JP2011100930A - 回路基板用保護絶縁材 - Google Patents
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Abstract
【課題】回路基板の電気的信頼性を向上することができ、かつ、平滑性に優れた絶縁保護皮膜を形成可能な保護絶縁材を提供する。
【解決手段】本発明の回路基板用保護絶縁材は、ビニル基を有する芳香族化合物および二重結合を有する脂肪族炭化水素を構成単位として含むゴム状弾性体樹脂と、フッ素含有メタクリレート樹脂およびフッ素含有アクリレート樹脂から選ばれるフッ素含有樹脂と、粘着性付与樹脂と、溶剤とを含む。本発明は、ゴム状弾性体樹脂100質量部に対して、フッ素含有樹脂を5質量部以下、粘着性付与樹脂を10質量部以上含むところに特徴を有する。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の回路基板用保護絶縁材は、ビニル基を有する芳香族化合物および二重結合を有する脂肪族炭化水素を構成単位として含むゴム状弾性体樹脂と、フッ素含有メタクリレート樹脂およびフッ素含有アクリレート樹脂から選ばれるフッ素含有樹脂と、粘着性付与樹脂と、溶剤とを含む。本発明は、ゴム状弾性体樹脂100質量部に対して、フッ素含有樹脂を5質量部以下、粘着性付与樹脂を10質量部以上含むところに特徴を有する。
【選択図】なし
Description
本発明は、電子部品を搭載した回路基板を水分(水、湿度)、虫、塵埃などから保護するために使用される回路基板用保護絶縁材に関する。
LSI、IC、コンデンサーなどの電子部品を搭載した回路基板においては、温度の急激な変化に起因する水分の結露や、虫の付着、および塵埃などから保護し電気的信頼性の向上を図ることが求められている。特に、自動車に搭載される機器、エアコン室外機や給油器などの屋外に設置される機器、および洗濯機などは直接水と接触したり高湿度条件に曝されるため、このような環境下で使用される機器の回路基板は、防水機能を有することが必須である。さらに、近年では、携帯電話に用いられる回路基板においても、防水機能を有することが必須である。
回路基板に防水機能を付与するとともに虫の付着や塵埃などから保護する手段としては、当該回路基板の全面または一部分を絶縁防湿皮膜(「皮膜」ともいう)によりシールする方法がとられている。当該絶縁防湿皮膜としては、従来から、アクリル樹脂やウレタン樹脂などの樹脂を有機溶剤に溶解してなる絶縁防湿材を回路基板に塗布後、常温で溶剤を揮発させることにより形成されるものが知られている。
しかしながら、アクリル樹脂やウレタン樹脂を含む絶縁防湿材を用いた場合、回路基板への塗工時に気泡をかみ込みやすいため作業性が悪く、形成された皮膜の平滑性(レベリング性)が悪いという問題があった。また、アクリル樹脂やウレタン樹脂を含む絶縁防湿材は、樹脂自体あるいは樹脂を溶解する溶剤が本質的に吸水性であるため、形成された皮膜が空気中の湿気(水分)により劣化して、防湿性や絶縁性が低下するという問題があった。
この問題を解決するものとして、特許文献1には、フッ素樹脂を有機溶剤に溶解してなる絶縁保護材が提案されている。しかし、特許文献1に記載の絶縁防湿材を用いて形成した絶縁防湿皮膜は脆く、熱による膨張収縮や衝撃によりクラックが入りやすいという欠点があった。
上記以外のタイプの絶縁防湿材としては、溶剤を使用しない紫外線硬化型の絶縁防湿材が提案されている(特許文献2を参照)が、当該絶縁防湿材を用いて絶縁防湿皮膜を形成すると、搭載部品の陰になって紫外線が十分に当たらない部分では、紫外線硬化が十分に行われず、これが電気的不良の原因になっていた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、回路基板を水分、虫、塵埃などから保護して電気的信頼性を向上することができるとともに、平滑性に優れた絶縁保護皮膜を形成可能な回路基板用保護絶縁材を提供することを目的とする。
上記課題を解決するものとして、本発明は、ビニル基を有する芳香族化合物および二重結合を有する脂肪族炭化水素を構成単位として含むゴム状弾性体樹脂と、フッ素含有メタクリレート樹脂およびフッ素含有アクリレート樹脂から選ばれるフッ素含有樹脂と、粘着性付与樹脂と、溶剤とを含み、前記ゴム状弾性体樹脂100質量部に対して、前記フッ素含有樹脂を5質量部以下、前記粘着性付与樹脂を10質量部以上含むことを特徴とする回路基板用保護絶縁材である。
本発明の回路基板用保護絶縁材(以下、絶縁材)には、蒸気透過度(透湿度)が低いゴム状弾性体樹脂が主成分として含まれるので、水分の影響を小さくすることができる。また、当該ゴム状弾性体樹脂は、本発明の絶縁材の塗工により形成される保護絶縁皮膜(「皮膜」ともいう)に弾力性を与え、温度変化に追従しクラックなどの発生を防ぐという機能も有している。
また、本発明の絶縁材には、フッ素含有樹脂が含まれるので、形成される皮膜の表面に高い撥水性を付与することができる。さらに、本発明の絶縁材には所定量の粘着性付与樹脂が含まれるので、保護絶縁皮膜と回路基板との密着性を高めることができる。
すなわち、本発明によれば、透湿度および吸湿性が低く、高い撥水性を有し、かつ回路基板との密着性が高い保護絶縁皮膜を形成することができ、これにより電気的信頼性を向上することができるのである。
すなわち、本発明によれば、透湿度および吸湿性が低く、高い撥水性を有し、かつ回路基板との密着性が高い保護絶縁皮膜を形成することができ、これにより電気的信頼性を向上することができるのである。
さらに、本発明においては、ゴム状弾性体樹脂100質量部に対して、5質量部以下のフッ素含有樹脂が含まれており、当該フッ素含有樹脂がレベリング剤及び脱泡剤として機能するので、絶縁皮膜形成時の平滑性(レベリング性)と塗工時の脱泡性を向上させることができる。
以上より、本発明によれば、回路基板を水分、虫、塵埃などから保護して電気的信頼性を向上することができるとともに、平滑性に優れた保護絶縁皮膜を形成可能な回路基板用保護絶縁材を提供することができる。
本発明は、以下の構成であるのが好ましい。
フッ素含有樹脂は、炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基を含有するフッ素含有樹脂であって、下記一般式(1)で表されるパーフルオロアルキル基含有モノマーと、フッ素を含まない非フッ素系モノマーとを、重合させてなり、非フッ素系モノマーには、炭素および水素からなる環状部分を有する環状モノマーが含まれている構成とするのが好ましい。
フッ素含有樹脂は、炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基を含有するフッ素含有樹脂であって、下記一般式(1)で表されるパーフルオロアルキル基含有モノマーと、フッ素を含まない非フッ素系モノマーとを、重合させてなり、非フッ素系モノマーには、炭素および水素からなる環状部分を有する環状モノマーが含まれている構成とするのが好ましい。
炭素数が8以上のパーフルオロアルキル基を含有するフッ素樹脂は、撥水性に優れてはいるが生体への蓄積性が懸念される。上記の構成によれば、炭素数が8以上のパーフルオロアルキル基を含有するフッ素含有樹脂と同等以上の優れた撥水性を保護絶縁皮膜に付与することができる。
上記の構成において、フッ素含有樹脂は、上記一般式(1)で表されるパーフルオロアルキル基含有モノマー50質量%以上85質量%以下と、非フッ素系モノマーを15質量%以上50質量%以下とを、重合させてなるものであるのが好ましい。このような構成によれば、保護絶縁皮膜に充分な撥水性を付与することができる。
非フッ素系モノマーには、非フッ素系モノマーの総質量に対して、30質量%以上70質量%以下の前記環状モノマーと、30質量%以上70質量%以下の炭素数10以上の直鎖アルキル基含有化合物と、が含まれているのが好ましい。このような構成の非フッ素系モノマーを用いて作製したフッ素含有樹脂は、本発明の絶縁材を作製する際に用いる溶剤への溶解性が高い。
環状モノマーは、環状部分に、炭素−炭素二重結合を有さない化合物であることが好ましく、特に、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、およびイソボルニルメタクリレートから選ばれる一種以上であることが好ましい。環状モノマーを非フッ素系モノマーに含むことによる効果の詳細は不明ではあるが、環状モノマーを含む非フッ素系モノマーを用いて作製したフッ素系ポリマーは、剛直であることから、パーフルオロアルキル基の運動が抑制され、結晶性の高いフッ素系樹脂と同様の撥水性を有するのではないかと考えられる。また、前記フッ素系ポリマーはかさ高いために、表面が密になり、水分子の進入を防ぐのではないかと考えられる。
ゴム状弾性体樹脂はスチレンおよびブタジエンを構成単位として含む共重合体に水素添加してなる水添スチレン系熱可塑性樹脂であることが好ましい。水添加スチレン系熱可塑性樹脂は劣化し難く、保護絶縁材を作製する際に用いる溶剤への溶解性が高いので好ましい。
粘着性付与樹脂はロジン系樹脂および石油樹脂から選ばれる一種以上であるのが好ましい。このような構成とすると、粘着性付与樹脂がゴム状弾性体樹脂との相溶性に優れるので好ましい。
ゴム状弾性体樹脂100質量部に対する粘着性付与樹脂の量は10質量部以上30質量部以下であるのが好ましい。このような構成とすると本発明の絶縁材の塗工により形成される絶縁皮膜と回路基板との密着性を堅固にし、かつ、絶縁皮膜表面のタック感(べたつき感)がなくなるので好ましい。
本発明によれば、回路基板を水分、虫、塵埃などから保護して電気的信頼性を向上することができるとともに、平滑性に優れた絶縁保護皮膜を形成可能な回路基板用保護絶縁材を提供することができる。
本発明の絶縁材は、ビニル基を有する芳香族化合物および二重結合を有する脂肪族炭化水素を構成単位として含むゴム状弾性体樹脂(A)と、フッ素含有メタクリレート樹脂およびフッ素含有アクリレート樹脂から選ばれるフッ素含有樹脂(B)と、粘着性付与樹脂(C)と、(A)〜(C)成分を溶解する溶剤と、を含む。
まず、本発明の絶縁材に含まれるゴム状弾性体樹脂(A)について説明する。ゴム状弾性樹脂(A)は、透湿度(水蒸気透過率)が低いので、水中や高湿度下に置かれる回路基板の保護に必須な成分である。また、ゴム状弾性樹脂(A)は保護絶縁皮膜に弾力性を与え、温度変化に追従しクラックなどの発生を防ぐ機能も有する。
ゴム状弾性体樹脂(A)としては、本発明の絶縁材を作製する際に用いる溶剤に溶解可能なものであれば使用可能であり、具体的には、スチレンおよびビニルベンゼンなどのビニル基を有する芳香族化合物、ならびに二重結合を有する脂肪族炭化水素を構成単位として含む(ブロックあるいはランダム)共重合体や、当該共重合体に水素を添加してなるものなどを用いることができる。ゴム状弾性体樹脂(A)の構成単位である二重結合を有する脂肪族炭化水素としては、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのオレフィン類、ブタジエン、イソプレンなどのジエン類等が挙げられる。
ゴム状弾性体樹脂(A)の具体例としては、スチレン、エチレンおよびプロピレンを構成単位として含むブロック又はランダム共重合体、スチレン、ブタジエン、およびエチレンを構成単位として含むブロック又はランダム共重合体などのスチレン系熱可塑性樹脂、スチレン系熱可塑性樹脂に水素添加してなる水添スチレン系熱可塑性樹脂などが挙げられる。ゴム状弾性体樹脂(A)は、合成したものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
本発明においては、ゴム状弾性体樹脂(A)として水添スチレン系熱可塑性樹脂を用いるのが好ましい。水添加スチレン系熱可塑性樹脂は、保護絶縁材を作製する際に用いる溶剤への溶解性が高く、劣化し難いからである。
次に、本発明の絶縁材に含まれるフッ素含有樹脂(B)について説明する。フッ素含有樹脂(B)は、保護絶縁皮膜の表面に撥水性を付与する機能を有する。即ち、フッ素樹脂(B)は保護絶縁皮膜の防湿性を一層向上させると共に耐塩水性、耐酸性などの保護機能をも有する。また、フッ素含有樹脂(B)は、絶縁皮膜形成時のレベリング性及び絶縁材塗工時の脱泡性を付与する。
フッ素含有樹脂(B)は、フッ素含有メタクリレート樹脂およびフッ素含有アクリレート樹脂から選ばれるアクリレート系のフッ素樹脂である。本発明では、撥水性に優れるという観点から、フッ素含有樹脂(B)として側鎖にパーフルオロアルキル基を有するものを用いるのが好ましい。
側鎖にパーフルオロアルキル基を有するフッ素含有樹脂のうち、炭素数が8以上のパーフルオロアルキル基を含有するフッ素含有樹脂は、撥水性に優れてはいるが生体への蓄積性が懸念されるため、側鎖に炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基を有するフッ素含有樹脂を用いるのが特に好ましい。
ところで、炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基を有するフッ素系モノマーとアクリルモノマーとを共重合させてなるフッ素樹脂は撥水性が十分でない場合がある。
そこで、本発明においては、フッ素含有樹脂(B)として、下記一般式(1)で表されるパーフルオロアルキル基含有モノマーと、フッ素を含まない非フッ素系モノマーとを、重合させてなり、非フッ素系モノマーには、炭素および水素からなる環状部分を有する環状モノマーが含まれている構成とするのが特に好ましい。このような構成とすると、炭素数が8以上のパーフルオロアルキル基を含有するフッ素含有樹脂と同等以上の優れた撥水性を保護絶縁皮膜に付与することができるからである。
そこで、本発明においては、フッ素含有樹脂(B)として、下記一般式(1)で表されるパーフルオロアルキル基含有モノマーと、フッ素を含まない非フッ素系モノマーとを、重合させてなり、非フッ素系モノマーには、炭素および水素からなる環状部分を有する環状モノマーが含まれている構成とするのが特に好ましい。このような構成とすると、炭素数が8以上のパーフルオロアルキル基を含有するフッ素含有樹脂と同等以上の優れた撥水性を保護絶縁皮膜に付与することができるからである。
上記一般式(1)で表されるパーフルオロアルキル基含有モノマー(以下、「フッ素系モノマー」ともいう)について説明する。以下において、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリル酸エステル(メタクリレート)とアクリル酸エステル(アクリレート)とを一括して表記したものを意味する。
フッ素系モノマーの具体例としては、パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘキシル(メタ)アクリレート、パーフルオロペンチルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロペンチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、等が挙げられ、これらは一種または二種以上を組み合わせて使用することができる。これらの化合物のうち、優れた撥水性を付与可能なフッ素含有樹脂が得られるという観点から、炭素数が5〜6のものが好ましい。
フッ素系モノマーの具体例としては、パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘキシル(メタ)アクリレート、パーフルオロペンチルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロペンチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、等が挙げられ、これらは一種または二種以上を組み合わせて使用することができる。これらの化合物のうち、優れた撥水性を付与可能なフッ素含有樹脂が得られるという観点から、炭素数が5〜6のものが好ましい。
フッ素系モノマーとともに重合する非フッ素系モノマーには、炭素および水素からなる環状部分を有する環状モノマーが必須成分として含まれる。
環状モノマーとしては、環状部分に炭素−炭素二重結合を有さない化合物が好ましく、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、およびイソボルニル(メタ)アクリレートから選ばれる化合物が特に好ましい。これらの環状モノマーは単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
環状モノマーとしては、環状部分に炭素−炭素二重結合を有さない化合物が好ましく、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、およびイソボルニル(メタ)アクリレートから選ばれる化合物が特に好ましい。これらの環状モノマーは単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
フッ素含有樹脂(B)は、フッ素系モノマーと非フッ素系モノマーの合計質量に対して、フッ素系モノマーを50質量%以上85質量%以下と、非フッ素系モノマーを15質量%以上50質量%以下とを、重合させることにより得られる。
フッ素系モノマーと非フッ素系モノマーとを、上記の割合で重合させることにより、充分な撥水性と充分な撥油性を基材に付与することができ、かつ、絶縁材を作製する際に用いる溶剤(例えば、メチルシクロヘキサンなど、詳細は後述する)への溶解性が高いフッ素含有樹脂(B)が得られる。
フッ素系モノマーと非フッ素系モノマーとを、上記の割合で重合させることにより、充分な撥水性と充分な撥油性を基材に付与することができ、かつ、絶縁材を作製する際に用いる溶剤(例えば、メチルシクロヘキサンなど、詳細は後述する)への溶解性が高いフッ素含有樹脂(B)が得られる。
フッ素系モノマーと非フッ素系モノマーとの合計質量に対して、フッ素系モノマーの量が50質量%未満であると充分な撥水性能が得られず、フッ素系モノマーの量が85質量%を超えると絶縁材を作製する際に用いる溶剤に溶解させ難くなる。
絶縁材を作製する際に用いる溶剤に対する溶解性が高いフッ素含有樹脂(B)が得られるという観点から、非フッ素系モノマーには、環状モノマー以外に、炭素数10以上の直鎖アルキル基含有化合物が含まれているのが好ましく、非フッ素系モノマーの質量に対して、環状モノマーを30質量%以上70質量%以下、直鎖アルキル基含有化合物を30質量%以上70質量%以下の割合で含む非フッ素系モノマーを用いるのが特に好ましい。
炭素数10以上の直鎖アルキル基含有化合物としては、例えば、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの直鎖アルキル基含有化合物は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。炭素数10以上の直鎖アルキル基含有化合物としては、炭素数が10〜20の直鎖アルキル基を含有する(メタ)アクリレートが好ましい。
非フッ素系モノマーには上記モノマー以外に水溶性モノマーが含まれていてもよい。
水溶性モノマーとしては、アルコキシ基とポリエチレングリコールとを有する(メタ)アクリレートが好ましく、メトキシポリエチレングリコールアクリレートおよびメトキシポリエチレングリコールメタクリレートから選ばれる一種以上の水溶性モノマーが好ましい。水溶性モノマーの量は、フッ素系モノマーと非フッ素系モノマーの合計質量に対して、0.1質量%以上1.5質量%以下の割合で含まれるのが好ましい。
フッ素系モノマーと非フッ素系モノマーとを重合させる際に用いる溶媒としては、モノマー(フッ素系モノマー、非フッ素系モノマー)を溶解又は懸濁し得るものであればよく、例えば、水、又はトルエン、キシレン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、n−ヘキサン、およびイソヘキサン等を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
重合開始剤としては、ラジカル重合を開始する能力を有するものであれば特に制限はなく、例えば、過酸化ベンゾイル等の過酸化物、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNという)、2,2'−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル等のアゾ系化合物の他、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸系重合開始剤を用いることができる。
フッ素含有樹脂(B)は、上述したような重合開始剤を用いて、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法などにより60〜100℃で重合反応をおこなうことにより得られる。
フッ素含有樹脂(B)は、上述したような重合開始剤を用いて、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法などにより60〜100℃で重合反応をおこなうことにより得られる。
フッ素含有樹脂(B)のPMMA(ポリメチルメタクリレート)換算の数平均分子量(Mn)が8,000〜18,000で、重量平均分子量(Mw)が15,000〜23,000であるのが好ましい。
次に、本発明の絶縁材に含まれる粘着性付与樹脂(C)について説明する。粘着性付与樹脂(C)は、本発明において、保護絶縁皮膜と回路基板との密着性を堅固なものにするという機能を有する。粘着性付与樹脂(C)としては、ゴム状弾性体樹脂(A)と相溶性のものを用いることができる。粘着性付与樹脂(C)としては、石油系樹脂やロジン系樹脂など、ゴム状弾性体樹脂(A)との相溶性に優れたものが好ましい。
ゴム状弾性体樹脂(A)とフッ素含有樹脂(B)と粘着性付与樹脂(C)とを含む本発明の絶縁材は、樹脂(A)、樹脂(B)および、樹脂(C)を溶剤に溶解することにより作製することができる。
絶縁材を作製するために用いる溶剤としては、石油ベンジン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルエーテル、クロロホルム、四塩化炭素、二硫化炭素、テトラヒドロフラン等を用いることができる。これらの溶剤は、単独でまたは二種以上を混合して用いることができる。
本発明の絶縁材において、フッ素含有樹脂(B)の含有量は、ゴム状弾性体樹脂(A)100質量部に対して、5質量部以下であるのが好ましい。(B)の量が5質量部以下であると、保護絶縁皮膜形成時のレベリング性と塗工時の脱泡性がともに向上するからである。(B)を含まない場合や5質量部よりも多い場合には絶縁皮膜形成時のレベリング性と塗工時の脱泡性が低下する。
粘着性付与樹脂(C)の含有量は、回路基板との密着性を堅固なものとするという観点から、ゴム状弾性体樹脂(A)100質量部に対して、10質量部以上であるのが好ましい。(C)の含有量が大きいと運搬時に部品同士がくっつき部品の破損につながる。また、(C)の含有量が大きいと皮膜と回路基板との密着性は高くなるが、皮膜の表面の粘着性が高くなって、皮膜表面に虫や塵埃などが付着しやすくなることが懸念される。これらの点を考慮すると(C)の量は、(A)100質量部に対して50質量部以下であることが特に好ましく、30質量部以下であると更に好ましい。
本発明の絶縁材には、実用性を向上させるために、酸化防止剤、紫外線安定剤、フィラー、シリコーンオイル、パラフィン系溶剤、可塑剤等各種添加剤を添加することができる。
本発明の絶縁材を回路基板に塗工する方法としては、浸漬法、ハケ塗り法、スプレー法、ロールコート法など公知の方法が採用可能であり、回路基板の形態などを考慮して適宜選択することができる。
<実施例>
次に、本発明を具体化した実施例により本発明をさらに説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下の記載においては、「質量部」を単に「部」と示す。
(合成例1:フッ素含有樹脂の合成)
500mlの丸底フラスコに、パーフルオロヘキシルエチルメタクリレートを69g、ステアリルメタクリレートを10g、イソボルニルメタクリレートを20g、およびメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(重合度9)1gを量り入れた。
ここで、ステアリルメタクリレートは常温で固形であるため、あらかじめ50℃で溶解し、均一にかき混ぜてから計量した。
次に、本発明を具体化した実施例により本発明をさらに説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下の記載においては、「質量部」を単に「部」と示す。
(合成例1:フッ素含有樹脂の合成)
500mlの丸底フラスコに、パーフルオロヘキシルエチルメタクリレートを69g、ステアリルメタクリレートを10g、イソボルニルメタクリレートを20g、およびメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(重合度9)1gを量り入れた。
ここで、ステアリルメタクリレートは常温で固形であるため、あらかじめ50℃で溶解し、均一にかき混ぜてから計量した。
上記各種モノマーを計り入れたフラスコに、重合溶媒としてn−ヘプタン30g及びイソヘキサン30gを入れ、さらに、重合開始剤としてAIBNを0.5g加えた。次に、フラスコに温度計、攪拌翼、冷却管、N2配管をセットして回転数100rpmで攪拌を開始した。
フラスコ内の内容物を撹拌しながら常温で空間部を窒素で30分置換した後、熱湯を加え、ヒーターを80℃にセットして重合を開始した。窒素は重合終了まで流し続けた。重合反応は5時間行った。その後、フラスコの内容物を室温まで冷却して、粘性のある液体(フッ素含有樹脂)を得た。
このフッ素含有樹脂を真空乾燥し、ゲルパーミレーションクロマトグラフ(GPC)測定を行ったところ、PMMA換算で、数平均分子量(Mn)は10,000、重量平均分子量(Mw)は19,000であった。このようにして得られたフッ素含有樹脂を以下の実施例および比較例の保護絶縁材を作製に用いた。
(実施例1〜5および比較例1〜5の保護絶縁材の作製)
以下の方法により実施例1〜5および比較例1〜5の保護絶縁材を作製した。実施例1〜5および比較例1〜3の保護絶縁材については、使用した材料の種類や量を表1の配合の欄に示した。比較例4および比較例5については、実施例1〜5および比較例1〜3とは使用した材料が相違するため、表1に「−」と記載した。
以下の方法により実施例1〜5および比較例1〜5の保護絶縁材を作製した。実施例1〜5および比較例1〜3の保護絶縁材については、使用した材料の種類や量を表1の配合の欄に示した。比較例4および比較例5については、実施例1〜5および比較例1〜3とは使用した材料が相違するため、表1に「−」と記載した。
実施例1
メチルシクロヘキサン375部、熱可塑性樹脂(A−1)[商品名「タフテックH1031」、旭化成(株)製、水添スチレン系熱可塑性樹脂]100部、粘着性付与樹脂(C−1)[商品名「パインクリスタルKE−100」、荒川化学工業(株)製、ロジンエステル]25部、及び合成例1で作製したフッ素含有樹脂(以下、「合成例1のフッ素含有樹脂」という)1.25部を、内容積500mlのガラス製フラスコに入れた。当該フラスコに攪拌羽、蓋をセットし、冷却管、温度計をセットした後、60℃で2時間溶解を行うことにより実施例1の保護絶縁材を作製した。
メチルシクロヘキサン375部、熱可塑性樹脂(A−1)[商品名「タフテックH1031」、旭化成(株)製、水添スチレン系熱可塑性樹脂]100部、粘着性付与樹脂(C−1)[商品名「パインクリスタルKE−100」、荒川化学工業(株)製、ロジンエステル]25部、及び合成例1で作製したフッ素含有樹脂(以下、「合成例1のフッ素含有樹脂」という)1.25部を、内容積500mlのガラス製フラスコに入れた。当該フラスコに攪拌羽、蓋をセットし、冷却管、温度計をセットした後、60℃で2時間溶解を行うことにより実施例1の保護絶縁材を作製した。
実施例2
粘着性付与樹脂(C−1)25部に代えて、粘着性付与樹脂(C−2)[商品名「スーパーエステルA−100」、荒川化学工業(株)製、ロジンエステル]25部を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例2の保護絶縁材を作製した。
粘着性付与樹脂(C−1)25部に代えて、粘着性付与樹脂(C−2)[商品名「スーパーエステルA−100」、荒川化学工業(株)製、ロジンエステル]25部を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例2の保護絶縁材を作製した。
実施例3
メチルシクロヘキサン429g、熱可塑性樹脂(A−2)[商品名「タフテックP1500」、旭化成(株)製、水添スチレン系熱可塑性樹脂]100部、粘着性付与樹脂(C−3)[商品名「アルコンP−100」、荒川化学工業(株)製、水素化石油樹脂]43部、及び合成例1のフッ素含有樹脂1.25部を、内容積500mlのガラス製フラスコに入れた。攪拌羽、蓋をセットし、冷却管、温度計をセットした後、60℃で2時間溶解を行うことにより実施例3の保護絶縁材を作製した。
メチルシクロヘキサン429g、熱可塑性樹脂(A−2)[商品名「タフテックP1500」、旭化成(株)製、水添スチレン系熱可塑性樹脂]100部、粘着性付与樹脂(C−3)[商品名「アルコンP−100」、荒川化学工業(株)製、水素化石油樹脂]43部、及び合成例1のフッ素含有樹脂1.25部を、内容積500mlのガラス製フラスコに入れた。攪拌羽、蓋をセットし、冷却管、温度計をセットした後、60℃で2時間溶解を行うことにより実施例3の保護絶縁材を作製した。
実施例4
メチルシクロヘキサン429部、熱可塑性樹脂(A−2)[商品名「タフテックP1500」、旭化成(株)製、水添スチレン系熱可塑性樹脂]100部、粘着性付与樹脂(C−4)[商品名「アイマープP−100」、出光石油化学(株)製、水素化石油樹脂]43部、及び合成例1のフッ素含有樹脂1.5部を、内容積500mlのガラス製フラスコに入れた。攪拌羽、蓋をセットし、冷却管、温度計をセットした後、60℃で2時間溶解を行うことにより実施例4の保護絶縁材を作製した。
メチルシクロヘキサン429部、熱可塑性樹脂(A−2)[商品名「タフテックP1500」、旭化成(株)製、水添スチレン系熱可塑性樹脂]100部、粘着性付与樹脂(C−4)[商品名「アイマープP−100」、出光石油化学(株)製、水素化石油樹脂]43部、及び合成例1のフッ素含有樹脂1.5部を、内容積500mlのガラス製フラスコに入れた。攪拌羽、蓋をセットし、冷却管、温度計をセットした後、60℃で2時間溶解を行うことにより実施例4の保護絶縁材を作製した。
実施例5
メチルシクロヘキサン375部、熱可塑性樹脂(A−3)[商品名「セプトン2002」、旭化成(株)製、スチレン系熱可塑性樹脂]100部、粘着性付与樹脂(C−2)[商品名「スーパーエステルA−100」、荒川化学工業(株)製、ロジンエステル]25部、及び合成例1のフッ素含有樹脂1.25部を、内容積500mlのガラス製フラスコに入れた。攪拌羽、蓋をセットし、冷却管、温度計をセットした後、60℃で2時間溶解を行うことにより実施例5の保護絶縁材を作製した。
メチルシクロヘキサン375部、熱可塑性樹脂(A−3)[商品名「セプトン2002」、旭化成(株)製、スチレン系熱可塑性樹脂]100部、粘着性付与樹脂(C−2)[商品名「スーパーエステルA−100」、荒川化学工業(株)製、ロジンエステル]25部、及び合成例1のフッ素含有樹脂1.25部を、内容積500mlのガラス製フラスコに入れた。攪拌羽、蓋をセットし、冷却管、温度計をセットした後、60℃で2時間溶解を行うことにより実施例5の保護絶縁材を作製した。
比較例1
合成例1のフッ素含有樹脂を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の保護絶縁材を作製した。
合成例1のフッ素含有樹脂を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の保護絶縁材を作製した。
比較例2
合成例1のフッ素含有樹脂の量を7.5部としたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の保護絶縁材を作製した。
合成例1のフッ素含有樹脂の量を7.5部としたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の保護絶縁材を作製した。
比較例3
メチルシクロヘキサンの量を405部、粘着性付与樹脂(C−1)の量を5部としたこと以外は実施例1と同様にして比較例3の保護絶縁材を作製した。
メチルシクロヘキサンの量を405部、粘着性付与樹脂(C−1)の量を5部としたこと以外は実施例1と同様にして比較例3の保護絶縁材を作製した。
比較例4(従来品:フッ素樹脂含有保護絶縁材)
トルエン100部、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート80部、ベンジルメタクリレート20部、および重合開始剤としてAIBN0.25部を、内容積500mlのガラス製フラスコに入れた。攪拌羽、蓋をセットし、冷却管、温度計をセットした後、系内を窒素で置換し、80℃で5時間重合をおこなった。その後、減圧下で溶剤を除くことによりフッ素樹脂を得た。このフッ素樹脂を固形分濃度が20%となるように1,3−ビストリフルオロベンゼンに溶解して比較例4の保護絶縁材を作製した。
トルエン100部、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート80部、ベンジルメタクリレート20部、および重合開始剤としてAIBN0.25部を、内容積500mlのガラス製フラスコに入れた。攪拌羽、蓋をセットし、冷却管、温度計をセットした後、系内を窒素で置換し、80℃で5時間重合をおこなった。その後、減圧下で溶剤を除くことによりフッ素樹脂を得た。このフッ素樹脂を固形分濃度が20%となるように1,3−ビストリフルオロベンゼンに溶解して比較例4の保護絶縁材を作製した。
比較例5(従来品:アクリル樹脂含有保護絶縁材)
トルエン100部、メチルメタクリレート65部、ベンジルメタクリレート35部、および重合開始剤としてAIBN0.25部を、内容積500mlのガラス製フラスコに入れた。攪拌羽、蓋をセットし、冷却管、温度計をセットした後、系内を窒素で置換し、80℃で5時間重合をおこない、粘性のあるアクリル樹脂トルエン溶液を得た。このアクリル樹脂を固形分濃度が20%となるようにトルエンに溶解して比較例5の保護絶縁材を作製した。
トルエン100部、メチルメタクリレート65部、ベンジルメタクリレート35部、および重合開始剤としてAIBN0.25部を、内容積500mlのガラス製フラスコに入れた。攪拌羽、蓋をセットし、冷却管、温度計をセットした後、系内を窒素で置換し、80℃で5時間重合をおこない、粘性のあるアクリル樹脂トルエン溶液を得た。このアクリル樹脂を固形分濃度が20%となるようにトルエンに溶解して比較例5の保護絶縁材を作製した。
(試験例)
下記の方法により実施例の保護絶縁材および比較例の保護絶縁材の評価試験を行い、試験結果を表1に示した。
(1)透湿度(水蒸気透過度)
実施例1〜5および比較例4〜5の保護絶縁材を用いて、キャスト法により成膜し、乾燥膜厚が約30μmのフィルムをそれぞれ作製した。各フィルムについて、JIS K−7129に従って40℃、90%RHの環境下で透湿度(g/m2・24h)を測定した。透湿度の測定には、PBI Dansenser社製L80型水蒸気透過度計を用いた。透湿度の測定値が100以下であると透湿度が低いと判断した。
透明湿度を測定していないもの(比較例1〜3)については表1の該当箇所に「−」と記載した。
下記の方法により実施例の保護絶縁材および比較例の保護絶縁材の評価試験を行い、試験結果を表1に示した。
(1)透湿度(水蒸気透過度)
実施例1〜5および比較例4〜5の保護絶縁材を用いて、キャスト法により成膜し、乾燥膜厚が約30μmのフィルムをそれぞれ作製した。各フィルムについて、JIS K−7129に従って40℃、90%RHの環境下で透湿度(g/m2・24h)を測定した。透湿度の測定には、PBI Dansenser社製L80型水蒸気透過度計を用いた。透湿度の測定値が100以下であると透湿度が低いと判断した。
透明湿度を測定していないもの(比較例1〜3)については表1の該当箇所に「−」と記載した。
(2)撥水性評価試験(接触角)
実施例1〜5の保護絶縁材および比較例1〜5の保護絶縁材をそれぞれスライドガラス上に塗布し、その後乾燥させて皮膜を形成した。各皮膜の接触角の測定機器としては、協和界面科学製接触角計CA−DT型を用い、接触角の測定には、水を使用した。水に対する接触角が110°以上であれば撥水性が高いと判断した。
実施例1〜5の保護絶縁材および比較例1〜5の保護絶縁材をそれぞれスライドガラス上に塗布し、その後乾燥させて皮膜を形成した。各皮膜の接触角の測定機器としては、協和界面科学製接触角計CA−DT型を用い、接触角の測定には、水を使用した。水に対する接触角が110°以上であれば撥水性が高いと判断した。
(3)密着性評価試験1(クロスカット試験)
実施例1〜5の保護絶縁材および比較例1〜5の保護絶縁材を、それぞれ銅張積層板に塗布し、同試験片に碁盤目状の切れ目を入れておき、碁盤目剥離試験(クロスカット試験)により評価した。評価は1mm角の碁盤目25個中におけるテープ剥離後に残存する碁盤目の数(残存碁盤目数/25)により行った。
実施例1〜5の保護絶縁材および比較例1〜5の保護絶縁材を、それぞれ銅張積層板に塗布し、同試験片に碁盤目状の切れ目を入れておき、碁盤目剥離試験(クロスカット試験)により評価した。評価は1mm角の碁盤目25個中におけるテープ剥離後に残存する碁盤目の数(残存碁盤目数/25)により行った。
(4)密着性評価試験2(熱衝撃試験:熱膨張や熱収縮に対する追従性)
実施例1〜5の保護絶縁材および比較例1〜5の保護絶縁材をプリント基板に塗布して試料を作製し、冷熱衝撃装置(エスペック株式会社製、TSA−71L)を用いて以下の試験を行った。各試料を、冷熱衝撃装置の80℃に制御した槽に30分間静置した後、槽内の空気を入れかえて槽を−40℃に制御して30分間静置し、これを1サイクルとして、800サイクル行った後の皮膜について、割れや剥がれの発生の有無を目視により観察し下記の評価基準により評価した。
○:浮き剥がれなし
×:浮き剥がれ有り
実施例1〜5の保護絶縁材および比較例1〜5の保護絶縁材をプリント基板に塗布して試料を作製し、冷熱衝撃装置(エスペック株式会社製、TSA−71L)を用いて以下の試験を行った。各試料を、冷熱衝撃装置の80℃に制御した槽に30分間静置した後、槽内の空気を入れかえて槽を−40℃に制御して30分間静置し、これを1サイクルとして、800サイクル行った後の皮膜について、割れや剥がれの発生の有無を目視により観察し下記の評価基準により評価した。
○:浮き剥がれなし
×:浮き剥がれ有り
(5)絶縁抵抗試験
実施例1〜5の保護絶縁材および比較例1〜5の保護絶縁材を用いて、JIS Z 3284に準じて、くし形電極基板に皮膜を形成した後、下記の条件で試験を行い絶縁抵抗値(Ω)を測定した。試験基板としては絶縁抵抗値が1×1010以上であれば電気的信頼性が高いといえる。
条件:温度85℃、相対湿度85%、1000時間
印加電圧:常時50V、測定時100V
実施例1〜5の保護絶縁材および比較例1〜5の保護絶縁材を用いて、JIS Z 3284に準じて、くし形電極基板に皮膜を形成した後、下記の条件で試験を行い絶縁抵抗値(Ω)を測定した。試験基板としては絶縁抵抗値が1×1010以上であれば電気的信頼性が高いといえる。
条件:温度85℃、相対湿度85%、1000時間
印加電圧:常時50V、測定時100V
(6)作業性評価試験1(表面タック)
実施例1〜5の保護絶縁材および比較例1〜5の保護絶縁材をそれぞれスライドガラス上に塗布し、その後乾燥させてその表面のタックの度合いを評価した。
○:タック感なし
△:タック感少し有り
×:タック感有り(指にはりつく程度)
実施例1〜5の保護絶縁材および比較例1〜5の保護絶縁材をそれぞれスライドガラス上に塗布し、その後乾燥させてその表面のタックの度合いを評価した。
○:タック感なし
△:タック感少し有り
×:タック感有り(指にはりつく程度)
(7)作業性評価試験2(脱泡性・レベリング性)
実施例1〜5の保護絶縁材および比較例1〜5の保護絶縁材をそれぞれ、スプレー塗布装置にてステンレス板に塗装した時の気泡の抜け具合及び乾燥後の皮膜の平滑性(レベリング性)を評価した。評価方法および評価基準は以下の通りである。
実施例1〜5の保護絶縁材および比較例1〜5の保護絶縁材をそれぞれ、スプレー塗布装置にてステンレス板に塗装した時の気泡の抜け具合及び乾燥後の皮膜の平滑性(レベリング性)を評価した。評価方法および評価基準は以下の通りである。
(脱泡性)
乾燥後の皮膜中に気泡が存在するか否か目視により確認し、気泡がある場合には、気泡の占める面積を測定して皮膜の面積に対する割合を算出し、下記基準により評価した。
○:気泡の抜けが良い(乾燥後の皮膜に気泡がない)
△:気泡の抜けが少し悪い(乾燥後の皮膜に皮膜の面積に対して10%未満の気泡がある)
×:気泡の抜けが悪い(乾燥後の皮膜に皮膜の面積に対して10%以上の気泡がある)
乾燥後の皮膜中に気泡が存在するか否か目視により確認し、気泡がある場合には、気泡の占める面積を測定して皮膜の面積に対する割合を算出し、下記基準により評価した。
○:気泡の抜けが良い(乾燥後の皮膜に気泡がない)
△:気泡の抜けが少し悪い(乾燥後の皮膜に皮膜の面積に対して10%未満の気泡がある)
×:気泡の抜けが悪い(乾燥後の皮膜に皮膜の面積に対して10%以上の気泡がある)
(レベリング性)
1種類の皮膜につき、10箇所の膜厚を測定して平均の膜厚を算出し、平均の膜厚に対するばらつきを算出し下記基準により評価を行った。
○:乾燥後の皮膜がフラットであり、保護絶縁皮膜が均一である(膜厚のばらつきが±5%未満)。
△:乾燥後の皮膜が少し凸凹している(膜厚のばらつきが±5%以上±50%未満)。
×:乾燥後の皮膜が凸凹しており、保護絶縁皮膜が不均一である(膜厚のばらつきが±50%以上)。
1種類の皮膜につき、10箇所の膜厚を測定して平均の膜厚を算出し、平均の膜厚に対するばらつきを算出し下記基準により評価を行った。
○:乾燥後の皮膜がフラットであり、保護絶縁皮膜が均一である(膜厚のばらつきが±5%未満)。
△:乾燥後の皮膜が少し凸凹している(膜厚のばらつきが±5%以上±50%未満)。
×:乾燥後の皮膜が凸凹しており、保護絶縁皮膜が不均一である(膜厚のばらつきが±50%以上)。
(結果と考察)
表1の結果から、実施例1〜5の本発明の保護絶縁材を用いて形成した皮膜は透湿度が低く、撥水性が高く、プリント基板との密着性も高く、熱膨張熱収縮によるクラックの発生もなく、電気的信頼性が高いということがわかった。また、実施例1〜5の本発明の保護絶縁材を用いると絶縁材塗工の際の脱泡性が良好で、平滑性に優れた皮膜が得られることがわかった。
表1の結果から、実施例1〜5の本発明の保護絶縁材を用いて形成した皮膜は透湿度が低く、撥水性が高く、プリント基板との密着性も高く、熱膨張熱収縮によるクラックの発生もなく、電気的信頼性が高いということがわかった。また、実施例1〜5の本発明の保護絶縁材を用いると絶縁材塗工の際の脱泡性が良好で、平滑性に優れた皮膜が得られることがわかった。
フッ素含有樹脂(B)を含むか否かという点が相違する実施例1と比較例1とを対比すると、比較例1では撥水性が低く脱泡性とレベリング性が低かった。この結果からフッ素含有樹脂(B)を含むことにより良好な撥水性が得られ、絶縁材塗工時の脱泡性および皮膜の平滑性を向上できることがわかった。
フッ素含有樹脂(B)の量を、ゴム状弾性体樹脂(A)100部に対して7.5部とした比較例2では、フッ素含有樹脂(B)の量が1.50部の実施例4よりも脱泡性およびレベリング性がともに低下した。この結果から、ゴム状弾性体樹脂(A)100部に対するフッ素含有樹脂(B)の量を7.5部よりも少なくするのが好ましいということがわかった。
フッ素含有樹脂(B)の量を、ゴム状弾性体樹脂(A)100部に対して7.5部とした比較例2では、フッ素含有樹脂(B)の量が1.50部の実施例4よりも脱泡性およびレベリング性がともに低下した。この結果から、ゴム状弾性体樹脂(A)100部に対するフッ素含有樹脂(B)の量を7.5部よりも少なくするのが好ましいということがわかった。
粘着性付与樹脂(C)の量のみが相違する比較例3[(A)100部に対する(C)の量が5部]と実施例1[(A)100部に対する(C)の量が25部]とを比較すると、比較例1ではクロスカット試験の結果が著しく悪かった。この結果から、(A)100部に対する粘着性付与樹脂(C)の量は5部より多くする必要があると考えられる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1) 上記実施例においては、フッ素含有樹脂として、パーフルオロヘキシルエチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレートを用いて重合させて得られるものを示したが、フッ素含有樹脂はこれに限定されない。ステアリルメタクリレートに代えて、炭素数12〜15のアルキル基含有メタクリレートを用いたり、イソボルニルメタクリレートに代えてシクロヘキシルメタクリレートなどを用いるなどにより合成したフッ素含有樹脂であってもよい。
本発明は上記記述によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1) 上記実施例においては、フッ素含有樹脂として、パーフルオロヘキシルエチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレートを用いて重合させて得られるものを示したが、フッ素含有樹脂はこれに限定されない。ステアリルメタクリレートに代えて、炭素数12〜15のアルキル基含有メタクリレートを用いたり、イソボルニルメタクリレートに代えてシクロヘキシルメタクリレートなどを用いるなどにより合成したフッ素含有樹脂であってもよい。
Claims (9)
- ビニル基を有する芳香族化合物および二重結合を有する脂肪族炭化水素を構成単位として含むゴム状弾性体樹脂と、フッ素含有メタクリレート樹脂およびフッ素含有アクリレート樹脂から選ばれるフッ素含有樹脂と、粘着性付与樹脂と、溶剤とを含み、
前記ゴム状弾性体樹脂100質量部に対して、前記フッ素含有樹脂を5質量部以下、前記粘着性付与樹脂を10質量部以上含むことを特徴とする回路基板用保護絶縁材。 - 前記フッ素含有樹脂は、前記一般式(1)で表されるパーフルオロアルキル基含有モノマー50質量%以上85質量%以下と、前記非フッ素系モノマーを15質量%以上50質量%以下とを、重合させてなることを特徴とする請求項2に記載の回路基板用保護絶縁材。
- 前記非フッ素系モノマーには、前記非フッ素系モノマーの総質量に対して、30質量%以上70質量%以下の前記環状モノマーと、30質量%以上70質量%以下の炭素数10以上の直鎖アルキル基含有化合物と、が含まれることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の回路基板用保護絶縁材。
- 前記環状モノマーは、前記環状部分に、炭素−炭素二重結合を有さない化合物であることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか一項に記載の回路基板用保護絶縁材。
- 前記環状モノマーは、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、およびイソボルニルメタクリレートから選ばれる一種以上であることを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれか一項に記載の回路基板用保護絶縁材。
- 前記ゴム状弾性体樹脂はスチレンおよびブタジエンを構成単位として含む共重合体に水素添加してなる水添スチレン系熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の回路基板用保護絶縁材。
- 前記粘着性付与樹脂はロジン系樹脂および石油樹脂から選ばれる一種以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の回路基板用保護絶縁材。
- 前記ゴム状弾性体樹脂100質量部に対して、前記粘着性付与樹脂を10質量部以上30質量部以下含むことを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の回路基板用保護絶縁材。
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GB2494946A (en) * | 2012-05-11 | 2013-03-27 | Europlasma Nv | Surface coatings formed by plasma polymerisation |
JP2015028149A (ja) * | 2013-06-28 | 2015-02-12 | ダイキン工業株式会社 | 表面処理剤および含フッ素重合体 |
JP2020176236A (ja) * | 2019-04-22 | 2020-10-29 | 横浜ゴム株式会社 | ゴム組成物及びスタッドレスタイヤ |
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2009
- 2009-11-09 JP JP2009256221A patent/JP2011100930A/ja active Pending
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