JP7380898B2 - 二次電池 - Google Patents

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Description

本技術は、二次電池に関する。
携帯電話機などの多様な電子機器が普及しているため、小型かつ軽量であると共に高エネルギー密度を得ることが可能である電源として、二次電池の開発が進められている。この二次電池は、正極および負極と共に電解液を備えており、その二次電池の構成に関しては、様々な検討がなされている。
具体的には、内部抵抗を低減させるために、スルホン酸化合物に由来する所定量の被膜が正極活物質の表面に形成されていると共に、スルホン酸化合物およびビニレンカーボネートに由来する所定量の混合比膜が負極活物質の表面に形成されている(例えば、特許文献1参照。)。
同様に、内部抵抗を低減させるために、スルホン酸骨格を有するリチウム塩に由来する所定量の被膜が正極活物質の表面に形成されていると共に、ビニレンカーボネートに由来する所定量の被膜が負極活物質の表面に形成されている(例えば、特許文献2参照。)。
高温保存時のガス発生量を低減させるために、ジスルホン酸ジリチウム塩に由来する第1被膜が正極活物質の表面に形成されていると共に、ジスルホン酸ジリチウム塩およびビニレンカーボネートに由来する所定量の第2被膜が負極活物質の表面に形成されている(例えば、特許文献3参照。)。
長期保存に伴う抵抗増加を抑制するために、所定量の硫黄元素を含む被膜が正極活物質の表面に形成されている(例えば、特許文献4参照。)。
サイクル特性および保存特性を向上させるために、-S(=O)2 -O-S(=O)2 -を有する環状のスルホン化合物が電解液に含有されている(例えば、特許文献5参照。)。
特開2008-098053号公報 特開2014-232705号公報 特開2016-091724号公報 特開2017-010637号公報 特開2019-016483号公報
二次電池の性能を改善するために様々な検討がなされているが、その二次電池の電気抵抗特性およびサイクル特性は未だ十分でないため、改善の余地がある。
よって、優れた電気抵抗特性および優れたサイクル特性を得ることが可能である二次電池が望まれている。
本技術の一実施形態の二次電池は、正極と、負極と、その負極に接続された負極配線と、電解液とを備えたものである。負極は、負極活物質層と、その負極活物質層の表面を被覆する被膜とを含む。被膜は硫黄を構成元素として含み、電解液は鎖状カルボン酸エステルを含む。負極配線から遠ざかる方向において被膜を第1被膜部、第2被膜部および第3被膜部に3等分した際、その第1被膜部および第3被膜部のうちの少なくとも一方における硫黄の含有量は11μmol/m2 以上22μmol/m2 以下であり、その第2被膜部における硫黄の含有量は7μmol/m2 以上13μmol/m2 以下であり、その第2被膜部における硫黄の含有量に対する第1被膜部および第3被膜部のうちの少なくとも一方における硫黄の含有量の比は1.2以上2.1以下である。
本技術の一実施形態の二次電池によれば、負極の被膜が硫黄を構成元素として含んでおり、電解液が鎖状カルボン酸エステルを含んでいる。また、被膜(第1被膜部、第2被膜部および第3被膜部)では、第1被膜部および第3被膜部のうちの少なくとも一方における硫黄の含有量と、第2被膜部における硫黄の含有量と、第2被膜部における硫黄の含有量に対する第1被膜部および第3被膜部のうちの少なくとも一方における硫黄の含有量の比とに関して上記した条件が満たされている。よって、優れた電気抵抗特性および優れたサイクル特性を得ることができる。
なお、本技術の効果は、必ずしもここで説明された効果に限定されるわけではなく、後述する本技術に関連する一連の効果のうちのいずれの効果でもよい。
本技術の一実施形態における二次電池の構成を表す斜視図である。 図1に示した電池素子の構成を表す断面図である。 図2に示した負極の構成を表す平面図である。 本技術の一実施形態における二次電池の製造工程(安定化処理)を説明するための斜視図である。 変形例1における二次電池の構成を表す斜視図である。 図5に示した電池素子の構成を表す断面図である。 図6に示した負極の構成を表す平面図である。 変形例1における二次電池の製造工程(安定化処理)を説明するための斜視図である。 二次電池の適用例の構成を表すブロック図である。
以下、本技術の一実施形態に関して、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、説明する順序は、下記の通りである。

1.二次電池
1-1.構成
1-2.物性
1-3.動作
1-4.製造方法
1-5.作用および効果
2.変形例
3.二次電池の用途
<1.二次電池>
まず、本技術の一実施形態の二次電池に関して説明する。
ここで説明する二次電池は、電極反応物質の吸蔵放出を利用して電池容量が得られる二次電池であり、正極および負極と共に、液状の電解質である電解液を備えている。この二次電池では、充電途中において負極の表面に電極反応物質が析出することを防止するために、その負極の充電容量が正極の放電容量よりも大きくなっている。すなわち、負極の単位面積当たりの電気化学容量は、正極の単位面積当たりの電気化学容量よりも大きくなるように設定されている。
電極反応物質の種類は、特に限定されないが、具体的には、アルカリ金属およびアルカリ土類金属などの軽金属である。アルカリ金属は、リチウム、ナトリウムおよびカリウムなどであると共に、アルカリ土類金属は、ベリリウム、マグネシウムおよびカルシウムなどである。
以下では、電極反応物質がリチウムである場合を例に挙げる。リチウムの吸蔵放出を利用して電池容量が得られる二次電池は、いわゆるリチウムイオン二次電池である。このリチウムイオン二次電池では、リチウムがイオン状態で吸蔵および放出される。
<1-1.構成>
図1は、二次電池の斜視構成を表している。図2は、図1に示した電池素子20の断面構成を表している。図3は、図2に示した負極22の平面構成を表している。
ただし、図1では、外装フィルム10と電池素子20とが互いに分離された状態を示していると共に、XZ面に沿った電池素子20の断面を破線で示している。図2では、電池素子20の一部だけを示している。図3では、負極22に負極リード32が接続されている状態を示している。
この二次電池は、図1~図3に示したように、外装フィルム10と、電池素子20と、正極リード31および負極リード32と、封止フィルム41,42とを備えている。ここで説明する二次電池は、可撓性(または柔軟性)を有する外装フィルム10を用いたラミネートフィルム型の二次電池である。
[外装フィルムおよび封止フィルム]
外装フィルム10は、図1に示したように、電池素子20を収納する可撓性の外装部材であり、その電池素子20が内部に収納された状態において封止された袋状の構造を有している。このため、外装フィルム10は、後述する正極21および負極22と共に電解液を収納している。
ここでは、外装フィルム10は、1枚のフィルム状の部材であり、折り畳み方向Fに向かって折り畳み可能である。この外装フィルム10には、電池素子20を収容するための窪み部10U(いわゆる深絞り部)が設けられている。
具体的には、外装フィルム10は、融着層、金属層および表面保護層が内側からこの順に積層された3層のラミネートフィルムであり、その外装フィルム10が折り畳まれた状態では、互いに対向する融着層のうちの外周縁部同士が互いに融着されている。融着層は、ポリプロピレンなどの高分子化合物を含んでいる。金属層は、アルミニウムなどの金属材料を含んでいる。表面保護層は、ナイロンなどの高分子化合物を含んでいる。
ただし、外装フィルム10の構成(層数)は、特に、限定されないため、1層または2層でもよいし、4層以上でもよい。また、外装フィルム10が多層のラミネートフィルムである場合、各層の材質は任意に選択可能である。
封止フィルム41は、外装フィルム10と正極リード31との間に挿入されていると共に、封止フィルム42は、外装フィルム10と負極リード32との間に挿入されている。ただし、封止フィルム41,42のうちの一方または双方は、省略されてもよい。
この封止フィルム41は、外装フィルム10の内部に外気などが侵入することを防止する封止部材である。また、封止フィルム41は、正極リード31に対して密着性を有するポリオレフィンなどの高分子化合物を含んでおり、そのポリオレフィンは、ポリプロピレンなどである。
封止フィルム42の構成は、負極リード32に対して密着性を有する封止部材であることを除いて、封止フィルム41の構成と同様である。すなわち、封止フィルム42は、負極リード32に対して密着性を有するポリオレフィンなどの高分子化合物を含んでいる。
[電池素子]
電池素子20は、図1~図3に示したように、正極21と、負極22と、セパレータ23と、電解液(図示せず)とを含む発電素子であり、外装フィルム10の内部に収納されている。
ここでは、電池素子20は、いわゆる巻回電極体である。すなわち、電池素子20では、正極21および負極22がセパレータ23を介して互いに積層されていると共に、Y軸方向に延在する仮想軸である巻回軸Pを中心として正極21、負極22およびセパレータ23が巻回されている。これにより、正極21および負極22は、セパレータ23を介して互いに対向しながら巻回されている。
電池素子20の立体的形状は、特に限定されない。ここでは、電池素子20は、扁平状であるため、巻回軸Pと交差する電池素子20の断面(XZ面に沿った断面)は、長軸J1および短軸J2により規定される扁平形状を有している。この長軸J1は、X軸方向に延在すると共に短軸J2よりも大きい長さを有する仮想軸であると共に、短軸J2は、X軸方向と交差するZ軸方向に延在すると共に長軸J1よりも小さい長さを有する仮想軸である。ここでは、電池素子20の立体的形状は、扁平な円筒状であるため、その電池素子20の断面の形状は、扁平な略楕円形状である。
(正極)
正極21は、図2に示したように、正極集電体21Aおよび正極活物質層21Bを含んでいる。
正極集電体21Aは、正極活物質層21Bが設けられる一対の面を有しており、その正極活物質層21Bを支持している。この正極集電体21Aは、金属材料などの導電性材料を含んでおり、その金属材料は、アルミニウムなどである。
ここでは、正極活物質層21Bは、正極集電体21Aの両面に設けられており、リチウムを吸蔵放出可能である正極活物質のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。ただし、正極活物質層21Bは、正極集電体21Aの片面だけに設けられていてもよい。また、正極活物質層21Bは、さらに、正極結着剤および正極導電剤などの他の材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。正極活物質層21Bの形成方法は、特に限定されないが、具体的には、塗布法などのうちのいずれか1種類または2種類以上である。
正極活物質の種類は、特に限定されないが、具体的には、リチウム含有化合物などである。このリチウム含有化合物は、リチウムと共に1種類または2種類以上の遷移金属元素を構成元素として含む化合物であり、さらに、1種類または2種類以上の他元素を構成元素として含んでいてもよい。他元素の種類は、リチウムおよび遷移金属元素のそれぞれ以外の元素であれば、特に限定されないが、具体的には、長周期型周期表中の2族~15族に属する元素である。リチウム含有化合物の種類は、特に限定されないが、具体的には、酸化物、リン酸化合物、ケイ酸化合物およびホウ酸化合物などである。
酸化物の具体例は、LiNiO2 、LiCoO2 、LiCo0.98Al0.01Mg0.012 、LiNi0.5 Co0.2 Mn0.3 2 、LiNi0.8 Co0.15Al0.052 、LiNi0.33Co0.33Mn0.332 、Li1.2 Mn0.52Co0.175 Ni0.1 2 、Li1.15(Mn0.65Ni0.22Co0.13)O2 およびLiMn2 4 などである。リン酸化合物の具体例は、LiFePO4 、LiMnPO4 、LiFe0.5 Mn0.5 PO4 およびLiFe0.3 Mn0.7 PO4 などである。
正極結着剤は、合成ゴムおよび高分子化合物などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。合成ゴムは、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムおよびエチレンプロピレンジエンなどである。高分子化合物は、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミドおよびカルボキシメチルセルロースなどである。
正極導電剤は、炭素材料などの導電性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、その炭素材料は、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックおよびケッチェンブラックなどである。ただし、導電性材料は、金属材料および高分子化合物などでもよい。
(負極)
負極22は、図2に示したように、負極集電体22A、負極活物質層22Bおよび被膜22Cを含んでいる。
負極集電体22Aは、負極活物質層22Bが配置される一対の面を有しており、その負極活物質層22Bを支持している。この負極集電体22Aは、金属材料などの導電性材料を含んでおり、その金属材料は、銅などである。
ここでは、負極活物質層22Bは、負極集電体22Aの両面に設けられており、リチウムを吸蔵放出可能である負極活物質のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。ただし、負極活物質層22Bは、負極集電体22Aの片面だけに設けられていてもよい。また、負極活物質層22Bは、さらに、負極結着剤および負極導電剤などの他の材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。負極活物質層22Bの形成方法は、特に限定されないが、具体的には、塗布法、気相法、液相法、溶射法および焼成法(焼結法)などのうちのいずれか1種類または2種類以上である。
負極活物質の種類は、特に限定されないが、具体的には、炭素材料および金属系材料のうちの一方または双方などである。高いエネルギー密度が得られるからである。炭素材料の具体例は、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素および黒鉛(天然黒鉛および人造黒鉛)などである。金属系材料は、リチウムと合金を形成可能である金属元素および半金属元素のうちのいずれか1種類または2種類以上を構成元素として含む材料の総称であり、その金属元素および半金属元素は、ケイ素およびスズのうちの一方または双方などである。この金属系材料は、単体でもよいし、合金でもよいし、化合物でもよいし、それらの2種類以上の混合物でもよいし、それらの2種類以上の相を含む材料でもよい。金属系材料の具体例は、TiSi2 およびSiOx (0<x≦2、または0.2<x<1.4)などである。
負極結着剤および負極導電剤のそれぞれに関する詳細は、正極結着剤および正極導電剤のそれぞれに関する詳細と同様である。
被膜22Cは、負極活物質層22Bの表面を被覆している。この場合において、被膜22Cは、負極活物質層22Bの表面のうちの全体を被覆していてもよいし、その負極活物質層22Bの表面のうちの一部だけを被覆していてもよい。ただし、後者の場合には、互いに離隔された複数の被膜22Cが負極活物質層22Bの表面を被覆していてもよい。図2では、被膜22Cが負極活物質層22Bの表面のうちの全体を被覆している場合を示している。
この被膜22Cは、後述するように、二次電池の製造工程において、組み立て後の二次電池の安定化処理(最初の充放電処理)を用いて負極活物質層22Bの表面に形成されており、硫黄を構成元素として含んでいる。
ここでは、後述するように、電解液が硫黄含有化合物を含んでいる。これにより、被膜22Cは、上記した安定化処理時において電解液中の硫黄含有化合物が分解および反応するため、その硫黄含有化合物に由来する硫黄を構成元素として含んでいる。この硫黄含有化合物は、硫黄を構成元素として含む化合物の総称であり、硫黄の供給源となる物質である。この硫黄含有化合物の詳細に関しては、後述する。
この二次電池では、電気抵抗特性およびサイクル特性のそれぞれを改善するために、被膜22Cに関して所定の物性条件が満たされている。この被膜22Cの物性の詳細に関しては、後述する。
(セパレータ)
セパレータ23は、図2に示したように、正極21と負極22との間に介在している絶縁性の多孔質膜であり、その正極21と負極22との接触(短絡)を防止しながらリチウムイオンを通過させる。このセパレータ23は、ポリエチレンなどの高分子化合物を含んでいる。
(電解液)
電解液は、正極21、負極22およびセパレータ23のそれぞれに含浸されており、溶媒および電解質塩を含んでいる。
溶媒は、非水溶媒(有機溶剤)である鎖状カルボン酸エステルのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。鎖状カルボン酸エステルは低い粘度を有しているため、電解液のイオン伝導率(リチウムイオンの伝導性)が向上するからである。これにより、高レート(大きい充電電流および大きい放電電流)の充放電特性が改善されるため、二次電池が高レートで充放電されても電池容量が減少しにくくなる。非水溶媒(鎖状カルボン酸エステル)を含んでいる電解液は、いわゆる非水電解液である。
鎖状カルボン酸エステルの種類は、特に限定されないが、具体的には、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、酪酸メチル、酪酸エチルおよびイソ酪酸エチルなどである。電解液のイオン伝導率が十分に向上するからである。溶媒中における鎖状カルボン酸エステルの含有量は、特に限定されないが、具体的には、30体積%以上である。電解液のイオン伝導率がより向上するからである。
中でも、鎖状カルボン酸エステルは、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸エチルおよびプロピオン酸プロピルであることが好ましい。電解液のイオン伝導率がより向上するからである。
この溶媒は、さらに、他の非水溶媒のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。他の非水溶媒の種類は、特に限定されないが、具体的には、炭酸エステル系化合物およびラクトン系化合物などである。炭酸エステル系化合物は、環状炭酸エステルおよび鎖状炭酸エステルなどであると共に、ラクトン系化合物は、ラクトンなどである。
なお、溶媒は、硫黄含有化合物のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。二次電池の安定化処理時において、硫黄含有化合物の分解および反応に起因して硫黄を構成元素として含む被膜22Cが負極活物質層22Bの表面に形成されやすくなるからである。また、充放電時において被膜22Cの一部が分解しても、その後の充放電時において硫黄含有化合物の分解および反応に起因して被膜22Cが追加形成されやすくなるからである。
硫黄含有化合物は、上記したように、硫黄の供給源となる物質(硫黄を構成元素として含む化合物)である。この硫黄含有化合物は、環状化合物でもよいし、鎖状化合物でもよい。また、硫黄含有化合物は、不飽和炭素結結合である炭素間二重結合および炭素間三重結合のうちの一方または双方を含んでいてもよい。
硫黄含有化合物の種類は、特に限定されないが、具体的には、環状スルホン酸エステル、鎖状スルホン酸エステル、環状ジスルホン酸無水物および環状スルホン酸カルボン酸無水物などである。負極活物質層22Bの表面に被膜22Cが十分に形成されやすくなるからである。電解液中における硫黄含有化合物の含有量は、特に限定されないため、任意に設定可能である。
環状スルホン酸エステルの具体例は、プロパンスルトン(1,3-プロパンスルトン)、プロペンスルトン(1-プロペン1,3-スルトン)、4-メチル-1,3,2-ジオキサチオラン2,2-ジオキシドおよび1,3,2-ジオキサチラン2,2-ジオキシドなどである。
鎖状スルホン酸エステルの具体例は、メタンスルホン酸プロパルギル、エタンスルホン酸プロパルギルおよびベンゼンスルホン酸2-プロピニルなどである。
環状ジスルホン酸無水物は、エタンジスルホン酸無水物およびプロパンジスルホン酸無水物などである。
環状スルホン酸カルボン酸無水物の具体例は、スルホ安息香酸無水物、スルホプロピオン酸無水物およびスルホ酪酸無水物などである。
電解質塩は、リチウム塩などの軽金属塩のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。電解液中における電解質塩の含有量は、特に限定されないため、任意に設定可能である。
[正極リードおよび負極リード]
正極リード31は、図1に示したように、電池素子20(正極21)に接続された正極配線であり、外装フィルム10の内部から外部に導出されている。この正極リード31は、アルミニウムなどの導電性材料を含んでおり、その正極リード31の形状は、薄板状および網目状などのうちのいずれかである。
負極リード32は、図1および図3に示したように、電池素子20(負極22)に接続された負極配線である。負極22と負極リード32との接続状態の詳細に関しては、後述する。ここでは、負極リード32は、正極リード31の導出方向と同様の方向に向かって外装フィルム10の内部から外部に導出されている。この負極リード32は、銅などの導電性材料を含んでおり、その負極リード32の形状に関する詳細は、正極リード31の形状に関する詳細と同様である。
<1-2.物性>
この二次電池では、上記したように、電気抵抗特性およびサイクル特性のそれぞれを改善するために、硫黄を構成元素として含んでいる被膜22Cに関して所定の物性条件が満たされている。以下では、負極22と負極リード32との接続状態に関して説明したのち、被膜22Cの物性条件に関して説明する。この場合には、随時、既に説明した図2および図3を参照する。
[負極と負極リードとの接続状態]
図2に示したように、負極22は、負極集電体22A、負極活物質層22Bおよび被膜22Cを含んでいる。
この場合において、負極集電体22Aは、図3に示したように、長さ方向(X軸方向)に延在する帯状の形状を有している。ここでは、負極活物質層22Bは、負極集電体22Aの表面のうちの全体に形成されていると共に、被膜22Cは、負極活物質層22Bの表面のうちの全体を被覆している。図3では、被膜22Cに網掛けを施している。
ここでは、負極リード32は、負極22(負極集電体22A)とは別体化されている。この負極リード32は、負極22との接続面積を許容可能な範囲内において十分に小さくするために、長さ方向と交差する幅方向(Y軸方向)に延在していると共に、負極22と部分的に接続されている。これにより、負極リード32の一端部は、幅方向における負極22の一端部と重なっているため、その負極22の一端部に接続されている。なお、負極リード32の他端部は、負極22と一端部と重なっておらずに、その負極22(負極活物質層22B)よりも外側に突出している。
負極と負極リード32とが互いに重なっている領域では、負極集電体22Aの表面に負極活物質層22Bおよび被膜22Cのそれぞれが形成されていないため、その負極集電体22Aが露出している。これにより、負極リード32は、負極集電体22Aに接続されている。
巻回電極体である電池素子20において、負極リード32が負極22に接続されている位置は、特に限定されない。すなわち、負極22が巻回されている場合において、負極リード32は、巻外側において負極22に接続されていてもよいし、巻内側において負極22に接続されていてもよいし、その巻外側と巻内側との間の途中において負極22に接続されていてもよい。図3では、右側が巻外側であると共に左側が巻内側であるため、負極リード32が巻内側において負極22に接続されている場合を示している。
[物性条件]
負極22に接続されている負極リード32の位置を基準として、その負極リード32から遠ざかる方向(幅方向に沿った方向D)において、被膜22Cを3等分する。これにより、被膜22Cは、第1被膜部である被膜部22C1と、第2被膜部である被膜部22C2と、第3被膜部である被膜部22C3とに分類される。この場合において、以下で説明する3種類の物性条件が同時に満たされている。
(物性条件1)
被膜部22C1~22C3のうち、幅方向における両端部である被膜部22C1,22C3のうちの一方または双方における硫黄の含有量X(μmol/m2 )は、11μmol/m2 ~22μmol/m2 である。
すなわち、物性条件1では、被膜部22C1における硫黄の含有量Xが11μmol/m2 ~22μmol/m2 でもよいし、被膜部22C3における硫黄の含有量Xが11μmol/m2 ~22μmol/m2 でもよいし、被膜部22C1,22C3の双方における硫黄の含有量Xが11μmol/m2 ~22μmol/m2 でもよい。
この含有量Xは、後述するように、組み立て後の二次電池の安定化処理時において電池素子20の一部(被膜部22C1,22C3のうちの一方または双方)を加熱する際に、加熱温度、加熱時間および加熱後のエージング時間などの条件を変化させることにより、所望の値となるように調整可能である。また、含有量Xは、電解液中における硫黄含有化合物の含有量を変化させることによっても、所望の値となるように調整可能である。
(物性条件2)
被膜部22C1~22C3のうち、幅方向における中央部である被膜部22C2における硫黄の含有量Y(μmol/m2 )は、7μmol/m2 ~13μmol/m2 である。
この含有量Yは、電解液中における硫黄含有化合物の含有量を変化させることにより、所望の値となるように調整可能である。また、含有量Yは、含有量Xを調整する場合と同様に、二次電池の安定化処理時において電池素子20の一部(被膜部22C2)を加熱することによっても、所望の値となるように調整可能である。
(物性条件3)
含有量Yに対する含有量Xの比である含有比Zは、1.2~2.1である。この含有比Zは、含有比Z=含有量X/含有量Yという計算式に基づいて算出される。
(物性条件1~3が満たされている理由)
物性条件1~3が同時に満たされているため、被膜22Cを含んでいる負極22において、幅方向の両端部(被膜部22C1,22C3)における被膜22Cの形成量(含有量X)は、その幅方向の中央部(被膜部22C2)における被膜22Cの形成量(含有量Y)よりも大きくなっている。この場合において、含有比Zは、1.2~2.1の範囲内となるように適正化されている。
物性条件1~3が同時に満たされているのは、後述するように、電解液が鎖状カルボン酸エステルを含んでいる場合において、負極22における被膜22Cの形成量の分布が適正化されるからである。これにより、負極22において電気抵抗の増加が抑制されながら、リチウムイオンのイオン伝導性が向上するため、電気抵抗の増加抑制とイオン伝導性の向上とが両立される。ここで説明した理由の詳細に関しては、後述する。
[含有量X,Yおよび含有比Zのそれぞれ算出手順]
含有量X,Yのそれぞれは、誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma(ICP))発光分光分析法を用いて被膜22Cを分析することにより、その分析結果に基づいて算出される。また、含有比Zは、含有量X,Yのそれぞれの算出結果に基づいて、測定される。
含有量X,Yおよび含有比Zのそれぞれの具体的な算出手順は、以下で説明する通りである。
最初に、電圧が3Vに到達するまで二次電池を放電させる。放電時の電流は、特に限定されないため、任意に設定可能である。続いて、放電後の二次電池を解体することにより、負極22を回収する。続いて、洗浄用の溶媒を用いて負極22を洗浄する。洗浄用の溶媒の種類は、特に限定されないが、具体的には、炭酸ジメチルなどの有機溶剤である。続いて、円盤状(直径=19mm)となるように負極22を打ち抜くことにより、分析用の試料を得る。
続いて、ICP発光分光分析装置を用いて試料(被膜22C)を分析する。この場合には、被膜部22C1,22C3のうちの一方または双方を分析することにより、その被膜部22C1,22C3のうちの一方または双方に含まれている硫黄の含有量(μg)を測定する。このICP発光分光分析装置としては、株式会社日立ハイテクサイエンス(旧エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社)製のICP発光分光分析装置(シーケンシャル型) SPS3500などを使用可能である。続いて、上記した硫黄の含有量(μgをμmolに換算した値)と共に試料の面積(m2 )に基づいて、含有量X(μmol/m2 )を算出する。
続いて、被膜部22C1,22C3のうちの一方または双方の代わりに被膜部22C2を分析することを除いて同様の手順により、含有量Y(μmol/m2 )を算出する。
最後に、含有量X,Yに基づいて、含有比Z(=含有量X/含有量Y)を算出する。これにより、ICP発光分光分析法を用いた被膜22Cの分析結果に基づいて、含有量X,Yおよび含有比Zのそれぞれが算出される。
<1-3.動作>
二次電池の充電時には、電池素子20において、正極21からリチウムが放出されると共に、そのリチウムが電解液を介して負極22に吸蔵される。また、二次電池の放電時には、電池素子20において、負極22からリチウムが放出されると共に、そのリチウムが電解液を介して正極21に吸蔵される。これらの充放電時には、リチウムがイオン状態で吸蔵および放出される。
<1-4.製造方法>
以下で説明する手順により、二次電池を製造する。この場合には、後述するように、正極21、負極前駆体および電解液を用いて二次電池を組み立てたのち、組み立て後の二次電池の安定化処理を行う。
図4は、二次電池の製造工程(安定化処理)を説明するために、図1に対応する斜視構成を表している。ただし、図4では、巻回体20Zの加熱範囲を分かりやすくするために、外装フィルム10および封止フィルム41,42のそれぞれの図示を省略している。
[正極の作製]
正極活物質と、必要に応じて正極結着剤および正極導電剤などとを互いに混合させることにより、正極合剤とする。続いて、溶媒に正極合剤を投入することにより、ペースト状の正極合剤スラリーを調製する。この溶媒は、水性溶媒でもよいし、非水溶媒(有機溶剤)でもよい。続いて、正極集電体21Aの両面に正極合剤スラリーを塗布することにより、正極活物質層21Bを形成する。こののち、ロールプレス機などを用いて正極活物質層21Bを圧縮成型してもよい。この場合には、正極活物質層21Bを加熱してもよいし、圧縮成型を複数回繰り返してもよい。これにより、正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが形成されるため、正極21が作製される。
[負極の作製]
上記した正極21の作製手順と同様の手順により、負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bを形成する。具体的には、負極活物質と、必要に応じて負極結着剤および負極導電剤などとを互いに混合させることにより、負極合剤としたのち、溶媒に負極合剤を投入することにより、ペースト状の負極合剤スラリーを調製する。溶媒に関する詳細は、上記した通りである。続いて、負極集電体22Aの両面に負極合剤スラリーを塗布することにより、負極活物質層22Bを形成する。こののち、負極活物質層22Bを圧縮成型してもよい。これにより、負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが形成されるため、負極前駆体(図示せず)が作製される。
最後に、後述するように、負極前駆体を用いて二次電池を組み立てたのち、組み立て後の二次電池の安定化処理を行う。これにより、硫黄を構成右舷素として含む被膜22Cが負極活物質層22Bの表面に形成される。よって、負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bおよび被膜22Cが形成されるため、負極22が作製される。
(電解液の調製)
溶媒に電解質塩を投入したのち、その溶媒に硫黄含有化合物を添加する。溶媒の種類は、特に限定されないが、具体的には、非水溶媒(有機溶剤)などである。これにより、溶媒中において電解質塩および硫黄含有化合物のそれぞれが分散または溶解されるため、電解液が調製される。
(二次電池の組み立て)
最初に、溶接法などを用いて正極21(正極集電体21A)に正極リード31を接続させると共に、溶接法などを用いて負極22(負極集電体22A)に負極リード32を接続させる。
続いて、セパレータ23を介して正極21および負極前駆体を互いに積層させたのち、その正極21、負極前駆体およびセパレータ23を巻回させることにより、図4に示したように、巻回体20Zを作製する。この巻回体20Zは、負極22の代わりに負極前駆体を備えていると共に、正極21、負極前駆体およびセパレータ23のそれぞれに電解液が含浸されていないことを除いて、電池素子20の構成と同様の構成を有している。続いて、プレス機などを用いて巻回体20Zを押圧することにより、扁平形状となるように巻回体20Zを成型する。
続いて、窪み部10Uの内部に巻回体を収容したのち、外装フィルム10(融着層/金属層/表面保護層)を折り畳むことにより、その外装フィルム10同士を互いに対向させる。続いて、熱融着法などを用いて、互いに対向する外装フィルム10(融着層)のうちの2辺の外周縁部同士を互いに融着させることにより、袋状の外装フィルム10の内部に巻回体20Zを収納する。
最後に、袋状の外装フィルム10の内部に電解液を注入したのち、熱融着法などを用いて外装フィルム10(融着層)のうちの残りの1辺の外周縁部同士を互いに融着させる。この場合には、外装フィルム10と正極リード31との間に封止フィルム41を挿入すると共に、外装フィルム10と負極リード32との間に封止フィルム42を挿入する。これにより、巻回体20Zに電解液が含浸されると共に、袋状の外装フィルム10の内部に巻回体20Zが封入されるため、二次電池が組み立てられる。
(二次電池の安定化)
組み立て後の二次電池を充放電させる。環境温度、充放電回数(サイクル数)および充放電条件などの条件は、任意に設定可能である。これにより、電解液中の硫黄含有化合物が分解および反応するため、硫黄を構成元素として含む被膜22Cが負極活物質層22Bの表面に形成される。よって、負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bおよび被膜22Cが形成されることにより、負極22が作製されるため、電池素子20が作製される。
この場合には、ヒータなどの加熱機器を用いて巻回体20Zを部分的に加熱する。具体的には、図3および図4に示したように、被膜部22C1に対応する巻回部201と、被膜部22C2に対応する巻回部202と、被膜部22C3に対応する巻回部203とを含んでいる巻回体20Zのうち、巻回部201,203のうちの一方または双方を加熱する。加熱条件は、特に限定されないが、具体的には、加熱温度=60℃~80℃、加熱時間=1時間~24時間である。
この加熱処理により、巻回部201,203のうちの一方または双方では、被膜22Cの形成量が増加する。一方、加熱処理されない巻回部202では、被膜22Cの形成量が増加しない。この場合には、上記した加熱条件を変更することにより、含有量X,Yのそれぞれを制御可能であるため、含有比Zも制御可能である。
よって、組み立て後の二次電池の状態が電気化学的に安定化するため、外装フィルム10を用いた二次電池、すなわちラミネートフィルム型の二次電池が完成する。
なお、二次電池の安定化処理が完了したのち、その二次電池をエージングしてもよい。エージング条件は、特に限定されないが、具体的には、エージング温度=60℃~80℃、エージング時間=6時間~48時間である。このエージング条件を変更することによっても、含有量X,Yのそれぞれを制御可能であるため、含有比Zも制御可能である。
また、二次電池の安定化処理が完了したのち、すなわち負極22が作製された(負極活物質層22Bの表面に被膜22Cが形成された)のち、その被膜22Cを形成するために用いられた硫黄含有化合物は、電解液中に残存していてもよいし、その電解液中に残存していなくてもよい。
<1-5.作用および効果>
この二次電池によれば、負極22の被膜22Cが硫黄を構成元素として含んでいると共に、電解液が鎖状カルボン酸エステルを含んでいる。また、被膜22C(被膜部22C1~22C3)において、物性条件1~3(含有量X=11μmol/m2 ~22μmol/m2 ,含有量Y=7μmol/m2 ~13μmol/m2 ,含有比Z=1.2~2.1)が同時に満たされている。よって、以下で説明する理由により、優れた電気抵抗特性および優れたサイクル特性を得ることができる。
詳細には、電解液が低粘度溶媒である鎖状カルボン酸エステルを含んでいるため、その電解液においてリチウムイオンイオンのイオン伝導性が向上する。これにより、充放電時の負極22においてリチウムイオンが吸蔵放出されやすくなるため、サイクル特性が向上し、特に、高レートで二次電池が充放電されても優れたサイクル特性が得られる。
しかしながら、低粘度溶媒である鎖状カルボン酸エステルは高い揮発性を有しているため、二次電池の長期使用時(長期保存時)において電解液中の鎖状カルボン酸エステルが揮発しやすくなる。この鎖状カルボン酸エステルが揮発する傾向は、特に、負極22において外気に触れにくい中間部(被膜部22C2)よりも、外気に触れやすい両端部(被膜部22C1,22C3)において顕著になる。すなわち、被膜部22C1,22C3のそれぞれにおいて鎖状カルボン酸エステルが揮発する量は、被膜部22C2において鎖状カルボン酸エステルが揮発する量よりも多くなる。
被膜部22C1,22C3のそれぞれにおいて鎖状カルボン酸エステルが揮発すると、電解液の粘度が上昇する。これにより、電解液中においてリチウムイオンのイオン伝導性が低下するため、負極22の表面においてリチウム金属が析出しやすくなる。
ここで、硫黄を構成元素として含む被膜22Cが負極活物質層22Bの表面に形成されていると、その被膜22Cを利用して負極22の表面が保護されるため、その負極22の表面においてリチウム金属が析出しにくくなる。しかしながら、負極活物質層22Bの表面に被膜22Cが形成されていると、リチウム金属が析出しにくくなる反面、二次電池(負極22)の内部抵抗が増加するため、結局のところ、サイクル特性が低下し、特に、高レートで二次電池が充放電されるとサイクル特性が著しく低下する。
これらのことから、電解液は鎖状カルボン酸エステルを含んでいるが、負極活物質層22Bの表面に被膜22Cが形成されていない場合には、その被膜22Cが存在しないことに起因して電気抵抗特性は向上するが、リチウム金属が析出しやすくなることに起因してサイクル特性は低下するというトレードオフの関係、すなわち一方の特性が向上すると他方の特性が低下するという関係が発生する。
また、負極活物質層22Bの表面に被膜22Cは形成されているが、電解液が鎖状カルボン酸エステルを含んでいない場合には、リチウム金属が析出しにくくなることに起因してサイクル特性は向上するが、その被膜22Cの存在に起因して電気抵抗特性は低下するというトレードオフの関係が発生する。
これに対して、電解液が鎖状カルボン酸エステルを含んでいると共に、負極活物質層22Bの表面に被膜22Cが形成されている場合において、物性条件1~3が同時に満たされていると、上記したように、被膜22Cの形成量の分布が適正化される。すなわち、被膜部22C1,22C3のうちの一方または双方における被膜22Cの形成量は、被膜部22C3における被膜22Cの形成量よりも適正に多くなる。
この場合には、被膜部22C1,22C3のうちの一方または双方において、その被膜部22C1,22C3の存在に起因してリチウム金属が析出しにくくなるため、サイクル特性が向上する。しかも、被膜部22C3において、その被膜部22C3が存在していても電気抵抗が増加しにくくなるため、電気抵抗抵抗が向上する。
これらのことから、物性条件1~3が同時に満たされていることにより、上記したトレードオフの関係が打破されるため、電気抵抗特性の増加が抑制されながら、サイクル特性が向上する。この場合には、もちろん、高レートで二次電池が充放電されても、同様の傾向が得られる。よって、優れた電気抵抗特性および優れたサイクル特性を得ることができる。
特に、鎖状カルボン酸エステルが酢酸エチルなどを含んでいれば、電解液のイオン伝導率が十分に向上するため、より高い効果を得ることができる。
また、電解液が硫黄含有化合物を含んでいれば、硫黄を構成元素として含む被膜22Cが負極活物質層22Bの表面に形成されやすくなるため、より高い効果を得ることができる。この場合には、二次電池の安定化処理後(被膜22Cの形成後)においても電解液が硫黄含有化合物を含んでいれば、その安定化処理後の充放電時において被膜22Cが追加形成されやすくなるため、さらに高い効果を得ることができる。また、硫黄含有化合物が環状スルホン酸エステルなどを含んでいれば、負極活物質層22Bの表面に被膜22Cが十分に形成されやすくなるため、さらに高い効果を得ることができる。
また、二次電池がリチウムイオン二次電池であれば、リチウムの吸蔵および放出を利用して十分な電池容量が安定に得られるため、より高い効果を得ることができる。
<2.変形例>
二次電池の構成は、以下で説明するように、適宜、変更可能である。ただし、以下で説明する一連の変形例のうちの任意の2種類以上は、互いに組み合わされてもよい。
[変形例1]
図1~図3では、二次電池が巻回電極体である電池素子20を備えている。しかしながら、図1~図3に対応する図5~図7に示したように、二次電池が巻回電極体である電池素子20の代わりに積層電極体である電池素子50を備えていてもよい。
図5~図7に示したラミネートフィルム型の二次電池は、電池素子20(正極21、負極22およびセパレータ23)、正極リード31および負極リード32の代わりに、電池素子50(正極51、負極52およびセパレータ53)、正極リード61および負極リード62を備えていることを除いて、図1~図3に示したラミネートフィルム型の二次電池の構成と同様の構成を有している。
正極51、負極52およびセパレータ53のそれぞれの構成は、以下で説明することを除いて、正極21、負極22およびセパレータ23のそれぞれの構成と同様である。
電池素子50では、正極51および負極52がセパレータ53を介して交互に積層されている。正極51、負極52およびセパレータ53のそれぞれの積層数は、特に限定されない。正極51は、正極集電体21Aおよび正極活物質層21Bに対応する正極集電体51Aおよび正極活物質層51Bを含んでいる。負極52は、負極集電体22A、負極活物質層22Bおよび被膜22Cに対応する負極集電体52A、負極活物質層52Bおよび被膜52Cを含んでいる。電解液の構成は、上記した通りである。
ただし、図5および図7に示したように、正極集電体51Aおよび負極集電体52Aのそれぞれは、矩形状のシートである。この正極集電体51Aは、正極活物質層51Bが形成されていない突出部51ATを含んでいると共に、負極集電体52Aは、負極活物質層52Bが形成されていない突出部52ATを含んでいる。この突出部52ATは、突出部51ATと重ならない位置に配置されている。複数の突出部51ATは、互いに接合されることにより、1本のリード状の正極配線である正極リード61を形成していると共に、複数の突出部52ATは、互いに接合されることにより、1本のリード状の負極配線である負極リード62を形成している。すなわち、正極51に接続されている正極リード61は、正極集電体51Aと一体化されていると共に、負極52に接続されている負極リード62は、負極集電体62Aと一体化されている。
電池素子50においても、上記した電池素子20と同様に、物性条件1~3が同時に満たされている。具体的には、負極52に接続されている負極リード62の位置を基準として、その負極リード62から遠ざかる方向Dにおいて、被膜52Cを3等分(被膜部52C1~52C3)する。この場合において、被膜部52C1,52C3のうちの一方または双方における硫黄の含有量Xは、11μmol/m2 ~22μmol/m2 である(物性条件1)。被膜部52C2における硫黄の含有量Yは、7μmol/m2 ~13μmol/m2 である(物性条件2)。含有量Yに対する含有量Xの比である含有比Zは、1.2~2.1である(物性条件3)。
図5~図7に示したラミネートフィルム型の二次電池の製造方法は、図4に対応する図8に示したように、巻回体20Zの代わりに積層体50Zを作製すると共に、その積層体50Zを用いて組み立てられた二次電池の安定化処理を行うことを除いて、図1~図4に示したラミネートフィルム型の二次電池の製造方法と同様である。
電池素子50を作製する場合には、最初に、正極集電体51Aの両面(突出部51ATを除く。)に正極活物質層51Bが形成された正極51と、負極集電体52Aの両面(突出部52ATを除く。)に負極活物質層52Bが形成された負極52とを作製する。続いて、続いて、セパレータ53を介して正極51および負極52を交互に積層させることにより、図8に示したように、積層体50Zを形成する。こののち、溶接法などを用いて突出部51AT同士を互いに接合させることにより、正極リード61を形成すると共に、溶接法などを用いて突出部52AT同士を互いに接合させることにより、負極リード62を形成する。
組み立て後の二次電池の安定化処理では、ヒータなどの加熱機器を用いて積層体50Zを部分的に加熱する。具体的には、図8に示したように、被膜部52C1に対応する積層部501と、被膜部52C2に対応する積層部502と、被膜部52C3に対応する積層部503とを含んでいる積層体50Zのうち、積層部501,503のうちの一方または双方を加熱する。これにより、硫黄を構成元素として含む被膜52Cが負極活物質層52Bの表面に形成されるため、負極52が作製されると共に、電池素子50が作製される。この場合には、上記した加熱条件などを変更することにより、含有量X,Yのそれぞれを制御可能であるため、含有比Zも制御可能である。
この積層電極体である電池素子50を用いた場合においても、物性条件1~3が同時に満たされているため、巻回電極体である電池素子20を用いた場合と同様の効果を得ることができる。すなわち、優れた電気抵抗特性および優れたサイクル特性を得ることができる。
[変形例2]
多孔質膜であるセパレータ23を用いた。しかしながら、ここでは具体的に図示しないが、多孔質膜であるセパレータ23の代わりに、高分子化合物層を含む積層型のセパレータを用いてもよい。
具体的には、積層型のセパレータは、一対の面を有する多孔質膜と、その多孔質膜の片面または両面に配置された高分子化合物層とを含んでいる。正極21および負極22のそれぞれに対するセパレータの密着性が向上するため、電池素子20の位置ずれ(正極21、負極22およびセパレータのそれぞれの巻きずれ)が発生しにくくなるからである。これにより、電解液の分解反応などが発生しても、二次電池が膨れにくくなる。高分子化合物層は、ポリフッ化ビニリデンなどの高分子化合物を含んでいる。ポリフッ化ビニリデンなどは、物理的強度に優れていると共に、電気化学的に安定だからである。
なお、多孔質膜および高分子化合物層のうちの一方または双方は、複数の絶縁性粒子のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。二次電池の発熱時において複数の絶縁性粒子が放熱するため、その二次電池の安全性(耐熱性)が向上するからである。絶縁性粒子は、無機粒子および樹脂粒子などである。無機粒子の具体例は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ベーマイト、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化マグネシウムおよび酸化ジルコニウムなどの粒子である。樹脂粒子の具体例は、アクリル樹脂およびスチレン樹脂などの粒子である。
積層型のセパレータを作製する場合には、高分子化合物および有機溶剤などを含む前駆溶液を調製したのち、多孔質膜の片面または両面に前駆溶液を塗布する。この場合には、必要に応じて前駆溶液に複数の絶縁性粒子を添加してもよい。
この積層型のセパレータを用いた場合においても、正極21と負極22との間においてリチウムイオンが移動可能になるため、同様の効果を得ることができる。
[変形例3]
液状の電解質である電解液を用いた。しかしながら、ここでは具体的に図示しないが、電解液の代わりに、ゲル状の電解質である電解質層を用いてもよい。
電解質層を用いた電池素子20では、セパレータ23および電解質層を介して正極21および負極22が互いに積層されたのち、その正極21、負極22、セパレータ23および電解質層が巻回されている。この電解質層は、正極21とセパレータ23との間に介在していると共に、負極22とセパレータ23との間に介在している。
具体的には、電解質層は、電解液と共に高分子化合物を含んでおり、その電解質層中では、電解液が高分子化合物により保持されている。漏液が防止されるからである。電解液の構成は、上記した通りである。高分子化合物は、ポリフッ化ビニリデンなどを含んでいる。電解質層を形成する場合には、電解液、高分子化合物および有機溶剤などを含む前駆溶液を調製したのち、正極21および負極22のそれぞれの片面または両面に前駆溶液を塗布する。
この電解質層を用いた場合においても、正極21と負極22との間において電解質層を介してリチウムイオンが移動可能になるため、同様の効果を得ることができる。
<3.二次電池の用途>
次に、上記した二次電池の用途(適用例)に関して説明する。
二次電池の用途は、特に限定されない。電源として用いられる二次電池は、電子機器および電動車両などの主電源または補助電源である。主電源とは、他の電源の有無に関係なく、優先的に用いられる電源である。補助電源は、主電源の代わりに用いられる電源、または主電源から切り替えられる電源である。
二次電池の用途の具体例は、以下の通りである。ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、携帯電話機、ノート型パソコン、ヘッドホンステレオ、携帯用ラジオおよび携帯用情報端末などの電子機器である。バックアップ電源およびメモリーカードなどの記憶用装置である。電動ドリルおよび電動鋸などの電動工具である。電子機器などに搭載される電池パックである。ペースメーカおよび補聴器などの医療用電子機器である。電気自動車(ハイブリッド自動車を含む。)などの電動車両である。非常時などに備えて電力を蓄積しておく家庭用または産業用のバッテリシステムなどの電力貯蔵システムである。これらの用途では、1個の二次電池が用いられてもよいし、複数個の二次電池が用いられてもよい。
電池パックは、単電池を用いてもよいし、組電池を用いてもよい。電動車両は、二次電池を駆動用電源として作動(走行)する車両であり、その二次電池以外の駆動源を併せて備えたハイブリッド自動車でもよい。家庭用の電力貯蔵システムでは、電力貯蔵源である二次電池に蓄積された電力を利用して家庭用の電気製品などを使用可能である。
ここで、二次電池の適用例の一例に関して具体的に説明する。以下で説明する適用例の構成は、あくまで一例であるため、適宜、変更可能である。
図9は、電池パックのブロック構成を表している。ここで説明する電池パックは、1個の二次電池を用いた電池パック(いわゆるソフトパック)であり、スマートフォンに代表される電子機器などに搭載される。
この電池パックは、図9に示したように、電源71と、回路基板72とを備えている。この回路基板72は、電源71に接続されていると共に、正極端子73、負極端子74および温度検出端子75を含んでいる。
電源71は、1個の二次電池を含んでいる。この二次電池では、正極リードが正極端子73に接続されていると共に、負極リードが負極端子74に接続されている。この電源71は、正極端子73および負極端子74を介して外部と接続可能であるため、充放電可能である。回路基板72は、制御部76と、スイッチ77と、熱感抵抗素子(PTC素子)78と、温度検出部79とを含んでいる。ただし、PTC素子78は省略されてもよい。
制御部76は、中央演算処理装置(CPU)およびメモリなどを含んでおり、電池パック全体の動作を制御する。この制御部76は、必要に応じて電源71の使用状態の検出および制御を行う。
なお、制御部76は、電源71(二次電池)の電圧が過充電検出電圧または過放電検出電圧に到達すると、スイッチ77を切断することにより、電源71の電流経路に充電電流が流れないようにする。過充電検出電圧および過放電検出電圧は、特に限定されない。一例を挙げると、過充電検出電圧は、4.2V±0.05Vであると共に、過放電検出電圧は、2.4V±0.1Vである。
スイッチ77は、充電制御スイッチ、放電制御スイッチ、充電用ダイオードおよび放電用ダイオードなどを含んでおり、制御部76の指示に応じて電源71と外部機器との接続の有無を切り換える。このスイッチ77は、金属酸化物半導体を用いた電界効果トランジスタ(MOSFET)などを含んでおり、充放電電流は、スイッチ77のON抵抗に基づいて検出される。
温度検出部79は、サーミスタなどの温度検出素子を含んでおり、温度検出端子75を用いて電源71の温度を測定すると共に、その温度の測定結果を制御部76に出力する。温度検出部79により測定される温度の測定結果は、異常発熱時において制御部76が充放電制御を行う場合および残容量の算出時において制御部76が補正処理を行う場合などに用いられる。
本技術の実施例に関して説明する。
<実施例1~13および比較例1~9>
以下で説明するように、二次電池を製造したのち、その二次電池の電池特性を評価した。
[二次電池の製造]
以下で説明する手順により、図1~図4に示したラミネートフィルム型の二次電池(リチウムイオン二次電池)を製造した。
(正極の作製)
最初に、正極活物質95質量部と、正極結着剤(ポリフッ化ビニリデン)4質量部と、正極導電剤(黒鉛)1質量部とを互いに混合させることにより、正極合剤とした。続いて、有機溶剤(N-メチル-2-ピロリドン)に正極合剤を投入したのち、その有機溶剤を撹拌することにより、ペースト状の正極合剤スラリーを調製した。続いて、コーティング装置を用いて正極集電体21A(厚さ=15μmである帯状のアルミニウム箔)の両面に正極合剤スラリーを塗布したのち、その正極合剤スラリーを乾燥させることにより、正極活物質層21Bを形成した。最後に、ロールプレス機を用いて正極活物質層21Bを圧縮成型した。これにより、正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが形成されたため、正極21が作製された。
(負極の作製)
最初に、負極活物質(黒鉛)90質量部と、負極結着剤(ポリフッ化ビニリデン)10質量部とを互いに混合させることにより、負極合剤とした。続いて、有機溶剤(N-メチル-2-ピロリドン)に負極合剤を投入したのち、その有機溶剤を撹拌することにより、ペースト状の負極合剤スラリーを調製した。続いて、コーティング装置を用いて負極集電体22A(厚さ=15μmである帯状の銅箔)の両面に負極合剤スラリーを塗布したのち、その負極合剤スラリーを乾燥させることにより、負極活物質層22Bを形成した。続いて、ロールプレス機を用いて負極活物質層22Bを圧縮成型した。これにより、負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが形成されたため、負極前駆体が作製された。最後に、後述するように、負極前駆体を用いて二次電池を組み立てたのち、組み立て後の二次電池の安定化処理(最初の充放電処理)を行った。これにより、硫黄を構成元素として含む被膜22Cが負極活物質層22Bの表面に形成されたため、負極22が作製された。
(電解液の調製)
溶媒に電解質塩(六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 ))を投入したのち、その溶媒を撹拌した。溶媒としては、環状炭酸エステルである炭酸エチレンおよび炭酸プロピレンと、鎖状カルボン酸エステルであるプロピオン酸プロピル(PP)とを用いた。この場合には、溶媒の混合比(体積比)を炭酸エチレン:炭酸プロピレン:鎖状カルボン酸エステル=10:20:70、電解質塩の含有量を溶媒に対して1mol/kgとした。
続いて、電解質塩が含まれている溶媒に硫黄含有化合物(環状スルホン酸エステルであるプロパンスルトン(PS))を添加したのち、その溶媒を攪拌した。この場合には、電解液中における硫黄含有化合物の含有量を1重量%とした。これにより、硫黄含有化合物を含む電解液が調製された。
(二次電池の組み立て)
最初に、正極21(正極集電体21A)に正極リード31(帯状のアルミニウム箔)を溶接したと共に、負極前駆体(負極集電体22A)に負極リード32(帯状の銅箔)を溶接した。
続いて、セパレータ23(厚さ=25μmである微孔性ポリエチレンフィルム)を介して正極21および負極前駆体を互いに積層させたのち、その正極21、負極前駆体およびセパレータ23を巻回させることにより、巻回体20Zを作製した。続いて、プレス機を用いて巻回体20Zをプレスすることにより、扁平形状となるように巻回体20Zを成型した。
続いて、窪み部10Uの内部に収容された巻回体20Zを挟むように外装フィルム10を折り畳んだのち、その外装フィルム10のうちの2辺の外周縁部同士を互いに熱融着することにより、袋状の外装フィルム10の内部に巻回体20Zを収納した。外装フィルム10としては、融着層(厚さ=30μmであるポリプロピレンフィルム)と、金属層(厚さ=40μmであるアルミニウム箔)と、表面保護層(厚さ=25μmであるナイロンフィルム)とが内側からこの順に積層されたアルミラミネートフィルムを用いた。この場合には、互いに対向する融着層のうちの2辺の外周縁部同士を互いに熱融着した。
最後に、袋状の外装フィルム10の内部に電解液を注入したのち、減圧環境中において外装フィルム10(融着層)のうちの残りの1辺の外周縁部同士を互いに熱融着した。この場合には、外装フィルム10と正極リード31との間に封止フィルム41(厚さ=5μmであるポリプロピレンフィルム)を挿入したと共に、外装フィルム10と負極リード32との間に封止フィルム42(厚さ=5μmであるポリプロピレンフィルム)を挿入した。これにより、巻回体20Zに電解液が含浸されたと共に、袋状の外装フィルム10の内部に巻回体20Zが封入されたため、二次電池が組み立てられた。
(二次電池の安定化)
常温環境中(温度=25℃)において、組み立て後の二次電池を1サイクル充放電させた。充電時には、0.1Cの電流で電圧が4.45Vに到達するまで定電流充電したのち、その4.45Vの電圧で電流が0.005Cに到達するまで定電圧充電した。放電時には、0.1Cの電流で電圧が3.0Vに到達するまで定電流放電した。0.1Cとは、電池容量(理論容量)を10時間で放電しきる電流値であると共に、0.005Cとは、電池容量を200時間で放電しきる電流値である。
この場合には、ヒータを用いて巻回体20Zの一部(巻回部201,203)を加熱した。この加熱処理では、60℃~80℃の範囲内において加熱温度を変化させると共に、1時間~24時間の範囲内において加熱時間を変化させた。
これにより、上記したように、負極前駆体において負極活物質層22Bの表面に被膜22Cが形成されたため、負極22が作製された。よって、電池素子20が作製されると共に、二次電池の状態が電気化学的に安定化されたため、ラミネートフィルム型の二次電池が完成した。
二次電池の完成後、その二次電池を解体することにより、負極22を回収したのち、ICP発光分光分析法を用いて負極22(被膜22C)を分析することにより、含有量X,Y(μmol/m2 )および含有比Zのそれぞれを算出したところ、表1~表3に示した結果が得られた。
二次電池の製造工程では、安定化処理時の加熱条件(加熱温度および加熱時間)を変化させることにより、含有量X,Yおよび含有比Zのそれぞれを調整した。
[電池特性の評価]
二次電池の電池特性(電気抵抗特性およびサイクル特性)を評価したところ、表1~表3に示した結果が得られた。ここでは、サイクル特性としては2種類のサイクル特性を評価した。
電気抵抗特性を調べる場合には、最初に、常温環境中(温度=23℃)において二次電池を充電させたのち、その二次電池の電気抵抗(保存前の電気抵抗)を測定した。充電条件は、上記した二次電池の安定化処理時における充電条件と同様にした。続いて、高温環境中(温度=60℃)において充電状態の二次電池を保存(保存時間=1月間)したのち、その二次電池の電気抵抗(保存後の電気抵抗)を測定した。最後に、抵抗変化率=(保存後の電気抵抗/保存前の電気抵抗)×100という計算式に基づいて、電気抵抗特性を評価するための指標である抵抗変化率(%)を算出した。
1種類目のサイクル特性を調べる場合には、最初に、常温環境中(温度=23℃)において二次電池を充放電させることにより、放電容量(1サイクル目の放電容量)を測定した。続いて、同環境中において二次電池を放置(放置時間=1月間)した。続いて、同環境中においてサイクル数(充放電回数)が100サイクルに到達するまで二次電池を繰り返して充放電させることにより、放電容量(100サイクル目の放電容量)を測定した。最後に、容量維持率1=(100サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100という計算式に基づいて、サイクル特性を評価するための指標である容量維持率1(%)を算出した。充放電条件は、充電時の電流および放電時の電流のそれぞれを3Cに変更したことを除いて、上記した二次電池の安定化処理時における充電条件と同様にした。3Cとは、電池容量を10/3時間で放電しきる電流値である。
2種類目のサイクル特性を調べる場合には、二次電池の放置時間を12月間に変更したことを除いて、1種類目のサイクル特性を調べた場合と同様の手順により、サイクル特性を評価するための他の指標である容量維持率2(%)を算出した。
Figure 0007380898000001
Figure 0007380898000002
Figure 0007380898000003
[考察]
表1~表3に示したように、電解液(溶媒)が鎖状カルボン酸エステルを含んでいる二次電池の抵抗変化率および容量維持率1,2のそれぞれは、被膜22Cの(含有量X,Yおよび含有比Z)に応じて大きく変動した。
具体的には、物性条件1~3(含有量X=11μmol/m2 ~22μmol/m2 ,含有量Y=7μmol/m2 ~13μmol/m2 ,含有比Z=1.2~2.1)が同時に満たされていない場合(比較例1~9)には、抵抗変化率および容量維持率1,2のうちのいずれかが向上すると残りが悪化するというトレードオフの関係が発生した。これにより、抵抗変化率および容量維持率1,2の全てを向上させることができなかった。
これに対して、物性条件1~3が同時に満たされている場合(実施例1~13)には、上記したトレードオフの関係が打破されたため、抵抗変化率および容量維持率1,2の全てを向上させることができた。
特に、物性条件1~3が同時に満たされている場合には、以下で説明する傾向が得られた。第1に、鎖状カルボン酸エステルとしてプロピオン酸プロピルを用いると、抵抗変化率および容量維持率1,2の全てが十分に向上した。第2に、硫黄含有化合物として環状スルホン酸エステルを用いると、抵抗変化率および容量維持率1,2の全てが十分に向上した。
<実施例14~17>
硫黄含有化合物の種類を変更したことを除いて同様の手順により、二次電池を製造したのち、その二次電池の電池特性を評価した。この硫黄含有化合物としては、新たに、環状スルホン酸エステルであるプロペンスルトン(PRS)と、鎖状スルホン酸エステルであるメタンスルホン酸プロパルギル(PMS)と、環状ジスルホン酸無水物であるプロパンジスルホン酸無水物(PSAH)と、環状スルホン酸カルボン酸無水物であるスルホプロピオン酸無水物(SPAH)とを用いた。
Figure 0007380898000004
表4に示したように、硫黄含有化合物の種類を変更しても、表1~表3と同様の結果が得られた。すなわち、物性条件1~3が同時に満たされていると、抵抗変化率および容量維持率1,2の全てを向上させることができた。
[まとめ]
表1~表4に示した結果から、負極22の被膜22Cが硫黄を構成元素として含んでおり、電解液が鎖状カルボン酸エステルを含んでおり、物性条件1~3が同時に満たされていると、抵抗変化率および容量維持率1,2の全てが向上した。よって、二次電池において優れた電気抵抗特性および優れたサイクル特性が得られた。
以上、一実施形態および実施例を挙げながら本技術に関して説明したが、その本技術の構成は、一実施形態および実施例において説明された構成に限定されないため、種々に変形可能である。
具体的には、二次電池の電池構造がラミネートフィルム型である場合に関して説明した。しかしながら、二次電池の電池構造は、特に限定されないため、円筒型、角型、コイン型およびボタン型などでもよい。
また、電池素子の素子構造が巻回型および積層型である場合に関して説明した。しかしながら、電池素子の素子構造は、特に限定されないため、正極および負極がジグザグに折り畳まれた九十九折り型などでもよい。
さらに、電極反応物質がリチウムである場合に関して説明したが、その電極反応物質は、特に限定されない。具体的には、電極反応物質は、上記したように、ナトリウムおよびカリウムなどの他のアルカリ金属でもよいし、ベリリウム、マグネシウムおよびカルシウムなどのアルカリ土類金属でもよい。この他、電極反応物質は、アルミニウムなどの他の軽金属でもよい。
本明細書中に記載された効果は、あくまで例示であるため、本技術の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されない。よって、本技術に関して、他の効果が得られてもよい。

Claims (4)

  1. 正極と、負極と、前記負極に接続された負極配線と、電解液とを備え、
    前記負極は、負極活物質層と、前記負極活物質層の表面を被覆する被膜とを含み、
    前記被膜は、硫黄を構成元素として含み、
    前記電解液は、鎖状カルボン酸エステルを含み、
    前記負極配線から遠ざかる方向において前記被膜を第1被膜部、第2被膜部および第3被膜部に3等分した際、
    前記第1被膜部および前記第3被膜部のうちの少なくとも一方における硫黄の含有量は、11μmol/m2 以上22μmol/m2 以下であり、
    前記第2被膜部における硫黄の含有量は、7μmol/m2 以上13μmol/m2 以下であり、
    前記第2被膜部における硫黄の含有量に対する、前記第1被膜部および前記第3被膜部のうちの少なくとも一方における硫黄の含有量の比は、1.2以上2.1以下である、
    リチウムイオン二次電池。
  2. 前記鎖状カルボン酸エステルは、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸エチルおよびプロピオン酸プロピルのうちの少なくとも1種を含む、
    請求項1記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記電解液は、さらに、硫黄含有化合物を含む、
    請求項1または請求項2に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 前記硫黄含有化合物は、環状スルホン酸エステル、鎖状スルホン酸エステル、環状ジスルホン酸無水物および環状スルホン酸カルボン酸無水物のうちの少なくとも1種を含む、
    請求項3記載のリチウムイオン二次電池。
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