JP7393646B2 - 被圧延材の蛇行制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、被圧延材の尾端部の蛇行制御方法に関する。
例えば鉄鋼等の被圧延材を圧延スタンドにより圧延する際、被圧延材の幅方向の中心が、ミルセンター(圧延機の幅方向の中心位置、すなわち、ワークロールの回転軸方向の中心位置)からずれてしまい、被圧延材がワークロールの端部の方向に移動してしまう、いわゆる蛇行と呼ばれる現象が生じることがある。蛇行が生じると、被圧延材の平坦度が低下し、製品品質の低下につながる可能性がある。また、蛇行量が大きい場合には、被圧延材の尾端部がサイドガイドに接触して屈曲してしまい、被圧延材が二重に折れ込まれた状態で圧延機に咬み込まれる、絞りと呼ばれる不良が生じ得る。絞りが生じると、屈曲した圧延材によってワークロールの表面が傷付けられるため、生産ラインを停止して、ワークロールの点検、手入れ又は交換等の保守作業を行う必要があり、生産ラインの稼働率を低下させてしまう恐れがある。
被圧延材の蛇行を抑制するための制御手法は、従来から検討されている。例えば、特許文献1には、ストリップの連続仕上圧延機のうちの最終仕上圧延機をのぞく任意の圧延スタンド(N-1)のロードセルもしくは該圧延スタンドの前面に設けた圧延材検出器で、前段圧延スタンドの圧延材の尻抜けを検出し、前段圧延スタンドに隣接する次段の制御対象圧延スタンドNのロールギャップを広げて被圧延材尾部を厚くすることで、尻絞りを防止する手法が開示されている。また、特許文献2には、圧延材後端部の通過時に、ロールベンディング装置によりワークロールの胴長方向端部を狭めて、圧延材の板端方向移動を抑制することで、サイドガイドとの干渉による被圧延材の絞り込みを防止する手法が開示されている。
特開昭55-161505号公報 特開昭58-145303号公報
中島浩衛、外5名、"ホットストリップ圧延における蛇行制御法の研究(第1報)"、昭和55年度塑性加工春季講演会、1980年、p.61-64 日本鉄鋼協会編、「板圧延の理論と実際(改訂版)」、2010年、p.89-95
しかし、上記特許文献1、2に記載の手法のように、被圧延材の尾端部が圧延機を通過する際にロールギャップを開放もしくはベンディング力を負荷することにより蛇行を制御する方法では、操作量が過小で絞りに至る場合や、操作量が過大で被圧延材の尾端部が所望の板厚もしくは形状に圧延されず、生産歩留を低下させてしまう恐れがある。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、被圧延材の尾端部における蛇行量を低減させ、絞りの発生を抑止するとともに、被圧延材の尾端部における厚み不良及び形状不良に起因する歩留落ちを低減させることが可能な、被圧延材の蛇行制御方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、N個(Nは自然数)の圧延スタンドによる被圧延材の圧延において、第Mスタンド(1≦M≦N)における被圧延材の蛇行を制御する、被圧延材の蛇行制御方法であって、予め、第Mスタンドにおける、被圧延材の蛇行量が許容値未満となる第一種平行剛性の閾値ETHを設定する閾値設定ステップと、第Mスタンドでの第一種平行剛性実績計算値Ebを算出する第一種平行剛性算出ステップと、第一種平行剛性実績計算値Ebが閾値ETH以下である場合は、蛇行制御を行わず、第一種平行剛性実績計算値Ebが閾値ETHより大きい場合は、第一種平行剛性実績計算値Ebに基づいて、第一種平行剛性を閾値ETH以下とするための第Mスタンドの圧下位置変更量ΔSまたはベンディング力変更量ΔFのうち少なくともいずれか一方を算出し、被圧延材の尾端部が第Mスタンドを通過する間、圧下位置変更量ΔSまたはベンディング力変更量ΔFのうち少なくともいずれか一方に基づいて、第Mスタンドにおける圧下位置またはベンディング力のうち少なくともいずれか一方を制御する制御ステップと、を含む、被圧延材の蛇行制御方法が提供される。
第一種平行剛性算出ステップでは、被圧延材の先端が第Mスタンドに噛み込んでから被圧延材の尾端部が第Mスタンドで圧延される前までの間において同時に取得した、第Mスタンドにおける圧延荷重実績値Pb及びベンディング力実績値Fbに基づいて、第Mスタンドでの第一種平行剛性実績計算値Ebを算出してもよい。
あるいは、第一種平行剛性算出ステップでは、セットアップ計算により、第Mスタンドにおける圧延荷重設定値Pt及びベンディング力設定値Ftを算出し、第Mスタンドでの第一種平行剛性設定計算値Etに対する、圧延荷重の影響係数dE/dP、ベンディング力の影響係数dE/dF及び圧下位置の影響係数dE/dSを、圧延荷重設定値Pt及びベンディング力設定値Ftを基準として算出し、被圧延材の先端が第Mスタンドに噛み込んでから被圧延材の尾端部が第Mスタンドで圧延される前までの間において同時に取得した、第Mスタンドにおける圧延荷重実績値Pb及びベンディング力実績値Fbと、第Mスタンドにおける圧延荷重設定値Pt及びベンディング力設定値Ftとから、設定値と実績値との圧延荷重差Pdef及びベンディング力差Fdefを算出し、圧延荷重差Pdef、ベンディング力差Fdef、圧延荷重の影響係数dE/dP、及び、ベンディング力の影響係数dE/dFから、第Mスタンドでの第一種平行剛性実績計算値Ebを算出してもよい。
以上説明したように本発明によれば、被圧延材の尾端部における蛇行量を低減させ、絞りの発生を抑止することができるとともに、被圧延材の尾端部における厚み不良及び形状不良に起因する歩留落ちを低減させることができる。
本発明の一実施形態に係る圧延スタンドの一構成例を示す模式図である。 被圧延材の尾端部直前での第一種平行剛性と尾端部の蛇行との相関の一例を示すグラフである。 蛇行制御例1の処理を示すフローチャートである。 蛇行制御例1における第一種平行剛性実績計算値Ebの算出処理の概要を示す模式図である。 被圧延材の圧延荷重実績値Pb及びベンディング力実績値Fbから一次近似により第一種平行剛性実績計算値Ebを算出するイメージを示す模式図である。 第一種平行剛性の圧延荷重に対する影響係数の算出方法を説明する説明図である。 第一種平行剛性のベンディング力に対する影響係数の算出方法を説明する説明図である。 第一種平行剛性実績計算値(モデル利用)と第一種平行剛性実績計算値(影響係数利用)との相関の一例を示すグラフである。 本実施形態に係る被圧延材の蛇行制御方法の制御対象となる圧延スタンドと、そのときの圧延荷重及びベンディング力の測定タイミングを示す説明図である。 蛇行制御例2における第一種平行剛性実績計算値Ebの算出処理の概要を示す模式図である。 蛇行制御例2の処理を示すフローチャートである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[1.圧延スタンドの構成]
まず、図1に基づいて、本発明の一実施形態に係る圧延スタンド10の概略構成について説明する。図1は、本実施形態に係る圧延スタンド10の一構成例を示す模式図である。図1では、圧延スタンド10をロール胴長方向の作業側から見た状態を示しており、被圧延材Sの通板方向(圧延方向)は紙面右から左に向かっているとする。
なお、図1では、1基の圧延スタンド10のみを図示しているが、かかる圧延スタンド10は、例えば、熱間圧延における仕上タンデム圧延機を構成する一圧延機であり得る。仕上タンデム圧延機は、複数の圧延スタンド10を一方向に配列して構成されている。被圧延材は、各圧延スタンドを連続的に通過しながら段階的に薄く延ばされることにより、最終的に所望の板厚とされる。なお、本技術は、1基の圧延スタンド10を備える単スタンドの圧延機にも適用可能である。
本実施形態に係る圧延スタンド10は、図1に示すように、一対の作業ロール1、2と、これを支持する一対の補強ロール3、4とを有する4段の圧延機を有する。上作業ロール1は上作業ロールチョック5により支持されており、下作業ロール2は下作業ロールチョック6により支持されている。なお、上作業ロールチョック5及び下作業ロールチョック6は、図1紙面奥側(駆動側)にも同様に設けられており、それぞれ上作業ロール1、下作業ロール2を支持している。上補強ロール3は上補強ロールチョック7により支持されており、下補強ロール4は下補強ロールチョック8により支持されている。上補強ロールチョック7及び下補強ロールチョック8は、図1紙面奥側(駆動側)にも同様に設けられており、それぞれ上補強ロール3、下補強ロール4を支持している。上作業ロールチョック5、下作業ロールチョック6、上補強ロールチョック7、及び下補強ロールチョック8は、ハウジング9により保持されている。
ハウジング9は、当該ハウジング9から各ロールチョック5~8が配置される内側に突出した入側プロジェクトブロック9a及び出側プロジェクトブロック9bを有する。入側プロジェクトブロック9a及び出側プロジェクトブロック9bは、インクリースベンディング装置11a~11dを介して、作業ロールチョック5、6を支持している。また、作業ロールチョック5、6と補強ロールチョック7、8との間には、ディクリースベンディング装置12a~12dが設けられてもよい。
インクリースベンディング装置11a~11dは、ロール開度を大きくする方向の力を作業ロールチョック5、6に与える装置である。インクリースベンディング装置11a~11dは、例えば油圧シリンダー等の駆動装置によって構成される。ディクリースベンディング装置12a~12dは、ロール開度を小さくする方向の力を作業ロールチョック5、6に与える装置である。ディクリースベンディング装置12a~12dは、例えば油圧シリンダー等の駆動装置によって構成される。
圧下装置13は、最上部のロールである上補強ロール3の上方に設置され、上補強ロール3及び上作業ロール1の圧下方向における位置(以下、「圧下位置」ともいう。)を調整することで、上作業ロール1と下作業ロール2との間隙を調整する。圧下装置13は、例えば油圧シリンダー等の駆動装置により構成される。圧下装置13と上補強ロールチョック7との間には、圧下方向の荷重(すなわち、圧延荷重)を検出する圧延荷重検出装置14が設けられている。圧延荷重検出装置14は、例えばロードセルであってもよい。
作業ロール1、2は、所定のロール回転速度で回転するとともに上下から所定の圧力で被圧延材Sを圧下することにより、被圧延材Sを一方向に通板しながら所定の板厚とする。作業ロール1、2の圧下位置(すなわち、ロールギャップ)は、圧延後の被圧延材Sの板厚の目標値や圧下率等の圧延条件に応じて、圧下装置13によって適宜調整される。
圧延スタンド10では、蛇行制御装置100により、被圧延材Sの尾端部が圧延スタンド10を通過するときの蛇行制御が実施される。蛇行制御装置100は、被圧延材Sの尾端部での蛇行しやすさの指標である第一種平行剛性に応じて、必要な場合のみインクリースベンディング装置11a~11dあるいは圧下装置13を駆動させ、必要な量だけベンディング力を負荷したり圧下位置を変更したりする。これにより、被圧延材Sの尾端部における蛇行量を低減させ、絞りの発生を抑制する。なお、ベンディング力は、インクリースベンディング装置11a~11dだけでなく、ディクリースベンディング装置12a~12dも駆動させて負荷してもよい。
蛇行制御装置100は、例えばCPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等の各種のプロセッサによって構成され、蛇行制御装置100の機能は、当該プロセッサが所定のプログラムにしたがって動作されることにより実現され得る。
また、蛇行制御装置100により蛇行制御を実施するか否かは、上述したように、第一種平行剛性実績計算値に基づき決定される。第一種平行剛性実績計算値の算出は、演算処理装置(後述する図4または図10の演算処理装置200)により行われる。演算処理装置も、例えばCPUやDSP等の各種のプロセッサによって構成される。演算処理装置の機能は、当該プロセッサが所定のプログラムにしたがって動作されることにより実現され得る。
なお、蛇行制御装置100は、圧延スタンド10の動作を制御する機能を有すればよく、その具体的な構成は限定されない。演算処理装置も同様に、第一種平行剛性実績計算値の算出機能を有すればよく、その具体的な構成は限定されない。例えば、蛇行制御装置100及び演算処理装置は、上述したような各種のプロセッサであってもよいし、プロセッサとメモリ等の記憶装置とが一体的に構成されたいわゆるマイコンであってもよい。あるいは、蛇行制御装置100及び演算処理装置は、PC(Personal Computer)やサーバ等の各種の情報処理装置であってもよい。
[2.尾端部の蛇行制御]
本実施形態に係る蛇行制御装置100による被圧延材の尾端部の蛇行制御は、第一種平行剛性実績計算値を算出し、算出した第一種平行剛性実績計算値に応じて、必要な場合に必要な量だけベンディング力を負荷したり圧下位置を変更したりすることにより行われる。
第一種平行剛性は、被圧延材の先端から尾端までの圧延荷重やベンディング力の変化に応じて、変化する。被圧延材の先端部での第一種平行剛性は、圧延前の設定計算により得られる第一種平行剛性に対応するものであり、被圧延材の尾端部の蛇行とは比較的相関が弱い。これに対して、図2に示す被圧延材の尾端部直前(図9の(測定タイミング2))での第一種平行剛性は、先端部に比べて被圧延材の尾端部の蛇行と比較的高い相関がある。そこで、本実施形態では、好ましくは、被圧延材の尾端部直前での第一種平行剛性を算出し、これに基づき蛇行制御を行うことで、被圧延材の尾端部の蛇行を抑制する。
ここで、被圧延材の蛇行は、圧延スタンド出側での被圧延材の左右(幅方向)の板厚差(すなわち、出側ウェッジ量)hdfに起因する。出側ウェッジ量hdfは、下記式(1)により表される(例えば、非特許文献1参照)。
Figure 0007393646000001
上記式(1)において、Sdfは左右のロール開度差、Pdfは左右の圧延荷重差、aはロール支点間距離、bは板幅である。また、Eは第一種平行剛性、Dは第二種平行剛性であり、これらは蛇行現象に関する圧延機の基本定数である。
被圧延材の蛇行量の方程式は、最終的に下記式(2)の微分方程式に帰着する(例えば、非特許文献1参照)。
Figure 0007393646000002
なお、v1は圧延材入側速度、ycは蛇行量、ξは先進定数、hは出側板厚、mは塑性係数、Perturbationは左右非対称な外乱項(例えば、入側ウェッジ、左右変形抵抗差、レベリング等の影響項)である。
ここで、上記式(2)の各項の係数を、以下のようにM、kとする。
Figure 0007393646000003
Mを質量、kをばね定数とみなすと、上記式(2)はマスバネ系の運動方程式と同じ形式をしていることがわかる。ばね定数であるkは、ほとんど負の値をとるため、蛇行は本質的に不安定な現象(発散系)である。蛇行を抑止するには、大きく以下の3通りのアプローチがある。
(a)各種左右非対称な外乱を小さくする(すなわち、Perturbationを最小化する)
(b)操作可能な左右非対称な外乱(レベリング)を用いて他の外乱を相殺する
(すなわち、Perturbationを最小化する)
(c)外乱発生時の蛇行の発散速度をできるだけ小さくする
(すなわち、kの絶対値を最小化する)
本実施形態に係る蛇行制御方法は、上記(c)のアプローチによるものである。ただし、(a)や(b)のアプローチとの併用も可能である。また、蛇行の程度を評価するにあたっては、上記式(1)より、第一種平行剛性Eだけでなく、第二種平行剛性Dも含めて行うのが物理的には妥当である。しかし、第二種平行剛性Dは、圧延荷重やベンディング力によって圧延中に変動する第一種平行剛性Eと比較して、圧延中に大きく変化することがない。換言すれば、第二種平行剛性Dは変化させることができない。このため、本実施形態に係る蛇行制御方法においては、実用的に簡単のために第一種平行剛性Eのみに基づき、蛇行の程度を評価している。
具体的には、N個(Nは自然数)の圧延スタンドによる被圧延材の圧延において、第Mスタンド(1≦M≦N)における被圧延材の蛇行を制御する際、予め、第Mスタンドにおける、被圧延材の蛇行量が許容値未満となる第一種平行剛性の閾値ETHを設定する(閾値設定ステップ)。また、圧延前に、第Mスタンドでの第一種平行剛性実績計算値Ebを算出する(第一種平行剛性算出ステップ)。そして、第一種平行剛性の閾値ETHと第一種平行剛性実績計算値Ebとを比較する。
第一種平行剛性実績計算値Ebが閾値ETH以下である場合は、蛇行制御を行わない。一方、第一種平行剛性実績計算値Ebが閾値ETHより大きい場合は、第一種平行剛性実績計算値Ebに基づいて、第一種平行剛性を閾値ETH以下とするための第Mスタンドの圧下位置変更量ΔSまたはベンディング力変更量ΔFのうち少なくともいずれか一方を算出する。そして、被圧延材の尾端部が第Mスタンドを通過する間、圧下位置変更量ΔSまたはベンディング力変更量ΔFのうち少なくともいずれか一方に基づいて、第Mスタンドにおける圧下位置またはベンディング力のうちいずれか一方を制御する(制御ステップ)。
ここで、第Mスタンドでの第一種平行剛性実績計算値Ebの算出は、例えば、セットアップ計算により算出された被圧延材の第一種平行剛性設定計算値Etに対する影響係数を算出し、当該影響係数を用いて第一種平行剛性実績計算値Ebを算出する方法や、モデルを用いて圧延条件に基づき第一種平行剛性実績計算値Ebを算出する方法が考えられる。以下、本実施形態に係る被圧延材の尾端部の蛇行制御について、詳細に説明する。
なお、本実施形態において、被圧延材の尾端部とは、尾端から所定の長さまでの範囲を指す。ここで、所定の長さとは、被圧延材の尾端部として設定されたその範囲に本発明に係る被圧延材の蛇行制御方法を適用した場合に、蛇行低減の効果が発揮できる長さとする。この長さは、圧延機の仕様並びに被圧延材の寸法及び被圧延材の材質によっても異なるので、例えば、所定の長さの初期値として被圧延材の板幅を設定し、実操業で、調整の上、求めればよい。
タンデム圧延の第2スタンド以降の場合には、被圧延材の尾端部は、例えば「被圧延材の尾端が制御対象である第Mスタンドの1つ上流側の圧延スタンド(すなわち、第(M-1)スタンド)を抜けた時点での、尾端から制御対象である第Mスタンドにて噛み込まれた位置までの範囲」としてもよい。あるいは、「第(M-1)スタンドと第Mスタンドとのスタンド間距離」を、タンデム圧延の第2スタンド以降の場合における被圧延材の尾端部としてもよい。
[2-1.蛇行制御例1(セットアップ計算における第一種平行剛性設定計算値及び影響係数を用いた第一種平行剛性実績計算値の算出)]
まず、図3~図9に基づき、蛇行制御例1として、セットアップ計算における第一種平行剛性設定計算値及び影響係数を用いて第一種平行剛性実績計算値を算出し、被圧延材の尾端部の蛇行制御を行う場合について説明する。図3は、蛇行制御例1の処理を示すフローチャートである。図4は、蛇行制御例1における第一種平行剛性実績計算値Ebの算出処理の概要を示す模式図である。図5は、被圧延材の圧延荷重実績値Pb及びベンディング力実績値Fbから一次近似により第一種平行剛性実績計算値Ebを算出するイメージを示す模式図である。図6は、第一種平行剛性の圧延荷重に対する影響係数の算出方法を説明する説明図である。図7は、第一種平行剛性のベンディング力に対する影響係数の算出方法を説明する説明図である。図8は、第一種平行剛性実績計算値(モデル利用)と第一種平行剛性実績計算値(影響係数利用)との相関の一例を示すグラフである。図9は、本実施形態に係る被圧延材の蛇行制御方法の制御対象となる圧延スタンドと、そのときの圧延荷重及びベンディング力の測定タイミングを示す説明図である。
(S100:閾値設定ステップ)
蛇行制御例1では、図3に示すように、まず、圧延前に予め被圧延材の蛇行量が許容値未満となる第一種平行剛性の閾値ETHが設定される(S100)。例えば、過去の操業実績に基づき、好ましくは、図2に示したような尾端部直前の第一種平行剛性と尾端蛇行量との相関を予め取得し、蛇行量が許容値未満となる第一種平行剛性の値を閾値ETHとして設定すればよい。
(S110~S120:第一種平行剛性算出ステップ)
次いで、第一種平行剛性実績計算値Ebが算出される。蛇行制御例1では、第一種平行剛性設定計算値Et及び影響係数を用いて第一種平行剛性実績計算値Ebを算出する。図4に示す第一種平行剛性算出ステップの概要とともに説明すると、まず、制御対象である第Mスタンドについてモデルを用いたセットアップ計算が行われ、第一種平行剛性設定計算値Et及び影響係数が算出される(S110)。かかる演算は、圧延直前に実施される。
第一種平行剛性設定計算値Et及び影響係数を算出するためのモデルとしては、例えばミルストレッチモデルを用いることができる(例えば、非特許文献2参照)。演算処理装置200には、圧延条件として、セットアップ計算で求めた被圧延材の圧延荷重設定値Pt、ベンディング力設定値Ft及びその他の各種圧延条件が入力される。ここで、一旦、圧延荷重設定値Pt及びベンディング力設定値Ftとした圧延荷重及びベンディング力は、オンラインでの変動が大きく、第一種平行剛性に影響するパラメータである。そして、演算処理装置200は、ミルストレッチモデルを用いてセットアップ計算を行い、第一種平行剛性設定計算値Et及び、第一種平行剛性設定計算値Etに対する圧延荷重Pの影響係数∂E/∂P、ベンディング力Fの影響係数∂E/∂F、及び、圧下位置Sの影響係数∂E/∂Sを算出する。各影響係数は下記式(4-1)~(4-3)により表される。
Figure 0007393646000004
なお、ステップS110の演算は、ミルストレッチモデル以外のモデルを用いて行ってもよい。
セットアップ計算により第一種平行剛性設定計算値Et及び影響係数が算出されると、次に、被圧延材の圧延荷重実績値Pb及びベンディング力実績値Fbに基づき、下記一次近似式(5)を用いて、第一種平行剛性実績計算値Ebが算出される(S120)。圧延荷重実績値Pb及びベンディング力実績値Fbは実測値を用いればよい。圧延荷重実績値Pb及びベンディング力実績値Fbは、被圧延材の先端が第Mスタンドに噛み込んでから被圧延材の尾端部が第Mスタンドで圧延される前までの間において同時に取得される。
Figure 0007393646000005
上記一次近似式(5)は、図5に示す、第一種平行剛性E、圧延荷重P及びベンディング力Fの関係を表す曲面Cにおいて、第一種平行剛性設定計算値Et(点A)から第一種平行剛性実績計算値Eb(点B)への変化を一次近似により表したものとみなすことができる。これは以下のことからいえる。
まず、第一種平行剛性Eと圧延荷重Pとの関係は、例えば図6のように示される。このとき、被圧延材の圧延荷重設定値Ptが、任意の値hpだけ増加したと考えると、そのときの第一種平行剛性Eの増加量をhpで割ることで、第一種平行剛性Eに対する圧延荷重Pの一次近似の影響係数∂E/∂Pは下記式(6)で表すことができる。第一種平行剛性Eと圧延荷重Pとの相関に線形性が強ければ、このような一次近似で十分であるが、非線形性が強い場合は、二次近似等により厳密に影響係数を求めればよい。
Figure 0007393646000006
また、第一種平行剛性Eとベンディング力Fとの関係は、例えば図7のように示される。このとき、被圧延材のベンディング力設定値Ftが、任意の値hFだけ増加したと考えると、そのときの第一種平行剛性Eの増加量をhFで割ることで、第一種平行剛性Eに対するベンディング力Fの一次近似の影響係数∂E/∂Fは下記式(7)で表すことができる。これを影響係数∂E/∂Fとする。第一種平行剛性Eとベンディング力Fとの相関に線形性が強ければ、このような一次近似で十分であるが、非線形性が強い場合は、二次近似等により影響係数を求めればよい。
Figure 0007393646000007
すなわち、上記式(6)で表される第一種平行剛性Eに対する圧延荷重Pの影響係数∂E/∂P、及び、上記式(7)で表される第一種平行剛性Eに対するベンディング力Fの影響係数∂E/∂Fは、圧延荷重P及びベンディング力Fの変化による第一種平行剛性Eへの影響を表している。これらを用いることで、第一種平行剛性実績計算値Ebは上記一次近似式(5)で表すことができる。
図8に、圧延条件の実績値を基にミルストレッチモデルを用いて算出される第一種平行剛性実績計算値(モデル利用)と、上記一次近似式(5)を用いて算出された第一種平行剛性実績計算値(影響係数利用)との相関の一例を示す。ここで、圧延条件の実績値は、図9の(測定タイミング2)に示すように、被圧延材Sの尾端部Sbが当該スタンドで圧延される直前に測定した値を用いた。図8に示すように、第一種平行剛性実績計算値(モデル利用)と第一種平行剛性実績計算値(影響係数利用)との相関係数はおよそ1.00であり、第一種平行剛性実績計算値(モデル利用)と第一種平行剛性実績計算値(影響係数利用)とは一致する。これより、蛇行制御例1のように、圧延荷重P及びベンディング力Fに対する一次近似の影響係数を用いて第一種平行剛性実績計算値Ebを算出することで、モデル演算により計算した厳密解と同等の精度で第一種平行剛性を算出できることがわかる。
このように、蛇行制御例1では、高負荷演算であるモデル演算を圧延前に予め実施して蛇行への影響を表す第一種平行剛性設定計算値Et、第一種平行剛性設定計算値Etに対する圧延荷重Pの影響係数∂E/∂P、ベンディング力Fの影響係数∂E/∂F、及び、圧下位置Sの影響係数∂E/∂Sを求めておき、圧延中の圧延荷重P及びベンディング力Fの変化実績から、簡易演算により第一種平行剛性実績計算値Ebを求めるようにする。これにより、圧延時の計算負荷を低減することができ、実機への適用を容易に実現することができる。
ここで、ステップS120における圧延荷重実績値Pb及びベンディング力実績値Fbの取得は、上述したように、被圧延材の先端が制御対象とする第Mスタンドに噛み込んでから被圧延材の尾端部が第Mスタンドで圧延される前までの間において同時に取得される。具体的には、圧延荷重実績値Pb及びベンディング力実績値Fbの測定タイミングは、図9に示すようになる。
まず、N個(N≧2)の圧延スタンドを備えるタンデム圧延機であるとき、第Mスタンドが第2スタンド~第Nスタンドのいずれかである場合には、図9上部に示すように、圧延荷重実績値Pb及びベンディング力実績値Fbは、被圧延材Aの先端Tが第Mスタンド(#M)に噛み込んだタイミング(測定タイミング1)から、被圧延材Sの尾端部Sbが第Mスタンド(#M)で圧延される前まで(測定タイミング2)の間に測定される。尾端部Sbは、上述したように、尾端Tから所定の長さまでの範囲である。また、タンデム圧延機の第1スタンド(#1)が制御対象である場合には、図9中央に示すように、圧延荷重実績値Pb及びベンディング力実績値Fbは、被圧延材Aの先端Tが第1スタンド(#1)に噛み込んだタイミング(測定タイミング1)から、被圧延材Sの尾端部Sbが第1スタンド(#1)で圧延される前まで(測定タイミング2)の間に測定される。
また、単スタンドの圧延機の場合には、図9下部に示すように、圧延荷重実績値Pb及びベンディング力実績値Fbは、被圧延材Aの先端Tが第1スタンド(#1)に噛み込んだタイミング(測定タイミング1)から、被圧延材Sの尾端部Sbが第1スタンド(#1)で圧延される前まで(測定タイミング2)の間に測定される。
なお、圧延荷重実績値Pb及びベンディング力実績値Fbは、計算時間に余裕があればなるべく尾端部Sbに近い部分が制御対象である第Mスタンドによって圧延されるときに測定することが好ましい。
(S130~S150:制御ステップ)
ステップS120にて第一種平行剛性実績計算値Ebが算出されると、蛇行制御装置100は、第Mスタンドで被圧延材の尾端部の蛇行制御を実施するか否かを第一種平行剛性実績計算値Ebと閾値ETHとを比較することにより判定する(S130)。
第一種平行剛性実績計算値Ebが閾値ETH以下である場合(すなわち、Eb≦ETHの場合)は、被圧延材の尾端部が蛇行する程度は小さいため、蛇行制御は行わず、後述するステップS160の処理へ進む。
一方、第一種平行剛性実績計算値Ebが閾値ETHより大きい場合(すなわち、Eb>ETHの場合)は、被圧延材の尾端部が蛇行する程度が大きいため、蛇行制御が行われる。このため、まず、蛇行制御装置100は、第一種平行剛性実績計算値Ebを閾値ETH以下とするための、第Mスタンドの圧下位置変更量ΔSまたはベンディング力変更量ΔFのうち少なくともいずれか一方を算出する(S140)。
具体的には、蛇行制御装置100は、以下のように、インクリースベンディング装置11a~11d(さらにはディクリースベンディング装置12a~12d)または圧下装置13のいずれを駆動させて蛇行制御を行うかによって、制御量を算出する。どのように蛇行制御を行うかは、設備上の制約や形状制御上の制約を満たす範囲内で任意に設定すればよい。
まず、圧下装置13により圧下位置のみを変更して蛇行制御を行う場合には、下記式(8)を満たす圧下位置変更量ΔSが算出される。
Figure 0007393646000008
また、インクリースベンディング装置11a~11d(さらにはディクリースベンディング装置12a~12d)によりベンディング力Fのみを変更して蛇行制御を行う場合には、下記式(9)を満たすベンディング力変更量ΔFが算出される。
Figure 0007393646000009
あるいは、圧下装置13により圧下位置を変更し、かつ、インクリースベンディング装置11a~11d(さらにはディクリースベンディング装置12a~12d)によりベンディング力Fを変更して蛇行制御を行う場合には、下記式(10)を満たす圧下位置変更量ΔS及びベンディング力変更量ΔFが算出される。
Figure 0007393646000010
ステップS140にて制御量が算出されると、蛇行制御装置100は、算出された制御量に基づき、少なくともインクリースベンディング装置11a~11d(さらにはディクリースベンディング装置12a~12d)または圧下装置13のうち少なくともいずれか一方を駆動させる(S150)。これにより、第Mスタンドでの被圧延材の尾端部の蛇行制御が実施される。
(S160:制御量の変更確認)
その後、尾端部の蛇行制御における制御量の変更の有無が確認される(S160)。例えば、制御対象である第Mスタンドにて被圧延材の尾端部を圧延する間に鋼板温度が変動すると、圧延荷重が変化し、第一種平行剛性実績計算値の値も変わる。このような場合には、再度、第一種平行剛性実績計算値Ebを計算し直し、制御量を修正することが望ましい。
そこで、ステップS160において、蛇行制御装置100は、制御量の変更の有無を確認し、制御量の変更がない場合にはこのまま図3の処理を終了する。一方、制御量の変更がある場合は、蛇行制御装置100は演算処理装置200に対して、ステップS120からの処理を再度実行するよう指示する。再度のステップS120からの処理は、例えば、被圧延材の先端が制御対象とする第Mスタンドに噛み込んでから被圧延材の尾端部が第Mスタンドで圧延される前までの間の任意のタイミングで、随時実行すればよい。
例えば、まず、被圧延材の尾端が第1スタンドを抜けたときにステップS120~S150の処理を実施し、次に、第2スタンドを抜けたときにステップS120~S150の処理を実施し、さらに、第3スタンドを抜けたときにステップS120~S150の処理を実施する、といったように、被圧延材の先端が制御対象とする第Mスタンドに噛み込んでから被圧延材の尾端部が第Mスタンドで圧延される前までの間に複数回、第Mスタンドでの蛇行制御の要否を確認し、蛇行の程度が大きい場合には蛇行制御を実施することを行う。これにより、より確実に蛇行の発生を抑制することができる。
以上、本実施形態に係る蛇行制御例1について説明した。蛇行制御例1では、第一種平行剛性実績計算値Ebを算出するための第一種平行剛性設定計算値Et及び影響係数を圧延前に予め求めておくことで、圧延時の計算負荷を低減することができ、実機への適用を容易に実現することができる。また、算出される第一種平行剛性実績計算値Ebも高い精度で推算されるので、被圧延材の尾端部における蛇行量を低減させ、絞りの発生を抑止することが可能となり、圧延後の被圧延材の厚み不良及び形状不良も低減させることができる。
[2-2.蛇行制御例2(モデルを用いた第一種平行剛性実績計算値の算出)]
次に、図10及び図11に基づき、蛇行制御例2として、モデルを用いて第一種平行剛性実績計算値を算出し、被圧延材の尾端部の蛇行制御を行う場合について説明する。図10は、蛇行制御例2における第一種平行剛性実績計算値Ebの算出処理の概要を示す模式図である。図11は、蛇行制御例2の処理を示すフローチャートである。
蛇行制御例2は、図10に示すように、尾端部の圧延条件からモデルを用いてダイレクトに第一種平行剛性実績計算値Ebを算出する。すなわち、蛇行制御例2は、蛇行制御例1のように第一種平行剛性設定計算値Et及び第一種平行剛性への影響係数の算出することは行わず、尾端部の圧延条件から第一種平行剛性実績計算値Ebを算出する。モデルを用いた演算は高負荷演算であるため、蛇行制御例1よりも演算処理時間は長くなる可能性はあるが、1回の演算処理で第一種平行剛性実績計算値Ebを算出することができる。以下、蛇行制御例2について説明するが、蛇行制御例1と同様の処理については詳細な説明を省略する。
(S200:閾値設定ステップ)
蛇行制御例2では、図11に示すように、まず、圧延前に予め被圧延材の蛇行量が許容値未満となる第一種平行剛性の閾値ETHが設定される(S200)。閾値ETHの設定は、蛇行制御例1のステップS100と同様に行えばよい。
(S210:第一種平行剛性算出ステップ)
次いで、第一種平行剛性実績計算値Ebが算出される。蛇行制御例2では、演算処理装置200は、制御対象である第Mスタンドでの被圧延材の尾端部の圧延条件から、モデルを用いて第一種平行剛性実績計算値Ebを算出する(S210)。かかる演算は、圧延荷重実績値Pb及びベンディング力実績値Fbに基づき実施される。圧延荷重実績値Pb及びベンディング力実績値Fbは、被圧延材の先端が第Mスタンドに噛み込んでから被圧延材の尾端部が第Mスタンドで圧延される前までの間において同時に取得される。第一種平行剛性実績計算値Ebを算出するためのモデルとしては、例えばミルストレッチモデルを用いることができる(例えば、非特許文献2参照)。なお、かかる演算は、ミルストレッチモデル以外のモデルを用いて行ってもよい。
(S220~S240:制御ステップ)
ステップS210にて第一種平行剛性実績計算値Ebが算出されると、蛇行制御装置100は、第Mスタンドで被圧延材の尾端部の蛇行制御を実施するか否かを第一種平行剛性実績計算値Ebと閾値ETHとを比較することにより判定する(S220)。
第一種平行剛性実績計算値Ebが閾値ETH以下である場合(すなわち、Eb≦ETHの場合)は、被圧延材の尾端部が蛇行する程度は小さいため、蛇行制御は行わず、後述するステップS250の処理へ進む。
一方、第一種平行剛性実績計算値Ebが閾値ETHより大きい場合(すなわち、Eb>ETHの場合)は、被圧延材の尾端部が蛇行する程度が大きいため、蛇行制御が行われる。蛇行制御は、蛇行制御例1のステップS140及びS150と同様に行えばよい。まず、蛇行制御装置100は、制御量として、第一種平行剛性実績計算値Ebを閾値ETH以下とするための、第Mスタンドの圧下位置変更量ΔSまたはベンディング力変更量ΔFのうち少なくともいずれか一方を算出する(S230)。そして、制御量が算出されると、蛇行制御装置100は、算出された制御量に基づき、少なくともインクリースベンディング装置11a~11d(さらにはディクリースベンディング装置12a~12d)または圧下装置13のうちいずれか一方を駆動させる(S240)。これにより、第Mスタンドでの被圧延材の尾端部の蛇行制御が実施される。
(S250:制御量の変更確認)
その後、尾端部の蛇行制御における制御量の変更の有無が確認される(S250)。ステップS250は、蛇行制御例1のステップS160と同様に行えばよい。すなわち、蛇行制御装置100は、制御量の変更の有無を確認し、変更がない場合にはこのまま図10の処理を終了する。一方、制御量の変更がある場合は、蛇行制御装置100は演算処理装置200に対して、ステップS210からの処理を再度実行するよう指示する。ステップS210~S240の処理の繰り返しは、例えば、目標値の更新がなくなるまで行ってもよく、所定の回数だけ繰り返し処理が行われるまで行ってもよい。これにより、より確実に蛇行の発生を抑制することができる。
本実施形態に係る被圧延材の尾端部の蛇行制御について有効性を確認するため、以下の検証を行った。検証では、複数の圧延スタンドからなる仕上タンデム圧延機において鋼板を圧延したときの、絞り込み発生率及び尾端部歩留落ち率について調べた。絞り込み発生率は、尾端部圧延時の蛇行に起因する絞りの発生割合を表している。また、尾端部歩留落ち率は、圧延後の鋼板の板厚が目標板厚から外れた割合を表している。
検証は、比較例1、2及び実施例について行った。比較例1は、鋼板の尾端部について蛇行制御を行わなかった場合であり、比較例2は、特許文献1の手法により鋼板の尾端部の蛇行制御を実施した場合とした。また、実施例として、本発明の一実施形態に係る蛇行制御方法の蛇行制御例1に基づき、鋼板の尾段部の蛇行制御を行った。下記表1に、検証結果を示す。
Figure 0007393646000011
上記表1より、比較例1では、鋼板の尾端部の蛇行制御を行わなかったため、蛇行が発生し、絞り込みが0.10%発生した。比較例2では、鋼板の尾端部の蛇行制御が実施された結果、比較例1と比較して蛇行の発生割合が減少し、その結果、絞り込み発生率が低下した。しかし、尾端部の板厚精度は比較例1と比較して悪化した。一方、実施例では、蛇行制御例1に基づき鋼板の尾端部の蛇行制御を行った結果、比較例1と比較して蛇行の発生割合が減少し、その結果、絞り込み発生率が低下した。また、尾端部の板厚精度も向上し、尾端部の歩留落ち率も低下した。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 上作業ロール
2 下作業ロール
3 上補強ロール
4 下補強ロール
5 上作業ロールチョック
6 下作業ロールチョック
7 上補強ロールチョック
8 下補強ロールチョック
9 ハウジング
9a 入側プロジェクトブロック
9b 出側プロジェクトブロック
10 圧延スタンド
11a~11d インクリースベンディング装置
12a~12d ディクリースベンディング装置
13 圧下装置
14 圧延荷重検出装置
100 蛇行制御装置
200 演算処理装置

Claims (3)

  1. N個(Nは自然数)の圧延スタンドによる被圧延材の圧延において、第Mスタンド(1≦M≦N)における前記被圧延材の蛇行を制御する、被圧延材の蛇行制御方法であって、
    予め、第Mスタンドにおける、前記被圧延材の尾端蛇行量が許容値未満となる第一種平行剛性の閾値ETHを設定する閾値設定ステップと、
    前記第Mスタンドでの第一種平行剛性実績計算値Ebを算出する第一種平行剛性算出ステップと、
    前記第一種平行剛性実績計算値Ebが前記閾値ETH以下である場合は、蛇行制御を行わず、
    前記第一種平行剛性実績計算値Ebが前記閾値ETHより大きい場合は、
    前記第一種平行剛性実績計算値Ebに基づいて、第一種平行剛性を前記閾値ETH以下とするための前記第Mスタンドの圧下位置変更量ΔSまたはベンディング力変更量ΔFのうち少なくともいずれか一方を算出し、
    前記被圧延材の尾端部が前記第Mスタンドを通過する間、前記圧下位置変更量ΔSまたは前記ベンディング力変更量ΔFのうち少なくともいずれか一方に基づいて、前記第Mスタンドにおける圧下位置またはベンディング力のうち少なくともいずれか一方を制御する制御ステップと、
    を含む、被圧延材の蛇行制御方法。
  2. 前記第一種平行剛性算出ステップでは、前記被圧延材の先端が前記第Mスタンドに噛み込んでから前記被圧延材の尾端部が前記第Mスタンドで圧延される前までの間において同時に取得した、前記第Mスタンドにおける圧延荷重実績値Pb及びベンディング力実績値Fbに基づいて、前記第Mスタンドでの第一種平行剛性実績計算値Ebを算出する、請求項1に記載の被圧延材の蛇行制御方法。
  3. 前記第一種平行剛性算出ステップでは、
    セットアップ計算により、前記第Mスタンドにおける圧延荷重設定値Pt及びベンディング力設定値Ftを算出し、
    前記第Mスタンドでの第一種平行剛性設定計算値Etに対する、圧延荷重の影響係数dE/dP、ベンディング力の影響係数dE/dF及び圧下位置の影響係数dE/dSを、前記圧延荷重設定値Pt及び前記ベンディング力設定値Ftを基準として算出し、
    前記被圧延材の先端が前記第Mスタンドに噛み込んでから前記被圧延材の尾端部が前記第Mスタンドで圧延される前までの間において同時に取得した、前記第Mスタンドにおける圧延荷重実績値Pb及びベンディング力実績値Fbと、前記第Mスタンドにおける前記圧延荷重設定値Pt及び前記ベンディング力設定値Ftとから、設定値と実績値との圧延荷重差Pdef及びベンディング力差Fdefを算出し、
    前記圧延荷重差Pdef、前記ベンディング力差Fdef、前記圧延荷重の影響係数dE/dP、及び、前記ベンディング力の影響係数dE/dFから、前記第Mスタンドでの前記第一種平行剛性実績計算値Ebを算出する、請求項1に記載の被圧延材の蛇行制御方法。
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