(本開示の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した特許文献1の部品圧着装置に関し、以下の問題が生じることを見出した。
例えばTCP(Tape carrier package)などの部品は、リールからテープを引き出し、そのテープからその部品を打ち抜くことによって供給される。このように、TCPはテープから打ち抜かれるため、そのTCPにはバリが付着している場合がある。したがって、TCPを基板に圧着する部品圧着装置は、上記特許文献1の部品圧着装置のように、回転ブラシを備えることによって、そのバリを部品から取り除くことができる。
また、TCPなどの部品は、上述のテープに複数含まれる状態で提供され、そのサイズは標準化されている。したがって、部品圧着装置は、そのTCPの最大のサイズに対応する回転ブラシを備えていれば、各種のTCPからバリなどの異物を取り除き、そのTCPを基板に適切に圧着することができる。
しかし、FPC(Flexible printed circuits)などの部品では、その部品のサイズは標準化されておらず、様々なサイズがある。つまり、FPCにおいて複数の電極が配置されている電極部は、大きいものから小さいものまで様々である。したがって、このようなFPCの電極部をクリーニングするためには、部品圧着装置は、想定される最大サイズの電極部に対応する大きさの回転ブラシを備える必要がある。つまり、部品圧着装置は、大きな回転ブラシを備える必要がある。また、部品圧着装置の内部にその大きな回転ブラシを配置することは難しく、部品圧着装置が大型化してしまう可能性がある。
このような課題を解決するために、本開示の一態様に係る部品圧着装置は基板が載置される基板載置部と、前記基板に圧着される部品を供給する部品供給部と、前記部品供給部から供給される前記部品を保持する保持ヘッドと、前記保持ヘッドを移送するヘッド移送部と、前記部品をクリーニングするためのクリーニング部と、少なくとも前記ヘッド移送部および前記クリーニング部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記ヘッド移送部を制御することによって、前記部品を保持している前記保持ヘッドを前記部品供給部側から前記基板載置部側に向けて第1方向に沿って移送し、前記第1方向に沿う移送によって前記保持ヘッドが前記クリーニング部の位置に到達したときには、(a)前記保持ヘッドに保持されている前記部品の一面にあるクリーニング対象領域を前記クリーニング部にクリーニングさせ、(b)前記クリーニング部に対する前記保持ヘッドの相対位置を、前記部品の一面に対して略平行であって前記第1方向と交差する第2方向に変更する。例えば、クリーニング対象領域は、部品における電極部が形成されている領域である。また、例えば、前記クリーニング部は、前記第2方向に沿う回転軸を中心にして回転する回転ブラシであって、前記制御部は、前記相対位置の変更では、前記保持ヘッドおよび前記クリーニング部のうちの少なくとも一方を、前記回転軸の方向に沿って移動させることによって、前記相対位置を変更してもよい。
これにより、保持ヘッドがクリーニング部の位置に到達したときには、保持ヘッドとクリーニング部との第2方向の相対位置が変更される。したがって、その相対位置の変更前のクリーニング部によるクリーニングによって、部品のクリーニング対象領域の一部がクリーニングされなくても、その相対位置の変更後には、その変更前にクリーニングされなかった部分をクリーニングすることができる。その結果、クリーニング部がクリーニング対象領域よりも第2方向に短くても、クリーニング対象領域の全体をクリーニングすることができる。したがって、FPCのような様々なサイズの部品を基板に圧着する場合であっても、クリーニング部を大きくする必要がない。これにより、部品圧着装置の大型化を抑えることができるとともに、部品のクリーニング対象領域の異物を取り除いて、その部品を基板に適切に圧着することができる。
また、前記制御部は、前記相対位置の変更では、前記クリーニング対象領域の方が、前記部品の一面における前記クリーニング部と接する接触領域よりも、前記第2方向に長い場合に、前記保持ヘッドおよび前記クリーニング部のうちの少なくとも一方を前記第2方向に沿って移動させることによって、前記相対位置を変更してもよい。なお、接触領域の第2方向の長さは、クリーニング部の第2方向の長さと等しくてもよい。
これにより、クリーニング対象領域の第2方向の長さが、接触領域の第2方向の長さ以下である場合には、相対位置を変更しないように、すなわち、保持ヘッドおよびクリーニング部のうちの少なくとも一方を第2方向に沿って移動させないようにすることができる。その結果、保持ヘッドおよびクリーニング部のうちの少なくとも一方を第2方向に沿って移動させなくても、部品のクリーニング対象領域の全体をクリーニングすることができる場合にまで、その少なくとも一方を移動させる手間を省くことができる。つまり、不要な相対位置の変更を行わずに、処理負担の軽減を図ることができる。
また、前記制御部は、前記第1方向に沿う移送によって前記保持ヘッドが前記クリーニング部の位置に到達したときには、さらに、前記保持ヘッド、前記ヘッド移送部、および前記クリーニング部のうちの少なくとも1つを制御することによって、前記保持ヘッドに保持されている前記部品の一面と、前記クリーニング部との間の配置状態を、前記部品の一面が前記クリーニング部に接触している接触状態と、前記部品の一面が前記クリーニング部から離れている離間状態とに切り替え、前記クリーニング部によるクリーニングでは、前記相対位置の変更の前および後において、前記配置状態が前記接触状態であるときに、前記クリーニング対象領域を前記クリーニング部にクリーニングさせ、前記相対位置の変更では、前記配置状態が前記離間状態であるときに、前記保持ヘッドおよび前記クリーニング部のうちの少なくとも一方を前記第2方向に沿って移動させることによって、前記相対位置を変更してもよい。
例えば、相対位置の変更のために、保持ヘッドおよびクリーニング部のうちの一方が第2方向に沿って移動するときに、保持ヘッドに保持されている部品がクリーニング部に接触していれば、その部品はクリーニング部から第2方向への摩擦力を受ける。その結果、その部品は保持ヘッドに対して第2方向にずれる可能性がある。しかし、上記態様では、保持ヘッドおよびクリーニング部のうちの一方が第2方向に沿って移動するときには、保持ヘッドに保持されている部品は、クリーニング部から離間している。そのため、その第2方向に沿う移動によって、部品が保持ヘッドから第2方向にずれることを抑制することができる。
また、前記制御部は、前記第1方向に沿う移送によって前記保持ヘッドが前記クリーニング部の位置に到達したときには、さらに、前記保持ヘッド、前記ヘッド移送部、および前記クリーニング部のうちの少なくとも1つを制御することによって、前記保持ヘッドに保持されている前記部品の一面と、前記クリーニング部との間の配置状態を、前記部品の一面が前記クリーニング部に接触している接触状態と、前記部品の一面が前記クリーニング部から離れている離間状態とに切り替え、前記クリーニング部によるクリーニングでは、前記配置状態が前記接触状態であるときに、前記クリーニング対象領域を前記クリーニング部にクリーニングさせ、前記相対位置の変更では、前記配置状態が前記接触状態であるときに、前記保持ヘッドおよび前記クリーニング部のうちの少なくとも一方を前記第2方向に沿って移動させることによって、前記相対位置を変更してもよい。
これにより、配置状態が接触状態であるときに、部品のクリーニング対象領域に対するクリーニングと、相対位置の変更とを、同時に行うことができる。つまり、クリーニング対象領域をクリーニングしながら、保持ヘッドおよびクリーニング部のうちの少なくとも一方を第2方向に沿って移動させることができる。したがって、クリーニングに係る時間の短縮化を図ることができる。さらに、クリーニング部は部品のクリーニング対象領域に接触しながら、その部品に対して第2方向に移動するため、クリーニングの効果を高めることができる。
また、前記部品圧着装置は、さらに、前記クリーニング部と前記基板載置部との間に配置される部品載置部と、前記部品を撮像する撮像部とを備え、前記制御部は、さらに、前記ヘッド移送部を制御することによって、クリーニングされた前記部品を保持している前記保持ヘッドを前記部品載置部に移送し、前記保持ヘッドに対して前記部品を前記部品載置部に載置させ、前記部品載置部に載置されている前記部品を前記撮像部に撮像させ、前記撮像部による撮像結果に基づいて、圧着ヘッドに前記部品を保持させ、前記基板載置部に載置されている前記基板への前記部品の圧着を前記圧着ヘッドに実行させてもよい。
これにより、部品のクリーニングによって保持ヘッドから部品がずれたとしても、撮像部による撮像結果に基づいて、その部品を圧着ヘッドに適切に保持させることができる。つまり、部品の適切な位置に圧着ヘッドを接触させて、その部品を圧着ヘッドに保持させることができる。その結果、その圧着ヘッドに保持された部品を、基板の予め定められた圧着対象部位に正確に圧着することができる。したがって、基板に部品が圧着されることによって製造される実装基板の品質向上を図ることができる。
また、前記圧着ヘッドは、前記保持ヘッドであってもよい。
これにより、保持ヘッドが圧着ヘッドの機能を兼ね備えるため、部品圧着装置の部品点数を減らして部品圧着装置の構成を簡略化することができる。
また、前記部品圧着装置は、さらに、前記保持ヘッドとは異なる前記圧着ヘッドを備えてもよい。
これにより、保持ヘッドおよび圧着ヘッドのそれぞれに処理を分担させることができる。その結果、保持ヘッドによる部品のクリーニング処理と圧着ヘッドによる部品の圧着処理を並行して進めることが可能となり、生産性を向上できる。
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態において、略平行などの表現を用いている。例えば、略平行は、完全に等しいであることを意味するだけでなく、実質的に平行である、すなわち、例えば数%程度の誤差を含むことも意味する。また、略平行は、本開示による効果を奏し得る範囲において平行という意味である。他の「略」を用いた表現についても同様である。
(実施の形態)
[部品実装ラインの概略構成]
図1は、本実施の形態における部品実装ラインの概略構成を示す図である。
本実施の形態における部品実装ライン1は、液晶パネルや有機EL(Electro-Luminescence)パネルなどのディスプレイパネルである基板3に部品5を実装することによって実装基板を生産するシステムである。なお、部品5は、例えば駆動回路などの電子部品であって、例えばFPCである。具体的には、部品実装ライン1は、図1に示すように、基板搬入部10と、貼着部20と、仮圧着部30と、本圧着部40と、基板搬出部50とを有する。基板搬入部10、貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、および基板搬出部50は、この順で連結されている。
基板搬入部10は、作業者または上流側の他の装置から搬入される矩形の基板3を受け取る。そして、その基板3は下流側の貼着部20に搬出される。
貼着部20は、基板搬入部10から搬出された基板3を受け取り、その基板3の周縁にある複数の電極部4のそれぞれに接着部材を貼着する。そして、その接着部材が貼着された基板3は仮圧着部30に搬出される。なお、複数の電極部4のそれぞれは、例えば、複数の電極により構成されている。
仮圧着部30は、貼着部20から搬出された基板3を受け取り、その基板3の接着部材が貼着されている部位に部品5を搭載して圧着する。そして、その部品5が圧着された基板3は本圧着部40に搬出される。なお、仮圧着部30で実行される圧着は、仮圧着とも呼ばれる。
本圧着部40は、仮圧着部30から搬出された基板3を受け取り、その基板3に仮圧着された部品5に対して本圧着(熱圧着ともいう)を行う。そして、その本圧着が行われた基板3は基板搬出部50に搬出される。
基板搬出部50は、本圧着部40から搬出された基板3を受け取る。基板搬出部50に受け取られた基板3は下流側に搬出される。
このように、部品実装ライン1は、搬入された基板3の周縁に設けられた複数の電極部4のそれぞれに部品5を実装する部品実装作業を実行し、部品5が実装された基板3である実装基板を基板搬出部50から搬出する。
[部品実装ラインの詳細構成]
図2は、本実施の形態における部品実装ライン1の平面図である。具体的には、図2は、部品実装ライン1を上方から見た構成を示す。なお、本実施の形態において、基板の搬送方向をX軸方向と称し、鉛直方向をZ軸方向と称し、X軸方向およびZ軸方向に垂直な方向、すなわち奥行き方向をY軸方向と称す。また、X軸方向の負側および正側は、基板の搬送方向の上流側および下流側にそれぞれ相当し、Z軸方向の負側および正側は、鉛直方向の下側および上側にそれぞれ相当し、Y軸方向の負側および正側は、奥行き方向の手前側および奥側、または、前側および後側にそれぞれ相当する。
基板搬入部10は、搬入される基板3を載置するための基台1aを備える。基板搬入部10の基台1aには、基板3が載置されるステージ11が設けられている。ステージ11は、基台1aに対してZ軸方向に昇降する。また、ステージ11の上面には、複数の吸着孔11aが設けられている。このようなステージ11は、作業者または上流側の他の装置から搬入されてステージ11上に載置された基板3を、図示しないポンプ等の吸引器によって吸着孔11aから真空吸着して保持する。
貼着部20は、基板3の電極部4に接着部材であるACF(Anisotropic Conductive Film)を貼着する貼着作業(言い換えると、貼着工程)を行う機能を備える。なお、ACFは、異方性導電接着剤とも称され、基板3の電極部4と部品5とを電気的に導通させるための部材である。貼着部20は、基板移動機構21と、貼着機構22とを備える。
基板移動機構21は、基板3を移動させる機構である。基板移動機構21は、例えば、X軸方向に可動なX軸テーブルと、Y軸方向に可動なY軸テーブルと、Z軸方向に可動なZ軸テーブルと、ステージ23とを備える。基板移動機構21には、基台1b上に下方から順に、X軸テーブルと、Y軸テーブルと、Z軸テーブルと、ステージ23とが重ねて設けられている。
Y軸テーブルは、Y軸方向に延びて設けられ、X軸テーブル上をX軸方向に自在に移動する。Z軸テーブルは、Y軸テーブル上をY軸方向に自在に移動し、上部に設けられたステージ23をZ軸方向に昇降するとともにZ軸回りに回転させる。
また、ステージ23の上面には、複数の吸着孔23aが設けられており、ステージ23は、その上面に載置された基板3を真空吸着して保持する。このように、基板移動機構21は、基板3を吸着保持して水平面内(具体的には、X軸方向およびY軸方向)で移動させ、上下方向(具体的には、Z軸方向)に昇降させるとともにZ軸回りに回転させる。
貼着機構22は、基台1bの上方に、X軸方向に並んだ例えば2つの貼着ヘッドを備えている。各貼着ヘッドは、ACFを供給する供給部と、ACFを基板3に貼着するための貼着ツールとを備えている。2つの貼着ヘッドのそれぞれは、基板3上の複数の電極部4に対応する位置にACFを貼着する。また、2つの貼着ヘッドのそれぞれに対応する下方の位置には、貼着支持台が備えられている。
仮圧着部30は、基板3のACFが貼着された領域(すなわち圧着対象部位)に部品5を搭載して仮圧着する仮圧着工程を実行する。仮圧着部30は、基板移動機構31、ヘッド移送部32、部品供給部33、保持ヘッド34、部品載置部35、および下受け部36を備える。
基板移動機構31は、貼着部20の基板移動機構21と同様の構造を有する。具体的には、基板移動機構31は、基板3が載置されるステージである基板載置部37を有する。基板載置部37の上面には、複数の吸着孔37aが設けられている。基板移動機構31は、その基板載置部37上に載置された基板3をその複数の吸着孔37aによって真空吸着して保持する。また、基板移動機構31は、基板3を吸着保持する基板載置部37を水平面内で移動させ、上下方向に昇降させるとともにZ軸回りに回転させる機能を備える。基板移動機構31は、その基板載置部37の移動および回転によって、吸着保持されている基板3のACFが貼着された領域を、バックアップステージである下受け部36の上方に位置させる。なお、基板移動機構31は、上述のように基板載置部37を有するが、その基板載置部37を有さずに、その基板載置部37を移動および回転させてもよい。
部品供給部33は、ヘッド移送部32の奥側(すなわちY軸方向正側)に基台1bの後部から張り出して設けられている。例えば、部品供給部33には、2つのトレイセットがX軸方向に沿って配置される。トレイセットは、複数のトレイ7からなり、これらのトレイ7はZ軸方向に沿って段積みされている。また、これらのトレイ7には、複数の部品5が載置されている。部品供給部33は、複数の部品5が載置されているトレイ7をY軸方向負側に移動させるトレイ移動部33eを備え、そのトレイ移動部33eによって、トレイ7ごと複数の部品5をヘッド移送部32側に供給する。このように、部品供給部33は、基板3に圧着される部品5を供給する。
保持ヘッド34は、部品供給部33から供給される部品5を吸着して保持する。このような保持ヘッド34は、Z軸方向に沿って昇降する。例えば、保持ヘッド34は、降下しているときに部品5を吸着して保持し、その部品5を保持した状態で上昇する。
ヘッド移送部32は、その保持ヘッド34を移送する。具体的には、ヘッド移送部32は、保持ヘッド34をX軸方向およびY軸方向に移送する。
クリーニング部38は、保持ヘッド34に保持されている部品5をクリーニングするための部材である。具体的には、クリーニング部38は、X軸方向に沿う回転軸を中心にして回転する回転ブラシである。
部品載置部35は、プリアライメントステージとも呼ばれ、クリーニング部38と基板載置部37との間に配置されている。この部品載置部35には、クリーニング済みの部品5が載置される。
下受け部36は、バックアップステージとも呼ばれ、基板載置部37に保持されている基板3における予め定められた部位である圧着対象部位を下方から支持する。なお、この圧着対象部位は、基板3の縁部においてACFが貼着されている部位である。
このような仮圧着部30では、保持ヘッド34は、ヘッド移送部32によってX軸方向およびY軸方向に移送され、トレイ移動部33eによって移動されたトレイ7に載置されている圧着対象の部品5の上で停止する。その後、保持ヘッド34は、降下してその圧着対象の部品5を上方から吸着(つまり、ピックアップ)し、その部品5を保持しながら上昇する。
そして、保持ヘッド34は、ヘッド移送部32によってY軸方向負側に移送され、クリーニング部38の位置に到達する。このとき、保持ヘッド34に保持されている部品5は、クリーニング部38によってクリーニングされる。保持ヘッド34は、クリーニング部38による部品5のクリーニングが完了すると、そのクリーニング済みの部品5を部品載置部35に載置する。そして、保持ヘッド34は、ヘッド移送部32によってX軸方向およびY軸方向に位置調整された後に、その部品載置部35に載置されている部品5を保持する。つまり、保持ヘッド34は、部品5を保持し直すことによって、保持されている部品5の位置合わせを行う。そして、部品5を保持し直した保持ヘッド34は、ヘッド移送部32によって基板載置部37側に移送され、下受け部36の上で停止する。その後、保持ヘッド34は、Z軸方向に降下して、下受け部36に支持されている基板3の圧着対象部位にその部品5を圧着する。つまり、保持ヘッド34は、吸着した部品5をACF上に搭載して基板3ごと下受け部36に押し付けることで、基板3に部品5を仮圧着する。例えば、保持ヘッド34は、約80℃に加熱された状態で、部品5を基板3に圧着する。なお、仮圧着部30は、基板移動機構31によって保持されている基板3の方向を90度回転させる機構を備えてもよい。
本圧着部40は、仮圧着部30によって基板3に仮圧着された部品5を基板3に本圧着(つまり、熱圧着)する本圧着工程(つまり、熱圧着工程)を実行する。こうすることで、基板3に形成された電極部4と部品5とはACFを介して電気的に接続される。このような本圧着部40は、基板移動機構41と、圧着機構42とを備える。
基板移動機構41は、貼着部20の基板移動機構21と同様の構造を有する。具体的には、基板移動機構41は、ステージ49を有する。ステージ49の上面には、複数の吸着孔49aが設けられている。基板移動機構41は、そのステージ49上に載置された基板3をその複数の吸着孔49aによって真空吸着して保持する。また、基板移動機構41は、基板3を吸着保持するステージ49を水平面内で移動させ、上下方向に昇降させるとともにZ軸回りに回転させる機能を備える。基板移動機構41は、そのステージ49の移動および回転によって、吸着保持されている基板3の部品5が仮圧着された領域を、圧着機構42の下受け部46の上方に位置させる。
圧着機構42は、基台1b上に設けられ、圧着ツール43と下受け部46とを備える。
圧着ツール43は、加熱され、下受け部46によって支持されている基板3の部品5を下受け部46側に押圧する。例えば、圧着ツール43は、約200℃に加熱された状態で、部品5を押圧する。これにより、部品5は本圧着され、基板3に形成された電極部4と部品5とはACFを介して電気的に接続される。
基板搬出部50は、本圧着部40から搬送された基板3をステージ51上に真空吸着して保持する機能を備える。基板搬出部50において保持された基板3は、下流側の他の装置に搬出されるか、作業者によってステージ51から取り出される。
ステージ51は、基台1cに対してZ軸方向に昇降する。また、ステージ51の上面には、複数の吸着孔51aが設けられており、ステージ51は、本圧着部40から移送された基板3をその上面で真空吸着して保持する。
搬送部60は、基板3を搬送する装置である。具体的には、搬送部60は、基板搬入部10に搬入された基板3を、貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、および、基板搬出部50へこの順に受け渡す(移送する)機能を備える。搬送部60は、貼着部20、仮圧着部30、および本圧着部40の前方領域(すなわちY軸方向負側)に配置されている。搬送部60は、基台1a、基台1b、および、基台1cにわたってX軸方向に延びた移動ベース61上に、上流側から順に配置されている、基板搬送機構62A、基板搬送機構62B、基板搬送機構62C、および、基板搬送機構62Dを備えている。
基板搬送機構62A~62Dは、それぞれ基部63および1以上のアームユニット64を備える。本実施の形態では、基板搬送機構62A~62Dがそれぞれ2基のアームユニット64を備える場合を例示している。基部63は、移動ベース61上に設けられ、X軸方向に自在に移動する。基部63上には、2基のアームユニット64がX軸方向に並んで設けられている。アームユニット64は、基板3を上方から真空吸着する。
基板搬送機構62A~62Dのそれぞれは、ステージ11、23、37、49、51が保持する基板3を上方から真空吸着する基板受け渡し位置に移動して、昇降するステージ11、23、37、49、51から基板3の受け取りまたは受け渡しを行う。例えば、基板搬送機構62Aは、基板搬入部10のステージ11に載置された基板3を受け取り、貼着部20のステージ23に受け渡す。また、例えば、基板搬送機構62Bは、貼着部20のステージ23から基板3を受け取り、仮圧着部30の基板載置部37に受け渡す。また、例えば、基板搬送機構62Cは、仮圧着部30の基板載置部37から基板3を受け取り、本圧着部40のステージ49に受け渡す。また、例えば、基板搬送機構62Dは、本圧着部40のステージ49から基板3を受け取り、基板搬出部50のステージ51に受け渡す。
図3は、部品実装ライン1に備えられている、コンピュータと、そのコンピュータによって制御される各構成要素とを示す図である。
部品実装ライン1は、図3に示すようにコンピュータ2を備える。このコンピュータ2は、例えば、貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、および搬送部60などと例えば制御線によって通信可能に接続され、これらの各部を制御する。コンピュータ2は、制御部2aと、記憶部2bと、表示部2cとを備える。
表示部2cは、画像および文字などを表示し、例えば液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどで構成されている。なお、表示部2cは、これらのディスプレイに限定されることはない。
記憶部2bは、基板3のサイズ、基板3に実装される部品5の種類、実装位置、実装方向、および、基板3を移送するタイミング等の部品実装作業に必要な各種データと、制御部2aが実行する制御プログラム等とを記憶する。記憶部2bは、例えばROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)等により実現される。
制御部2aは、貼着部20の基板移動機構21、仮圧着部30の基板移動機構31、本圧着部40の基板移動機構41、および搬送部60を制御して、基板3を各部間で次の工程へ移送する基板移送作業を実行する。基板移送作業における上流側から下流側への基板3の移送は、各部間で同期して行われる。
また、制御部2aは、貼着部20を制御する。つまり、制御部2aは、基板移動機構31によって保持される基板3の向きおよび位置を変更し、ヘッド移動モータによって複数の貼着ヘッドの間隔を変更し、貼着機構22によって基板3にACFを貼着する貼着作業を貼着部20に実行させる。
また、制御部2aは、仮圧着部30を制御する。つまり、制御部2aは、部品供給部33からヘッド移送部32側への部品5の供給を、その部品供給部33に実行させる。そして、制御部2aは、ヘッド移送部32を制御し、その供給された部品5を保持ヘッド34に保持させて、クリーニング部38にその部品5をクリーニングさせる。このように、本実施の形態における制御部2aは、少なくともヘッド移送部32およびクリーニング部38を制御する。
次に、制御部2aは、ヘッド移送部32および保持ヘッド34を制御することによって、そのクリーニング済みの部品5を部品載置部35に載置する。制御部2aは、その載置されている部品5を、仮圧着部30に備えられている撮像部39に撮像させる。ヘッド移送部32は、その撮像結果に応じて、保持ヘッド34のX軸方向およびY軸方向の位置調整を行い、保持ヘッド34にその部品5を再び保持させる。
次に、制御部2aは、基板移動機構31の基板載置部37に載置されている基板3の向きおよび位置を変更し、部品5の基板3への仮圧着をヘッド移送部32および保持ヘッド34に実行させる。このとき、制御部2aは、撮像部39に基板3および部品5を撮像させ、その撮像の結果に応じて、基板載置部37に載置されている基板3と、保持ヘッド34に保持されている部品5との位置合わせを行う。
また、制御部2aは、本圧着部40を制御することで、基板移動機構41によって保持される基板3の向きおよび位置を変更し、基板3に仮圧着された部品5を圧着機構42に本圧着させる。
また、制御部2aは、表示部2cを制御することによって、その表示部2cに画像および文字などを表示する。
このような制御部2aは、例えば、部品実装ライン1が有する各部および各機構を制御するための、記憶部2bに記憶されている制御プログラムと、その制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサとにより実現される。
[部品圧着装置の構成]
図4は、本実施の形態における部品圧着装置100の構成を示すブロック図である。
部品圧着装置100は、部品実装ライン1における仮圧着部30と、コンピュータ2の制御部2aとからなる。
具体的には、部品圧着装置100は、制御部2aと、部品供給部33と、撮像部39と、ヘッド移送部32と、保持ヘッド34と、クリーニング部38と、部品載置部35と、基板移動機構31とを備える。
撮像部39は、第1カメラ39aおよび第2カメラ39bを含む。第1カメラ39aは、例えば、下受け部36の下方に配置され、基板移動機構31の基板載置部37に載置されている基板3と、保持ヘッド34に保持されている部品5とを撮像する。第1カメラ39aによる撮像の結果は、その基板3と部品5との位置合わせのために用いられる。第2カメラ39bは、例えば、部品載置部35の上方に配置され、部品載置部35に載置されている部品5を撮像する。この第2カメラ39bによる撮像の結果は、保持ヘッド34と部品5との位置合わせのために用いられる。
[クリーニング部]
図5は、クリーニング部38の一例を示す図である。
図5の(a)に示すように、クリーニング部38は、例えば円柱状の回転ブラシであって、そのクリーニング部38の中心軸がX軸方向に沿うように配置される。そして、クリーニング部38は、その中心軸を回転軸にして回転し、保持ヘッド34が降下することによって、その保持ヘッド34に保持されている部品5の下面に接触して、その下面をクリーニングする。
具体的には、クリーニング部38は、図5の(b)に示すように、保持ヘッド34に保持されている部品5の下面にある電極部6をクリーニングする。電極部6は、部品5のうちの複数の電極が配置されている部分である。本実施の形態では、部品5の下面における電極部6が形成されている領域が、クリーニング対象領域である。このクリーニング対象領域に異物が付着したまま、その部品5が基板3の圧着対象部位に圧着されると、部品5と基板3との間で接触不良などの不具合が生じる可能性がある。そこで、クリーニング部38は、回転することによって、そのクリーニング対象領域から異物を取り除く作業、すなわちクリーニングを行う。
ここで、部品5が例えばFPCであって、その部品5のサイズが大きい場合には、図5の(b)に示すように、クリーニング対象領域の方がクリーニング部38よりも、X軸方向に長い場合がある。つまり、クリーニング対象領域のX軸方向の長さW2は、クリーニング部38のX軸方向の長さW1よりも長い。この場合、保持ヘッド34が降下してクリーニング部38がそのクリーニング対象領域に下方から接しても、部品5の下面におけるクリーニング部38と接する接触領域は、そのクリーニング対象領域をカバーすることができない。つまり、クリーニング対象領域の方がクリーニング部38の接触領域よりもX軸方向に長いため、保持ヘッド34が降下しただけでは、クリーニング対象領域におけるX軸方向の正側および負側の少なくとも一方の部分は、クリーニング部38と接触しない。したがって、そのクリーニング対象領域の一部がクリーニングされない。
そこで、本実施の形態では、このような場合には、制御部2aは、ヘッド移送部32を制御することによって、保持ヘッド34をX軸方向に移動させる。つまり、本実施の形態では、部品5の一面におけるクリーニング対象領域の方が、部品5の一面におけるクリーニング部38と接する接触領域よりも、X軸方向に長い場合には、制御部2aは、保持ヘッド34をX軸方向に沿って移動させることによって、クリーニング部38に対する保持ヘッド34の相対位置をX軸方向に変更する。これにより、保持ヘッド34に保持されている部品5のクリーニング対象領域の全体をクリーニングすることができる。なお、本実施の形態では、その相対位置の変更のために、保持ヘッド34をX軸方向に沿って移動させるが、クリーニング部38をX軸方向に沿って移動させてもよく、保持ヘッド34およびクリーニング部38の双方を移動させてもよい。つまり、制御部2aは、保持ヘッド34およびクリーニング部38のうちの少なくとも一方をX軸方向に沿って移動させることによって、上述の相対位置を変更する。なお、本実施の形態では、Y軸方向は、第1方向の一例であって、X軸方向は、第2方向の一例である。その第2方向は、部品5の一面に対して略平行であって第1方向と交差する方向である。
図6は、部品圧着装置100の動きを説明するための図である。なお、図6の(a)は、部品圧着装置100をX軸方向正側から見た動きを示し、図6の(b)は、部品圧着装置100をZ軸方向正側から見た動きを示す。
なお、本実施の形態におけるヘッド移送部32は、図6の(b)に示すように、一対のY軸ガイドレール32aと、X軸ガイドレール32bとを備える。一対のY軸ガイドレール32aは、それぞれY軸方向に沿った状態で、X軸方向に配列されている。X軸ガイドレール32bは、X軸方向に沿った状態で、その一対のY軸ガイドレール32aにY軸方向に移動自在に取り付けられている。保持ヘッド34は、そのX軸ガイドレール32bにX軸方向に移動自在に取り付けられている。また、ヘッド移送部32は、X軸ガイドレール32bをY軸方向に移動させるモータなどの駆動機構と、保持ヘッド34をX軸方向に移動させるモータなどの駆動機構とを備える。これらの駆動機構によって、保持ヘッド34は、X軸方向およびY軸方向に移動する。なお、このようなヘッド移送部32の構成は、一例であって、この例に限定されるものではない。
部品圧着装置100が、部品供給部33から供給された部品5を基板3に圧着するときには、まず、保持ヘッド34は、トレイ7に載置されている部品5の上方から降下し、その部品5を保持して上昇する。そして、ヘッド移送部32は、その保持ヘッド34をY軸方向負側に移送する。
ヘッド移送部32は、保持ヘッド34がクリーニング部38の上方の位置に到達すると、その保持ヘッド34の移送を中断する。このとき、保持ヘッド34は、降下し、保持している部品5のクリーニング対象領域をクリーニング部38に接触させる。クリーニング部38は、回転することによって、クリーニング部38のブラシをクリーニング対象領域に擦り動かす。これによって、部品5の下面にあるクリーニング対象領域の少なくとも一部がクリーニングされる。その少なくとも一部は、部品5とクリーニング部38との接触領域であって、クリーニング対象領域が接触領域にカバーされている場合には、クリーニング対象領域の全体がクリーニングされる。一方、クリーニング対象領域が接触領域にカバーされていない場合、すなわち、クリーニング対象領域の方が接触領域よりもX軸方向に長い場合には、クリーニング対象領域の一部のみがクリーニングされる。したがって、制御部2aは、ヘッド移送部32を制御することによって、保持ヘッド34をX軸方向に移動させる。これによって、クリーニング対象領域の全体をクリーニング部38に接触させることができ、その全体をクリーニングすることができる。
次に、部品5のクリーニング対象領域のクリーニングが完了すると、保持ヘッド34は部品5を保持した状態で上昇する。そして、ヘッド移送部32は、その保持ヘッド34のY軸方向負側への移送を再開する。
ヘッド移送部32は、保持ヘッド34が部品載置部35の上方の位置に到達すると、その保持ヘッド34の移送を中断する。このとき、保持ヘッド34は、降下し、保持している部品5を部品載置部35に載置し、その後、上昇する。ヘッド移送部32は、上昇した保持ヘッド34を部品載置部35の上方から退避させる。例えば、ヘッド移送部32は、Y軸方向正側にその保持ヘッド34を移動させる。このとき、第2カメラ39bは、部品載置部35に載置されている部品5を上方から撮像することによって、撮像画像である撮像データを生成する。制御部2aは、その撮像データに映し出されている部品5の位置を特定する。そして、制御部2aは、ヘッド移送部32を制御することによって、保持ヘッド34を部品載置部35の上方に再び配置する。
このとき、制御部2aは、特定された部品5の位置に基づいてヘッド移送部32を制御することによって、保持ヘッド34がその部品5における予め定められた部位を保持し得るように、保持ヘッド34のX軸方向およびY軸方向の位置調整を行う。このとき、さらに、制御部2aは、撮像データに映し出されている部品5の向き、すなわち、部品載置部35に載置されている部品5の向きを特定し、その向きに応じて、保持ヘッド34を回動してもよい。つまり、制御部2aは、Z軸方向に沿う保持ヘッド34の中心軸を回転中心にしてその保持ヘッド34を回動させることによって、保持ヘッド34の角度を調整する。これにより、保持ヘッド34のX軸方向およびY軸方向の位置だけなく、保持ヘッド34の角度も調整される。これらの調整が完了すると、保持ヘッド34は、降下し、部品載置部35に載置されている部品5を保持して上昇する。このときには、保持ヘッド34は、部品5における予め定められた部位を保持している。つまり、保持ヘッド34は、部品5を保持し直すことによって、部品5の適切な部位を保持する。そして、ヘッド移送部32は、その保持ヘッド34のY軸方向負側への移送を再開する。
ヘッド移送部32は、保持ヘッド34が下受け部36の上方の位置に到達すると、その保持ヘッド34の移送を終了する。また、事前には、基板3が基板載置部37に載置され、その基板3の圧着対象部位は、下受け部36によって下方から支持されている。第1カメラ39aは、その基板載置部37に載置されている基板3と、保持ヘッド34に保持されている部品5とを撮像することによって、それぞれの撮像画像である撮像データを生成する。そして、制御部2aは、それらの撮像データに映し出されている基板3の位置と部品5の位置とを特定する。制御部2aは、それらの特定された位置に基づいて基板移動機構31およびヘッド移送部32のうちの少なくとも一方を制御することによって、基板3と部品5とのX軸方向およびY軸方向の位置調整を行う。そして、保持ヘッド34は降下する。保持ヘッド34は、基板載置部37に載置されている基板3のうち、下受け部36によって下方から支持されている圧着対象部位に、その保持している部品5を仮圧着する。
このように、制御部2aは、ヘッド移送部32を制御することによって、クリーニングされた部品5を保持している保持ヘッド34を部品載置部35に移送する。そして、制御部2aは、保持ヘッド34に対して部品5をその部品載置部35に載置させ、部品載置部35に載置されている部品5を第2カメラ39bに撮像させる。さらに、制御部2aは、その第2カメラ39bによる撮像結果に基づいて、保持ヘッド34に部品5を保持させ、基板載置部37に載置されている基板3への部品5の圧着を保持ヘッド34に実行させる。これにより、部品5のクリーニングによって保持ヘッド34から部品5がずれたとしても、第2カメラ39bによる撮像結果に基づいて、その部品5を保持ヘッドに適切に保持させることができる。つまり、部品5の適切な位置に保持ヘッド34を接触させて、その部品5を保持ヘッド34に保持させることができる。その結果、その保持ヘッド34に保持された部品5を、基板3の予め定められた圧着対象部位に正確に圧着することができる。したがって、基板3に部品5が圧着されることによって製造される実装基板の品質向上を図ることができる。
図7は、本実施の形態におけるクリーニングのパターンを説明するための図である。クリーニング部38によるクリーニングのパターンには、第1パターンと第2パターンとがある。
第1パターンでは、クリーニング部38が部品5のクリーニング対象領域をクリーニングするときには、ヘッド移送部32は、そのクリーニング部38が部品5の下面から離間した状態で、保持ヘッド34をX軸方向に移動させる。
具体的には、図7の(a1)および(b1)に示すように、部品5を保持している保持ヘッド34は、クリーニング部38の上方の位置に到達すると、降下して、その部品5の下面にあるクリーニング対象領域をクリーニング部38に接触させる。クリーニング部38は、回転することによって、そのクリーニング部38のブラシをクリーニング対象領域に対して擦り動かす。ここで、クリーニング対象領域は、クリーニング部38よりもX軸方向に長い。つまり、クリーニング対象領域は、上述の接触領域よりもX軸方向に長い。したがって、図7の(b1)では、例えば、クリーニング対象領域のうちのX軸方向負側の部分だけがクリーニングされる。
そこで、第1パターンでは、図7の(c1)に示すように、保持ヘッド34が上昇する。保持ヘッド34が上昇すると、図7の(d1)に示すように、ヘッド移送部32は、保持ヘッド34をX軸方向負側に移動させる。そして、図7の(e1)に示すように、保持ヘッド34は、再び降下して、部品5のクリーニング対象領域をクリーニング部38に接触させる。図7の(b1)の例と同様、クリーニング部38は、回転することによって、そのクリーニング部38のブラシをクリーニング対象領域に対して擦り動かす。このときには、保持ヘッド34がX軸方向負側に移動しているため、図7の(b1)でクリーニングされなかった部分、すなわち、クリーニング対象領域のうちのX軸方向正側の部分がクリーニングされる。そのクリーニングが完了すると、保持ヘッド34は、図7の(f1)に示すように、上昇する。
なお、クリーニング部38は、図7の(a1)~(f1)の期間、継続して回転していてもよく、図7の(b1)および(e1)のときにのみ、回転してもよい。
第2パターンでは、クリーニング部38が部品5のクリーニング対象領域をクリーニングするときには、ヘッド移送部32は、そのクリーニング部38が部品5の下面に接触した状態で、保持ヘッド34をX軸方向に移動させる。
具体的には、図7の(a2)および(b2)に示すように、部品5を保持している保持ヘッド34は、クリーニング部38の上方の位置に到達すると、降下して、その部品5の下面にあるクリーニング対象領域をクリーニング部38に接触させる。このときにも、クリーニング部38は、回転することによって、そのクリーニング部38のブラシをクリーニング対象領域に対して擦り動かす。上述と同様、クリーニング対象領域は、クリーニング部38よりもX軸方向に長い。したがって、図7の(b2)では、例えば、クリーニング対象領域のうちのX軸方向負側の部分だけがクリーニングされる。
そこで、第2パターンでは、図7の(c2)に示すように、ヘッド移送部32は、部品5のクリーニング対象領域にクリーニング部38が接触している状態で、保持ヘッド34をX軸方向負側に移動させる。つまり、保持ヘッド34がX軸方向に移動するときには、保持ヘッド34は、上昇することなく、降下している状態を継続する。図7の(b2)の例と同様、クリーニング部38は、回転することによって、そのクリーニング部38のブラシをクリーニング対象領域に対して擦り動かす。このときには、保持ヘッド34がX軸方向負側に移動しているため、図7の(b2)でクリーニングされなかった部分、すなわち、クリーニング対象領域のうちのX軸方向正側の部分がクリーニングされる。そのクリーニングが完了すると、保持ヘッド34は、図7の(d2)に示すように、上昇する。
このように、本実施の形態における制御部2aは、ヘッド移送部32を制御することによって、部品5を保持している保持ヘッド34を部品供給部33側から基板載置部37側に向けてY軸方向に沿って移送する。そして、制御部2aは、Y軸方向に沿う移送によって保持ヘッド34がクリーニング部38の位置に到達したときには、(a)保持ヘッド34に保持されている部品5の下面にあるクリーニング対象領域をクリーニング部38にクリーニングさせ、(b)クリーニング部38に対する保持ヘッド34の相対位置を、部品5の下面に対して略平行であってY軸方向と交差するX軸方向に変更する。具体的には、制御部2aは、その相対位置の変更では、保持ヘッド34をクリーニング部38の回転軸の方向に沿って移動させることによって、相対位置を変更する。
なお、本実施の形態では、制御部2aは、保持ヘッド34をX軸方向(すなわち回転軸の方向)に移動させることによって、その相対位置を変更するが、逆に、クリーニング部38をX軸方向に移動させてもよい。また、制御部2aは、保持ヘッド34およびクリーニング部38の両方をX軸方向に移動させてもよい。つまり、制御部2aは、保持ヘッド34およびクリーニング部38のうちの少なくとも一方をX軸方向に沿って移動させることによって、その相対位置を変更してもよい。
これにより、保持ヘッド34がクリーニング部38の位置に到達したときには、保持ヘッド34とクリーニング部38とのX軸方向の相対位置が変更される。したがって、その相対位置の変更前のクリーニング部38によるクリーニングによって、部品5のクリーニング対象領域の一部がクリーニングされなくても、その相対位置の変更後には、その変更前にクリーニングされなかった部分をクリーニングすることができる。その結果、クリーニング部38がクリーニング対象領域よりも第2方向に短くても、クリーニング対象領域の全体をクリーニングすることができる。したがって、FPCのような様々なサイズの部品5を基板3に圧着する場合であっても、クリーニング部38を大きくする必要がない。これにより、部品圧着装置100の大型化を抑えることができるとともに、部品5のクリーニング対象領域の異物を取り除いて、その部品5を基板3に適切に圧着することができる。
また、制御部2aは、クリーニング対象領域の方が、部品5の一面におけるクリーニング部38と接する接触領域よりも、X軸方向に長い場合に、その相対位置を変更する。これにより、クリーニング対象領域のX軸方向の長さが、接触領域のX軸方向の長さ以下である場合には、相対位置を変更しないように、すなわち、保持ヘッド34およびクリーニング部38のうちの少なくとも一方をX軸方向に沿って移動させないようにすることができる。その結果、保持ヘッド34およびクリーニング部38のうちの少なくとも一方をX軸方向に沿って移動させなくても、部品5のクリーニング対象領域の全体をクリーニングすることができる場合にまで、その少なくとも一方を移動させる手間を省くことができる。つまり、不要な相対位置の変更を行わずに、処理負担の軽減を図ることができる。
また、制御部2aは、上述の第1パターンのように、保持ヘッド34をX軸方向に移動させる。つまり、制御部2aは、保持ヘッド34を制御することによって、保持ヘッド34に保持されている部品5の下面と、クリーニング部38との間の配置状態を、部品5の下面がクリーニング部38に接触している接触状態と、部品5の下面がクリーニング部38から離れている離間状態とに切り替える。そして、制御部2aは、上述の相対位置の変更の前および後において、配置状態が接触状態であるときに、クリーニング対象領域をクリーニング部38にクリーニングさせる。さらに、制御部2aは、配置状態が離間状態であるときに、保持ヘッド34をX軸方向に沿って移動させることによって、相対位置を変更する。なお、本実施の形態では、制御部2aは、保持ヘッド34を昇降させることによって、上述の配置状態を接触状態と離間状態とに切り替えるが、クリーニング部38を昇降させることによって、上述の配置状態を切り替えてもよい。また、制御部2aは、ヘッド移送部32に保持ヘッド34をY軸方向に移動させることによって、上述の配置状態を切り替えてもよい。つまり、制御部2aは、保持ヘッド34、ヘッド移送部32、およびクリーニング部38のうちの少なくとも1つを制御することによって、上述の配置状態を切り替えてもよい。
例えば、相対位置の変更のために、保持ヘッド34がX軸方向に沿って移動するときに、保持ヘッド34に保持されている部品5がクリーニング部38に接触していれば、その部品5はクリーニング部38からX軸方向への摩擦力を受ける。その結果、その部品5は保持ヘッド34に対してX軸方向にずれる可能性がある。しかし、第1パターンでは、保持ヘッド34がX軸方向に沿って移動するときには、保持ヘッド34に保持されている部品5は、クリーニング部38から離間している。そのため、そのX軸方向に沿う移動によって、部品5が保持ヘッド34からX軸方向にずれることを抑制することができる。
あるいは、制御部2aは、上述の第2パターンのように、保持ヘッド34をX軸方向に移動させる。つまり、制御部2aは、保持ヘッド34を制御することによって、保持ヘッド34に保持されている部品5の下面と、クリーニング部38との間の配置状態を、部品5の下面がクリーニング部38に接触している接触状態と、部品5の下面がクリーニング部38から離れている離間状態とに切り替える。そして、制御部2aは、その配置状態が接触状態であるときに、クリーニング対象領域をクリーニング部38にクリーニングさせる。さらに、制御部2aは、配置状態が接触状態であるときに、保持ヘッド34をX軸方向に沿って移動させることによって、相対位置を変更する。
これにより、配置状態が接触状態であるときに、部品5のクリーニング対象領域に対するクリーニングと、相対位置の変更とを、同時に行うことができる。つまり、クリーニング対象領域をクリーニングしながら、保持ヘッド34をX軸方向に沿って移動させることができる。したがって、クリーニングに係る時間の短縮化を図ることができる。さらに、クリーニング部38は部品5のクリーニング対象領域に接触しながら、その部品5に対してX軸方向に移動するため、クリーニングの効果を高めることができる。
[処理動作]
図8は、本実施の形態における部品圧着装置100による第1パターンにしたがった処理動作の一例を示すフローチャートである。
まず、部品圧着装置100の部品供給部33は、制御部2aによる制御に応じて、基板載置部37に載置される基板3に圧着される部品5を供給する(ステップS1)。具体的には、部品供給部33は、少なくとも1つの部品5が載置されているトレイ7を供給する。そして、制御部2aは、ヘッド移送部32を制御することによって、保持ヘッド34をX軸方向およびY軸方向に移動させて、その保持ヘッド34に、部品供給部33から供給されたトレイ7に載置されている部品5を保持させる(ステップS2)。
次に、制御部2aは、ヘッド移送部32を制御することによって、その部品5を保持している保持ヘッド34を、部品供給部33側から基板載置部37側に向けてY軸方向に沿って、クリーニング部38の上方の位置まで移送する(ステップS3)。
次に、制御部2aは、クリーニング部38に部品5のクリーニング対象領域をクリーニングさせる(ステップS4)。つまり、制御部2aは、保持ヘッド34を降下させて、部品5の下面にあるクリーニング対象領域をクリーニング部38に接触させる。そして、その部品5のクリーニング対象領域のうち、クリーニング部38と接触する接触領域が、クリーニング部38の回転によってクリーニングされる。
次に、制御部2aは、部品5のクリーニング対象領域が接触領域よりもX軸方向に長いか否かを判定する(ステップS5)。例えば、記憶部2bには、部品5のクリーニング対象領域のサイズと、クリーニング部38のサイズとが記憶されている。制御部2aは、そのクリーニング対象領域のサイズと、クリーニング部38のサイズとを記憶部2bから読み出す。そして、制御部2aは、そのクリーニング部38のX軸方向の長さを、接触領域のX軸方向の長さとして特定し、クリーニング対象領域のX軸方向の長さと比較する。
ここで、制御部2aは、クリーニング対象領域が接触領域よりも長くないと判定すると(ステップS5のNo)、クリーニング対象領域の全体のクリーニングが完了したと判断する。そして、制御部2aは、部品5の保持のし直しを保持ヘッド34に実行させる(ステップS11)。具体的には、ヘッド移送部32は、制御部2aによる制御にしたがって、保持ヘッド34をY軸方向負側に移送して、部品載置部35の上方に配置する。そして、保持ヘッド34は、部品5を部品載置部35に載置する。ヘッド移送部32は、その部品載置部35に載置された部品5の第2カメラ39bによる撮像の結果に基づいて、部品5の予め定められた位置を特定し、その位置の上方に保持ヘッド34を配置する。そして、保持ヘッド34は、降下し、部品5の予め定められた位置に接触して部品5を保持する。これにより、保持ヘッド34に保持されている部品5の位置がクリーニングによってずれても、そのずれを抑制することができる。したがって、保持ヘッド34は、部品5の予め定められた適切な位置に接触して、その部品5を保持することができる。
次に、ヘッド移送部32は、制御部2aによる制御にしたがって、保持ヘッド34をY軸方向負側に移送し、基板3の圧着対象部位の上方に配置する。そして、保持ヘッド34は、保持している部品5を基板3の圧着対象部位に仮圧着する(ステップS12)。
一方、ステップS5で、制御部2aは、クリーニング対象領域が接触領域よりも長いと判定すると(ステップS5のYes)、保持ヘッド34を上昇させることによって、その保持ヘッド34に保持されている部品5をクリーニング部38から離す(ステップS6)。そして、ヘッド移送部32は、制御部2aによる制御にしたがって、保持ヘッド34をX軸方向に移動させる(ステップS7)。次に、保持ヘッド34は、制御部2aによる制御にしたがって、降下して、保持している部品5をクリーニング部38に接触させる(ステップS8)。これにより、クリーニング対象領域のうちの、ステップS4でクリーニング部38によってクリーニングされなかった部分が、クリーニング部38に接触する。そして、制御部2aは、クリーニング部38にその部分をクリーニングさせる(ステップS9)。これにより、その部分がクリーニング部38の回転によってクリーニングされる。次に、制御部2aは、クリーニング部38のX軸方向の長さ、クリーニング対象領域のX軸方向の長さ、ステップS7におけるX軸方向の移動量等に基づき、部品5のクリーニング対象領域の全体がクリーニングされたかどうかを判定する(ステップS10)。ここで、制御部2aは、部品5のクリーニング対象領域の全体がクリーニングされていないと判定すると(ステップS10でNo)、ステップS6に戻る。その結果、部品5のクリーニング対象領域の全体がクリーニングされる。そして、制御部2aは、部品5のクリーニング対象領域の全体がクリーニングされたと判定すると(ステップS10でYes)、部品圧着装置100は、上述のステップS11およびS12の処理を実行する。
図9は、本実施の形態における部品圧着装置100による第2パターンにしたがった処理動作の一例を示すフローチャートである。
部品圧着装置100は、第1パターンのときと同様、図8のステップS1~S5の各処理を実行する。そして、ステップS6で、制御部2aは、クリーニング対象領域が接触領域よりもX軸方向に長いと判定すると(ステップS5のYes)、保持ヘッド34を上昇させることなく、ヘッド移送部32に保持ヘッド34をX軸方向に移動させる(ステップS21)。つまり、ヘッド移送部32は、クリーニング部38が部品5のクリーニング対象領域をクリーニングしている状態で、保持ヘッド34をX軸方向に移動させる。
そして、ステップS6で、クリーニング対象領域が接触領域よりもX軸方向に長くないと判定された場合(ステップS5のNo)、および、ステップS21の処理が行われた後には、部品圧着装置100は、上述のステップS11およびS12の処理を実行する。
このように、本実施の形態では、クリーニング部38に対する保持ヘッド34の相対位置がX軸方向に変更されるため、部品5のクリーニング対象領域の全体をクリーニングすることができる。つまり、FPCのような様々なサイズの部品5を基板3に圧着する場合に、クリーニング部38がその部品5のクリーニング対象領域よりもX軸方向に短くても、そのクリーニング対象領域の全体をクリーニングすることができる。したがって、クリーニング部38を大きくする必要がないため、部品圧着装置100の大型化を抑えることができる。さらに、部品5のクリーニング対象領域の異物を取り除いて、その部品5を基板3に適切に圧着することができる。
(変形例)
図10は、本変形例に係る部品圧着装置100の動きを説明するための図である。なお、図10は、部品圧着装置100をX軸方向正側から見た動きを示す。
上記実施の形態では、保持ヘッド34が、部品載置部35に載置されている部品5を保持して基板3に圧着する。一方、本変形例における部品圧着装置100は、図10に示すように、保持ヘッド34とは異なる圧着ヘッド34aを備える。本変形例では、その圧着ヘッド34aが、保持ヘッド34の代わりに、部品載置部35に載置されている部品5を保持して基板3に圧着する。
つまり、本変形例における部品圧着装置100では、保持ヘッド34は、トレイ7に載置されている部品5を保持して、その保持している部品5を部品載置部35に載置するまので処理を行う。そして、圧着ヘッド34aは、第2カメラ39bによる撮像の結果に基づいて、部品載置部35に載置されている部品5を保持し、基板3における圧着対象部位に圧着する。この圧着ヘッド34aは、ヘッド移送部32によってX軸方向およびY軸方向に移動されてもよく、ヘッド移送部32以外の他の駆動機構によって移動されてもよい。
これにより、本変形例では、保持ヘッド34および圧着ヘッド34aのそれぞれに処理を分担させることができる。その結果、保持ヘッド34による部品5のクリーニング処理と圧着ヘッド34aによる部品の圧着処理を並行して進めることが可能となり、生産性を向上できる。
一方、上記実施の形態では、圧着ヘッド34aは、保持ヘッド34であると言える。したがって、保持ヘッド34が圧着ヘッド34aの機能を兼ね備えるため、部品圧着装置100の部品点数を減らして部品圧着装置100の構成を簡略化することができる。
(その他の変形例)
以上、一つまたは複数の態様に係る部品圧着装置について、上記実施の形態およびその変形例に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態および変形例に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態およびその変形例に施したものや、上記実施の形態およびその変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれてもよい。
例えば、上記実施の形態およびその変形例では、部品5のクリーニング対象領域がクリーニング部38(すなわち接触領域)よりもX軸方向に長い場合に、保持ヘッド34がX軸方向に移動する。しかし、このような場合に限らず、保持ヘッド34は、X軸方向に移動してもよい。つまり、部品5のクリーニング対象領域がクリーニング部38よりもX軸方向に短い場合でも、クリーニング対象領域およびクリーニング部38のそれぞれのX軸方向の長さが等しい場合でも、保持ヘッド34は、X軸方向に移動してもよい。この場合には、保持ヘッド34が降下して、保持ヘッド34に保持されている部品5がクリーニング部38に接触すれば、部品5におけるクリーニング部38と接する接触領域は、クリーニング対象領域をカバーすることができる。その結果、保持ヘッド34をX軸方向に移動しなくても、そのクリーニング対象領域の全体をクリーニングすることができる。しかし、このような場合にも、保持ヘッド34をX軸方向に移動させることによって、そのクリーニングの効果をより高めることができる。
また、上記実施の形態およびその変形例では、部品5のクリーニング対象領域がクリーニング部38(すなわち接触領域)よりもX軸方向に長い場合に、保持ヘッド34がX軸方向に移動する。ここで、上述のような場合には、保持ヘッド34のX軸方向への移動前に、クリーニング対象領域のX軸方向の正側および負側のそれぞれの端部が、クリーニング部38に接触せずに、クリーニングされない可能性がある。したがって、クリーニング対象領域の両端部がクリーニングされなければ、保持ヘッド34をX軸方向の正側および負側に移動させる必要がある。そこで、保持ヘッド34のX軸方向への移動前には、クリーニング対象領域のX軸方向の正側および負側の一方の端部がクリーニング部38に接触するように、保持ヘッド34の位置を事前に調整しておいてもよい。これにより、保持ヘッド34をX軸方向に移動させるときには、そのX軸方向の正側または負側にのみ移動させれば、クリーニング対象領域の全体をクリーニングすることができ、クリーニングの効率化を図ることができる。
また、上記実施の形態およびその変形例では、部品5はFPCであるが、他の種類の部品であってもよい。
また、上記実施の形態およびその変形例では、クリーニング部38は回転ブラシであるが、回転ブラシ以外のブラシであってもよく、ブラシ以外の素材(例えば布)などであってもよい。
また、上記実施の形態およびその変形例における第2パターンでは、保持ヘッド34が、部品5をそのクリーニング部38に接触させながら、X軸方向に移動するときには、クリーニング部38は回転している。しかし、このように保持ヘッド34がX軸方向に移動するときには、クリーニング部38の回転を止めてもよい。
また、上記実施の形態およびその変形例では、クリーニング部38の上方の位置で保持ヘッド34が移動する方向は、Y軸方向に直交するX軸方向である。しかし、その保持ヘッド34が移動する方向は、X軸方向に限らず、部品5の下面に略平行であってY軸方向に交差していれば、どのような方向であってもよい。
また、上記実施の形態およびその変形例では、クリーニング部38と、部品5の下面におけるクリーニング部38と接する接触領域とは、X軸方向の長さが等しい。しかし、それらのX軸方向の長さは異なっていてもよい。この場合には、制御部2aは、図8および図9のステップS6では、例えば、クリーニング対象領域のX軸方向の長さと、記憶部2bに予め格納されている接触領域のX軸方向の長さとを比較する。
また、上記実施の形態およびその変形例における第1パターンでは、保持ヘッド34に保持されている部品5の下面と、クリーニング部38との間の配置状態を、接触状態と離間状態とに切り替えるために、保持ヘッド34を昇降させる。しかし、その配置状態を切り替えるために、保持ヘッド34をY軸方向に移動させてもよい。
また、上記実施の形態およびその変形例では、コンピュータ2の構成要素の全部又は一部は、専用のハードウェアで構成されてもよく、或いは、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)またはプロセッサ等のプログラム実行部が、HDD(Hard Disk Drive)又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。例えば、プログラム実行部は、図8および図9に示すフローチャートに含まれる各ステップを仮圧着部30に実行させる。
また、コンピュータ2の構成要素は、1つ又は複数の電子回路で構成されてもよい。1つ又は複数の電子回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。1つ又は複数の電子回路には、例えば、半導体装置、IC(Integrated Circuit)又はLSI(Large Scale Integration)等が含まれてもよい。IC又はLSIは、1つのチップに集積されてもよく、複数のチップに集積されてもよい。ここでは、IC又はLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又は、ULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるかもしれない。また、LSIの製造後にプログラムされるFPGA(Field Programmable Gate Array)も同じ目的で使うことができる。