JP7382158B2 - 摺動部材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は摺動部材及びその製造方法の改良に関する。
ダブルネットワークゲルを摺動部材として用いる例が特許文献1に提案されている。
ここにダブルネットワークゲルは2種類以上のポリマーネットワークが相互侵入網目状構造を形成してなる固相と潤滑性の高い液相とを備える。このダブルネットワークゲルを層状にして固体物(基板層)へ強固に接着することで、摺動部材が構成される。
かかるダブルネットワークゲル(本願発明では「固液二相性材料層」と言う)は、下記のメカニズムにより低摩擦性を発現すると考えられる。
基板層に支持された固液二相性材料層が摺動相手と接触すると、もっぱら液相が流動しようとする。しかしながら、ダブルネットワーク構造の固相によりその流動性が制限されるため液相の圧力が上昇する。これにより、液相が受持つ荷重比率が高まり、結果として比較的高い摩擦係数を有する固相が受持つ荷重比率が低下する。よって、低摩擦性が発現される。
上記のメカニズムによれば、固液二相性材料層が薄くなれば固相はより変形し難くなるので、液相の圧力がより上昇する。これにより、液相が受持つ荷重比率がより高まって、固液二相性材料層の低摩擦性が促進されると考えられる。
なお、本願発明に関連する技術を開示する特許文献2~特許文献4も参照されたい。
特開2016-141072号公報 特開2011-173997号公報 特開2009-144836号公報 特開2008-074947号公報
本願発明者らは、上記固液二相性材料層のメカニズムに基づき、当該固液二相性材料層を薄くすることにつき検討をした。
固液二相性材料層を薄くすればするほどその潤滑性能の向上が期待できることは既述の通りであるが、まずは、一般的な機械部品としての摺動部材(軸受)の最上層として固液二相性材料層を適用する際に要求される厚さについて検討した。
その結果、摺動部材に適用する固液二相性材料層の厚さは100~1500μmとすることが好ましいという見解に至った。固液二相性材料層の厚さが1500μmを超えると、摩擦係数が大きくなる。また、摺動相手からの荷重により固液二相性材料層自体に亀裂が入ったり破壊されたりして、これに十分な機械的強度を確保できないおそれがある。他方、その厚さが100μm未満になると、摩耗により十分な寿命を確保できないおそれがある。
上記の厚さ範囲の固液二相性材料層を摺動部材の基板層(固体物)の上に強固に接合して、基板層―固液二相性材料層のハイブリッド構造体とするとき、下記の解決すべき課題に遭遇した。
既述の特許文献1に記載の製造方法に従えば、ダブルネットワーク構造を構成する第1ポリマーネットワークを含むシート(第1ゲルシート)を最初に形成する。第2ポリマーネットワークを形成するためのモノマー(第2モノマー)をこの第1のポリマーネットワークを含むシートへ含浸させて、当該第2モノマーを含有した含浸シート(第2ゲルシート)を得る。
他方、基板層(固体物)が第2モノマーと反応可能な置換基を有するようにこれを表面処理しておく。
そして、このようにして得られた基板層の表面に含浸シートを接触させた状態で、第2ポリマーを反応させて第2ポリマーネットワークを形成して、ダブルネットワーク構造を完成するとともに、第2ポリマーを基板層の置換基とも反応させることで、ダブルネットワーク構造を基板層へ接合する。
上記において、第1ゲルシート及び含浸シート(第2ゲルシート)の形成に多くの時間を要していた。
各シートを薄くすれば、その形成に時間を要しないが、薄くすると第1ゲルシートにおいては割れやすくなり、含浸シートでは基板層の表面へ張り合わせることが困難になる。
本発明者らは、かかるシートの変形の原因は、(1)シート自体の物性、(2)モノマーを反応させる環境にあると考えた。
シート自体の物性として、そもそも狙いとする固液二相性材料層の厚さを得るのに必要なシート自体の厚さを特定する必要がある。この発明の第1の局面はかかる課題に対応するものであり、次のように規定される。
基板層と、
該基板層の上に形成され、第1ポリマーネットワーク及び第2ポリマーネットワークを含むダブルネットワーク構造の固相と潤滑性を備えた液相とを含み、厚さが100~1500μmの固液二相性材料層と、
を備えてなる、摺動部材の製造方法であって、
前記基板層の表面へ置換基を導入するステップと、
第1のモノマーを架橋反応させて前記第1ポリマーネットワークを含むシートを50~750μmの厚さに形成するステップと、
前記第1ポリマーネットワークを含むシートに第2モノマーを含浸させて含浸シートを準備するステップと、
該含浸シートを前記基板層の表面へ接触させるステップと、
前記含浸シートに含浸された前記第2モノマーを反応させて前記第2ポリマーネットワークを形成するとともに、該第2ポリマーネットワーク及び/又は前記第1ポリマーネットワークを、前記置換基を介して、前記基板層に結合させるステップと、を含む、摺動部材の製造方法。
このように規定される第1の局面の摺動部材の製造方法によれば、摺動部材用として好適な厚さの固液二相性材料層が得られるように、製造時のシートの厚さが調整される。
第1ポリマーネットワークを含むシートは、第1ポリマーネットワーク、その原料となる未反応の第1モノマー及び分散媒を含むゲル状のシートである(このゲル状シートを第1ゲルシートという)。この第1ポリマーネットワークを含むシート(第1ゲルシート)の厚さを50~750μmとすることで、固液二相性材料層の厚さを100~1500μmにすることができる。
換言すれば、第1ゲルシートの厚さが50μm未満であると、得られる固液二相性材料層の厚さが100μm未満となり、他方、第1ゲルシートの厚さが750μmを超えると、得られる固液二相性材料層の厚さが1500μmを超えることとなり、それぞれ好ましくない。
更には、第1ゲルシートの厚さが50μm未満になるとこれが割れやすくなり、他方、その厚さが750μmを超えるとその成形に時間がかかりすぎる。
このように第1ゲルシートを薄くすると、これの柔軟性(=変形容易性)が低下し、割れが発生しやすくなる。また、第2モノマーを含む第2ポリマーネットワーク材料液に第1ゲルシートを浸漬して含浸シートとする際、その嵩が増える。この点からも、含浸シートの骨となる第1ポリマーネットワークに柔軟性がないと割れが発生するおそれがある。そこで、この発明の第2の局面を次の様に規定した。即ち、
第1の局面に規定の摺動部材の製造方法において、前記第1ポリマーネットワークを形成する際、架橋剤を添加せずに形成される前記第1ポリマーネットワークにおける前記第1モノマーの転化率は、50~90%とするのが好ましい。即ち、前記第1ポリマーネットワークの形成条件を、架橋剤を添加せずに形成される前記第1ポリマーネットワークにおける前記第1モノマーのポリマーへの転化率を50~90%とすることである。
このように規定される第2の局面の製造方法によれば、第1ポリマーネットワークにおける第1モノマーの上記転化率が50~90%の状態、いわゆる半架橋の状態にとどめられているので、第1ポリマーネットワーク自体に柔軟性が備えられる。第2モノマーの架橋による第2ポリマーネットワークの形成にともなう応力が第1ポリマーネットワークにかかっても、その応力が第1ポリマーネットワーク自体の柔軟性により吸収されて、割れの発生を防止できる。
上記転化率が50%未満の場合、第1ポリマーネットワークを含むシート、即ち第1ゲルシートが柔らかすぎて保形性に劣り、割れやすくなる。他方、上記転化率が90%を超えると、第1ポリマーネットワークを含むシートが硬くなりすぎて柔軟性に劣るので、特にその厚さを50~750μmのように薄くしたときには、反りの発生するおそれがある。
なお、第2モノマーを反応させる時に第1モノマーの反応も進行し、最終的には両モノマーの架橋率はほぼ100%となる。
ここで転化率とは、原料のモノマー(例えば第1モノマー)が目的生成物(第1ポリマーネットワーク)に変化する割合を指す。
この転化率はNMRの測定結果を解析して得られる。また、この発明において、NMRの測定は、架橋剤を添加せずに、原料モノマーを分散したゲル溶液に対して行った。
以上、第1ゲルシートの特性、即ちその厚さと転化率に着目して、その割れや反りの発生を抑制しようとした。同様に、含浸シートに含まれる第2モノマーを反応させるときの、当該含浸シートの環境を調整することでもその割れや反りの発生を抑制できる。即ち、この発明の第3の局面は次の様に規定される。
第1若しくは第2の局面に規定の摺動部材の製造方法において、前記第2ポリマーネットワークを形成する間、前記第2モノマーの分散媒が消失しないように前記含浸シートの環境を維持する。
このように規定される第3の局面の製造方法によれば、第2ポリマーネットワークを形成する間、この時間は十数時間を要するものであるが、第2モノマーの分散媒が含浸シートに維持されるので、第2モノマーの反応が予定通りに進行し、狙いの厚さの固液二相性材料層を得られる。
他方、第2モノマーの分散媒が消失すると、第2モノマーの反応が阻害されてダブルネットワークの体積が変化するとともに、第2モノマーと基板層の置換基との反応も不十分になって、基板層とダブルネットワーク構造との連結力が低下するおそれがある。
なお、第2モノマーの分散媒が消失しないようにするには、第2モノマーの反応時に含浸シートの温度を分散媒の気化温度より十分に低い温度に維持する。それとともに、分散媒の気化を防止するため、環境雰囲気ガスの動きを制限したり、環境雰囲気の気圧を制御したりすることができる。
含浸シートの環境の観点からいえば、第2モノマーの反応を完成させる時間の短縮も考慮されなければならない。
この反応時間が長くなれば第2モノマーの分散媒が消失するリスクが高まることはもとより、そもそも、工業製品としてみれば、製造に時間がかかることが好ましくない。
そこで、この発明の第4の局面を次のように規定する。即ち、
第1~第3のいずれかに規定の製造方法において、前記基板層の表面の紫外線反射率を向上させるステップが更に含まれる。
第2ポリマーネットワークの形成は紫外線を前記含浸シートへ照射することにより、第2モノマーの架橋反応によりなされる。
含浸シートへ紫外線を照射することにより、第2ポリマーネットワークを構成する第2モノマーの活性基が基板層の置換基と結合する。第1ポリマーネットワークにも活性基が存在したときには、この第1ポリマーネットワークも基板層の置換基と結合可能である。
第2モノマーが紫外線のアシストで反応するものとしたとき、当該第2モノマーが含まれる含浸シートへは適量の紫外線が照射されることとなるが、外部から照射する紫外線の量が多くなると含浸シートの温度の上昇、ひいては分散媒の気化を引き起こしかねない。含浸シートの温度上昇は含浸シートの材料自体による紫外線の吸収のほか、紫外線を吸収して昇温した基板層からの熱拡散が原因する。
そこで、この第4の局面のように、基板層の表面の紫外線反射率を向上させておくと、基板層の昇温が避けられるとともに、含浸シート自体へ投入される紫外線量が多くなって、第2モノマーの反応が促進される。換言すれば、外部から照射する紫外線が効率よく第2モノマーの反応に利用されることとなる。
基板層の表面の紫外線反射率を向上させるには、研磨、切削、Alスパッタ、Al蒸着、紫外線反射塗料コーティング等の処理を行う。
なお、基板層に対する紫外線反射率を向上させる表面処理が基板層表面の置換基と第2モノマーとの反応に影響を及ぼすおそれがある。
そこで、基板層の表面には凹凸を形成することが好ましい(第5の局面)。凹凸を形成することで、基板層と固液二相性材料層との接触面積が増大し、両者の間の強固な接続を確保できる。
なお、凹凸の形成は、基板層へ置換基を付与する前に行い、基板層の表面の紫外線反射率を向上させるための処理を行う前であっても後であってもよい。
かかる凹凸の形成は、ショットブラスト、エッチング、レーザ加工、研磨等で行うことができる。
この発明の第6の局面は、上記で説明した製造方法を実行することにより得られる摺動部材を規定する。即ち、
基板層と
該基板層の上に形成される固液二相性材料層と、を備えてなり、
前記固液二相性材料層はダブルネットワーク構造の固相と潤滑性を備えた液相とを含み、
前記固液二相材料層の厚さは100~1500μmである、摺動部材。
以下、この発明を更に詳細に説明する。
なお、基板層-固液二相性材料層の基本的な組成は、特許文献1と同様のところがあるので、その記載を引用して説明することがある。
<<基板層>>
基板層は、摺動部材の基材であり一般的に金属材料から構成される。
摺動部材の一例の軸受では、基板層は、鋼材からなる裏金層へ銅基の軸受合金層を積層した構成である。軸受合金層の上にAg,Ni等からなる中間層を形成することもある。
上記軸受合金層や中間層の表面に置換基が導入される。
基板層を構成する金属材料は特に限定されないが、第1及び/又は第2ポリマーネットワークに含まれるラジカル活性種と反応可能な置換基を備えることができるものであればよい。より好ましくは、当該置換基は第2モノマーのラジカル活性種と反応可能なものとする。
かかる置換基としては、ケイ素-酸素結合を介して、基板層の金属元素と化学結合することにより導入されたものであることが好ましい。
基板層の表面に、ラジカル活性種と反応可能な置換基を導入するための化合物としては、特には限定されないが、たとえば、基板層の表面に、ラジカル活性種と反応可能な置換基およびアルコキシシリル基を含有する化合物を反応させる方法が好適である。
ラジカル活性種と反応可能な置換基およびアルコキシシリル基を含有する化合物としては、特に限定されないが、N,N-ビス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)メタクリルアミド、N,N-ビス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)アクリルアミド、N,N-ビス((メチルジメトキシシリル)プロピル)メタクリルアミドなどの不飽和結合を有するアルコキシシリル基含有アミド化合物;メタクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル、メタクリル酸3-(トリエトキシシリル)プロピル、メタクリル酸3-[トリ(メトキシエトキシ)シリル]プロピル、メタクリル酸3-(メチルジメトキシシリル)プロピル、メタクリル酸3-(メチルジエトキシシリル)プロピルなどのアルコキシシリル基含有アクリレート化合物、などが挙げられる。
基板層の表面に、ラジカル活性種と反応可能な置換基およびアルコキシシリル基を含有する化合物を反応させる方法は特には限定されないが、基板層に対して、表面を親水化するための処理を施し、親水化処理を施した基板層を、ラジカル活性種と反応可能な置換基およびアルコキシシリル基を含有する化合物を含有する溶液に浸漬させることにより、これらを反応させる方法などが挙げられる。親水化処理の方法としては、特には限定されないが、プラズマ処理による方法などが挙げられる。
この際の反応温度は、特には限定されないが、好ましくは20~50℃であり、反応時間は6~48時間である。
<<固液二相性材料層>>
固液二相性材料層はダブルネットワーク構造の固相と潤滑性を備えた液相とを含む。
<ダブルネットワーク構造>
ここにダブルネットワーク構造とは2種類以上のポリマーネットワークによって形成される相互侵入網目構造を指し、更に、「相互侵入網目構造」とは、2以上の架橋網目構造を有するポリマーが互いの網目構造に侵入することで、物理的に絡まり合っており、結果として内部に複数の網目構造が形成されている構造あるいは状態をいう。なお、ダブルネットワーク構造は、2種類のポリマーネットワークによって形成されたものはもちろんのこと、3種類のポリマーネットワークによって形成されたもの、あるいは、それ以上の種類のポリマーネットワークによって形成されたもののいずれであってもよい。また、ダブルネットワーク構造は、さらに直鎖状のポリマーを含有することで、半相互侵入網目構造を形成するものであってもよい。
ダブルネットワークを形成する2種以上のポリマーネットワークは、特に限定されないが、たとえば、分散媒として、極性化合物を含有する場合には、ダブルネットワークゲルの強度を適切に高めることができるという観点より、正または負に荷電し得る基を有する不飽和モノマーから形成されるポリマーネットワーク(A)と、電気的に中性な(正または負に荷電し得る基を有さない)不飽和モノマーから形成されるポリマーネットワーク(B)との組み合わせであることが好ましい。
正または負に荷電し得る基を有する不飽和モノマーから形成されるポリマーネットワーク(A)(以下、適宜、「ポリマーネットワーク(A)」とする。)を形成するための、正または負に荷電し得る基を有する不飽和モノマーとしては、特に限定されないが、酸性基(たとえば、カルボキシル基、リン酸基及びスルホン酸基)や塩基性基(たとえば、アミノ基)を有する不飽和モノマーなどが挙げられる。
正または負に荷電し得る基を有する不飽和モノマーの具体例としては、
(メタ)アクリル酸(アリクル酸および/またはメタクリル酸を意味する。以下同様。)、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸等のカルボキシル基含有ビニル系モノマーや、これらの塩;
スルホプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2-ジメチルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、p-スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸などのスルホン酸基含有ビニル系モノマーや、これらの塩;
2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有ビニル系モノマーや、これらの塩;
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有ビニル系モノマーやこれらの塩(メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等);などが挙げられる。
これらのモノマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
電気的に中性な(正または負に荷電し得る基を有さない)不飽和モノマーから形成されるポリマーネットワーク(B)(以下、適宜、「ポリマーネットワーク(B)」とする。)を形成するための、電気的に中性な不飽和モノマーとしては、
ジメチルシロキサン、スチレン、アクリルアミド誘導体(アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、メチレンビスアクリルアミド等)、メタクリルアミド誘導体(メタクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、メタクリロイルモルホリン等)、アクリレート(ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレートアルキルアクリレート(メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートラウリルアクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、トリメチールプロパントリメタクリレート等)、アクリロニトリル、N-ビニルピロリドン、、ビニルピリジン、スチレン、メタクリル酸メチル、フッ素含有不飽和モノマー(たとえば、トリフルオロエチルアクリレート(TFE))、ヒドロキシエチルアクリレート、酢酸ビニル、トリエチレングリコールジメタクリレートなどが挙げられる。これらのモノマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
一方、ダブルネットワークゲルに含有させる分散媒として、イオン液体を用いる場合には、ダブルネットワークゲルの強度を適切に高めることができるという観点より、ダブルネットワークゲルを、架橋点間分子量が比較的大きなポリマーネットワークと、架橋点間分子量が比較的小さなポリマーネットワークとの組み合わせであることが好ましく、特に、イオン液体との親和性を良好なものとするという観点より、下記一般式(1)で表される化合物から形成されるポリマーネットワーク(C)と、下記一般式(1)で表される化合物以外の化合物から形成されるポリマーネットワーク(D)との組み合わせであることが好ましい。
この場合において、下記一般式(1)で表される化合物から形成されるポリマーネットワーク(C)(以下、適宜、「ポリマーネットワーク(C)」とする。)、および、下記一般式(1)で表される化合物以外の化合物から形成されるポリマーネットワーク(D)(以下、適宜、「ポリマーネットワーク(D)」とする。)のうち、いずれを架橋点間分子量が比較的大きなポリマーネットワークとしても、架橋点間分子量が比較的小さなポリマーネットワークとしてもよく、特に限定されない。
Figure 0007382158000001
(上記一般式(1)中、mは、1以上10以下の整数を示す。nは、1以上5以下の整数を示す。Rは、水素原子、または炭素数1~3のアルキル基を示す。R、R、Rは、炭素数1~5のアルキル基を示す。R、R、Rは、酸素原子、硫黄原子、フッ素原子から選ばれる1種以上のヘテロ原子を含んでいてもよく、R、R、Rのいずれか2個の基が環状構造を形成していてもよい。また、Yは一価のアニオンを示す。)
炭素数1~5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、2-プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。また、R、RおよびRのいずれか2個の基が環状構造を形成している化合物としては、アジリジン環、アゼチジン環、ピロリジン環、ピペリジン環等を有する4級アンモニウム塩等が挙げられる。
一価のアニオンYとしては、特に限定されるものではなく、BF 、PF 、AsF 、SbF 、AlCl 、NbF 、HSO 、ClO 、CHSO 、CFSO 、CFCO 、(CFSO、Cl、Br、I等のアニオンを用いることができるが、ダブルネットワーク構造の安定性等を考慮すると、BF 、PF 、(CFSO、CFSO 、またはCFCO であることが好適であり、CFSO であることがより好適である。
上記一般式(1)で表される化合物のなかでも、下記一般式(2)~(9)で表される化合物が特に好適である。
Figure 0007382158000002
(上記一般式(2)~(9)中、m、R、R、Yは、上記一般式(1)と同様である。)
上記一般式(1)で表される化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
ポリマーネットワーク(D)を形成するためのモノマーとしては、特に限定されないが、たとえば、上述したポリマーネットワーク(B)の形成に用いられる電気的に中性な不飽和モノマーなどが挙げられる。
<潤滑性を備えた液相>
潤滑性を備えた液相として、特許文献1に示されるイオン液体を用いることができる。即ち、イオン液体としては、特に限定されないが、低摩擦摺動性や機械強度、耐環境性をより高めることができるという観点より、下記一般式(10)で示され、融点が25℃以下であるイオン液体を好適に用いることができる。
Figure 0007382158000003
(上記一般式(10)中、R~Rは互いに同一もしくは異種の炭素数1~5のアルキル基、またはR-O-(CH)n-で表されるアルコキシアルキル基(Rはメチル基またはエチル基を示し、nは1~4の整数である。)を示し、これらR、R、RおよびRは、2つ以上が連結して環状構造を形成していてもよい。ただし、R~Rの内少なくとも1つは上記アルコキシアルキル基である。Xは窒素原子またはリン原子を示し、Yは一価のアニオンを示す。〕
炭素数1~5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、2-プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。R-O-(CH-で表されるアルコキシアルキル基としては、メトキシまたはエトキシメチル基、メトキシまたはエトキシエチル基、メトキシまたはエトキシプロピル基、メトキシまたはエトキシブチル基等が挙げられる。
、R、RおよびRのいずれか2個の基が環状構造を形成している化合物としては、Xに窒素原子を採用した場合には、アジリジン環、アゼチジン環、ピロリジン環、ピペリジン環等を有する4級アンモニウム塩、一方、Xにリン原子を採用した場合には、ペンタメチレンホスフィン(ホスホリナン)環等を有する4級ホスホニウム塩等が挙げられる。
特に、置換基として、上記Rがメチル基であり、nが2のメトキシエチル基を少なくとも1つ有する4級アンモニウム塩が好適である。
また、置換基として、メチル基、2つのエチル基、およびアルコキシエチル基を有する下記一般式(11)で示される4級塩を好適に用いることができ、なかでも、下記式(12)~(20)で表される化合物を特に好適に用いることができる。
Figure 0007382158000004
(上記一般式(11)中、Rはメチル基またはエチル基を示し、Xは窒素原子またはリン原子を示し、Yは一価のアニオンを示す。)
Figure 0007382158000005
液相としてイオン液体を用いる場合には、イオン液体に加えて、イオン液体と相溶性を有する別の分散媒、たとえば、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、水、テトラヒドロフランなどを併用してもよい。
イオン液体のほかに、潤滑性を備えた液相として次のものを挙げることができる。
例えば、水、エタノール、プロパノール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、プロピレンカーボネートなどの極性化合物である。
摺動部材と摺動相手と間に注入される潤滑剤と同一もしくは同種のものを液相の材料として選択することが好ましいことはいうまでもない。例えば、潤滑剤にオイルが使用されるときには、当該オイル自体もしくはそのベースオイルを採用する。冷媒潤滑であれば、冷媒自体もしくは希釈に用いる水を採用する。
第2モノマーを反応させて第2ポリマーネットワークを形成し、もってダブルネットワーク構造を構築した際、当該ダブルネットワーク構造には製造時に用いた分散媒などが液相として残留した状態である。したがって、かかる液相を、上記潤滑性を備えた液相で置換する。
かかる液相の量(固液二相性材料層の全質量に対する液相の質量比)は50~95wt%、更に好ましくは60~95wt%である。当該液相の量が50wt%を下回ると低摩擦性の確保が困難になる。他方、95wt%を上回ると強度の維持が難しくなるので、それぞれ好ましくない。
上記において、固液二相性材料層中に硬質の粒子や固体潤滑剤粒子を内包させることができる。
さらには、既述の固液二相性材料層(第1固液二相性材料層)と基板層との間に第2固液二相性材料層を介在させることができる。この第2固液二相性材料層では第1固液二相性材料層よりも液相の量を少なくする。例えば、液相の量を5~50wt%として、更に好ましくは、5~40wt%である。このように相対的に固相比率を高くすることにより、基板層と固相の接合面積が増大し、接合性が向上する。
さらには、第3固液二相性材料層を介在させることもできる。
以下、この発明の実施例について説明する。
<<基板層>>
表面を切削、研磨した厚さ1.5mmのAl-Zn合金/鋼の二層構造の平板を基板層として準備し、超音波洗浄による脱脂をした。粗面化を行うときはこの時点でショットブラスト処理を行う。紫外線反射率を調整する場合は粗面化条件により調整する。最後に超音波洗浄を実行してメディア除去を行う。次に、メタクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル1.0gと28%アンモニア水5.0gをエタノール50mLに溶解させることで処理用溶液を得た。そして、脱脂後の基板層に対し、コロナ処理を施すことで、表面を親水化させ、これを上記で得られた処理用溶液に浸漬し、室温にて12時間静置することでメタクリレート基固定化軸受基材(表面上にラジカル活性種と反応可能な置換基を有するもの)を得た。
<<固液二相性材料層>>
<第1ポリマーネットワークを含むシート(第1ゲルシート)の作成>
第1モノマーとしてのN,N-ジエチル-N-(2-メタクリロイルエチル)-N-メチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(DEMM-TFSI)5.0g、並びに架橋剤としてのトリエチレングリコールジメタクリレート5mg、開始剤としてのIRGACURE 369(BASF社製)5mgを分散媒としてのN,N-ジエチル-N-(2-メトキシエチル)-N-メチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1.5gとアセトニトリル5.0gに溶解した。この溶液(第1ポリマーネットワーク材料液)をアルゴンガスで5分間のバブリング後、所定厚さのシリコンゴムのスペーサを介した2枚のガラス板の間に注入し、所定時間の紫外線照射を行うことでガラス板の間の溶液をゲル化した。これにより、第1ポリマーネットワークを含むシート(第1ゲルシート)が形成される。
得られた第1ゲルシートの厚さとその成形性との関係を表1に示す。
Figure 0007382158000006
表1より、第1ゲルシートの厚さは50~750μmとすることが好ましいことがわかる。ここにおいて、第1ゲルシートの厚さはスペーサの厚さとした。
このようにして得られた第1ポリマーネットワークを含むシートにおける転化率は架橋剤の影響で直接測定することができなかった。
そこで、上記において架橋剤を添加せず、同条件でゲルシートを作製した。得られたゲルシートの転化率は、JEOL製NMR装置を用いて下記のようにして測定した。
(使用条件):前記第1ポリマーネットワークの形成条件で、架橋剤を添加せず第1モノマーを分散させた第1ポリマーネットワーク材料液2.0gに紫外線を照射後、前記液0.01gを重アセトニトリル1.0gに溶解し、25℃で1H-NMR(400MHz)測定した。なお、第1ポリマーネットワーク材料液の量は、第1ゲルシートの厚さ500μm当り2.0gに設定した。
ここにおいて、紫外線の照射は試料をターンテーブルにおいてUV炉(アイテックシステム製卓上バッチ式UV硬化装置(MUVBA-0.3×0.3×0.5))内にて行った。かかるUV炉の出力は13.3%に設定した。UV源から試料までの距離は10cmとした。この出力設定における最大照射強度の計算値は37mW/cmとした。このとき、アイテックシステム製紫外線積算光量計(UVM-100)をターンテーブルに置き、UV源から受光部までの距離を10cmにし、20秒間測定を行った。
NMRによる転化率の測定は、上記第1ポリマーネットワーク材料液から架橋剤を除去したもの(参照用第1材料液)を準備して、この参照用第1材料液へ上記と同じ条件で紫外線を照射することによって行った。第1モノマーの重合時の反応部分(重合によって変化する部分)に由来するピークの積分比(以下Aとする)と第1モノマーの重合時の未反応部分(重合によって変化しない部分)に由来するピークの積分比(以下Bとする)を用いて転化率をA/(A+B) ×100の計算式から算出した。
結果を表2に示す。
Figure 0007382158000007
表2において
◎:全面に反りや割れがなく、基材層へ重ねあわせることができる。
○:端部に反りや割れがあるが、基材層へ重ねあわせることができる。
上記の表2より、モノマー転化率は50%から90%とすることが好ましいことがわかる。
<含浸シート(第2ゲルシート)の作製>
第2のモノマーとしてのメタクリル酸メチル2.0g、架橋剤としてのトリエチレングリコールジメタクリレート100mg、及び開始剤としてのベンゾフェノン10mgを分散媒としてのプロピレンカーボネート8gに溶解した。この溶液(第2ポリマーネットワーク材料液)をアルゴンガスで5分間のバブリング後、前記で得られた実施例及び比較例の第1ポリマーネットワークを含むシート(第1ゲルシート)を1日浸漬した。
<ハイブリッド化>。
上記で得られた実施例の含浸シートを基板層の処理面へ、その全面が接触するように、重ねた。更に含浸シートの上に未処理のガラス板を重ねた。
ガラス板の重量により実施例の基板層へ含浸シートを圧接する状態で紫外線照射した。
紫外線の照射条件は、照射時間を除き、第1ポリマーネットワークを形成する条件と同じとした。
これにより、含浸シート内において、半架橋状態のDEMM-TFSIの重合とメタクリル酸メチルの重合が進行し、ダブルネットワークゲルが形成される。そしてこれと同時に、基板層の表面の置換基(メタクリレート基)と含浸シート内のメタクリル酸メチルが共重合することにより、ダブルネットワークの固相と基板層とが化学結合により強固に接合されて、ハイブリッド構造体が作製された。
<液相の置換>
基板層―固液二相性材料層のハイブリッド構造体を、摺動試験に使用する潤滑油SAE#10へ12時間浸漬し、固液二相性材料層に含まれる液相を当該潤滑油に置換して、摺動部材とした。
実施例及び比較例の摺動部材の試験結果を表3に示す。表3中の比較例3の摺動部材は、比較例1の含浸シートから作製した。実施例10から実施例13の摺動部材は実施例6の含浸シートから作製し、実施例14、15の摺動部材は実施例8の含浸シートから作製した。
Figure 0007382158000008
表3の結果から、固液二相性材料層の厚さは1500μm以下とすることが好ましいことがわかる。その厚さが1500μmを超えると、摩擦係数が高くなる。他方、その厚さが100μm未満になるものの製造は大変困難であった。

、第3比較例に比べて第10実施例の摺動部材は固液二相性材料層が薄くなっていることにより、その摩擦係数が極めて小さくなっていることがわかる。
第11実施例は、第10実施例に加えて、第2ポリマーネットワーク形成時に分散媒の揮発温度を充分に下回るように温度管理をした。その結果形成時の体積変化が抑制され、固液二相潤滑層と基板層の密着性が向上しており、結果として剥離が生じ難くなっている。
第12実施例は、第11実施例に加えて、基板層が光沢を有するように研磨をした。その結果、極めて小さい摩擦係数および密着性を維持しつつ、重合完了時間の短縮化が実現できた。これは、基板層が光沢を有することにより、基板層から反射する紫外線エネルギーを重合に活用できているためと考えられる。
第13実施例は、第12実施例に加えて、基板層表面に粗面化を行っている、その結果、極めて小さい摩擦係数および重合完了時間の短縮化に加えて、密着性が更に向上している。これは粗面化により固液二相性材料層と基板層との密着面積が増大しているためと考えられる。
上記の同様の傾向があることが、実施例14と実施例15との比較からもわかる。
上記各実施例及び比較例の固液二相性材料層の厚さは、含浸シートの厚さによるものであるが、この含浸シートの厚さは第1ゲルシート(第1ポリマーネットワークを含んだシート)の厚さを制御することにより調整される。この第1ゲルシートの厚さは、第1ゲルシートを形成するときのガラス板の間隔を規定するシリコンゴム製のスペーサの厚さで規定される。
上記において剥離発生サイクル数の試験条件は次の様であった。
試験形態:リングオンディスク試験
試験条件:周速1000rpm、面圧1.5MPa、 起動停止モード(2.0 秒間運転、7.5 秒間停止を900 サイクル)
試験環境:相手材S55C(焼入)、 潤滑SAE#10 オイルバス、 潤滑油温 60℃
摩擦係数は起動時の摩擦係数の平均値から計測した。
また、光沢の有無の判断は、含浸シートを貼り合わせる前の基板層表面を目視による観察で行った。
含浸シートの反応時間は、第2モノマーの反応終了(重合完了)を指す。この実施例では、曲率半径200μmのスクラッチ試験用圧子を用いて押し込み試験を行い、割れ発生荷重が5N以上となる時間をもって第2モノマーの反応が終了したと判断した。
この発明は、上記発明の実施形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。本発明の摺動部材を用いた内燃機関等の軸受機構使用装置は、優れた摺動特性を発揮する。

Claims (10)

  1. 基板層と、
    該基板層の上に形成され、第1ポリマーネットワーク及び第2ポリマーネットワークを含むダブルネットワーク構造の固相と潤滑性を備えた液相とを含み、厚さが100~1500μmの固液二相性材料層と、
    を備えてなる、摺動部材の製造方法であって、
    前記基板層の表面へ置換基を導入するステップと、
    第1のモノマーを反応させて前記第1ポリマーネットワークを含むシートを50~750μmの厚さに形成するステップと、
    前記第1ポリマーネットワークを含むシートに第2モノマーを含浸させて含浸シートを準備するステップと、
    該含浸シートを前記基板層の表面へ接触させるステップと、
    前記含浸シートに含浸された前記第2モノマーを反応させて前記第2ポリマーネットワークを形成するとともに、該第2ポリマーネットワーク及び/又は前記第1ポリマーネットワークを、前記置換基を介して、前記基板層に結合させるステップと、を含む、摺動部材の製造方法において、
    前記第1のモノマーはN,N-ジエチル-N-(2-メタクリロイルエチル)-N-メチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(DEMM-TFSI)であり、
    前記第2のモノマーはメタクリル酸メチルである、摺動部材の製造方法。
  2. 前記第1ポリマーネットワークを形成する際、架橋剤を添加せずに形成される前記第1ポリマーネットワークにおける前記第1モノマーの転化率が50~90%である、請求項1に記載の摺動部材の製造方法。
  3. 前記第2ポリマーネットワークを形成する間、前記第2モノマーの分散媒が消失しないように前記含浸シートの環境を維持する、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記基板層の表面の紫外線反射率を向上させるステップが更に含まれ、
    前記第2モノマーの反応は紫外線を前記含浸シートへ照射することによりなされる、請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記基板層の表面に凹凸を形成するステップが更に含まれる、請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 基板層と
    該基板層の上に形成される固液二相性材料層と、を備えてなり、
    前記固液二相性材料層はダブルネットワーク構造の固相と潤滑性を備えた液相とを含み、
    前記固液二相材料層の厚さは100~1500μmである、摺動部材であって、
    前記ダブルネットワーク構造の固相は第1のモノマーを反応させてなる第1ポリマーネットワークと該第1ポリマーネットワーク内にて第2のモノマーを反応させてなる第2ポリマーネットワークとを備え、
    前記第1のモノマーはN,N-ジエチル-N-(2-メタクリロイルエチル)-N-メチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(DEMM-TFSI)であり、
    前記第2のモノマーはメタクリル酸メチルである、摺動部材。
  7. 基板層と、
    該基板層の上に形成され、第1ポリマーネットワーク及び第2ポリマーネットワークを含むダブルネットワーク構造の固相と潤滑性を備えた液相とを含み、厚さが100~1500μmの固液二相性材料層と、
    を備えてなる、摺動部材の製造方法であって、
    前記基板層の表面へ置換基を導入するステップと、
    第1紫外線照射により、第1のモノマーを反応させて前記第1ポリマーネットワークを含むシートを50~750μmの厚さに形成するシート形成ステップと、
    前記第1ポリマーネットワークを含むシートに第2モノマーを含浸させて含浸シートを準備するステップと、
    該含浸シートを前記基板層の表面へ接触させる接触ステップと、
    第2紫外線照射により、前記含浸シートに含浸された前記第2モノマーを反応させて前記第2ポリマーネットワークを形成するとともに、該第2ポリマーネットワーク及び/又は前記第1ポリマーネットワークを、前記置換基を介して、前記基板層に結合させるステップと、を含む、摺動部材の製造方法において、
    前記第1紫外線照射と架橋剤を添加しない前記第1のモノマーの転化率との関係を予め測定する測定ステップを更に含み、該測定ステップで得られた関係に基づいて、前記シート形成ステップにおける前記第1紫外線照射の条件が定められる、摺動部材の製造方法。
  8. 前記基板層の表面の紫外線反射率を向上させるステップが前記接触ステップの前に実行され、該紫外線反射率の向上は研磨、切削、Alスパッタ、Al蒸着、又は紫外線反射塗料コーティングの処理によりなされる、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記基板表面に凹凸を形成するステップが更に含まれる、請求項8に記載の製造方法。
  10. 前記第1のモノマーはN,N-ジエチル-N-(2-メタクリロイルエチル)-N-メチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(DEMM-TFSI)であり、
    前記第2のモノマーはメタクリル酸メチルであり、
    前記シート形成ステップにおいて、前記第1のモノマーの転化率が50~90%となるように前記第1紫外線照射の条件が制御され、前記第1ポリマーネットワークを含むシートの厚さが50~750μmである、請求項7に記載の製造方法。
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