JP7387327B2 - 立体造形用の硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
このような背景から、硬化性樹脂組成物に対する要求は高度化してきている。最近では、汎用のエンジニアリングプラスチックに匹敵するような、硬化物の耐摩耗性が高い立体造形物を造形可能な硬化性樹脂組成物が求められている。硬化物の耐摩耗性を高めるために、摩擦係数を下げ、離形性及び摺動特性を向上する方法として、硬化性樹脂組成物の表面自由エネルギーを下げること、硬化性樹脂組成物に固体潤滑剤を添加すること、オイルなどの液体潤滑剤を含有させることが一般的によく知られている。また、造形精度を改善する目的で、硬化性樹脂組成物にガラスビーズや無機化合物を添加することが一般的に良く知られており、これまでに多くの検討がされてきた。
特許文献1には脂環式エポキシに、ガラス粉末やアルミナ粉末などの無機充填剤を添加した、造型精度に優れた光学的立体造形用樹脂組成物が提案されている。また、特許文献2には、ウレタンアクリレートに、ガラスビーズなどの無機充填剤、ポリスチレンビーズ、ポリエチレンビーズなどの高分子充填剤を添加した、体積収縮率の小さい光学的立体造形用樹脂組成物が提案されている。
そこで、本発明では、上述の課題を解決するために、造形精度が高く、耐摩耗性が高く、摺動特性が高い硬化物を得ることができる立体造形用の硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
前記カチオン重合性化合物(A)と前記硬化剤(C)からなる組成物の重合後の曲げ弾性率は2.0GPa以上であり、
前記カチオン重合性化合物(A)は、下記一般式(1)乃至(3)のいずれかに示される二官能脂環式エポキシ化合物であり、
L 1 乃至L 3 は、エーテル構造、エステル構造またはカーボネート構造を含む、2価の連結基を表す。)
前記無機粒子(B)が、フッ化黒鉛であり、前記無機粒子(B)の含有量は、前記カチオン重合性化合物(A)と前記無機粒子(B)の合計100質量部に対して、10質量部以上30質量部以下であることを特徴とする。
カチオン重合性化合物(A)として、カチオン重合性化合物(A)と硬化剤(C)からなる組成物の重合後の曲げ弾性率が2.0GPa以上、好ましくは3.0GPa以上となるカチオン重合性化合物を用いる。ここで、カチオン重合性化合物(A)と硬化剤(C)からなる組成物とは、硬化性樹脂組成物から、カチオン重合性化合物(A)と硬化剤(C)以外の成分を除いた組成物をいう。
本発明で用いるエポキシ化合物は、エポキシ基を有する化合物であれば特に限定されず、一種類のエポキシ化合物のみから構成されていてもよく、複数のエポキシ化合物で構成されていてもよい。エポキシ化合物の例として、エポキシ基を含む樹脂(プレポリマー)や、脂環式エポキシ化合物などが挙げられる。
オキセタン化合物は、オキセタニル基を有する化合物であれば特に限定されず、一種類のオキセタン化合物のみから構成されていてもよく、複数のオキセタン化合物で構成されていてもよい。
無機粒子(B)は、層状の結晶構造を有する。層状の結晶構造を有する無機粒子(B)とは、例えばグラファイトのような六方晶系の結晶構造を持つ無機粒子であり、層毎の面内は強い共有結合で繋がっているが、層と層の間は弱いファンデルワールス力で結合しているような無機粒子を指す。そのような構造を持つ無機粒子として、例えば、グラファイト、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、窒化ケイ素、セレン化モリブデン、二セレン化モリブデン、二セレン化タンタル、二テルル化チタン、硫化ガリウム、セレン化ガリウム、セレン化すず、塩化カドミウム、塩化コバルト、塩化鉛、三フッ化セリウム、ヨウ化鉛、タルク、マイカなどが挙げられる。中でも、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、窒化ケイ素、タルクといった、光の吸収が少ない無機粒子を使用すると、樹脂組成物の光の透過率を高く保つことができるため、硬化性の観点より好ましく、無機粒子(B)としては、フッ化黒鉛、窒化ホウ素、窒化ケイ素のいずれかが特に好ましい。
硬化剤(C)としては、光重合開始剤を用いることが好ましく、光カチオン重合開始剤を用いることがより好ましい。本発明の効果を損なわない範囲で、これらを単独で、もしくは、複数組み合わせて用いてもよい。また、光カチオン重合開始剤のほかに、熱カチオン重合開始剤、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、熱潜在性硬化剤等のその他の硬化剤を含有してもよい。
光カチオン重合開始剤は、光酸発生剤とも呼ばれる。紫外線等のエネルギー線の照射によりカチオン重合を開始することのできる酸を発生する。
熱カチオン重合開始剤は、熱酸発生剤とも呼ばれる。加熱によりカチオン種を含む化合物が励起され、熱分解反応が起こり熱硬化を進行させる硬化剤として実質的な機能を発揮するものである。熱カチオン重合開始剤は、硬化剤として一般に使用されている酸無水物類、アミン類、フェノール樹脂などとは異なり、樹脂組成物に含まれていても、樹脂組成物の常温での経時的な粘度上昇やゲル化を引き起こすことない。そのため、ハンドリング性に優れた一液性樹脂組成物を提供することが可能となる。
本発明の硬化性樹脂組成物に、後述する反応性希釈剤(D)として、ラジカル重合性化合物を添加する場合、ラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤と熱ラジカル重合開始剤に分類される。
光ラジカル重合開始剤は、主に分子内開裂型と水素引抜き型に分類される。分子内開裂型では、特定波長の光を吸収することで、特定の部位の結合が切断され、その切断された部位にラジカルが発生し、それが重合開始剤となり、ラジカル重合性の反応性希釈剤(D)の重合が始まる。水素引き抜き型では、特定波長の光を吸収し励起状態になり、その励起種が周囲にある水素供与体から水素引き抜き反応を起こし、ラジカルが発生し、それが重合開始剤となり、ラジカル重合性の反応性希釈剤(D)の重合が始まる。
熱ラジカル重合開始剤としては、加熱によりラジカルを発生するものであれば特に制限されず従来既知の化合物を用いることが可能であり、例えば、アゾ系化合物、過酸化物及び過硫酸塩等を好ましいものとして例示することができる。アゾ系化合物としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(メチルイソブチレ-ト)、2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)等が挙げられる。過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレート及びジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等が挙げられる。過硫酸塩としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸カリウム等の過硫酸塩等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物に、後述する反応性希釈剤(D)として、アニオン重合性化合物を添加する場合、アニオン重合開始剤を用いることができる。アニオン重合開始剤は、光塩基発生剤を用いることができる。
光塩基発生剤とは、紫外線や可視光などのエネルギー線の照射によって塩基を発生する化合物を言う。特に、光に対する感度が良好であることから、ボレートアニオンを含む塩であることが好ましい。具体的な商品としては、サンアプロ株式会社製のU-CAT5002などや昭和電工株式会社製のP3B、BP3B、N3B、MN3Bなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明の硬化性樹脂組成物には、以下の熱潜在性硬化剤を用いることができる。熱潜在性硬化剤とは、過熱により熱硬化を進行させる硬化剤を指す。
[反応性希釈剤(D)]
本発明に係る硬化性樹脂組成物は、カチオン重合性化合物(A)、無機粒子(B)、硬化剤(C)のほかに、反応性希釈剤(D)を含有していてもよい。硬化性樹脂組成物に反応性希釈剤(D)を含有させることで、硬化性組成物の粘度を低減させることができる。また、硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物の機械特性や熱特性を調整することができる。反応性希釈剤(D)は、ラジカル重合性、カチオン重合性、またはアニオン重合性を有するモノマーを添加することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物には、本発明の目的、効果を損なわない範囲において、その他の任意成分として各種の添加剤が含有されていてもよい。かかる添加剤としては、硬化したエポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリエステル、スチレン-ブタジエンブロック共重合体、ポリシロキサン、石油樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、セルロース樹脂などの樹脂フィラー、あるいはポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、超高分子量ポリエチレン、ポリフェニルスルホン、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、液晶ポリマー、ポリトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのエンジニアリングプラスチックのフィラー、あるいは、金、銀、鉛、アルミニウムなどの軟質金属、シリカ、チタニア、アルミナなどの無機フィラーが挙げられる。
硬化性樹脂組成物の光の透過率は0.1%以上である。光の透過率とは、樹脂組成物に光を照射したときの透過光強度を、照射した光の強度で除した値を百分率で表したものであり、前方散乱を含めた光の透過率である。透過光強度は、波長365nmあるいは405nmの照射光を、厚さ200μmの硬化性樹脂組成物に照射したときに、吸収されずに透過した光と、光源に対して前方へ散乱した光を合わせた強度のことである。光の透過率が0.1%以上であれば、樹脂組成物は立体造形機の光照射によって硬化することが可能である。光の透過率が高いほど、硬化に必要な光の照射時間が短くなり硬化速度が向上するため、光の透過率はより好ましくは1%以上、さらにより好ましくは10%以上である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、必須の成分であるカチオン重合性化合物(A)、無機粒子(B)及び硬化剤(C)、並びに、必要に応じてその他の任意成分の適量を攪拌容器に仕込み、通常、30℃以上120℃以下、好ましくは50℃以上100℃以下で攪拌することにより製造することができる。その際の攪拌時間は、通常1分以上6時間以下、好ましくは10分以上2時間以下である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、カチオン重合性化合物(A)、無機粒子(B)、硬化剤(C)が必須成分であり、これらを硬化せしめることで硬化物を得ることができる。硬化方法は含有する硬化剤に合わせ、活性エネルギー線硬化、熱硬化などの任意の公知の方法を用いて、硬化することができる。硬化方法は複数種類を組み合わせてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、必須の成分として層状の結晶構造を有する無機粒子(B)が含有されている。層状の結晶構造を持つ化合物の特徴として、層毎の面内は強い共有結合で繋がっているが、層と層の間は弱いファンデルワールス力で結合している。そのため、層の方向に対して垂直方向には高い機械強度を有する一方、平行の方向には滑りやすい性質を有する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化剤(C)として光カチオン重合開始剤等の光重合開始剤を含有することで、光学的立体造形方法に好適に用いることができる。硬化性樹脂組成物の硬化物は、従来既知の光学的立体造形方法および装置のいずれを使用して作製してもよい。好ましい光学的立体造形法の代表例としては、スライスデータに基づいて硬化性樹脂組成物を層毎に硬化させて造形物を造形する工程を有する方法である。具体的には、液状をなす硬化性樹脂組成物に所望のパターンを有する硬化層が得られるように、スライスデータに基づいて活性エネルギー線を選択的に照射して硬化層を形成する。次いでこの硬化層に未硬化の硬化性樹脂組成物を供給し、同様にスライスデータに基づいて活性エネルギー光線を照射して前記の硬化層と連続した硬化層を新たに形成する。この積層操作を繰り返すことによって最終的に目的とする立体的造形物を得る方法を挙げることができる。
本発明に係る硬化性樹脂組成物およびその硬化物の用途は特に限定はされない。例えば、光造形法の3Dプリンター用の樹脂、スポーツ用品、医療・介護用品、産業用機械・機器、精密機器、電気・電子機器、電気・電子部品、建材用品等の様々な用途に利用可能である。
[組成物の調整]
表1に示す処方に従い各成分を配合し、75℃に加熱して2時間かくはん装置でかくはんし、硬化性樹脂組成物を調整した。
A1:2官能脂環式エポキシ化合物(3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート「セロキサイド2021P」ダイセル製)
A2:2官能脂環式エポキシ化合物(ε-カプロラクトン変性 3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート「セロキサイド2081」ダイセル製)
A3:2官能非脂環式エポキシ化合物(「EXA-4816」DIC製)
A4:3官能非脂環式エポキシ化合物と2官能オキセタン化合物の混合物(「KEA-21」ケーエスエム製)
A5:2官能非脂環式エポキシ化合物(「EXA-4850-1000」DIC製)
A6:2官能非脂環式エポキシ化合物(「EXA-4850-150」DIC製)
B1:フッ化黒鉛(「セフボンCMC」セントラル硝子製)
B2:窒化ホウ素(アルドリッチ製)
B3:窒化ケイ素(製品名「HM-5MF」NTKセラテック製)
B4:グラファイト(製品名「Z-5F」伊藤黒鉛製)
C1:光カチオン重合開始剤(「CPI-210S」(サンアプロ製))
C2:光ラジカル重合開始剤(「イルガキュア184」(BASF製))
D1:三官能ウレタンアクリレート化合物(「紫光UV7550B」日本合成化学工業製)40質量%、単官能アクリレート化合物(「イソボルニルアクリレート」東京化成工業製)30質量%、単官能アクリルアミド化合物(「ACMO」KJケミカルズ製)30質量%の混合物
D2:二官能ウレタンアクリレート化合物(「紫光UV6630B」日本合成化学工業製)40質量%、二官能アクリレート化合物(「A-DCP」新中村化学製)2.5質量%、ラジカル重合性を有するマレイミド化合物(「Imilex-P」日本触媒製)20質量%、単官能アクリルアミド化合物(「ACMO」KJケミカルズ製)37.5質量%の混合物
シリカ:製品名「アドマファインSO-E6」アドマテックス製
調製した硬化性樹脂組成物から、下記の方法で試験片を作成した。まず、二枚の石英ガラスの間に長さ80mm、幅10mm、厚さ4mmの金型を挟み、ここに硬化性樹脂組成物を流し込んだ。流し込んだ硬化性樹脂組成物に対して紫外線照射機(HOYA CANDEO OPTRONICS社製、商品名「LIGHT SOURCE EXECURE 3000」)で5mW/cm2の紫外線を金型の両面から120秒間ずつ照射し、仮硬化を行った。その後、再度両面から360秒ずつ紫外線を照射することで本硬化を行い、硬化物を得た(総エネルギーとして4800mJ/cm2)。得られた硬化物を50℃の加熱オーブン内に入れて1時間、100℃の加熱オーブン内に入れて2時間熱処理を行うことで、長さ80mm、幅10mm、厚さ4mmの試験片を得た。
調製した硬化性樹脂組成物から、下記の方法で試験フィルムを作成した。まず、幅26mm、長さ76mm、厚さ約1mmのスライドグラスの中心に、数滴の硬化性樹脂組成物を載せ、スライドグラスの両端に300μmの厚さのスペーサーを設置した。次に、滴下した硬化性樹脂組成物の上に、PET製のフィルムを載せ、さらにその上にスライドグラスを載せた。その後、滴下した硬化性樹脂組成物に対して、紫外線照射機(HOYA-SCHOTT製、商品名「UV LIGHT SOURCE EX250」)で5mW/cm2の紫外線を300秒照射(総エネルギーとして1500mJ/cm2)した。次に、PET製フィルムを剥がし、得られた硬化物を50℃の加熱オーブン内に入れて1時間、100℃の加熱オーブン内に入れて2時間熱処理を行うことで、厚さ300μmm、直径約2cmのスライドグラスに密着した試験フィルムを得た。
(硬化性樹脂組成物の光の透過率)
硬化性樹脂組成物の光の透過率は、次のように測定を行った。ます、調整した硬化性樹脂組成物を、幅26mm、長さ76mm、厚さ約1mmのスライドグラスの中心に数滴載せ、スライドグラスの両端に200μmの厚さのスペーサーを設置した。次に、滴下した硬化性樹脂組成物の上に、同型のスライドグラスを載せ200μmの厚さの硬化性樹脂組成物を調整した。次に、200μm厚の硬化性樹脂組成物の365nmと405nmの透過率を、紫外可視分光光度計(島津製作所製、商品名「SOLICSPEC-3700」)を用いて測定した。なお、ここでいう透過光とは、吸収されずに透過した光と、光源に対して前方へ散乱した光を合わせた強度を指し、積分球を用いて測定した。得られた結果を表1に示す。
カチオン重合性化合物(A)と硬化剤(C)以外の成分を除いた樹脂組成物を別途調整し、上記の方法で試験片を作成して曲げ試験用のサンプルを作成した。その試験片を引張・圧縮試験機(エー・アンド・デイ製、商品名「テンシロン万能材料試験機RTF-1250C」)によって、三点曲げ試験(条件:試験速度2mm/分、支点間距離64mm、圧子の半径5mm、支持台の半径5mm)を行い、測定された歪み区間0.05%から0.25%の応力勾配より曲げ弾性率を算出した。得られた結果を表1に示す。
硬化収縮率を造形精度の指標とした。硬化収縮率は、硬化物と硬化性樹脂組成物の比重の差を、硬化物の比重で除した値とした。硬化収縮率による造形精度の基準を以下に示す。また、得られた結果を表1に示す。
◎:2.0%未満
○:2.0%以上2.5%未満
×:2.5%以上
動摩擦係数を摺動性の指標とした。動摩擦係数の測定は、摩耗摩擦試験機(商品名:HEIDON Type20、新東科学社製)を用いて行った。試験フィルムを回転ステージに固定し、摺動半径が5mmとなるように、直径10mmのSUS304製の球を当接させた。球に100gの垂直荷重をかけ、10cm/secの速度でステージを回転させ、試験フィルムとSUS304製の球との間にかかる力を測定した。動摩擦係数は、前記のかかる力を荷重で除することによって算出した。合計3時間の測定のうち、初期の5分間を除いた平均値を動摩擦係数とした。動摩擦係数による摺動性の基準を以下に示す。また、得られた結果を表1に示す。
◎:0.45未満
○:0.45以上0.55未満
×:0.55以上
比摩耗量を耐摩耗性の指標とした。比摩耗量は、上記の動摩擦係数測定後の樹脂の摺動跡から、下記の方法で算出した。まず、動摩擦係数測定後の摺動跡を共焦点顕微鏡(レーザーテック製、OPTELICS C130)によって摩耗断面積を求め、円周の長さで乗じた値を摩耗体積とした。次に、得られた摩耗体積を荷重と摺動距離で除した値を比摩耗量とした。比摩耗量による耐摩耗性の基準を以下に示す。また、得られた結果を表1に示す。
◎:0.02mm3/N・Km未満
○:0.02mm3/N・Km以上0.05mm3/N・Km未満
×:0.05mm3/N・Km以上
Claims (10)
- カチオン重合性化合物(A)と、無機粒子(B)と、硬化剤(C)と、を含む立体造形用の硬化性樹脂組成物であって、
前記カチオン重合性化合物(A)と前記硬化剤(C)からなる組成物の重合後の曲げ弾性率は2.0GPa以上であり、
前記カチオン重合性化合物(A)は、下記一般式(1)乃至(3)のいずれかに示される二官能脂環式エポキシ化合物であり、
L 1 乃至L 3 は、エーテル構造、エステル構造またはカーボネート構造を含む、2価の連結基を表す。)
前記無機粒子(B)が、フッ化黒鉛であり、前記無機粒子(B)の含有量は、前記カチオン重合性化合物(A)と前記無機粒子(B)の合計100質量部に対して、10質量部以上30質量部以下であることを特徴とする立体造形用の硬化性樹脂組成物。 - 前記硬化剤(C)の含有量は、前記カチオン重合性化合物(A)100質量部に対して、0.1質量部以上15質量部以下であることを特徴とする請求項1に記載の立体造形用の硬化性樹脂組成物。
- 前記カチオン重合性化合物(A)と前記硬化剤(C)からなる組成物の重合後の曲げ弾性率は3.0GPa以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の立体造形用の硬化性樹脂組成物。
- 厚さ200μmの前記硬化性樹脂組成物の、波長365nmあるいは405nmにおける、前方散乱を含めた光の透過率が0.1%以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の立体造形用の硬化性樹脂組成物。
- 前記光の透過率は1%以上であることを特徴とする請求項4に記載の立体造形用の硬化性樹脂組成物。
- 前記R1、R9、R10、R18、R19、R27、R28、R36、R37、R45、R46、R54は水素原子であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の立体造形用の硬化性樹脂組成物。
- 前記カチオン重合性化合物(A)は、前記一般式(3)で示され、かつR37乃至R54が水素原子であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の立体造形用の硬化性樹脂組成物。
- 前記L3はエステル構造を含むことを特徴とする請求項7に記載の立体造形用の硬化性樹脂組成物。
- スライスデータに基づいて硬化性樹脂組成物を層毎に光硬化させて造形物を造形する工程を有する立体造形物の製造方法であって、
前記硬化性樹脂組成物が、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物であることを特徴とする立体造形物の製造方法。 - さらに、前記造形物に熱照射をして立体造形物を得る工程を有することを特徴とする請求項9に記載の立体造形物の製造方法。
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