JP7346976B2 - ボトル缶及びその製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載の方法は、材料から筒状の容器本体(筒体)を形成し、少なくともその容器本体の一端に設けられる開口部の近辺の内面に、耐加工性が高い第1層の塗装を施し、ついで少なくとも一部が第1層の上に重なるように、ウエット・オン・ウエットで耐食性が高い第2層の塗装を施し、塗膜を硬化させ、第1層と第2層とで、容器の内面の全体を被覆している。
また、特許文献2に記載の方法は、有底円筒状の缶本体(筒体)の内面に、少なくとも口部が加工される部分の塗膜を缶胴中央部の内面部分の塗膜よりも厚くして形成しておき、この塗装済みの缶本体の上部を縮径し、その縮径部分の上端部に口部を加工する。この塗膜の形成は、3つのスプレーガンを用いた2つの工程により実行され、第1塗布工程では、第1スプレーガン及び第2スプレーガンにより筒体の内面の全領域に塗料が塗布され、第2塗布工程では、第3スプレーガンにより筒体の内面の口部となる領域にのみ塗料が塗布される。
前記塗布工程では、前記筒体における前記雄ねじ部及び前記カール部となる領域の内面に形成された塗膜の厚さをA、前記凹部及び前記拡径部に形成された塗膜の厚さをCとした場合に、C>Aとする。
筒体における雄ねじ部及びカール部となる領域の内面に形成された塗膜の厚さAよりも、凹部及び拡径部に形成された塗膜の厚さCを厚くするので、多量の内容物が充填されたボトル缶が落下し、底部にかかる衝撃が大きい場合でも、底部の内面における凹部及び拡径部に塗布された塗料がはがれることを抑制でき、ボトル缶の耐食性を向上できる。
なお、第1塗料、第2塗料及び第3塗料は、同じ塗料であってもよいし、それぞれが異なる塗料であってもよい。また、第3工程は、第1工程の前、第2工程の後、又は第1工程と第2工程との間に実行されてもよい。
なお、雄ねじ部及びカール部となる領域の内面に形成された塗膜の厚さAは、6μm以上9μm以下、凹部及び拡径部に形成された塗膜の厚さCは、10μm以上30μm以下であることが好ましい。
なお、缶底凸部に形成された塗膜の厚さDは、4μm以上5μm以下であることが好ましい。
なお、円筒部の内面に形成された塗膜の厚さBは、2μm以上4μm以下であることが好ましい。
本実施形態の製造方法により製造されるボトル缶1は、アルミニウム又はアルミニウム合金等の薄板金属からなり、図1に示すように、有底円筒状に形成されている。このボトル缶1は、底部11と、底部11の缶軸S方向上側(開口端1a側)に位置する円筒部12と、円筒部12に対して缶軸S方向上側に向かうに従って縮径するテーパ部13と、テーパ部13の缶軸S方向上側に接続された首部14と、首部14の缶軸S方向上側に接続された口部15と、を備えている。この口部15は、首部14に接続され、首部14よりも径方向外側に向けて膨出する帯状の膨出部151と、膨出部151の缶軸S方向上側に位置する雄ねじ部152と、雄ねじ部152の缶軸S方向上側に位置するカール部153と、を有している。このカール部153は、ボトル缶1の開口端1aに形成され、膨出部151は、キャップ(図示省略)の裾を巻き締めるために用いられる。
このボトル缶1は、口部15にキャップ(図示省略)を被せて、そのキャップを口部15の雄ねじ部152に倣うようにねじ加工することにより、キャップの裾部が膨出部151に巻き込まれた状態で、キャップ内面のライナがカール部153に圧接して、内部が密封される。
そして、筒体22を塗装装置(図示省略)に供給して、筒体22の内周面に3つのスプレーガン41,42,43を用いて塗料を吹き付けて内面塗装を行い、焼き付け、乾燥する(内面塗装工程)。
このネッキング工程は、円筒状のネックイン金型を筒体22の開口端側から缶軸方向に押し込んで、ネックイン金型の内周成形部によって筒体22を縮径して、テーパ部13を形成する。次いで、この小径部231を再度拡径及び縮径することにより、図3(d)に示すようにねじ加工する前の小径部241を有する中間成形体24を形成する。このとき、首部14が形成される。そして、この小径部241を加工して、膨出部151、雄ねじ部152、カール部153を形成することにより、図1に示すボトル缶1が形成される。
また、第1領域Ar1の高さH5は、25mm以上35mm以下、第2領域Ar2の高さH4は、143mm以上179mm以下、第3領域Ar3の高さH3(具体的には、接地部113から外側傾斜部112の缶軸S方向上端までの高さ)は、6mm以上12mm以下とされている。
なお、第1工程の終了段階における塗膜222cの厚さは、例えば、5μm以上10μm以下とされる。
なお、第2工程の終了段階における塗膜222cの厚さは、例えば、10μm以上30μm以下とされる。
なお、第1工程及び第2工程にて塗布される第1塗料及び第2塗料の平均分子量は、第3工程にて塗布される第3塗料の平均分子量よりも低いものの、凹部32及び拡径部33には、塗料が2度塗りされるため、凹部32及び拡径部33に形成された塗膜222cの強度を十分なものとできる。
また、衝撃を受けにくい缶底凸部31に形成された塗膜222dの厚さDよりも、縮径加工やねじ加工が施される口部15の雄ねじ部152及びカール部153となる領域の塗膜の厚さAを厚くするので、上記各加工が施された際に、塗膜222aが剥がれることを
さらに、塗布工程後に加工が施されることのない円筒部12の内面に形成される塗膜222bの厚さBを缶底凸部31に形成された塗膜222dの厚さDよりも薄く形成するので、ボトル缶1の製造コストを低減できる。
なお、塗布工程において、筒体22における雄ねじ部152及びカール部153となる第1領域Ar1に形成される塗膜222aの厚さAは、6μm以上9μm以下であるが、口部成形工程により縮径加工が施されるため、ボトル缶1における雄ねじ部152及びカール部153に形成された塗膜222aの厚さは、より厚くなるものの、第3領域Ar3に形成された塗膜222cの厚さCよりも小さい。
例えば、上記実施形態では、第1塗料及び第2塗料と、第3塗料とは、異なる塗料により構成することとしたが、これに限らず、同じ塗料であってもよいし、それぞれが異なる塗料であってもよい。各塗料が同じ塗料により構成される場合、第1領域に塗布する第1塗料の塗布量を大きくすることで、塗膜222aの厚さを大きく構成してもよいし、複数回に分けて塗布することとしてもよい。
なお、以下の実施例1及び比較例1の試料については、上記実施形態にて示した製造方法により、100缶ずつ製造し、筒体の内面に塗布した塗料の膜厚を表1に示すように、異ならせ、その他の構成は同じとした。具体的には、実施例1では、第1スプレーガンにより平均分子量が5000~6000のエポキシ樹脂からなる第1塗料を筒体の凹部及び拡径部(第3領域)に塗布した後、第2スプレーガンにより平均分子量が5000~6000のエポキシ樹脂からなる第2塗料を筒体の円筒部、凹部、拡径部及び缶底凸部(第2領域、第3領域及び第4領域)に塗布し、最後に第3スプレーガンにより平均分子量が13000~15000のエポキシ樹脂からなる第3塗料を筒体の雄ねじ部及びカール部となる領域(第1領域)に塗布した。一方、比較例1では、第2スプレーガンにより平均分子量が5000~6000のエポキシ樹脂からなる第2塗料を筒体の円筒部、凹部、拡径部及び缶底凸部(第2領域、第3領域及び第4領域)に塗布し、最後に第3スプレーガンにより平均分子量が13000~15000のエポキシ樹脂からなる第3塗料を筒体の雄ねじ部及びカール部となる領域(第1領域)に塗布した。つまり、比較例1では、第1スプレーガンによる第1塗料の第3領域への塗布を実行していない。換言すると、実施例1では、塗布工程は、第1工程、第2工程及び第3工程からなるのに対して、比較例1では、塗布工程は、第2工程及び第3工程からなる。
実施例1及び比較例1の各試料について、ERV(エナメルレーター値)を、日亜社製デジタルエナメルレーターを用いて測定した。具体的には、実施例1及び比較例1の各試料に1%のNaCl溶液をフランジ部(各試料の開口端から1mmの位置まで)まで注いで、上記エナメルレーターにセットし、電極を降し、6.2Vで4秒間通電させ、その通電値をエナメルレーター値(mA)として検出した。このERVは、実施例1及び比較例1の各試料のそれぞれの平均値を表1に示した。なお、ERVは、その値が小さい程缶体の腐食に対する抵抗が大きいことを示している。
一方、比較例1では、塗布工程が第2工程及び第3工程からなり、第3領域に塗料を二度塗りしていないため、第3領域の塗膜の厚さCが第1領域の塗膜の厚さAより小さかった。このため、比較例1では、ERVが83mAと高く、缶体の耐食性を高めることができなかった。
1a 開口端
11 底部
111 内側傾斜部
112 外側傾斜部
113 接地部
114 中央部
12 円筒部
13 テーパ部
14 首部
15 口部
151 膨出部
152 雄ねじ部
153 カール部
21 カップ
22 筒体
22a 内面
22b 外周面
222 222a 222b 222c 222d 塗膜
23 中間成形体
231 小径部
24 中間成形体
241 小径部
31 缶底凸部
32 凹部
33 拡径部
41 第1スプレーガン
42 第2スプレーガン
43 第3スプレーガン
Ar1 第1領域
Ar2 第2領域
Ar3 第3領域
Ar4 第4領域
Claims (7)
- 底部を有する円筒状の筒体の内面に塗料を塗布する塗布工程と、前記塗布工程後の筒体を加工して、円筒部に対して缶軸方向上側に向かうに従って縮径するテーパ部及び該テーパ部の缶軸方向上側に缶軸に沿って延びる小径部を形成するネッキング工程と、前記小径部を加工して、前記テーパ部の缶軸方向上側に位置する雄ねじ部及びカール部を有する口部を形成する口部成形工程と、を備え、
前記底部の内面は、前記筒体の開口端に向けて突出する缶底凸部と、該缶底凸部の周縁部に接続される環状の凹部と、前記凹部の外周端に接続され、缶軸方向上側に向かうに従って漸次拡径する拡径部と、を有し、
前記塗布工程は、前記凹部及び前記拡径部に第1塗料を塗布する第1工程と、前記第1工程後に前記筒体における前記雄ねじ部とカール部となる領域以外であり、且つ前記凹部と前記拡径部とを含む領域の内面に第2塗料を塗布する第2工程と、前記筒体における前記雄ねじ部及び前記カール部となる領域の内面に第3塗料を塗布する第3工程と、を有し、
前記塗布工程では、前記筒体における前記雄ねじ部及び前記カール部となる領域の内面に形成された塗膜の厚さをA、前記凹部及び前記拡径部に形成された塗膜の厚さをCとした場合に、C>Aとすることを特徴とするボトル缶の製造方法。 - 前記第3塗料の粘度は、前記第1塗料及び前記第2塗料の粘度よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のボトル缶の製造方法。
- 前記第3塗料は、平均分子量が10000~30000のエポキシ樹脂又はアクリル樹脂からなり、前記第1工程及び前記第2工程にて塗布される前記塗料は、平均分子量が2000~7000のエポキシ樹脂又はアクリル樹脂からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のボトル缶の製造方法。
- 前記塗布工程では、前記雄ねじ部及び前記カール部となる第1領域の内面に形成された塗膜の厚さをA、前記凹部及び前記拡径部に形成された塗膜の厚さをC、前記缶底凸部に形成された塗膜の厚さをD、前記筒体の内面のうち第1領域と前記凹部と前記拡径部と前記缶底凸部とを除いて残る第2領域に形成された塗膜の厚さをBとした場合に、C>A>D>Bとすることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のボトル缶の製造方法。
- 前記厚さCが10μm以上30μm以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のボトル缶の製造方法。
- 底部と、前記底部の缶軸方向上側に位置する円筒部と、前記円筒部に対して缶軸方向上側に向かうに従って縮径するテーパ部と、前記テーパ部の缶軸方向上側に位置する雄ねじ部及びカール部を有する口部と、を備え、
前記底部の内面は、開口端に向けて突出する缶底凸部と、該缶底凸部の周縁部に接続される環状の凹部と、前記凹部の外周端に接続され、缶軸方向上側に向かうに従って漸次拡径する拡径部と、を有し、
前記凹部及び前記拡径部に形成された塗膜が第1塗料と該第1塗料の上に塗られた第2塗料とからなり、
前記円筒部の内面に形成された塗膜と前記缶底凸部に形成された塗膜とが前記第2塗料からなり、
前記円筒部の内面に形成された塗膜の厚さをB、前記凹部及び前記拡径部に形成された塗膜の厚さをC、前記缶底凸部に形成された塗膜の厚さをDとした場合に、C>D>Bであることを特徴とするボトル缶。 - 前記第1塗料と前記第2塗料とは、同じ塗料からなる又は異なる塗料からなることを特徴とする、請求項6に記載のボトル缶。
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