JP7381763B2 - エステル系化合物およびその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、新規のエステル系化合物およびその用途に関する。
日常の中で使用される高分子樹脂は、それぞれ特性に合わせて、生活および家電用品、衣類、自動車、建設資材または包装材など、各分野において様々に適用され使用されている。一般的に、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン(PU)およびポリ塩化ビニル(PVC)などから選択される高分子樹脂が汎用的に使用されている。特に、ポリ塩化ビニルは、硬質、軟質特性を有し、様々な成形方法に有利に適用可能であり、価格競争力に優れて汎用的な効用性を備えることから、生活用品から産業資材に至るまで様々な応用分野に適用されている。
ポリ塩化ビニルは、樹脂単独で使用されるよりは、様々な物性の実現のために、可塑剤を添加して使用される。可塑剤は、樹脂に柔軟性を与えて、加工性および成形性などの物性を向上させる役割を果たす。しかし、産業の発展に伴い可塑剤の役割も多様化し、柔軟性だけでなく、耐揮発性、耐移行性、耐老化性、耐寒性、耐油性、耐水性、耐熱性など、その適用分野に応じて求められる特性を強化するために多様化している。
可塑剤として汎用的に使用されるエステル系化合物の一例としては、ジオクチルテレフタレート(DOTP)、ジ-(2-エチルヘキシル)フタレート(DEHP)、ジ-イソノニルフタレート(DINP)、ジ-2-プロピルへプチルフタレート(DPHP)またはジイソデシルフタレート(DIDP)などが挙げられる。しかし、これらの製品それぞれは、可塑化効率または移行性などの品質の劣化を示す。また、用途によっては、樹脂との加工性、吸収速度、揮発損失、移行損失および熱安定性などにおいて製品物性を改善するのに限界があった。また、韓国内外規制を考慮して、従来の可塑剤の代わりに使用可能な安全な可塑剤に関する研究が行われ続けている。
PVCに適用可能な可塑剤組成物の一例としては、価格が相対的に安いジ(2-エチルヘキシル)テレフタレートなどが挙げられる。しかし、これを可塑剤として適用する場合、硬度とゾル粘度が高く、可塑剤の吸収速度が相対的に遅く、移行性およびストレス移行性も良好ではないと報告されている。そのため、これを改善するために、テレフタレートを水素化する方法により可塑剤の品質特性の向上を図っていたが、テレフタレートの基本構造による品質を改善するには限界がある。
したがって、環境にやさしいまたは非フタレート系であり、樹脂との加工性、吸収速度、揮発損失、移行損失および熱安定性などの様々な物性の面で既存の製品の物性を充分に改善することができる新たな環境にやさしい可塑剤の開発が必要な状況である。
本発明は、耐熱性および相溶性(compatibility)が改善したエステル系化合物(ester-based compound)およびその用途を提供することを目的とする。
詳細には、本発明は、加熱減量および耐移行性(heating loss and migration resistance)に優れた可塑剤(plasticizer)としての用途を有するエステル系化合物、これを含むエステル系可塑剤組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
詳細には、本発明は、上述のエステル系可塑剤組成物を含む塩化ビニル系樹脂組成物(vinyl chloride-based resin composition)およびこれより製造される成形物を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するために、本発明では、下記化学式1で表される化合物、すなわち、新規のエステル系化合物が提供される。
Figure 0007381763000001
[前記化学式1中、
およびRは、それぞれ独立して(independently of each other)、C1-C10アルキルであり、
は、C1-C10アルキレンであり、前記アルキレンの非隣接(non-adjacent)-CH-は、Oが互いに直接連結されない方式に代えられてもよい。
本発明の一実施形態による化合物は、前記化学式1において、前記RおよびRは、それぞれ独立して、C3-C10アルキルであり、前記 は、C2-C6アルキレンであることができる。
本発明の一実施形態による化合物は、前記化学式1において、前記RおよびRは、それぞれ独立して、C3-C10アルキルであり、前記 は、下記化学式Aで表される構造から選択されることができる。
Figure 0007381763000002
[前記化学式A中、
およびLは、それぞれ独立して、エチレンまたはプロピレンであり、
Yは、Oであり、
aは、1または2の整数である。]
本発明の一実施形態による化合物は、前記化学式1において、前記RおよびRは、それぞれ独立して、C3-C10分岐鎖アルキルであることができる。
また、本発明では、前記化学式1で表される化合物を含むエステル系可塑剤組成物が提供される。
本発明の一実施形態によるエステル系可塑剤組成物は、全重量に対して、前記化学式1で表される化合物を30重量%以上含むことができる。
また、本発明では下記化学式2で表される化合物と多価アルコールをトランスエステル化反応させて、前記化学式1で表される化合物を含むエステル系可塑剤組成物を製造する方法が提供される。
Figure 0007381763000003
[前記化学式2中、
およびRは、それぞれ独立して、C1-C10アルキルである。]
本発明の一実施形態によるエステル系可塑剤組成物を製造する方法であって、前記多価アルコールは、炭素数2~10のアルキレン基を含むことができる。
本発明の一実施形態によるエステル系可塑剤組成物を製造する方法であって、前記エステル系可塑剤組成物は、全重量に対して、前記化学式1で表される化合物を30重量%以上含むことができる。
本発明の一実施形態によるエステル系可塑剤組成物を製造する方法であって、前記エステル系可塑剤組成物は、全重量に対して、下記化学式2で表される化合物を残量として含むことができる。
Figure 0007381763000004
[前記化学式2中、
およびRは、それぞれ独立して、C1-C10アルキルである。]
また、本発明では、上述のエステル系可塑剤組成物を含む塩化ビニル系樹脂組成物が提供される。
本発明の一実施形態による塩化ビニル系樹脂組成物において、前記エステル系可塑剤組成物は、塩化ビニル系樹脂100重量部(parts)に対して、5~100重量部含まれることができる。
本発明の一実施形態による塩化ビニル系樹脂組成物は、熱安定剤および充填剤などから選択される一つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
本発明の一実施形態による塩化ビニル系樹脂組成物は、120℃で72時間加熱した後、常温で測定した初期試験片の重量に対して測定した加熱減量の割合が2.0%以下であることができる。
また、本発明では、上述の塩化ビニル系樹脂組成物から製造される成形物が提供される。
本発明によると、塩化ビニル系樹脂などの耐熱樹脂組成物で求められる耐熱性および相溶性などの物性の向上のための可塑剤として有効なエステル系化合物を提供する。また、これは、可塑剤として汎用的に使用される従来のエステル系化合物の問題であった加工性の問題を改善することができる。
本発明によると、耐移行性および加熱減量などの特性の面で特に優れたエステル系可塑剤を非常に経済的な方法で提供することができる。また、これによると、製造工程が単純化し、製造コストを抑えることができる利点を提供する。
本発明によるエステル系可塑剤を耐熱樹脂組成物の可塑剤として使用すると、耐移行性および加熱減量などの物性の向上に相乗効果を提供して、相溶性、すなわち、可塑化効率を高め、成形物の物性の向上に寄与することができる。また、本発明によるエステル系可塑剤は、速い吸収速度と短い溶融時間を有することから、樹脂組成物の加工性を改善することができ、耐熱樹脂の物性の低下を引き起こさない。
以下、本発明によるエステル系化合物およびその用途について詳細に説明する。ここで、使用される技術用語および科学用語において他の定義がなければ、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が通常理解している意味を有し、下記の説明で本発明の要旨を不明瞭にし得る公知の機能および構成に関する説明は省略する。
本明細書で使用される単数形態は、文脈で特別な指示がない限り、複数形態も含むことを意図し得る。
また、本明細書において特別な言及なしに使用された単位は、重量を基準とし、一例として、%または比率の単位は重量%または、重量比を意味し、重量%は、他に定義されない限り、全組成物のいずれか一つの成分が組成物内で占める重量%を意味する。
また、本明細書で使用される数値範囲は、下限値と上限値とその範囲内でのすべての値、定義される範囲の形態と幅から論理的に誘導される増分、二重限定されたすべての値および互いに異なる形態に限定された数値範囲の上限および下限のすべての可能な組み合わせを含む。本発明の明細書において特別な定義がない限り、実験誤差または値の四捨五入によって発生する可能性がある数値範囲以外の値も定義された数値範囲に含まれる。
本明細書の用語、「含む」は、「備える」、「含有する」、「有する」または「特徴とする」などの表現と等価の意味を有する開放型記載であり、さらに挙げられていない要素、材料または工程を排除しない。
本明細書の用語、「アルキル」は、直鎖または分岐鎖状の脂肪族炭化水素から誘導された1価ラジカルを意味する。また、「アルキレン」は、直鎖または分岐鎖状の脂肪族炭化水素から誘導された2価ラジカルを意味し、エチレンは、-CHCH-の構造式を有し、プロピレンは、-CHCHCH-または-CH(CH)CH-の構造式を有することができる。
本明細書の用語、「本発明による化合物」または「本発明の化合物」は、下記化学式1で表される化合物、すなわち、エステル系化合物を意味する。また、前記エステル系化合物は、可塑剤としての用途を有するものであり、エステル系可塑剤と等価の意味を有することができる。
本発明者らは、塩化ビニル系樹脂などの耐熱樹脂との加工性は言うまでもなく、耐熱性を向上させるための可塑剤に関する鋭意研究を重ねたところ、互いに異なる構造的特徴を有するアルコールの組み合わせにより、新規のエステル系化合物、すなわち、エステル系可塑剤を見出した。また、本発明によるエステル系化合物は、互いに異なる構造的特徴を有する1価アルコールおよび多価アルコールから誘導された置換体を同時に含む。このような構造的な特徴有するエステル系化合物は、上述の目的を達成することができ、特に、耐移行性と耐揮発性などにおいて驚くほど向上した相乗効果を奏することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、互いに異なる構造的特徴を有する置換体、すなわち、1価アルコールおよび多価アルコールから誘導された置換体を同時に含むことを特徴とし、脂環族ジカルボン酸を基本構造とすることから、環境にやさしい可塑剤であることができる。
本発明による化合物、すなわち、エステル系化合物は、耐熱樹脂などの可塑剤としての用途で使用する時に、自らの離脱によって発生し得る問題点を効果的に防止する。また、汎用的に使用されるエステル系化合物に比べて高い分子量を有するにもかかわらず同等水準の硬度特性を実現することによって、加工性、作業性などの相溶性に有利な利点を提供して可塑化効率が高い。すなわち、本発明によると、耐熱性および相溶性を同時に満たすことができるエステル系化合物およびその用途を提供することができる。また、本発明によると、上述の物性の実現が可能なエステル系化合物を非常に経済的な方法で提供することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の一実施形態によるエステル系化合物は、下記化学式1で表されることができる。
Figure 0007381763000005
[前記化学式1中、
およびRは、それぞれ独立して、C1-C10アルキルであり、
は、C1-C10アルキレンであり、前記アルキレンの非隣接-CH-は、Oが互いに直接連結されない方式に代えられてもよい。]
前記アルキレンの非隣接-CH-は、前記Lの両末端に直接結合で連結された酸素原子と隣接した-CH-以外のアルキレンを意味する。
前記化学式1で表されるエステル化合物は、上述の構造的特徴を有する非フタレート系可塑剤として、汎用的に使用される従来のエステル系化合物であるシクロヘキサンジエステル(DEHCH)などが有する品質の劣化を改善する。シクロヘキサンジエステルは、常温(25℃)および低温粘度が低くて優れたコーティング特性を実現することができるが、塩化ビニル系樹脂の可塑剤としてこれを単独で使用する場合、移行性に問題があった。
このような効果に加え、より相乗効果を奏する面で、前記エステル系化合物は、下記構造を満たすことができる。
一例として、前記化学式1において、前記RおよびRは、それぞれ独立して、C3-C10アルキルであり、前記 は、C2-C6アルキレンであることができる。
一例として、前記化学式1において、前記RおよびRは、それぞれ独立して、C3-C10アルキルであり、前記 は、下記化学式Aで表される構造から選択されることができる。
Figure 0007381763000006
[前記化学式A中、
およびLは、それぞれ独立して、エチレンまたはプロピレンであり、
Yは、Oであり、
aは、1または2の整数である。]
一例として、前記化学式1において、前記RおよびRは、それぞれ独立して、C3-C10分岐鎖アルキルであることができる。
一例として、前記化学式1において、前記RおよびRは、それぞれ独立して、C5-C10分岐鎖アルキルであり、前記Lは、C2-C6直鎖アルキレンであることができる。
一例として、前記RおよびRは、それぞれ独立して、メチルブチル、エチルブチル、ジメチルブチル、メチルペンチル、エチルペンチル、ジメチルペンチル、メチルヘキシル、エチルヘキシルおよびジメチルヘキシルなどから選択され、前記Lは、直鎖アルキレンとして、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレンまたはヘキシレンであることができる。
一例として、前記RおよびRは、互いに同時に1-エチルヘキシルまたは2-エチルヘキシルであり、前記Lは、直鎖アルキレンとして、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレンまたはヘキシレンであることができる。
一例として、前記化学式1において、前記RおよびRは、それぞれ独立して、C5-C10分岐鎖アルキルであり、前記Lは、前記化学式Aで表される構造から選択されることができる。この場合、前記化学式Aにおいて、前記LおよびLは、それぞれ独立して、エチレンまたはプロピレンであり、前記Yは、Oであり、前記aは、1または2の整数であることができる。
本発明の一実施形態によるエステル系化合物は、耐移行性、加熱減量などの特性の面において優れ、且つこれを採用した耐熱樹脂の硬度、伸び率、引張強度など物理的性質を向上させる。また、改善した可塑化効率を実現する。
具体的には、本発明によるエステル系化合物は、可塑剤としての用途を有する。すなわち、本発明によるエステル系化合物は、エステル系可塑剤であることができる。
また、本発明は、上述の本発明によるエステル系化合物を含むエステル系可塑剤組成物およびその製造方法を提供する。
一様態である、本発明の一実施形態によるエステル系可塑剤組成物は、前記化学式1で表されるエステル系化合物を、全重量に対して、30重量%以上含むことができる。
本発明の一実施形態によるエステル系可塑剤組成物は、全重量に対して、下記化学式2で表される化合物を残量として含むことができる。
Figure 0007381763000007
[前記化学式2中、
およびRは、それぞれ独立して、C1-C10アルキルである。]
前記化学式2で表される化合物は、前記化学式1で表される化合物の製造時に使用される出発物質であることができ、これらが組み合わされることにより、可塑化効率、移行性などが著しく向上した利点を提供する。
本発明の一実施形態によるエステル系可塑剤組成物は、試験方法による加熱減量に卓越した利点を提供する。これにより、本発明によるエステル系可塑剤は、可塑剤としての優れた物性を提供するとともに、環境にやさしい可塑剤組成物を提供することができるという利点を有する。
一例として、前記エステル系可塑剤組成物の加熱減量は2.0%以下であることができる。
一例として、前記エステル系可塑剤組成物の加熱減量は1.5%以下であることができる。
一例として、前記エステル系可塑剤組成物の加熱減量は0.01~1.4%であることができる。
本発明の一実施形態によるエステル系可塑剤組成物は、エーテルフリー可塑剤組成物であることができる。ここで、前記エーテルフリーは、前記エステル系可塑剤内に含まれたエーテル化合物が実質的に含まれないか、1,000ppm以下、100ppm以下、10ppm以下であることを意味する。
一様態である、本発明の一実施形態によるエステル系可塑剤組成物は、下記化学式2で表される化合物と多価アルコールをトランスエステル化反応させて、製造されることができる。
Figure 0007381763000008
[前記化学式2中、
およびRは、それぞれ独立して、C1-C10アルキルである。]
前記トランスエステル化反応は、多価アルコールと前記化学式2で表される化合物が反応して置換体が互いに相互交換される反応を意味する。前記トランスエステル化反応が行われると、前記多価アルコールのアルコキシドが2分子の前記化学式2のエステル基の炭素をそれぞれ攻撃し、前記化学式1の化合物を形成する。また、反応が行われていない未反応の部分として前記化学式2の化合物が残っていることがある。
また、前記トランスエステル化反応は、酸-アルコール間のエステル化反応と比較して、廃水の問題が引き起こされない利点があり、無触媒下でも行われることができる。
上述のように、本発明によるエステル系可塑剤組成物は、互いに異なる構造的特徴を有するアルコールの組み合わせから誘導された置換体を有することにより、これより製造されたエステル系可塑剤が耐移行性と耐揮発性などに驚くほどに向上した相乗効果を奏する。このような相乗効果は、前記化学式1のエステル基と前記化学式2のエステル基との水素結合などの相互作用によって可塑剤が塩化ビニル樹脂の外部に流出しないようにすることによるものと予想されるが、このような特徴に本発明によるエステル系可塑剤組成物の相乗効果が依存するものではない。
一様態である、本発明の一実施形態によるエステル系可塑剤組成物は、テレフタレートを基本構造にする下記化学式3の化合物を水素化反応して、製造されることができる。
Figure 0007381763000009
[前記化学式3中、
およびRは、それぞれ独立して、C1-C10アルキルであり、
は、C1-C10アルキレンであり、前記アルキレンの非隣接-CH-は、Oが互いに直接連結されない方式に代えられてもよい。]
前記水素化反応は、金属触媒の存在下で水素化反応させることで行われることができ、その反応は、一種の還元反応であることができる。この場合、前記金属触媒は、水素化反応が可能なものであれば制限なく使用可能であり、その非限定的な一例としては、Rh/C触媒、Pt触媒、Pd触媒などが挙げられる。
上述の本発明によるエステル系可塑剤組成物の製造方法によると、可塑剤の分子量が向上し、樹脂との相互作用が可能な官能基、すなわち、エステル基の数を増加させる。一般的に、可塑剤は、分子量、構造的特徴などによって耐老化物性などが左右され、可塑剤の分子量が大きいほど耐老化物性には優れるが、樹脂との相溶性が低下する傾向にある。しかし、本発明によると、耐老化物性は言うまでもなく、樹脂との相溶性を同時に向上させることができるという点で従来技術の傾向によらない。
また、本発明によると、少なくとも二つ以上の化合物が混合された様態のエステル系可塑剤組成物が提供される。これは、耐移行性と耐揮発性に卓越した相乗効果を発揮する。具体的には、本発明の一実施形態によるエステル系可塑剤組成物は、前記化学式1で表されるエステル系化合物から選択される少なくとも1種および前記化学式2で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物が混合された様態であることができる。
一例として、本発明による製造方法により製造されたエステル系可塑剤組成物は、シクロヘキサンジエステル(DEHCH)単一化合物に比べて、最大50%以下の水準の加熱減量を示すことができる。この場合、前記加熱減量は、120℃で72時間加熱した後、常温で測定した初期試験片の重量に対して測定した加熱減量の割合であることができる。
一例として、前記エステル系可塑剤組成物の加熱減量は、2.0%以下であることができる。
一例として、前記エステル系可塑剤組成物の加熱減量は、1.5%以下であることができる。
一例として、前記エステル系可塑剤組成物の加熱減量は、0.01~1.4%であることができる。
一例として、本発明による製造方法により製造されたエステル系可塑剤組成物は、シクロヘキサンジエステル(DEHCH)単一化合物に比べて著しく低い移行量を示すことができる。この場合、前記移行量は、下記評価方法によって重量を測定し、(Wq2-Wq1)/Wi×100で計算されることができる。
また、本発明による製造方法により製造されたエステル系可塑剤組成物は、加熱減量および移行量が改善し、且つ引張強度、伸び率および耐熱老化性(例えば、加熱後の引張残率、伸び残率など)に優れる。
本発明の一実施形態によるエステル系可塑剤組成物の製造方法において、前記多価アルコールは、前記化学式1で表される化合物100重量部に対して、0.1~50重量部含まれることができ、具体的には0.5~30重量部、より具体的には1~20重量部含まれることができる。
このような重量比を満たす場合、樹脂内の移行量が著しく低下した可塑剤組成物を提供することができ好ましい。また、未反応で存在するアルコールまたは副生成物として生成されるエーテル化合物の含量を減少させ、工程効率を高める。また、工程効率が高く、加工性および吸収速度に優れたエステル系可塑剤組成物を取得する効果がある。
本発明の一実施形態によるエステル系可塑剤組成物の製造方法において、前記多価アルコールの使用量によって、目的とするエステル系可塑剤組成物の組成および物性を制御することができる。
本発明の一実施形態によるエステル系可塑剤組成物の製造方法において、前記化学式1のRおよびRは、それぞれ独立して、C3-C10分岐鎖アルキルであることができ、好適な硬度を実現し、樹脂の機械的物性が利点を提供することができる面で、好ましくは、1-エチルヘキシル、2-エチルヘキシルまたはこれらの組み合わせであることができる。
本発明の一実施形態によるエステル系可塑剤組成物の製造方法において、前記多価アルコールは、炭素数2~10のアルキレン基を含む化合物であることができる。その非限定的な一例としては、グリセロール、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、3-メチレンペンタン-1,5-ジオール、1,7-プタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオールおよび2-メチルオクタン-1,8-ジオールなどから選択されることができる。
本発明の一実施形態によるエステル系可塑剤組成物の製造方法において、前記ステップは、Sn系またはTi系を含む有機金属触媒、スルホン酸系または硫酸系を含む酸触媒、またはこれらの混合触媒下で行われることができる。この場合、前記触媒の使用量は、制限されず、通常の触媒使用量で使用されることができる。
一例として、前記有機金属触媒において、Ti系有機金属触媒は、テトラメチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラ-イソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラペンチルチタネート、テトラヘキシルチタネート、テトラ-オクチルチタネート、テトラノニルチタネート、テトラドデシルチタネート、テトラヘキサデシルチタネート、テトラ-オクタデシルチタネート、テトラデシルチタネートおよびテトラへプチルチタネートなどのテトラアルキルチタネート;およびテトラフェニルチタネートなどのテトラアリールチタネート;から選択されることができる。
一例として、前記酸触媒は、硫酸パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸およびブタンスルホン酸などから選択されることができる。
一例として、前記触媒は、通常の使用量で使用可能であることは言うまでもなく、具体的には、テレフタル酸、1価アルコールおよび多価アルコールの全重量100重量部に対して、0.01~1重量部使用されることが好ましいが、これに限定されるものではない。
本発明の一実施形態によるエステル系可塑剤組成物の製造方法において、前記ステップは、無触媒下で行われ得ることは言うまでもない。
本発明の一実施形態によるエステル系可塑剤組成物の製造方法において、前記ステップは、前記化学式2で表される化合物および多価アルコールを一括仕込みして行われることができる。また、前記化学式2で表される化合物および多価アルコールの混合物を連続して投入する連続仕込みにより行われ得ることは言うまでもない。
本発明の一実施形態によるエステル系可塑剤組成物の製造方法において、前記ステップは、80℃以上の反応温度下でトランスエステル化反応が開始されることができる。
一例として、前記ステップの反応温度は、135℃以上であることができる。
一例として、前記ステップの反応温度は、150℃以上であることができる。
一例として、前記ステップの反応温度は、170~270℃であることができる。
一例として、前記ステップは、互いに異なる反応温度下で多ステップで行われることができる。具体的には、170~200℃の反応温度下で行われる第1ステップと、210~250℃の反応温度下で行われる第2ステップとを含むことができる。
一例として、前記ステップは、上述の反応温度下で10分~24時間行われることができ、目的に応じて反応時間は適切に調節され得ることは言うまでもない。
また、前記ステップは、不活性雰囲気下で行われることができる。前記不活性雰囲気は、窒素、アルゴンなどから選択される不活性ガス雰囲気を意味する。
本発明の一実施形態によるエステル系可塑剤組成物の製造方法は、前記ステップの後、未反応のアルコール、反応副生成物またはこれらを回収するステップなどを含む精製ステップをさらに含むことができる。このような、精製ステップにより回収された未反応のアルコールは、再使用可能であり、これにより、継続して反応ステップにおいて使用されて、より経済的な工程を提供することができるという利点を提供する。
前記未反応のアルコールを回収するステップは、未反応で存在する多価アルコールは言うまでもなく、反応副生成物であるアルコールを除去するステップであることができ、沸点の差を用いる蒸留ステップであることができる。このような蒸留ステップによる場合、分離しようとする物質の沸点の差が、好ましくは10℃以上の差を有することが好ましい。また、前記蒸留は、多段蒸留または混合蒸留であることができる。前記多段蒸留の場合、分離しようとする物質それぞれの沸点の差によって個別に分離する方法であることができ、前記混合蒸留の場合、分離しようとする物質を同時に蒸留する方法であることができる。
また、本発明では、上述の製造方法から製造されたエステル系化合物を含むエステル系可塑剤組成物が提供される。
具体的には、本発明によるエステル系可塑剤組成物は、下記化学式1および化学式2で表される化合物を含むことができる。具体的には、前記エステル系可塑剤組成物は、前記化学式1で表されるエステル系化合物を30重量%以上含むことができる。
Figure 0007381763000010
Figure 0007381763000011
[前記化学式1および化学式2中、
およびRは、それぞれ独立して、C1-C10アルキルであり、
は、C1-C10アルキレンであり、前記アルキレンの非隣接-CH-は、Oが互いに直接連結されない方式に代えられてもよい。]
一例として、前記化学式1および化学式2において、前記RおよびRは、それぞれ独立して、C3-C10アルキルであり、前記Lは、C2-C6アルキレンであることができる。
一例として、前記化学式1および化学式2において、前記RおよびRは、それぞれ独立して、C3-C10アルキルであり、前記Lは、下記化学式Aで表される構造から選択されてもよい。
Figure 0007381763000012
[前記化学式A中、
およびLは、それぞれ独立して、エチレンまたはプロピレンであり、
Yは、Oであり、
aは、1または2の整数である。]
一例として、前記化学式1および化学式2において、前記RおよびRは、それぞれ独立して、C3-C10分岐鎖アルキルであることができる。
一例として、前記化学式1および化学式2において、前記RおよびRは、それぞれ独立して、C5-C10分岐鎖アルキルであり、前記Lは、C2-C6直鎖アルキレンであることができる。
本発明の一実施形態によるエステル系可塑剤組成物は、エーテルフリー可塑剤であることができる。この場合、前記エーテルフリーは、前記エステル系可塑剤内に含まれたエーテル化合物が実質的に含まれないか、1,000ppm以下、100ppm以下、10ppm以下であることを意味する。
本発明の一実施形態によるエステル系可塑剤組成物は、従来、可塑剤、すなわちシクロヘキサンジエステル(DEHCH)などの可塑剤を含むが、これらより引き起こされ得る可塑化効率、移行性などの品質の劣化を解消することができる。また、これより製造された試験片の加熱減量に卓越した利点を提供する。このような結果として、本発明によるエステル系可塑剤は、可塑剤としての優れた物性を提供し、且つ現在、環境的な問題を引き起こしている従来の可塑剤の問題を解決したという点で意味がある。すなわち、本発明は、環境にやさしい可塑剤組成物を提供することができるという利点を提供する。
また、本発明の一実施形態によるエステル系可塑剤組成物は、上述の低分子可塑剤の問題点は言うまでもなく、既存の高分子可塑剤が有している問題点まで解決することができる。具体的には、本発明によるエーテル系可塑剤組成物は、約600以上の分子量を有するにもかかわらず、上述の低分子可塑剤と同等水準の硬度を実現する。これにより、塩化ビニル系樹脂などの耐熱樹脂との加工性に悪い影響を及ぼさず、高い可塑化効率を実現する。
より具体的には、本発明によると、前記化学式2で表される化合物を20重量%以下で含むエステル系可塑剤組成物を提供することができる。
最も具体的には、本発明によると、前記化学式2で表される化合物を18重量%以下で含むエステル系可塑剤組成物を提供することができる。
本発明は、上述の本発明によるエステル系可塑剤組成物を含む塩化ビニル系樹脂組成物が提供される。具体的には、前記塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、前記エステル系可塑剤組成物を5~100重量部含むことができる。
一例として、前記塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、前記エステル系可塑剤組成物を10~80重量部含むことができる。
一例として、前記塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、前記エステル系可塑剤組成物を30~60重量部含むことができる。
本発明の一実施形態による塩化ビニル系樹脂組成物は、熱安定剤および充填剤などから選択される添加剤をさらに含むことができる。
前記熱安定剤は、Ca、Zn、Al、Mgなどから選択される二つ以上を含む複合熱安定剤であることができる。
一例として、前記熱安定剤は、前記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、1~15重量部含むことができる。具体的には3~12重量部、より具体的には5~10重量部含むことができる。上述の含量で使用される場合、熱安定性の向上に役立つ。また、本発明によるエステル系可塑剤および塩化ビニル系樹脂との相溶性および相乗効果に優れることから、他の安定剤よりも著しい効果を示す。また、ベンゾフェノール、トリアゾールおよびアクリロニトリルなどから選択される非金属安定剤をさらに含むこともできる。
前記充填剤は、塩化ビニル系樹脂組成物の生産性、乾燥状態の感触(Dry touch感)を向上させることができる。このような充填剤は、炭酸カルシウム、クレイ、タルク(Talc)および珪藻土などから選択されることができる。
一例として、前記充填剤は、前記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して5~100重量部含むことができる。また、目的に応じて、前記充填剤は、前記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して100重量部超の使用量で使用可能であることは言うまでもない。
本発明の一実施形態による塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂に対する吸収速度と短い溶融時間を有することから樹脂の加工性を高める。また、本発明による塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂をはじめ、アクリル樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂およびポリエステル樹脂などから選択される耐熱樹脂を含むことができ、それ以外にも、様々な高分子樹脂を含むことができる。
本発明による塩化ビニル系樹脂組成物は、電線被覆材として作製される時に、特に低い加熱減量および耐移行性を実現する。また、優れた加熱後の伸び残率および引張残率を有する。特に、本発明による塩化ビニル系樹脂組成物は、ASTM D638試験方法に準じて、120℃で72時間加熱した後、測定した長さと、常温で測定した初期長さに基づいて計算した初期長さに対する加熱後の伸び残率が80%以上、具体的には90%以上であり、より具体的には95%以上までも達成可能である。また、120℃で72時間加熱した後、常温で測定した初期の重量に対して測定した加熱減量の割合が、2.0%以下、具体的には1.5%以下、より具体的には1.4%以下まで達成可能である。
また、本発明による塩化ビニル系樹脂組成物は、目的に応じて、様々な様態の処方に適用されることができる。一例として、コンパウンド処方、シート処方およびプラスチゾル処方などが挙げられる。
また、本発明では、上述の塩化ビニル系樹脂組成物から製造される成形物が提供される。前記成形物は、目的による用途および形態によって様々な様態に適用可能であることは言うまでもない。具体的には、前記成形物は、電線被覆材などであることができる。また、底材、壁紙、ターポリン、人造皮革、おもちゃまたは自動車下部コーティング材などであることができる。特に、本発明によると、可塑剤の移行性が改善し、環境的な問題を引き起こさず、非常に有利な利点を提供する。
以下、実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、本発明を詳細に説明するための一つの参照であって、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な形態に実現されることができる。また他に定義されない限り、すべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者の一人によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。また、本発明において説明に使用される用語は、単に特定の実施例を効果的に記述するためのものであって、本発明を制限することを意図しない。
また、本発明において他に言及しない限り、温度は、すべて℃単位を意味し、常温は、25℃を意味する。
(評価方法)
1)硬度(ASTM D2240):
それぞれの試験片に対して、ASTM D2240方法に準じて硬度計(ASKER CL-150、単位Shore A)を使用して、硬度試験機(「A」type)の針を完全に下ろした後、10秒後に示された常温での硬度値を読み取る。硬度は、それぞれの試験片に対して5か所を試験した後、平均値を計算した。
2)引張強度、伸び率[ASTM D638]:
それぞれの試験片に対して、テスト機器であるU.T.Mを用いて、200mm/分のクロスヘッドスピード(cross head speed)で引っ張った後、試験片が切断する地点の引張強度と伸び率を測定した。引張強度(kgf/cm)の計算は、ロード(load)値(kgf)/厚さ(cm)×幅(cm)で計算し、伸び率(%)は、エクステンション(extension)/初期長さ×100で計算した。前記測定は、常温で行われる。
また、ギアオーブンを用いて、120℃で72時間放置した後、伸び率と引張強度を同じ方法で測定した。常温でのASTM D638方法の結果を加熱後の結果で除して%値を取得し、これを引張残率および伸び残率として示した。
3)耐移行性:
それぞれの試験片を径3cmの円形に切り出した後、小数点第4位まで初期の重量(Wi)を測定した。初期の重量(Wq1)が測定された3M油紙(55mm×85mm)の間に試験片を挟んだ後、5kgの荷重を加えた状態で、70℃のオーブンで4日間放置した後、試験片を取り出し、試験片の重量および油紙の重量(Wq2)を測定し、移行量の計算は、(Wq2-Wq1)/Wi×100で行った。この場合、前記移行量は、可塑剤の流出量(%)を意味する。
4)加熱減量:
それぞれの試験片に対して、小数点第4位まで初期の重量(Wi)を測定した。120℃のオーブンにクランプを用いて試験片を固定させ、72時間後、試験片を取り出し、恒温槽(25℃)で4時間以上保管した後、試験片の重量(Wo)を測定し、加熱減量の計算は、(Wi-Wo)/Wi×100で行った。
(実施例1)
温度センサ、機械式撹拌機、凝縮器、デカンタ(Decantor)および窒素注入装置が設置された1L反応器に、シクロヘキサンジエステル(ハンファケミカルEco-DEHCH)500gおよび1,4-ブタンジオール(1,4-Butanediol)55.4gを投入した後、窒素条件下で撹拌させて220度まで昇温させた。昇温後、TNBT(Tetra N-butyl Titanate)を0.2g投入して220度に加温して8時間トランスエステル化反応を行った。反応が完了すると、90度まで冷却した後、アルカリ溶液(1M NaOH solution)を投入した後、珪藻土を用いてフィルタリングした。次に、回転蒸発濃縮器を用いて、未反応のアルコール、水、不純物を除去し、最終生成物であるエステル可塑剤組成物を取得した。
取得したエステル可塑剤組成物に対して、GPC分析により、全重量に対するDEHCHの含量(%)を確認した。その結果は下記表1に図示した。
また、前記製造方法により製造されたエステル系可塑剤組成物を用いて試験片を作製した。試験片の作製は、PVC(重合度1000)400gに可塑剤200g、複合熱安定剤(RUP-110)32gおよび炭酸カルシウム80gを配合してロールミルを170℃で3分間作業し、1mmのシートを作製した。次に、プレス作業を180℃で予熱3分、加熱9分、冷却3分間行った後、厚さ3mmの試験片を作製した。
前記試験片を使用して、前記評価方法により測定された物性結果を下記表1および表2に図示した。
(実施例2~実施例4)
前記実施例1の製造方法と同様に行うが、多価アルコールの投入量を下記表1のように変更し、最終生成物であるエステル可塑剤組成物を取得した。
取得したエステル可塑剤組成物に対して、GPC分析により、全重量に対するDEHCHの含量(%)を確認し、その結果を下記表1に図示した。
また、前記実施例1と同じ方法で試験片を作製し、前記評価方法により測定された物性結果を下記表1および表2に図示した。
(比較例1)
商用のシクロヘキサンジエステル(ハンファケミカルEco-DEHCH)を用いた。
前記実施例1と同じ方法で試験片を作製し、前記評価方法により測定された物性結果を下記表1および表2に図示した。
Figure 0007381763000013
Figure 0007381763000014
前記表1に図示したように、本発明によるエステル系化合物を含む可塑剤組成物を採用する場合、耐移行性および加熱減量に卓越した効果を発揮することが分かる。具体的には、本発明によると、比較例1に比べて28.6%以下の移行量(実施例1)を実現するだけでなく、移行量が実質的にほとんど確認されないことを確認した。また、比較例1に比べて53.1%以下の加熱減量(実施例1)を実現するだけでなく、28.6%水準の著しく低い加熱減量を実現することができることを確認した。また、本発明によると、比較例1で使用したシクロヘキサンジエステル(ハンファケミカルEco-DEHCH)と同等以上の引張強度および伸び率を実現することができ、その代わりに使用可能な素材として有用に適用されることができると期待される。
前記表2に図示したように、本発明によるエステル系化合物を含む可塑剤組成物を採用する場合、シクロヘキサンジエステル(ハンファケミカルEco-DEHCH)と同等以上の引張強度および伸び率を実現することができることは言うまでもなく、引張残率および伸び残率においても利点を提供することができる。
以上のように、本発明では、特定された事項と限定された実施例および比較例によって説明しているが、これは、本発明のより全般的な理解を容易にするために提供されたものであって、本発明は前記の実施例に限定されるものではなく、本発明が属する分野において通常の知識を有する者であれば、このような記載から様々な修正および変形が可能である。
したがって、本発明の思想は、上述の実施例に限定して定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、本特許請求の範囲と均等または等価的な変形があるすべてのものなどは、本発明の思想の範疇に属するといえる。

Claims (15)

  1. 下記化学式1で表される化合物。
    Figure 0007381763000015
    前記化学式1中、
    およびRは、それぞれ独立して、C1-C10アルキルであり、
    は、C1-C10アルキレンであり、前記アルキレンの非隣接-CH-は、Oが互いに直接連結されない方式に代えられてもよい、前記化学式1で表される化合物。
  2. 前記化学式1において、前記RおよびRは、それぞれ独立して、C3-C10アルキルであり、前記 は、C2-C6アルキレンである、請求項1に記載の化合物。
  3. 前記化学式1において、前記RおよびRは、それぞれ独立して、C3-C10アルキルであり、前記 は、下記化学式Aで表される構造から選択され、
    Figure 0007381763000016
    前記化学式A中、
    およびLは、それぞれ独立して、エチレンまたはプロピレンであり、
    Yは、Oであり、
    aは、1または2の整数である、請求項1に記載の化合物。
  4. 前記化学式1において、前記RおよびRは、それぞれ独立して、C3-C10分岐鎖アルキルである、請求項1に記載の化合物。
  5. 前記化学式1で表される化合物を含む、エステル系可塑剤組成物であって、
    Figure 0007381763000017
    前記化学式1中、
    およびRは、それぞれ独立して、C1-C10アルキルであり、
    は、C1-C10アルキレンであり、前記アルキレンの非隣接-CH-は、Oが互いに直接連結されない方式に代えられてもよい、エステル系可塑剤組成物。
  6. 前記エステル系可塑剤組成物の全重量に対して、前記化学式1で表される化合物を30重量%以上含む、請求項5に記載のエステル系可塑剤組成物。
  7. 下記化学式2で表される化合物と多価アルコールをトランスエステル化反応させて、下記化学式1で表される化合物を含む、エステル系可塑剤組成物を製造する方法であって、
    Figure 0007381763000018
    Figure 0007381763000019
    前記化学式1および化学式2中、
    およびRは、それぞれ独立して、C1-C10アルキルであり、
    は、C1-C10アルキレンであり、前記アルキレンの非隣接-CH-は、Oが互いに直接連結されない方式に代えられてもよい、エステル系可塑剤組成物を製造する方法。
  8. 前記多価アルコールは、
    炭素数2~10のアルキレン基を含む化合物である、請求項7に記載のエステル系可塑剤組成物を製造する方法。
  9. 前記エステル系可塑剤組成物の全重量に対して、前記化学式1で表される化合物を30重量%以上含む、請求項7に記載のエステル系可塑剤組成物を製造する方法。
  10. 前記エステル系可塑剤組成物の全重量に対して、下記化学式2で表される化合物を残量として含む、エステル系可塑剤組成物を製造する方法であって、
    Figure 0007381763000020
    前記化学式2中、
    およびRは、それぞれ独立して、C1-C10アルキルである、請求項9に記載のエステル系可塑剤組成物を製造する方法。
  11. 請求項5または請求項6に記載のエステル系可塑剤組成物を含む、塩化ビニル系樹脂組成物。
  12. 前記エステル系可塑剤組成物は、
    塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、5~100重量部含まれる、請求項11に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  13. 熱安定剤、充填剤またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項11に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  14. ASTM D638試験方法に準じて、120℃で72時間加熱した後、常温で測定した初期試験片の重量に対して測定した加熱減量の割合が2.0%以下である、請求項11に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  15. 請求項11に記載の塩化ビニル系樹脂組成物から製造される成形物。
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