JP7390776B2 - 缶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、飲料等の内容物が充填される2ピース缶やボトル缶等の缶を製造する方法に関する。
飲料等の内容物が充填、密封される缶体として、缶胴と缶底を有する有底筒状の缶と、該缶の開口端部に巻締められる円板状の缶蓋と、を備えた2ピース缶が知られている。この有底筒状の缶は、カップ成形工程、絞りしごき工程(DI工程)、トリミング工程、印刷工程、ネッキング工程等を経て製造される。
また、缶の開口端部にキャップが装着されたボトル缶も周知である。このボトル缶は、ネッキング工程の縮径率が2ピース缶よりも大きく、その縮径した口部にねじや先端カール部を成形する口部成形工程が施される。
これらの缶において、印刷は、絞りしごき工程、トリミング工程後の円筒状の筒体に対して行われる。
このような筒体の外面に印刷する方法として、特許文献1や特許文献2に記載された方法が知られている。
特許文献1に記載の方法は、凸版を用いた印刷法であり、凹凸のある版の凸部にインキを付けて、筒体に転写する方法である。
特許文献2に記載の方法は、水なし平版を用いた印刷法であり、画像部以外の部分のインキ反発部をシリコーン樹脂により形成し、画像部にインキを付けて、筒体に転写する方法である。
いずれの場合も、印刷版からブランケットを介して筒体にインキを転写する。
特開昭63‐162241号公報 特開2002‐36710号公報
ところで、ボトル缶のように、印刷工程後のネッキング工程において、筒体の一部に縮径率の大きなテーパ部が形成される缶においては、そのテーパ部のインキの密着性が低下するという問題がある。特に、内容物を充填した後に、高温高圧のレトルト殺菌が施される場合に印刷層にクラックが生じるおそれがある。
また、ストレートの円筒部に対してテーパ部の印刷面の色調も異なるという不具合もある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、印刷工程後の筒体の外形に縮径や拡径による大きな加工が施される缶において、インキの密着性を向上させ、また印刷面の色調も外形加工部と円筒部とを合わせることを目的とする。
本発明の缶の製造方法は、円筒状の筒体の外面に凸版又は水なし平版を用いるオフセット印刷により印刷を施す印刷工程と、印刷工程後の筒体の一部の外形を加工して、円筒部に対して拡径してなる外形加工部を形成する外形加工工程とを有し、前記印刷工程では、前記外形加工工程後の前記円筒部と前記外形加工部とで単位面積当たりのインキの塗布量又はインキ中の添加剤の添加量を合わせるように、前記筒体における前記外形加工部となる領域の単位面積当たりのインキの塗布量又はインキ中の添加剤の添加量を前記円筒部となる領域の単位面積当たりのインキの塗布量又はインキ中の添加剤の添加量よりも多くする。
また、本発明の缶の製造方法は、円筒状の筒体の外面に凸版又は水なし平版を用いるオフセット印刷により印刷を施す印刷工程と、印刷工程後の筒体の一部の外形を加工して、円筒部に対して縮径してなる外形加工部を形成する外形加工工程とを有し、前記印刷工程では、前記外形加工工程後の前記円筒部と前記外形加工部とで単位面積当たりのインキの塗布量又はインキ中の添加剤の添加量を合わせるように、前記円筒部にベタ印刷を施すとともに、前記外径加工部に網点印刷を施すことにより、前記筒体における前記外形加工部となる領域の単位面積当たりのインキの塗布量を前記円筒部となる領域の単位面積当たりのインキの塗布量をより少なくする。
さらに、本発明の缶の製造方法は、円筒状の筒体の外面に凸版又は水なし平版を用いるオフセット印刷により網点からなる印刷を施す印刷工程と、印刷工程後の筒体の一部の外形を加工して、円筒部に対して縮径してなる外形加工部を形成する外形加工工程とを有し、前記印刷工程では、前記外形加工工程後の前記円筒部と前記外形加工部とで単位面積当たりのインキの塗布量又はインキ中の添加剤の添加量を合わせるように、前記円筒部の前記網点の密度より前記外径加工部の前記網点の密度を小さくすることにより、前記筒体における前記外形加工部となる領域の単位面積当たりのインキの塗布量を前記円筒部となる領域の単位面積当たりのインキの塗布量をより少なくする。
円筒部となる領域と外形加工部となる領域とで単位面積当たりのインキの塗布量又はインキ中の成分量を異ならせることにより、外形加工工程後の印刷面において、単位面積当たりのインキの塗布量やインキ中の成分量を円筒部及び外形加工部で合わせることが可能になる。これにより、レトルト殺菌後に外形加工部の印刷面にクラックが発生することを防止し、また円筒部との色調の相違等の不具合が生じることを抑制することができる。
この場合、単位面積当たりのインキの塗布量又はインキ中の成分量を合わせるとは、その数値が厳密に一致していることまで要求されるものではなく、インキの密着性や色調が同程度となる範囲で同じと言える程度であればよい。
具体的には、外形加工部が縮径部である場合には、外形加工部となる領域の単位面積当たりのインキの塗布量を円筒部となる領域よりも少なくする。あるいは、インキ中に発泡剤やつや消し剤等を添加する場合は、発泡剤やつや消し剤等の成分量を外形加工部となる領域において円筒部となる領域よりも少なくする。
一方、外形加工部が拡径部である場合には、外形加工部となる領域の単位面積当たりのインキの塗布量を円筒部となる領域よりも多くする。あるいは、インキ中に発泡剤やつや消し剤等を添加する場合は、発泡剤やつや消し剤等の成分量を外形加工部となる領域において円筒部となる領域よりも多くする。
これにより、単位面積当たりのインキの塗布量又はインキ中の成分量を円筒部と外形加工部とで合わせることができる。なお、本発明が適用される缶としては、胴部と底部とが一体になった缶に限るものではなく、胴部に、ストレートの円筒部と縮径又は拡径による外形加工部とが連続した缶に適用することができる。
本発明の好ましい実施形態として、前記インキの塗布量やインキ中の成分量は、前記外形加工部となる領域において、前記円筒部側から離れるにしたがって徐々に変化させるとよい。外形加工部が縮径部である場合には徐々に少なくし、外形加工部が拡径部である場合には徐々に多くする。
徐々に変化させることで、外形加工工程後の外形加工部において、円筒部からの印刷面の変化を目立たなくすることができ、外形加工部の形状(例えばテーパ部)に応じて変化させることで均一な外観を呈することができる。
本発明によれば、ボトル缶のように印刷工程の後に胴部に大きな加工が施される缶において、インキの密着性を向上させ、また印刷面の色調も合わせることができる。
本発明の実施形態のボトル缶における製造途中の筒体の外周面に印刷を施した例を模式的に示す正面図である。 図1に示す筒体から製造したボトル缶とキャップとを示す正面図である。 図1同様の筒体の外周面に印刷を施した他の例を模式的に示す正面図であり、その左側に印刷層の網点密度分布を示している。 本発明の実施形態のボトル缶の製造工程を(a)~(c)の順に示す(a)(b)が缶軸を通る縦断面図、(c)が正面図である。 筒体の外周面に印刷を施すための印刷機の概略構成を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の製造方法により製造される缶は、いわゆるボトル缶である。このボトル缶101は、アルミニウム又はアルミニウム合金等の薄板金属からなり、図2に示すように、筒状の胴部10とドーム状をなす底部20とを備える有底円筒状に形成されている。また、胴部10は、底部20側において円筒状に形成された円筒部11と、円筒部11の上端で径方向内方に屈曲するように縮径された肩部12と、缶軸C方向の上方(開口部10a側)に向けて漸次縮径するテーパ部13と、テーパ部13の上端に形成された口部15と、を備える。口部15の外周部にはねじ部16が形成される。
なお、本実施形態のボトル缶101は、胴部10における円筒部11の外径D1が公称径で211径缶に用いられるものであるが、これに限定されるものではなく、それ以外の例えば204径缶等に適用してもよい。口部15の外径は例えば38mmに形成される。また、テーパ部13と円筒部11の缶軸Cとがなす角度(傾斜角度)をαとすると、傾斜角度θは例えば10°以上41°以下に設けられる。
このボトル缶101は、口部15にキャップ102を被せて、そのキャップ102を口部15のねじ部16に倣うようにねじ加工することにより、内部が密封される。
このボトル缶101を製造するには、まず、アルミニウム板材を打ち抜いて絞り加工することにより、図4(a)に示すように比較的大径で浅いカップ31を成形する(カップ成形工程)。その後、このカップ31に再度の絞り加工及びしごき加工(DI加工)を加えて同図(b)に示すように所定高さの有底円筒状の筒体32を成形する(絞りしごき工程(DI工程))。この絞りしごき加工により、筒体32の上端部に耳部が発生するので、上端部をトリミングして、高さを周方向に揃えた状態とする(トリミング工程)。この絞りしごき工程により、筒体32の底部は最終のボトル缶101としての底部20の形状に成形される。
次いで、筒体32の外周面のうち口部15となる部分を除く胴部10となる外周面にベースコーター(図示略)によってホワイトコート又はサイズコートの下地塗装を施した後、印刷機50に供給して、下地層の上に印刷を施すとともに、その印刷層33を含む領域に透明な塗膜(オーバーコート又は仕上げニス)を形成し、塗装後の筒体32をオーブン内に通して印刷層33及び塗膜を焼き付け、乾燥する(外面印刷塗装工程)。図1が印刷・塗装後の筒体32を示しているが、便宜上、印刷層33のみ符号を付して示している。印刷層33の下の下地層及び印刷層33の上の塗膜はいずれも印刷層33よりも広い面積で形成される。
下地塗装は、筒体32と印刷層33との密着性を高めるために形成され、例えば高分子ポリエステル‐アミノ樹脂系塗料を塗布することにより形成される。透明な塗料による下地塗装もあるが、チタンホワイト等の白色顔料を添加したホワイトコートによる下地塗装もある。
印刷機50は、図5示すようにインキ付着機構60と缶移動機構70とを備えている。インキ付着機構60は、色毎のインキを供給する複数のインカーユニット61と、各インカーユニット61の印刷版胴62に接触してインキを写し取った後、筒体32に接触してインキを筒体32の外周面に転写するブランケット胴63とから構成されている。印刷版胴62の外周面には、筒体32に印刷される図柄に応じた凸版が形成されている。ブランケット胴63はその外周に各印刷版胴62の凸版よりインキが転写される複数のブランケット64を備えている。
一方、缶移動機構70は、筒体32を取り入れる供給シュータ71と、この供給シュータ71から供給された筒体32を回転自在に保持する複数のマンドレル72と、このマンドレル72に装着された筒体32を順次インキ付着機構60のブランケット胴63側に移動させるマンドレルターレット73とを備えており、印刷後の筒体32は、マンドレル72からチェーンコンベア(図示略)に渡されてオーブン(図示略)に搬送される。また、マンドレルターレット73において、印刷後の筒体32を移送する途中位置に、筒体32の外面に塗膜を形成するためのロールコーター75が設けられている。
そして、ブランケット胴63の各ブランケット64に、各インカーユニット61の印刷版胴62から各色のインキが図柄パターンとして順次転写され、そのブランケット64に、マンドレル72により内側から支持された筒体32が接触して転動することにより、筒体32の外周面に印刷される。印刷後、ロールコーター75によって印刷層の上に塗膜が形成される。印刷・外面塗装後の筒体32は、乾燥・焼き付け処理される。
印刷層の上に形成される塗膜は、印刷層の表面を保護し滑り性を向上させるためのもので、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂等の透明塗料が用いられる。
次いで、筒体32の内周面にスプレー等により塗料を吹き付けて内面塗装を行い、焼き付け、乾燥する(内面塗装工程)。
その後、筒体32の上端部を成形して、図4(c)に示すように、下側部分をそのまま円筒部11とし、円筒部11より上方部分を縮径して肩部12及びテーパ部13、その上方に小径部18を形成する(ネッキング工程)。このネッキング工程により、外形がボトル形状の缶(ボトル形状缶35とする)となり、円筒部11からテーパ部13までの胴部10は最終形状となる。最後に、このボトル形状缶35の小径部18にねじ部16等を有する口部15を形成する(口部成形工程)。
この一連の製造工程において、ネッキング工程では、胴部10の円筒部11より上方部分が大きく縮径加工されて肩部12及びテーパ部13が形成される。このため、その前工程の外面印刷塗装工程において形成した印刷層が肩部12からテーパ部13においては周方向に圧縮され、ネッキング工程前よりも厚肉となる。言い換えると、単位面積当たりのインキの塗布量がネッキング工程前よりも多くなる。このため、肩部12からテーパ部13においては、ネッキング工程前の状態よりもインキが厚肉になり、加工による歪みも残存するので、クラックや剥離が生じやすい。
そこで、このネッキング工程後の印刷層33が円筒部11と肩部12及びテーパ部13とで単位面積当たりのインキの塗布量がほぼ同じとなるように、外面印刷塗装工程における塗布量を調整する。
図1は、外面印刷塗装工程後の筒体32の外面を示しており、印刷層33a,33bは、底部20からわずかな部分を残し、円筒部11となる領域(円筒部予定領域11aとする)と、肩部12及びテーパ部13となる領域(テーパ部予定領域13aとする)とに形成される。開口端部付近は、ネッキング工程において小径部18となる領域(小径部予定領域18aとする)である。
そして、外面印刷塗装工程では、筒体32において円筒部予定領域11aよりもテーパ部予定領域13aの単位面積当たりの塗布量を少なくする。外面の印刷層において、円筒部予定領域11aに施される印刷層を第1印刷層33a、テーパ部予定領域13aに施される印刷層を第2印刷層33bとする。
筒体32への印刷はオフセット印刷形式が採用されており、前述したように、色毎に設けた印刷版胴62に各色のインキを付着させ、これら印刷版胴62から一旦ブランケット64に順次転写してから、そのブランケット64から筒体32に転写する。その印刷版胴62としては、凸版又は水なし平版が用いられ、印刷画像は、凸版の凸部や水なし平板の画線部による多数の網点により構成される。
そして、円筒部予定領域11aとテーパ部予定領域13aとでインキの塗布量を異ならせる方法としては、網点の密度(スクリーン線数)を異ならせ、テーパ部予定領域13aの第2印刷層33bにおける網点の密度(単位面積当たりの塗布量)を円筒部予定領域11aの第1印刷層33aにおける網点の密度より小さくする。
例えば、網点としては、スクリーン線数は80線~175線、網点の最小直径は38μmが可能とすると、円筒部予定領域11aの第1印刷層33aとテーパ部予定領域13aの第2印刷層33bとで同じ網点直径でスクリーン線数を異ならせ、テーパ部予定領域13aの第2印刷層33bで網点密度が小さくなるように設定する、あるいは、スクリーン線数は同じで網点直径を異ならせ、テーパ部予定領域13aの第2印刷層33bで網点密度が小さくなるように設定する、等の方法が可能である。あるいは、スクリーン線数及び網点直径の両方を異ならせ、テーパ部予定領域13aの第2印刷層33bでスクリーン線数を少なくしかつ網点直径を小さくしてもよい。
網点密度としては、100%をベタ印刷とし、密度60%までの網点印刷を施す場合を例にすると、円筒部予定領域11aの第1印刷層33aを100%のベタ印刷、テーパ部予定領域13aの第2印刷層33bを100%未満~60%の範囲で網点印刷の密度を小さくする。あるいは、第1印刷層33aを特定密度の網点印刷とし、第2印刷層33bを第1印刷層33aにおける網点密度より小さい密度の網点印刷とする。
また、網点直径やスクリーン線数を異ならせて網点密度を変える場合、ネッキング工程において、肩部12からテーパ部13の縮径率が、円筒部11との境界から口部15に向けて漸次大きくなるので、その縮径率の増大に合わせるように、網点直径とスクリーン線数のいずれか、またはその両方を連続的に変化させて、筒体32における網点の密度を円筒部予定領域11aとの境界から口部予定領域15aに向けて漸次小さくするようにしてもよい。
例えば、図3に示すように、円筒部予定領域11aの第1印刷層33aを密度100%のベタ印刷で、テーパ部予定領域13aの第2印刷層33bは円筒部予定領域11aとの境界から口部予定領域15aに向かうにしたがって漸次網点密度を小さくしてテーパ部予定領域13aの先端で密度60%となるように設定する、などの形態が可能である。図3では、網点密度を円筒部予定領域11aとの境界から口部予定領域15aに向かうにしたがって段階的に小さくしているが、連続的(直線的)に小さくしてもよい。
このようにして円筒部予定領域11aとテーパ部予定領域13aとで網点密度を変えて印刷した筒体32をネッキング工程でネッキング加工すると、円筒部11とテーパ部13との印刷層33における濃度や色調を合わせることができるとともに、テーパ部13において印刷層33が厚肉になることを抑制し、その後の内容物充填、レトルト殺菌等を経た後の印刷面のクラックの発生等を抑制することができる。
上記実施形態では円筒部予定領域11aとテーパ部予定領域13aとで印刷の網点密度を異ならせたが、インキに艶消し剤を添加して、印刷面を、光沢をなくした艶消し面(マット面)とする場合も、網点密度の場合と同様に艶消し剤の添加量を円筒部予定領域11aとテーパ部予定領域13aとで異ならせることで、ボトル缶101の外面のマット感を円筒部11とテーパ部13とで合わせることができる。
具体的には、テーパ部予定領域13aにおける艶消し剤の添加量を円筒部予定領域11aの添加量よりも少なくする。この場合、艶消し剤を除くインキ成分の単位面積当たりの塗布量は円筒部予定領域11aとテーパ部予定領域13aとを同じに設定してもよいが、インキ成分もテーパ部予定領域13aを円筒部予定領域11aより少なくする方が好ましい。
また、テーパ部13は加工によりアルミニウム合金の地肌の艶が円筒部11の表面よりも低くなるので、その分を見込んで、円筒部予定領域11aには所定量の艶消し剤を添加し、テーパ部予定領域13aには艶消し剤を添加しない形態とすることにより、ネッキング工程後のボトル缶101の外観を円筒部11及びテーパ部13とでほぼ均一となるようにしてもよい。
また、テーパ部予定領域13aにおいて、そのテーパ部13の縮径率の変化に合わせて、艶消し剤の添加量を円筒部予定領域11aとの境界から口部予定領域15aに向けて漸次少なくなるように変化させてもよい。
艶消し剤としては、シリカ粒子、発泡性マイクロカプセル等が用いられる。シリカ粒子は、多孔質で表面積が大きいために、インキの硬化収縮の際に印刷層の表面に微細な凹凸を形成して、マット感を付与する。発泡性マイクロカプセルは、気体又は低沸点の液体が封入されており、印刷後の焼き付け処理時に加熱されることにより、体積膨張して、印刷面にマット感を付与する。
この艶消し剤の添加量について、テーパ部予定領域13aを円筒部予定領域11aより少なくすることにより、ネッキング工程後のボトル缶101の外面印刷層33の表面を円筒部11及びテーパ部13で均一にすることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
上記実施形態ではインキへの添加剤として艶消し剤を例にしたが、艶消し剤以外の添加剤についても同様に、ネッキング工程後の円筒部とテーパ部とで単位面積当たりの添加量を合わせるように、筒体における円筒部予定領域とテーパ部予定領域とで添加量を異ならせることが可能である。
また、筒体の一部を縮径するネッキング工程以外にも、筒体の一部を拡径する拡径加工工程が施される缶にも本発明を適用することができ、その場合は、拡径加工工程後の円筒部と拡径部とで単位面積当たりのインキの塗布量又は添加剤の添加量を合わせるように、筒体における円筒部予定領域よりも拡径部予定領域のインキの塗布量又は添加量を多くするとよい。また、ネッキング工程と拡径加工工程とが筒体の長さ方向に交互に繰り返される場合も、同様に、最終の缶の外面における印刷層のインキの塗布量又は添加剤の添加量を合わせるように、縮径部予定領域及び拡径部予定領域におけるインキの塗布量又は添加剤の添加量を異ならせればよい。本発明においては、ネッキング工程及び拡径加工工程を総称して外形加工工程とし、ネッキング工程における縮径部(実施形態での肩部12及びテーパ部13)、拡径加工工程における拡径部を総称して外形加工部としている。
また、ボトル缶として、予め有底円筒状の筒体を形成して、その外面に印刷したが、筒体は底部を有していないものも含むものとし、筒体に、別に形成した底部を巻き締めるようにしてもよい。
10 胴部
11 円筒部
11a 円筒部予定領域
12 肩部
13 テーパ部
13a テーパ部予定領域
15 口部
15a 口部予定領域
16 ねじ部
20 底部
31 カップ
32 筒体
33 印刷層
33a 第1印刷層
33b 第2印刷層
35 ボトル形状缶
50 印刷機
60 インキ付着機構
61 インカーユニット
62 印刷版胴
63 ブランケット胴
64 ブランケット
72 マンドレル
73 マンドレルターレット
75 ロールコーター
101 ボトル缶
102 キャップ

Claims (5)

  1. 円筒状の筒体の外面に凸版又は水なし平版を用いるオフセット印刷により印刷を施す印刷工程と、印刷工程後の筒体の一部の外形を加工して、円筒部に対して拡径してなる外形加工部を形成する外形加工工程とを有し、前記印刷工程では、前記外形加工工程後の前記円筒部と前記外形加工部とで単位面積当たりのインキの塗布量又はインキ中の添加剤の添加量を合わせるように、前記筒体における前記外形加工部となる領域の単位面積当たりのインキの塗布量又はインキ中の添加剤の添加量を前記円筒部となる領域の単位面積当たりのインキの塗布量又はインキ中の添加剤の添加量よりも多くすることを特徴とする缶の製造方法。
  2. 円筒状の筒体の外面に凸版又は水なし平版を用いるオフセット印刷により印刷を施す印刷工程と、印刷工程後の筒体の一部の外形を加工して、円筒部に対して縮径してなる外形加工部を形成する外形加工工程とを有し、前記印刷工程では、前記外形加工工程後の前記円筒部と前記外形加工部とで単位面積当たりのインキの塗布量又はインキ中の添加剤の添加量を合わせるように、前記円筒部にベタ印刷を施すとともに、前記外径加工部に網点印刷を施すことにより、前記筒体における前記外形加工部となる領域の単位面積当たりのインキの塗布量を前記円筒部となる領域の単位面積当たりのインキの塗布量をより少なくすることを特徴とする缶の製造方法。
  3. 凸版又は水なし平版を用いるオフセット印刷により円筒状の筒体の外面に網点からなる印刷を施す印刷工程と、印刷工程後の筒体の一部の外形を加工して、円筒部に対して縮径してなる外形加工部を形成する外形加工工程とを有し、前記印刷工程では、前記外形加工工程後の前記円筒部と前記外形加工部とで単位面積当たりのインキの塗布量又はインキ中の添加剤の添加量を合わせるように、前記円筒部の前記網点の密度より前記外径加工部の前記網点の密度を小さくすることにより、前記筒体における前記外形加工部となる領域の単位面積当たりのインキの塗布量を前記円筒部となる領域の単位面積当たりのインキの塗布量をより少なくする
    ことを特徴とする缶の製造方法。
  4. 前記インキの塗布量は、前記外形加工部となる領域において、前記円筒部となる領域側から離れるにしたがって徐々に少なくすることを特徴とする請求項2又は3記載の缶の製造方法。
  5. 前記インキの塗布量又はインキ中の添加剤の添加量は、前記外形加工部となる領域において、前記円筒部となる領域側から離れるにしたがって徐々に多くすることを特徴とする請求項1記載の缶の製造方法。
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