JP7376795B2 - Rh真空脱ガス装置における溶鋼脱炭方法 - Google Patents

Rh真空脱ガス装置における溶鋼脱炭方法 Download PDF

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Description

本発明は、RH真空脱ガス装置における溶鋼脱炭方法に関するものである。
RH式脱ガス装置に代表される真空槽と取鍋との間で溶鋼を環流させる真空脱ガス装置を用いて溶鋼に対して脱炭処理を行う場合、終了後の炭素濃度が規格上下限から外れると、再溶解処理または別製品への振り当てが必要となる。生産性の観点からは、適切なタイミングで脱炭処理を停止して、時間あたりの処理チャージ数を増加させることが必要である。以上のような問題を解決するためには、脱炭処理中の溶鋼内炭素濃度を正確に推定して目標とする値に到達したときに脱炭処理を停止することが必要であり、これまでにもいくつかの方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
特許文献1は、真空槽内の溶鋼中炭素濃度の変化速度及び取鍋内の溶鋼中炭素濃度の変化速度を、真空槽内の溶鋼中炭素濃度と取鍋内の溶鋼中炭素濃度と真空槽内の圧力と溶鋼中酸素濃度と取鍋内の溶鋼質量と真空槽内の溶鋼質量とを用いた微分方程式で表す数式モデルを用いて溶鋼全体からの炭素の流出速度を算出するモデルを構築し、そのモデルによる溶鋼全体からの炭素流出速度算出値と排ガス中の炭素流出速度計算値との誤差に係数を乗じた値を、モデルの真空槽内の溶鋼中炭素濃度の変化速度と取鍋内の溶鋼中炭素濃度の変化速度とに夫々加えて補正するオブザーバにより、取鍋内の炭素濃度を経時的に推定する。
特開2006-104521号公報
鉄と鋼、Vol.84(1998), No.10, pp709-714 改訂五版 化学工学便覧 第1334頁 製鋼反応の推奨平衡値改訂増補、日本学術振興会製鋼第19委員会編(1984)
特許文献1に記載の方法は、炭素流出速度qCOMの算出に脱炭容量係数aを使用しており、このaの計算はCOガス生成速度kを定数として使用している。このCOガス生成速度kは、真空槽や真空度等の処理毎の条件によって変動する。そのため、COガス生成速度kが脱炭処理ごとに変動しない定数であるとして使用すると、当該脱炭処理の正しいCOガス生成速度kを用いないこととなるので、脱炭容量係数aの計算精度が低くなる。そのため、特許文献1に記載の方法では、十分な精度で脱炭処理中の溶鋼炭素濃度を推定できないことがわかった。
本発明は、脱炭進行推定精度を向上できる、RH真空脱ガス装置における溶鋼脱炭方法を提供することを課題とする。
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
[1]環流ガスの供給によって取鍋と真空槽との間で溶鋼を循環させ、CO及びCOを含む排ガスを前記真空槽から排出して溶鋼の脱炭処理行う、RH真空脱ガス装置における溶鋼脱炭方法において、
脱炭処理中の脱炭反応速度を、溶鋼中の炭素濃度Cの一次式と脱炭速度定数Kの積で表される一次反応の微分方程式として定め、
溶鋼中の炭素濃度Cおよび酸素濃度Oと真空槽内圧力PとCOガス生成速度kを用いて脱炭容量係数aを算出し、環流量Qおよび脱炭容量係数aを用いて脱炭速度定数Kを計算し、前記定めた微分方程式で表す数式モデルを用いて溶鋼中の炭素濃度を推定し、推定した溶鋼中の炭素濃度が所定の目標値に達したタイミングに脱炭終了判定をするに際し、
予め、過去の脱炭処理における実績のCOガス生成速度kと溶鋼情報と排ガス情報との関係に基づいて、溶鋼情報と排ガス情報からCOガス生成速度kを求める回帰式を作成しておき、
当該脱炭処理時の溶鋼情報と排ガス情報を用いて前記作成した回帰式によってCOガス生成速度kを算出することを特徴とするRH真空脱ガス装置における溶鋼脱炭方法。
ただし、脱炭容量係数aは、真空槽内で溶鋼からCOガス気泡として発生する速度を表すパラメータであり、溶鋼中酸素濃度Oと真空槽内の溶鋼中炭素濃度Cと真空槽内圧力Pとに依存する関数として表すことができる。
[2]前記一次反応の微分方程式は下記(1)式であり、前記脱炭容量係数aを算出する式は下記(2)式であり、脱炭速度定数Kを計算する式は下記(3)式であることを特徴とする[1]に記載のRH真空脱ガス装置における溶鋼脱炭方法。
dC/dt=-K・C ・・・(1)
=A・k・K{C・O-(P+PCO )/K}/(2・ρ・g) ・・・(2)
=(Q/W)・ρ・a/(Q+ρ・a) ・・・(3)
ここで、t:時間、A:反応界面積、K:炭素の酸化反応の平衡定数、PCO :CO気泡臨界圧、ρ:溶鋼密度、g:重力加速度、Q:溶鋼の環流量、W:取鍋内の溶鋼量
[3]脱炭処理中の時刻(t=t)において溶鋼中の炭素濃度と酸素濃度を測定してそれぞれC、Oとし、これらの値を初期値として前記微分方程式を数値的に解くことにより、t=t以降の各時刻における溶鋼中の炭素濃度Cを算出することを特徴とする[1]又は[2]に記載のRH真空脱ガス装置における溶鋼脱炭方法。
極低炭素鋼の溶製方法において、RH真空脱ガス装置における溶鋼脱炭方法を用いるに際し、精度良く脱炭進行を推定し、狙いとする脱炭濃度を高くすることで処理時間の短縮が可能となる。
本発明の溶鋼脱炭を実施するためのRH真空脱ガス装置の構成例を示す図である。 本発明の脱炭処理のフローチャートである。 本発明例と従来例とにおける脱炭処理の開始から停止までの時間の分布を示すグラフである。
《設備概要》
本発明をその実施の形態を示す図面を参照して説明する。図1は本発明の溶鋼脱炭方法を実施するためのRH真空脱ガス装置の構成例である。
図1に示すRH真空脱ガス装置は真空槽1と取鍋2と真空排気設備3とを有する。真空槽1は排気孔4を介して真空排気設備3に接続されており、その内部は真空状態(~2torr)となる。取鍋2は精錬された溶鋼5を収容しており、真空槽1の下端には上昇管6と下降管7とが取り付けられている。それらの先端部を取鍋2内の溶鋼5に浸漬し、上昇管6に取り付けされている環流ガス吹込み装置8からArガスやNガスといった不活性ガス(以下環流ガス)が溶鋼5に吹き込まれている。
環流ガス吹込み装置8より、溶鋼5内へ環流ガスを吹き込むことで、ガスリフトポンプ作用によって取鍋2、上昇管6、真空槽1、下降管7の順に矢印で示すように溶鋼5を環流させる。この際、真空状態となっている真空槽1内で真空脱炭処理が行われる。
環流ガス吹込み装置8には吹き込まれる環流ガスの流量を計測する環流ガス流量計9が設けられている。また、取鍋2内の溶鋼5に先端を浸漬させ、溶鋼5中の溶存酸素濃度を測定する酸素濃度測定器10が設けられている。また、真空槽1内の圧力を測定する圧力測定計11が設けられている。また、真空排気設備3には真空槽1から排出される排ガス中のCO、CO、H、O濃度を分析するための成分分析器12と、排ガスの流量を計測する排ガス流量計13とが設けられている。
本明細書において、酸素濃度については、特に限定を付さない限りは溶存酸素濃度を意味している。
これらの環流ガス流量計9、酸素濃度測定器10、圧力測定計11、成分分析器12及び排ガス流量計13で得られた計測結果、測定結果及び分析結果は炭素濃度推定部14に伝送される。炭素濃度推定部14は入力されたこれらの結果から、本発明の方法に従って取鍋2内の溶鋼5中の炭素濃度を推定し、その推定値を脱炭終了判定部15へ出力する。脱炭終了判定部15は入力された炭素濃度の推定値と所定の値(目標値)とを比較し、推定値が所定の値に到達した時点で脱炭処理を終了すべきであると判定し、終了すべき旨の指示を出力する。
《脱炭反応を支配している要因》
環流ガスの供給によって取鍋と真空槽との間で溶鋼を循環させ、CO及びCOを含む排ガスを前記真空槽から排出して溶鋼の脱炭処理行う、RH真空脱ガス装置における溶鋼の脱炭反応は、脱炭反応速度が溶鋼中の炭素濃度に比例する、即ち一次反応として把握することができる。このため、脱炭処理中の脱炭反応方程式を、溶鋼中の炭素濃度Cの一次式と脱炭速度定数Kの積で表される一次反応の微分方程式として定めることができる。
一次反応として把握する微分方程式として具体的には、時間tとの関係で下記(1)式のように記述することができる(非特許文献1の(1)式参照)。
dC/dt=-K・C ・・・(1)
環流量Qおよび脱炭容量係数aを用いて脱炭速度定数Kを計算することができる。具体的には、非特許文献1にあるように、脱炭速度定数Kは脱炭容量係数aを用いて下記(3)式で表される(非特許文献1の(4)式参照)。
=(Q/W)・ρ・a/(Q+ρ・a) ・・・(3)
ここで、Q:溶鋼の環流量、W:取鍋内の溶鋼量、ρ:溶鋼密度である。
脱炭容量係数aは、真空槽内で溶鋼からCOガス気泡として発生する速度を表すパラメータであり、溶鋼中酸素濃度Oと真空槽内の溶鋼中炭素濃度Cと真空槽内圧力Pとに依存する関数として表すことができる。溶鋼中の炭素濃度Cおよび酸素濃度Oと真空槽内圧力PとCOガス生成速度kを用いて脱炭容量係数aを算出することかできる。具体的には、脱炭容量係数aは、COガス生成速度kを用いて下記(2)式で表される(非特許文献1の(13)式参照)。
=A・k・K{C・O-(P+PCO )/K}/(2・ρ・g) ・・・(2)
ここで、O:溶鋼中酸素濃度(溶存酸素)、A:反応界面積、K:炭素の酸化反応の平衡定数、P:真空槽内圧力、PCO :CO気泡臨界圧である。
《COガス生成速度kの定め方》
非特許文献1では、実験で得られたkの平均値0.8(s-1)を用いて計算を行っている。また特許文献1においても、非特許文献1にならって、kを定数として扱っている。しかし前述のとおり、このCOガス生成速度kは、真空槽や真空度等の処理毎の条件によって変動する。そのため、COガス生成速度kが脱炭処理ごとに変動しない定数であるとして使用すると、当該脱炭処理の正しいCOガス生成速度kを用いないこととなるので、脱炭容量係数aの計算精度が低くなる。そのため、特許文献1に記載の方法では、十分な精度で脱炭処理中の溶鋼炭素濃度を推定できないことがわかった。
COガス生成速度kは、各脱炭処理で採用する溶鋼情報や排ガス情報などによって変動する性質を有し、当該脱炭処理中においては一定値(定数)として扱うことができるが、脱炭処理ごとに異なった値になり得る。数式モデルを用いて溶鋼中の炭素濃度を正確に推定するためには、当該脱炭処理におけるCOガス生成速度kを、脱炭処理が終了するまでの間に正確に推定することが必要となる。
時刻t=tにおいて脱炭処理が終了し、脱炭処理後の実績炭素濃度Cが判明すると、当該脱炭処理におけるCOガス生成速度kの値を正確に算出することができる。具体的には、脱炭処理中の時刻t=tにおける炭素濃度Cと酸素濃度Oから、上記(1)~(3)式を用いて時刻t=tにおける炭素濃度と酸素濃度を数値解法で算出し、算出した炭素濃度と酸素濃度との値が、前記実測した時刻tにおける実績炭素濃度C、実績酸素濃度Oにできるだけ近い値になるよう、COガス生成速度kの値をフィッティングによって定める。このような方法により、当該脱炭処理における実績のCOガス生成速度kの値を定めることかできる。
次に、過去の脱炭処理において算出した上記実績のCOガス生成速度kを従属変数とし、それぞれの脱炭処理における溶鋼情報と排ガス情報を独立変数として、溶鋼情報と排ガス情報からCOガス生成速度kを求める回帰式を作成する。選択する溶鋼情報と排ガス情報については、それぞれの溶鋼情報と排ガス情報を独立変数、COガス生成速度kを従属変数として単回帰分析を行い、相関の大きい独立変数を選ぶこととすると良い。溶鋼情報として、少なくともRH処理開始(時刻t=0)から溶鋼サンプル採取までの時間t、時刻tでの炭素濃度Cと酸素濃度Oを含み、排ガス情報として、少なくとも溶鋼サンプル採取時の排ガス流量Qgas、排ガス中の(CO+CO)濃度を含むことが好ましい。
《脱炭反応を記述する微分方程式の数値解法》
脱炭反応を記述する微分方程式である前記(1)式において、処理の過程においてKが一定であれば、(1)式を変形して(4)式のように不定積分形とし、解析的に解いて(5)式を導くことができる。(5)式において、t=tでのC分析値をCとし、積分定数を決めている。
∫dC/C=-K∫dt (4)
C=C・exp(-K(t-t)) (5)
しかし、Kは前記(3)式にあるようにaの関数である。aは(2)式にあるように、kの関数であるとともに炭素濃度C、酸素濃度Oの関数でもあるため、処理の過程においてKは変化するため、上記(4)式を用いることができない。
<第1の数値解法>
微少時間Δt(例えば0.1秒)の間であれば、Kを一定値と見なすことができ、(5)式が成立していると考えられる。そこで、時刻tにおけるCの値、Oの値に基づいてKを算出し、(5)式を変形した下記(6)式によって時刻t+ΔtにおけるCの値を算出することが可能となる。ここでC(t)、K(t)は時刻tにおけるC、Kの値である。K(t)は時刻tにおけるC(t)などの値から都度算出する。
C(t+Δt)=C(t)・exp(-K(t)・Δt) (6)
上記(6)式によって、サンプル採取時(t)における炭素濃度C、酸素濃度Oを初期値とし、時間ΔtピッチでC(t)を順次計算し、結果として時刻tからのC(t)の時間変化を算出することができる。C(t)が目標とする炭素濃度に到達した時刻に脱炭処理を終了する。
<第2の数値解法>
前記(1)式を差分方程式に変形する。
ΔC/Δt=-K・C ・・・(7)
Δtを右辺に移項し、ΔCを分解すると下記(8)式となる。
C(t+Δt)-C(t)=K(t)・C(t)・Δt (8)
即ち、時刻tにおけるCの値C(t)等に基づいて時刻tにおけるK(t)を算出し、(8)式によって時刻t+ΔtにおけるCの値C(t+Δt)を算出することが可能となる。ここでC(t)、K(t)は時刻tにおけるC、Kの値である。K(t)は時刻tにおけるC(t)などの値から都度(2)式(3)式で算出する。
<第3の数値解法>
常微分方程式の数値解法として、ルンゲ・クッタ法が知られている(非特許文献2、特許文献1)。前記(1)式を基礎の常微分方程式とし、ルンゲ・クッタ法を用いることにより、初期値問題として方程式を精度良く数値的に解くことができる。
<数値解法で計算に用いる各パラメータの算出>
を求めるための(2)式において、CはC(t)として数値解法で順次算出される。その他、Oの値、Pの値が時間の経過とともに変化するので、これら数値の扱いを定める必要がある。
脱炭処理中において、
C+O=CO(ガス) (9)
の反応が進行する。従って、時刻tでのサンプル採取時の炭素濃度C、酸素濃度Oと、時刻tでの算出した炭素濃度C(t)から、C-C(t)で表される炭素低減量と化学量論的に等しい量のOが低減したものとして、時刻tでの酸素濃度O(t)を算出することができる。酸素濃度測定器10を用いて測定した時々刻々の酸素濃度測定値を用いることとしても良い。
真空槽内圧力Pについては、各時刻で圧力測定計11によって実測しているPの値をそのまま用いることができる。
(2)式(3)式で用いられるパラメータのうち、反応界面積Aは真空槽1内の溶鋼表面積であり、取鍋2内の溶鋼量Wは取鍋の形状から定まる。炭素の酸化反応の平衡定数Kは、非特許文献3をもとにして、
K=10(1160/(溶鋼温度(℃)+273)+2.003)×大気圧
として定め、CO気泡臨界圧PCO は非特許文献1に記載された値(=0.7×10Pa)として定める。溶鋼の環流量Qは、下記(10)式で定まる(非特許文献1の(5)式参照)。
Q=η・D4/3・G1/3・T・ln(P/P) (10)
ただし、D:RH浸漬管径、G:環流ガス流量、T:溶鋼温度、P:吹き込み位置での静圧、P:真空槽内雰囲気圧力、η:定数(7.44×10)である。
《COガス生成速度kを定めての微分方程式の数値解析》
前述のように、従来の数値解析においては、COガス生成速度kを定数として定め、脱炭処理中の溶鋼中炭素濃度の経時変化を計算していた。
それに対して本発明では、予め、過去の脱炭処理における実績のCOガス生成速度kと溶鋼情報と排ガス情報との関係に基づいて、溶鋼情報と排ガス情報からCOガス生成速度kを求める回帰式を作成しておき、当該脱炭処理の溶鋼情報と排ガス情報を用いて前記作成した回帰式によってCOガス生成速度kを算出する。
本発明法では、RH真空脱ガス装置を用いた溶鋼脱炭処理において、脱炭処理開始から処理途中にかけて、上記回帰式で用いている各パラメータの数値を採取し、それら数値を回帰式に代入して、当該脱炭処理におけるCOガス生成速度kを推定する。
推定したCOガス生成速度k、反応界面積A、炭素の酸化反応の平衡定数K、処理途中の溶鋼5中の炭素濃度C、処理途中の溶鋼5中の溶存酸素濃度O、真空槽内圧力P、CO気泡臨界圧PCO 、溶鋼密度ρ及び重力加速度gを用いて、次式(2)によって脱炭容量係数aを算出する。
=A・k・K{C・O-(P+PCO )/K}/(2・ρ・g) ・・・(2)
算出した脱炭容量係数a、溶鋼5の環流量Q、取鍋2内の溶鋼5の重量W及び溶鋼5密度ρを用いて、次式(3)によって脱炭速度定数Kを算出する。
=(Q/W)・ρ・a/(Q+ρ・a) ・・・(3)
以下、実施例を含め、数値解析には前記第1の数値解法を採用した。Δt=0.1秒とし、サンプル採取時(t)における炭素濃度C、酸素濃度Oを初期値とし、(6)式によって、時間ΔtピッチでC(t)を計算し、結果として時刻tからのC(t)の時間変化を算出できる。時刻tでの酸素濃度O(t)については、溶鋼中でCとOがCO生成反応を起こしているとして、Oの値から化学量論的に算出した。真空槽内圧力Pとしては、各時刻における圧力測定計11の実測値を用いることができる。
数値解法の結果にしたがって、炭素濃度推定部14は取鍋2内の溶鋼5中の炭素濃度を推定し、その推定値を脱炭終了判定部15へ出力する。
脱炭終了判定部15は入力された炭素濃度の推定値と所定の値とを比較し、推定値が所定の値に到達した時点で脱炭処理を終了すべきであると判定し、終了すべき旨の指示を操業者に出力する。
脱炭終了に至るまでのフローチャートを図2に示す。RH真空脱ガス装置にて溶鋼5の脱炭処理を開始し、回帰式の右辺に登場するパラメータの値を決定して回帰式に代入し、COガス生成速度kを算出する。加えて、溶鋼5中の炭素および酸素濃度と真空槽1内圧力とCOガス生成速度kを用いて脱炭容量係数aを算出し、環流量Qおよび脱炭容量係数aを用いて脱炭速度定数Kを算出し、微分方程式で表す数式モデルを用いて炭素濃度推定部14にて溶鋼5中の炭素濃度を推定する。推定した溶鋼5中の炭素濃度は脱炭終了判定部15へ出力され、炭素濃度の目標値に到達していない場合は再度炭素濃度推定部14にて炭素濃度を推定し、溶鋼5中の炭素濃度が目標値に到達するまで再計算を実施する。炭素濃度の目標値に到達している場合、脱炭終了判定部15は脱炭処理を終了すべきであると判定し、終了すべき旨の指示を操業者に出力する。
本発明を具体的に実施した実施例について説明する。高炉から出銑された溶銑をトーピードカーにて脱珪処理、脱りん処理または脱硫処理などの溶銑予備処理を一つ以上実施した後、溶銑予備処理設備にて脱硫処理を実施し、溶銑を400ton転炉に装入して脱珪処理、脱りん処理、脱炭処理等などの一次精錬を実施した。転炉での一次精錬により得られた溶鋼を取鍋へ収容し、真空槽まで輸送して真空脱ガス処理を実施した。環流用Arガスの流量を3000NL/min、真空槽内圧力を300Paとした条件にて、炭素濃度の規格上限を30ppmとした極低炭素鋼が得られるように真空脱炭処理を行った。
従来方法(COガス生成速度kを処理ごとに変化させずに定数として定めるモデル)と本発明方法(COガス生成速度kを処理ごとに計算するモデル)にて取鍋内での炭素濃度推定値が脱炭処理後の炭素濃度の目標値20ppmに到達し任意の時間経過後、真空槽中にAl合金を投入して脱炭処理を停止した。処理後の取鍋から採取した溶鋼の炭素濃度と、従来方法と本発明方法での脱炭停止時の推定炭素濃度を比較すると、従来方法は標準偏差2.9ppm、本発明は標準偏差2.1ppmで溶鋼中炭素濃度を推定することができた。
炭素濃度の規格上限とモデルの標準偏差を考慮し、脱炭終了後の炭素濃度の目標値を定めた。従来方法を用いる場合、モデルの標準偏差が大きいので、脱炭終了後の炭素濃度の目標値を22ppmと低めの目標値とした。推定値が目標値に到達した時に脱炭を停止する試験を46回行った結果、処理開始から脱炭停止までの時間の分布の平均は16.7分であった。
一方、本発明方法を用いる場合、モデルの標準偏差が小さいので、脱炭終了後の炭素濃度の目標値を25ppmと高めの目標値とした。推定値が目標値に到達した時に脱炭を停止する試験を20回行った結果、処理開始から脱炭停止までの時間の分布の平均は15.1分であった。
図3は本発明例と従来例とにおける処理開始から脱炭停止までの時間の分布の平均を示すグラフである。図中の“I”状線ははらつきを表す。本発明方法を用いることにより、脱炭処理時間を短縮できることが確認できた。
1 真空槽
2 取鍋
3 真空排気設備
4 排気孔
5 溶鋼
6 上昇管
7 下降管
8 環流ガス吹込み装置
9 環流ガス流量計
10 酸素濃度測定器
11 圧力測定計
12 成分分析器
13 排ガス流量計
14 炭素濃度推定部
15 脱炭終了判定部

Claims (3)

  1. 環流ガスの供給によって取鍋と真空槽との間で溶鋼を循環させ、CO及びCOを含む排ガスを前記真空槽から排出して溶鋼の脱炭処理行う、RH真空脱ガス装置における溶鋼脱炭方法において、
    脱炭処理中の脱炭反応速度を、溶鋼中の炭素濃度Cの一次式と脱炭速度定数Kの積で表される一次反応の微分方程式として定め、
    溶鋼中の炭素濃度Cおよび酸素濃度Oと真空槽内圧力PとCOガス生成速度kを用いて脱炭容量係数aを算出し、環流量Qおよび脱炭容量係数aを用いて脱炭速度定数Kを計算し、前記定めた微分方程式で表す数式モデルを用いて溶鋼中の炭素濃度を推定し、推定した溶鋼中の炭素濃度が所定の目標値に達したタイミングに脱炭終了判定をするに際し、
    予め、過去の脱炭処理における実績のCOガス生成速度kと溶鋼情報と排ガス情報との関係に基づいて、溶鋼情報と排ガス情報からCOガス生成速度kを求める回帰式を作成しておき、
    当該脱炭処理時の溶鋼情報と排ガス情報を用いて前記作成した回帰式によってCOガス生成速度kを算出することを特徴とするRH真空脱ガス装置における溶鋼脱炭方法。
    ただし、脱炭容量係数aは、真空槽内で溶鋼からCOガス気泡として発生する速度を表すパラメータであり、溶鋼中酸素濃度Oと真空槽内の溶鋼中炭素濃度Cと真空槽内圧力Pとに依存する関数として表すことができる。
  2. 前記一次反応の微分方程式は下記(1)式であり、前記脱炭容量係数aを算出する式は下記(2)式であり、脱炭速度定数Kを計算する式は下記(3)式であることを特徴とする請求項1に記載のRH真空脱ガス装置における溶鋼脱炭方法。
    dC/dt=-K・C ・・・(1)
    =A・k・K{C・O-(P+PCO )/K}/(2・ρ・g) ・・・(2)
    =(Q/W)・ρ・a/(Q+ρ・a) ・・・(3)
    ここで、t:時間、A:反応界面積、K:炭素の酸化反応の平衡定数、PCO :CO気泡臨界圧、ρ:溶鋼密度、g:重力加速度、Q:溶鋼の環流量、W:取鍋内の溶鋼量
  3. 脱炭処理中の時刻(t=t)において溶鋼中の炭素濃度と酸素濃度を測定してそれぞれC、Oとし、これらの値を初期値として前記微分方程式を数値的に解くことにより、t=t以降の各時刻における溶鋼中の炭素濃度Cを算出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のRH真空脱ガス装置における溶鋼脱炭方法。
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