JP7391311B1 - ロッド及び検体採取スワブ - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、高い脱落回避性を検体採取スワブに付与することができるロッドを提供することにある。また、本発明の他の目的は、高い脱落回避性を有する検体採取スワブを提供することにある。【解決手段】 ロッドと、ロッドに包着している袋状の繊維体と、を備える検体採取スワブに用いるロッドであって、前記繊維体とロッドとを溶着するための溶着部を備え、前記溶着部が、少なくとも1つのテーパ部を含み、前記テーパ部がロッドの軸方向に沿って且つ繊維体が包着するロッド端部に向かって先細りする形状を有する、ロッド。【選択図】図6

Description

本発明は、ロッド及び検体採取スワブに関する。
臨床及び診断分析の分野においては、生物学的検体を採取するためにスワブが用いられている。この様なスワブはロッドの先端に天然繊維や合成繊維により形成された繊維体からなる検体採取部を有するものであり、綿棒等が例示される。
例えば、インフルエンザウイルスの感染検査は、綿棒を用いて鼻腔や咽喉から粘液を採取し、得られた粘液中のインフルエンザウイルスの有無を判定することにより実施されている(特許文献1)。この様な綿棒として、検査に充分な検体量を採取することを目的として、ループ状の繊維からなる不織布にて検体採取部を形成する技術も知られている(特許文献2)。
特表2002-508193号公報 特開2017-015610号公報
しかし、特許文献2に記載されるスワブは、高い空隙率を有する不織布により検体採取部が形成されているため、ロッドの伸び方向に不織布を引き抜こうとする力に弱く、ロッドから不織布が脱落することがあった。鼻腔や咽喉から粘液を採取する際にロッドから不織布が脱落することは、重大な医療事故を引き起こす可能性がある。このため検体採取スワブには、ロッドから検体採取部が脱落しない特性(以下、「脱落回避性」と称する)が求められる。
検体採取スワブに脱落回避性を付与する方法として、検体採取部としての繊維体をロッドに取り付ける際に接着剤を用いる方法、熱で溶着する方法、及び紐等で縛る方法等が知られている。しかし、接着剤を用いる方法は接着剤が繊維体に浸潤することによりその空隙率が低下し、必要とする検体量を採取することができないことがある。また、熱で溶着する方法も、ロッドと繊維体との溶着が十分ではない傾向がある。さらに、紐等で縛る方法も、スワブに使用されるロッドの径が小さいことから繊維体を紐で縛ることは非常に難しい。この様に、満足のいく脱落回避性をスワブに付与することは困難であった。
本発明の目的は、高い脱落回避性を検体採取スワブに付与することが可能なロッドを提供することにある。また、本発明の他の目的は、高い脱落回避性を有する検体採取スワブを提供することにある。
本発明者は、特定の構造を有するロッドを用いることで、高い脱落回避性を検体採取スワブに付与することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のロッドは、
ロッドと、ロッドに包着している袋状の繊維体と、を備える検体採取スワブに用いるロッドであって、
上記繊維体とロッドとを溶着するための溶着部を備え、
上記溶着部が、1又は2以上のテーパ部を含み、
上記テーパ部がロッドの軸方向に沿って且つ繊維体が包着するロッド端部に向かって先細りする形状を有する。
上記テーパ部の形状が錐台状であることが好ましい。
上記ロッドは、ロッド端部、フランジ部、及び溶着部をこの順に備えることが好ましい。
上記ロッドは、溶着部に繊維体を溶着した際のロッドの中心軸から繊維体の端部までの距離が、ロッドの中心軸から溶着部の基部までの距離よりも短くなるように、溶着部が形成されていることが好ましい。
また、本発明では、上記ロッドと、上記ロッドに包着している袋状の繊維体と、を備え、上記繊維体が上記溶着部を介してロッドと溶着した検体採取スワブについても説明する。
本発明のロッドは、高い脱落回避性を検体採取スワブに付与することができる。したがって、本発明のロッドを用いた検体採取スワブは高い脱落回避性を有するため、臨床や診断分析の分野において有用である。
ロッドと検体採取スワブの一実施形態を示す。 検体採取スワブの繊維体の第一の実施形態を示す。 検体採取スワブの繊維体の第二の実施形態(正面図)を示す。 検体採取スワブの繊維体の第三の実施形態(正面図)を示す。 ロッドと、ロッドに包着された袋状の繊維体の一実施形態を示す。 ロッドの溶着部の一実施形態を示す。 図5(B)の溶着部周辺の拡大図を示す。 溶着部周辺の拡大図を示す。
<検体採取スワブ>
本発明における検体採取スワブ(以下、「本発明のスワブ」と称する)は、ロッドと、上記ロッドに包着している袋状の繊維体と、を備えることを特徴とする。上記繊維体は生物学的検体を採取する部分であるため、検体採取部と称することもある。また、上記繊維体が包着するロッドの領域を先端領域部と称する。本発明のスワブは、上記の構成を有することから、鼻腔、咽喉、眼(結膜)等から検査に充分な量の粘液等を安定して採取することができる。
上記繊維体は特に限定されないが、例えば、異型度が1.4~4.0である断面を有する繊維(以下、「異型断面繊維」と称する場合がある)を含む不織布により形成された繊維体であってもよい。
図1を用いて、本発明のスワブの一実施形態について説明する。図1の(A)は本発明のロッド(繊維体を取り付けていないロッド)を示しており、図1の(B)はロッドと、上記ロッドに包着している袋状の繊維体とを備えるスワブを示している。図1(A)及び(B)の1は把持部を、2はロッドを、3はロッドの最先端部(すなわち、繊維体が包着するロッド端部)を、4は検体採取部としての繊維体を示している。なお、図1の(B)における検体採取部4に対応する、(A)におけるロッドの領域は先端領域部である。
図2は繊維体の第一の実施形態を示している。(A)は繊維体の正面図を示し、(B)は繊維体の側面図を示す。図3は繊維体の第二の実施形態を示している。図4は繊維体の第三の実施形態を示している。これらの繊維体は、不織布を2つ折りにして一方の面と他方の面でロッドを挟み込み、その後に不織布を溶着・溶断して形成された袋状の繊維体である。上記ロッドの最先端部に対応する繊維体の端部は、上記不織布の折り目部分に該当するため、先端部分が柔らかい形状となり、被検者に痛みや不快感を与えない点で有効である。
図2の(A)における繊維体の側部5は、不織布の溶着・溶断によりその形状が決定されたものであって、適度な硬さを有する。側部5は、ロッドの最先端部への伸び方向(以下、単に「ロッドの伸び方向」と称することがある)とは逆方向に凸部6を有する。側部5は図示される様に略三角形形状を示している。本実施形態における繊維体は上記特徴を有することにより、他の実施形態(例えば、図3及び4における第二及び三の実施形態)と比較しても、鼻腔や咽喉等から検査に充分な量の粘液等の生物学的検体を極めて安定に採取することができる。その理由を以下に記載する。
インフルエンザウイルスやコロナウィルスの感染検査では、感染の疑いがある者に対して鼻水等の検体(生物学的検体)を採取するが、感染者の鼻水等は粘度が高い傾向がある。検体の粘度が高い場合、検体採取スワブの繊維体に対する浸潤性が低くなることから、当該検体を安定に採取することが難しいことがある。また、検体採取スワブの繊維体が不織布により形成されたものであって柔らかい性質を有している点で、粘度の高い検体を掻き出す能力が充分ではない場合がある。この様な場合に、本実施形態における繊維体は、その側部が適度な硬さを有しつつ、ロッドの最先端部への伸び方向とは逆方向に凸部6を有するという形状をとることから、粘度の高い検体を掻き出すための能力が高い。すなわち、本発明のスワブが本実施形態における繊維体を備える場合、検体の粘度が高くても、当該繊維体の形状から検体を鼻腔や咽喉等から掻き出す能力が高く、また、当該繊維体が、異型断面繊維を含む不織布により形成されていることから検体を充分に浸潤させることができるため、これらの相乗効果により鼻腔や咽喉等から検査に充分な量の鼻水等の検体を極めて安定に採取することができるといえる。さらに、検体を鼻腔や咽喉等から掻き出す能力が高く、繊維体が不織布により形成されていることから、被検者に痛みや不快感を与えることがないといえる。
図3の繊維体の側部5は、図2の繊維体と同様に、不織布の溶着・溶断によりその形状が決定されたものであって、適度な硬さを有する。また、側部5は正面視で略半円形状を有するため、当該形状により、ある程度、粘度の高い検体を掻き出す能力を備えるといえる。したがって、本実施形態における繊維体は、検体の粘度が高い場合であっても検体を鼻腔や咽喉等から掻き出す能力がある程度高いといえる。
図4の繊維体の側部5は、図2の繊維体と同様に、不織布の溶着・溶断によりその形状が決定されたものであって、適度な硬さを有し、溶着部がロッドに沿った形状(すなわちロッドと平行な形状)となっている。したがって、本実施形態における繊維体は、検体の粘度が高い場合であっても検体を鼻腔や咽喉等から掻き出す能力があるといえる。
図5の(A)はロッドの先端領域部の周辺図を示しており、図5の(B)はロッドの先端領域部に袋状の繊維体が包着している図を示している。図5の11は最先端部を、12は抜け止め突端を有する返し片部を、13は抜け止め突端を、14はフランジ部を、15はロッドに包着している繊維体(検体採取部)を、16は円錐台状のテーパ部を、17は溶着部を示している。12の抜け止め突端を有する返し片部は、図示される様に正面視で略三角形形状を示し、一方と他方が対となっている。なお、18はロッドの先端領域部の基部、すなわち先端領域基部である。先端領域基部は溶着部の基部ともいえる。
本発明のスワブが、繊維体として異型断面繊維を含む不織布により形成されている場合、特に、鼻腔、咽喉、眼(結膜)等から検査に充分な量の生物学的検体を安定して採取することができる。この特性は、異型断面繊維を含む不織布が生物学的検体を充分に浸潤させることができることに起因するものと考えられる。より具体的には、上記不織布が異型断面繊維を含むことから、不織布中の繊維同士が空隙の多い状態で重なり合うこととなり、充分な空隙率を確保できる結果、検査に必要となる生物学的検体が安定して採取できることになる、との説明が可能である。
本発明のスワブは上記の特性により、眼(結膜)から生物学的検体(例えば、涙液)を安定して採取する際に有用である。眼(結膜)から涙液を採取する際は、ろ紙を採取具として使用することが一般的である。しかしながら、ろ紙が有する検体採取能は低く、検査に充分な量の涙液を得ることが難しかった。この点で、検査に必要となる涙液を安定して採取できる本発明のスワブは有用である。
[ロッド]
本発明のロッドは、ロッドと、ロッドに包着している袋状の繊維体と、を備える検体採取スワブに用いるロッドである。上記ロッドは、上記繊維体とロッドとを溶着するための溶着部を備える。上記溶着部は、少なくとも1つのテーパ部を含み、上記テーパ部はロッドの軸方向に沿って且つ繊維体が包着するロッド端部に向かって先細りする形状を有する。
上記溶着部は、ロッドと繊維体とが溶着するための部分である。溶着方法は特に限定されないが、繊維体及びロッドのいずれか一方又は両方の熱溶融によるものが挙げられる。その中でも、ロッドが熱溶融して繊維体と溶着することが、脱落回避性の観点から好ましい。上記熱溶融は、例えば、超音波により実施されてもよい。上記溶着部は、繊維体が包着するロッドの領域(すなわち、先端領域部)に含まれる。上記先端領域部には上記溶着部以外にも後述のフランジ部が含まれていてもよい。
上記テーパ部の形状は特に限定されないが、円錐台状や、三角錐台状、四角錐台状、五角錐台状、六角錐台状、八角錐台状等の角錐台状等の錐台状であってもよい。また、上記テーパ部を正面視した場合の傾斜面(台形の斜辺に相当)は、直線であってもいいし、曲線であってもよい。
上記テーパ部のテーパ角度は特に限定されないが、1/10~1/1であることが好ましく、より好ましくは1/9~1/2、さらに好ましくは1/8~1/3、特に好ましくは1/7~1/4である。テーパ角度が上記範囲内であることにより、脱落回避性が向上する傾向がある。上記テーパ角度はテーパ部の全体にわたって一定でもよいし、異なる2以上の値を有してもよい。すなわち、上記テーパ部は段階的にテーパ角度が変更するような形状をとってもよい。
上記テーパ部において、ロッドの中心軸に対する傾斜角度は特に限定されないが、例えば、3~40°であることが好ましく、より好ましくは5~30°、さらに好ましくは10~25°である。傾斜角度が上記範囲内であることにより、テーパ部の底面の返しが、高い脱落回避性を発揮することができる程度の広さを有する傾向がある。
上記溶着部は少なくとも1つのテーパ部を含み、上記テーパ部はロッドの軸方向に沿って且つ上記繊維体が包着するロッド端部に向かって先細りする形状を有する。上記溶着部はまた、ロッドの軸方向に沿って且つ上記繊維体が包着するロッド端部とは逆方向(図1における把持部1)に先細りする形状を有するテーパ部(以下、逆テーパ部と称する)を有していてもよい。上記溶着部が2以上のテーパ部を含む場合、テーパ部は2以上連続した形状をとってもよいし、不連続であってもよい。すなわち、上記溶着部は、2以上の連続したテーパ部を含んでいてもよいし、2以上の不連続のテーパ部を含んでいてもよい。ここで、「連続した」とは1のテーパ部と、他のテーパ部とが連結していることをいう。また、「不連続の」とは、1のテーパ部と、他のテーパ部とが連結しておらず、その間隙に逆テーパ部等のテーパ部とは異なる形状(例えば、円柱状、角柱状等を含む)の部材により形成されていることをいう。2以上のテーパ部において、それぞれのテーパ部の形状は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
図6はロッドの溶着部の周辺構造を示しており、21は抜け止め突端を有する返し片部、22はフランジ部、23はテーパ部、24は溶着部を示している。溶着部24は、4つの連続したテーパ部23を含み、上記テーパ部23はロッドの軸方向に沿って且つ上記繊維体が包着するロッド端部(ロッドの最先端部)に向かって先細りする形状を有している。
本発明のロッドは溶着部としてテーパ部を含むため、繊維体とテーパ部とが強く溶着することで高い脱落回避性を発揮する。その理由は明らかではないものの、テーパ部に起因する凹凸形状に対して、繊維体及び/又はロッドの溶融物が入り込む結果、繊維体とロッドとの結合力が向上することが考えられる。また、ロッドの伸び方向に繊維体を引き抜こうとする力が加わっても、テーパ部の底面が返しとなることで、引き抜こうとする力とは逆方向の力が生じ、高い脱落回避性が発揮されると考えられる。なお、テーパ部が有する凹凸形状に対して上記溶融物が入り込み、繊維体には入り込みにくいため、繊維体の空隙率が低下しにくい結果、鼻腔、咽喉、眼(結膜)等から検査に充分な量の粘液等を安定して採取することができると考えられる。
脱落回避性の観点からは、上記溶着部が含むテーパ部の個数は2以上であることが好ましく、より好ましくは2~6、さらに好ましくは3~5である。
上記溶着部において、テーパ部の形状が錐台状である場合、テーパ部の上面直径に対するテーパ部の底面直径の大きさは特に限定されないが、例えば、1.03~1.4倍であることが好ましく、より好ましく1.05~1.3倍、さらに好ましくは1.08~1.2倍である。なお、本明細書における「上面直径」と「底面直径」は、対応する面が円形状でない場合は、当該形状の外接円の直径を意味する。
ロッドの形状は特に限定されないが、繊維体の脱落回避性の観点からは、さらに抜け止め突端を有する返し片部を有する形状であることが好ましい。ロッドが先端領域部として、最先端部(ロッド端部)、フランジ部、抜け止め突端を有する返し片部、及び溶着部を備える場合、高い脱落回避性が発揮される点で特に好ましい。
フランジ部は、繊維体と接触することにより脱落回避性を発揮する。すなわち、ロッドの伸び方向に繊維体を引き抜こうとする力が加わった場合、繊維体がフランジ部に接触することで、引き抜こうとする力とは逆方向の力が生じ、その結果、脱落回避性が発揮される。したがって、フランジ部は繊維体と接触し得る幅(ロッドの中心軸を通る縦断面視での広さ)を有することが好ましい。また、フランジ部の形状は特に限定されないが、ロッドの中心軸を通る縦断面視で略円形であることが、高い脱落回避性が発揮される点で好ましい。
抜け止め突端を有する返し片部は、繊維体の袋内部と接触することにより脱落回避性を発揮する。すなわち、ロッドの伸び方向に繊維体を引き抜こうとする力が加わった場合、繊維体の袋内部が抜け止め突端を有する返し片部に接触することで、引き抜こうとする力とは逆方向の力が生じ、その結果、脱落回避性が発揮される。したがって、抜け止め突端を有する返し片部は繊維体の袋内部と接触し、且つ上記の「逆方向の力」を発揮し得る抜け止め突端を備えることを必要とする。また、抜け止め突端を有する返し片部の形状は特に限定されないが、例えば、正面視で略三角形形状であって、ロッドの伸び方向とは逆方向に抜け止め突端が配向する形状であることが、高い脱落回避性が発揮される点で好ましい。また、抜け止め突端を有する返し片部は、図5に示される様にロッド表面に2個存しており、且つ一方と他方が対となっていてもよいがこれに限定されず、例えば、ロッド表面に1~6個存する態様であってもよい。
前述の通り、ロッドの先端領域部が、最先端部、フランジ部、これらの間に位置し且つ抜け止め突端を有する返し片部、及び溶着部を有する場合は、抜け止め突端を有する返し片部を有しない場合と比較すると、高い脱落回避性が発揮される傾向がある。これは、ロッドの伸び方向に繊維体を引き抜こうとする力が加わった場合、抜け止め突端とフランジ部が繊維体の袋内部と接触することにより、引き抜こうとする力とは逆方向の力が分散し、繊維体がロッドとの接触により受ける損傷が低減する結果、繊維体の破壊が生じず、ロッドからの脱落が生じないことに起因すると考えられる。
さらに、ロッドの中心軸から抜け止め突端までの距離が、ロッドの中心軸からフランジ部の延出端までの距離よりも長い場合は、ロッドの伸び方向に繊維体を引き抜こうとする力が加わった際に、抜け止め突端と袋内部とが容易に接触し得ることとなり、極めて高い脱落回避性が発揮されることとなる。
また、脱落回避性の観点からは、最先端部と繊維体の袋底部とが接触していることが好ましい。
上記ロッドでは、溶着部に繊維体を溶着した際のロッドの中心軸から繊維体の端部までの距離が、ロッドの中心軸から先端領域基部までの距離よりも短くなるように、溶着部が形成されていることが好ましい。なお、上記先端領域基部は溶着部の基部ともいえる。また、上記でいうところの距離は任意の点(繊維体の端部及び先端領域基部)と直線上(ロッドの中心軸上)の任意の点の距離で最短になるものをいう。具体的に説明すると、図7に示される様に、溶着部に繊維体が溶着した状態における、繊維体端部の直径rと先端領域基部(溶着部の基部)の直径dは式:r≦dを満たす様に、溶着部が形成されていることが好ましい。ここで直径とは、ロッドの横断面が円形ではない時は当該断面の最大長をいう。
上記式を満たさない場合(すなわち、r>dとなる場合)、図8に示される様に繊維体端部に由来する突出部41が生じるため、鼻腔や咽喉から検体採取スワブを引き抜く際に上記突出部が鼻腔や咽喉に接触することで、被検者に痛みや不快感を与えることがある。その一方で、上記式を満たす場合、上記ロッドを用いた検体採取スワブは上記突出部が生じず、上記繊維体端部が鼻腔や咽喉に触れにくくなるため、被検者に与える痛みや不快感が低減される傾向がある。
ロッドの最先端部の形状は特に限定されないが、例えば、略球状であることが好ましい。例えば、鼻腔や咽喉から粘液を採取する際にスワブの最先端部が鼻腔や咽喉に触れることがあるが、略球状とすることにより、被検者に痛みを与えることなく検体を採取可能となる。
ロッドの先端領域部は、繊維体に包着される部分を指し、例えば、最先端部、抜け止め突端を有する返し片部、及びフランジ部を有していてもよい。
ロッドの材質は、一般的にスワブに用いられる材質であれば特に限定されないが、例えば、紙、木、金属、プラスチックが挙げられる。この中でも、加工性の観点からはプラスチックが好ましく、例えば、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネートが挙げられる。
溶着部の材質は特に限定されず、ロッドの材質と同一でもいいし異なっていてもよい。
ロッドは、繊維体の取り付けの際や、スワブの滅菌操作の際に加熱することがあるため、その加熱温度によっては融解しないものを材質として用いることが好ましい。ロッドの融点は、例えば、60℃以上が好ましく、より好ましくは80℃以上、さらに好ましく100℃以上である。
ロッドの幅方向における断面形状は特に限定されず、例えば、円形、三角形、四角形、六角形、偏平形が挙げられる。ロッドのテーパ部の断面形状も特に限定されず、例えば、円形、三角形、四角形、六角形、偏平形が挙げられる。ロッドの把持部も同様の形状であってもよいが、その断面が六角形断面であることが特に好ましい。
ロッドの長さは特に限定されないが、例えば60~250mmであることが好ましく、より好ましくは80~200mmである。
把持部の長さは特に限定されないが、例えば30~150mmであることが好ましく、より好ましくは60~120mmである。把持部の直径は特に限定されないが、例えば0.4~10.0mmであることが好ましく、より好ましくは1.0~5.0mmである。ここで、把持部の直径とは把持部の幅方向における断面図において最も長い径のことを指す。
ロッドの先端から抜け止め突端までの長さは特に限定されないが、例えば4~30mmであり、より好ましくは6~25mmであり、さらに好ましくは8~20mmである。なお、「ロッドの先端」とは、「ロッドの最先端部の先端」と言い換えることができる。
ロッドの先端からフランジ部までの長さは特に限定されないが、例えば5~30mmであり、より好ましくは8~25mmであり、さらに好ましくは10~20mmである。
抜け止め突端からフランジ部までの長さは特に限定されないが、例えば0.3~10mmであり、より好ましくは0.5~5mmであり、さらに好ましくは0.8~3mmである。
フランジ部の厚みは特に限定されないが、例えば0.1~3mmであり、より好ましくは0.2~2mmであり、さらに好ましくは0.3~1mmである。
テーパ部の底面の最大長(テーパ部の形状が錐台状である場合、その底面直径)は特に限定されないが、例えば、0.5~1.5mmであり、より好ましくは0.6~1.2mmである。また、テーパ部の形状が錐台状である場合、上面直径は特に限定されないが、例えば0.4~1.3mmであり、より好ましくは0.5~1.1mmである。
テーパ部の長さ(ロッドに沿ったテーパ部の距離)は特に限定されないが、例えば、0.1~1.6mmであり、より好ましくは0.2~1.2mmであり、さらに好ましくは0.3~1.0mmである。
溶着部がテーパ部を2以上含む場合、溶着部の長さ(全テーパ部の長さの和)は、例えば1.0~5.0mmであり、より好ましくは1.6~4.0mmであり、さらに好ましくは2.0~3.0mmである。
溶着部の最大直径は特に限定されないが、例えば、0.5~1.5mmであり、好ましくは0.6~1.2mmである。なお、上記の最大直径とは溶着部に対応する範囲において、その直径が最大となる部分の値を意味する。また、テーパ部の形状が錐台状である場合、その底面直径であってもよい。
溶着部の最小直径は特に限定されないが、例えば、0.1~1.6mmであり、より好ましくは0.2~1.2mmであり、さらに好ましくは0.3~1.0mmである。なお、上記の最小直径とは溶着部に対応する範囲において、その直径が宰相となる部分の値を意味する。また、テーパ部の形状が錐台状である場合、その上面直径であってもよい。
先端領域基部(溶着部の基部)の直径は特に限定されないが、例えば0.5~3.5mmであり、より好ましくは1.0~3.0mmであり、さらに好ましくは1.5~2.5mm、特に好ましくは1.8~2.0mmである。
ロッド(ロッドの先端領域部)の直径は特に限定されないが、例えば、0.3~2.5mmであることが好ましく、より好ましくは0.4~2.0mmである。ここで、ロッドの直径とはロッドの幅方向における断面において最も長い径のことを指す。
ロッドの表面から抜け止め突端までの長さ(ロッドの表面を底辺とした場合の抜け止め突端の高さ)は特に限定されないが、例えば0.1~5mmであり、より好ましくは0.2~3mmであり、さらに好ましくは0.3~1mmである。
フランジ部の直径は特に限定されないが、例えば0.3~10mmであり、より好ましくは0.5~5mmであり、さらに好ましくは0.8~3mmである。
[繊維体]
繊維体は、袋状且つロッドの先端領域部に対して包着可能なものであれば特に限定されないが、異型断面繊維を含む不織布により形成されていることが好ましい。本発明のスワブにおいて、繊維体は検体採取部に相当する。上記不織布が含み得る、上記異型断面繊維以外の繊維を「その他の繊維」と称する。
上記異型断面繊維の断面における異型度は、1.4~4.0であれば特に限定されないが、1.6~3.5であることが好ましく、より好ましくは1.8~3.0、さらに好ましくは1.9~2.7、特に好ましくは2.0~2.4、最も好ましくは2.1~2.3である。異型度が上記範囲内にあることにより、不織布において繊維同士が空隙の多い状態で重なり合うため、充分な空隙率を確保できる結果、生物学的検体を安定して採取できる傾向がある。なお、本明細書において「異型度」は、繊維の断面の長径(もっとも長い部分の径)/短径(もっとも短い部分の径)より算出されたものである。例えば、Y字型断面を有する繊維の異型度は、以下の様に算出される。Y字型断面を有する繊維の断面を平面視した際、3つの凸部と3つの凹部が視認できる。上記3つの凸部の先端が円周上に接するような円の直径を「繊維の断面の長径」とし、上記3つの凹部の先端が円周上に接するような円の直径を「繊維の断面の短径」とする。Y字型断面を有する繊維の異型度は、上記「繊維の断面の長径」/上記「繊維の断面の短径」により算出される。
上記異型断面繊維としては、例えば、3葉、4葉等の多葉形状の断面を有する繊維、Y字型、T字型、U字型、V字型、H字型、W字型等の断面を有する繊維が挙げられる。その中でも、Y字型、T字型、U字型、V字型、H字型、W字型の断面を有する繊維が好ましく、Y字型断面を有する繊維がより好ましい。上記異型断面繊維がY字型断面を有する繊維であることにより、不織布において繊維同士がより空隙の多い状態で重なり合うため、高い空隙率を確保できる結果、生物学的検体をより安定して採取できる傾向がある。
上記Y字型断面を有する繊維のY字型断面における3方向の凸部は、先端部が基部と同じ太さであってもよいし、異なる太さであってもよい。すなわち、凸部の形状は先細りとなっていてもよいし、先端部が基部と同じ太さか基部よりも太くなっていてもよい。
上記その他の繊維としては、例えば、丸断面(略丸断面)、三角、四角等の多角形状の断面を有する繊維が挙げられる。
上記異型断面繊維と上記その他の繊維の繊度は特に限定されないが、同一であっても異なっていてもよい。上記異型断面繊維の繊度は、例えば、0.1~10デシテックス(dtex)であり、好ましくは0.3~5デシテックス(dtex)、より好ましくは0.5~3デシテックス(dtex)、さらに好ましくは0.8~2デシテックス(dtex)、特に好ましくは1.0~1.6デシテックス(dtex)、最も好ましくは1.1~1.5デシテックス(dtex)である。上記その他の繊維の繊度は、例えば、0.1~10デシテックス(dtex)であり、好ましくは0.3~5デシテックス(dtex)、より好ましくは0.6~3デシテックス(dtex)、さらに好ましくは1.0~2.4デシテックス(dtex)、特に好ましくは1.2~2.0デシテックス(dtex)、最も好ましくは1.4~1.8デシテックス(dtex)である。繊度を上記範囲にすることにより、不織布に適当な強度が付与される傾向がある。
上記異型断面繊維と上記その他の繊維の平均径は特に限定されないが、同一であっても異なっていてもよく、例えば、3.0~70μmであることが好ましく、より好ましくは5.0~30μm、さらに好ましくは10~20μmである。繊維の長さは特に制限されないが、例えば、平均繊維長で10~100mmであることが好ましい。
上記異型断面繊維と上記その他の繊維に使用する素材は特に限定されないが、同一であっても異なっていてもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル類、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612或いはその共重合体などのポリアミド類、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコールなどの合成ポリマーなどが挙げられる。これらの中でもポリエステル類(ポリエステル繊維)は、生物学的検体をより安定して採取できる観点から特に好ましい。
また、上記ポリエステル類は、繊維表面が親水化処理されたものであることが好ましい。繊維表面を親水化させる表面処理剤としては特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレン付加アルキルもしくはフェニルエーテルと芳香族ジカルボン酸とエチレングリコールから得られるポリエステル化合物を主成分とする親水性油剤が挙げられる。特に、ポリオキシエチレン付加アルキルもしくはフェニルエーテルと芳香族ジカルボン酸とエチレングリコールを縮重合反応させて得られたブロック型ポリエステル(ブロック共重合体)が好ましく用いられる。芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジメチル、および5-スルホイソフタル酸ジメチル等が挙げられるが、中でもテレフタル酸またはイソフタル酸がより好ましく用いられる。
不織布が上記異型断面繊維と上記その他の繊維を含む場合、異型断面繊維の体積割合は特に限定されないが、不織布全体の繊維(100vol%)に対して、例えば、5~95vol%であることが好ましく、より好ましくは20~90vol%、さらに好ましくは40~80vol%、特に好ましくは50~75vol%である。また、その他の繊維の体積割合は特に限定されないが、例えば、5~95vol%であることが好ましく、より好ましくは10~80vol%、さらに好ましくは20~60vol%、特に好ましくは25~50vol%である。不織布に含まれる繊維が上記範囲内であることにより、検体採取スワブが生物学的検体をより安定して採取できる傾向がある。なお、上記「繊維の体積割合」とは、不織布に含まれる繊維の全体積を100vol%として算出されるものであり、上記異型断面繊維を有する繊維と上記その他の繊維の体積割合の和は100vol%となる。
不織布が上記異型断面繊維と上記その他の繊維を含む場合、異型断面繊維の含有量は特に限定されないが、不織布全体(100重量%)に対して、例えば、5~95重量%であることが好ましく、より好ましくは20~90重量%、さらに好ましくは40~80重量%、特に好ましくは50~75重量%である。また、その他の繊維の含有量は特に限定されないが、例えば、5~95重量%であることが好ましく、より好ましくは10~80重量%、さらに好ましくは20~60重量%、特に好ましくは25~50重量%である。不織布に含まれる繊維が上記範囲内であることにより、検体採取スワブが生物学的検体をより安定して採取できる傾向がある。
不織布としては特に限定されないが、乾式法、湿式法、スパンボンド法、メルトブローン法、エアレイド法等によりウェブ状とし、このウェブを浸漬法(ケミカルボンド法)、スプレー法(ケミカルボンド法)、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法(水流交絡法)等の交絡手段によって繊維を交絡させたものが挙げられる。この中でも、スパンレース法により作製された不織布である場合に、スワブの検体採取量が向上するとともに、被検者に与える痛みも減少する傾向がある。また、スパンレース法における不織布の製造工程では、一般的に圧着ロール工程を含むが、スワブの検体採取量の向上の観点からは圧着ロール工程を含まないことが好ましい。これは、圧着ロール工程において繊維の切断が生じることがあり、得られる不織布の空隙が減少することがあるためである。言い換えると、圧着ロール工程を行うことなく製造された不織布は、繊維の切断が生じることがなく、得られる不織布の空隙が増大することから、上記不織布を使用することはスワブの検体採取量が向上する点で好ましいといえる。
不織布の厚みは特に限定されないが、例えば、0.1~3mmであり、より好ましくは0.2~2mmであり、さらに好ましくは0.3~1.5mmである。不織布の目付が上記範囲内であることにより、スワブの検体採取量が向上する傾向がある。
不織布の目付は特に限定されないが、例えば、40~200g/m2であることが好ましく、より好ましくは50~180g/m2、さらに好ましくは60~150g/m2、特に好ましくは80~140g/m2である。不織布の目付が上記範囲内であることにより、スワブの検体採取量が向上するとともに、採取した検体の放出効率が高くなる傾向がある。
本発明のスワブでは、例えば、布形状の繊維体を2つ折りにして一方の面と他方の面でロッドを挟み込み、その後に繊維体を溶着・溶断して袋状の繊維体をロッドに取り付けることができる。この方法により、折り目部分の溶着・溶断を行う必要が無くなることから、作業が簡便になる点で有効である。また、折り目部分が繊維体の先端部分となることで、先端部分が柔らかい形状となるため、被検者に痛みや不快感を与えない点で有効である。溶着・溶断は、超音波、レーザーを使用することにより実施でき、超音波を用いることが好ましい。
また、繊維体をロッドに取り付ける操作と、溶着部に繊維体を溶着する操作は同時に行ってもよいし、互いに独立した操作により行ってもよいが、同時に行うことが好ましい。特に本発明では、繊維体を溶着・溶断する際の条件により、ロッドの溶着部が溶解し、上記溶解物が繊維体に入り込むことにより、強固に溶着する傾向がある。特に、後述の実施例にて使用した条件のうち、溶着時間を0.03秒~2.5秒、好ましくは0.05秒~1.5秒、より好ましくは0.08秒~1.0秒、さらに好ましくは0.1秒~0.5秒とし、出力を100~5000W、より好ましくは150~3000W、さらに好ましくは200~2500W、特に好ましくは500~2000Wとすることにより、より強固に溶着する傾向がある。
繊維体は、その表面を起毛し、毛羽立たせたものであってもよい。布地を起毛する方法には、サンドペーパーによるエメリー起毛法と針布起毛法がある。なお、起毛時期は、不織布を予め起毛しておいてもよいし、布をロッドに取り付けた後に行ってもよい。
繊維体は、接着剤によりロッドに固定されてもよいし、接着剤により固定されることなくロッドに包着していてもよい。
接着剤を介してロッドに繊維体を取り付ける場合、接着剤の種類は特に限定されないが、エチレン酢酸ビニル系、ポリオレフィン系、ポリアミド系、合成ゴム系、アクリル系、及び、ポリウレタン系のホットメルト接着剤を用いることができる。また、その形態は、有機溶剤溶解品、水溶解品、エマルジョン、無溶剤品等の何れであってもよい。接着剤を使用する場合、繊維体における空隙を埋めない程度の量を使用し、接着剤の粘度もその空隙に侵入しにくい程度がよい。
繊維体を接着剤によりロッドに固定する場合、接着剤を加熱することで固定してもよい。加熱手段としては、ヒーター、超音波、レーザーを使用することができる。
繊維体の長さはロッドの先端領域部に対して包着可能な長さであれば特に限定されないが、例えば8~40mmであり、より好ましくは10~30mmであり、さらに好ましくは12~20mmである。なお、繊維体の長さとは、ロッドに沿った長さであって、袋口部から袋底部までの長さと言い換えることができる。
繊維体の袋口部は、フランジ部と接触して脱落回避性を発揮させるために、その直径をフランジ部の直径よりも小さくすることが好ましい。
本発明のスワブは、滅菌しておくことが好ましい。滅菌手段は、エチレンオキサイドガスによる化学滅菌、放射線による滅菌、電子線による滅菌等の何れも利用できる。熱可塑性樹脂層に融点の低い樹脂を用いる場合はオートクレーブによる乾熱滅菌は好ましくない。
本発明のスワブは、被検者に痛みや不快感を与えずに、鼻腔や咽喉等から検査に充分な量の粘液等の生物学的検体を安定して採取でき、高い脱落回避性を有するため、生物学検体の採取用途(生物学検体採取用)として使用することができ、臨床や診断分析の分野において有用である。
以下、本発明について実施例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
(製造例1:ロッド1の作製)
住友重機械工業製の射出成型機を使用し、ポリプロピレンを180℃で溶融して型に流し込み、その後冷却することで、最先端部から順に、抜け止め突端を有する返し片部、フランジ部、把持部をこの順で有するロッドを得た。なお、ロッドの先端領域部の形状は図5の(A)で示された形状と同一であり、ロッドの先端から抜け止め突端までの長さは13mm、抜け止め突端からフランジ部の長さは1mm、フランジ部の厚みは0.7mm、最先端部の略球状体の直径は1.38mm、ロッド(先端領域部のロッド)の直径は0.90mm、ロッドの表面から抜け止め突端までの長さ(ロッドの表面を底辺とした場合の抜け止め突端の高さ)は0.4mm、ロッドの表面から抜け止め突端までの長さ(ロッドの表面を底辺とした場合の抜け止め突端の高さ)は0.4mm、抜け止め突端を有する返し片部のロッドに沿った長さ(三角形形状における、ロッドに沿った長さ)は2.0mm、フランジ部の直径は2.5mm、把持部の長さは86mm、ロッドの長さは152mmであった。また、ロッドの溶着部の形状は図6で示された形状と同一であり、フランジ部から円錐台状のテーパ部の上面までの長さは1mm、1つのテーパ部の上面から底面までの長さ(高さ)が0.6mmであった。したがって、フランジ部から4つの連続したテーパ部(すなわち、溶着部)の端までは2.4mmであった。溶着部の基部の直径は2.17mmであり、溶着部の最大直径は0.95mm、溶着部の最小直径は0.9mmであった。
(製造例2:ロッド2の作製)
溶着部を設けなかったこと以外は製造例1と同様にして、ロッド2を作成した。
(製造例3:スワブ1の作製)
株式会社ユウホウ製のY字・断面を有する繊維(ポリエチレンテレフタレート、維度:1.375デシテックス)と丸字型断面を有する繊維(ポリエチレンテレフタレート、維度:1.6デシテックス)とを含む不織布を作成し、エマルゲン401PV(ポリオキシエチレンオレイルエーテル、花王ケミカル社製)を用いて親水化処理した。上記不織布において、Y字型断面を有する繊維の体積割合は65.8vol%である。上記不織布の厚みは0.8mm、目付は120g/m2である。
得られた不織布を流れ方向(縦方向)に沿って2つ折りにし、折り目にロッド1の最先端部を当て、一方の面と他方の面でロッドを挟み込んだ後、超音波で溶着・溶断することにより、図2にて示される形状を有する繊維体を備えるスワブ1を作製した。なお、超音波での溶着及び溶断条件は以下の通りである。機器は精電舎製の超音波溶着装置(機種:JII1530S/JIIP30S/3Q10P)を使用した。
・溶着時間:0.2秒~0.3秒
・冷却時間:0.3秒
・出力:1500W
・周波数:25.8KHz
・エアシリンダー長さ:30mm
・シリンダー圧:0.5メガパスカル
溶着部に不織布を溶着した際に、ロッドの中心軸から不織布(繊維体)の端部までの距離が、ロッドの中心軸から溶着部の基部までの距離よりも短くなっていた。すなわち、図7に示される様に、不織布(繊維体)の端部の直径rが、溶着部の基部の直径d(2.17mm)よりも小さくなっており、式:r≦dを満していた。
(製造例4:スワブ2の作製)
ロッド1の代わりにロッド2を使用したこと以外は製造例3と同様にして、スワブ2を作製した。
[スワブの評価]
製造例3及び4で作製したスワブ1及び2を用いて以下の評価を行った。
(評価1:スワブの繊維体引張強度試験)
万能材料試験機(インストロン社製)を用いて、スワブの把持部を固定した後、スワブの繊維体部分に糸を二重に通し、その糸を試験機にセットしてスワブを引張し、ロッドの繊維体の脱離が見られた際に停止した。
引張強度試験の結果、スワブ1の繊維体の脱離時の引張強度は約23.6Nであった。また、スワブ2の繊維体の脱離時の引張強度は約10.0N程度であった。
1・・・・・把持部
2・・・・・ロッド
3・・・・・最先端部
4・・・・・検体採取部
5・・・・・側部
6・・・・・凸部
11・・・・最先端部
12・・・・抜け止め突端を有する返し片部
13・・・・抜け止め突端
14・・・・フランジ部
15・・・・繊維体(検体採取部)
16・・・・テーパ部
17・・・・溶着部
18・・・・先端領域基部(溶着部の基部)
21・・・・抜け止め突端を有する返し片部
22・・・・フランジ部
23・・・・テーパ部
24・・・・溶着部
25・・・・先端領域基部(溶着部の基部)
31・・・・テーパ部
32・・・・溶着部
33・・・・先端領域基部(溶着部の基部)
41・・・・突出部

Claims (4)

  1. ロッドと、前記ロッドに包着している袋状の繊維体と、を備える検体採取スワブであって、
    前記繊維体と前記ロッドとを溶着するための溶着部を備え、
    前記溶着部が、少なくとも1つのテーパ部を含み、
    前記テーパ部がロッドの軸方向に沿って且つ繊維体が包着するロッド端部に向かって先細りする形状を有し、
    前記繊維体が前記溶着部を介して前記ロッドと溶着した、検体採取スワブ
  2. 前記テーパ部の形状が錐台状である請求項1に記載の検体採取スワブ
  3. 前記ロッド端部、フランジ部、及び前記溶着部をこの順に備える請求項1又は2に記載の検体採取スワブ
  4. 溶着部に繊維体を溶着した際に、ロッドの中心軸から繊維体の端部までの距離が、ロッドの中心軸から溶着部の基部までの距離よりも短くなるように、溶着部が形成されている請求項1又は2に記載の検体採取スワブ
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