JP2013148377A - 信号処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】処理対象信号の位相誤差を、簡易な構成で高速かつ高精度に補償することができる信号処理装置を提供する。
【解決手段】位相補償処理用係数の算出に使用される基準係数パラメータ、基準係数パラメータよりも低い演算精度で算出され、当該基準係数パラメータを近似する基準係数および基準係数パラメータと基準係数との誤差を算出し、基準係数パラメータのうち、べき乗した値が位相補償処理用係数の算出に使用される基準係数パラメータについて、誤差をべき乗数分積算した値が所定の閾値未満であれば、当該基準係数パラメータを近似する基準係数をべき乗した値を位相補償処理用係数の算出に使用し、誤差をべき乗数分積算した値が閾値以上である場合に、べき乗数分積算した誤差に関して当該基準係数をべき乗した値を補正して位相補償処理用係数を算出し、算出した位相補償処理用係数を乗算して受信信号の位相補償処理を行う。
【選択図】図1

Description

この発明は、地表や海面の高分解能画像を撮像する合成開口レーダなどの信号処理装置に係り、特に位相補償処理を改良した信号処理装置に関する。
従来から、航空機または人工衛星などのプラットフォームに搭載される合成開口レーダ用の信号処理装置として、アンテナを有するSAR(Synthetic Aperture Radar)センサを備える装置が知られている。このような信号処理装置では、レーダ装置を搭載するプラットフォームが移動しながら電波を送受信して観測を行って、得られた電波信号を信号処理することで、2次元の高分解能の画像を得ている(例えば、特許文献1参照)。
また、特許文献1に記載の装置において、SARセンサによって受信された受信信号(目標物からのエコー信号)が示す観測領域内の目標物は、2次元的に拡がった状態であるが、2次元的に拡がって目標物を示す受信信号(以下、2次元データと呼ぶ)に対して、画像再生処理と呼ばれる信号処理を施すことで、目標物の座標に1点に圧縮できる。
この画像再生処理には、ポーラーフォーマット法、レンジドップラー法、チャープスケーリング法などの方法がある。なお、画像再生処理では、2次元データに対して、レンジ方向(電波の照射方向)またはアジマス方向(電波の照射方向に対して直交する方向)に高速フーリエ変換(FFT)の演算処理、逆高速フーリエ変換(IFFT)の演算処理、および係数乗算処理などが行われる。
ポーラーフォーマット法における位相補償処理は、非特許文献1に記載されるように、主に各データの位相を回転させて補正する位相補償処理に相当する。この場合、位相補償処理で、各データに対して乗じられる位相補償処理用係数G(n,m)は、下記式(1)のように表される。
ただし、データのレンジ方向の座標をn、アジマス方向の座標をmとし、cは光速、jは虚数単位である。f(n)は受信信号の瞬時周波数に相当する。
R(m)はプラットフォームと観測領域の中心点との距離を表す関数であり、直交座標系のmごとのプラットフォームの瞬時位置の座標を(x(m),y(m),z(m))とし、観測領域の中心点の座標を(x,y,z)とすると、下記式のように表される。
また、fは送信波の中心周波数であり、Rは合成開口中心から観測領域の中心点までの距離(定数)である。なお、合成開口中心はプラットフォームが移動する軌道の中心となる。
Figure 2013148377
上記式(1)中のf(n)は下記式(2)で表される。なお、αとβは送信波の中心周波数とサンプリング周波数から定められる定数である。
f(n)=αn+β ・・・(2)
特開2005−24311号公報
Walter G. Carrara, Ron S. Goodman, Ronald M. Majewski, "Spotlight Synthetic Aperture Radar", Artech House, 1995.
上述のように、SARの画像再生処理は、2次元データにFFTや係数乗算などを行う処理であり、画像サイズが増加するにつれて計算量が膨大になる。
また、人工衛星などのプラットフォーム上でSARの画像再生処理を行う場合は、演算装置の大きさや消費電力が制限される。
このため、画像再生処理については、プラットフォームで観測した観測データ(SAR画像)を、地上に設置された大型計算機などに送信して処理することが一般的であった。
その一方で、撮影したSAR画像をリアルタイムで送信する必要がある場合、プラットフォーム上でSARの画像再生処理が行われる。この場合、画像再生処理する画像サイズは、地上に設置された大型計算機が処理する画像サイズよりも小さなものとなる。また、リアルタイム性が要求されることから、処理時間にも制約が生じる。さらに、高解像度のSAR画像を得るには、上記式(1)の位相情報を高精度に求める必要がある。
なお、高速処理を行うには、大型計算機や複数のMPU(Micro−Processing Unit)による並列計算装置を用いることが考えられるが、大型な装置構成となるため、プラットフォームに搭載することが困難である。
一方、ハードウェアによる専用回路や専用計算装置を用いて、小型の装置で高速な処理を行うことも考えられるが、高精度な演算を行うためには不可避的に回路規模が増大し、装置構成が複雑化するとともに、コストの増加も否めない。
また、上記式(1)の係数算出をMPUで高精度に行い、ハードウェアによる専用計算装置でFFTや複素乗算などの演算を行う場合、MPUにおいて上記式(1)の指数関数(三角関数)を用いた係数演算を、アジマス方向の点数とレンジ方向の点数との積に相当する回数だけ実行する必要がある。さらに、MPUによって算出された係数を下位の専用装置に送信する必要もある。
一般的に、これらの処理は、専用計算装置による複素乗算と比較して処理時間を要し、専用計算装置による処理のボトルネックとなり、全体の処理時間の低下につながるという課題がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、処理対象信号の位相誤差を、簡易な構成で高速かつ高精度に補償することができる信号処理装置を得ることを目的とする。
この発明に係る信号処理装置は、複素数からなる位相補償処理用係数を乗算することにより、複素数信号の位相補償処理を行う信号処理装置において、位相補償処理用係数の算出に使用される基準係数パラメータ、基準係数パラメータよりも低い演算精度で算出され、当該基準係数パラメータを近似する基準係数および基準係数パラメータと基準係数との誤差を算出する係数算出部と、基準係数パラメータのうち、べき乗した値が位相補償処理用係数の算出に使用される基準係数パラメータについて、誤差をべき乗数分積算した値が所定の閾値未満であれば、当該基準係数パラメータを近似する基準係数をべき乗した値を位相補償処理用係数の算出に使用し、誤差をべき乗数分積算した値が閾値以上である場合に、べき乗数分積算した誤差に関して当該基準係数をべき乗した値を補正して前記位相補償処理用係数を算出する係数展開部と、係数展開部により算出された位相補償処理用係数を乗算して複素数信号の位相補償処理を行う演算部とを備える。
この発明によれば、処理対象信号の位相誤差を、簡易な構成で高速かつ高精度に補償することができるという効果がある。
この発明の実施の形態1に係る信号処理装置の構成を示すブロック図である。 図1の係数展開部の構成を示すブロック図である。 実施の形態1に係る信号処理装置による動作を示すフローチャートである。 複素平面上の係数aの座標と係数Aの座標との関係を示す概念図である。 実施の形態1に係る信号処理装置によるポーラーフォーマット法の画像再生処理を示すフローチャートである。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る信号処理装置の構成を示すブロック図であり、この発明に係る信号処理装置をSARセンサを備えた合成開口レーダ装置の信号処理装置に適用した場合を示している。図1に示す合成開口レーダ装置1は、例えば航空機や人工衛星などの移動可能なプラットフォーム(図1において不図示)に搭載され、SARセンサ2、運動センサ3および信号処理装置4を備える。
SARセンサ2は、SAR画像4aの再生に必要な目標物からのエコー信号を取得するためのアンテナ、送信機および受信機(図1において不図示)からなるセンサ装置の総称であり、マイクロ波などの高周波パルス信号を送受信してSAR画像4aの再生に必要な受信信号2aを取得する。つまり、SARセンサ2は、高周波パルス信号をアンテナから空間に放射し、目標物で反射した高周波パルス信号のエコー信号をアンテナで受信する。SARセンサ2は、受信したエコー信号を増幅して中間周波数に変換してから、デジタル信号に変換して受信信号2aとして出力する。
運動センサ3は、図1に示す合成開口レーダ装置1が搭載されたプラットホームの運動(プラットフォームの速度、加速度)を計測し、計測データから高周波パルス信号の送受信時のプラットフォームの瞬時位置を運動データ3aとして出力する。
なお、mごとのプラットフォームの瞬時位置の座標(x(m),y(m),z(m))を規定する直交座標系は、プラットフォームが移動する軌道の中心(合成開口中心C)を通る鉛直線と地表との交点を原点Oとした場合に、この線分OCを含む直線をZ軸とし、ビーム照射方向(高周波パルス信号の照射方向)を表すベクトルとZ軸との外積(2軸に直交する方向)をX軸とし、Z軸とX軸の外積をY軸とした座標系である。
信号処理装置4は、受信信号2aの位相誤差を補償する信号処理装置であり、データ保持部40、係数算出部41、画像再生処理部42および制御部43を備える。
データ保持部40は、SARセンサ2から出力される受信信号2aと、画像再生処理部42から出力されるSAR画像4aおよび中間データ5a,5b,5cを保持する記憶部である。ここで、中間データ5aとは、レンジ圧縮の参照信号を乗算した受信信号2aのレンジ方向の1行単位のデータに対して、位相補償処理用係数で位相補償を施したデータである。中間データ5bは、中間データ5aに対してSAR画像の各画素に対応する補間処理用係数で補間処理を施したデータである。また、中間データ5cは、中間データ5bのレンジ方向の1行単位のデータに対して逆高速フーリエ変換(IFFT)処理を施したデータである。
係数算出部41は、運動センサ3から出力された運動データ3aを用いて、ポーラーフォーマット法の位相補償処理用係数G(n,m)を算出する際に利用する基準係数パラメータ(後述するa(m)、b(m))を倍精度浮動小数点数で算出し、画像再生処理部42からの係数要求信号に応答して、基準係数パラメータに基づいて位相補償処理用係数G(n,m)を算出するための基準係数(後述するA(m)、B(m))を単精度浮動小数点数で算出(変換)するとともに、基準係数パラメータに対する基準係数の誤差(後述するΔθ、Δk)を算出する。
なお、係数算出部41は、画像再生処理部42からの係数要求信号を受けて演算精度の高い倍精度浮動小数点数での演算が可能な演算装置から構成される。例えば、倍精度浮動小数点数での演算が可能な汎用のMPUなどで構成された演算装置を想定している。
画像再生処理部42は、係数算出部41により算出された基準係数(A(m)、B(m))および誤差(Δθ、Δk)を用いて、データ保持部40に保持された受信信号2aのデータに対して画像再生処理を行うことにより、SAR画像4aを生成する。その機能ブロックとして、係数展開部420および演算部421を備える。
係数展開部420は、係数算出部41により算出された基準係数(A(m)、B(m))および誤差(Δθ、Δk)を用いて、倍精度浮動小数点数の基準係数パラメータa(m)に対する単精度浮動小数点数の基準係数A(m)の誤差を補正しながら、SAR画像のレンジ方向の点数分の位相補償処理用係数を算出する。
演算部421は、係数展開部420によって算出された位相補償処理用係数を用いて、データ保持部40に保持された受信信号2aのデータに対して位相補償処理を行うことにより、SAR画像4aを生成する。
なお、画像再生処理部42は、単精度浮動小数点数もしくは固定小数点数の演算を行う専用のLSI(Large Scale Integration)、または、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)もしくはFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路で構成された演算装置を想定している。
係数算出部41および画像再生処理部42について想定される演算装置を例示したが、上記と類似の機能を有する装置であれば、例示した装置以外で構成されたものであってもよい。
制御部43は、信号処理装置4でシステムバスおよび制御信号線を介してデータ保持部40、係数算出部41および画像再生処理部42と接続されて、これらの動作を制御する制御部である。すなわち、データ保持部40、係数算出部41および画像再生処理部42は、制御部43が本発明の趣旨に従う画像再生処理プログラムを実行することによって、当該画像再生処理プログラムのアルゴリズムに従って動作する。
ただし、以降では、説明の簡単のため、データ保持部40、係数算出部41および画像再生処理部42が、自らデータ処理を実行するものとして説明する。
図2は、図1の係数展開部の構成を示すブロック図である。図2に示すように、係数展開部420は、係数乗算部4200,4203、誤差判定部4201,4202、および係数保持部4204を備える。
係数乗算部4200は、誤差判定部4202から出力される、基準係数パラメータaに対する誤差Δθおよび誤差Δkが補正された基準係数Aのべき乗値(複素乗算値)を算出してデータP3として出力する係数乗算部である。
なお、後述するが、基準係数パラメータaと基準係数Aを極座標の点に変換した場合における、基準係数パラメータaに対する基準係数Aの角度方向の誤差がΔθであり、距離方向の誤差がΔkである。
係数乗算部4203は、誤差判定部4202から出力されるデータP3に基準係数Bを乗算した値を、位相補償処理用係数として出力する係数乗算部である。
誤差判定部4201は、係数乗算部4200から出力されるデータP1(nべき乗された基準係数A)について、係数保持部4204から読み出した閾値εθを用いて基準係数パラメータaに対する誤差Δθの補正が必要か否かを判定し、当該補正が必要と判定された場合、上記データP1に対して誤差Δθの補正を行い、データP2として出力する。
誤差判定部4202は、誤差判定部4201から出力されるデータP2(nべき乗された基準係数Aもしくは誤差Δθに関して補正された基準係数Aのnべき乗値)について、係数保持部4204から読み出した閾値εを用いて基準係数パラメータaに対する誤差Δkの補正が必要か否かを判定し、当該補正が必要と判定された場合、上記データP2に対して誤差Δkの補正を行い、データP3(nべき乗された基準係数Aもしくは誤差Δθおよび誤差Δkに関して補正された基準係数Aのnべき乗値)として出力する。
また、係数保持部4204は、係数算出部41から出力される基準係数A,Bおよび誤差Δθ,Δkを格納する記憶部である。
次に動作について説明する。
図3は、実施の形態1に係る信号処理装置による動作を示すフローチャートであって、実施の形態1に係る信号処理装置4を備えた合成開口レーダ装置1によりSAR画像4aが出力されるまでの処理の概要を示している。
まず、SARセンサ2による信号送受信処理が実施される(ステップST1)。
ここでは、航空機や人工衛星などの移動プラットフォームに搭載される合成開口レーダ装置1において、SARセンサ2が、高周波パルス信号(送信信号)を生成してアンテナから空間(観測領域)に放射し、この高周波パルス信号が目標物で反射したエコー信号(受信信号)を上記アンテナで受信する。SARセンサ2は、アンテナを介して受信されたエコー信号を増幅してから中間周波数に変換し、さらに中間周波数信号をデジタル信号に変換して受信信号2aとして出力する。
この後、データ保持部40は、SARセンサ2から出力される受信信号2aを読み込んで保持する(ステップST2)。
次に、係数算出部41が、運動センサ3から出力される運動データ3aを読み込む(ステップST3)。ここでは、運動センサ3が、ステップST1においてSARセンサ2が高周波パルス信号を送信し、高周波パルス信号が目標物で反射したエコー信号を受信するまでにプラットフォームの運動(プラットフォームの速度、加速度)を計測し、計測データから高周波パルス信号の送受信時のプラットフォームの瞬時位置を運動データ3aとして出力する。
係数算出部41は、運動センサ3から読み込んだ運動データ3aを用いて、ポーラーフォーマット法の位相補償処理用係数G(n,m)を算出する際に利用する基準係数パラメータ(後述するa(m)、b(m))を倍精度浮動小数点数で算出する。次に、係数算出部41は、画像再生処理部42からの係数要求信号に応答して、基準係数パラメータに基づいて、位相補償処理用係数G(n,m)を算出するための基準係数(後述するA(m)、B(m))を単精度浮動小数点数で算出(変換)するとともに、基準係数パラメータに対する基準係数の誤差(後述するΔθ、Δk)を算出する。
続いて、画像再生処理部42は、係数算出部41により算出された基準係数(後述するA(m)、B(m))および誤差(後述するΔθ、Δk)を用いて、データ保持部40に保持された受信信号2aのデータに対して画像再生処理を行い、SAR画像4aを生成する(ステップST4)。SAR画像4aは、画像再生処理部42からデータ保持部40へ出力される。
なお、画像再生処理には、前述のポーラーフォーマット法、レンジドップラー法、チャープスケーリング法などが知られているが、以降では、ポーラーフォーマット法の場合を例に挙げる。
最後に、データ保持部40は、保持しているSAR画像4aを出力する(ステップST5)。以下、ステップST3における係数算出処理と、ステップST4における画像再生処理の詳細を説明する。
(1)係数算出処理
ステップST3において、係数算出部41は、運動データ3aを用いて、位相補償用の係数を算出するためのパラメータとして、基準係数パラメータa,b、基準係数A,B、および基準係数パラメータに対する基準係数の誤差Δθ,Δkを算出する。
また、係数算出部41は、位相補償処理用係数の算出に利用されるデータの他、SAR画像4aを得る画像再生処理用の係数として、各画素に対応する補間処理用係数(レンジ方向に所望の位置に画素を得るために、この位置の近隣でサンプリングされた画素に付加する重み付け係数)を算出する。
ここでは、本発明の特徴の1つである、位相補償処理用係数の算出に利用されるデータ(基準係数パラメータa,b、基準係数A,B、および誤差Δθ,Δk)の算出処理について説明する。なお、受信信号2aのアジマス方向のデータ幅を1024、レンジ方向のデータ幅を1024とし、アジマス方向の画素の座標mは、0から1023までの整数、レンジ方向の画素の座標nは、0から1023までの整数とする。
係数算出部41は、上記式(1)を展開して基準係数パラメータを算出する。ここで、上記式(1)の指数関数の内部の位相成分は、アジマス方向の画素の座標mの関数R(m)と、レンジ方向の画素の座標nの関数f(n)との積である。f(n)はnの一次式であるため、位相補償処理用係数G(n,m)は、下記式(3)に示すようにa(m)のnべき乗とb(m)の積の式に変換することができる。ただし、基準係数パラメータa(m)およびb(m)は絶対値が1の複素数である。
Figure 2013148377
まず、係数算出部41が、運動データ3aを用いて上記式(3)における合成開口中心から観測領域の中心点までの距離Rを算出する。
送信波(高周波パルス信号)の中心周波数f、送信波の中心周波数fとサンプリング周波数から定められる定数α,β、光速cが既知であるので、係数算出部41は、プラットフォームと観測領域の中心点との距離を表す関数R(m)を用いて、0から1023までのアジマス方向の画素の座標mについての基準係数パラメータa(m)とb(m)を倍精度浮動小数点数で算出する。次に、係数算出部41は、基準係数パラメータa(m),b(m)を、単精度浮動小数点数の複素数である基準係数A(m),B(m)にそれぞれ変換する。
次いで、係数算出部41は、a(m)−A(m)の実数部をΔx(m)とし、虚数部をΔy(m)とし、A(m)の実数部をx(m)とし、虚数部をy(m)として、下記式(4)および下記式(5)から実数Δθ(m)と実数Δk(m)を算出する。
ただし、係数算出部41は、下記式(4)および下記式(5)を用いて、0から1023までのアジマス方向の画素の座標mについてのΔθ(m)およびΔk(m)を倍精度浮動小数点数で算出してから単精度浮動小数点数に変換した値を、最終的なΔθ(m)およびΔk(m)とする。
Δθ(m)=−Δx(m)×y(m)+Δy(m)×x(m) ・・・(4)
Δk(m)=Δx(m)×x(m)+Δy(m)×y(m) ・・・(5)
図4は、複素平面上の係数aの座標と係数Aの座標との関係を示す概念図である。基準係数A(m)は、単精度浮動小数点数の複素数であるため、図4に示すような単精度浮動小数点数で表現される座標上の点(格子点)になる。一方、基準係数パラメータa(m)は、倍精度浮動小数点数の複素数であるため、A(m)から若干ずれた点となる。
なお、Δθ(m)は、複素平面上のA(m)とa(m)を極座標の点に変換した場合における、a(m)に対するA(m)の角度方向の誤差(原点から各点までのベクトルのなす角度の誤差)に相当し、Δk(m)は、a(m)に対するA(m)の距離方向の誤差(原点から各点まで距離の誤差)に相当する。このため、理論上は、a(m)は、A(m)とΔθ(m)とΔk(m)を用いた下記式(6)で近似することができる。
ただし、Δθ(m)とΔk(m)は、図4のような複素平面上において、a(m)を、A(m)と実軸のなす角だけ逆方向に回転させ、A(m)の絶対値を1に近似することにより導出される。
a(m)≒A(m)×(1+j×Δθ(m))×(1+Δk(m)) ・・(6)
係数算出部41は、上述のようにして算出した基準係数A(m),B(m)および誤差Δθ,Δkと、誤差判定用にあらかじめ設定された閾値εθ,εを画像再生処理部42へ出力する。ここで、閾値εθ,εは、単精度浮動小数点数の定数であって、「単精度浮動小数点数で表現可能な1より大きい最小数と1の差」とする。これは、1.192×10−7程度の値であり、1近傍の値を単精度浮動小数点数で表記した場合における量子化の最小単位に相当する。
(2)画像再生処理
図5は、実施の形態1に係る信号処理装置によるポーラーフォーマット法の画像再生処理を示すフローチャートであり、図3のステップST4の処理の詳細を示している。
まず、画像再生処理部42の演算部421が、データ保持部40に保持された受信信号2aのデータのうち、レンジ方向のデータを1行単位で読み出す。
次に、演算部421は、データ保持部40から読み出したレンジ方向のデータ行に対応するアジマス方向の画素の座標の番号mを係数算出部41に通知して、mに対応する係数、A(m)、B(m)、Δθ(m)、Δk(m)を要求する。
この要求に応答して、係数算出部41は、mに対応する係数である、A(m)、B(m)、Δθ(m)およびΔk(m)を算出して、これらと閾値εθおよび閾値εとを、画像再生処理部42の係数展開部420および演算部421にそれぞれ出力する。ここまでの処理がステップST11に相当する。
次に、演算部421は、データ保持部40から読み出したレンジ方向の1行単位のデータに対してレンジ方向のFFT処理を行う(ステップST12)。
さらに、演算部421は、ステップST12においてFFT処理を行ったレンジ方向の1行単位のデータに対して参照信号乗算処理を行う(ステップST13)。
ステップST14において、係数展開部420は、係数算出部41から入力したA(m)、B(m)、Δθ(m)、Δk(m)、閾値εθおよび閾値εを用いて、レンジ方向のデータ点数分の位相補償処理用係数G(n,m)を順次算出する。
演算部421は、レンジ方向の1行単位のデータに対して、係数展開部420によって順次算出される位相補償処理用係数G(n,m)との位相補償処理を行う。この位相補償処理が完了したレンジ方向の1行単位のデータは、中間データ5aとして、演算部421からデータ保持部40に出力され保持される。
ここで、ステップST14における位相補償処理の詳細を説明する。
位相補償処理は、以下の(1A)から(6A)までの処理で構成される。なお、これらの処理において、mは変化しないため、基準係数をA、Bと表記し、誤差をΔθ、Δkと表記する。また、演算は、全て単精度浮動小数点数で行われる。
(1A)基準係数、誤差および閾値の入力
まず、係数算出部41により算出された基準係数A,Bおよび誤差Δθ,Δkと、閾値εθ,εは、係数展開部420の係数保持部4204に保持される。この後、係数乗算部4200は、係数保持部4204から基準係数Aを読み出し、誤差判定部4201は、係数保持部4204から誤差Δθ,閾値εθを読み出し、誤差判定部4202は、係数保持部4204から誤差Δk,閾値εを読み出し、係数乗算部4203は、係数保持部4204から基準係数Bを読み出す。
また、誤差判定部4201内部の整数の変数n1を“1”に設定し、誤差判定部4202内部の整数の変数n2を“1”に、複素数の変数P3を“1”に設定する。なお、誤差判定部4201の変数n1は、誤差判定部4201における基準係数Aのべき乗数nに相当し、誤差判定部4202の変数n2は、誤差判定部4202における基準係数Aのべき乗数nに相当する。
(2A)変数P3=“1”に基準係数Bを複素乗算
係数乗算部4203は、誤差判定部4202から出力される変数P3に基準係数Bを複素乗算する。変数P3=“1”に基準係数Bを複素乗算した演算結果は、レンジ方向の画素の座標n=0に対応する位相補償処理用係数として、係数乗算部4203から演算部421に出力される。
(3A)変数P3に基準係数Aを複素乗算
次に、係数乗算部4200が、誤差判定部4202から出力された変数P3(=“1”)に基準係数Aを複素乗算する。演算結果は、変数P1として、係数乗算部4200から誤差判定部4201に出力される。
(4A)誤差Δθに関する誤差判定
誤差判定部4201は、変数n1と誤差Δθおよび閾値εθを用いて、下記式(7)が成り立つか否かを判定する。
n1×Δθ≧εθ ・・・(7)
ここで、上記式(7)の関係が成り立たない場合、すなわちn1×Δθが閾値εθ未満であると、誤差判定部4201は、係数乗算部4200から入力した変数P1をそのままP2として出力する。この後、誤差判定部4201は、変数n1に“1”を加算する。
また、上記式(7)の関係が成り立つ場合、すなわちn1×Δθが閾値εθ以上であると、誤差判定部4201は、下記式(8)に従う演算で変数P1の補正を行い、演算結果をP2として出力する。
P2=P1×(1+j×n1×Δθ) ・・・(8)
(5A)誤差Δkに関する誤差判定
誤差判定部4202は、変数n2と誤差Δkおよび閾値εを用いて、下記式(9)が成り立つか否かを判定する。
n2×Δk≧ε ・・・(9)
ここで、上記式(9)の関係が成り立たない場合、すなわちn2×Δkが閾値ε未満であると、誤差判定部4202は、誤差判定部4201から入力した変数P1をそのままP3として出力する。この後、誤差判定部4202は、変数n2に“1”を加算する。
また、上記式(9)の関係が成り立つ場合、すなわちn2×Δkが閾値ε以上であると、誤差判定部4202は、下記式(10)に従う演算で変数P2の補正を行い、演算結果をP3として出力する。
P3=P2×(1+n2×Δk) ・・・(10)
(6A)繰り返し処理
以降、(1A)から(5A)までの処理を繰り返して、係数乗算部4203が、レンジ方向の画素の座標n=1から1023に対応する位相補償処理用係数を順次生成して、演算部421に出力する。
(3)本発明に係る位相補償処理用係数の算出
上記式(6)に示したように、理論上、a(m)は、A(m)、Δθ(m)およびΔk(m)で近似できる。しかしながら、単精度浮動小数点数のA(m)、Δθ(m)およびΔk(m)を用いて上記式(6)を計算した場合、当然のことながら、a(m)にはならず、ほぼA(m)になる。これは、倍精度浮動小数点数のa(m)を単精度浮動小数点数に変換したものがA(m)であるため、a(m)を単精度浮動小数点数で正確に表現できないためである。
また、Δθ(m)とΔk(m)が1に比べて極端に小さいため、(1+j×Δθ(m))と(1+Δk(m))を単精度浮動小数点数で表現した場合、ほぼ1に等しい。
従って、そのままA(m)に乗算した場合には1をかけているとの同等になり、意味を成さない。そのため、この場合は、a(m)≒A(m)とみなせる。
しかしながら、基準係数A(m)のnべき乗値であるA(m)を計算する場合には、nの値が大きくなると、a(m)との誤差が大きくなる。このため、上記式(6)を利用してA(m)を補正する。上記式(6)の両辺をn乗することで、下記式(11)が得られる。
下記式(11)でΔθ(m)とΔk(m)が1に比べて非常に小さいことを利用して、Δθ(m)とΔk(m)の2次の項以降を0に近似している。このため、(4A)および(5A)で誤差判定に利用したn×Δθ(m)とn×Δk(m)は、A(m)の誤差の補正量に相当する。
ただし、nとΔθ(m)、Δk(m)の値によっては、上述のように1をかけているとの同等になり、意味を成さなくなる。このため、誤差Δθの補正量n×Δθ(m)が所定の閾値εθ以上または誤差Δkの補正量n×Δk(m)が所定の閾値ε以上となった場合、すなわち単精度浮動小数点数で表現できるような値になったときに、A(m)値を補正する。
a(m)≒A(m)×(1+j×Δθ(m))×(1+Δk(m))≒A(m)×(1+j×n×Δθ(m))×(1+n×Δk(m)) ・・・(11)
図5の説明に戻る。
演算部421は、データ保持部40に保持される受信信号2aのレンジ方向の全ての行のデータに対して、ステップST11からステップST14までの処理を施したか否かを判定する(ステップST15)。ここで、全ての行のデータに対する処理が施されておらず、未終了であると判定すると(ステップST15;NO)、ステップST11の処理に戻り、レンジ方向の全ての行のデータに対して処理を終えるまで、ステップST11からステップST14までの処理を繰り返す。
一方、全ての行のデータに処理が施されて終了であると判定すると(ステップST15;YES)、演算部421は、データ保持部40に保持された中間データ5aを読み出して、係数算出部41に対して、処理を行う各画素に対応する補間処理用係数(SAR画像4aの分解能を補うため、レンジ方向でサンプリングされたデータの個数に乗算する係数)を要求する。係数算出部41は、演算部421からの要求に応答して、補間処理用係数を演算部421に出力する。
演算部421は、係数算出部41から入力した補間処理用係数を用いて中間データ5aに対して補間処理を施す(ステップST16)。補間処理を施したデータは、中間データ5bとして、演算部421からデータ保持部40に出力されて保持される。
次に、演算部421は、データ保持部40に保持された中間データ5bをレンジ方向に1行単位でデータを読み出す。続いて、演算部421は、レンジ方向の1行単位のデータに対して、レンジ方向のIFFT処理を実施する(ステップST17)。この処理が完了したレンジ方向の1行単位のデータは、中間データ5cとして、演算部421からデータ保持部40に出力され保持される。演算部421は、レンジ方向における全ての行のデータに対して処理を終えるまで、上記処理を繰り返し実施する。
さらに、演算部421は、データ保持部40に保持された中間データ5cを、アジマス方向に1行単位でデータを読み出す。次に、演算部421は、アジマス方向の1行単位のデータに対して、アジマス方向のIFFT処理を実施する(ステップST18)。
この処理が完了したアジマス方向の1行単位のデータは、SAR画像4aとして、演算部421からデータ保持部40に出力され保持される。演算部421は、全てのアジマス方向の行に対してIFFT処理を終えるまで、アジマス方向のIFFT処理を繰り返す。
以上のように、係数算出部41により単精度浮動小数点数の基準係数Aを算出し、係数展開部420によって基準係数Aに対応する演算精度が高い倍精度浮動小数点数の基準係数パラメータaとの誤差、すなわち基準係数パラメータaのnべき乗値に対する基準係数Aのnべき乗値の角度方向および距離方向の誤差Δθ、Δkの補正量を判定して、補正が必要な補正量である場合に当該誤差を補正しながら位相補償処理用係数を算出する。これにより、単精度浮動小数点数であっても精度よく位相補償処理用係数を算出することができ、信号処理装置の規模と演算時間を削減できる。
(4)演算態様(その1)
また、上記の説明では、係数展開部420が単精度浮動小数点で演算する構成を示したが、固定小数点数で位相補償処理用係数を算出するようにしてもよい。
例えば、係数算出部41が、基準係数A(m)、B(m)を単精度浮動小数点数に変換する代わりに、A(m)、B(m)に214を乗算して端数を切り捨て16bitの整数にする。この場合、A(m)、B(m)は、“1”が16bitの16進数“4000”に対応するような、符号bit付きの固定小数点数になる。これは、16bitの16進数の最下位bitから数えて14bit目と15bit目に“小数点”があることに相当する。
(5)演算態様(その2)
この他、係数算出部41が、誤差Δθ(m)、Δk(m)を単精度浮動小数点数に変換する代わりに、Δθ(m)、Δk(m)に228を乗算して端数を切り捨て16bitの整数にする。この場合、Δθ(m)、Δk(m)および“2−14”が16bitの16進数“4000”に対応するような、符号bit付きの固定小数点数になる。
これは、16bitの16進数の最下位bitから数えて(仮想的な)28bit目と29bit目に“小数点”があることに相当する。
Δθ(m)、Δk(m)は、A(m)、B(m)の誤差に相当する値であり、A(m)、B(m)が表現可能な値に相当する“2−14”未満の値になることから、変換の際に値がオーバーフローを起こすことはない。また、閾値εθとεは、“2−14”に対応する値として16bitの16進数“4000”を設定する。
なお、上記(4)および(5)において、係数展開部420の係数乗算部4200,4203は、固定小数点数で複素乗算を行う。また、誤差判定部4201,4202では、上記(4A)および上記(5A)と同様に、上記式(7),(9)で表された判定条件で誤差判定を行う。誤差判定部4201は、上記式(7)で表された判定条件が成立し、上記式(8)の演算を行う場合、誤差Δθと変数P1の“小数点”の位置を合わせるようにして乗算および加減算を行う。同様に、誤差判定部4202は、上記式(9)で表された判定条件が成立し、上記式(10)の演算を行う場合、誤差Δkと変数P2の“小数点”の位置を合わせるようにして乗算および加減算を行う。
(6)演算態様(その3)
上記(4)および(5)では、“1”が16bitの16進数“4000”になるように固定小数点数への変換を行う場合を示したが、装置外部から要求された演算精度により16bit幅を多く取るなどしてもよい。この場合、固定小数点数で演算を行うことで、単精度浮動小数点数で演算を行う場合よりも回路規模を削減でき、信号処理装置を小型化することができる。
(7)演算態様(その4)
また、上記の説明では、閾値εθ,εを「単精度浮動小数点数で表現可能な1よりも大きい最小数と1の差」としたが、他の値にしてもよい。
例えば、1×10−6などの物理量として処理しやすい値や計算機で扱いやすい2−22などの値が挙げられる。
(8)演算態様(その5)
上記実施の形態1において、係数算出部41から係数展開部420に閾値εθ,εを渡す代わりに、「n1の最大値」すなわち誤差Δθの補正量(n1×Δθ)の最大値や、「n2の最大値」すなわち誤差Δkの補正量(n2×Δk)の最大値に相当するような値を渡すようにしてもよい。
例えば、「εθ/Δθ以上の最小の整数」を「n1の最大値」として係数展開部420に設定することなどが挙げられる。この場合、誤差判定部4201は、上記式(7)の判定条件で誤差判定を行う代わりに、n1が「n1の最大値」になったか否かで誤差判定を行い、誤差判定部4203が、上記式(9)の判定条件に従って誤差判定を行う代わりに、n2が「n2の最大値」になったか否かで誤差判定を行うようにしてもよい。これにより、誤差判定部4201,4202での誤差判定を簡略化できるので、誤差判定に関する回路規模が削減され、信号処理装置4を小型化することができる。
(9)演算態様(その6)
上記実施の形態1では、受信信号2aのレンジ方向の全てのデータが処理されるまで繰り返されるステップST14の処理でそれぞれ使用されるB(m)の値が、レンジ方向の画素の座標n=0について上記式(1)から求めた基準係数に相当するが、これ以外の値をB(m)としてもよい。例えば、係数算出部41が、レンジ方向の画素の座標n=512について上記式(1)から算出した基準係数をB(m)とする。
(10)演算態様(その7)
また、係数展開部420が、基準係数Aのnべき乗値Aに相当する値(位相の正の回転に相当する基準係数Aのnべき乗値)と同時にA−nに相当する値(位相の負の回転に相当する基準係数Aのnべき乗値)を算出してもよい。この値は、変数P3の複素共役に相当し、変数P3の虚数部の符号を逆にするだけでよく、特段の計算を必要としない。
従って、A−nの値を変数P3’として係数乗算部4203が変数P3と変数P3’の各々と基準係数Bとの複素乗算を行う。これにより、レンジ方向の画素の座標n=512の位相補償処理用係数を算出した後に、レンジ方向の画素の座標n=1023側に向かう計算とレンジ方向の画素の座標n=0側に向かう計算とを同時に行うことができる。
なお、レンジ方向の画素の座標n=0から計算を開始した場合、統計的にはレンジ方向の画素の座標n=1023にける誤差が最大となるが、上述の演算を行うことで、統計的にn=1023での誤差を半分程度にすることができる。
(11)演算態様(その8)
上記説明では、係数算出部41から一組の基準係数A(m),B(m)などを算出して係数展開部420に出力していたが、受信信号2aのレンジ方向の全てのデータが処理されるまで繰り返されるステップST14の処理において、複数のA(m),B(m)などを係数算出部41で算出して係数展開部420に出力するようにしてもよい。
例えば、係数算出部41が、レンジ方向の画素の座標n=0、n=256、n=512、n=768について上記式(1)に従って算出した基準係数BをそれぞれB1(m)、B2(m)、B3(m)、B4(m)とする。係数展開部420は、レンジ方向の画素の座標n=0からn=255までは、基準係数B1(m)を用いて位相補償処理用係数を算出し、n=256においては、n1,n2,P3などの値を初期値の“1”に戻し、n=256からn=512までは、基準係数B2(m)を用いて位相補償処理用係数を算出する。以降、B3(m)、B4(m)に関しても、同様に処理する。
これにより、位相補償処理用係数の算出を簡略化できるので、この処理に関する回路規模が削減され、信号処理装置4を小型化することができる。
(12)演算態様(その9)
また、基準係数A(m)に関しても、例えば係数算出部41が、a(m)/A(m)を倍精度浮動小数点数で算出し、この値を単精度浮動小数点数に変換して、これをA’(m)とする。係数展開部420は、係数乗算部4200が最初に変数P3と基準係数A(m)を複素乗算して変数P1を算出した後、次の演算では、変数P3とA’(m)を複素乗算して変数P1を算出する。このように、複数の係数にて演算を行うことにより、極端に回路規模を増大させることなく、演算精度を向上させることができる。
以上のように、この実施の形態1によれば、位相補償処理用係数の算出に使用される基準係数パラメータa,b、基準係数パラメータa,bよりも低い演算精度で算出され、当該基準係数パラメータa,bを近似する基準係数A,Bおよび基準係数パラメータa,bと基準係数A,Bとの誤差Δθ,Δkを算出する係数算出部41と、基準係数パラメータa,bのうち、べき乗した値が位相補償処理用係数の算出に使用される基準係数パラメータaについて、誤差Δθ,Δkをべき乗数分積算した値が所定の閾値εθ,ε未満であれば、当該基準係数パラメータaを近似する基準係数Aをべき乗した値を位相補償処理用係数の算出に使用し、誤差Δθ,Δkをべき乗数分積算した値が閾値εθ,ε以上である場合に、べき乗数分積算した誤差Δθ,Δkに関して当該基準係数Aをべき乗した値を補正して位相補償処理用係数を算出する係数展開部420と、係数展開部420により算出された位相補償処理用係数を乗算して受信信号2a(複素数信号)の位相補償処理を行う演算部421とを備える。
このように構成することで、複素数信号の位相を補正する位相補償処理用係数の算出において、倍精度浮動小数点数のみで演算を行う場合より少ない装置規模で、かつ、少ない演算時間で所望の演算精度を得ることができる。これにより、合成開口レーダ装置1や信号処理装置4の小型化や軽量化、コストダウンなどが可能になるという効果が得られる。また、処理時間の高速化や演算回路の削減により、消費電力を削減できる。
また、この実施の形態1によれば、係数展開部420が、基準係数パラメータaと基準係数Aとの誤差Δθ,Δkを積算する、べき乗数n1,n2の最大値を所定の閾値εθ,εとするので、係数展開部420における誤差判定を簡略化でき、誤差判定に関する回路規模が削減され、信号処理装置4を小型化することができる。
さらに、この実施の形態1によれば、係数展開部420が、受信信号2aが観測領域に放射された信号の目標物からのエコー信号であり、当該受信信号2aが観測領域の画像を示す場合に、当該画像の所定の方向に画素データを位相補償処理する際に使用される、当該受信信号2aの位相の正の回転に相当する位相補償処理用係数の算出と、当該画像の所定の方向とは逆方向に画素データを位相補償処理する際に使用される、当該受信信号2aの位相の負の回転に相当する位相補償処理用係数の算出とを同時に実施する。このようにすることで、例えばレンジ方向の画素の座標n=0から計算を開始した場合に、最大の誤差を与えるレンジ方向の画素の座標n=1023における基準係数パラメータaと基準係数Aとの誤差を半分程度にすることができる。
さらに、この実施の形態1によれば、係数算出部41が、受信信号2aが観測領域に放射された信号の目標物からのエコー信号であり、当該受信信号2aが観測領域の画像を示す場合に、当該画像の所定の方向の複数の画素データごとに対応する複数の基準係数パラメータa,b、これらをそれぞれ近似する複数の基準係数A,B、および複数の基準係数パラメータa,bと複数の基準係数A,Bとの複数の誤差Δθ,Δkを算出し、係数展開部420が、複数の画素データごとに対応する基準係数パラメータa,b、基準係数A,Bおよび誤差Δθ,Δkを用いて、当該複数の画素データについての位相補償処理用係数を算出する。このようにすることで、位相補償処理用係数の算出を簡略化でき、この処理に関する回路規模が削減され、信号処理装置4を小型化することができる。
上記実施の形態1において、SAR画像の画像再生処理をポーラフォーマット法で行う場合について示したが、他の画像再生処理の手法で位相補償処理や係数の乗算で、n=0から100までのAが必要な演算においても、同様の手法で処理することができる。さらに、本発明は、SAR画像の画像再生処理以外の、レーダ装置や信号処理装置などにおいて、同種の位相補償や係数乗算を行う処理に適用することができる。
なお、本発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
1 合成開口レーダ装置、2 SARセンサ、2a 受信信号、3 運動センサ、3a 運動データ、4 信号処理装置、4a SAR画像、5a,5b,5c 中間データ、40 データ保持部、41 係数算出部、42 画像再生処理部、43 制御部、420 係数展開部、421 演算部、4200 係数乗算部、4201 誤差判定部、4202 誤差判定部、4203 係数乗算部、4204 係数保持部。

Claims (4)

  1. 複素数からなる位相補償処理用係数を乗算することにより、複素数信号の位相補償処理を行う信号処理装置において、
    前記位相補償処理用係数の算出に使用される基準係数パラメータ、前記基準係数パラメータよりも低い演算精度で算出され、当該基準係数パラメータを近似する基準係数および前記基準係数パラメータと前記基準係数との誤差を算出する係数算出部と、
    前記基準係数パラメータのうち、べき乗した値が前記位相補償処理用係数の算出に使用される基準係数パラメータについて、前記誤差をべき乗数分積算した値が所定の閾値未満であれば、当該基準係数パラメータを近似する前記基準係数をべき乗した値を前記位相補償処理用係数の算出に使用し、前記誤差をべき乗数分積算した値が前記閾値以上である場合に、前記べき乗数分積算した誤差に関して当該基準係数をべき乗した値を補正して前記位相補償処理用係数を算出する係数展開部と、
    前記係数展開部により算出された前記位相補償処理用係数を乗算して前記複素数信号の位相補償処理を行う演算部とを備えることを特徴とする信号処理装置。
  2. 前記係数展開部は、前記基準係数パラメータと前記基準係数との誤差を積算するべき乗数の最大値を前記所定の閾値とすることを特徴とする請求項1記載の信号処理装置。
  3. 前記係数展開部は、前記複素数信号が観測領域に放射された信号の目標物からのエコー信号であり、当該複素数信号が前記観測領域の画像を示す場合に、当該画像の所定の方向に画素データを位相補償処理する際に使用される、当該複素数信号の位相の正の回転に相当する位相補償処理用係数の算出と、前記画像の前記所定の方向とは逆方向に画素データを位相補償処理する際に使用される、当該複素数信号の位相の負の回転に相当する位相補償処理用係数の算出とを同時に実施することを特徴とする請求項1記載の信号処理装置。
  4. 前記係数算出部は、前記複素数信号が観測領域に放射された信号の目標物からのエコー信号であり、当該複素数信号が前記観測領域の画像を示す場合に、当該画像の所定の方向の複数の画素データごとに対応する複数の基準係数パラメータ、これらをそれぞれ近似する複数の基準係数、および前記複数の基準係数パラメータと前記複数の基準係数との複数の誤差を算出し、
    前記係数展開部は、前記複数の画素データごとに対応する基準係数パラメータ、基準係数および誤差を用いて、当該複数の画素データについての位相補償処理用係数を算出することを特徴とする請求項1記載の信号処理装置。
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