(本開示の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した特許文献1の仮圧着装置に関し、以下の問題が生じることを見出した。
上記特許文献1の仮圧着装置は、リールに巻き付けられているTCPから部品を金型で順次打ち抜いて供給し、その部品を圧着ツールで液晶パネル基板などの基板に圧着する。このような部品の供給から圧着までの処理は、部品ごとに繰り返し自動で実行される。つまり、複数の部品のそれぞれが順次供給されて圧着される処理がオートモードで実行される。
ここで、そのオートモードの実行前には、部品の打ち抜きの確認処理が実施される。つまり、仮圧着装置によって打ち抜かれた部品が仮圧着装置から取り出され、その部品の打ち抜かれた位置などが確認される。なお、このような確認または確認処理は、打ち抜き確認とも呼ばれる。しかし、その確認された部品に問題がなくても、その部品をオートモードによって基板に圧着することはできない。つまり、確認済みの個片状態になったTCPを基板に圧着することができない。したがって、液晶パネルなどの製品の生産性の低下やTCPの部材の無駄を発生する可能性がある。
このような課題を解決するために、本開示の一態様に係る部品圧着装置は、基板を保持する基板保持部と、圧着対象部品を保持し、前記基板保持部に保持されている前記基板に前記圧着対象部品を圧着する圧着ツールと、前記圧着ツールへの前記圧着対象部品の受け渡しのモードを第1のモードと第2のモードとに切り替える制御部と、第1の部品を供給する部品供給部と、前記部品供給部から供給される前記第1の部品を保持して前記圧着ツール側に移動させる第1の部品移動部と、前記第1の部品移動部によって移動される前記第1の部品の移動経路上に配置され、前記第1の部品移動部によって保持されている前記第1の部品を撮影する第1の撮影部と、前記第1の部品移動部と異なる部品移動部であって、可動ステージを有し、前記可動ステージの移動によって、前記可動ステージに載置されている第2の部品を前記圧着ツール側に移動させる第2の部品移動部とを備え、前記制御部は、前記モードを前記第1のモードに切り替える場合には、前記第1の部品移動部によって移動された前記第1の部品を前記圧着対象部品として、前記圧着ツールに保持させて前記基板に圧着させ、前記モードを前記第2のモードに切り替える場合には、前記第2の部品移動部によって移動された前記第2の部品の前記第1の部品移動部への受け渡しを、前記圧着ツールに実行させ、前記第1の部品移動部に受け渡されて保持されている前記第2の部品を前記第1の撮影部に撮影させ、前記第1の撮影部による撮影結果に基づいて、前記第1の部品移動部に保持されている前記第2の部品の位置調整を行い、前記第1の部品移動部に保持されている前記位置調整が行われた前記第2の部品を前記圧着対象部品として、前記圧着ツールに保持させて前記基板に圧着させる。
これにより、例えばオートモードである第1のモードと、マニュアルモードである第2のモードとが切り替えられる。そのオートモードは、部品供給部から供給される第1の部品を圧着対象部品として基板に圧着するモードである。また、マニュアルモードは、第2の部品移動部の可動ステージに例えば作業者の手で載置された第2の部品を圧着対象部品として基板に圧着するモードである。したがって、例えば、打ち抜き確認のために部品圧着装置の部品供給部から取り出された個片状態のTCPなどの部品であっても、その部品を第2の部品としてマニュアルモードで圧着ツールに保持させて、基板に圧着(例えば仮圧着)することができる。これにより、液晶パネルなどの製品の生産性の向上を図ることができ、無駄なく部品を使用できる。また、その取り出された個片状態のTCPなどの部品、すなわち第2の部品を、部品圧着装置以外の他の設備で基板に圧着しなくてもよいため、製品の品質の安定性を向上することができる。
また、このマニュアルモードにおいて、第2の部品が、作業者の手によって第2の部品移動部の可動ステージに載置される場合には、その第2の部品が載置される位置にばらつきが生じやすい。その結果、可動ステージから圧着ツールに受け渡されて保持されるその第2の部品の位置ずれが許容範囲に収まらない可能性は比較的高い。
そこで、本開示の一態様に係る部品圧着装置では、上述のように、第2の部品移動部によって移動された第2の部品は、圧着ツールによって第1の部品移動部に受け渡される。そして、第1の部品移動部に保持されている第2の部品の位置調整が、第1の撮影部による撮影結果に基づいて行われ、その位置調整された第2の部品が第1の部品移動部から圧着ツールに受け渡されて基板に圧着される。
これにより、マニュアルモードにおいて、可動ステージから圧着ツールに受け渡されて保持される第2の部品に許容範囲外の位置ずれが生じても、第2の部品の位置調整が行われる。つまり、第2の部品は、圧着ツールによって第1の部品移動部に受け渡され、第1の部品移動部および第1の撮影部によってその第2の部品の位置調整が行われる。したがって、作業者が第2の部品移動部の可動ステージに第2の部品を手で載置するときに、第2の部品の位置合わせを正確に行わなくても、第1の部品移動部から圧着ツールに受け渡されて保持される第2の部品の位置ずれを許容範囲に収めることができる。その結果、第2の部品を圧着対象部品として基板に適切に圧着することができる。言い換えれば、マニュアルモードでの第2の部品の位置ずれによってその第2の部品の圧着が不可能として扱われる頻度を抑えることができる。
また、位置調整は、第1の部品移動部および第1の撮影部によって行われるため、第1の部品の位置ずれも許容範囲に収めることができる。さらに、第2の部品移動部にその位置調整の機能を持たせる必要がなく、部品圧着装置の構成を簡単にすることができる。
また、前記部品圧着装置は、さらに、前記圧着ツールに保持されている前記圧着対象部品を撮影する第2の撮影部を備え、前記制御部は、前記モードを前記第2のモードに切り替える場合には、さらに、前記第2の部品移動部によって移動された前記第2の部品を前記圧着ツールに保持させ、前記圧着ツールに保持されている前記第2の部品を前記圧着対象部品として前記第2の撮影部に撮影させ、前記第2の撮影部による撮影結果に基づいて、前記第2の部品の位置ずれが許容範囲にあるか否かを判定し、前記圧着ツールによる前記第2の部品の前記第1の部品移動部への受け渡しは、前記第2の部品の位置ずれが前記許容範囲にないと判定された場合に実行されてもよい。このとき、前記制御部は、前記第2の部品の位置ずれが前記許容範囲にある場合には、前記第2の部品の前記第1の部品移動部への受け渡しの代わりに、前記第2の部品の前記基板への圧着を前記圧着ツールに実行させてもよい。
これにより、第2の部品の位置ずれが許容されない場合に、第2の部品の第1の部品移動部への受け渡しが行われ、第2の部品の位置ずれが許容される場合には、第2の部品の基板への圧着が行われる。したがって、第2の部品の位置ずれが許容される場合にまで、第2の部品を第2の部品移動部から第1の部品移動部に受け渡して位置調整を行う手間を省くことができ、第2の部品の圧着にかかる作業時間を短くすることができる。
また、前記部品圧着装置は、さらに、前記基板保持部に保持されている前記基板における予め定められた部位である圧着対象部位を下方から支持する下受け部を備え、前記圧着ツールは、前記下受け部によって支持されている前記圧着対象部位に前記圧着対象部品を圧着し、前記可動ステージの移動では、前記可動ステージは、互いに対向して配置される前記圧着ツールと前記下受け部との間の空間に進入してもよい。
これにより、圧着ツールは、水平方向に移動することなく、その可動ステージに載置されている第2の部品を吸着して保持することできる。また、第1の部品移動部も、第2の部品移動部と同様に、第1の部品または第2の部品が載置されるステージを有し、そのステージを上述の空間に進入させてもよい。この場合には、圧着ツールは、第1のモードでも第2のモードでも、水平方向に移動することなく同じ動作を行うことによって、第1の部品および第2の部品のそれぞれを圧着対象部品として吸着して保持することができる。したがって、圧着ツールの動きを簡単にすることができる。
また、前記第1の部品移動部によって移動される前記第1の部品の移動方向と、前記第2の部品移動部によって移動される前記第2の部品の移動方向とは交差してもよい。
これにより、部品圧着装置における第1の部品移動部および第2の部品移動部のそれぞれの配置の自由度を高めることができ、部品圧着装置の設計を容易にすることができる。また、第2の部品移動部の可動ステージに第2の部品を載置し易くすることができる。
また、前記制御部は、さらに、前記第2の撮影部による撮影結果に基づいて、前記圧着対象部品の前記基板への圧着を回避するか否かを判定し、回避すると判定した場合には、互いに対向して配置される前記圧着ツールと前記下受け部との間の空間に、前記可動ステージを進入させ、前記圧着ツールに保持されている前記圧着対象部品を前記可動ステージに受け取らせ、回避しないと判定した場合には、前記圧着ツールに保持されている前記圧着対象部品の前記基板への圧着を、前記圧着ツールに実行させてもよい。
これにより、例えば、圧着ツールに保持されている圧着対象部品が不良品である場合には、圧着を回避すると制御部によって判定されて、その圧着対象部品が可動ステージに受け取られる。したがって、不良品の部品を効率的に回収することができる。その結果、生産性のさらなる向上を図ることができる。
また、前記部品供給部は、TCP(Tape carrier package)に含まれる複数の部品のそれぞれを前記第1の部品として前記第1の部品移動部に順次供給し、前記可動ステージには、前記圧着ツールに受け渡される部品であって、TCPから取り出された部品が前記第2の部品として作業者によって載置されてもよい。
これにより、TCPから順次供給される第1の部品のオートモードでの圧着と、確認のために部品圧着装置から取り出された個片状態のTCPである第2の部品のマニュアルモードでの圧着とを切り替えて行うことができる。
また、前記部品供給部は、トレイに載置されている複数の部品のそれぞれを前記第1の部品として前記第1の部品移動部に供給し、前記可動ステージには、前記圧着ツールに受け渡される部品であって、TCP(Tape carrier package)から取り出された部品が前記第2の部品として作業者によって載置されてもよい。つまり、前記第1の部品移動部によって移動される前記第1の部品の種別と、前記第2の部品移動部によって移動される前記第2の部品の種別とは異なってもよい。
これにより、トレイから供給される例えばIC(Integrated Circuit)などの第1の部品のオートモードでの圧着と、個片状態のTCPである第2の部品のマニュアルモードでの圧着とを切り替えて行うことができる。つまり、第1の部品移動部によって移動される第1の部品の種別と、第2の部品移動部によって移動される第2の部品の種別とは異なるため、生産の多様化を図ることができ、その結果、生産性のさらなる向上を図ることができる。
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
(実施の形態)
[部品実装ラインの概略構成]
図1は、本実施の形態における部品実装ラインの概略構成を示す図である。
本実施の形態における部品実装ライン1は、液晶パネル基板や有機EL(Electro-Luminescence)パネル基板などのディスプレイパネル基板である基板3に部品5を実装することによってディスプレイパネルを生産するシステムである。なお、部品5は、例えば駆動回路などの電子部品である。具体的には、部品実装ライン1は、図1に示すように、基板搬入部10と、貼着部20と、仮圧着部30と、本圧着部40と、基板搬出部50とを有する。基板搬入部10、貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、および基板搬出部50は、この順で連結されている。
基板搬入部10は、作業者または上流側の他の装置から搬入される矩形の基板3を受け取る。そして、その基板3は下流側の貼着部20に搬出される。
貼着部20は、基板搬入部10から搬出された基板3を受け取り、その基板3の周縁にある複数の電極部4のそれぞれに接着部材を貼着する。そして、その接着部材が貼着された基板3は仮圧着部30に搬出される。なお、複数の電極部4のそれぞれは、例えば、複数の電極により構成されている。
仮圧着部30は、貼着部20から搬出された基板3を受け取り、その基板3の接着部材が貼着されている部位に部品5を搭載して仮圧着する。そして、その部品5が仮圧着された基板3は本圧着部40に搬出される。
本圧着部40は、仮圧着部30から搬出された基板3を受け取り、その基板3に仮圧着された部品5に対して本圧着(熱圧着ともいう)を行う。そして、その本圧着が行われた基板3は基板搬出部50に搬出される。
基板搬出部50は、本圧着部40から搬出された基板3を受け取る。基板搬出部50に受け取られた基板3は下流側に搬出される。
このように、部品実装ライン1は、搬入された基板3の周縁に設けられた複数の電極部4のそれぞれに部品5を実装する部品実装作業を実行し、部品5が実装された基板3を基板搬出部50から搬出する。
[部品実装ラインの詳細構成]
図2は、本実施の形態における部品実装ライン1の平面図である。具体的には、図2は、部品実装ライン1を上方から見た構成を示す。なお、本実施の形態において、基板の搬送方向をX軸方向と称し、鉛直方向をZ軸方向と称し、X軸方向およびZ軸方向に垂直な方向、すなわち奥行き方向をY軸方向と称す。また、X軸方向の負側および正側は、基板の搬送方向の上流側および下流側にそれぞれ相当し、Z軸方向の負側および正側は、鉛直方向の下側および上側にそれぞれ相当し、Y軸方向の負側および正側は、奥行き方向の手前側および奥側、または、前側および後側にそれぞれ相当する。
基板搬入部10は、搬入される基板3を載置するための基台1aを備える。基板搬入部10の基台1aには、基板3が載置されるステージ11が設けられている。ステージ11は、基台1aに対してZ軸方向に昇降する。また、ステージ11の上面には、複数の吸着孔11aが設けられている。このようなステージ11は、作業者または上流側の他の装置から搬入されてステージ11上に載置された基板3を、図示しないポンプ等の吸引器によって吸着孔11aから真空吸着して保持する。
貼着部20は、基板3の電極部4に接着部材であるACFを貼着する貼着作業(言い換えると、貼着工程)を行う機能を備える。貼着部20は、基板移動機構21と、貼着機構22とを備える。
基板移動機構21は、基板3を移動させる機構である。基板移動機構21は、例えば、X軸方向に可動なX軸テーブルと、Y軸方向に可動なY軸テーブルと、Z軸方向に可動なZ軸テーブルと、ステージ23とを備える。基板移動機構21には、基台1b上に下方から順に、X軸テーブルと、Y軸テーブルと、Z軸テーブルと、ステージ23とが重ねて設けられている。
Y軸テーブルは、Y軸方向に延びて設けられ、X軸テーブル上をX軸方向に自在に移動する。Z軸テーブルは、Y軸テーブル上をY軸方向に自在に移動し、上部に設けられたステージ23をZ軸方向に昇降するとともにZ軸回りに回転させる。
また、ステージ23の上面には、複数の吸着孔23aが設けられており、ステージ23は、その上面に載置された基板3を真空吸着して保持する。このように、基板移動機構21は、基板3を吸着保持して水平面内(具体的には、X軸方向およびY軸方向)で移動させ、上下方向(具体的には、Z軸方向)に昇降させるとともにZ軸回りに回転させる。
貼着機構22は、基台1bの上方に、X軸方向に並んだ例えば2つの貼着ヘッドを備えている。各貼着ヘッドは、ACFを供給する供給部と、ACFを基板3に貼着するための貼着ツールとを備えている。2つの貼着ヘッドのそれぞれは、基板3上の複数の電極部4に対応する位置にACFを貼着する。また、2つの貼着ヘッドのそれぞれに対応する下方の位置には、貼着支持台が備えられている。
仮圧着部30は、基板3のACFが貼着された領域(すなわち圧着対象部位)に部品5を搭載して仮圧着する仮圧着工程を実行する。仮圧着部30は、基板移動機構31と、部品搭載機構32と、部品供給部33と、第1の部品移動部35aと、第2の部品移動部35bとを備える。
基板移動機構31は、貼着部20の基板移動機構21と同様の構造を有する。具体的には、基板移動機構31は、基板3を保持するステージ(基板保持部ともいう)37を有する。ステージ37の上面には、複数の吸着孔37aが設けられている。基板移動機構31は、そのステージ37上に載置された基板3をその複数の吸着孔37aによって真空吸着して保持する。また、基板移動機構31は、基板3を吸着保持するステージ37を水平面内で移動させ、上下方向に昇降させるとともにZ軸回りに回転させる機能を備える。基板移動機構31は、そのステージ37の移動および回転によって、吸着保持されている基板3のACFが貼着された領域を、部品搭載機構32のバックアップステージである下受け部36の上方に位置させる。
部品供給部33は、部品搭載機構32の奥側方(すなわちY軸方向正側)に基台1bの後部から張り出して設けられている。例えば、部品供給部33は、TCP(Tape carrier package)などの帯状部品収納体が巻き付けられた供給リール33aaと、打ち抜き部33bと、可動ステージ33cと、レール33dとを備える。このような部品供給部33は、それらの構成要素の動きによって帯状部品収納体から部品5を順次供給する。
第1の部品移動部35aは、部品供給部33から供給される部品5を保持して、部品搭載機構32に含まれる圧着ツール34側に移動させる。なお、部品供給部33から供給される部品5は、以下、第1の部品とも呼ばれる。
第2の部品移動部35bは、第1の部品移動部35aと異なる部品移動部であって、可動ステージ35bbを有し、その可動ステージ35bbの移動によって、可動ステージ35bbに載置されている部品5を圧着ツール34側に移動させる。つまり、第2の部品移動部35bは、部品供給部33から供給される部品5ではなく、例えば作業者の手作業によって供給される部品5を圧着ツール34側に移動させる。なお、作業者の手作業によって供給される部品5は、以下、第2の部品とも呼ばれる。
部品搭載機構32は、基台1b上に設けられ、圧着ツール34と下受け部36とを備える。
下受け部36は、基板保持部であるステージ37に保持されている基板3における予め定められた部位である圧着対象部位を下方から支持する。なお、この圧着対象部位は、基板3においてACFが貼着されている部位である。
圧着ツール34は、部品5を保持し、基板保持部であるステージ37に保持されている基板3に部品5を圧着する。つまり、圧着ツール34は、下受け部36によって支持されている圧着対象部位に部品5を圧着する。なお、圧着ツール34に保持されて基板3に圧着される部品は、以下、圧着対象部品とも呼ばれる。具体的には、圧着ツール34は、Z軸方向に昇降し、第1の部品移動部35aまたは第2の部品移動部35bによって移動された部品5を上方から吸着(つまり、ピックアップ)する。そして、圧着ツール34は、吸着した部品5をACF上に搭載して基板3ごと下受け部36に押し付けることで、基板3に部品5を仮圧着する。なお、仮圧着部30は、基板移動機構31によって保持されている基板3の方向を90度回転させる機構を備えてもよい。
本圧着部40は、仮圧着部30によって基板3に仮圧着された部品5を基板3に本圧着(つまり、熱圧着)する本圧着工程(つまり、熱圧着工程)を実行する。こうすることで、基板3に形成された電極部4と部品5とはACFを介して電気的に接続される。このような本圧着部40は、基板移動機構41と、圧着機構42とを備える。
基板移動機構41は、貼着部20の基板移動機構21と同様の構造を有する。具体的には、基板移動機構41は、ステージ49を有する。ステージ49の上面には、複数の吸着孔49aが設けられている。基板移動機構41は、そのステージ49上に載置された基板3をその複数の吸着孔49aによって真空吸着して保持する。また、基板移動機構41は、基板3を吸着保持するステージ49を水平面内で移動させ、上下方向に昇降させるとともにZ軸回りに回転させる機能を備える。基板移動機構41は、そのステージ49の移動および回転によって、吸着保持されている基板3の部品5が仮圧着された領域を、圧着機構42の圧着支持部の上方に位置させる。
圧着機構42は、加熱されたヘッドで基板3の部品5を圧着支持部側に押圧する。これにより、部品5は本圧着され、基板3に形成された電極部4と部品5とはACFを介して電気的に接続される。
基板搬出部50は、本圧着部40から搬送された基板3をステージ51上に真空吸着して保持する機能を備える。基板搬出部50において保持された基板3は、下流側の他の装置に搬出されるか、作業者によってステージ51から取り出される。
ステージ51は、基台1cに対してZ軸方向に昇降する。また、ステージ51の上面には、複数の吸着孔51aが設けられており、ステージ51は、本圧着部40から移送された基板3をその上面で真空吸着して保持する。
搬送部60は、基板3を搬送する装置である。具体的には、搬送部60は、基板搬入部10に搬入された基板3を、貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、および、基板搬出部50へこの順に受け渡す(移送する)機能を備える。搬送部60は、貼着部20、仮圧着部30、および本圧着部40の前方領域(すなわちY軸方向負側)に配置されている。
搬送部60は、基台1a、基台1b、および、基台1cにわたってX軸方向に延びた移動ベース61上に、上流側から順に配置されている、基板搬送機構62A、基板搬送機構62B、基板搬送機構62C、および、基板搬送機構62Dを備えている。
基板搬送機構62A~62Dは、それぞれ基部63および1以上のアームユニット64を備える。本実施の形態では、基板搬送機構62A~62Dがそれぞれ2基のアームユニット64を備える場合を例示している。
基部63は、移動ベース61上に設けられ、X軸方向に自在に移動する。基部63上には、2基のアームユニット64がX軸方向に並んで設けられている。アームユニット64は、基板3を上方から真空吸着する。
基板搬送機構62A~62Dのそれぞれは、ステージ11、23、37、49、51が保持する基板3を上方から真空吸着する基板受け渡し位置に移動して、昇降するステージ11、23、37、49、51から基板3の受け取りまたは受け渡しを行う。例えば、基板搬送機構62Aは、基板搬入部10のステージ11に載置された基板3を受け取り、貼着部20のステージ23に受け渡す。また、例えば、基板搬送機構62Bは、貼着部20のステージ23から基板3を受け取り、仮圧着部30のステージ37に受け渡す。また、例えば、基板搬送機構62Cは、仮圧着部30のステージ37から基板3を受け取り、本圧着部40のステージ49に受け渡す。また、例えば、基板搬送機構62Dは、本圧着部40のステージ49から基板3を受け取り、基板搬出部50のステージ51に受け渡す。
図3は、部品実装ライン1に備えらえている、コンピュータと、そのコンピュータによって制御される各構成要素とを示す図である。
部品実装ライン1は、図3に示すようにコンピュータ2を備える。このコンピュータ2は、例えば、貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、および搬送部60などと例えば制御線によって通信可能に接続され、これらの各部を制御する。コンピュータ2は、制御部2aと、記憶部2bとを備える。
記憶部2bは、基板3のサイズ、基板3に実装される部品5の種類、実装位置、実装方向、および、基板3を移送するタイミング等の部品実装作業に必要な各種データと、制御部2aが実行する制御プログラム等とを記憶する。記憶部2bは、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)等により実現される。
制御部2aは、貼着部20の基板移動機構21、仮圧着部30の基板移動機構31、本圧着部40の基板移動機構41、および搬送部60を制御して、基板3を各部間で次の工程へ移送する基板移送作業を実行する。基板移送作業における上流側から下流側への基板3の移送は、各部間で同期して行われる。
例えば、制御部2aは、貼着部20を制御することで、基板移動機構21によって保持される基板3の向きおよび位置を変更し、ヘッド移動モータによって複数の貼着ヘッドの間隔を変更し、貼着機構22によって基板3にACFを貼着する貼着作業を貼着部20に実行させる。
また、例えば、制御部2aは、仮圧着部30を制御することで、基板移動機構31によって保持される基板3の向きおよび位置を変更し、部品5の基板3への仮圧着を部品搭載機構32に実行させる。また、制御部2aは、第1の部品移動部35aおよび第2の部品移動部35bを制御することによって、基板3に仮圧着される部品5を部品搭載機構32側に移動させる。
また、例えば、制御部2aは、本圧着部40を制御することで、基板移動機構41によって保持する基板3の向きおよび位置を変更し、基板3に仮圧着された部品5を圧着機構42に本圧着させる。
このような制御部2aは、例えば、部品実装ライン1が有する各部および各機構を制御するための、記憶部2bに記憶されている制御プログラムと、その制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサとにより実現される。
[部品圧着装置の構成]
図4は、本実施の形態における部品圧着装置100の機能構成を示すブロック図である。
部品圧着装置100は、部品実装ライン1における仮圧着部30と、コンピュータ2の制御部2aとからなる。
具体的には、部品圧着装置100は、制御部2aと、部品供給部33と、第1の部品移動部35aと、第2の部品移動部35bと、圧着ツール34と、下受け部36と、ステージである基板保持部37と、モード受付部38と、第1のカメラ39aおよび第2のカメラ39bとを備える。
第1のカメラ39aは、第1の部品移動部35aによって移動される部品5の移動経路上に配置され、その第1の部品移動部35aによって保持されているその部品5を撮影する。なお、第1のカメラ39aは、第1の撮影部であって、その部品5は、上述の第1の部品である。
第2のカメラ39bは、圧着ツール34に保持されている部品5を撮影する。なお、第2のカメラ39bは、第2の撮影部であって、その部品5は、上述の圧着対象部品である。具体的には、第2のカメラ39bは、圧着ツール34に保持されている部品5を下側(すなわちZ軸方向負側)から撮影する。制御部2aは、このように撮影された部品5の画像に基づいて、その部品5が不良品か否かを判定する。
モード受付部38は、例えば作業者による操作によってモードを受け付け、その受け付けられたモードを制御部2aに通知する。このモードは、圧着ツール34への部品5の受け渡しのモードである。このモードには、第1のモードと第2のモードとがある。
制御部2aは、モード受付部38からの通知に応じて、その圧着ツール34への部品5(すなわち圧着対象部品)の受け渡しのモードを第1のモードと第2のモードとに切り替える。第1のモードは、オートモードに相当し、第2のモードは、マニュアルモードに相当する。
つまり、制御部2aは、モードをオートモードに切り替える場合には、第1の部品移動部35aによって移動された部品5(すなわち、第1の部品)を圧着対象部品として、圧着ツール34に保持させて基板3の圧着対象部位に圧着させる。一方、制御部2aは、モードをマニュアルモードに切り替える場合には、第2の部品移動部35bによって移動された部品5を、圧着ツール34に保持させて基板3の圧着対象部位に圧着させる。
また、実施の形態における制御部2aは、第1のカメラ39aおよび第1の部品移動部35aを用いて、部品5の位置調整を行う。つまり、制御部2aは、第1のカメラ39aの撮影結果に基づいて、第1の部品移動部35aをX軸方向およびY軸方向に移動させて、第1の部品移動部35aに保持されている部品5の位置を調整する。
このような位置調整は、オートモードにおいて部品供給部33から供給される部品5である第1の部品に対しても行われ、マニュアルモードにおいて作業者の手作業によって供給される部品5である第2の部品に対しても行われる。
マニュアルモードでは、制御部2aは、圧着ツール34に保持されている部品5が第2のカメラ39bによって撮影されると、その撮影結果に応じて、その部品5に位置ずれがあるか否かを判定する。そして、制御部2aは、位置ずれがあると判定すると、その部品5の位置調整を第1のカメラ39aおよび第1の部品移動部35aを用いて行う。このような位置調整の詳細については、後述する。
図5は、部品供給部33の供給リール33aaを示す図である。
部品供給部33は、図5の(a)に示すように、TCPである帯状部品収納体200が巻き付けられている供給リール33aaを有する。
供給リール33aaに巻き付けられている帯状部品収納体200は、図5の(b)に示すように、帯状樹脂シート201と、その帯状樹脂シート201の長手方向に沿って予め定められたピッチで連続的に配設された部品5とを有する。例えば、部品5は、帯状樹脂シート201の一部分のシートの少なくとも片面に形成される配線パターンと、その配線パターンに実装されるICチップとからなるCOF(Chip On Film)である。
打ち抜き部33bは、供給リール33aaから引き出される帯状部品収納体200の先頭側から順に、その帯状部品収納体200に配設されている部品5を打ち抜く。
図6は、部品供給部33から第1の部品移動部35aを介して圧着ツール34に部品5が受け渡される工程を示す図である。
部品供給部33では、供給リール33aaから帯状部品収納体200が引き出され、その帯状部品収納体200の帯状樹脂シート201からカバーシート201aが剥がされる。カバーシート201aは、回収リール33abに巻き取られ、帯状部品収納体200のうちのカバーシート201aを除く本体部分201bは、打ち抜き部33bに挿入される。打ち抜き部33bは、その本体部分201bから部品5を打ち抜く。部品5が打ち抜かれた状態の本体部分201bは、使用済みテープ201cとして巻き取りリール33acに巻き取られる。
帯状部品収納体200の本体部分201bから打ち抜かれた部品5、すなわち個片状態のTCPは、可動ステージ33cに載置される。部品5が載置された可動ステージ33cは、レール33dに沿って受け渡し位置P1まで移動する。なお、レール33dは、部品供給部33においてX軸方向に沿って配設されている。
部品供給部33は、上述の各構成要素の動きによって、TCPに含まれる複数の部品5のそれぞれを上述の第1の部品として第1の部品移動部35aに順次供給する。
第1の部品移動部35aは、レール35aaと、そのレール35aaに沿って移動する移載ヘッド35abと、移載ステージ35acとを有する。
移載ヘッド35abは、受け渡し位置P1に到達した可動ステージ33cに載置されている部品5を吸着して保持し、レール35aaに沿って受け渡し位置P2まで移動する。そして、移載ヘッド35abは、受け渡し位置P2に配置されている移載ステージ35acに部品5を載置する。
移載ステージ35acは、載置された部品5を保持した状態で受け渡し位置P3まで移動する。つまり、移載ステージ35acは、鉛直方向(すなわちZ軸方向)に互いに対向して配置される圧着ツール34と下受け部36との間の空間に進入する。
圧着ツール34は、受け渡し位置P3にある移載ステージ35acに載置されている部品5を吸着して保持する。
第1のカメラ39aは、移載ステージ35acに載置されている部品5を鉛直上側(すなわちZ軸方向正側)から撮影する。なお、第1のカメラ39aは、受け渡し位置P2の上側にあってもよく、受け渡し位置P2と受け渡し位置P3との間の位置であれば、すなわち第1の部品の移動経路上であれば、どのような位置にあってもよい。なお、図6に示す例では、移動経路は、Y軸方向に沿うように構成されている。
移載ステージ35acは、制御部2aによって上述の位置調整が行われるときには、X軸方向およびY軸方向に移動する。つまり、移載ステージ35acは、第1のカメラ39aによる撮影結果に基づいて、X軸方向およびY軸方向に移動する。これにより、移載ステージ35acのXY平面における位置が調整される。すなわち、移載ステージ35acに載置または保持されている部品5のXY平面における位置が調整される。したがって、その移載ステージ35acに載置されているその部品5が圧着ツール34に保持されたときには、その部品5の位置ずれを許容範囲に収めることができる。部品5の位置ずれは、部品5の位置と基準位置との間のXY平面における距離であって、その基準位置は例えば圧着ツール34の位置であってもよい。これにより、部品5を基板3の圧着対象部位に適切に仮圧着することができる。
このように、第1の部品移動部35aは、部品供給部33から供給される部品5を移動させて圧着ツール34に受け渡す。つまり、部品5の受け渡しのモードがオートモードである場合には、上述のように部品5が第1の部品移動部35aから圧着ツール34に受け渡される。また、第1の部品移動部35aから圧着ツール34に受け渡されて保持されている部品5は、下受け部36を介してカメラ39によって撮影される。そして、その撮影によって得られた画像からその部品5が不良品でないと制御部2aによって判定されると、基板3を保持している基板保持部37が移動する。この基板保持部37の移動によって、基板3の圧着対象部位が下方から下受け部36に支持される。そして、その基板3の圧着対象部位に部品5が仮圧着される。
図7は、第2の部品移動部35bから圧着ツール34に部品5が受け渡される工程を示す図である。なお、図7の(a)は、部品5が載置されている第2の部品移動部35bの可動ステージ35bbを上方(すなわちZ軸方向正側)から見た状態を示し、図7の(b)は、仮圧着部30を手前側(すなわちY軸方向負側)から見た状態を示す。
第2の部品移動部35bは、軸駆動部35baと、可動軸35bcと、可動ステージ35bbとを備える。
軸駆動部35baは、可動軸35bcをX軸方向に往復運動させる。可動ステージ35bbは、可動軸35bcの先端に取り付けられ、部品5が載置されるように構成されている。
軸駆動部35baは、可動ステージ35bbが受け渡し位置P4に配置されるように可動軸35bcを軸駆動部35ba内に引き込む。このとき、作業者は、この可動ステージ35bbに部品5を上述の第2の部品として載置する。この部品5は、例えば、オートモードの実行前に部品供給部33の打ち抜き部33bによってTCPから打ち抜かれて、仮圧着部30から取り出されて確認された部品5であって、確認済の個片状態になったTCPである。つまり、可動ステージ35bbには、圧着ツール34に受け渡される部品5であって、TCPから取り出された部品5が上述の第2の部品として作業者によって載置される。
そして、軸駆動部35baは、可動軸35bcをX軸方向に引き出すことによって可動ステージ35bbを受け渡し位置P3まで移動させる。つまり、可動ステージ35bbは、互いに対向して配置される圧着ツール34と下受け部36との間の空間に進入する。
圧着ツール34は、受け渡し位置P3にある可動ステージ35bbに載置されている部品5を吸着して保持する。
このように、第2の部品移動部35bは、作業者から供給される部品5を移動させて圧着ツール34に受け渡す。つまり、部品5の受け渡しのモードがマニュアルモードである場合には、上述のように部品5が第2の部品移動部35bから圧着ツール34に受け渡される。
ここで、第2の部品移動部35bから圧着ツール34に受け渡されて保持されている部品5は、図7では示されていないが、下受け部36を介して第2のカメラ39bによって撮影される。
制御部2aは、その撮影によって得られた画像に基づいて、その部品5の位置ずれが許容範囲にないと判定すると、その部品5の第1の部品移動部35aへの受け渡しを、圧着ツール34に実行させる。そして、制御部2aは、第1の部品移動部35aと第1のカメラ39aとを用いた部品5の位置調整を実行する。
さらに、制御部2aは、その撮影によって得られた画像に基づいて、その部品5の位置ずれが許容範囲にあると判定すると、その画像からその部品5が不良品であるか否かを判定する。制御部2aは、その部品5が不良品でないと判定すると、基板3を保持している基板保持部37を移動させる。この基板保持部37の移動によって、基板3の圧着対象部位が下方から下受け部36に支持される。そして、その基板3の圧着対象部位に部品5が仮圧着される。
[モード]
図8は、モード受付部38の具体例を示す図である。
モード受付部38は、例えば図8に示すように、タッチパネルまたはタッチスクリーンとして構成されている。具体的には、モード受付部38は、「部品の受け渡しのモードを選択してください」というメッセージと共に、アイコン38aとアイコン38bとを表示する。アイコン38aには、「オートモード」の文字が記載され、アイコン38bには、「マニュアルモード」の文字が記載されている。
モード受付部38は、アイコン38aが作業者の指で触れられると、そのアイコン38aへの指の接触を検知し、オートモードを受け付ける。そして、モード受付部38は、そのオートモードが受け付けられたことを制御部2aに通知する。
また、モード受付部38は、アイコン38bが作業者の指で触れられると、そのアイコン38bへの指の接触を検知し、マニュアルモードを受け付ける。そして、モード受付部38は、そのマニュアルモードが受け付けられたことを制御部2aに通知する。
図9は、オートモードおよびマニュアルモードによる部品5の受け渡しを説明するための図である。
第1のモードであるオートモードでは、第1の部品移動部35aは、部品供給部33から供給された部品5が載置されている移載ステージ35acをY軸方向負側に移動させる。このとき、部品5の位置調整が行われる。つまり、第1の部品移動部35aの移載ステージ35acは、図6に示す第1のカメラ39aの撮影結果に基づいてX軸方向にも移動しながら、Y軸方向負側に移動する。そして、移載ステージ35acは、圧着ツール34と下受け部36との間の空間に進入する。圧着ツール34は、移載ステージ35acがその空間に進入すると、その移載ステージ35acに載置されている部品5を吸着する。
第2のモードであるマニュアルモードでは、第2の部品移動部35bは、作業者の手作業によって部品5が載置されている可動ステージ35bbをX軸方向正側に移動させる。そして、可動ステージ35bbは、圧着ツール34と下受け部36との間の空間に進入する。圧着ツール34は、可動ステージ35bbがその空間に進入すると、その可動ステージ35bbに載置されている部品5を吸着する。
そして、その圧着ツール34に吸着されて保持されている部品5の位置ずれが許容範囲にない場合には、その部品5は、圧着ツール34によって第1の部品移動部35aの移載ステージ35acに受け渡される。そして、オートモードと同様に、その部品5の位置調整が行われ、その移載ステージ35acに載置されている位置調整後の部品5が再び圧着ツール34に吸着される。
部品5を吸着した圧着ツール34は、基板3の下受け部36に支えられている圧着対象部位に、その部品5を搭載して仮圧着する。なお、この圧着対象部位には、上述の貼着部20によってACF6が貼着されている。
このように本実施の形態では、第1の部品移動部35aによって移動される部品5の移動方向と、第2の部品移動部35bによって移動される部品の移動方向とは交差する。
[マニュアルモード]
図10Aは、第2の部品移動部35bから圧着ツール34に部品5が受け渡される工程を時系列に沿って示す図である。なお、図10Aは、仮圧着部30を奥側(すなわちY軸方向正側)から見た状態を示す。
まず、第2の部品移動部35bは、図10Aの(a)に示すように、可動軸35bcが軸駆動部35baの内部に収められた状態にある。このとき、可動軸35bcの先端に取り付けられている可動ステージ35bbは、上述の受け渡し位置P4である原点位置にあって、その可動ステージ35bbには部品5が載置される。
次に、第2の部品移動部35bは、図10Aの(b)に示すように、軸駆動部35baから可動軸35bcを引き出させ、可動ステージ35bbをX軸方向正側に移動させる。これにより、部品5が載置されている可動ステージ35bbは、圧着ツール34と下受け部36との間の空間に進入する。つまり、可動ステージ35bbは、上述の受け渡し位置P3に到達する。このとき、可動ステージ35bbに載置されている部品5は、圧着ツール34とZ軸方向に対向する。
次に、圧着ツール34は、図10Aの(c)に示すように、Z軸方向に沿って降下し、可動ステージ35bbに載置されている部品5と接触する。
次に、圧着ツール34は、図10Aの(d)に示すように、その部品5を吸着して保持しながらZ軸方向に沿って上昇する。
そして、第2の部品移動部35bは、図10Aの(e)に示すように、可動軸35bcを軸駆動部35baの内部に引き込ませ、可動ステージ35bbをX軸方向負側に移動させる。その結果、可動ステージ35bbは、圧着ツール34と下受け部36との間の空間から退避し、上述の原点位置に戻る。
図10Bは、第2の部品移動部35bから圧着ツール34に部品5が受け渡される工程を示すフローチャートである。
まず、作業者は、仮圧着部30のフロントカバーを開き、第2の部品移動部35bの原点位置にある可動ステージ35bbに部品5を載置する(ステップS11)。これにより、可動ステージ35bbは、図10Aの(a)に示す状態になる。その後、作業者は、そのフロントカバーを閉じて、マニュアルモードでの仮圧着の開始を指示する(ステップS12)。この仮圧着の開始の指示は、例えば、仮圧着部30に設けられているスイッチを作業者が押下することによって行われてもよく、作業者によるコンピュータ2の操作によって行われてもよい。
仮圧着の開始の指示が行われると、可動ステージ35bbは、図10Aの(b)に示すように、原点位置から圧着ツール吸着位置まで移動する(ステップS13)。この圧着ツール吸着位置は、上述の受け渡し位置P3である。
可動ステージ35bbが圧着ツール吸着位置に到達すると、圧着ツール34は、図10Aの(c)に示すように、下降して、可動ステージ35bbに載置されている部品5を吸着する(ステップS14)。
その後、圧着ツール34は、図10Aの(d)に示すように、部品5を吸着して保持しながら上昇する(ステップS15)。
次に、可動ステージ35bbは、図10Aの(e)に示すように、原点位置に戻る(ステップS16)。
そして、第2のカメラ39bは、圧着ツール34に保持されている部品5を撮影する。制御部2aは、その撮影によって得られた画像に基づいて、部品5の位置と状態とを確認する(ステップS17)。部品5の位置の確認は、部品5の位置ずれが許容範囲にあることの確認である。例えば、部品5の位置ずれは、部品5に付与されているアライメントマークの位置に基づいて行われてもよい。部品5の状態の確認は、部品5が不良品ではないことの確認である。
そして、アライメントマークが第2のカメラ39bによって認識された後、すなわち、部品5の位置ずれが許容範囲にあって、かつ、部品5が不良品でないことが確認された後、圧着ツール34は、下降して、その部品5を基板3に仮圧着する(ステップS18)。
次に、制御部2aは、マニュアルモードでの仮圧着の終了条件が満たされたか否かを判定する(ステップS19)。例えば、終了条件は、マニュアルモードで仮圧着された部品5の数が規定数に達したという条件であってもよく、作業者による終了の指示が受け付けられたという条件であってもよい。ここで、終了条件が満たされていないと判定されると(ステップS19のNo)、ステップS11からの工程が繰り返し実行される。一方、終了条件が満たされたと判定されると(ステップS19のYes)、マニュアルモードでの仮圧着は終了する。
このように、本実施の形態では、オートモードである第1のモードと、マニュアルモードである第2のモードとが切り替えられる。したがって、例えば、打ち抜き確認のために部品圧着装置100の部品供給部33から取り出された個片状態のTCPなどの部品5であっても、マニュアルモードで圧着ツール34に保持させて、その部品5を基板3に圧着することができる。これにより、液晶パネルなどの製品(すなわちディスプレイパネル)の生産性の向上を図ることができ、無駄なく部品5を使用できる。また、その取り出された個片状態のTCPなどの部品5を、部品圧着装置100以外の他の設備で基板3に圧着しなくてもよいため、製品の品質の安定性を向上することができる。
また、本実施の形態では、第2の部品移動部35bの可動ステージ35bbは、圧着ツール34と下受け部36との間の空間に進入する。したがって、圧着ツール34は、水平方向(すなわちX軸方向およびY軸方向)に移動することなく、その可動ステージ35bbに載置されている部品5を吸着して保持することできる。また、第1の部品移動部35aも、第2の部品移動部35bと同様に、部品5が載置される移載ステージ35acを有し、その移載ステージ35acを上述の空間に進入させる。したがって、圧着ツール34は、第1のモードでも第2のモードでも、水平方向に移動することなく同じ動作を行うことによって、部品5を吸着して保持することができる。したがって、圧着ツール34の動きを簡単にすることができる。
また、本実施の形態では、第1の部品移動部35aによって移動される部品5の移動方向と、第2の部品移動部35bによって移動される部品5の移動方向とは交差する。したがって、部品圧着装置100における第1の部品移動部35aおよび第2の部品移動部35bのそれぞれの配置の自由度を高めることができ、部品圧着装置100の設計を容易にすることができる。また、第2の部品移動部35bの可動ステージ35bbに部品5を載置し易くすることができる。
さらに、本実施の形態では、部品供給部33は、TCPに含まれる複数の部品のそれぞれを第1の部品移動部35aに順次供給し、可動ステージ35bbには、圧着ツール34に受け渡される部品5として、TCPから取り出された部品5が作業者によって載置される。したがって、TCPから順次供給される部品5のオートモードでの圧着と、確認のために部品圧着装置100から取り出された個片状態のTCPである部品5のマニュアルモードでの圧着とを切り替えて行うことができる。
[マニュアルモードでの位置調整]
マニュアルモードでは、第2の部品移動部35bの可動ステージ35bbによって部品5が移動されて圧着ツール34に吸着される。
しかし、このマニュアルモードでは、部品5は、作業者の手によって可動ステージ35bbに載置されるため、その部品5が載置される位置にばらつきが生じやすい。その結果、可動ステージ35bbから圧着ツール34に受け渡されて吸着されたその部品5の位置ずれが許容範囲に収まらない可能性は、比較的高い。つまり、制御部2aは、第2のカメラ39bによる部品5の撮影によって得られた画像に、部品5のアライメントマークが映し出されていないため、その部品5の圧着が不可能であると判定する可能性が高い。
そこで、制御部2aは、可動ステージ35bbから圧着ツール34に受け渡されて吸着された部品5の位置ずれが許容範囲にない場合には、第1の部品移動部35aへの部品5の受け渡しを圧着ツール34に実行させる。そして、制御部2aは、オートモードと同様に、第1の部品移動部35aと第1のカメラ39aとを用いた部品5の位置調整を実行する。
図11は、マニュアルモードでの位置調整を説明するための図である。
マニュアルモードでは、第2の部品移動部35bの可動ステージ34bbに載置されている部品5は、図11に示すように、圧着ツール34に吸着される。ここで、第2のカメラ39bは、その圧着ツール34に吸着されている部品5を、Z軸方向負側から撮影する。制御部2aは、第2のカメラ39bによる撮影によって得られた画像に映し出されている部品5の位置ずれが許容範囲にあるか否かを判定する。例えば、制御部2aは、画像に映し出されている部品5のアライメントマークが、その画像における予め定められた判定領域内にある場合には、その位置ずれが許容範囲にあると判定する。一方、制御部2aは、アライメントマークが判定領域外にある場合には、その位置ずれが許容範囲にないと判定する。したがって、制御部2aは、部品5のアライメントマークが映し出されていない場合には、位置ずれが許容範囲にないと判定する。
制御部2aは、その部品5の位置ずれが許容範囲にないと判定した場合には、第1の部品移動部35aへの部品5の受け渡しを圧着ツール34に実行させる。具体的には、制御部2aは、部品5を吸着している圧着ツール34が第1の部品移動部35aの移載ステージ35acにその部品5を載置するように、圧着ツール34を制御する。制御部2aは、移載ステージ35acに部品5が載置されると、その移載ステージ35acが第1のカメラ39aの画角に収まるように、移載ステージ35acを移動させる。
次に、制御部2aは、第1のカメラ39aと第1の部品移動部35aとを制御することによって、移載ステージ35acに載置されている部品5の位置調整を行う。つまり、移載ステージ35acは、第1のカメラ39aによる撮影結果に基づいて、上述の位置ずれが低減されるように、X軸方向およびY軸方向に移動する。
そして、制御部2aは、部品5の位置調整が行われた後には、第1の部品移動部35aから圧着ツール34への部品5の受け渡しを、その圧着ツール34に実行させる。その結果、圧着ツール34は、再び部品5を吸着して保持する。制御部2aは、その部品5を第2のカメラ39bに撮影させ、その撮影によって得られた画像に映し出されている部品5の位置ずれが許容範囲にあれば、圧着ツール34に部品5の圧着を実行させる。
制御部2aは、圧着ツール34に部品5の圧着を実行させるときには、圧着ツール34をZ軸回りに回転させて、圧着ツール34に吸着されているその部品5のZ軸回りの角度を調整してもよい。
図12は、マニュアルモードでの位置調整のために、部品5が圧着ツール34から第1の部品移動部35aへ受け渡される状態を示す図である。
部品5が圧着ツール34から第1の部品移動部35aに受け渡されるときには、図12に示すように、制御部2aは、第1の部品移動部35aの移載ステージ35acを、受け渡し位置P3まで移動させる。そして、制御部2aは、部品5を吸着している圧着ツール34を降下させる。圧着ツール34は、制御部2aによる制御に基づいて、受け渡し位置P3にある移載ステージ35acにその部品5を載置する。
制御部2aは、部品5が載置された移載ステージ35acを受け渡し位置P2に移動させて、その部品5を第1のカメラ39aに撮影させる。制御部2aは、その撮影によって得られる画像に基づいて、部品5の位置ずれが低減するように、移載ステージ35acをX軸方向およびY軸方向に移動させる。例えば、制御部2aは、その撮影によって得られる画像の予め定められた領域に、部品5のアライメントマークが映し出されるように、移載ステージ35acをX軸方向およびY軸方向に移動させる。これにより、部品5の位置調整が行われる。
部品5の位置調整が行われた後には、オートモードと同様、制御部2aは、第1の部品移動部35aを制御することによって、部品5が載置されている移載ステージ35acを受け渡し位置P3に移動させる。そして、制御部2aは、圧着ツール34を降下させて、その移載ステージ35acに載置されている部品5を圧着ツール34に吸着させる。このとき、圧着ツール34に吸着されている部品5の位置は、位置調整の前に吸着されていた部品5の位置から、位置調整によって移動されたX軸方向の距離およびY軸方向の距離だけ離れている。また、圧着ツール34によって部品5が吸着されると、移載ステージ35acは受け渡し位置P2に戻る。
位置調整が行われた後に、圧着ツール34に吸着されている部品5が、第2のカメラ39bで撮影されたときには、その撮影によって得られる画像では、部品5の位置ずれは許容範囲にある。したがって、制御部2aは、その部品5の圧着を圧着ツール34に実行させる。
このように、本実施の形態では、制御部2aは、モードをマニュアルモードに切り替える場合には、第2の部品移動部35bによって移動された部品5の第1の部品移動部への受け渡しを、圧着ツール34に実行させる。なお、その部品5は、上述の第2の部品である。次に、制御部2aは、第1の部品移動部35aに受け渡されて保持されている部品5を第1のカメラ39aに撮影させる。さらに、制御部2aは、第1のカメラ39aによる撮影結果に基づいて、第1の部品移動部35aに保持されている部品5の位置調整を行う。そして、制御部2aは、第1の部品移動部35aに保持されている位置調整が行われた部品5を圧着対象部品として、圧着ツール34に保持させて基板3に圧着させる。
これにより、マニュアルモードにおいて、圧着ツール34に保持される部品5に許容範囲外の位置ずれが生じても、第1の部品移動部35aおよび第1のカメラ39aによってその部品5の位置調整が行われる。したがって、作業者が第2の部品移動部35bの可動ステージ35bbに部品5を手で載置するときに、部品5の位置合わせを正確に行わなくても、その部品5を基板3に圧着することができる。言い換えれば、マニュアルモードでの部品5の位置ずれによってその部品5の圧着が不可能として扱われる頻度を抑えることができる。
さらに、第2の部品移動部35bにその位置調整の機能を持たせる必要がなく、部品圧着装置100の構成を簡単にすることができる。
また、本実施の形態では、制御部2aは、モードをマニュアルモードに切り替える場合には、第2の部品移動部35bによって移動された部品5を圧着ツール34に保持させる。さらに、制御部2aは、その圧着ツール34に保持されている部品5を圧着対象部品として第2のカメラ39bに撮影させ、その第2のカメラ39bによる撮影結果に基づいて、部品5の位置ずれが許容範囲にあるか否かを判定する。そして圧着ツール34による部品5の第1の部品移動部35aへの受け渡しは、部品5の位置ずれが許容範囲にないと判定された場合に実行される。つまり、制御部2aは、部品5の位置ずれが許容範囲にある場合には、部品5の第1の部品移動部35aへの受け渡しの代わりに、部品5の基板3への圧着を圧着ツール34に実行させる。
これにより、部品5の位置ずれが許容されない場合に、部品5の第1の部品移動部35aへの受け渡しが行われ、部品5の位置ずれが許容される場合には、部品5の基板3への圧着が行われる。したがって、部品5の位置ずれが許容される場合にまで、部品5を第1の部品移動部35aに渡して位置調整を行う手間を省くことができ、部品5の圧着にかかる作業時間を短くすることができる。
[廃棄]
ここで、圧着ツール34に吸着されている部品5が不良品である場合には、部品圧着装置100は、その部品5を廃棄してもよい。このとき、廃棄のために、第2の部品移動部35bは、その部品5を圧着ツール34から受け取ってもよい。
図13は、圧着ツール34から第2の部品移動部35bに不良品の部品5が受け渡される工程を時系列に沿って示す図である。なお、図13は、仮圧着部30を奥側(すなわちY軸方向正側)から見た状態を示す。
まず、圧着ツール34は、図13の(a)に示すように、部品5を吸着して保持している。また、第2の部品移動部35bは、可動軸35bcが軸駆動部35baの内部に収められた状態にある。つまり、可動ステージ35bbは原点位置にある。このとき、第2のカメラ39bは、下受け部36を介して、その圧着ツール34に保持されている部品5を撮影する。制御部2aは、その撮影によって得られる部品5の画像に基づいて、その部品5が不良品であるか否かを判定する。例えば、部品5のサイズが規定のサイズと異なる場合に、制御部2aは、その部品が不良品であると判定する。ここでは、制御部2aは、その部品5が不良品であると判定する。
部品5が不良品であると判定すると、制御部2aは、部品5を廃棄するために第2の部品移動部35bを制御する。第2の部品移動部35bは、制御部2aによる制御によって、図13の(b)に示すように、軸駆動部35baから可動軸35bcを引き出させ、可動ステージ35bbをX軸方向正側に移動させる。これにより、可動ステージ35bbは、圧着ツール34と下受け部36との間の空間に進入する。このとき、圧着ツール34に保持されている部品5は、可動ステージ35bbとZ軸方向に対向する。
次に、圧着ツール34は、図13の(c)に示すように、Z軸方向に沿って降下する。その結果、圧着ツール34に保持されている部品5は、可動ステージ35bbと接触する。
次に、圧着ツール34は、図13の(d)に示すように、その部品5の吸着を停止することによって部品5を解放し、Z軸方向に沿って上昇する。これにより、部品5は、可動ステージ35bbに載置される。
そして、第2の部品移動部35bは、図13の(e)に示すように、可動軸35bcを軸駆動部35baの内部に引き込ませ、可動ステージ35bbをX軸方向負側に移動させる。その結果、可動ステージ35bbは、圧着ツール34と下受け部36との間の空間から退避し、上述の原点位置に戻る。したがって、可動ステージ35bbに載置されている部品5も、可動ステージ35bbと共に移動し、その空間から退避して、原点位置に到達する。作業者は、この原点位置にある可動ステージ35bbに載置されている部品5を仮圧着部30の外に取り出す。
このように、本実施の形態では、制御部2aは、第2のカメラ39bによる撮影結果に基づいて、圧着対象部品、すなわち圧着ツール34に保持されている部品5の基板3への圧着を回避するか否かを判定する。つまり、部品5が不良品であるか否かが判定される。回避すると判定した場合には、制御部2aは、互いに対向して配置される圧着ツール34と下受け部36との間の空間に、可動ステージ35bbを進入させ、圧着ツール34に保持されている部品5を可動ステージ35bbに受け取らせる。一方、回避しないと判定した場合には、制御部2aは、圧着ツール34に保持されている部品5の基板3への圧着を、圧着ツール34に実行させる。
これにより、圧着ツール34に保持されている部品5が不良品である場合には、その部品5が可動ステージ35bbに受け取られるため、不良品の部品5を効率的に回収することができる。その結果、生産性のさらなる向上を図ることができる。
[部品圧着装置の処理フロー]
図14は、本実施の形態における部品圧着装置100の全体的な処理工程を示すフローチャートである。
部品圧着装置100の基板保持部37は、まず、貼着部20から搬送されて載置された基板3を保持する(ステップS101)。
次に、制御部2aは、基板移動機構31を制御することによって、その基板保持部37に保持されている基板3の圧着対象部位を下方から下受け部36に支持させる(ステップS102)。
次に、制御部2aは、モード受付部38によって受け付けられた作業者の操作にしたがってモードを切り替え(ステップS103)、そのモードが第1のモードであるか第2のモードであるかを判定する(ステップS104)。第1のモードは、上述のオートモードであり、第2のモードは、上述のマニュアルモードである。
ここで、制御部2aによって第1のモードであると判定されると(ステップS104の「第1のモード」)、第1の部品移動部35aは、部品供給部33から供給される部品5を移載ステージ35ac上に載置する(ステップS105)。そして、制御部2aは、位置調整受け渡し処理を行う(ステップS120)。この位置調整受け渡し処理は、第1の部品移動部35aと第1のカメラ39aとを用いた部品5の位置調整と、部品5の圧着ツール34への受け渡しとを含む。
一方、制御部2aによって第2のモードであると判定されると(ステップS104の「第2のモード」)、第2の部品移動部35bは、例えば作業者によって可動ステージ35bbに載置された部品5を移動させて、圧着ツール34に受け渡す(ステップS106)。
圧着ツール34は、ステップS120またはステップS106において受け渡された部品5を吸着して保持する。第2のカメラ39bは、圧着ツール34に保持されている部品5を撮影する(ステップS107)。そして、制御部2aは、その撮影によって得られた画像に基づいて、その部品5の位置ずれが許容範囲にあるか否かを判定する(ステップS108)。
ここで、部品5の位置ずれが許容範囲にないと判定すると(ステップS108のNo)、制御部2aは、第1の部品移動部35aの移載ステージ35acを、圧着ツール34と下受け部36との間に進入させる(ステップS109)。つまり、制御部2aは、図12に示す受け渡し位置P3まで移載ステージ35acを移動させる。そして、制御部2aは、圧着ツール34に保持されている部品5をその移載ステージ35acに受け取らせる(ステップS110)。これにより、移載ステージ35acに部品5が載置される。部品5が移載ステージ35acに載置されると、制御部2aは、第1の部品移動部35aを制御することによって、その移載ステージ35acを、図12に示す受け渡し位置P2に移動させて、ステップS120からの処理を実行させる。このステップS120の処理によって、その後に圧着ツール34に吸着される部品5の位置ずれを許容範囲に収めることができる。
一方、制御部2aは、部品5の位置ずれが許容範囲にあるとステップS108で判定すると(ステップS108のYes)、直前のステップS107の撮影によって得られた画像に基づいて、その部品5の圧着を回避すべきか否かを判定する(ステップS111)。すなわち、制御部2aは、その部品5が不良品であるか否かを判定する。
ここで、回避すべきと判定すると(ステップS111のYes)、すなわち部品5が不良品であると判定すると、制御部2aは、その圧着を回避するための処理を第2の部品移動部35bに実行させる。つまり、制御部2aは、部品5の廃棄処理を実行する(ステップS130)。一方、制御部2aは、部品5の圧着を回避すべきでないと判定すると(ステップS111のNo)、部品5の圧着を圧着ツール34に実行させる。つまり、圧着ツール34は、制御部2aによる制御に応じて、基板3の圧着対象部位に部品5を圧着する(ステップS112)。このとき、制御部2aは、圧着ツール34をZ軸回りに回転させて、部品5の角度を調整した後に、その部品5の基板3への圧着をその圧着ツール34に実行させてもよい。
図15は、位置調整受け渡し処理の詳細を示すフローチャートである。つまり、図15は、図14のステップS120の処理を詳細に示す。
位置調整受け渡し処理では、制御部2aは、まず、部品5の位置調整を行う。すなわち、制御部2aは、第1の部品移動部35aの移載ステージ35acに載置されている部品5を第1のカメラ39aに撮影させ、その撮影によって得られた画像から部品5を認識する(ステップS121)。
次に、制御部2aは、部品5の位置ずれが許容範囲にあるか否かを判定する(ステップS122)。ここで、制御部2aは、位置ずれが許容範囲にないと判定すると(ステップS122のNo)、第1の部品移動部35aを制御することによって、位置ずれが許容範囲に収まるように、移載ステージ35acをX軸方向およびY軸方向に移動させる(ステップS123)。これにより、部品5の位置が調整される。
そして、制御部2aは、第1の部品移動部35aの移載ステージ35acを、図12に示す受け渡し位置P3に移動させて、移載ステージ35acに載置されている部品5を圧着ツール34に吸着させる。つまり、第1の部品移動部35aは、移載ステージ35ac上の部品5を移動させて、圧着ツール34に受け渡す(ステップS124)。
図16は、廃棄処理の詳細を示すフローチャートである。つまり、図16は、図14のステップS130の処理を詳細に示す。
第2の部品移動部35bは、制御部2aによる制御に基づいて、可動ステージ35bbを圧着ツール34と下受け部36との間の空間に進入させる(ステップS131)。
そして、その空間に進入した可動ステージ35bbは、圧着ツール34に保持されている部品5をその圧着ツール34から受け取る(ステップS132)。
(変形例)
本実施の形態では、仮圧着部30の部品供給部33は、TCPなどの帯状部品収納体200から部品5を打ち抜いて供給するが、トレイに載置されている部品5を供給してもよい。
図17は、本変形例に係る部品実装ライン1の平面図である。具体的には、図17は、部品実装ライン1を上方から見た構成を示す。
本変形例に係る部品実装ライン1は、上記実施の形態と同様、基板搬入部10、貼着部20、本圧着部40、基板搬出部50、および搬送部60を備え、さらに、仮圧着部30の代わりに仮圧着部30Aを備える。つまり、本変形例に係る部品圧着装置100は、仮圧着部30Aと、コンピュータ2の制御部2aとから構成される。
仮圧着部30Aは、上記実施の形態の部品供給部33の代わりに、部品供給部33Hを備える。
部品供給部33Hには、2つのトレイセットがX軸方向に沿って配置される。トレイセットは、複数のトレイ7からなり、これらのトレイ7はZ軸方向に沿って段積みされている。また、これらのトレイ7には、複数の部品5が例えばマトリクス状に載置されている。部品供給部33Hは、トレイ7ごと複数の部品5を供給する。
本変形例における第1の部品移動部35aは、部品供給部33Hから供給される、複数の部品5が載置されているトレイ7をY軸方向負側に移動させる。
また、本変形例における部品搭載機構32は、圧着ツール34と、移動機構35と、下受け部36とを備える。移動機構35は、圧着ツール34をX軸方向およびY軸方向に移動させる。したがって、圧着ツール34は、移動機構35によってX軸方向およびY軸方向に移動し、トレイ7に載置されている圧着対象の部品5の上で停止する。その後、圧着ツール34は、降下してその圧着対象の部品5を吸着して保持しながら上昇する。そして、圧着ツール34は、移動機構35によってX軸方向およびY軸方向に移動し、下受け部36の上で停止する。圧着ツール34は、降下して、下受け部36に支持されている基板3の圧着対象部位にその部品5を圧着する。
このように、本変形例では、部品供給部33Hは、トレイ7に載置されている複数の部品5のそれぞれを上述の第1の部品として第1の部品移動部35aに供給し、可動ステージ35bbには、圧着ツール34に受け渡される部品5であって、TCPから取り出された部品5が上述の第2の部品として作業者によって載置される。つまり、本変形例では、第1の部品移動部35aによって移動される第1の部品の種別と、第2の部品移動部35bによって移動される第2の部品の種別とは異なる。
このような本変形例に係る部品圧着装置100でも、上記実施の形態と同様、オートモードとマニュアルモードとが切り換えられる。したがって、トレイ7から供給される例えばIC(Integrated Circuit)などの部品5のオートモードでの圧着と、個片状態のTCPである部品5のマニュアルモードでの圧着とを切り替えて行うことができる。つまり、第1の部品移動部35aによって移動される部品5の種別と、第2の部品移動部35bによって移動される部品5の種別とは異なるため、生産の多様化を図ることができ、その結果、生産性のさらなる向上を図ることができる。
(その他の変形例)
以上、一つまたは複数の態様に係る部品圧着装置について、上記実施の形態およびその変形例に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態および変形例に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態およびその変形例に施したものや、上記実施の形態およびその変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれてもよい。
例えば、上記実施の形態およびその変形例では、基板3はディスプレイパネル基板であって、そのディスプレイパネル基板に部品5が仮圧着および本圧着されるが、基板3はディスプレイパネル基板以外の基板であってもよい。
また、上記実施の形態およびその変形例では、第1の部品移動部35aによって移動される部品5の移動方向はY軸方向であって、第2の部品移動部35bによって移動される部品5の移動方向はX軸方向であって、これらの移動方向は直交している。しかし、これらの移動方向は直交していなくてもよく、同じ方向であってもよい。
また、上記実施の形態およびその変形例では、第2の部品移動部35bの可動ステージ35bbには、部品5が載置されるが、可動ステージ35bbは、その載置される部品5を吸着して保持してもよい。例えば、可動ステージ35bbには、基板搬入部10のステージ11および貼着部20のステージ23と同様の複数の吸着孔が形成され、可動ステージ35bbは、その複数の吸着孔によって部品5を真空吸着してもよい。
また、上記実施の形態およびその変形例では、第2の部品移動部35bの可動ステージ35bbには、個片状態のTCPが部品5として載置されるが、それ以外の部品が搭載されてもよい。例えば、部品供給部33Hは、トレイ7に載置されている複数の部品5のそれぞれを上述の第1の部品として第1の部品移動部35aに供給し、可動ステージ35bbには、トレイ7から取り出された部品5が上述の第2の部品として作業者によって載置されてもよい。
また、上記実施の形態およびその変形例では、図14に示すように、第1のモード、すなわちオートモードであっても、ステップS108において位置ずれが許容範囲にあるか否かが判定される。しかし、オートモードの場合には、ステップS120の処理が行われるため、ステップS108の判定処理は省かれてもよい。また、第2のモード、すなわちマニュアルモードであっても、既にステップS120の処理が行われた後には、位置ずれは許容範囲にあるため、ステップS108の判定処理は省かれてもよい。
また、上記実施の形態およびその変形例におけるマニュアルモードでは、第2の部品移動部35bの可動ステージ35bbに、部品5が第2の部品として作業者の手で載置される。しかし、第1の部品移動部35aの移載ステージ35acが作業者の手に届く位置にあれば、マニュアルモードにおいて、作業者は、その移載ステージ35acに第2の部品である部品5を直接載置してもよい。この場合には、第2の部品移動部35bから第1の部品移動部35aへの部品5の受け渡しを省くことができる。
また、上記実施の形態およびその変形例におけるマニュアルモードでは、図14に示すように、ステップS108において位置ずれが許容範囲にないと判定された後に、ステップS109およびS110の処理を経てステップS120の処理が行われる。しかし、ステップS108において位置ずれが許容範囲にあるか否かを判定することなく、ステップS120の処理が行われてもよい。この場合には、ステップS108の判定処理が省かれるため、位置ずれが許容範囲にあるときにもステップS120の処理が行われる。しかし、許容範囲外の位置ずれの発生確率が高い場合には、無駄なステップS108の判定処理を省いて、マニュアルモードの処理を簡略化することができる。
また、上記実施の形態およびその変形例では、コンピュータ2の構成要素の全部又は一部は、専用のハードウェアで構成されてもよく、或いは、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)またはプロセッサ等のプログラム実行部が、HDD(Hard Disk Drive)又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。例えば、プログラム実行部は、図10B、および図14~図16に示すフローチャートに含まれる各ステップを仮圧着部30に実行させる。
また、コンピュータ2の構成要素は、1つ又は複数の電子回路で構成されてもよい。1つ又は複数の電子回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。1つ又は複数の電子回路には、例えば、半導体装置、IC(Integrated Circuit)又はLSI(Large Scale Integration)等が含まれてもよい。IC又はLSIは、1つのチップに集積されてもよく、複数のチップに集積されてもよい。ここでは、IC又はLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又は、ULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるかもしれない。また、LSIの製造後にプログラムされるFPGA(Field Programmable Gate Array)も同じ目的で使うことができる。