JP7393593B1 - 半導体装置 - Google Patents

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Abstract

半導体装置(1)は、第1の方向に延在する第1のゲートトレンチ(17)および第1のゲートトレンチ(17)よりも深く形成された第2のゲートトレンチ(27)と、第1のゲートトレンチ(17)の内部に形成された第1のゲート絶縁膜(16)および第1のゲート導体(15)と、第2のゲートトレンチ(27)の内部に形成された第2のゲート絶縁膜(26)および第2のゲート導体(25)と、を有する縦型電界効果トランジスタ(10)であって、第1のゲート導体(15)と第2のゲート導体(25)とは同電位であって、第1のゲートトレンチ(17)の本数をnとすると、第2のゲートトレンチ(27)の本数は2以上n+1以下であり、低濃度不純物層(33)の上面と平行で第1の方向に直交する第2の方向において、第1のゲートトレンチ(17)と第2のゲートトレンチ(27)とが設置される領域の最端は前記第2のゲートトレンチ(27)が設置される。

Description

本開示は、半導体装置に関し、特には、チップサイズパッケージ型の半導体装置に関する。
ゲートトレンチを備える縦型電界効果トランジスタでは、耐圧とオン抵抗にトレードオフの関係があることが知られている。
特開2016-219774号公報 特許第6509674号公報
ゲートトレンチを備える縦型電界効果トランジスタにおいて、耐圧を維持しながらオン抵抗を低減すると共に、ドレイン-ソース間に電圧を印加する際にゲートトレンチの先端付近に生じる電界強度を低減して、信頼性の低下に対する耐性を高めることが求められている。
特許文献1および特許文献2には、縦型電界効果トランジスタの構造が開示されており、トレードオフの関係にある特性を良化する構造が示されている。
上記の課題を解決するために、本開示に係る半導体装置は、フェイスダウン実装が可能なチップサイズパッケージ型の半導体装置であって、第1導電型の不純物を含む前記第1導電型の半導体基板と、前記半導体基板上に接して形成され、前記半導体基板の前記第1導電型の不純物の濃度より低い濃度の前記第1導電型の不純物を含む前記第1導電型の低濃度不純物層と、前記低濃度不純物層に形成された前記第1導電型と異なる第2導電型のボディ領域と、前記ボディ領域に形成された前記第1導電型のソース領域と、前記ボディ領域および前記ソース領域と電気的に接続されたソース電極と、前記低濃度不純物層上面から、前記ボディ領域を貫通して前記低濃度不純物層の一部までの深さに形成され、前記ソース領域と接触する部分を有し、前記低濃度不純物層の上面と平行な第1の方向に延在する第1のゲートトレンチと、前記低濃度不純物層上面から、前記ボディ領域を貫通して前記第1のゲートトレンチよりも深く形成され、前記ソース領域と接触する部分を有し、前記第1の方向に延在する第2のゲートトレンチと、前記第1のゲートトレンチの内部に形成された第1のゲート絶縁膜と、前記第1のゲート絶縁膜上に形成された第1のゲート導体と、前記第2のゲートトレンチの内部に形成された第2のゲート絶縁膜と、前記第2のゲート絶縁膜上に形成された第2のゲート導体と、を有する縦型電界効果トランジスタであり、前記第1のゲート導体と前記第2のゲート導体とは同電位であって、前記第1のゲートトレンチの本数をn(nは1以上の整数)とすると、前記第2のゲートトレンチの本数は2以上n+1以下であり、前記低濃度不純物層の上面と平行で前記第1の方向に直交する第2の方向において、前記第1のゲートトレンチと前記第2のゲートトレンチとが設置される領域の最端は前記第2のゲートトレンチが設置される半導体装置であることを特徴とする。
この構成によれば、オン抵抗を低減すると共に、ドレイン-ソース間に電圧を印加する際に、信頼性低下の要因となる電界強度に対しての耐性を高めることができる。
本開示は、耐圧を維持しながらオン抵抗を低減すると共に、信頼性向上を実現できる半導体装置を提供することを目的とする。
図1は、実施形態1に係る半導体装置の構造の一例を示す断面模式図である。 図2Aは、実施形態1に係る半導体装置の構造の一例を示す平面模式図である。 図2Bは、実施形態1に係る半導体装置に流れる主電流を示す断面模式図である。 図3Aは、実施形態1に係る第1のトランジスタの略単位構成の平面模式図である。 図3Bは、実施形態1に係る第1のトランジスタの略単位構成の斜視模式図である。 図4は、実施形態1に係る半導体装置の構造の一例を示す平面模式図である。 図5Aは、実施形態1における比較例1に係る第1のトランジスタの構造の一例を示す断面模式図である。 図5Bは、図5Aに示す半導体装置の構造で、ドレイン-ソース間に定格電圧を印加した時に生じる電位の分布をシミュレーションした断面模式図である。 図5Cは、図5Aに示す半導体装置の構造で、ドレイン-ソース間に定格電圧を印加した時に生じる電界強度をシミュレーションした断面模式図である。 図6Aは、実施形態1における比較例2に係る第1のトランジスタの構造の一例を示す断面模式図である。 図6Bは、図6Aに示す半導体装置の構造で、ドレイン-ソース間に定格電圧を印加した時に生じる電位の分布をシミュレーションした断面模式図である。 図6Cは、図6Aに示す半導体装置の構造で、ドレイン-ソース間に定格電圧を印加した時に生じる電界強度をシミュレーションした断面模式図である。 図7Aは、実施形態1に係る第1のトランジスタの構造の一例を示す断面模式図である。 図7Bは、図7Aに示す半導体装置の構造で、ドレイン-ソース間に定格電圧を印加した時に生じる電位分布をシミュレーションした断面模式図である。 図7Cは、図7Aに示す半導体装置の構造で、ドレイン-ソース間に定格電圧を印加した時に生じる電界強度をシミュレーションした断面模式図である。 図8は、実施形態1に係る第1のトランジスタの構造の一例を示す断面模式図である。 図9は、実施形態1に係る第1のトランジスタの、ゲートトレンチの深さ差Δとドレイン耐圧VDSの関係をプロットしたグラフである。 図10Aは、実施形態1に係る第1のトランジスタの構造の一例を示す断面模式図である。 図10Bは、図10Aに示す半導体装置の構造で、ドレイン-ソース間に定格電圧を印加した時に生じる電位の分布をシミュレーションした断面模式図である。 図10Cは、図10Aに示す半導体装置の構造で、ドレイン-ソース間に定格電圧を印加した時に生じる電界強度をシミュレーションした断面模式図である。 図11Aは、実施形態1に係る第1のトランジスタの構造の一例を示す断面模式図である。 図11Bは、図11Aに示す半導体装置の構造で、ドレイン-ソース間に定格電圧を印加した時に生じる電位の分布をシミュレーションした断面模式図である。 図11Cは、図11Aに示す半導体装置の構造で、ドレイン-ソース間に定格電圧を印加した時に生じる電界強度をシミュレーションした断面模式図である。 図12Aは、実施形態1に係る半導体装置の製造過程を示す断面模式図である。 図12Bは、実施形態1に係る半導体装置の製造過程を示す断面模式図である。 図12Cは、実施形態1に係る半導体装置の製造過程を示す断面模式図である。 図12Dは、実施形態1に係る半導体装置の製造過程を示す断面模式図である。 図12Eは、実施形態1に係る半導体装置の製造過程を示す断面模式図である。 図12Fは、実施形態1に係る半導体装置の製造過程を示す断面模式図である。 図12Gは、実施形態1に係る半導体装置の製造過程を示す断面模式図である。 図13は、実施形態2に係る第1のトランジスタの構造の一例を示す断面模式図である。 図14は、実施形態3に係る第1のトランジスタの構造の一例を示す断面模式図である。
以下、本開示の一態様に係る半導体装置の具体例について、図面を参照しながら説明する。ここで示す実施形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。従って、以下の実施形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置および接続形態、ならびに、ステップ(工程)およびステップの順序等は、一例であって本開示を限定する趣旨ではない。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
(実施形態1)
[1.半導体装置の構造]
以下では、本開示における縦型電界効果トランジスタの構造についてデュアル構成を例にとって説明する。デュアル構成であることは必須ではなく、シングル構成の縦型電界効果トランジスタであってもよく、トリプル以上の構成の縦型電界効果トランジスタであってもよい。
図1は半導体装置の構造の一例を示す断面図である。図2Aはその平面図であり、半導体装置の大きさや形状、電極パッドの配置は一例である。図2Bは、半導体装置に流れる主電流を模式的に示す断面図である。図1および図2Bは、図2AのI-Iにおける切断面である。
図1および図2Aに示すように、半導体装置1は、半導体層40と、金属層30と、半導体層40内の第1の領域A1に形成された第1の縦型電界効果トランジスタ10(以下、「トランジスタ10」とも称する。)と、半導体層40内の第2の領域A2に形成された第2の縦型電界効果トランジスタ20(以下、「トランジスタ20」とも称する。)と、を有する。ここで、図2Aに示すように、第1の領域A1と第2の領域A2とは、半導体層40の平面視において互いに隣接する。図2Aでは第1の領域A1と第2の領域A2の仮想的な境界線90を破線で示している。
半導体層40は、半導体基板32と低濃度不純物層33とが積層されて構成される。半導体基板32は、半導体層40の裏面側に配置され、第1導電型の不純物を含む第1導電型のシリコンからなる。低濃度不純物層33は、半導体層40の表面側に配置され、半導体基板32に接触して形成され、半導体基板32の第1導電型の不純物の濃度より低い濃度の第1導電型の不純物を含んで、第1導電型である。
低濃度不純物層33は、例えば、エピタキシャル成長により半導体基板32上に形成されてもよい。なお、低濃度不純物層33はトランジスタ10およびトランジスタ20に共通するドリフト層でもあり、本明細書中ではドリフト層とよぶこともある。
金属層30は、半導体層40の裏面側に接触して形成され、銀(Ag)もしくは銅(Cu)からなる。なお、金属層30には、金属材料の製造工程において不純物として混入する金属以外の元素が微量に含まれていてもよい。また、金属層30は半導体層40の裏面側の全面に形成されていてもいなくてもどちらでもよい。
図1および図2Aに示すように、低濃度不純物層33の第1の領域A1には、第1導電型と異なる第2導電型の不純物を含む第2導電型の第1のボディ領域18が形成されている。第1のボディ領域18には、第1導電型の不純物を含む第1導電型の第1のソース領域14、第1のゲート導体15、および第1のゲート絶縁膜16が形成されている。第1のゲート絶縁膜16は、半導体層40の上面から第1のソース領域14および第1のボディ領域18を貫通して低濃度不純物層33の一部までの深さに形成された複数の第1のゲートトレンチ17の内部に形成され、第1のゲート導体15は第1のゲートトレンチ17の内部で、第1のゲート絶縁膜16上に形成されている。
第1のソース電極11は部分12と部分13とからなり、部分12は、部分13を介して第1のソース領域14および第1のボディ領域18に接続されている。第1のゲート導体15は半導体層40の内部に埋め込まれた、埋め込みゲート電極であり、第1のゲート電極パッド119に電気的に接続される。
第1のソース電極11の部分12は、フェイスダウン実装におけるリフロー時にはんだと接合される層であり、限定されない一例として、ニッケル、チタン、タングステン、パラジウムのうちのいずれか1つ以上を含む金属材料で構成されてもよい。部分12の表面には、金などのめっきが施されてもよい。
第1のソース電極11の部分13は、部分12と半導体層40とを接続する層であり、限定されない一例として、アルミニウム、銅、金、銀のうちのいずれか1つ以上を含む金属材料で構成されてもよい。
低濃度不純物層33の第2の領域A2には、第2導電型の不純物を含む第2導電型の第2のボディ領域28が形成されている。第2のボディ領域28には、第1導電型の不純物を含む第1導電型の第2のソース領域24、第2のゲート導体25、および第2のゲート絶縁膜26が形成されている。第2のゲート絶縁膜26は、半導体層40の上面から第2のソース領域24および第2のボディ領域28を貫通して低濃度不純物層33の一部までの深さに形成された複数の第2のゲートトレンチ27の内部に形成され、第2のゲート導体25は第2のゲートトレンチ27の内部で、第2のゲート絶縁膜26上に形成されている。
第2のソース電極21は部分22と部分23とからなり、部分22は、部分23を介して第2のソース領域24および第2のボディ領域28に接続されている。第2のゲート導体25は半導体層40の内部に埋め込まれた、埋め込みゲート電極であり、第2のゲート電極パッド129に電気的に接続される。
第2のソース電極21の部分22は、フェイスダウン実装におけるリフロー時にはんだと接合される層であり、限定されない一例として、ニッケル、チタン、タングステン、パラジウムのうちのいずれか1つ以上を含む金属材料で構成されてもよい。部分22の表面には、金などのめっきが施されてもよい。
第2のソース電極21の部分23は、部分22と半導体層40とを接続する層であり、限定されない一例として、アルミニウム、銅、金、銀のうちのいずれか1つ以上を含む金属材料で構成されてもよい。
トランジスタ10およびトランジスタ20の上記構成により、半導体基板32は、トランジスタ10の第1のドレイン領域およびトランジスタ20の第2のドレイン領域が共通化された、共通ドレイン領域として機能する。低濃度不純物層33の、半導体基板32に接する側の一部も、共通ドレイン領域として機能する場合がある。また金属層30はトランジスタ10のドレイン電極およびトランジスタ20のドレイン電極が共通化された、共通ドレイン電極として機能する。
図1に示すように、第1のボディ領域18は、開口を有する層間絶縁層34で覆われ、層間絶縁層34の開口を通して、第1のソース領域14に接続される第1のソース電極11の部分13が設けられている。層間絶縁層34および第1のソース電極11の部分13は、開口を有するパッシベーション層35で覆われ、パッシベーション層35の開口を通して第1のソース電極11の部分13に接続される部分12が設けられている。
第2のボディ領域28は、開口を有する層間絶縁層34で覆われ、層間絶縁層34の開口を通して、第2のソース領域24に接続される第2のソース電極21の部分23が設けられている。層間絶縁層34および第2のソース電極21の部分23は、開口を有するパッシベーション層35で覆われ、パッシベーション層35の開口を通して第2のソース電極21の部分23に接続される部分22が設けられている。
したがって複数の第1のソース電極パッド116および複数の第2のソース電極パッド126は、それぞれ第1のソース電極11および第2のソース電極21が半導体装置1の表面に部分的に露出した領域、いわゆる端子の部分を指す。同様に、1以上の第1のゲート電極パッド119および1以上の第2のゲート電極パッド129は、それぞれ第1のゲート電極19(図1、図2A、図2Bには図示せず。)および第2のゲート電極29(図1、図2A、図2Bには図示せず。)が半導体装置1の表面に部分的に露出した領域、いわゆる端子の部分を指す。
半導体装置1において、例えば、第1導電型をN型、第2導電型をP型として、第1のソース領域14、第2のソース領域24、半導体基板32、および、低濃度不純物層33はN型半導体であり、かつ、第1のボディ領域18および第2のボディ領域28はP型半導体であってもよい。
また、半導体装置1において、例えば、第1導電型をP型、第2導電型をN型として、第1のソース領域14、第2のソース領域24、半導体基板32、および、低濃度不純物層33はP型半導体であり、かつ、第1のボディ領域18および第2のボディ領域28はN型半導体であってもよい。
以下の説明では、トランジスタ10とトランジスタ20とが、第1導電型をN型、第2導電型をP型とした、いわゆるNチャネル型トランジスタの場合として、半導体装置1の導通動作について説明する。
なお、ここではトランジスタ10とトランジスタ20については、機能、特性、構造等に何ら差異のない、対称性が備わることを前提に説明した。図1、図2A、図2Bも対称性を前提に描画しているが、本開示におけるチップサイズパッケージ型の、デュアル構成の縦型電界効果トランジスタにおいては、対称性は必ずしも必要な条件ではない。
[2.縦型電界効果トランジスタの動作]
図3Aおよび図3Bは、それぞれ、半導体装置1のX方向およびY方向に繰り返し形成される、トランジスタ10(またはトランジスタ20)の略単位構成の、平面図および斜視図である。図3Aおよび図3Bでは、分かりやすくするために半導体基板32、第1のソース電極11(または第2のソース電極21)は図示していない。
なおY方向とは、半導体層40の上面と平行し、第1のゲートトレンチ17および第2のゲートトレンチ27が延在する方向である。またX方向とは、半導体層40の上面と平行し、Y方向に直交する方向のことをいう。Z方向とはX方向にもY方向にも直交し、半導体装置の高さ方向を示す方向のことをいう。本開示ではY方向のことを第1の方向、X方向のことを第2の方向、Z方向のことを第3の方向と表すこともある。
図3Aおよび図3Bに示すように、トランジスタ10には、第1のボディ領域18と第1のソース電極11とを電気的に接続する第1の接続部18Aが備わる。第1の接続部18Aは、第1のボディ領域18のうち、第1のソース領域14が形成されていない領域であり、第1のボディ領域18と同じ第2導電型の不純物を含む。第1のソース領域14と第1の接続部18Aとは、Y方向に沿って交互に、かつ周期的に繰り返し配置される。トランジスタ20についても同様である。
半導体装置1において、第1のソース電極11に高電圧および第2のソース電極21に低電圧を印加し、第2のソース電極21を基準として第2のゲート電極29(第2のゲート導体25)にしきい値以上の電圧を印加すると、第2のボディ領域28中の第2のゲート絶縁膜26の近傍に導通チャネルが形成される。その結果、第1のソース電極11-第1の接続部18A-第1のボディ領域18-低濃度不純物層33-半導体基板32-金属層30-半導体基板32-低濃度不純物層33-第2のボディ領域28に形成された導通チャネル-第2のソース領域24-第2のソース電極21という経路で主電流が流れて半導体装置1が導通状態となる。なお、この導通経路における、第2のボディ領域28と低濃度不純物層33との接触面にはPNジャンクションがあり、ボディダイオードとして機能している。また、この主電流は金属層30を流れるため、金属層30を厚くすることで、主電流経路の断面積が拡大し、半導体装置1のオン抵抗は低減できる。
同様に、半導体装置1において、第2のソース電極21に高電圧および第1のソース電極11に低電圧を印加し、第1のソース電極11を基準として第1のゲート電極19(第1のゲート導体15)にしきい値以上の電圧を印加すると、第1のボディ領域18中の第1のゲート絶縁膜16の近傍に導通チャネルが形成される。その結果、第2のソース電極21-第2の接続部28A-第2のボディ領域28-低濃度不純物層33-半導体基板32-金属層30-半導体基板32-低濃度不純物層33-第1のボディ領域18に形成された導通チャネル-第1のソース領域14-第1のソース電極11という経路で主電流が流れて半導体装置1が導通状態となる。なお、この導通経路における、第1のボディ領域18と低濃度不純物層33との接触面にはPNジャンクションがあり、ボディダイオードとして機能している。
図4は、半導体装置1の構成要素のうち、第1のボディ領域18と第2のボディ領域28と、第1の活性領域112と第2の活性領域122との、半導体層40(低濃度不純物層33)の平面視における形状の一例を示す平面図である。図4では図示していないが、第1のゲートトレンチ17も第2のゲートトレンチ27も、Y方向に延在している。
第1の活性領域112とは、トランジスタ10の第1のゲート電極19(第1のゲート導体15)にしきい値以上の電圧を印加したときに導通チャネルが形成される部分すべてを内包する最小範囲を指す。導通チャネルが形成される部分とは、複数の第1のゲートトレンチ17の各々が、第1のソース領域14と隣接する部分である。半導体層40の平面視で、第1の活性領域112は第1のボディ領域18に内包される。
第2の活性領域122とはトランジスタ20の第2のゲート電極29(第2のゲート導体25)にしきい値以上の電圧を印加したときに導通チャネルが形成される部分すべてを内包する最小範囲を指す。導通チャネルが形成される部分とは、複数の第2のゲートトレンチ27の各々が、第2のソース領域24と隣接する部分である。半導体層40の平面視で、第2の活性領域122は第2のボディ領域28に内包される。
第1の領域A1のうち第1の活性領域112を取り囲む領域を第1の外周領域とよび、第2の領域A2のうち第2の活性領域122を取り囲む領域を第2の外周領域とよぶ。
シングル構成の縦型電界効果トランジスタについては、概ねデュアル構成の縦型電界効果トランジスタの片側(トランジスタ10)のみで形成されるものと認識してよい。ただしチップサイズパッケージ型では、ソース電極パッド116、ゲート電極パッド119を備える半導体層40の表面側に、さらにドレイン電極パッドを設けることがある。この場合、半導体層40の裏面側に備わる半導体基板32と電気的に接続するドレイン引き出し構造を、半導体層40の表面側から形成しておく必要がある。
[3.ゲートトレンチの深さとトランジスタの特性]
(3-1.ドレイン耐圧)
以降の説明では、半導体装置1について、特に断らない限りトランジスタ10についての構成要素のみを記載することとする。符号も、必要がない限り、トランジスタ10の構成要素に付与されたものを代表して使用する。
半導体装置1において、第1のソース電極11と第2のソース電極21との電位差を、ソース-ソース間電圧(VSS[V])とする。半導体装置1の製品仕様書では、用途に応じて、ソース-ソース間仕様最大電圧(BVSSS[V])が設定される。ソース-ソース間仕様最大電圧(BVSSS[V])のことを本開示では単に耐圧、またはドレイン耐圧ということがある。あるいは定格電圧ともいう。
第1のボディ領域18と低濃度不純物層33の境界にはPNジャンクションが備わっており、PNジャンクションを挟んで空乏層が形成される。ドレイン耐圧を高めるには、トランジスタ10のオフ時における空乏層が十分に拡がることのできる構造が必要であり、低濃度不純物層33のキャリア濃度(抵抗率)や厚さを適切に設計されねばならない。
空乏層が十分に拡がるためには、低濃度不純物層33はキャリア濃度を低く(抵抗率を高く)、厚さを厚くする必要がある。第1のゲートトレンチ17の先端から見て低濃度不純物層33の厚さを相対的に厚くすることができるので、ドレイン耐圧を向上する目的においては第1のゲートトレンチ17は浅い方が好ましい。
ところで本実施形態における説明は、デュアル構成の縦型電界効果トランジスタに基づいたためVSS、BVSSSとして述べたが、シングル構成の縦型電界効果トランジスタである場合はそれぞれ、ドレイン-ソース間電圧(VDS[V])、ドレイン-ソース間仕様最大電圧(BVDSS[V])を用いればよい。
以降はデュアル構成の縦型電界効果トランジスタであっても、ソース-ソース間のことを便宜的にドレイン-ソース間とよび、VDS、BVDSSを用いて説明する。
(3-2.オン抵抗)
第1のゲートトレンチ17は、半導体層40の上面から、第1のソース領域14に接触し、第1のボディ領域18を貫通して低濃度不純物層33の一部までの深さに形成される。第1のソース電極11から共通ドレインである半導体基板32へ向かって流れる電流は、第1のボディ領域18を通過した後、第1のゲートトレンチ17の先端までは第1のゲートトレンチ17に沿って、低濃度不純物層33を流れることになる。
第1のゲートトレンチ17の先端に沿って流れる電流は、第1のゲート導体15に印加される電圧の影響で、低濃度不純物層33であっても導通抵抗が比較的軽減されて流れることになる。しかし第1のゲートトレンチ17の先端を過ぎると、電流は低濃度不純物層33における抵抗率に応じた抵抗を受けて流れることになる。
このため第1のゲートトレンチ17が相対的に浅い場合は、電流は、半導体基板32まで低濃度不純物層33の内部を相対的に長い距離で流れることになる。逆に第1のゲートトレンチ17が相対的に深い場合は、電流は、半導体基板32まで低濃度不純物層33の内部を相対的に短い距離で流れることになる。したがって低濃度不純物層33を流れる電流の抵抗を低減する目的では、第1のゲートトレンチ17は深い方が好ましい。
(3-3.電界強度と信頼性)
半導体装置1でVDSを大きくしていくと低濃度不純物層33には電位の分布に変化が生じる。第1のゲートトレンチ17は先端が低濃度不純物層33の一部までの深さに形成された溝であるため、その幅や間隔、深さに応じて、低濃度不純物層33における電位の分布の仕方が変わる。
図5Aは本実施形態1における比較例1であり、ある深さDa[nm]で全ての第1のゲートトレンチ17が一様に形成された構造である。図5Aにおいて、第1のゲート導体15への印加電圧がゼロの状態のまま、VDS=BVDSS(ここでは22V)となるまで電圧を印加したときの電位[V]の分布をシミュレーションした結果を図5Bに示す。
また図6Aは本実施形態1における比較例2であり、ある深さDb[nm](Da<Db)で全ての第1のゲートトレンチ17が一様に形成された構造である。図6Aにおいて、第1のゲート導体15への印加電圧がゼロの状態のまま、VDS=BVDSS(ここでは22V)となるまで電圧を印加したときの電位[V]の分布をシミュレーションした結果を図6Bに示す。
比較例1(図5A、図5B)と、比較例2(図6A、図6B)とでは第1のゲートトレンチ17の深さだけを変化させ、PNジャンクションの位置は変わらないものとしている。
比較例1(図5A、図5B)で示すのは比較例2(図6A、図6B)と比べると、第1のゲートトレンチ17が一様に、相対的に浅い場合の結果である。その逆に、比較例2(図6A、図6B)で示すのは比較例1(図5A、図5B)と比べると、第1のゲートトレンチ17が一様に、相対的に深い場合の結果である。比較例1(図5A、図5B)に示す第1のゲートトレンチ17と、比較例2(図6A、図6B)に示す第1のゲートトレンチ17とでは、第1のゲートトレンチ17の深さの差異は100nmである。
図5Bでは、第1のゲートトレンチ17の先端からみると、図6Bと比べて低濃度不純物層33は相対的に厚いため、厚い幅の中にVDS=BVDSSの電位が分布することになり、第1のゲートトレンチ17の先端付近の等電位線の間隔は広くなる。これは低濃度不純物層33内における電界強度が相対的には弱いことを意味している。
これに対して図6Bでは、第1のゲートトレンチ17の先端からみると、図5Bと比べて低濃度不純物層33は相対的に薄いため、薄い幅の中にVDS=BVDSSの電位が分布することになり、第1のゲートトレンチ17の先端付近の等電位線の間隔は狭くなる。これは低濃度不純物層33内における電界強度が相対的には強いことを意味している。
図5C、図6Cはそれぞれ、電位の分布が図5B、図6Bとなるときの電界強度[V/cm]の分布をシミュレーションした結果を濃淡で表したものである。図5C、図6Cによれば構造的に最も電界強度が大きくなるのは第1のゲートトレンチ17の先端の中央部分になり、この位置における電界強度の差を比較例1(図5C)と比較例2(図6C)で比べると0.02MV/cmである。
第1のゲートトレンチ17の近傍における電界強度が一定以上になると、第1のゲート絶縁膜16の付近にキャリアが蓄積され、いわゆるホットエレクトロンとなる。ホットエレクトロンが生じると、第1のゲート導体15へゲート電圧を印加しなくても反転層ができて導通チャネルが形成されるため、トランジスタ10の信頼性が低下する要因となる。
図5C、図6Cによれば電界強度は第1のゲートトレンチ17が深いほど大きくなるため、信頼性低下を防止する観点では第1のゲートトレンチ17は浅い方が好ましい。
[4.浅いゲートトレンチと深いゲートトレンチの混在]
トランジスタ10の特性と第1のゲートトレンチ17の深さは、上記のように密接に関係している。特性によってはトレードオフの関係にあり、すべての特性を良化することは難しく、重視する用途に応じて適切に第1のゲートトレンチ17の深さを設計する必要があった。
そこで本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、複数の第1のゲートトレンチ17に深さを変えたものを混在させることで、比較例1および比較例2のように、すべての第1のゲートトレンチ17の深さが統一されている場合に比べて、トランジスタ10の特性を向上できることを見出した。以下では第1のゲートトレンチ17において、半導体層40の上面からの深さが異なるものが混在することが、トランジスタ10の特性に及ぼす影響について説明する。
本開示で対象とする、第1のゲートトレンチ17の深さが異なるというのは、製造上どうしても回避できないばらつきではなく、ねらい値を設けて意図的に現わした設計による差異のことである。
まず一例として、図7Aを用いて、複数の第1のゲートトレンチ17で、深さDa[nm]のものと深さDb[nm]のものと、2つの深さのものが混在する(Da<Db)場合を説明する。便宜的に、以降は第1のゲートトレンチ17であれ第2のゲートトレンチ27であれ、深さDaのものを第3のゲートトレンチ171とよび、深さDbのものを第4のゲートトレンチ172と称する。第3のゲートトレンチ171が相対的に浅いゲートトレンチとなり、第4のゲートトレンチ172が相対的に深いゲートトレンチとなる。
第3のゲートトレンチ171に備わるゲート導体とゲート絶縁膜を、それぞれ第3のゲート導体151、第3のゲート絶縁膜161とする。第4のゲートトレンチ172に備わるゲート導体とゲート絶縁膜を、それぞれ第4のゲート導体152、第4のゲート絶縁膜162とする。
図7Aはトランジスタ10の一部をXZ平面で断面視したときの模式図であり、第1のソース電極11など、層間絶縁層34より上部の構成物と、半導体基板32を含む下部の構成物については図示を省略している。図7Aの構造では、第3のゲートトレンチ171と第4のゲートトレンチ172とが同じ幅で、さらに第3のゲートトレンチ171と第4のゲートトレンチ172とが1本ずつ交互に等間隔で設置されている。
図7Aの構造において、第3のゲート導体151および第4のゲート導体152への印加電圧がゼロの状態のまま、VDS=BVDSS(ここでは22V)となるまで電圧を印加したときの電位[V]の分布をシミュレーションした結果を図7Bに、そのときの電界強度[V/cm]のシミュレーション結果を図7Cに示す。
図7Bから分かるように、ドリフト層33内の電位は、第4のゲートトレンチ172があるために全体的に下方へ押し下げられており、相対的に第3のゲートトレンチ171付近の等電位線の間隔は広くなっている。この結果、第3のゲートトレンチ171の先端中央の電界強度は低減される。
図7Aにおける第3のゲートトレンチ171の深さDaは、図5A(比較例1)の第1のゲートトレンチ17の深さDaと同じであるが、すべての第1のゲートトレンチ17が同じ深さに統一されている場合の図5Aと比べると、第3のゲートトレンチ171の先端の中央部分における電界強度が低減していることが分かる。同じ深さDaであるにもかかわらず第3のゲートトレンチ171の先端中央の電界強度が低減するのは、第4のゲートトレンチ172が電位を低濃度不純物層33の方へ押し下げるためであり、第3のゲートトレンチ171よりも深い第4のゲートトレンチ172が、第3のゲートトレンチ171の付近に存在するためである。つまり、すべての第1のゲートトレンチ17の深さが統一されている従来の構造では、この効果は得られない。
一方、第4のゲートトレンチ172の先端中央の電界強度は増大する。図6A(比較例2)における第1のゲートトレンチ17の深さは、図7Aにおける第4のゲートトレンチ172の深さと同じDbであるが、図6Aではすべての第1のゲートトレンチ17の深さが統一されている。対応する図6Cと図7Cを用いて電界強度を比較すると、図6Cにおける第1のゲートトレンチ17の先端中央の電界強度よりも、図7Cにおける第4のゲートトレンチ172の先端中央の電界強度の方が強いことが分かる。
これはすべての第1のゲートトレンチ17が同じ深さに統一されている場合は、すべての第1のゲートトレンチ17が電位を一様に変化させるのに対して、図7Bのように一部の第4のゲートトレンチ172だけが電位を押し下げる場合は、局所的にその近傍だけ急峻に電位を変化させるためである。
第1のゲートトレンチ17の先端で電界強度が増大すると、第1のゲート絶縁膜16の近傍にホットエレクトロンが生じて信頼性を低下させる恐れが高まるため好ましくない。しかしながら本開示の一実施形態である図7Cにおいては、先端中央の電界強度が増大する第4のゲートトレンチ172の本数は、図6Cに比べて減少(およそ半減)している。つまり信頼性の低下に対しての耐性は構造的に向上しており、従来よりも増大した電界強度が生じても直ちに信頼性の低下に影響を及ぼすことのない構造となっている。
本開示の効果を享受するための本質は、従来構造と異なり、すべての第1のゲートトレンチ17が同じ深さに統一されないことであり、相対的に深い第4のゲートトレンチ172が、相対的に浅い第3のゲートトレンチ171に対して適切な本数と距離、および周期で設置されることである。このような構造であれば、第3のゲートトレンチ171の先端中央の電界強度が低減されながら、さらに信頼性低下につながる電界強度の上限を向上して耐性を高めることができる。
上記では第3のゲートトレンチ171と第4のゲートトレンチ172とが1本ずつ交互に設置される実施例を述べた。第4のゲートトレンチ172は第3のゲートトレンチ171の先端中央の電界強度を低減するように、第3のゲートトレンチ171をX方向において挟みこむように両側に配置されることが好ましく、最も効果的な配置は、X方向において第3のゲートトレンチ171と第4のゲートトレンチ172が1本ずつ交互に配置される構造である。
本開示の効果を得られる配置はこれに限らず、最隣接して対を成す第4のゲートトレンチ172が、X方向において、間に挟む第3のゲートトレンチ171の本数は複数でもよい。図8にその一例を示す。トランジスタ10に設置される第3のゲートトレンチ171の本数をn(nは1以上の整数)本とすると、トランジスタ10に設置される第4のゲートトレンチ172の本数は2本以上(n+1)本以下であることが好ましい。
トランジスタ10の第1の活性領域112に設置される第1のゲートトレンチ17のうち、X方向において両最端にあるものを第4のゲートトレンチ172とし、残りを第3のゲートトレンチ171とすることが好ましい。このような配置にすることで第1の活性領域112に備わる第3のゲートトレンチ171の先端中央の電界強度を抑制することができる。
またトランジスタ10の第1の活性領域112に設置される第1のゲートトレンチ17は、X方向において、最隣接して対を成す第4のゲートトレンチ172が、その間に1以上の第3のゲートトレンチ171を挟む構造を単位構造として、X方向にて当該単位構造が周期的に設置されて成り、当該単位構造の最端に設置される第4のゲートトレンチ172は、隣接する当該単位構造同士で共有されていることが望ましい。
すなわちトランジスタ10の第1の活性領域112に設置される第1のゲートトレンチ17は、X方向において、第3のゲートトレンチ171の並びの中に、一定の間隔で、周期的に、第4のゲートトレンチ172が設置されることが望ましい。第3のゲートトレンチ171と第4のゲートトレンチ172とを、このように配置することで、第1の活性領域112に備わる第3のゲートトレンチ171の先端中央の電界強度を抑制することができる。
特に、第1のゲートトレンチ17が、n本の第3のゲートトレンチ171と、n+1本の第4のゲートトレンチ172とから成る場合は、トランジスタ10(第1の活性領域112)に設置される第1のゲートトレンチ17のうち、X方向において両最端にあるものを第4のゲートトレンチ172としながら、第3のゲートトレンチ171と第4のゲートトレンチ172とを、各々1本ずつ交互に設置することができる。このときすべての第3のゲートトレンチ171の先端中央の電界強度を抑制することができるため好ましい。
第3のゲートトレンチ171同士の間隔Laa[μm]は一定であることが好ましい。また第4のゲートトレンチ172同士の間隔Lbb[μm]は一定であることが好ましい。
さらに第3のゲートトレンチ171と第4のゲートトレンチ172とを1本ずつ交互に設置するならば、Laa=Lbbであることが望ましいし、第3のゲートトレンチ171と第4のゲートトレンチ172との間隔Lab[μm]についても、Lab=Laa/2=Lbb/2が成立することが好ましい。この場合、第3のゲートトレンチ171も第4のゲートトレンチ172も導通チャネルとしては同じ密度で配置させることができるため、オン抵抗を低減するのに有効である。
尚、あらためて述べておくが、本開示で対象としているゲートトレンチ(第1のゲートトレンチ17もしくは第2のゲートトレンチ27、あるいは第3のゲートトレンチ171もしくは第4のゲートトレンチ172)とは、すべて導通チャネルの形成に寄与するものであり、ゲート導体(第1のゲート導体15もしくは第2のゲート導体25、あるいは第3のゲート導体151もしくは第4のゲート導体152)を内包する。
第3のゲート導体151と第4のゲート導体152は、トランジスタ10の駆動においては同電位であり、第1のゲート電極19に印加された電圧は、第3のゲート導体151にも第4のゲート導体152にも同等に印加される。
形状としてはトレンチであっても、第1の活性領域112を囲んで半導体装置1の第1の外周領域に備わるものは除外する。また第1の活性領域112に備わっていたとしても導通チャネルの形成に寄与しないものも除外する。したがって本開示でいう第1のゲートトレンチ17(第3のゲートトレンチ171および第4のゲートトレンチ172)は、すべて、上部で第1のソース領域14に接する部分を有し、下部で第1のボディ領域18に接する部分を有する。
ここからは、トランジスタ10で、第3のゲートトレンチ171の深さDaと第4のゲートトレンチ172の深さDbとの差Δ(=Db-Da)[nm]と、トランジスタ10のドレイン耐圧VDSおよびオン抵抗との関係について述べる。
トランジスタ10における、Δ(=Db-Da)[nm]とドレイン耐圧VDSの関係についてシミュレーションをおこなった結果を表1に示す。シミュレーションでは、内部幅が等しい第3のゲートトレンチ171と第4のゲートトレンチ172が、1本ずつ交互に配置され、Lab=Laa/2=Lbb/2=0.40μmであるとした。また第3のゲートトレンチ171の深さDa=1040nmはすべての水準1~8で統一されている。
Figure 0007393593000001
表1に示した耐圧は2種類の条件で算出したものである。低濃度不純物層33の抵抗率および厚さをそれぞれの水準で変化させることなく統一した条件Aと、水準2の形状を基準として、第4のゲートトレンチ172の深さDbの増大に応じて、低濃度不純物層33の厚さも増大した条件Bである。尚、水準1は図5A、図5B、図5Cに対応しており、水準2は図7A、図7B、図7Cに対応している。また条件Bは水準3~7についてのみシミュレーションを実施している。
表1の結果を条件A(○)と条件B(◇)で同時にプロットしたものが図9である。図9によれば、条件A(○)では、Δの増大に応じてVDSが低減する中で、Δ=160nm付近でVDSの低減の割合がいったん緩やかになる様子が見られる。また条件B(◇)では、Δ=160nmを起点としてΔが増大すると共にVDSが増大する様子が現れる。
留意すべきはΔ=160nmを境として耐圧の傾向が変化するところである。特に、条件B(◇)においてΔ≧160nmとなる範囲では、VDSが低減もしくは収束することなく増大するところは注目すべきである。
図10B、図10Cに、表1の水準5で示した、Db=1200nm(Δ=160nm)における電位[V]の分布および電界強度[V/cm]の様子をシミュレーションした結果を示す。また図11B、図11Cに、表1の水準7で示した、Db=1400nm(Δ=360nm)における電位[V]の分布および電界強度[V/cm]の様子をシミュレーションした結果を示す。図10B、図10Cは、図10Aに示す構造において、第3のゲート導体151および第4のゲート導体152への印加電圧がゼロの状態のまま、VDS=BVDSS(ここでは22V)となるまで電圧を印加したときのシミュレーション結果である。また図11B、図11Cは、図11Aに示す構造において、第3のゲート導体151および第4のゲート導体152への印加電圧がゼロの状態のまま、VDS=BVDSS(ここでは22V)となるまで電圧を印加したときのシミュレーション結果である。尚、Db=1140nm(Δ=100nm)のときのシミュレーション結果は図7B、図7Cである。
図7B,図10B、図11Bおよび図7C、図10C、図11Cを比較すると、第4のゲートトレンチ172の深さが増大するに伴って、第3のゲートトレンチ171の先端中央における電界強度が低減し、ちょうどΔ=160nm付近(図10C)で収束することが分かる。これは第3のゲートトレンチ171の両側に備わる第4のゲートトレンチ172が、第3のゲートトレンチ171の先端から160nmまで電位を押し下げることによって、第3のゲートトレンチ171の先端中央で電界強度を増大させるような電位の分布が消失するためである。
したがって相対的に浅い方の、第3のゲートトレンチ171の先端中央の電界強度がこれ以上顕著には低減しなくなる状態に至っていることが、図9に現れる留意すべき現象の要因であるといえる。このような現象は、従来のように第1のゲートトレンチ17がすべて同じ深さで形成されている構造では得られない効果である。
したがって第3のゲートトレンチ171と第4のゲートトレンチ172が1本ずつ、等間隔で交互に配置される場合、Δ≧160nmへ調整することが好ましい。すなわち、第3のゲートトレンチ171の深さと第4のゲートトレンチ172の深さとの差は160nm以上であることが望ましい。Δ≧160nmとすれば、低濃度不純物層33の厚さを調整することで、表1もしくは図9に示すように耐圧を向上させることができる。また耐圧のマージンを増大させる必要性が低ければ、耐圧が向上する分を、低濃度不純物層33の抵抗率や厚さを調節して、オン抵抗を低減することに転化させることもできる。Δ<160nmであっても一定の効果を得ることはできるが、十分な耐圧のマージンを確保しつつ、低濃度不純物層33の導通抵抗を低減するには、Δ≧160nmとなるように調整することが望ましい。
[5.ゲートトレンチの深さを個別に制御する製法]
本実施形態1におけるトランジスタ10の製造方法の一例を説明する。第3のゲートトレンチ171と第4のゲートトレンチ172を交互に形成する場合を例にして説明する。
図12Aに示すように、半導体層40(半導体基板32と低濃度不純物層33)の上面に酸化物等から成る、マスク層36を製膜する。
次に図12Bに示すように、マスク層36上に塗布したレジストをパターニングし、X方向において、一定の間隔で開口部を設ける。このときX方向におけるレジストの開口部の幅は、最終的には第4のゲートトレンチ172の内部幅となる。さらに第3のゲートトレンチ171と第4のゲートトレンチ172の内部幅および間隔が等しくなるようにトランジスタ10を形成する場合、図12Bにおいてはレジストで被覆されているX方向の非開口部の幅は、レジストが除去されているX方向の開口部の幅の、およそ3倍と同等となるようにパターニングをおこなう。
次に図12Cに示すように、レジストの開口部にエッチングを施し、マスク層36を除去する。マスク層36はすべて除去せずに半導体層40上に一定の厚さで残留してもよいが、図12Cに示すように、すべて除去されることが望ましい。
次に図12Dに示すように、残留しているレジストに再度パターニングをおこない、新たにマスク層36が露出する箇所をX方向において周期的に設ける。X方向における、レジストに新たに設けた開口部の幅は、最終的には第3のゲートトレンチ171の内部幅となる。
次に図12Eに示すように、図12Dの工程でマスク層36が新たに露出した箇所にエッチングを施し、マスク層36を、半導体層40上に一定の厚さを残して除去する。
次に図12Fに示すように、レジストを除去する。
次に図12Gに示すように、部分的に残ったマスク層36をマスクとして、マスク層36および半導体層40をエッチングする。図12Gを開始する時点でマスク層36は、後に第3のゲートトレンチ171となる箇所にだけ選択的に、薄く設置されている。図12Gに示す工程のエッチングをおこなうと、マスク層36がもともと除去されていた箇所では、始めから半導体層40のエッチングが進行する。マスク層36が薄く残されていた箇所は、まずマスク層36が完全に除去され、その後、直下の半導体層40がエッチングされ始めるが、その時点で既に、マスク層36がもともと除去されていた箇所では半導体層40のエッチングが進行しているため、半導体層40には交互に深さの異なるトレンチが形成されることになる。
マスク層36の厚さ、エッチングの条件、図12Eに示す工程で半導体層40上面に残すマスク層36の残し厚さ等を操作することで、第3のゲートトレンチ171と第4のゲートトレンチ172の深さの差を制御することができる。
また第3のゲートトレンチ171の内部幅と第4のゲートトレンチ172の内部幅、あるいは第3のゲートトレンチ171同士の間隔、第4のゲートトレンチ172同士の間隔、第3のゲートトレンチ171と第4のゲートトレンチ172との間隔等は、レジストをパターニングする寸法を制御することで自由に設計することができる。
(実施形態2)
以下、実施形態1に係る半導体装置1におけるトランジスタ10から、一部の構成が変更されて構成される実施形態2に係る半導体装置1のトランジスタ10Aについて説明する。
トランジスタ10は、第1のゲートトレンチ17が、第3のゲートトレンチ171と第4のゲートトレンチ172とから成り、第3のゲートトレンチ171に備わる第3のゲート導体151と第3のゲート絶縁膜161と、および第4のゲートトレンチ172に備わる第4のゲート導体152と第4のゲート絶縁膜162と、を有する構成の例であった。
これに対して、実施形態2に係るトランジスタ10Aは、実施形態2に係るトランジスタ10Aにおいて、第1のゲートトレンチ17が、第3のゲートトレンチ171と第4のゲートトレンチ172とから成り、第3のゲートトレンチ171に備わる第3のゲート導体151Aと第3のゲート絶縁膜161Aと、および第4のゲートトレンチ172に備わる第4のゲート導体152Aと第4のゲート絶縁膜162Aと、を有する構成の例となっている。
ここでは、実施形態2に係るトランジスタ10Aについて、トランジスタ10と同様の構成要素については、既に説明済みであるとして同じ符号を振ってその詳細な説明を省略し、トランジスタ10との相違点を中心に説明する。
図13に本実施形態2におけるトランジスタ10Aの形状の模式図を示す。図13はトランジスタ10Aの一部をXZ平面で断面視したときの模式図であり、第1のソース電極11など、層間絶縁層34より上部の構成物と、半導体基板32を含む下部の構成物については図示を省略している。
本実施形態2における実施形態1との違いは、第3のゲート絶縁膜161Aと第4のゲート絶縁膜162Aの形状に差異があるところである。特に第4のゲート絶縁膜162Aは、第4のゲートトレンチ172の底部側が、当該第4のゲートトレンチ172の上部側の第4のゲート絶縁膜162Aに比べて厚くなっている。
実施形態1でも説明したように、第4のゲートトレンチ172は相対的に深いトレンチであるため、先端中央の電界強度が増大する。仮に第4のゲート絶縁膜162Aが極端に薄いと、増大する電界強度に構造が耐え切れず、ドレイン-ゲート間で電流がリークする箇所を生じてしまう恐れがある。このため特に電界強度が増大する箇所である第4のゲートトレンチ172の先端を広く覆うように、第4のゲート絶縁膜162Aを、第4のゲートトレンチ172の底部側だけ厚く設置しておくと好ましい。
図13では、第4のゲート絶縁膜162Aが、第4のゲートトレンチ172の底部側で一様に厚い構成を例示しているが、本実施形態2の効果を得るのは、図13の形状に限るものではない。第4のゲート絶縁膜162Aは、第4のゲートトレンチ172の形状に沿って一部の側面と底部側だけ厚くなるように設置されていてもよく、また厚くなっている部分は異なる材料の絶縁膜の多層構成になっていてもよい。
また第3のゲート絶縁膜161Aは図13に示すとおり、実施形態1における第3のゲート絶縁膜161と同様、厚さが第3のゲートトレンチ171の側でも底部でも変わらず一定でもよい。これは第3のゲートトレンチ171の先端に生じる電界強度は過度に増大しないので、第3のゲート絶縁膜161Aを厚くして備える必要がないためである。したがって、相対的に増大する電界強度への耐性を高める必要のある第4のゲート絶縁膜162Aでは、第3のゲート絶縁膜161Aに比べて厚い部分を有することが望ましい。特に、第4のゲートトレンチの底部側で、第4のゲート絶縁膜162Aが厚く設置されることが望ましい。
しかし第3のゲートトレンチ171と第4のゲートトレンチ172の深さの差や、間隔、設置数の相対的な関係によっては、第3のゲートトレンチ171の先端における電界強度がある程度増大する場合もある。そのような場合には、第4のゲート絶縁膜162Aと同様に、第3のゲート絶縁膜161Aにおいても底部側が厚膜化されていてもよい。このとき、第3のゲート絶縁膜161Aと第4のゲート絶縁膜162Aは同等の厚さが設置されていてもよいし、第4のゲート絶縁膜162Aの方が相対的に厚くなるように設置されていてもよい。
(実施形態3)
以下、実施形態1に係る半導体装置1におけるトランジスタ10から、一部の構成が変更されて構成される実施形態3に係る半導体装置1のトランジスタ10Bについて説明する。
トランジスタ10は、低濃度不純物層33が1層で構成される例であった。これに対して、実施形態3に係るトランジスタ10Bは、実施形態3に係るトランジスタ10Bにおいて、2層構成の低濃度不純物層33Bを有する構成の例となっている。
ここでは、実施形態3に係るトランジスタ10Bについて、トランジスタ10と同様の構成要素については、既に説明済みであるとして同じ符号を振ってその詳細な説明を省略し、トランジスタ10との相違点を中心に説明する。
図14に本実施形態3におけるトランジスタ10Bの形状の模式図を示す。図14はトランジスタ10Bの一部をXZ平面で断面視したときの模式図であり、第1のソース電極11など、層間絶縁層34より上部の構成物と、半導体基板32を含む下部の構成物については図示を省略している。
図14に示すように、トランジスタ10Bの低濃度不純物層33Bは2層構成である。低濃度不純物層33Bは、不図示の半導体基板32上に、まず第2の低濃度不純物層332が積層され、さらにその上部に第1の低濃度不純物層331が積層されて成る。
第1の低濃度不純物層331は、第2の低濃度不純物層332に比べて低い抵抗率を示す層であり、第2の低濃度不純物層332は、第1の低濃度不純物層331に比べて高い抵抗率を示す層である。例えば低濃度不純物層33B内部で不純物濃度を比較した場合、第1の低濃度不純物層331における第1導電型の不純物の濃度の方が、第2の低濃度不純物層332における第1導電型の不純物の濃度に比べて高い。
また本実施形態3では、第3のゲートトレンチ171の先端が、第1の低濃度不純物層331の内部に到達するように形成されている。さらに第3のゲートトレンチ171の先端は、第1の低濃度不純物層331を貫通して第2の低濃度不純物層332に到達するようには形成されていない。また第4のゲートトレンチ172の先端が、第2の低濃度不純物層332の内部に到達するように形成されている。さらに第4のゲートトレンチ172の先端は、第2の低濃度不純物層332を貫通して半導体基板32に到達するようには形成されていない。
上記のように第3のゲートトレンチ171の先端が第1の低濃度不純物層331の内部におさまるように設置すると、第3のゲートトレンチ171によって形成される導通チャネルを経由する主電流は、半導体基板32へ至るのに、第3のゲートトレンチ171の直下にある第1の低濃度不純物層331と第2の低濃度不純物層332を経由する。第1の低濃度不純物層331は相対的に低い抵抗率であるので、低濃度不純物層33を流れる主電流の抵抗を低減することができる。
一方、第1の低濃度不純物層331が相対的に低い抵抗率であると、第3のゲートトレンチ171の先端付近に生じる電界強度は増大することになる。しかし、本開示の構造によれば第4のゲートトレンチ172が備わることで、第3のゲートトレンチ171の先端付近の電界強度はもともと低減されている。このため電界強度の増大は一定程度相殺することができる。第3のゲートトレンチ171の先端付近の電界強度の増減への影響と、第1の低濃度不純物層331を流れる電流の抵抗への影響とを共に加味して第1の低濃度不純物層331の抵抗率または厚さは適切に選択することができる。
第4のゲートトレンチ172の先端を第2の低濃度不純物層332の内部におさまるように設置すると、第2の低濃度不純物層332が相対的に高い抵抗率であるため、第4のゲートトレンチ172の先端付近に生じる電界強度を低減することができる。この効果は、本開示の構造が第3のゲートトレンチ171の先端付近の電界強度を低減するのに対して、第4のゲートトレンチ172の先端付近の電界強度がもともと増大する副作用を軽減するのに都合がよい。
一方、第4のゲートトレンチ172によって形成される導通チャネルを経由する主電流は、半導体基板32へ至るのに、第4のゲートトレンチ172の直下にある第2の低濃度不純物層332を経由する。第2の低濃度不純物層332は相対的に高い抵抗率であるので、低濃度不純物層33を流れる主電流の抵抗は増大するものの、本開示の構造では第4のゲートトレンチ172は相対的に深く形成されるので、主電流が第2の低濃度不純物層332を流れる距離は過度に大きくせずに済ませられる。
上記のように、本実施形態3では低濃度不純物層33Bを適切に2段構成にすることで、本開示において生じる第3のゲートトレンチ171と第4のゲートトレンチ172に関する、それぞれの副作用を軽減することができる。
(補足)
以上、本開示の一態様に係る半導体装置について、実施形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形をこれらの実施形態に施したものや、異なる変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の1つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
また本開示では縦型電界効果トランジスタの構造について、まずデュアル構成を例にとって説明し、第1のトランジスタのゲートトレンチを第1のゲートトレンチとし、第2のトランジスタのゲートトレンチを第2のゲートトレンチとした。混乱を避けるため本開示においては一貫して、相対的に浅いゲートトレンチのことを第3のゲートトレンチとし、相対的に深いゲートトレンチのことを第4のゲートトレンチとして説明したが、本開示の効果を得られる縦型電界効果トランジスタの構造はデュアル構成に限らない。したがって第1のトランジスタと第2のトランジスタを必ずしも区別する必要はなく、第3のゲートトレンチを第1のゲートトレンチと言い換え、第4のゲートトレンチを第2のゲートトレンチと言い換えても差し支えない。
本願発明に係る縦型電界効果トランジスタを備える半導体装置は、電流経路の導通状態を制御する装置として広く利用できる。
1 半導体装置
10、10A、10B トランジスタ(第1の縦型電界効果トランジスタ)
11 第1のソース電極
12、13、22、23 部分
14 第1のソース領域
15 第1のゲート導体
16 第1のゲート絶縁膜
17 第1のゲートトレンチ
18 第1のボディ領域
18A 第1の接続部
19 第1のゲート電極
20 トランジスタ(第2の縦型電界効果トランジスタ)
21 第2のソース電極
24 第2のソース領域
25 第2のゲート導体
26 第2のゲート絶縁膜
27 第2のゲートトレンチ
28 第2のボディ領域
28A 第2の接続部
29 第2のゲート電極
30 金属層
32 半導体基板
33、33B 低濃度不純物層(ドリフト層)
34 層間絶縁層
35 パッシベーション層
36 マスク層
40 半導体層
90 境界線
112 第1の活性領域
116 第1のソース電極パッド
119 第1のゲート電極パッド
122 第2の活性領域
126 第2のソース電極パッド
129 第2のゲート電極パッド
151、151A 第3のゲート導体
152、152A 第4のゲート導体
161、161A 第3のゲート絶縁膜
162、162A 第4のゲート絶縁膜
171 第3のゲートトレンチ
172 第4のゲートトレンチ
331 第1の低濃度不純物層
332 第2の低濃度不純物層

Claims (5)

  1. フェイスダウン実装が可能なチップサイズパッケージ型の半導体装置であって、
    第1導電型の不純物を含む前記第1導電型の半導体基板と、
    前記半導体基板上に接して形成され、前記半導体基板の前記第1導電型の不純物の濃度より低い濃度の前記第1導電型の不純物を含む前記第1導電型の低濃度不純物層と、
    前記低濃度不純物層に形成された前記第1導電型と異なる第2導電型のボディ領域と、
    前記ボディ領域に形成された前記第1導電型のソース領域と、
    前記ボディ領域および前記ソース領域と電気的に接続されたソース電極と、
    前記低濃度不純物層上面から、前記ボディ領域を貫通して前記低濃度不純物層の一部までの深さに形成され、前記ソース領域と接触する部分を有し、前記低濃度不純物層の上面と平行な第1の方向に延在する第1のゲートトレンチと、
    前記低濃度不純物層上面から、前記ボディ領域を貫通して前記第1のゲートトレンチよりも深く形成され、前記ソース領域と接触する部分を有し、前記第1の方向に延在する第2のゲートトレンチと、
    前記第1のゲートトレンチの内部に形成された第1のゲート絶縁膜と、前記第1のゲート絶縁膜上に形成された第1のゲート導体と、
    前記第2のゲートトレンチの内部に形成された第2のゲート絶縁膜と、前記第2のゲート絶縁膜上に形成された第2のゲート導体と、を有する縦型電界効果トランジスタであり、
    前記第1のゲート導体と前記第2のゲート導体とは同電位であって、
    前記第1のゲートトレンチの本数をn(nは1以上の整数)とすると、前記第2のゲートトレンチの本数は2以上n+1以下であり、
    前記低濃度不純物層の上面と平行で前記第1の方向に直交する第2の方向において、前記第1のゲートトレンチと前記第2のゲートトレンチとが設置される領域の最端は前記第2のゲートトレンチが設置され、
    前記第2の方向において、前記第1のゲートトレンチと前記第2のゲートトレンチとが設置される領域は、最隣接して対を成す前記第2のゲートトレンチが、その間に1以上の前記第1のゲートトレンチを挟む構造を単位構造として、前記単位構造が周期的に設置されて成り、
    前記単位構造の最端に設置される前記第2のゲートトレンチは、隣接する前記単位構造同士で共有されており、
    前記第1のゲートトレンチと前記第2のゲートトレンチとは、前記第2の方向において、各々1つずつ交互に設置され、
    前記第2の方向における前記第1のゲートトレンチと前記第2のゲートトレンチとの間隔は一定であり、
    前記第1のゲートトレンチの深さと前記第2のゲートトレンチの深さとの差は160nm以上である
    導体装置。
  2. フェイスダウン実装が可能なチップサイズパッケージ型の半導体装置であって、
    第1導電型の不純物を含む前記第1導電型の半導体基板と、
    前記半導体基板上に接して形成され、前記半導体基板の前記第1導電型の不純物の濃度より低い濃度の前記第1導電型の不純物を含む前記第1導電型の低濃度不純物層と、
    前記低濃度不純物層に形成された前記第1導電型と異なる第2導電型のボディ領域と、
    前記ボディ領域に形成された前記第1導電型のソース領域と、
    前記ボディ領域および前記ソース領域と電気的に接続されたソース電極と、
    前記低濃度不純物層上面から、前記ボディ領域を貫通して前記低濃度不純物層の一部までの深さに形成され、前記ソース領域と接触する部分を有し、前記低濃度不純物層の上面と平行な第1の方向に延在する第1のゲートトレンチと、
    前記低濃度不純物層上面から、前記ボディ領域を貫通して前記第1のゲートトレンチよりも深く形成され、前記ソース領域と接触する部分を有し、前記第1の方向に延在する第2のゲートトレンチと、
    前記第1のゲートトレンチの内部に形成された第1のゲート絶縁膜と、前記第1のゲート絶縁膜上に形成された第1のゲート導体と、
    前記第2のゲートトレンチの内部に形成された第2のゲート絶縁膜と、前記第2のゲート絶縁膜上に形成された第2のゲート導体と、を有する縦型電界効果トランジスタであり、
    前記第1のゲート導体と前記第2のゲート導体とは同電位であって、
    前記第1のゲートトレンチの本数をn(nは1以上の整数)とすると、前記第2のゲートトレンチの本数は2以上n+1以下であり、
    前記低濃度不純物層の上面と平行で前記第1の方向に直交する第2の方向において、前記第1のゲートトレンチと前記第2のゲートトレンチとが設置される領域の最端は前記第2のゲートトレンチが設置され、
    前記第2の方向において、前記第1のゲートトレンチと前記第2のゲートトレンチとが設置される領域は、最隣接して対を成す前記第2のゲートトレンチが、その間に1以上の前記第1のゲートトレンチを挟む構造を単位構造として、前記単位構造が周期的に設置されて成り、
    前記単位構造の最端に設置される前記第2のゲートトレンチは、隣接する前記単位構造同士で共有されており、
    前記第2のゲート絶縁膜は、前記第1のゲート絶縁膜よりも、厚い部分を有する
    導体装置。
  3. 前記第2のゲートトレンチの下部における前記第2のゲート絶縁膜の厚さは、当該第2のゲートトレンチの上部における前記第2のゲート絶縁膜の厚さよりも厚い部分がある
    請求項に記載の半導体装置。
  4. フェイスダウン実装が可能なチップサイズパッケージ型の半導体装置であって、
    第1導電型の不純物を含む前記第1導電型の半導体基板と、
    前記半導体基板上に接して形成され、前記半導体基板の前記第1導電型の不純物の濃度より低い濃度の前記第1導電型の不純物を含む前記第1導電型の低濃度不純物層と、
    前記低濃度不純物層に形成された前記第1導電型と異なる第2導電型のボディ領域と、
    前記ボディ領域に形成された前記第1導電型のソース領域と、
    前記ボディ領域および前記ソース領域と電気的に接続されたソース電極と、
    前記低濃度不純物層上面から、前記ボディ領域を貫通して前記低濃度不純物層の一部までの深さに形成され、前記ソース領域と接触する部分を有し、前記低濃度不純物層の上面と平行な第1の方向に延在する第1のゲートトレンチと、
    前記低濃度不純物層上面から、前記ボディ領域を貫通して前記第1のゲートトレンチよりも深く形成され、前記ソース領域と接触する部分を有し、前記第1の方向に延在する第2のゲートトレンチと、
    前記第1のゲートトレンチの内部に形成された第1のゲート絶縁膜と、前記第1のゲート絶縁膜上に形成された第1のゲート導体と、
    前記第2のゲートトレンチの内部に形成された第2のゲート絶縁膜と、前記第2のゲート絶縁膜上に形成された第2のゲート導体と、を有する縦型電界効果トランジスタであり、
    前記第1のゲート導体と前記第2のゲート導体とは同電位であって、
    前記第1のゲートトレンチの本数をn(nは1以上の整数)とすると、前記第2のゲートトレンチの本数は2以上n+1以下であり、
    前記低濃度不純物層の上面と平行で前記第1の方向に直交する第2の方向において、前記第1のゲートトレンチと前記第2のゲートトレンチとが設置される領域の最端は前記第2のゲートトレンチが設置され、
    前記第2の方向において、前記第1のゲートトレンチと前記第2のゲートトレンチとが設置される領域は、最隣接して対を成す前記第2のゲートトレンチが、その間に1以上の前記第1のゲートトレンチを挟む構造を単位構造として、前記単位構造が周期的に設置されて成り、
    前記単位構造の最端に設置される前記第2のゲートトレンチは、隣接する前記単位構造同士で共有されており、
    前記低濃度不純物層は、上面側から、前記第1導電型の不純物濃度が相対的に低い第1の低濃度不純物層と、前記第1導電型の不純物濃度が相対的に高い第2の低濃度不純物層とが積層されて成り、
    前記第1のゲートトレンチの先端は前記第1の低濃度不純物層の内部にあり、
    前記第2のゲートトレンチの先端は前記第2の低濃度不純物層の内部にある
    導体装置。
  5. 前記第1のゲートトレンチと前記第2のゲートトレンチとは、前記第2の方向において、各々1つずつ交互に設置され、
    前記第2の方向における前記第1のゲートトレンチと前記第2のゲートトレンチとの間隔は一定である
    請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の半導体装置。
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