以下では、本発明の実施の形態に係る熱圧着装置等について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ及びステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
また、本明細書及び図面において、X軸、Y軸、及び、Z軸は、三次元直交座標系の三軸を表している。X軸及びY軸は、互いに直交し、且つ、いずれもZ軸に直交する軸である。また、以下の実施の形態では、基板搬送方向のX軸正方向とし、Z軸正方向を上方とし、Z軸負方向を下方として記載する場合がある。
(実施の形態)
[構成]
まず、図1~図3を参照して、実施の形態に係る熱圧着装置の概要について説明する。
図1は、実施の形態に係る部品実装ライン1の平面図である。図2は、実施の形態に係る部品実装ライン1の概略構成図である。図3は、実施の形態に係る熱圧着装置100を含む部品実装ライン1の機能構成を示すブロック図である。
部品実装ライン1は、液晶パネル等を生産するための部品実装システムであり、基板3に駆動回路等の電子部品(以下、部品5と呼称する)を熱圧着する熱圧着装置100を有する。具体的には、部品実装ライン1は、電極部4が形成された基板3にACF(Anisotropic Conductive Film)等の異方性導電部材(ACF)6を貼着し、ACF6を介して基板3と部品5とを熱圧着させる装置である。
部品実装ライン1は、基板搬入部10と、貼着部20と、仮圧着部30と、本圧着部40、基板搬出部50と、搬送部60と、コンピュータ2と、を有する。なお、図1においては、コンピュータ2の図示を省略しているが、コンピュータ2は、貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40等の各装置と制御線等により通信可能に接続されており、各装置を制御する。
基板搬入部10、貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、及び、基板搬出部50は、この順で連結されている。部品実装ライン1は、基板3が搬送される上流側の基板搬入部10より搬入された液晶パネル基板等の長方形の基板3の周縁に設けられた複数の電極部4のそれぞれに部品5を実装する部品実装作業を実行し、部品5を実装した基板3を基板搬出部50から搬出する。複数の電極部4のそれぞれは、例えば、複数の電極により構成されている。
基板搬入部10は、搬入される基板3を載置するための基台1aを備える。基板搬入部10の基台1aには、基板3が載置されるステージ11が設けられている。ステージ11は、基台1aに対してZ軸方向に昇降する。また、ステージ11の上面には、複数の吸着孔11aが設けられており、作業者又は上流側の他の装置から搬入されてステージ11上に載置された基板3を、図示しないポンプ等の吸引器によって吸着孔11aから真空吸着して保持する。
貼着部20は、基板3の電極部4に接着部材であるACF6を貼着する貼着作業(言い換えると、貼着工程)を行う機能を備える。貼着部20は、基板移動機構21と、貼着機構22と、を備える。
基板移動機構21は、基板3を移動させる機構である。基板移動機構21は、例えば、X軸方向に可動なX軸テーブルと、Y軸方向に可動なY軸テーブルと、Z軸方向に可動なZ軸テーブルと、ステージ23と、を備える。基板移動機構21には、基台1b上に下方から順に、X軸方向に可動なX軸テーブルと、Y軸方向に可動なY軸テーブルと、Z軸方向に可動なZ軸テーブルと、ステージ23とが重ねて設けられている。
Y軸テーブルは、Y軸方向に延びて設けられ、X軸テーブル上をX軸方向に自在に移動する。Z軸テーブルは、Y軸テーブル上をY軸方向に自在に移動し、上部に設けられたステージ23をZ軸方向に昇降するとともにZ軸回りに回転させる。
また、ステージ23の上面には、複数の吸着孔23aが設けられており、ステージ23上に載置された基板3を真空吸着して保持する。このように、基板移動機構21は、基板3を吸着保持して水平面内(具体的には、X軸方向及びY軸方向)で移動させ、上下方向(具体的には、Z軸方向)で昇降させるとともにZ軸回りに回転させる。
貼着機構22は、基台1bの上方に、X軸方向に並んだ複数の貼着ヘッドを備えている。本実施の形態においては、貼着機構22は、2つの貼着機構を備えている。各貼着ヘッドは、それぞれACF6を供給する供給部とACF6を基板3に貼着するための貼着ツールとを備えている。複数の貼着ヘッドは、基板3上の複数の電極部4に対応する位置にACF6を貼着する。また、複数の貼着ヘッドのそれぞれに対応する下方の位置には、それぞれ貼着支持台が備えられている。下流側の貼着ヘッド及び貼着支持台は、ヘッド移動モータを備えるヘッド移動機構によってX軸方向に一体的に移動する。
仮圧着部30は、ACF6が貼着された領域に部品5を搭載して仮圧着する仮圧着工程を実行する。仮圧着部30は、基板移動機構31と、部品搭載機構32と、部品供給部33と、を備える。
基板移動機構31は、貼着部20の基板移動機構21と同様の構造であり、基板3を吸着保持して水平面内で移動させ、上下方向で昇降させるとともにZ軸回りに回転させる機能を備える。ステージ37の上面には、複数の吸着孔37aが設けられており、ステージ37上に載置された基板3を真空吸着して保持する。
部品搭載機構32は、基台1b上に設けられ、搭載ヘッド34と、搭載ヘッド移動機構35と、搭載支持台36と、を備える。搭載ヘッド34は、搭載ヘッド移動機構35によって水平面内で自在に移動し、Z軸方向に昇降して部品供給部33が供給する部品5を上方から吸着(つまり、ピックアップ)する。基板移動機構31は、保持する基板3のACF6が貼着された領域を搭載支持台36の上方に位置させる。部品搭載機構32は、吸着した部品5をACF6上に搭載して基板3ごと搭載支持台36に押し付けることで、基板3に部品5を仮圧着する。仮圧着部30は、基板移動機構31によって保持する基板3の方向を90度回転させる機構を備えてもよい。
部品供給部33は、部品搭載機構32の後方(Y軸正方向側)に基台1bの後部から張り出して設けられており、部品搭載機構32に部品5を供給する。
本圧着部40は、仮圧着部30によって基板3に仮圧着された部品5を基板3に本圧着(つまり、熱圧着)する本圧着工程(つまり、熱圧着工程)を実行する。こうすることで、基板3に形成された電極部4と部品5とはACF6を介して電気的に接続される。本圧着部40の具体的な構成については、後述する。
基板搬出部50は、本圧着部40から搬送された基板3をステージ51上に真空吸着して保持する機能を備える。基板搬出部50において保持された基板3は、下流側の他の装置に搬出されるか、作業者によってステージ51から取り出される。
ステージ51は、基台1cに対してZ軸方向に昇降する。また、ステージ51の上面には、複数の吸着孔51aが設けられており、本圧着部40から移送された基板3をステージ51上で真空吸着して保持する。基板搬出部50において保持された基板3は、下流側の他の装置に搬出されるか、作業者によってステージ51から取り出される。
搬送部60は、基板3を搬送する装置である。具体的には、搬送部60は、基板搬入部10に搬入された基板3を、貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、及び、基板搬出部50へこの順に所定の作業部間で基板3を受け渡す(移送する)機能を備える。搬送部60は、貼着部20、仮圧着部30、及び本圧着部40の前方領域(Y軸負方向側)に配置されている。
搬送部60は、基台1a、基台1b、及び、基台1cにわたってX軸方向に延びた移動ベース61上に、上流側から順に、基板搬送機構62A、基板搬送機構62B、基板搬送機構62C、及び、基板搬送機構62Dを備えている。
基板搬送機構62A~62Dは、それぞれ基部63及び1以上のアームユニット64を備える。本実施の形態では、基板搬送機構62A~62Dがそれぞれ2基のアームユニット64を備える場合を例示している。
基部63は、移動ベース61上に設けられ、X軸方向に自在に移動する。基部63上には、2基のアームユニット64がX軸方向に並んで設けられている。アームユニット64には、水平後方に延びた1以上のアーム状の吸着ノズル64a(図4参照)がX軸方向に並んで設けられ、当該アームには、吸着面を下方に向けた吸着パッド65(図4参照)が設けられている。本実施の形態では、アームユニット64は、2本の吸着ノズル64aを備え、基板搬送機構62A~62Dは、それぞれ2つの吸着パッド65を備える場合を例示している。
アームユニット64は、2本の吸着ノズル64aに設けられた計4個の吸着パッド65を介して基板3を上方から真空吸着する。
基板搬送機構62A~62Dのそれぞれは、ステージ11、23、37、49、51が保持する基板3を上方から真空吸着する基板受け渡し位置に移動して、昇降するステージ11、23、37、49、51から基板3の受け取り又は受け渡しを行う。例えば、基板搬送機構62Aは、基板搬入部10のステージ11に載置された基板3を受け取り、貼着部20のステージ23に受け渡す。また、例えば、基板搬送機構62Bは、貼着部20のステージ23から基板3を受け取り、仮圧着部30のステージ37に受け渡す。また、例えば、基板搬送機構62Cは、仮圧着部30から基板3を受け取り、本圧着部40のステージ49に受け渡す。また、例えば、基板搬送機構62Dは、本圧着部40のステージ49から基板3を受け取り、基板搬出部50のステージ51に受け渡す。
コンピュータ2は、熱圧着装置100及び部品実装ライン1が有する各装置の動作を制御するための制御装置である。コンピュータ2は、制御部2aと、記憶部2bとを備える。
記憶部2bは、部品実装ライン1によって製造される液晶パネル基板などの基板3のサイズ、基板3に実装する部品5の種類、実装位置、実装方向、基板3を各作業部間で移送するタイミング等の部品実装作業に必要な各種データ、制御部2aが実行する制御プログラム等を記憶する。記憶部2bは、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により実現される。
制御部2aは、貼着部20の基板移動機構21、仮圧着部30の基板移動機構31、本圧着部40の基板移動機構41、搬送部60を制御して、基板3を各作業部間で次の工程へ移送する基板移送作業を実行する。基板移送作業における上流側から下流側への基板3の移送は、各作業部間で同期して行われる。
例えば、制御部2aは、貼着部20を制御することで、基板移動機構21によって保持する基板3の向き及び位置を変更し、ヘッド移動モータによって複数の貼着ヘッドの間隔を変更し、貼着機構22によって基板3にACF6を貼着する貼着作業を貼着部20に実行させる。
また、例えば、制御部2aは、仮圧着部30を制御することで、基板移動機構31によって保持する基板3の向き及び位置を変更し、部品供給部33から供給される部品5を部品搭載機構32によって基板3に仮圧着させる。
また、例えば、制御部2aは、本圧着部40を制御することで、基板移動機構41によって保持する基板3の向き及び位置を変更し、熱圧着部42によって基板3に仮圧着された部品5を本圧着させる。
制御部2aは、例えば、記憶部2bに記憶され、熱圧着装置100及び部品実装ライン1が有する各装置を制御するための制御プログラムと、当該制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)とにより実現される。
[熱圧着装置]
<構成>
続いて、図3及び図4を参照して、熱圧着装置100の具体的な構成について説明する。より具体的には、熱圧着装置100が有する本圧着部40の具体的な構成について説明する。
図4は、実施の形態に係る本圧着部40を示す斜視図である。
図3に示す熱圧着装置100は、液晶パネル等を生産する部品実装ライン1において、仮圧着部30で基板3の電極部4に仮圧着されたACF6を介して基板3に部品5を熱圧着する装置である。
なお、本実施の形態では、熱圧着装置100は、コンピュータ2と、本圧着部40と、搬送部60とを有するとして説明する。なお、熱圧着装置100の各構成要素を制御するコンピュータ2(具体的には、制御部2a)は、部品実装ライン1が有する熱圧着装置100以外の貼着部20、仮圧着部30等の各装置を制御するコンピュータと同一でもよいし、異なってもよい。
図3に示すように、本圧着部40は、基板移動機構41と、熱圧着部42と、ヒータ49bとを備える。
基板移動機構41は、貼着部20の基板移動機構21と同様の構造であり、ステージ49に基板3を吸着保持して水平面内で移動させ、上下方向で昇降させるとともにZ軸回りに回転させる機能を備える。
ステージ49は、基板3を加熱するためのヒータ49bを備え、搬送部60により搬送された基板3が載置される台である。具体的には、ステージ49は、搬送部60(具体的には、基板搬送機構62C)により仮圧着部30で部品5が仮圧着された基板3が載置される台である。ステージ49の上面には、複数の吸着孔49aが設けられており、ステージ49上に載置された基板3を真空吸着して保持する。
また、ステージ49は、図3に示すヒータ49bによって加熱されることで、基板3を加熱する。ヒータ49bは、ステージ49に載置された基板3を加熱することができればよく、構成及び配置は特に限定されない。本実施の形態では、ステージ49は、熱伝導性を有する金属部材から構成され、ヒータ49bは、ステージ49の内部に位置し、ステージ49を介して基板3を加熱する構成を例示している。例えば、基板3が液晶パネルに用いられる基板である場合、本圧着工程において基板3をヒータ49bによりに加熱することで、液晶パネルが画像を表示する際の色むらを低減させることができる。ヒータ49bが基板3を加熱する温度は、特に限定されないが、例えば、40℃~50℃である。
熱圧着部42は、ステージ49に載置された基板3にACF6を介して部品5を熱圧着する。図4に示すように、熱圧着部42は、圧着部43と、圧着支持部44と、を備えている。
圧着部43は、ベース部43aに対してX軸方向に調整自在な複数の圧着ユニット45を含んで構成される。本実施の形態では、圧着部43が圧着ユニットを8つ備える場合を例示している。圧着部43が備える圧着ユニットは、特に限定されない。
ベース部43aには、X軸方向に伸びた一対のガイド部43bが設けられている。ガイド部43bには、垂直姿勢で配設された矩形平板状の複数の取り付け部材46がX軸方向に調整自在に装着されている。
圧着ユニット45は、加圧機構47と圧着ヘッド48と、を備える。
加圧機構47は、取り付け部材46に取り付けられている。加圧機構47は、上下に突没自在なロッド47aを備え、ロッド47aの下端部に圧着ヘッド48が設けられている。
複数の圧着ヘッド48は、圧着支持部44の上方に一列に並んで配置されている。作業者は、圧着ユニット45を所望の位置に調整させることで、圧着ヘッド48の間隔を基板3に仮圧着された部品5の間隔に合わせて変更することができる。
また、圧着ヘッド48は、ヒータ等の加熱部を内蔵しており、部品5の圧着前に加熱部によって所定温度まで加熱される。圧着ヘッド48は、加圧機構47の駆動によって下降し、基板3の縁部に搭載された部品5を加熱しながら基板3に押圧することで、基板3に部品5を本圧着する。このとき、ACF6は、圧着ヘッド48から生じる熱により硬化が促進される。
また、本圧着部40は、基板移動機構41によって保持する基板3の方向を90度回転させて、基板3の周縁に仮圧着された部品5を本圧着する。なお、熱圧着部42は、上記の構成に限定されることなく、基板3の周縁に仮圧着された部品5を同時に本圧着できる圧着ヘッド48の数及び形状(例えば、X軸方向の長さ)であればよい。
コンピュータ2が備える制御部2aは、例えば、搬送部60により基板3をヒータ49bにより加熱されたステージ49に載置させ、ステージ49に載置された基板3に、熱圧着部42により部品5を熱圧着させる。
また、制御部2aは、例えば、ステージ49に基板3が載置された後で、基板3と部品5との熱圧着が完了するまでの間に、熱圧着装置100を除く部品実装ライン1が有する装置の異常を示す他装置異常信号を受信した場合には、熱圧着部42により基板3に部品5を熱圧着させてから、基板3を搬送部60によりステージ49から離間させ、さらに(具体的には、基板3を搬送部60によりステージ49から離間させた後で)、熱圧着装置100を停止させる。
また、制御部2aは、例えば、熱圧着部42により熱圧着させる前に、熱圧着装置100の異常を示す自装置異常信号を受信した場合には、熱圧着部42により基板3に部品5を熱圧着させずに、基板3を搬送部60によりステージ49から離間させてから、熱圧着装置100を停止させる。
例えば、コンピュータ2は、貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、搬送部60等と信号の送受信をするための通信インターフェースである図示しない通信部を備える。貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、搬送部60等の各装置もまた、コンピュータ2と信号の送受信をするための通信インターフェースである図示しない通信部を備える。
また、例えば、貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、搬送部60等の各装置は、自身の不具合を検出する図示しない検出部を備える。
ここで、不具合とは、貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、搬送部60等の各装置が、断線等の故障、基板3が所定の位置にない等、それぞれ実行すべき動作をすることができず、動作を停止する必要がある不具合である。
例えば、熱圧着装置100を除く部品実装ライン1が有する装置の異常とは、貼着部20、仮圧着部30等の異常であり、これら装置の不具合としては、貼着部20におけるACF6の貼着位置の位置ずれ、仮圧着部30における部品5の搭載位置の位置ずれ等を含んでもよい。なお、制御部2aは、部品実装ライン1が有する図示しない他の装置から他装置異常信号を受信し、受信した他装置異常信号に基づいた制御を実行してもよい。
また、例えば、熱圧着装置100の異常とは、本圧着部40の異常であり、熱圧着装置100の不具合としては、ヒータ49bが加熱しない等の不具合を含んでもよい。
また、検出部は、不具合を検出できればよく、例えば、各装置が備える電気的な導通を検出するセンサ、基板3に対するACF6、部品5等の位置を検出するセンサ等である。例えば、熱圧着装置100の不具合としては、ヒータ49bが加熱しない等の不具合を検出する温度センサ等を含んでもよい。各装置が備える通信部は、各装置が備える検出部が自身の不具合を検出した場合、制御部2aへ不具合を示す異常信号を送信する。制御部2aは、受信した信号に基づいて、熱圧着装置100が有する各装置を制御する。
<本圧着工程>
続いて、図5及び図6を参照して、本圧着部40が実行する本圧着工程(熱圧着工程)の具体的な手順について説明する。
図5及び図6は、実施の形態に係る本圧着部40が実行する本圧着工程を説明するための側面図である。
まず、図5の(a)に示すように、ステージ49は、基板3を保持したアームユニット64の下方まで移動される。具体的には、仮圧着部30によってACF6を介して部品5が仮圧着された基板3は、例えば図1に示す基板搬送機構62Cが備える吸着ノズル64aの先端に配置された吸着パッド65に吸着されて、仮圧着部30のステージ37から本圧着部40の受け渡し位置まで移動される。そして、本圧着部40のステージ49が、ステージ49に基板3が載置される受け渡し位置の下方に移動される。ステージ49は、ヒータ49bによって加熱された状態となっている。制御部2aがヒータ49bを制御してステージ49を加熱するタイミングは特に限定されないが、基板3が載置される際には、ヒータ49bによって加熱されたステージ49の温度が安定している状態であるとよい。
次に、図5の(b)に示すように、ステージ49が上方に移動する。
次に、図5の(c)に示すように、アームユニット64は、基板3の吸着を解除して基板3をステージ49に載置し、その後、基板3の載置されたステージ49は下方に移動する。つまり、図5の(c)は、熱圧着装置100がステージ49に基板3を載置する載置工程を示す図である。
次に、図5の(d)に示すように、ステージ49は、圧着支持部44及び圧着ヘッド48側(具体的には、Y軸正方向側)の作業位置まで移動する。作業位置においては、基板3、部品5及びACF6が圧着支持部44と圧着ヘッド48との間の空間に配置される。
次に、図5の(e)に示すように、ステージ49は、下方に移動し、図5の(f)に示すように、圧着ヘッド48は、下方に移動する。こうすることで、図5の(g)に示すように、基板3、部品5及びACF6は、圧着支持部44及び圧着ヘッド48に挟みこまれる。つまり、部品5は、基板3に本圧着される。つまり、図5の(d)~図5の(g)は、熱圧着装置100が基板3と部品5とを熱圧着する熱圧着工程を示す図である。
次に、図6の(h)に示すように、圧着ヘッド48は、上方に移動する。これにより圧着ヘッド48が部品5から離れる。
次に、図6の(i)に示すように、ステージ49が上方に移動する。
次に、図6の(j)に示すように、ステージ49は、圧着支持部44及び圧着ヘッド48から離れる方向(具体的には、Y軸負方向)へ移動する。具体的には、ステージ49は、基板移動機構41によって作業位置から、アームユニット64が待機する受け渡し位置側へ移動する。より具体的には、図6の(j)では、例えば図1に示す基板搬送機構62Dが備えるアームユニット64の下方までステージ49が移動する。
次に、図6の(k)に示すように、ステージ49が上方に移動し、アームユニット64は基板3を吸着する。
次に、図6の(l)に示すように、ステージ49が下方に移動する。
次に、図6の(m)に示すように、ステージ49は、Y軸正方向に移動する。
その結果、図6の(n)に示すように、基板3は、アームユニット64に吸着された状態で図5の(a)と同様の受け渡し位置に戻り、アームユニット64は、例えば、ステージ51に基板3を載置させるためにさらに移動を開始する。
熱圧着装置100は、図5の(a)~図6(n)の動作を順次繰り返すことで、本圧着工程を実行し続ける。
<処理手順>
続いて、図5~図7を参照して、熱圧着装置100の具体的な動作について説明する。
まず、制御部2aは、信号を受信したとする(ステップS101)。
次に、制御部2aは、ステップS101で受信した信号が、部品実装ライン1が有する装置のうちの熱圧着装置100の異常を示す異常信号である自装置異常信号であるか、部品実装ライン1が有する装置のうちの熱圧着装置100以外の装置の異常を示す異常信号である他装置異常信号であるかを判定する。具体的には、制御部2aは、熱圧着装置100以外の異常を示す他装置異常信号であるか否かを判定する(ステップS102)。
制御部2aは、受信した信号が、他装置異常信号であると判定した場合(ステップS102でYes)、本圧着部40に本圧着工程を継続させる(ステップS103)。
次に、制御部2aは、本圧着工程が完了したら(ステップS104)、熱圧着装置100の動作を停止させる(ステップS105)。
このように、制御部2aは、熱圧着装置100を除く部品実装ライン1が有する装置の異常を示す他装置異常信号を受信した場合には、熱圧着部42により基板3に部品5を熱圧着させてから、基板3を搬送部60によりヒータ49bにより加熱されたステージ49から離間させ、さらにその後で、熱圧着装置100を停止させる。
このような構成によれば、本圧着工程中に熱圧着装置100を除く部品実装ライン1が有する装置が故障し、復旧作業等のために熱圧着装置100を停止させざるをえない状況においても、ヒータ49bにより加熱されたステージ49から基板3を離すことができる。そのため、基板3は、ヒータ49bにより加熱されたステージ49に載置され続けることで加熱され続けることによる劣化が回避される。これにより、熱圧着装置100によれば、不良品の発生は、抑制される。また、例えば、異常信号に基づく部品実装ライン1が有する装置の異常が取り除かれ、部品実装ライン1を再稼働させた際に、より効率的に部品実装ライン1が有する各装置を稼働させることができる。
なお、ステップS103では、制御部2aは、図5の(g)に示す本圧着を完了させ、ステージ49から基板3を離間させた状態まで移動させればよい。具体的には、制御部2aは、図6の(m)に示す状態まで基板3を移動させた後に熱圧着装置100の動作を停止させてもよいし、図6の(n)に示す状態まで基板3を移動させた後に熱圧着装置100の動作を停止させてもよいし、基板3を基板搬出部50のステージ51まで移動させた後に熱圧着装置100の動作を停止させてもよい。
一方、制御部2aは、受信した信号が、異常信号の一例であって、熱圧着装置100(具体的には、本圧着部40)の異常を示す自装置異常信号であるか否かを判定する(ステップS106)。
制御部2aは、受信した信号が、本圧着部40の異常を示す自装置異常信号であると判定した場合(ステップS106でYes)、本圧着部40に本圧着工程を継続させず、実行している本圧着工程を中断させる(ステップS107)。
次に、制御部2aは、ステージ49から基板3を離間させ(ステップS108)、熱圧着装置100の動作を停止させる(ステップS105)。具体的は、制御部2aは、例えば、図3に示す搬送部60に基板3をステージ49に載置させた後、且つ、熱圧着部42により基板3に部品5を熱圧着させる前に、自装置異常信号を受信した場合には、熱圧着部42により基板3に部品5を熱圧着させずに、基板3を搬送部60によりステージ49から離間させ、その後、熱圧着装置100を停止させる。より具体的には、ステップS108において、制御部2aは、アームユニット64とステージ49とを制御することで、ステージ49に載置されている基板3をアームユニット64で吸着してステージ49から離間させる。例えば、図5の(c)~図5の(g)の状態においては、制御部2aは、基板3を図5の(b)の状態となるように、搬送部110(具体的には、アームユニット64及び基板移動機構41)を制御する。
なお、例えば、図6の(h)~図6の(l)の状態において、自装置異常信号を受信した場合には、制御部2aは、基板3を図6の(m)の状態となるように、搬送部110(具体的には、アームユニット64及びステージ49)を制御してもよい。
また、ステップS107及びステップS108では、制御部2aは、図5の(g)に示す本圧着をさせずに、ステージ49から基板3を離間させた状態まで移動させ、その後熱圧着装置100の動作を停止させればよい。具体的には、制御部2aは、図5の(b)に示す状態まで基板3を移動させた後に熱圧着装置100の動作を停止させてもよいし、基板3をステージ37又はステージ51まで移動させた後に熱圧着装置100の動作を停止させてもよい。或いは、部品実装ライン1は、ステージ49から基板3を移動させるためのステージをさらに有してもよい。
このように、制御部2aは、熱圧着部42により熱圧着させる前に、熱圧着装置100の異常を示す自装置異常信号を受信した場合には、熱圧着部42により基板3に部品5を熱圧着させずに、基板3を搬送部60によりステージ49から離間させてから、さらにその後で、熱圧着装置100を停止させる。
このような構成によれば、制御部2aは、本圧着工程中に熱圧着装置100が有する装置が故障し、熱圧着装置100を停止させざるをえない状況においても、ヒータ49bにより加熱されたステージ49から基板3を離すことができる。そのため、基板3は、ヒータ49bにより加熱されたステージ49に載置され続けることで加熱され続けることによる劣化が回避される。これにより、熱圧着装置100によれば、不良品の発生は、抑制される。
また、制御部2aは、受信した異常信号が熱圧着装置100(具体的には、本圧着部40)の異常を示す自装置異常信号であるか、受信した異常信号が熱圧着装置100(具体的には、本圧着部40)以外の異常を示す他装置異常信号であるかによって、制御内容を適切に変更する。こうすることで、制御部2aは、例えば、異常信号の原因となった部品実装ライン1が有する装置の異常が取り除かれ、部品実装ライン1を再稼働させた際に、より効率的に部品実装ライン1が有する各装置を稼働させることができる。例えば、基板3の不良の発生を抑制できるために、熱圧着工程に一度入った基板3を工程から取り除くことなく、そのまま部品実装ライン1が有する各装置を稼働させることができる。
なお、制御部2aは、受信した信号が、本圧着部40の異常を示す自装置異常信号でないと判定した場合(ステップS106でNo)、信号に応じた制御を実行してもよい。例えば、ステップS109において、制御部2aは、部品実装ライン1が有する全ての装置を緊急に停止させる必要があることを示す緊急停止信号を受信した場合、部品実装ライン1が有する全ての装置を停止させてもよい。
(その他の実施の形態)
以上、本実施の形態に係る熱圧着装置等について、上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態では、コンピュータ2の構成要素の全部又は一部は、専用のハードウェアで構成されてもよく、或いは、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)又はプロセッサ等のプログラム実行部が、HDD(Hard Disk Drive)又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
また、コンピュータ2の構成要素は、1つ又は複数の電子回路で構成されてもよい。1つ又は複数の電子回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
1つ又は複数の電子回路には、例えば、半導体装置、IC(Integrated Circuit)又はLSI(Large Scale Integration)等が含まれてもよい。IC又はLSIは、1つのチップに集積されてもよく、複数のチップに集積されてもよい。ここでは、IC又はLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又は、ULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるかもしれない。また、LSIの製造後にプログラムされるFPGA(Field Programmable Gate Array)も同じ目的で使うことができる。
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。