JP2006143289A - キャッププリフォーム、ボトル缶及びキャップ付ボトル缶 - Google Patents

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Abstract

【課題】 グリップ性がよく、開栓性を向上したキャップを得ることができるキャッププリフォーム、ボトル缶及びキャップ付ボトル缶を提供すること。
【解決手段】 キャップ基体30と、キャップ基体30の外面に形成されたキャップ塗装膜31とを有し、ボトル缶2の口金部16に被着され、キャップ塗装膜31が、エラストマーを含有している。また、エラストマーの添加量が、キャップ塗装膜31に対して、5重量%以上40重量%以下である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、キャッププリフォーム、ボトル缶及びキャップ付ボトル缶に関する。
一般に、飲料用の缶として広く使用されているボトル缶は、アルミニウムやアルミニウム合金製の金属板に対して絞り加工(Drawing)と、次いで行われるしごき加工(Ironing)と、ネックイン加工とを施すことによって、上部に口金部を設けて製造される。さらに、この口金部には、成形ローラなどを用いたネジ成形加工を施すことによって、外側にキャップに設けられる雌ネジ部に螺合する雄ネジ部が設けられる。これによって、飲料が充填された後に、ボトル缶の口金部にキャップを螺着して閉栓される。
なお、このキャップは、ボトル缶と同様にアルミニウムやアルミニウム合金製の金属板に対して加工を施すことによって製造される。また、ボトル缶を開栓させる際には、通常一方の手でボトル缶を保持すると共に他方の手でキャップを保持し、キャップとボトル缶とをボトル缶からキャップを緩める方向に回転させることによってボトル缶からキャップを離間させる。
このようなボトル缶やキャップには、金属板の加工前あるいは加工後に、各種の塗装処理が施される。これは、ボトル缶の缶基体や、キャップのキャップ基体の表面に、サイズコート膜が塗装され、十分に焼付け乾燥された後に、さらに文字や絵柄などのインク膜がインキを用いて印刷され、さらにその上に、オーバーバーニッシュ膜が塗装される。
このようにボトル缶やキャップの表面を塗装すると、この塗装膜によってボトル缶やキャップの外表面が傷付きにくいものとなり、飲料商品としても安全性が高められると共に、商品価値が維持されたものとなる。
実用新案登録第2545609号公報
しかしながら、上記従来のキャップ及びボトル缶には、以下の課題がある。すなわち、上記従来のキャップ及びボトル缶は、キャップやボトル缶の表面に水滴などが付着している場合やキャップ付ボトル缶を保持する手が乾燥している場合において、キャップの開閉栓時にキャップまたはボトル缶を保持する手が滑ることで、キャップまたはボトル缶のグリップ性が悪くなることがある。これにより、キャップを開けにくくなり、開栓性が低下するという問題がある。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、グリップ性がよく、開栓性を向上したキャップを得ることができるキャッププリフォーム、ボトル缶及びキャップ付ボトル缶を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明にかかるキャッププリフォームは、キャップ基体と、該キャップ基体の外面に形成された塗装膜とを有し、ボトルの口金部に被着され、ネジ成形されるキャッププリフォームであって、前記塗装膜が、エラストマーを含有していることを特徴とする。
この発明によれば、塗装膜にエラストマーを添加することで、塗装膜表面の弾性が増大する。これにより、キャップのグリップ性が良好となってキャップを保持する手がキャップに対して滑りにくくなる。したがって、より小さな力で確実にキャップを回転させることが可能となるので、開栓性が向上する。
また、焼付け後の塗膜中の残留応力も小さくなるため、塗装膜の密着性が向上すると共に、加工性も良好である。
また、本発明にかかるキャッププリフォームは、前記エラストマーの添加量が、前記塗装膜に対して、5重量%以上40重量%以下であることが好ましい。
この発明によれば、エラストマーの添加量を塗装膜中に含まれる全固形分に対して5重量%以上40重量%以下とすることで、塗装膜表面の摩擦係数を適宜の値とすることができる。すなわち、5重量%以上とすることで開栓時にキャップを保持した手が十分に滑りにくくなると共に、40重量%以下とすることでキャップの成形や加工時、ハンドリング時における塗装膜の剥離を防止する。
また、本発明にかかるボトル缶は、金属製の缶基体と、該缶基体の外面に形成された塗装膜と、キャップが被着される口金部とを有するボトル缶であって、前記塗装膜が、エラストマーを含有していることを特徴とする。
この発明によれば、塗装膜にエラストマーを添加することで、上述と同様に、ボトル缶のグリップ性が良好となるので、開栓性が向上する。
また、本発明にかかるボトル缶は、前記エラストマーの添加量が、前記塗装膜に対して、5重量%以上40重量%以下であることが好ましい。
この発明によれば、上述と同様に、5重量%以上とすることで開栓時にボトル缶を保持した手が十分に滑りにくくなると共に、40重量%以下とすることでボトル缶の成形や加工時、ハンドリング時における塗装膜の剥離を防止する。
また、本発明にかかるキャップ付ボトル缶は、上記記載のキャッププリフォームと、該キャッププリフォームが被着され、ネジ成形されるボトル缶とを備えることを特徴とする。
この発明によれば、キャップのグリップ性が良好であり、より小さな力で確実にキャップを回転させることができるので、開栓性が向上する。
また、本発明にかかるキャップ付ボトル缶は、上記記載のボトル缶と、該ボトル缶に被着されるキャップとを備えることを特徴とする。
この発明によれば、上述と同様に、ボトル缶のグリップ性が良好であり、より小さな力で確実にキャップを回転させることができるので、開栓性が向上する。
また、本発明にかかるキャップ付ボトル缶は、上記記載のキャッププリフォームと、該キャッププリフォームが被着され、ネジ成形される上記記載のボトル缶とを備えることを特徴とする。
この発明によれば、上述と同様に、キャップ及びボトル缶のグリップ性が良好であり、より小さな力で確実にキャップを回転させることができるので、開栓性が向上する。
本発明のキャッププリフォーム、ボトル缶及びキャップ付ボトル缶によれば、塗装膜にエラストマーを含有することで、塗装膜表面の弾性が増大し、キャップまたはボトル缶のグリップ性が良好となる。これにより、より小さな力で確実にキャップを回転させることができ、開栓性が向上する。
以下、本発明によるキャッププリフォーム、ボトル缶及びキャップ付ボトル缶の一実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態におけるキャップ付ボトル缶1は、図1に示すように、ボトル缶2と、このボトル缶2に被着、ネジ成形されるキャッププリフォーム3とによって構成されている。
ボトル缶2は、アルミニウムあるいはアルミニウム合金などからなる缶基体11の外面にボトル缶塗装膜13を形成したものである。
缶基体11は、大径の胴部14と、この胴部14の上端から上方に向かうにしたがって漸次縮径して形成されたテーパ部15と、このテーパ部15の上端から上方に延在して形成された小径の口金部16とを備えている。
口金部16は、その下端部に径方向に膨出して形成されたかぶら部17と、このかぶら部17の上方かつ口金部16の軸方向ほぼ中央部に形成された雄ネジ部18と、口金部16の上端縁を径方向外方へ折り曲げて形成されたカール部19とを備えている。なお、このカール部19は、スロット加工されることで潰され、これにより若干のアールを有する突出部が形成される。
ボトル缶塗装膜13は、缶基体11の上面に形成されたサイズコート膜(図示略)と、サイズコート膜の上面に形成された印刷膜(図示略)と、印刷膜の上面に形成されたオーバーバーニッシュ膜(図示略)とによって構成されている。
サイズコート膜は、缶基体11と印刷膜との密着性を向上させるために形成された塗装膜である。そして、サイズコート膜の原料は、高分子ポリエステル/アミノ系の塗料によって構成される。なお、サイズコート膜の原料には、適宜の顔料が添加されてもよい。
インク膜は、缶基体11の外表面を装飾するために形成された塗装膜である。そして、インク膜の原料は、色彩を有するインキによって構成される。
オーバーバーニッシュ膜は、インク膜の保護や、表面のすべりを良好にして加工性を向上させるために形成された塗装膜である。そして、オーバーバーニッシュ膜の原料は、例えば硬化したエポキシ/フェノール系樹脂または硬化したポリエステル/アミノ系樹脂とエストラマーであるSBR(Styrene-Butadiene Rubber:スチレンブタジエンゴム)とを有機溶剤で溶かし、これにワックスを添加することによって構成される。ここで、SBRの添加量は、エポキシ/フェノール系樹脂またはポリエステル/アミノ系樹脂とSBRの添加量との和に対して5重量%以上40重量%以下となっている。
一般にオーバーバーニッシュ膜の原料としてポリエステル/アミノ系樹脂やエポキシ/尿素系の塗料などが使用されるが、これと共通の溶剤にエラストマーを溶解させる必要がある。一般的に、エポキシ樹脂やポリエステル樹脂などは、各種エラストマーのうち、比較的極性の高いものが使用しやすい。例えば、ウレタンゴムやアクリルゴム、NBR(acrylonitrile butadiene rubber:アクリロニトリル・ブタジエンゴム)ハイスチレンのSBRなどが使用しやすい。また、エポキシアクリル系など水系の塗料を使用する場合は、水に分散された状態のラテックス状のエラストマーをそのまま添加することも可能である。また、原料として添加されるワックスには、カルナバワックスやラノリンワックスなどが挙げられる。
次に、以上のように構成されたボトル缶2の製造方法について図2を用いて説明する。
まず、アルミニウム板材を所定の大きさの円形状板に打ち抜いて形成されたアルミニウム円板21に、まずDI加工工程を施すことによってDI缶(有底筒状体)32を形成する。
このDI加工工程は、アルミニウム円板21からカップ23を形成する絞り工程と、カップ23を所定高さの筒状缶体24に形成する再絞り加工及びしごき加工と、筒状缶体24の上端24aを切りそろえてDI缶22とするトリミング加工とを備えている。アルミニウム円板21の板厚とほぼ同じ厚みにカップ23は、再絞り加工及びしごき加工によって所定厚み及び高さの筒状缶体24に加工されるが、その際に、筒状缶体24の上端24aの高さが一様に変形されずに、山谷状に変形される。この山谷状の部分は、通常「耳」と呼ばれ、トリミング加工によって切断される。これにより、DI缶22の上端22aは、一様の高さに形成される。このDI加工工程の後、ウォッシャで洗浄され、耐腐食性向上のためにクロムやジルコニウムなどで化成処理が行われる。
次に、DI加工工程によって形成されたDI缶22に、塗装処理を施すことでDI缶22の内面及び外面にそれぞれ上述したボトル缶塗装膜13を有する原型缶基体25を形成する。
塗装処理は、塗料の噴き付けによって行われ、DI缶22の全周を周回するように塗装される。ここで、DI缶22の全周に良好に塗装されるように、塗装の周回開始部分と塗装の周回終了部分とが重複するように塗装されている。これは、まず、高分子ポリエステル/アミノ系の塗料で構成されるサイズコート膜を塗装し、これを200℃、60秒で焼付け乾燥させることでサイズコート膜を形成する。そして、印刷・乾燥によってインク膜を形成する。その後、サイズコート膜と同様に、硬化したエポキシ/フェノール系樹脂または硬化したポリエステル/アミノ系樹脂とエストラマーであるSBRとで構成されるオーバーバーニッシュ膜を塗装し、これを200℃、60秒で焼付け乾燥させることでオーバーバーニッシュ膜を形成する。ここで、SBRの添加量は、上述したように、エポキシ/フェノール系樹脂またはポリエステル/アミノ系樹脂とSBRの添加量との和に対して5重量%以上40重量%以下となっている。このようにして、ボトル缶塗装膜13を形成する。
以上のようにして、DI缶22にボトル缶塗装膜13を形成した原型缶基体25が形成される。
次に、塗装処理によってボトル缶塗装膜13が形成された原型缶基体25に、ネックイン加工を施すことによって、テーパ部15及び口金部16が形成された原型ボトル缶26を形成する。そして、この原型ボトル缶26に、成形ローラなどを用いたネジ成形加工を施すことによって口金部16に雄ネジ部18を形成すると共に、開口端を径方向外方へ向けて折り返してカール部19を形成することで、ボトル缶2となる。
キャッププリフォーム3は、図1及び図2に示すように、ボトル缶2と同様にアルミニウムあるいはアルミニウム合金などからなるキャップ基体30と、このキャップ基体30の外表面に形成されたキャップ塗装膜31とによって構成されている。
キャップ基体30は、天面部32とこの天面部32の周縁からほぼ垂下した側面部33とによって構成されており、天面部の内面にライナー34が配設されている。このライナー34は、ほぼ円板形状を有しており、ポリプロピレンによって構成されている。
側面部33には、上端部の全周にわたって複数の凹凸形状が形成されたナール部35と、このナール部35の下端に連続してナール部35より小径に形成されたグルーブ36と、このグルーブ36の下端に連続してグルーブ36より大径に形成されたネジ部形成予定部37と、このネジ部形成予定部37の下端に連続してネジ部形成予定部37より大径に形成されたビード38と、ビード38のほぼ中央部に周方向で所定の間隙を有して複数形成され側面部33を貫通するスコア39と、ビード38の下端に連続して下方に向かうに従い漸次拡径するピルファープルーフ部40とを備えている。
キャップ塗装膜31は、ボトル缶塗装膜13と同様に、天面部32及び側面部33の上面に形成されたサイズコート膜(図示略)と、サイズコート膜の上面に形成された印刷膜(図示略)と、印刷膜の上面に形成されたオーバーバーニッシュ膜(図示略)とによって構成されている。
サイズコート膜は、上述と同様に、キャップ基体30と印刷膜との密着性を向上させるために形成された塗装膜である。そして、サイズコート膜の原料は、高分子ポリエステル/アミノ系の塗料によって構成される。なお、サイズコート膜の原料には、適宜の顔料が添加されてもよい。
インク膜は、上述と同様に、キャップ基体30の外表面を装飾するために形成された塗装膜である。そして、インク膜の原料は、色彩を有するインキによって構成される。
オーバーバーニッシュ膜の原料は、上述と同様に、例えば硬化したエポキシ/フェノール系樹脂または硬化したポリエステル/アミノ系樹脂とNBRとを有機溶剤で溶かし、これにワックスを添加することによって構成される。ここでも上述と同様に、NBRの添加量は、エポキシ/フェノール系樹脂またはポリエステル/アミノ系樹脂とNBRの添加量との和に対して5重量%以上40重量%以下となっている。
次に、以上のように構成されたキャッププリフォーム3の製造方法について説明する。
まず、アルミニウム板材の表面に塗装処理を施す。この塗装処理は、高分子ポリエステル/アミノ系の塗料で構成されるサイズコート膜を噴霧し、これを200℃、10分間で焼付け乾燥させることでサイズコート膜を形成する。さらに、サイズコート膜の表面であってキャッププリフォーム3が形成される所定位置に、印刷・乾燥によってインク膜を形成する。その後、サイズコート膜及びインキ膜の表面全体に、サイズコート膜と同様に、硬化したエポキシ/フェノール系樹脂または硬化したポリエステル/アミノ系樹脂とエストラマーであるNBRとで構成されるオーバーバーニッシュ膜を噴霧し、これを200℃、10分間で焼付け乾燥させることでオーバーバーニッシュ膜を形成する。ここで、NBRの添加量は、上述したように、エポキシ/フェノール系樹脂またはポリエステル/アミノ系樹脂とNBRの添加量との和に対して5重量%以上40重量%以下となっている。
次に、キャッププリフォーム3が形成される所定位置に対応させて、抜き打ち加工及び絞り加工を施し、天面部32とこの天面部32の周縁からほぼ垂下してなる側面部33とを備えるキャップ素体を形成する。
そして、キャップ形成装置を用いて、キャップ素体の側面部33にナール部35及びスコア39を形成する。さらに、この天面部32の内面にライナー34を配設し、このライナー34を介して天面部32の内面を加熱押圧することにより、この表面にライナー34を接合する。以上により、キャッププリフォーム3が形成される。
このように製造されたボトル缶2及びキャッププリフォーム3は、ボトル缶2に飲料が充填された後は、キャッププリフォーム3を口金部16に被せ、成形ローラなどによって雄ネジ部18に合わせた雌ネジ部が形成される。このようにしてキャップ付ボトル缶1が製造される。
このとき、カール部19とライナー34とが接触し、キャップ付ボトル缶1の密封性が保たれている。
このように構成されたキャップ付ボトル缶1によれば、ボトル缶塗装膜13及びキャップ塗装膜31が共にエラストマーであるSBRまたはNBRを含有しているので、ボトル缶塗装膜13及びキャップ塗装膜31の弾性が増大する。これにより、ボトル缶2及びキャップのグリップ性が向上するので、開栓時にボトル缶2を保持する手やキャップを保持する手が滑りにくくなる。したがって、開栓性が向上する。
また、SBRまたはNBRの添加量が、エポキシ/フェノール系樹脂またはポリエステル/アミノ系樹脂とSBRまたはNBRの添加量との和に対して5重量%以上40重量%以下とすることで、ボトル缶2及びキャップが十分に滑りにくくなると共に、ボトル缶2やキャッププリフォーム3の成形加工時やハンドリング時におけるボトル缶塗装膜13やキャップ塗装膜31の剥離を防止する。
次に、本発明にかかるキャップ付ボトル缶を、実施例により具体的に説明する。
まず、実施例1から実施例8として、キャップ塗装膜にエラストマーを含有させたキャッププリフォームを製造し、このときの加工性を評価した。そして、エラストマーを含まないポリエステル−アミノ系の塗装が施されたボトル缶にそれぞれ被着、ネジ成形してその開栓性を評価した。この結果を、表1に示す。なお、表1において、加工性とは、実施例1から実施例8のキャッププリフォームをそれぞれ100個ずつ製造し、目視において傷が確認されなかったものを○、3個以下のもので傷が確認されたものを△、4個以上のもので傷が確認されたものを×としており、加工時の金型抜け性の評価を行っている。また、開栓性とは、従来のエラストマーを含まないポリエステル−アミノ系の塗装が施されたキャッププリフォームが被着、ネジ成形されたキャップ付ボトル缶の開栓性と比較して、開栓性が向上したと10人中10人が認識したものを◎、10人中8人以上が認識したものを○、10人中5人以上が認識したものを△、10人中4人以下が認識したものを×としている。
Figure 2006143289
表1より、エラストマーを5%以上40%以下の含有量とすることで、キャッププリフォームの加工性、キャップ付ボトル缶の開栓性が向上していることを確認した。
次に、実施例9から実施例13として、ボトル缶塗装膜にエラストマーを含有させたボトル缶を製造し、このときの加工性を評価した。そして、エラストマーを含まないポリエステル−アミノ系の塗装が施されたキャッププリフォームをそれぞれ被着、ネジ成形してその開栓性を評価した。この結果を表2に示す。なお、表2において、加工性とは、上述と同様に、実施例9から実施例13のボトル缶をそれぞれ製造して傷を目視で確認することによって評価している。また、開栓性とは、従来のエラストマーを含まないポリエステル−アミノ系の塗装が施されたキャッププリフォームを被着、ネジ成形したキャップ付ボトル缶の開栓性と比較して評価している。
Figure 2006143289
表2より、エラストマーを5%以上40%以下の含有量とすることで、ボトル缶の加工性、キャップ付ボトル缶の開栓性が向上していることを確認した。
次に、実施例14から実施例17として、表3に示すように、上述した実施例に記載のキャッププリフォームを上述した実施例に記載のボトル缶に被着、ネジ成形したキャップ付ボトル缶をそれぞれ製造し、その開栓性を評価した。なお、表3において、開栓性とは、キャップ塗装膜及びボトル缶塗装膜として表4のものを用いたキャップ付ボトル缶と比較して評価している。
Figure 2006143289
Figure 2006143289
表3より、エラストマーを5%以上40%以下の含有量としたキャッププリフォーム及びボトル缶とすることによって、キャップ付ボトル缶の開栓性がより向上していることを確認した。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、ボトル缶塗装膜及びキャップ塗装膜が、それぞれエラストマーを含有しているが、ボトル缶塗装膜とキャップ塗装膜とのいずれか一方のみがエラストマーを含有するキャップ付ボトル缶であってもよい。
また、キャップがボトル缶に被着されているが、ボトル缶に限らず、ガラスボトルなど他のボトルに被着されるものであってもよい。
また、キャップ基体や缶基体としてアルミニウムまたはアルミニウム合金を用いたが、これらに限らず、スチールなど他の金属を用いてもよい。また、缶基体は、アルミニウム板材から一体的に形成されているが、缶底が別部材によって形成されたツーピースボトル缶であってもよい。
また、塗装膜に添加されるエラストマーとしては、引張り強さが20MPa以下、伸び率が100%以上、圧縮永久歪みが70℃×72時間で50%以下であればいわゆるゴムを含むものであって、NBRのほかに、SBRやウレタンゴム、アクリルゴム、ポリエステル系エラストマーなどを用いてもよい。ここで、塗装膜の原料が水性塗料の場合には、乳化重合したゴムエマルジョンを用いてもよい。このとき、単純にゴムエマルジョンを混合することで互いに分散可能であるが、乳化剤としてロジン酸エステルや脂肪酸エステルを用いてもよい。
本発明の一実施形態におけるキャップ付ボトル缶を示す部分断面図である。 図1のボトル缶の製造工程を示す斜視図である。 図1のキャッププリフォームを示す部分断面図である。
符号の説明
1 キャップ付ボトル缶
2 ボトル缶
3 キャッププリフォーム
11 缶基体
13 ボトル缶塗装膜
16 口金部
30 キャップ基体
31 キャップ塗装膜

Claims (7)

  1. キャップ基体と、該キャップ基体の外面に形成された塗装膜とを有し、ボトルの口金部に被着され、ネジ成形されるキャッププリフォームであって、
    前記塗装膜が、エラストマーを含有していることを特徴とするキャッププリフォーム。
  2. 前記エラストマーの添加量が、前記塗装膜に対して、5重量%以上40重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のキャッププリフォーム。
  3. 金属製の缶基体と、該缶基体の外面に形成された塗装膜と、キャップが被着される口金部とを有するボトル缶であって、
    前記塗装膜が、エラストマーを含有していることを特徴とするボトル缶。
  4. 前記エラストマーの添加量が、前記塗装膜に対して、5重量%以上40重量%以下であることを特徴とする請求項3に記載のボトル缶。
  5. 請求項1または2に記載のキャッププリフォームと、該キャッププリフォームが被着され、ネジ成形されるボトル缶とを備えることを特徴とするキャップ付ボトル缶。
  6. 請求項3または4に記載のボトル缶と、該ボトル缶に被着されるキャップとを備えることを特徴とするキャップ付ボトル缶。
  7. 請求項1または2に記載のキャッププリフォームと、該キャッププリフォームが被着され、ネジ成形される請求項3または4に記載のボトル缶とを備えることを特徴とするキャップ付ボトル缶。
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