれ量にしたがって第1の複素SAR画像と第2の複素SAR画像の位置合わせを行う位置合わせ手段と、位置合わせ手段により位置合わせが行われた第1の複素SAR画像と第2の複素SAR画像の干渉画像を生成する干渉画像生成手段と、干渉画像生成手段により生成された干渉画像に含まれる画素の位相を絶対位相に変換して、その絶対位相を地形の高度に変換する変換手段とを備え、画像再生手段は、第1及び第2のパルス信号の反射エコーに対するFFT処理及びIFFT処理を含む画像再生処理を実施することで、第1及び第2の複素SAR画像を再生する画像再生処理部と、画像再生処理部によるFFT処理前後の信号の誤差、もしくは、IFFT処理前後の信号の誤差が予め設定された閾値より大きければ、第1及び第2の複素SAR画像を構成する画素に誤りが発生していると判断する誤り検出部とを備えているものである。
または、この発明に係る合成開口レーダ信号処理装置は、第1のパルス信号の反射エコーから第1の複素SAR画像を再生して、第1の複素SAR画像を構成する画素の中で誤りが発生している画素を検出するとともに、第2のパルス信号の反射エコーから第2の複素SAR画像を再生して、第2の複素SAR画像を構成する画素の中で誤りが発生している画素を検出する画像再生手段と、第1及び第2の複素SAR画像を構成する画素のうち、画像再生手段により誤りの発生が検出された画素以外の画素を用いて、第1の複素SAR画像と第2の複素SAR画像のずれ量を算出し、ずれ量にしたがって第1の複素SAR画像と第2の複素SAR画像の位置合わせを行う位置合わせ手段と、位置合わせ手段により位置合わせが行われた第1の複素SAR画像と第2の複素SAR画像の干渉画像を生成する干渉画像生成手段と、干渉画像生成手段により生成された干渉画像に含まれる画素の位相を絶対位相に変換して、その絶対位相を地形の高度に変換する変換手段とを備え、画像再生手段は、第1及び第2のパルス信号の反射エコーに対するFFT処理及びIFFT処理を含む画像再生処理を実施することで、第1及び第2の複素SAR画像を再生する画像再生処理部と、画像再生処理部によるFFT処理前の信号とFFT処理途中の信号との誤差、もしくは、IFFT処理前の信号とIFFT処理途中の信号との誤差が予め設定された閾値より大きければ、第1及び第2の複素SAR画像を構成する画素に誤りが発生していると判断する誤り検出部とを備えているものである。
この発明によれば、上記のように構成したので、放射線等を受けることで処理対象の信号に生じるビット誤りの影響を除去することができる効果がある。
この発明の実施の形態1による合成開口レーダ信号処理装置を示す構成図である。 合成開口レーダ信号処理装置を構成するコンピュータを示す構成図である。 この発明の実施の形態1による合成開口レーダ信号処理装置の処理内容(合成開口レーダ信号処理方法)を示すフローチャートである。 チャープスケーリング法を用いるSAR画像再生処理を示すフローチャートである。 合成開口レーダ信号処理装置における複素SAR画像の複素数データの実部を32bitの浮動小数点のフォーマットで示す説明図である。 この発明の実施の形態2による合成開口レーダ信号処理装置でのFFT処理と誤り検出方法の詳細を示す説明図である。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による合成開口レーダ信号処理装置を示す構成図であり、図1の合成開口レーダ信号処理装置は、例えば、航空機や人工衛星などのプラットフォームに搭載されている。
図1において、信号送受信部2aは高周波のパルス信号Pls1(第1のパルス信号)を生成して、送受信アンテナ1aから高周波パルス信号Pls1を繰り返し地表面に向けて空間に放射させる一方、地表面に反射されて戻ってきた高周波パルス信号Pls1の反射エコーを受信し、その受信信号の周波数を中間周波数にダウンコンバートしてからデジタル信号D1に変換する処理を実施する。
信号送受信部2bは高周波のパルス信号Pls2(第2のパルス信号)を生成して、送受信アンテナ1bから高周波パルス信号Pls2を繰り返し地表面に向けて空間に放射させる一方、地表面に反射されて戻ってきた高周波パルス信号Pls2の反射エコーを受信し、その受信信号の周波数を中間周波数にダウンコンバートしてからデジタル信号D2に変換する処理を実施する。
画像再生部3は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、信号送受信部2aにより変換されたデジタル信号D1から複素SAR(Synthetic Aperture Radar)画像(第1の複素SAR画像)を再生して、その複素SAR画像を構成する画素の中で誤りが発生している画素を検出するとともに、その誤りが発生している画素の画素値を訂正する処理を実施する。
また、画像再生部3は信号送受信部2bにより変換されたデジタル信号D2から複素SAR画像(第2の複素SAR画像)を再生して、その複素SAR画像を構成する画素の中で誤りが発生している画素を検出するとともに、その誤りが発生している画素の画素値を訂正する処理を実施する。
なお、送受信アンテナ1a,1b、信号送受信部2a,2b及び画像再生部3から画像再生手段が構成されている。
画像再生処理部4aは信号送受信部2aにより変換されたデジタル信号D1に対するFFT(Fast Fourier Transform)処理及びIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)処理を含む公知のSAR画像再生処理を実施することで、複素SAR画像(1)を再生する。
即ち、画像再生処理部4aは信号送受信部2aにより変換されたデジタル信号D1に対するアジマス方向のFFT処理を実施することでアジマス圧縮を行うとともに、レンジ方向のFFT処理を実施することでレンジ圧縮を行い、その圧縮処理結果をレンジ方向のIFFT処理とアジマス方向のIFFT処理を実施することで複素SAR画像(1)を再生する。
画像再生処理部4bは信号送受信部2bにより変換されたデジタル信号D2に対するFFT処理及びIFFT処理を含む公知のSAR画像再生処理を実施することで、複素SAR画像(2)を再生する。
即ち、画像再生処理部4bは信号送受信部2bにより変換されたデジタル信号D2に対するアジマス方向のFFT処理を実施することでアジマス圧縮を行うとともに、レンジ方向のFFT処理を実施することでレンジ圧縮を行い、その圧縮処理結果をレンジ方向のIFFT処理とアジマス方向のIFFT処理を実施することで複素SAR画像(2)を再生する。
誤り検出部5aは画像再生処理部4aによるFFT処理前後の信号の誤差を算出し、その誤差が予め設定された閾値より大きければ、複素SAR画像(1)を構成する画素に誤りが発生していると判断し、また、画像再生処理部4aによるIFFT処理前後の信号の誤差を算出し、その誤差が予め設定された閾値より大きければ、複素SAR画像(1)を構成する画素に誤りが発生していると判断する処理を実施する。
また、誤り検出部5aは誤りが発生していると判断した画素が属する周波数領域に隣接している周波数領域に属する画素の画素値の平均値を求め、誤りが発生していると判断した画素の画素値を前記平均値に置き換えることで、誤りが発生している画素の画素値を訂正する処理を実施する。
誤り検出部5bは画像再生処理部4bによるFFT処理前後の信号の誤差を算出し、その誤差が予め設定された閾値より大きければ、複素SAR画像(2)を構成する画素に誤りが発生していると判断し、また、画像再生処理部4bによるIFFT処理前後の信号の誤差を算出し、その誤差が予め設定された閾値より大きければ、複素SAR画像(2)を構成する画素に誤りが発生していると判断する処理を実施する。
また、誤り検出部5bは誤りが発生していると判断した画素が属する周波数領域に隣接している周波数領域に属する画素の画素値の平均値を求め、誤りが発生していると判断した画素の画素値を前記平均値に置き換えることで、誤りが発生している画素の画素値を訂正する処理を実施する。
レジストレーション部6は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、画像再生処理部4a,4bにより再生された複素SAR画像(1)(2)を構成する画素のうち、誤り検出部5a,5bにより誤りの発生が検出された画素以外の画素を用いて、複素SAR画像(1)と複素SAR画像(2)のずれ量を算出し、そのずれ量にしたがって誤り検出部5a,5bによる画素値訂正後の複素SAR画像(1)と複素SAR画像(2)の位置合わせを行う。
即ち、レジストレーション部6は複素SAR画像(1)と複素SAR画像(2)のずれ量からアフィン変換係数を算出し、そのアフィン変換係数にしたがって複素SAR画像(2)をアフィン変換(画像に対して、平行移動、回転、引き延ばしなどを行う処理)することで、複素SAR画像(1)に対する複素SAR画像(2)の位置合わせ画像であるリサンプル画像(2)’を生成する処理を実施する。なお、レジストレーション部6は位置合わせ手段を構成している。
干渉処理部7は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、画像再生処理部4aにより再生された複素SAR画像(1)とレジストレーション部6により生成されたリサンプル画像(2)’の干渉画像を生成する処理を実施する。なお、干渉処理部7は干渉画像生成手段を構成している。
位相アンラップ部8は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、干渉処理部7により生成された干渉画像に対する位相アンラップ処理を実施する。
ここで、位相アンラップ処理は、干渉処理部7により生成された干渉画像が地形の高度に対応するようにするために、元々幅広い値を持っている位相情報が0度〜360度の範囲に折り畳まれているのを解いて元に戻すことで、変動量の絶対値に戻す処理である。
変換処理部9は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、位相アンラップ部8による位相アンラップ処理後の干渉画像に含まれる画素の位相を絶対位相に変換して、その絶対位相を地形の高度に変換する処理を実施する。
なお、位相アンラップ部8及び変換処理部9から変換手段が構成されている。
3次元情報格納部10は例えばRAMやハードディスクなどの記憶装置から構成されており、変換処理部9により変換された地形の高度を含む3次元情報を格納する。
図1の例では、合成開口レーダ信号処理装置の構成要素である送受信アンテナ1a,1b、信号送受信部2a,2b、画像再生部3、レジストレーション部6、干渉処理部7、位相アンラップ部8、変換処理部9及び3次元情報格納部10のそれぞれが専用のハードウェアで構成されているものを想定しているが、合成開口レーダ信号処理装置の一部が図2に示すようなコンピュータで構成されていてもよい。
合成開口レーダ信号処理装置の一部(例えば、画像再生部3、レジストレーション部6、干渉処理部7、位相アンラップ部8、変換処理部9及び3次元情報格納部10)をコンピュータで構成する場合、3次元情報格納部10をハードディスク102又はRAM103上に構成するとともに、画像再生部3、レジストレーション部6、干渉処理部7、位相アンラップ部8及び変換処理部9の処理内容を記述しているプログラムをROM104に格納し、当該コンピュータのCPU101がROM104に格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
図3はこの発明の実施の形態1による合成開口レーダ信号処理装置の処理内容(合成開口レーダ信号処理方法)を示すフローチャートである。
図2において、CD−ROM駆動装置105は合成開口レーダ信号処理装置の処理内容を示すプログラムが図示せぬCD−ROMに記録されている場合、そのCD−ROMから当該プログラムを読み出す装置である。
CD−ROM駆動装置105により読み出されたプログラムは、ハードディスク102などにインストールされ、CPU101がハードディスク102などにインストールされたプログラムを実行する。
次に動作について説明する。
ビット誤りの問題を解決する手法として、例えば、データや処理装置などを三重系にして同じデータを3つ持ち、3つの値の多数決をとることで、誤りの発生確率を低減させるなどの冗長な設計をとる手法が考えられる。しかし、この手法では、同じデータや装置などを三重化するため、装置のコストや装置規模が増加する。
また、他の手法としては、ECC(Error Check and Correction:誤り検出訂正)機能付きメモリを用いるなど、元のデータに誤りを検出、もしくは、訂正するデータ列を追加して、誤りに対する耐性を向上させるという手法が考えられる。しかし、これらの場合もデータサイズが増加し、誤り検出や訂正のための装置を追加する必要があるため、装置のコストや装置規模が増加するという問題がある。
この実施の形態1では、これらの手法と比べて、安価で高精度な3次元情報を取得することが可能な合成開口レーダ信号処理装置を提示する。
信号送受信部2aは、高周波のパルス信号Pls1を生成して、その高周波パルス信号Pls1を送受信アンテナ1aに繰り返し出力する。
これにより、送受信アンテナ1aから高周波パルス信号Pls1が地表面に向けて空間に繰り返し放射される。
地表面に向けて空間に放射された高周波パルス信号Pls1の一部は、地表面に反射されて送受信アンテナ1aに戻ってくるので、送受信アンテナ1aが地表面に反射されて戻ってきた高周波パルス信号Pls1の反射エコーを受信する。
信号送受信部2aは、送受信アンテナ1aが高周波パルス信号Pls1の反射エコーを受信すると、その受信信号の周波数を中間周波数にダウンコンバートしてからデジタル信号D1に変換して、そのデジタル信号D1を画像再生部3に出力する(ステップST1)。
信号送受信部2bも、信号送受信部2aと同様に、高周波のパルス信号Pls2を生成して、その高周波パルス信号Pls2を送受信アンテナ1bに繰り返し出力する。
これにより、送受信アンテナ1bから高周波パルス信号Pls2が地表面に向けて空間に繰り返し放射される。
地表面に向けて空間に放射された高周波パルス信号Pls2の一部は、地表面に反射されて送受信アンテナ1bに戻ってくるので、送受信アンテナ1bが地表面に反射されて戻ってきた高周波パルス信号Pls2の反射エコーを受信する。
信号送受信部2bは、送受信アンテナ1bが高周波パルス信号Pls2の反射エコーを受信すると、その受信信号の周波数を中間周波数にダウンコンバートしてからデジタル信号D2に変換して、そのデジタル信号D2を画像再生部3に出力する(ステップST1)。
画像再生部3は、信号送受信部2aからデジタル信号D1を受けると、そのデジタル信号D1に対するSAR画像再生処理を実施することで、複素SAR画像(1)を再生する(ステップST2)。
また、画像再生部3は、信号送受信部2bからデジタル信号D2を受けると、そのデジタル信号D2に対するSAR画像再生処理を実施することで、複素SAR画像(2)を再生する(ステップST2)。
なお、複素SAR画像(1)(2)を構成する各画素の画素値は、複素数で表されるデータであり、複素数は位相情報を含んでいる。
ここで、SAR画像再生処理としては、例えば、ポーラーフォーマット法、レンジドップラー法、チャープスケーリング法などの方法があるが、この実施の形態1では、チャープスケーリング法を用いるSAR画像再生処理を説明する。
図4はチャープスケーリング法を用いるSAR画像再生処理を示すフローチャートである。
以下、図4を参照しながら、画像再生部3の処理内容を具体的に説明するが、画像再生部3における画像再生処理部4aと画像再生処理部4bの処理内容は同一であり、また、誤り検出部5aと誤り検出部5bの処理内容は同一であるため、ここでは、画像再生処理部4aと誤り検出部5aの処理内容を代表的に説明する。
この実施の形態1では、信号送受信部2a,2bから画像再生部3に出力されるデジタル信号D1,D2は、2次元的に配置された複素数データであり、電波の照射方向がレンジ方向、電波の照射方向に対して直交する方向がアジマス方向であるとする。
なお、図4では、ステップST11〜ST13までの処理と、ステップST20〜ST23までの処理が、アジマス方向のデータ1行単位で実施され、ステップST14〜ST19までの処理が、レンジ方向のデータ1列単位で実施される。
画像再生部3の画像再生処理部4aは、信号送受信部2aからデジタル信号D1を受けると、アジマス方向のデータ1行単位で、そのデジタル信号D1に対する係数乗算処理M1(デジタル信号D1である複素数データの実部及び虚部に対して所定の係数を乗算する処理であり、その係数の算出方法は、チャープスケーリング法で示されている)を実施してから(図4のステップST11)、係数乗算処理M1後のデジタル信号D1に対するアジマス方向のFFT処理を実施することで、そのデジタル信号D1を周波数領域の信号(アジマス方向が周波数領域の信号、レンジ方向が時間領域の信号)に変換する(ステップST12)。
画像再生処理部4aは、係数乗算処理M1後のデジタル信号D1に対するアジマス方向のFFT処理を実施すると、アジマス方向のデータ1行単位で、そのデジタル信号D1における0ビンのデータx(0)と、アジマス方向のFFT処理後のデータF(i)とを下記の式(1)に代入することでP1を計算する。アジマス方向のFFT処理後のデータF(i)の絶対値は複素数の絶対値を示している。
Figure 0006249796
誤り検出部5aは、画像再生処理部4aがアジマス方向のデータ1行単位にP1を計算すると、各々の行の計算結果P1毎に、当該行の計算結果P1と予め設定された閾値C1を比較し、その行の計算結果P1が閾値C1以下であれば(P1≦C1)、その行のアジマス方向のFFT処理後のデータF(i)は正しいものと判断する。
一方、その行の計算結果P1が閾値C1より大きい場合(P1>C1)、その行のアジマス方向のFFT処理後のデータF(i)には誤りがあると判断し(放射線等の影響で、その行に属する画素に誤りが発生していると判断する)、その行の全てのデータF(i)を、その行に隣接している行のデータF(i)で置き換えることで、誤りがあると判断した行のアジマス方向のFFT処理後のデータF(i)を訂正する(ステップST13)。
例えば、誤りがあると判断した行に属する画素毎に、当該画素と画像上の位置が同じ位置にある1つ前の行に属する画素の画素値と、1つ後の行に属する画素の画素値との平均値を求め、誤りがあると判断した行に属する画素の画素値を当該平均値で置き換えるようにする。
次に、画像再生処理部4aは、レンジ方向のデータ1列単位で、アジマス方向が周波数領域の信号(アジマス方向のFFT処理後のデータF(i)に誤りがあれば、誤り検出部5aにより誤りが訂正されているアジマス方向が周波数領域の信号)に対する係数乗算処理M2(複素数データの実部及び虚部に対して所定の係数を乗算する処理であり、その係数の算出方法は、チャープスケーリング法で示されている)を実施してから(ステップST14)、係数乗算処理M2後の信号に対するレンジ方向のFFT処理を実施することで、係数乗算処理M2後の信号を周波数領域の信号(アジマス方向とレンジ方向の双方が周波数領域の信号)に変換する(ステップST15)。
画像再生処理部4aは、係数乗算処理M2後の信号に対するレンジ方向のFFT処理を実施すると、レンジ方向のデータ1列単位で、その係数乗算処理M2後の信号における0ビンのデータx(0)と、レンジ方向のFFT処理後のデータF(i)とを下記の式(2)に代入することでP2を計算する。レンジ方向のFFT処理後のデータF(i)の絶対値は複素数の絶対値を示している。
Figure 0006249796
誤り検出部5aは、画像再生処理部4aがレンジ方向のデータ1列単位にP2を計算すると、各々の列の計算結果P2毎に、当該列の計算結果P2と予め設定された閾値C2を比較し、その列の計算結果P2が閾値C2以下であれば(P2≦C2)、その列のレンジ方向のFFT処理後のデータF(i)は正しいものと判断する。
一方、その列の計算結果P2が閾値C2より大きい場合(P2>C2)、その列のレンジ方向のFFT処理後のデータF(i)には誤りがあると判断し(放射線等の影響で、その列に属する画素に誤りが発生していると判断する)、その列の全てのデータF(i)を、その列に隣接している列のデータF(i)で置き換えることで、誤りがあると判断した列のレンジ方向のFFT処理後のデータF(i)を訂正する(ステップST16)。
例えば、誤りがあると判断した列に属する画素毎に、当該画素と画像上の位置が同じ位置にある1つ前の列に属する画素の画素値と、1つ後の列に属する画素の画素値との平均値を求め、誤りがあると判断した列に属する画素の画素値を当該平均値で置き換えるようにする。
次に、画像再生処理部4aは、レンジ方向のデータ1列単位で、アジマス方向とレンジ方向の双方が周波数領域の信号(レンジ方向のFFT処理後のデータF(i)に誤りがあれば、誤り検出部5aにより誤りが訂正されているアジマス方向とレンジ方向の双方が周波数領域の信号)に対する係数乗算処理M3(複素数データの実部及び虚部に対して所定の係数を乗算する処理であり、その係数の算出方法は、チャープスケーリング法で示されている)を実施してから(ステップST17)、係数乗算処理M3後のデータF(i)に対するレンジ方向のIFFT処理を実施することで、係数乗算処理M3後のデータF(i)を時間領域の信号(レンジ方向が時間領域の信号、アジマス方向が周波数領域の信号)に変換する(ステップST18)。
画像再生処理部4aは、係数乗算処理M3後のデータF(i)に対するレンジ方向のIFFTを実施すると、レンジ方向のデータ1列単位で、係数乗算処理M3後のデータF(i)における0ビンのデータF(0)と、レンジ方向のIFFT処理後のデータx(k)とを下記の式(3)に代入することでP3を計算する。レンジ方向のIFFT処理後のデータx(k)の絶対値は複素数の絶対値を示している。
Figure 0006249796
誤り検出部5aは、画像再生処理部4aがレンジ方向のデータ1列単位にP3を計算すると、各々の列の計算結果P3毎に、当該列の計算結果P3と予め設定された閾値C3を比較し、その列の計算結果P3が閾値C3以下であれば(P3≦C3)、その列のレンジ方向のIFFT処理後のデータF(i)は正しいものと判断する。
一方、その列の計算結果P3が閾値C3より大きい場合(P3>C3)、その列のレンジ方向のIFFT処理後のデータF(i)には誤りがあると判断し(放射線等の影響で、その列に属する画素に誤りが発生していると判断する)、その列の全てのデータF(i)を、その列に隣接している列のデータF(i)で置き換えることで、誤りがあると判断した列のレンジ方向のIFFT処理後のデータF(i)を訂正する(ステップST19)。
例えば、誤りがあると判断した列に属する画素毎に、当該画素と画像上の位置が同じ位置にある1つ前の列に属する画素の画素値と、1つ後の列に属する画素の画素値との平均値を求め、誤りがあると判断した列に属する画素の画素値を当該平均値で置き換えるようにする。
次に、画像再生処理部4aは、アジマス方向のデータ1行単位で、レンジ方向が時間領域の信号(レンジ方向のIFFT処理前のデータF(i)に誤りがあれば、誤り検出部5aにより誤りが訂正されているレンジ方向が時間領域の信号)に対する係数乗算処理M4(複素数データの実部及び虚部に対して所定の係数を乗算する処理であり、その係数の算出方法は、チャープスケーリング法で示されている)を実施してから(ステップST20)、係数乗算処理M4後のデータF(i)に対するアジマス方向のIFFT処理を実施することで、係数乗算処理M4後のデータF(i)を時間領域の信号(アジマス方向とレンジ方向の双方が時間領域の信号)に変換する(ステップST21)。
画像再生処理部4aは、係数乗算処理M4後のデータF(i)に対するアジマス方向のIFFTを実施すると、アジマス方向のデータ1行単位で、係数乗算処理M4後のデータF(i)における0ビンのデータF(0)と、アジマス方向のIFFT処理後のデータx(k)とを下記の式(4)に代入することで、P4を計算する。アジマス方向のIFFT処理後のデータx(k)の絶対値は複素数の絶対値を示している。
Figure 0006249796
誤り検出部5aは、画像再生処理部4aがアジマス方向のデータ1行単位にP4を計算すると、各々の行の計算結果P4毎に、当該行の計算結果P4と予め設定された閾値C4を比較し、その行の計算結果P4が閾値C4以下であれば(P4≦C4)、その行のアジマス方向のIFFT処理後のデータF(i)は正しいものと判断する。
一方、その行の計算結果P4が閾値C4より大きい場合(P4>C4)、その行のアジマス方向のIFFT処理後のデータF(i)には誤りがあると判断し(放射線等の影響で、その行に属する画素に誤りが発生していると判断する)、その行の全てのデータF(i)を、その行に隣接している列のデータF(i)で置き換えることで、誤りがあると判断した行のアジマス方向のIFFT処理後のデータF(i)を訂正する(ステップST22)。
例えば、誤りがあると判断した行に属する画素毎に、当該画素と画像上の位置が同じ位置にある1つ前の行に属する画素の画素値と、1つ後の行に属する画素の画素値との平均値を求め、誤りがあると判断した行に属する画素の画素値を当該平均値で置き換えるようにする。
最後に、画像再生処理部4aは、レンジ方向のデータ1列単位で、アジマス方向とレンジ方向の双方が時間領域の信号(アジマス方向のIFFT処理前のデータF(i)に誤りがあれば、誤り検出部5aにより誤りが訂正されているアジマス方向とレンジ方向の双方が時間領域の信号)に対する係数乗算処理M5(複素数データの実部及び虚部に対して所定の係数を乗算する処理であり、その係数の算出方法は、チャープスケーリング法で示されている)を実施することで、複素SAR画像(1)を再生する(ステップST23)。
なお、上述のC1〜C4の具体的な一例として、1/2Nなどとしてもよい。この実施の形態1では、係数乗算処理M1〜M5における所定の係数の算出方法が、チャープスケーリング法で示されているものについて説明している。
画像再生部3によるSAR画像再生処理では、上記のように2次元的にFFT処理を行うものであるため、1つの画素に誤りが発生し、その画素の絶対値が極端に大きい値であれば、その誤りが画像全体に伝搬することになる。しかし、画像再生部3の誤り検出部5a,5bが、誤りが発生している画素の画素値を訂正しているので、SARの画像再生処理としては正確な演算結果ではなくなるが、誤りが画像全体に伝搬することを抑制することができる。
レジストレーション部6は、画像再生部3が複素SAR画像(1)(2)を再生すると、複素SAR画像(1)(2)を構成する画素のうち、誤り検出部5a,5bにより誤りの発生が検出された画素以外の画素(図4のステップST22の処理で検出された誤りが発生している画素以外の画素)を用いて、複素SAR画像(1)と複素SAR画像(2)の位置をずらしながら、複素SAR画像(1)と複素SAR画像(2)の相関値Rを算出する。
ここで、複素SAR画像(1)をSLC1、複素SAR画像(2)をSLC2とすると、複素SAR画像(1)と複素SAR画像(2)の相関値Rは、下記の式(5)のように算出される。

=|Σ(SLC1・SLC2 *)|
/{Σ(SLC1・SLC1 *1/2(ΣSLC2・SLC2 *1/2
(5)
式(5)において、*は共役複素数である。
レジストレーション部6は、複素SAR画像(1)と複素SAR画像(2)の位置をずらしながら、複素SAR画像(1)と複素SAR画像(2)の相関値Rを算出すると、その相関値Rが最も高くなる複素SAR画像(1)と複素SAR画像(2)の位置を特定し、その位置での複素SAR画像(1)と複素SAR画像(2)間の距離をずれ量として算出する。
レジストレーション部6は、複素SAR画像(1)と複素SAR画像(2)のずれ量を算出すると、そのずれ量からアフィン変換係数を算出し、そのアフィン変換係数にしたがって複素SAR画像(2)をアフィン変換(画像に対して、平行移動、回転、引き延ばしなどを行う処理)することで、複素SAR画像(1)に対する複素SAR画像(2)の位置合わせ画像であるリサンプル画像(2)’(=アフィン変換後の複素SAR画像(2))を生成する(図3のステップST3)。
ずれ量からアフィン変換係数を算出する処理や、アフィン変換係数にしたがって複素SAR画像(2)をアフィン変換する処理自体は公知の技術であるため詳細な説明を省略する。
干渉処理部7は、レジストレーション部6がリサンプル画像(2)’を生成すると、複素SAR画像(1)を構成する各画素と、リサンプル画像(2)’を構成する各画素とを干渉させることで、その複素SAR画像(1)とリサンプル画像(2)’の干渉画像を生成する(図3のステップST4)。干渉画像の生成処理自体は公知の技術であるため詳細な説明を省略する。
この実施の形態1では、誤り検出部5a,5bが、誤りが発生している画素の画素値を訂正しているので、複素SAR画像(1)及びリサンプル画像(2)’を構成している全ての画素を干渉処理に用いているが、誤り検出部5a,5bが、誤りが発生している画素を検出するだけで、誤りが発生している画素の画素値を訂正する処理を実施しない場合には、複素SAR画像(1)及びリサンプル画像(2)’を構成する画素のうち、誤り検出部5a,5bにより誤りの発生が検出された画素(図4のステップST22の処理で検出された誤りが発生している画素)については干渉処理に用いずに、誤りの発生が検出されていない画素だけを用いて、干渉処理を実施する。
この場合、干渉処理部7は、誤りが発生している画素に対応する干渉画像内の画素の画素値については、当該画素の近傍の画素(誤りが発生している画素の近傍の画素に対応する干渉画像内の画素)の画素値を用いて補間する。補間の方法としては、例えば、両隣の2画素の平均を取る方法が考えられる。
位相アンラップ部8は、干渉処理部7が干渉画像を生成すると、その干渉画像に対する位相アンラップ処理を実施する(図3のステップST5)。
干渉処理部7により生成される干渉画像を構成する画素のデータは位相情報を含んでいるが、元々幅広い位相値をもっている位相情報が0度から360度の範囲に折り畳まれているため、位相のアンビギュイティが発生している。
そのため、位相アンラップ部8が、干渉処理部7により生成された干渉画像が地形の高度に対応するようにするために、元々幅広い値を持っている位相情報が0度〜360度の範囲に折り畳まれているのを解いて元に戻すことで、変動量の絶対値に戻す位相アンラップ処理を実施する。
変換処理部9は、位相アンラップ部8が干渉画像に対する位相アンラップ処理を実施すると、位相アンラップ処理後の干渉画像に含まれる画素の位相を絶対位相に変換して、その絶対位相を地形の高度に変換し、その高度を含む地形の3次元情報を3次元情報格納部10に格納する(図3のステップST6)。
画素の位相を絶対位相に変換する変換処理や、絶対位相を地形の高度に変換する変換処理自体は公知の技術であるため詳細な説明を省略する。
この実施の形態1による合成開口レーダ信号処理装置の処理内容は以上であるが、以下、画像再生部3の画像再生処理部4a,4bによる誤りが発生している画素の検出処理をもう少し具体的に説明する。
一般的な離散フーリエ変換と離散フーリエ逆変換は、下記の式(6)(7)のように定義される。
Figure 0006249796

Figure 0006249796
式(6)(7)において、jは虚数単位、x(k)はフーリエ変換前のデータ列、F(i)はフーリエ変換後のデータ列であり、各々N個の複素数である。
なお、1/Nの係数を離散フーリエ変換側ではなく、離散フーリエ逆変換側にかけるものとして定義することもできるが、この実施の形態1では、式(6)(7)のように定義されるものとする。
式(6)におけるF(0)〜F(N−1)の総和をとると、x(0)以外の項は、複素数の位相が打ち消し合って0になるため、下記の式(8)を導くことができる。
Figure 0006249796
また、式(7)におけるx(0)〜x(N−1)の総和をとってNで割ると、F(0)以外の項は、複素数の位相が打ち消し合って0になるため、下記の式(9)を導くことができる。
Figure 0006249796
なお、式(8)は、式(7)において、k=0とすることでも導くことができる。同様に、式(9)は、式(6)において、i=0とすることでも、導くことができる。
式(8)より、FFT処理後のデータの総和は、FFT処理前のデータの0ビンの値と等しくなる。しかし、FFT処理の途中で、放射線等の影響によってデータにビット誤りなどが発生した場合には、FFT処理後のデータの総和が、FFT処理前のデータの0ビンの値と等しくなくなるため、上述した図4のステップST13やST16の処理によって、誤りが発生している画素を検出することができる。
ただし、計算機などでの演算では演算誤差が生じるため、データにビット誤りなどが無い場合でも、FFT処理後のデータの総和が、FFT処理前のデータの0ビンの値と等しくなくなることがあり得る。そこで、演算誤差を考慮するために、閾値C1,C2を設定して、計算結果P1,P2が閾値C1,C2を超えた場合に誤りが発生していると判定する処理が必要である。
また、式(9)より、IFFT処理後のデータの平均値は、IFFT処理前のデータの0ビンの値と等しくなる。しかし、IFFT処理の途中で、放射線等の影響によってデータにビット誤りなどが発生した場合には、IFFT処理後のデータの平均値が、IFFT処理前のデータの0ビンの値と等しくなくなるため、上述した図4のステップST19やST22の処理によって、誤りが発生している画素を検出することができる。
ただし、計算機などでの演算では演算誤差が生じるため、データにビット誤りなどが無い場合でも、IFFT処理後のデータの平均値が、IFFT処理前のデータの0ビンの値と等しくなくなることがあり得る。そこで、演算誤差を考慮するために、閾値C3,C4を設定して、計算結果P3,P4が閾値C3,C4を超えた場合に誤りが発生していると判定する処理が必要である。
以下、閾値C1〜C4の設定値について説明する。
図5は合成開口レーダ信号処理装置における複素SAR画像の複素数データの実部を32bitの浮動小数点のフォーマットで示す説明図である。
特に、図5(a)は誤りがない場合の複素SAR画像の複素数データの実部、図5(b)(c)は放射線等の影響で、異なるビット誤りを生じている複素SAR画像の複素数データの実部を示している。
図5では、複素SAR画像の複素数データの実部を32bitの浮動小数点のフォーマットで示しているが、複素SAR画像の複素数データの虚部も、同様の32bitの浮動小数点のフォーマットで表される。
この実施の形態1では、信号送受信部2a,2bから出力されたデジタル信号D1,D2、画像再生処理部4a,4bから変換処理部9までの複素SAR画像の複素数データや、それらのデータに基づく演算中のデータは、全て32bitの浮動小数点数のフォーマットで保存されているものとする。
図5(a)の実部のフォーマットでは、最下位の0bit目から22bit目までが仮数部、23bit目から30bit目までが指数部、最上位bitの31bit目が符号部である。
各部の値を2進整数にした場合の仮数部の値をf、指数部の値をe、符号部の値をsとすると、これらを実数に変換した場合の値Qは下記の式(10)で与えられる。
Q=(−1)s×2(e-127)×{1+(f÷223)} (10)
ここでの32bitの浮動小数点数のフォーマットは、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)754などで示されている一般的なものであるが、その他の既存のいかなるフォーマットを用いても構わない。
式(10)にしたがって計算すると、誤りがない場合の複素SAR画像の複素数データである図5(a)の実数値は2.75になる。
また、放射線等の影響でビット誤りを生じている複素SAR画像の複素数データ(指数部の最下位に相当する23bit目が0から1に変化している)である図5(b)の実数値は、図5(a)の実数値の2倍の5.5になる。
一方、図5(c)の複素SAR画像の複素数データも、放射線等の影響でビット誤りを生じているが(仮数部の最上位に相当する22bit目が0から1に変化している)、図5(c)の実数値は、図5(a)の実数値の1.4倍程度の3.75になる。このように、ビット誤りが生じている位置によって、実数値が変化する割合が異なる。
ここで、式(8)が示すFFT処理後のデータの平均値を複素数αとし、仮にFFT処理後のデータの中で、絶対値がαと同程度のデータ1つにビット誤りが発生し、他のデータは正常であるとする。
このとき、誤りが生じているデータの指数部に誤りが生じ、その値が2倍程度の大きさになったとすると、概ね、下記の式(11)が成立する。
Figure 0006249796
逆に、誤りが生じているデータの指数部に誤りが生じ、その値が1/2倍程度の大きさになったとすると、概ね、下記の式(12)が成立する。
Figure 0006249796
また、FFT処理の中間データのある値の指数部にビット誤りが生じて、2倍もしくは1/2程度の値になった場合は、バタフライ演算により演算後のデータの誤差が逐次平準化されていくが、その分、他のデータにも誤りが伝搬していくため、概ね、式(11)(12)が成立することが予想される。
したがって、閾値C1,C2を1/2N程度の値にすることで、誤りが発生していることを検出することができる。
次に、式(9)が示すIFFT処理後のデータの平均値を複素数βとし、仮にIFFT処理後のデータの中で、絶対値がβと同程度のデータ1つにビット誤りが発生し、他のデータは正常であるとする。
このとき、誤りが生じているデータの指数部に誤りが生じ、その値が2倍程度の大きさになったとすると、概ね、下記の式(13)が成立する。
Figure 0006249796
逆に、誤りが生じているデータの指数部に誤りが生じ、その値が1/2倍程度の大きさになったとすると、概ね、下記の式(14)が成立する。
Figure 0006249796
この場合も同様に、IFFT処理の中間データのある値の指数部にビット誤りが生じて、2倍もしくは1/2程度の値になった場合は、バタフライ演算により演算後のデータの誤差が逐次平準化されていくが、その分、他のデータにも誤りが伝搬していくため、概ね、式(13)(14)が成立することが予想される。
したがって、閾値C3,C4を1/2N程度の値にすることで、誤りが発生していることを検出することができる。
画像再生処理部4a,4bにおいて、FFT処理やIFFT処理の前後のデータは、演算誤差程度の差しか生じないはずである。しかし、放射線などの影響によって、信号回路内で誤りが生じた場合、ビット誤りが生じてしまう。
このとき、複素SAR画像の複素数データの実部もしくは虚部の指数部に、図5(b)のように誤りが生じた場合、その数値は振幅レベルで2倍以上もしくは1/2以下に変化する。このように、放射線などの影響によって、誤りが生じる場合には、複素SAR画像の複素数データに大きな数値の変化が生じる。そのため、閾値C1〜C4を1/2N程度にしておくことにより、図5(b)のようなデータの指数部の誤りを検出することができる。
一方、図5(c)のように、複素SAR画像の複素数データの仮数部に誤りが生じた場合、複素数データの実部の数値の変化は1.5倍以下もしくは1/1.5以上であり、閾値C1〜C4を1/2N程度にした場合、その誤りを検出することができない。
しかし、図5(c)では、図5(b)と比べて、位相の変化が小さく、誤りを検出することができなくても、最終的な高度情報への影響は小さいとみなせる。
したがって、図5(c)に見られる変化の小さい数値を検出できなくても、異常な値を除外するという目的では十分に機能する。
なお、この実施の形態1では、閾値C1〜C4を1/2N程度としているが、要求される演算精度や、最終的に必要となる高度の精度により、別の値を設定しても構わない。
また、この実施の形態1では、32bitの浮動小数点数のフォーマットを対象としているが、ビット幅が異なる場合や、他のフォーマットの場合でも同じ手法で誤りを検出することができる。また、固定小数点数などの場合であっても同様である。ここでは、実部を扱っているが、虚部に対しても同様に扱うことができる。
また、この実施の形態では、SAR画像再生処理として、チャープスケーリング法を用いる場合を例に示したが、FFT処理やIFFT処理を用いる他のSAR画像再生処理の場合でも、同じ手法で誤りを検出することができる。
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、信号送受信部2aにより変換されたデジタル信号D1から複素SAR画像(1)を再生し、その複素SAR画像(1)を構成する画素の中で誤りが発生している画素を検出して、その誤りが発生している画素の画素値を訂正するとともに、信号送受信部2bにより変換されたデジタル信号D2から複素SAR画像(2)を再生し、その複素SAR画像(2)を構成する画素の中で誤りが発生している画素を検出して、その誤りが発生している画素の画素値を訂正する画像再生部3を設け、レジストレーション部6が、画像再生部3により再生された複素SAR画像(1)(2)を構成する画素のうち、誤りが発生している画素以外の画素を用いて、複素SAR画像(1)と複素SAR画像(2)のずれ量を算出し、そのずれ量にしたがって複素SAR画像(1)と複素SAR画像(2)の位置合わせを行うように構成したので、放射線等を受けることで処理対象の信号に生じるビット誤りの影響を除去することができるようになり、その結果、ビット誤りへの耐性が向上するため、3次元情報の全体の精度を高めることができる効果を奏する。
なお、この実施の形態1では、誤り検出部5a,5bが、FFT処理やIFFT処理の前後の代表点の値のみを比較することで、誤りの発生を判断するようにしているので、画像再生処理途中のデータのビット誤りを複雑な演算を実施することなく、簡単に検出することができる。このため、装置の小型化、軽量化や、コストダウンなどを図ることができる。
この実施の形態1では、2つの送受信アンテナ1a,1bと、2つの信号送受信部2a,2bと、2つの画像再生処理部4a,4bとが同一のプラットフォームに搭載されているものを想定しているが、送受信アンテナ1aと送受信アンテナ1b、信号送受信部2aと信号送受信部2b、画像再生処理部4aと画像再生処理部4bとが別々のプラットフォームに搭載されて、各々のプラットフォームで複素SAR画像を別々再生するようにしてもよい。
この場合、一方のプラットフォームで再生された複素SAR画像を他方のプラットフォームに転送して、他方のプラットフォームで以降の処理を実施するようにしてもよいし、双方のプラットフォームで再生された複素SAR画像を地上局等に転送して、地上局等で以降の処理を実施するようにしてもよい。
また、1組の送受信アンテナ、信号送受信部及び画像再生処理部が、時刻を変えて同一地点の複素SAR画像を2枚再生するようにしてもよい。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、誤り検出部5a,5bが、画像再生処理部4a,4bによるFFT処理前後の信号の誤差を算出し、その誤差が予め設定された閾値より大きければ、複素SAR画像(1)(2)を構成する画素に誤りが発生していると判断し、また、画像再生処理部4a,4bによるIFFT処理前後の信号の誤差を算出し、その誤差が予め設定された閾値より大きければ、複素SAR画像(1)(2)を構成する画素に誤りが発生していると判断するものを示したが、誤り検出部5a,5bが、画像再生処理部4a,4bによるFFT処理前の信号とFFT処理途中の信号との誤差を算出し、その誤差が予め設定された閾値より大きければ、複素SAR画像(1)(2)を構成する画素に誤りが発生していると判断し、また、IFFT処理前の信号とIFFT処理途中の信号との誤差を算出し、その誤差が予め設定された閾値より大きければ、複素SAR画像(1)(2)を構成する画素に誤りが発生していると判断するようにしてもよい。
この実施の形態2による合成開口レーダ信号処理装置の構成は、上記実施の形態1と同様に図1の構成である。
また、合成開口レーダ信号処理装置の処理の流れも、上記実施の形態1と同様であるが、図4のフローチャートにおけるステップST12やステップST13などの誤りの検出方法が上記実施の形態1と相違している。
この実施の形態2では、画像再生処理部4aと画像再生処理部4bの処理内容は同一であり、また、誤り検出部5aと誤り検出部5bの処理内容は同一であるため、画像再生処理部4aと誤り検出部5aの処理内容だけを説明する。
図6はこの発明の実施の形態2による合成開口レーダ信号処理装置でのFFT処理(ステップST12)と誤り検出方法(ステップST13)の詳細を示す説明図である。
この実施の形態2では、FFT処理の処理点数をNとして、N=N1×N2が成立する整数N1とN2を設定する。
ここでは、説明を簡略化するため、FFT処理の点数Nを32として、N1=8、N2=4を設定するものとする。
また、FFT処理の内部のバタフライ演算は、基数が2のバタフライ演算とし、32点のFFT処理を5段(1段目〜5段目)で処理するものとする。
図6では、32点のFFT処理の各バタフライ演算における特定のデータを示しており、0〜31の数字は、データの番号を示している。ただし、図6では、バタフライ演算の際のデータのフローのみを示しており、回転子の乗算などは省略している。
この実施の形態2では、図4のステップST12の処理において、上記実施の形態1と同様に、画像再生処理部4aがFFT処理を実施し、誤り検出部5aが、画像再生処理部4aによるFFT処理前の0番から(N2−1)番までのデータを保存する。ここでは、N2=4であるため、0〜3番までのデータである。これらのデータをx(0)〜x(3)のように表記する。
誤り検出部5aは、画像再生処理部4aがFFT処理のバタフライ演算を3段目まで行うと、その時点の中間結果から誤りがあるか否かを判定する。
誤り検出部5aは、例えば、3段目までの中間結果のデータがm(0)〜m(31)であるとすると、下記の式(15)の計算を行う。ここで、kは0からN2−1までの整数(0〜3までの整数)である。
Figure 0006249796
式(15)の計算では、3段目までの中間結果のデータm(0)〜m(31)の番号をN2(=4)で割った剰余が一致するものの総和をとり、FFT処理前のデータの中で剰余と同じ番号のデータとの誤差を調べている。
例えば、x(0)に対して、図6の3段目の0番、4番、8番、・・・28番までの4飛ばしの番号が式(15)に対応する。
同様にして、x(1)に対しては、1番、5番、・・・29番までの4飛ばしの番号が式(15)に対応する。
誤り検出部5aは、式(15)の計算結果であるPm1(0)〜Pm1(3)が、閾値Cm1以下であるか否かを判定する。
誤り検出部5aは、式(15)の計算結果であるPm1(0)〜Pm1(3)の全てが閾値Cm1以下であれば、中間結果が正しいものと判断して、以降のFFT処理を継続するが、いずれか1つの計算結果でも、閾値Cm1より大きい場合、中間結果に誤りがあると判断して、以降のFFT処理を中止し、その行のデータを上記実施の形態1で示した手法と同様の手法によって置き換える処理を行う。
ここでは、閾値Cm1は、例えば、1/(2×N1)の値(=1/16)などである。
中間結果が正しいものと判断する場合には、FFT処理を最後まで実施して、上記実施の形態1と同様に、式(1)のP1を計算し、その計算結果P1と閾値C1の比較判定を行う。
以降、図4のステップST15とステップST16でも、同様の中間結果の比較判定処理を行う。
また、図4のステップST18とステップST19や、ステップST21とステップST22でも同様の中間結果の比較判定処理を行うが、これらの比較判定処理では、IFFT処理結果を用いるため、下記の式(16)の計算を行う。
Figure 0006249796
ここでも、IFFT処理の処理点数をN=32として、N=N1×N2が成立する整数N1とN2を設定する(例えば、N1=8、N2=4)。また、iは0からN2−1までの整数(0〜3までの整数)である。
この場合、誤り検出部5aは、式(16)の計算結果であるPm2(0)〜Pm2(3)の全てが閾値Cm2以下であれば、中間結果が正しいものと判断して、以降のIFFT処理を継続するが、いずれか1つの計算結果でも、閾値Cm2より大きい場合、中間結果に誤りがあると判断して、以降のIFFT処理を中止し、その行のデータを上記実施の形態1で示した手法と同様の手法によって置き換える処理を行う。
ここでは、閾値Cm2は、例えば、1/(2×N1)の値(=1/16)などである。
中間結果が正しいものと判断する場合には、IFFT処理を最後まで実施して、上記実施の形態1と同様に、式(2)のP2を計算し、その計算結果P2と閾値C2の比較判定を行う。
上記以外の処理は、上記実施の形態1と同様である。
以下、上記の処理の根拠について説明する。
上記の処理の根拠は、FFT処理の点数をNとするとき、一般的に、離散フーリエ変換を示す式(6)は、N=N1×N2が成立すれば、N1点のFFT処理とN2点のFFT処理の2段階の処理に分けられることによるものである。
式(6)は、下記の式(17)のように変形することができる。ここで、rは整数であって、iをN1で割った余り(r=i÷N1の剰余)である。
Figure 0006249796
式(17)の{}の中は、N1点の離散フーリエ変換の式と同じである。このため、図6の3段目までのバタフライ演算を行った時点での中間データをm(0)〜m(31)とすると、例えば、r=0の場合、入力データx(0)、x(4)、・・・x(28)までの4個飛ばしのデータに対して、N1点(=8点)のFFT処理を行って、m(0)、m(4)、・・・m(28)の結果を求めるのと全く同じである。
このため、式(8)を適用することができ、誤差や誤りがなければ、m(0)、m(4)、・・・m(28)の総和は、x(0)と等しくなる。x(1)〜x(3)に対しても同様である。
これを、式(1)に適用することにより、式(15)を導くことができる。ただし、この場合は、N1点のFFT処理に相当するため、式(11)及び式(12)と同様の計算を行うことにより、閾値は1/(2×N1)程度にすればよいことが分かる。
IFFT処理に関しても同様の考え方で、N点のIFFT処理をN1点とN2のIFFT処理の2段階の処理に分けることができるため、同様にして、式(16)を導くことができる。
この場合も、N1点のIFFT処理に相当する処理を行うことになるため、式(13)及び式(14)と同様の計算を行うことにより、閾値は1/(2×N1)程度にすればよい。
また、この実施の形態2では、基数が2のバタフライ演算を例に説明したが、N=N1×N2が成立するFFT処理であれば、基数が4や8などのバタフライ演算を適用することができる。さらには、ウィノグラードのFFTアルゴリズムのように3や5などを基数とするようなFFT処理にも適用することができる。
また、この実施の形態2では、中間データの比較の処理を図6の3段目のみで行っている例を示したが、複数の段で比較処理を行うこともできる。この場合、例えば、N=N1×N2が成り立ち、N1点のFFT処理後に相当する中間点で上記の処理を行った後、N=N3×N4が成り立ち、かつ、N1≠N3となるようなN3点のFFT処理後に相当する中間点で同様の処理を行えばよい。ことき、N1〜N4はいずれも整数である。この場合、複数の中間点で誤りの検出を行うことができる。
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、誤り検出部5a,5bが、画像再生処理部4a,4bによるFFT処理前の信号とFFT処理途中の信号との誤差を算出し、その誤差が予め設定された閾値より大きければ、複素SAR画像(1)(2)を構成する画素に誤りが発生していると判断して、その誤りが発生している画素の画素値を訂正し、また、IFFT処理前の信号とIFFT処理途中の信号との誤差を算出し、その誤差が予め設定された閾値より大きければ、複素SAR画像(1)(2)を構成する画素に誤りが発生していると判断して、その誤りが発生している画素の画素値を訂正するように構成したので、ビット誤りへの耐性を向上させて、3次元情報の全体の精度を高めることができる効果を奏する。
また、FFT処理の中間データの一部のみを比較して、比較結果が閾値以上であれば、誤りが発生していると判断する構成により、2つのSAR画像の複素数データから3次元情報を得るにあたり、各画素のビット誤りを複雑な演算を行わずに検出することができるようになる。これにより、装置の小型化、軽量化や、コストダウンなどが可能になる。
実施の形態3.
上記実施の形態1では、誤り検出部5a,5bが、誤りが発生している画素を検出すると、誤りが発生していると判断した画素が属する領域に隣接している領域に属する画素の画素値の平均値を求め、誤りが発生していると判断した画素の画素値を前記平均値に置き換えるものを示したが、誤り検出部5a,5bが、誤りが発生している画素を検出すると、誤りが発生していると判断した画素が属する領域に対するFFT処理又はIFFT処理のやり直しを画像再生処理部4a,4bに指示するようにしてもよい。
この実施の形態3による合成開口レーダ信号処理装置の構成は、上記実施の形態1と同様に図1の構成である。
また、合成開口レーダ信号処理装置の処理の流れも、上記実施の形態1と同様であるが、図4のフローチャートにおけるステップST12やステップST13などで誤りを検出した後の処理方法が上記実施の形態1と相違している。
この実施の形態3では、画像再生処理部4aと画像再生処理部4bの処理内容は同一であり、また、誤り検出部5aと誤り検出部5bの処理内容は同一であるため、画像再生処理部4aと誤り検出部5aの処理内容だけを説明する。
この実施の形態3では、誤り検出部5aは、図4のステップST12の処理において、画像再生処理部4aがFFT処理を実施する行に対して、その行の処理前の全データを保存する。それ以降は、上記実施の形態1と同様に、ステップST12とステップST13の処理を実施して誤りの検出を行う。
誤り検出部5aは、上記実施の形態1と同様に、誤りが発生している画素を検出すると、その画素が属している行のFFT処理をやり直す指示を画像再生処理部4aに出力する。
画像再生処理部4aは、誤り検出部5aからやり直す指示を受けると、先と同様のFFT処理を実施する。
誤り検出部5aは、画像再生処理部4aがFFT処理をやり直すと、同様の誤り検出処理を実施する。
以降、画像再生処理部4aと誤り検出部5aは、誤りの発生が検出されなくなるまで、同様の処理を繰り返し実施する。
FFT処理と誤り検出処理を繰り返し実施することで、放射線等の影響を受けていない状況下で、FFT処理と誤り検出処理を実施できることもあるので、先の誤り検出処理では、誤りの発生が検出されても、後の誤り検出処理では、誤りの発生が検出されなくなることがある。
以降、ステップST15とステップST16のFFT処理や、ステップST18とステップST19や、ステップST21とステップST22のIFFT処理でも同様の処理を行う。
以上のような処理を行うことにより、データを補間する場合と比べて、より正確なデータを得ることができる。
ただし、外部環境などによって、ビット誤りの発生確率が高い場合は、FFT処理の繰り返しが頻発し、処理時間が長くなる可能性がある。また、誤り検出部5aに保存されているFFT処理前のデータそのものにビット誤りが発生する可能性もあり、この場合には、誤り検出処理とFFT処理の繰り返しが際限なく継続されて、無限ループに陥る可能性があるので、繰り返し回数の上限などを設定する必要が生じる。
一方、ビット誤りの発生確率が十分低い場合には、地上などで行った場合の画像再生処理と同等の結果が得られることが期待できる。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
1a,1b 送受信アンテナ(画像再生手段)、2a,2b 信号送受信部(画像再生手段)、3 画像再生部(画像再生手段)、4a,4b 画像再生処理部、5a,5b 誤り検出部、6 レジストレーション部(位置合わせ手段)、7 干渉処理部(干渉画像生成手段)、8 位相アンラップ部(変換手段)、9 変換処理部(変換手段)、10 3次元情報格納部、101 CPU、102 ハードディスク、103 RAM、104 ROM、105 CD−ROM駆動装置。

Claims (8)

  1. 第1のパルス信号の反射エコーから第1の複素SAR画像を再生して、前記第1の複素SAR画像を構成する画素の中で誤りが発生している画素を検出するとともに、第2のパルス信号の反射エコーから第2の複素SAR画像を再生して、前記第2の複素SAR画像を構成する画素の中で誤りが発生している画素を検出する画像再生手段と、
    前記第1及び第2の複素SAR画像を構成する画素のうち、前記画像再生手段により誤りの発生が検出された画素以外の画素を用いて、前記第1の複素SAR画像と前記第2の複素SAR画像のずれ量を算出し、前記ずれ量にしたがって前記第1の複素SAR画像と前記第2の複素SAR画像の位置合わせを行う位置合わせ手段と、
    前記位置合わせ手段により位置合わせが行われた前記第1の複素SAR画像と前記第2の複素SAR画像の干渉画像を生成する干渉画像生成手段と、
    前記干渉画像生成手段により生成された干渉画像に含まれる画素の位相を絶対位相に変換して、前記絶対位相を地形の高度に変換する変換手段とを備え、
    前記画像再生手段は、
    前記第1及び第2のパルス信号の反射エコーに対するFFT処理及びIFFT処理を含む画像再生処理を実施することで、前記第1及び第2の複素SAR画像を再生する画像再生処理部と、
    前記画像再生処理部によるFFT処理前後の信号の誤差、もしくは、IFFT処理前後の信号の誤差が予め設定された閾値より大きければ、前記第1及び第2の複素SAR画像を構成する画素に誤りが発生していると判断する誤り検出部とを備えている
    ことを特徴とする合成開口レーダ信号処理装置。
  2. 第1のパルス信号の反射エコーから第1の複素SAR画像を再生して、前記第1の複素SAR画像を構成する画素の中で誤りが発生している画素を検出するとともに、第2のパルス信号の反射エコーから第2の複素SAR画像を再生して、前記第2の複素SAR画像を構成する画素の中で誤りが発生している画素を検出する画像再生手段と、
    前記第1及び第2の複素SAR画像を構成する画素のうち、前記画像再生手段により誤りの発生が検出された画素以外の画素を用いて、前記第1の複素SAR画像と前記第2の複素SAR画像のずれ量を算出し、前記ずれ量にしたがって前記第1の複素SAR画像と前記第2の複素SAR画像の位置合わせを行う位置合わせ手段と、
    前記位置合わせ手段により位置合わせが行われた前記第1の複素SAR画像と前記第2の複素SAR画像の干渉画像を生成する干渉画像生成手段と、
    前記干渉画像生成手段により生成された干渉画像に含まれる画素の位相を絶対位相に変換して、前記絶対位相を地形の高度に変換する変換手段とを備え、
    前記画像再生手段は、
    前記第1及び第2のパルス信号の反射エコーに対するFFT処理及びIFFT処理を含む画像再生処理を実施することで、前記第1及び第2の複素SAR画像を再生する画像再生処理部と、
    前記画像再生処理部によるFFT処理前の信号とFFT処理途中の信号との誤差、もしくは、IFFT処理前の信号とIFFT処理途中の信号との誤差が予め設定された閾値より大きければ、前記第1及び第2の複素SAR画像を構成する画素に誤りが発生していると判断する誤り検出部とを備えている
    ことを特徴とする合成開口レーダ信号処理装置。
  3. 前記画像再生手段は、前記第1の複素SAR画像を構成する画素の中で誤りが発生している画素の画素値を訂正するとともに、前記第2の複素SAR画像を構成する画素の中で誤りが発生している画素の画素値を訂正することを特徴とする請求項1または請求項2記載の合成開口レーダ信号処理装置。
  4. 前記干渉画像生成手段は、前記位置合わせ手段による位置合わせ後の第1及び第2の複素SAR画像を構成する画素のうち、前記画像再生手段により誤りの発生が検出された画素以外の画素を用いて、前記第1の複素SAR画像と前記第2の複素SAR画像の干渉画像を生成することを特徴とする請求項1または請求項2記載の合成開口レーダ信号処理装置。
  5. 前記誤り検出部は、誤りが発生していると判断した画素が属する領域に隣接している領域に属する画素の画素値の平均値を求め、前記誤りが発生していると判断した画素の画素値を前記平均値に置き換えることを特徴とする請求項または請求項記載の合成開口レーダ信号処理装置。
  6. 前記誤り検出部は、誤りが発生していると判断した画素が属する領域に対するFFT処理又はIFFT処理のやり直しを前記画像再生処理部に指示することを特徴とする請求項または請求項記載の合成開口レーダ信号処理装置。
  7. 画像再生手段が、第1のパルス信号の反射エコーから第1の複素SAR画像を再生して、前記第1の複素SAR画像を構成する画素の中で誤りが発生している画素を検出するとともに、第2のパルス信号の反射エコーから第2の複素SAR画像を再生して、前記第2の複素SAR画像を構成する画素の中で誤りが発生している画素を検出する画像再生処理ステップと、
    位置合わせ手段が、前記第1及び第2の複素SAR画像を構成する画素のうち、前記画像再生処理ステップで誤りの発生が検出された画素以外の画素を用いて、前記第1の複素SAR画像と前記第2の複素SAR画像のずれ量を算出し、前記ずれ量にしたがって前記第1の複素SAR画像と前記第2の複素SAR画像の位置合わせを行う位置合わせ処理ステップと、
    干渉画像生成手段が、前記位置合わせ処理ステップで位置合わせが行われた前記第1の複素SAR画像と前記第2の複素SAR画像の干渉画像を生成する干渉画像生成処理ステップと、
    変換手段が、前記干渉画像生成処理ステップで生成された干渉画像に含まれる画素の位相を絶対位相に変換して、前記絶対位相を地形の高度に変換する変換処理ステップとを備え
    前記画像再生処理ステップは、
    画像再生処理部が、前記第1及び第2のパルス信号の反射エコーに対するFFT処理及びIFFT処理を含む画像再生処理を実施することで、前記第1及び第2の複素SAR画像を再生するステップと、
    誤り検出部が、前記画像再生処理部によるFFT処理前後の信号の誤差、もしくは、IFFT処理前後の信号の誤差が予め設定された閾値より大きければ、前記第1及び第2の複素SAR画像を構成する画素に誤りが発生していると判断するステップとを備えている
    ことを特徴とする合成開口レーダ信号処理方法。
  8. 画像再生手段が、第1のパルス信号の反射エコーから第1の複素SAR画像を再生して、前記第1の複素SAR画像を構成する画素の中で誤りが発生している画素を検出するとともに、第2のパルス信号の反射エコーから第2の複素SAR画像を再生して、前記第2の複素SAR画像を構成する画素の中で誤りが発生している画素を検出する画像再生処理ステップと、
    位置合わせ手段が、前記第1及び第2の複素SAR画像を構成する画素のうち、前記画像再生処理ステップで誤りの発生が検出された画素以外の画素を用いて、前記第1の複素SAR画像と前記第2の複素SAR画像のずれ量を算出し、前記ずれ量にしたがって前記第1の複素SAR画像と前記第2の複素SAR画像の位置合わせを行う位置合わせ処理ステップと、
    干渉画像生成手段が、前記位置合わせ処理ステップで位置合わせが行われた前記第1の複素SAR画像と前記第2の複素SAR画像の干渉画像を生成する干渉画像生成処理ステップと、
    変換手段が、前記干渉画像生成処理ステップで生成された干渉画像に含まれる画素の位相を絶対位相に変換して、前記絶対位相を地形の高度に変換する変換処理ステップとを備え、
    前記画像再生処理ステップは、
    画像再生処理部が、前記第1及び第2のパルス信号の反射エコーに対するFFT処理及びIFFT処理を含む画像再生処理を実施することで、前記第1及び第2の複素SAR画像を再生するステップと、
    誤り検出部が、前記画像再生処理部によるFFT処理前の信号とFFT処理途中の信号との誤差、もしくは、IFFT処理前の信号とIFFT処理途中の信号との誤差が予め設定された閾値より大きければ、前記第1及び第2の複素SAR画像を構成する画素に誤りが発生していると判断するステップとを備えている
    ことを特徴とする合成開口レーダ信号処理方法。
JP2014014596A 2014-01-29 2014-01-29 合成開口レーダ信号処理装置及び合成開口レーダ信号処理方法 Expired - Fee Related JP6249796B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014014596A JP6249796B2 (ja) 2014-01-29 2014-01-29 合成開口レーダ信号処理装置及び合成開口レーダ信号処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014014596A JP6249796B2 (ja) 2014-01-29 2014-01-29 合成開口レーダ信号処理装置及び合成開口レーダ信号処理方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015141124A JP2015141124A (ja) 2015-08-03
JP6249796B2 true JP6249796B2 (ja) 2017-12-20

Family

ID=53771565

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014014596A Expired - Fee Related JP6249796B2 (ja) 2014-01-29 2014-01-29 合成開口レーダ信号処理装置及び合成開口レーダ信号処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6249796B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015008554A1 (ja) * 2013-07-19 2015-01-22 国立大学法人東北大学 合成開口処理を伴うセンサ、そのセンサの処理方法、および、プログラム
EP3768022A1 (en) 2015-07-15 2021-01-20 NEC Corporation Terminal and method for d2d communications
CN105353375A (zh) * 2015-10-28 2016-02-24 华中科技大学 一种镜像综合孔径辐射计反演方法
US12025693B2 (en) * 2021-11-01 2024-07-02 Ierus Technologies, Inc. Method for correcting a synthetic aperture radar antenna beam image
CN114755654B (zh) * 2022-06-14 2022-11-18 中达天昇(江苏)电子科技有限公司 一种基于图像拟态技术的残损雷达信号修复方法
CN118091665B (zh) * 2024-04-19 2024-07-12 中国科学院空天信息创新研究院 一种干涉系统的内定标信号处理方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09281231A (ja) * 1996-04-15 1997-10-31 Mitsubishi Electric Corp 信号処理装置
JP4035252B2 (ja) * 1999-02-04 2008-01-16 本田技研工業株式会社 レーダ装置
JP3781004B2 (ja) * 2002-12-06 2006-05-31 三菱電機株式会社 合成開口レーダ装置及び数値標高モデル作成方法
US20070083114A1 (en) * 2005-08-26 2007-04-12 The University Of Connecticut Systems and methods for image resolution enhancement
US7508334B2 (en) * 2007-03-22 2009-03-24 Harris Corporation Method and apparatus for processing SAR images based on an anisotropic diffusion filtering algorithm
JP2011072538A (ja) * 2009-09-30 2011-04-14 Fujifilm Corp X線画像撮影装置、撮影方法および撮影プログラム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015141124A (ja) 2015-08-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6249796B2 (ja) 合成開口レーダ信号処理装置及び合成開口レーダ信号処理方法
JP6249110B1 (ja) 合成開口レーダ装置
JP2015094657A (ja) 合成開口レーダ信号処理装置
EP3229038B1 (en) Wavelet domain insar interferometric phase filtering method in combination with local frequency estimation
CN104251990B (zh) 合成孔径雷达自聚焦方法
JP2008185375A (ja) Sar画像の3d形状算出装置及びsar画像の歪補正装置
JP2010112725A (ja) 補正データ送信装置、補正データ送信方法、補正データ送信プログラム、測位装置、測位方法および測位プログラム
Callow et al. Stripmap phase gradient autofocus
JP2011095184A (ja) 測位装置及びプログラム
CN112882030B (zh) InSAR成像干涉一体化处理方法
JP2007256058A (ja) レーダ画像処理装置
CN102750717A (zh) 产生图像的方法、执行设备、诊断系统和医学图像系统
JP2013148377A (ja) 信号処理装置
JP2014013180A (ja) レーダ処理装置
JP2010127771A (ja) 合成開口ソーナー、合成開口ソーナーの位相誤差補正方法及びプログラム
JP5679406B2 (ja) 目標物速度特定装置、目標物速度特定プログラム及び目標物速度特定方法
CN104237886A (zh) 一种高精度合成孔径雷达成像方法
JP2007292531A (ja) Sar搭載機速度測定装置、画像鮮明化装置、sar搭載機速度測定プログラム、画像鮮明化プログラム及びsar搭載機速度測定方法
JP6246338B2 (ja) 測角装置及び測角方法
CN113608218B (zh) 一种基于后向投影原理的频域干涉相位稀疏重构方法
JP4793240B2 (ja) 高分解能レーダ装置
CN105549010B (zh) 频域合成孔径雷达成像方法
CN111781617B (zh) 一种基于双基散射矢量海面高程模型镜面反射点估计方法
JP6041325B2 (ja) 信号処理装置、信号処理方法およびプログラム
JP6289389B2 (ja) 画像レーダ装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161020

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170807

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170815

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170922

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171024

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171121

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6249796

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees