JP4715617B2 - 真空脱ガス装置の異常を検出する異常検出方法、異常検出システム及び異常検出装置 - Google Patents

真空脱ガス装置の異常を検出する異常検出方法、異常検出システム及び異常検出装置 Download PDF

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Description

本発明は、取鍋内の溶鋼のガス成分を真空槽にて除去し排出する真空脱ガス装置の異常を検出する異常検出方法、該異常検出方法を適用した異常検出システム、及び該異常検出システムにて用いられる異常検出装置に関し、特にRH真空脱ガス装置の脱炭速度低下異常を検出する異常検出方法、異常検出システム及び異常検出装置に関する。
例えば極低炭素鋼の製造の際に、RH真空脱ガス装置を用いて溶鋼内の炭素を除去する脱炭処理が行われている。RH真空脱ガス装置では、取鍋内に貯留した溶鋼を真空槽との間で環流させることにより、溶鋼から一酸化炭素、二酸化炭素等の炭素酸化物として炭素を除去する脱炭処理を行っている。RH真空脱ガス装置を用いた脱炭処理において、脱炭処理終了後の溶鋼は、含有炭素濃度が予め設定されている規格の上下限内に入らなければならない。そこで目標炭素濃度に到達した段階で脱炭処理を停止する様々な方法が開示されている。
特許文献1では、RH真空脱ガス装置を用いた脱炭処理において、排ガス流出速度並びに排ガス中の一酸化炭素濃度及び二酸化炭素濃度に基づいて算出される脱炭速度が一定値以下となった時点で、溶鋼中酸素濃度、真空槽内圧力、溶鋼環流用ガス流量、排ガス流量、一酸化炭素濃度及び二酸化炭素濃度等の操業データを用いて溶鋼中炭素濃度を推定し、脱炭処理を停止する方法が開示されている。
特許文献2では、溶鋼の真空脱ガス精錬において精錬中の炭素濃度の時間変化を真空槽内圧力、気泡生成圧力及び鍋内炭素濃度を微分方程式にて示し、逐次行う溶鋼サンプリングの結果に基づき適宜炭素濃度及び酸素濃度を修正した微分方程式に基づいて溶鋼中炭素濃度を推定し、脱炭処理を停止する方法が開示されている。
特開平9−202913号公報 特開平6−256840号公報
上述した従来の方法は、脱炭速度が公称モデルに基づく理論値に一致することを前提に溶鋼中炭素濃度を推定する方法である。
しかしながら実際の脱炭処理においては、温度調整のためアルミニウム、鉄スケール等の金属を投入することにより、脱炭速度が大きく変化する場合がある。また下部槽耐火物浸食による真空槽内の溶鋼流動の変化等の設備設置時からの経年変化により、脱炭速度が低下する場合がある。この様な場合、溶鋼内の実際の炭素濃度は、公称モデルに基づき推定した理論値よりも高くなるので、公称モデルにて推定した理論値に基づき脱炭処理を停止した場合には、炭素濃度が規格の上限値を外れる可能性がある。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、公称モデルに基づき推定した炭素酸化物成分の流出速度に係る第1係数と、時系列的に実測して得られた炭素酸化物の流出速度に係る第2係数とに基づいて、脱炭処理の異常を検出することにより、溶鋼内の炭素濃度が公称モデルに基づき推定した理論値から外れる場合でも、脱炭速度の異常を検出し、溶鋼内の炭素濃度が規格外となる可能性を低減することが可能な異常検出方法、該異常検出方法を適用した異常検出システム、及び該異常検出システムにて用いられる異常検出装置の提供を目的とする。
第1発明に係る異常検出方法は、取鍋内の溶鋼のガス成分を真空槽にて除去し排出する真空脱ガス装置の異常を検出する異常検出方法において、真空槽から流出する排ガスの流出速度及び排ガス中の炭素酸化物の成分比率を測定し、測定した排ガスの流出速度及び炭素酸化物の成分比率に基づき排ガス中の炭素酸化物成分の流出速度を時系列的に算出し、算出した排ガス中の炭素酸化物成分の流出速度に基づいて取鍋内及び真空槽内の溶鋼炭素濃度の推定値を算出し、算出した推定値に基づいて、炭素酸化物成分の流出速度の経時変化に係る第1の係数を算出し、時系列的に算出した炭素酸化物成分の流出速度に基づいて、該流出速度の経時変化に係る第2の係数を算出し、算出した第1の係数及び第2の係数の大小関係に基づいて脱炭速度の異常を検出することを特徴とする。
第2発明に係る異常検出システムは、取鍋内の溶鋼のガス成分を真空槽にて除去し排出する真空脱ガス装置の異常を検出する異常検出システムにおいて、真空槽から流出する排ガスの流出速度を測定する流出速度測定装置と、排ガス中の炭素酸化物の成分比率を測定する成分測定装置と、前記流出速度測定装置及び成分測定装置の測定結果に基づいて異常を検出する異常検出装置とを備え、該異常検出装置は、測定した排ガスの流出速度及び炭素酸化物の成分比率に基づいて排ガス中の炭素酸化物成分の流出速度を時系列的に算出する手段と、算出した排ガス中の炭素酸化物成分の流出速度に基づいて取鍋内及び真空槽内の溶鋼炭素濃度の推定値を算出する手段と、算出した推定値に基づいて、炭素酸化物成分の流出速度の経時変化に係る第1の係数を算出する手段と、時系列的に算出した炭素酸化物成分の流出速度に基づいて、該流出速度の経時変化に係る第2の係数を算出する手段と、算出した第1の係数及び第2の係数の大小関係に基づいて脱炭速度の異常を検出する手段とを備えることを特徴とする。
第3発明に係る異常検出システムは、取鍋内の溶鋼のガス成分を真空槽にて除去し排出する真空脱ガス装置の異常を検出する異常検出システムにおいて、真空槽から流出する排ガスの流出速度を測定する流出速度測定装置と、排ガス中の炭素酸化物の成分比率を測定する成分測定装置と、前記流出速度測定装置及び成分測定装置の測定結果に基づいて異常を検出する異常検出装置とを備え、該異常検出装置は、測定した排ガスの流出速度及び炭素酸化物の成分比率に基づいて排ガス中の炭素酸化物成分の流出速度を時系列的に算出する手段と、算出した排ガス中の炭素酸化物成分の流出速度に基づいて取鍋内及び真空槽内の溶鋼炭素濃度の推定値を算出する手段と、算出した溶鋼炭素濃度の推定値、取鍋内の溶鋼質量、並びに取鍋及び真空槽間の環流溶鋼量を用いた理論式に基づいて、炭素酸化物成分の流出速度の経時変化に係る第1の係数を算出する手段と、時系列的に算出した炭素酸化物成分の流出速度に基づいて、該流出速度の経時変化に係る第2の係数を算出する手段と、算出した第1の係数及び第2の係数の大小関係に基づいて脱炭速度の異常を検出する手段とを備えることを特徴とする。
第4発明に係る異常検出装置は、取鍋内の溶鋼のガス成分を真空槽にて除去し排出する真空脱ガス装置の異常を検出する異常検出装置において、真空槽から流出する排ガスの流出速度の測定結果を時系列的に取得する手段と、排ガス中の炭素酸化物の成分比率の測定結果を時系列的に取得する手段と、測定した排ガス中の流出速度及び炭素酸化物の成分比率に基づいて排ガス中の炭素酸化物成分の流出速度を時系列的に算出する手段と、算出した排ガス中の炭素酸化物成分の流出速度に基づいて取鍋内及び真空槽内の溶鋼炭素濃度の推定値を算出する手段と、算出した推定値に基づいて、炭素酸化物成分の流出速度の経時変化に係る第1の係数を算出する手段と、時系列的に算出した炭素酸化物成分の流出速度に基づいて、該流出速度の経時変化に係る第2の係数を算出する手段と、算出した第1の係数及び第2の係数の大小関係に基づいて脱炭速度の異常を検出する手段とを備えることを特徴とする。
本願の発明者らは、溶鋼の含有炭素濃度の実際の値が、公称モデルに基づく理論式にて算出した推定値より高い場合、真空槽から排出される排ガス中の炭素酸化物(一酸化炭素及び二酸化炭素)成分の流出速度の単位時間当たりの減衰率の実績値が、公称モデルに基づく理論式にて算出した推定値を用いた減衰率より小さくなるという知見を得た。
そこで本発明では、排ガスの流出速度及び炭素酸化物の成分比率に基づき炭素酸化物成分の流出速度を算出し、算出した流出速度を用いて公称モデルに基づき推定した取鍋内及び真空槽内の溶鋼炭素濃度に基づく炭素酸化物の成分流出速度減衰係数等の流出速度に係る第1の係数と、実測値に基づく炭素酸化物成分の流出速度から算出した流出速度に係る第2の係数とに基づいて、異常を検出することにより、推定した理論値と実際の値との乖離に基づく誤判断を防止して、脱炭処理の停止時期を補正し、溶鋼内の炭素濃度が規格外となる可能性を低減することが可能である。
本発明に係る異常検出方法、異常検出システム及び異常検出装置は、真空槽から流出する排ガスの流出速度及び該排ガス中の炭素酸化物の成分比率を測定し、測定した排ガスの流出速度及び炭素酸化物の成分比率に基づき排ガス中の炭素酸化物成分の流出速度を時系列的に算出し、算出した排ガス中の炭素酸化物成分の流出速度に基づいて取鍋内及び真空槽内の溶鋼炭素濃度の推定値を算出し、算出した溶鋼炭素濃度の推定値、取鍋内の溶鋼質量、並びに取鍋及び真空槽間の環流溶鋼量を用いた理論式に基づいて、炭素酸化物成分の成分流出速度減衰係数等の流出速度の経時変化に係る第1の係数を算出し、また時系列的に算出した炭素酸化物成分の流出速度に基づいて、炭素酸化物成分の成分流出速度減衰係数等の流出速度の経時変化に係る第2の係数を算出し、算出した第1の係数及び第2の係数を比較して異常を検出する。
この構成により、本発明では、公称モデルに基づき推定した第1の係数を実測値に基づき算出した第2の係数と比較することにより、推定した溶鋼炭素濃度の理論値が実際の値から乖離しているか否かを検出することができるので、理論値と実際の値との乖離に基づく誤判断を防止して、脱炭処理の停止時期を補正し、溶鋼内の炭素濃度が規格外となる可能性を低減することが可能である等、優れた効果を奏する。
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明の異常検出システムを模式的に示す説明図である。図1中1は、RH真空脱ガス装置であり、RH真空脱ガス装置1は、溶鋼2を貯留する取鍋3を、真空槽4の下部に配置する。真空槽4の下部には、上昇管5及び下降管6の一端が配設されており、上昇管5及び下降管6の他端は、取鍋3内の溶鋼2中に浸漬される。真空槽4には、排気管7の一端が配設されており、排気管7の他端は真空槽内排気装置8に接続されている。また上昇管5には、環流ガス吹き込み装置9が配設されている。
そして真空槽4内の気体を排ガスとして真空槽内排気装置8から排気して減圧することにより、真空槽4内に真空状態が発生し、更に環流ガス吹き込み装置9からアルゴンガス等の環流ガスを吹き込むことにより、取鍋3内の溶鋼2は、上昇管5から真空槽4内に吸い上げられ、下降管6を経て取鍋3内に戻る環流を開始する。
さらにRH真空脱ガス装置1は、真空槽内排気装置8から排気される排ガスの流出速度を測定する排ガス流出速度測定装置10、排ガス中の炭素酸化物の成分比率を測定する赤外分光分析装置等の排ガス成分測定装置11、環流ガス吹き込み装置9から吹き込む環流ガス流量を測定する環流ガス流量測定装置12、取鍋3に貯留された溶鋼2内の酸素濃度を測定する溶鋼酸素濃度測定装置13、真空槽4内の圧力を測定する真空槽内圧力測定装置14等の各種測定装置を備え、各種測定装置にて測定した夫々の測定値は、プロセスコンピュータを用いた異常検出装置20へ送られる。なお排ガス成分測定装置11が測定する炭素酸化物の成分比率とは、一酸化炭素(CO)の成分比率及び二酸化炭素(CO2 )の成分比率の和である。
異常検出装置20は、各種測定装置から取得した測定値に基づいて脱炭処理等の工程を管理し、脱炭処理における異常の発生を検出した場合、異常の通知等の処理を行う。また異常検出装置20は、測定値に基づいて脱炭処理の停止時期を判定し、停止時期に到達したと判定した場合、脱炭処理を停止させる停止信号を脱炭停止装置30へ出力する。
異常検出装置20は、装置全体を制御する制御部21、制御に要する各種プログラム及びデータを記録する記録部22、各測定装置から測定値を取得する取得部23、脱炭停止装置30へ停止信号を出力する信号出力部24、各種押釦を配設した操作パネル等の入力部25、並びに工程に関する情報及び警報を出力するモニタ及びスピーカ等の出力部26を備えている。
脱炭停止装置30は、RH真空脱ガス装置1を制御する装置であり、異常検出装置20から入力を受け付けた停止信号に基づいて、アルミニウム、鉄スケール等の金属を真空槽4内に投入する作業者への指示及び/又は投入装置の制御を行う脱炭停止処理を行う。
次に本発明の異常検出方法にて用いる理論について説明する。本願の発明者らは、溶鋼2の含有炭素濃度の実際の値が、公称モデルに基づく理論式にて算出した推定値より高い場合、真空槽4から排出される排ガス中の炭素酸化物(一酸化炭素及び二酸化炭素)成分の流出速度の単位時間当たりの減衰率の実績値が、公称モデルに基づく理論式にて算出した推定値を用いた減衰率より小さくなるという知見を得た。
RH真空脱ガス装置1においては、取鍋3及び真空槽4内の溶鋼2中の炭素が完全混合状態で平衡炭素濃度が十分に小さい場合、下記の式1及び式2に示すモデル式が成立する。
Figure 0004715617
式2に示した脱炭容量係数は、真空槽4内で溶鋼2からCOガス気泡が発生する速度を示すパラメータであり、溶鋼2中の酸素濃度及び炭素濃度並びに真空槽4内の圧力に依存する関数である。なお脱炭容量係数の詳細については、本願の発明者らの一人を含む研究者らが発表した下記の論文に記載されている。
樋口善彦、外2名、「RH真空脱炭に及ぼす[C],[O]と真空度の影響」、鉄と鋼、社団法人日本鉄鋼協会、1998年、第84巻、第10号、p.21−26
なお当該論文に記載されたモデルを本願における公称モデルとし、脱炭容量係数は、下記の式3にて示されるものとする。
Figure 0004715617
また式1及び式2に示した環流溶鋼流量は、真空槽4内雰囲気圧力と、環流ガス流量と、環流ガス吹き込み位置静圧と、設備に依存する定数とを用いた下記の式4にて示される。
Figure 0004715617
また真空槽4から流出する排ガス中の炭素酸化物の流出速度は、排ガスの流出速度及び排ガス中の炭素酸化物の成分比率から下記の式5にて算出することができる。
Figure 0004715617
一方、系全体における質量脱炭速度は、下記の式6にて示されるが、これは式1及び式2から脱炭容量係数及び真空槽内溶鋼炭素濃度の積に等しい。
Figure 0004715617
そこで下記の式7に示すように、脱炭容量係数及び真空槽内溶鋼炭素濃度の積に、一酸化炭素ガス及び二酸化炭素ガスに含まれる炭素の質量を、0℃・1気圧の標準状態における体積に変換する係数を乗じることにより、炭素の体積流出速度を算出することができる。
Figure 0004715617
本発明の異常検出方法では、式5に示した排ガス中の炭素酸化物の体積流出速度と、式7に示した炭素の体積流出速度とを用いて、取鍋3内の溶鋼2中の炭素濃度と、真空槽4から流出する炭素の体積流出速度との推定値を、下記の式8及び式9にて示されるオブザーバと、式3に示した脱炭容量係数の公称モデルとを連立して解くことにより算出する。なお式8及び式9において、推定値が発散しないように適宜調整した定数をオブザーバゲインとして用いる。
Figure 0004715617
式8及び式9において、排ガス中の炭素酸化物の体積流出速度及び炭素の体積流出速度の誤差が0に漸近する程、取鍋3内の溶鋼2中の炭素濃度及び真空槽4から流出する炭素の体積流出速度の推定値が、実際の炭素濃度及び炭素の体積流出速度に漸近的に一致する。各推定値の漸近挙動は、オブザーバゲインの値で調節することが可能であり、計算開始時の各推定値の初期値と実際の値との誤差は、計算と共に0に漸近する。この様にして公称モデルに基づく理論式にて溶鋼2中の炭素濃度の推定値を算出することができ、RH真空脱ガス装置1は、算出した炭素濃度の推定値が目標炭素濃度に到達した段階で脱炭処理を停止する。
ところが実際のRH真空脱ガス装置1の脱炭処理においては、実際の脱炭挙動における脱炭容量係数と、式3に示した公称モデルにおける脱炭容量係数とが常に一致するとは限らない。特に実際の脱炭容量係数が、公称モデルにおける脱炭容量係数より小さい場合、式8及び式9による取鍋3内の溶鋼2中の炭素濃度の推定値が、実際の炭素濃度よりも低くなる。この様な場合、脱炭処理において溶鋼2中の実際の炭素濃度が目標炭素濃度に基づき設定される脱炭停止基準値に到達していないにも関わらず、脱炭停止基準値に到達したと誤判定して脱炭処理を停止することになる。そこで実際の脱炭反応モデルが下記の式10及び式11にて示されるものとする。
Figure 0004715617
また真空槽4から流出する排ガス中の炭素酸化物の体積流出速度は、下記の式12にて示すことができる。
Figure 0004715617
なお炭素濃度については、式8及び式9にて示したオブザーバを用いることにより、真空槽内溶鋼炭素濃度の推定値xCVを用いて示す炭素の体積流出速度が排ガス中の炭素酸化物の体積流出速度と一致するとして、下記の式13の関係が成立する。
Figure 0004715617
ここで正の数mを用いて下記の式14の関係が成立するとする。
Figure 0004715617
また実際の脱炭容量係数は、公称モデルに対して正の数rを用いて下記の式15で示すことができるものとする。
Figure 0004715617
式13及び式15から、rは下記の式16で示すことができ、また式16は、下記の式17に変形することができる。
Figure 0004715617
図2は、本発明の異常検出方法にて用いられる変数m及びrの関係を示すグラフである。図2は、横軸に正の変数mをとり、縦軸に正の変数rをとって、その関係を示している。公称モデルの脱炭容量係数について、下記の式18の関係が成立するとすると、m及びrは、図2に示す様に右下がりの曲線で表される。
Figure 0004715617
取鍋3内の溶鋼2中の炭素濃度が脱炭停止基準値に到達して脱炭処理を停止した場合に、溶鋼2中の実際の炭素濃度が規格上限値を超えない様にしなければならない。そこで溶鋼2の炭素濃度の規格上限値と脱炭停止基準炭素濃度との比の値であるmに、上限値mU を設定するものとすると、図2のグラフに示すmとrとの関係より、上限値mU にrの下限値rL が対応することから、脱炭停止時のrが下限値rL 未満であれば溶鋼2の実際の炭素濃度が規格上限値を超えていることを検出することができる。
本発明の異常検出方法では、rが下限値rL 未満であるか否かを直接判定するのではなく、排ガス中の炭素酸化物の体積流出速度の時間当たりの減衰率、即ち炭素酸化物成分流出速度減衰係数の値に基づいて判定する。排ガス中の炭素酸化物の体積流出速度の時間当たりの減衰率である炭素酸化物成分流出速度係数は、下記の式19として示すことができる。
Figure 0004715617
公称モデルにおける炭素酸化物成分流出速度係数の理論値は、下記の式20として示される。
Figure 0004715617
式20の導出方法について説明する。真空槽内溶鋼質量が取鍋内溶鋼質量に比べて十分に小さい場合、溶鋼2中の炭素濃度の平均値の変化速度は、下記の式21及び式22として近似することができる。
Figure 0004715617
式21の公称モデルに基づいて排ガス中の炭素酸化物の体積流出速度は、下記の式23として示すことができる。
Figure 0004715617
式23の両辺を時間tで微分した式が、下記の式24である。
Figure 0004715617
ここで式20を式23に代入することにより、下記の式25を求めることができる。
Figure 0004715617
また下記の式26が成立する。
Figure 0004715617
式22及び式26に基づいて式25を変形したものが、下記の式27である。
Figure 0004715617
式27は、下記の式28として示すことができる。
Figure 0004715617
また式22の両辺の逆数をとった式が、下記の式29である。
Figure 0004715617
式29の両辺を時間tで微分した式が、下記の式30である。
Figure 0004715617
また脱炭容量係数の微分値は、下記の式31として示すことができる。
Figure 0004715617
従って式28は、式30及び式31より、下記の式32として示すことができる。
Figure 0004715617
この様にして、式20に示す公称モデルの理論式を導出することができる。
次にオブザーバを用いて求めた溶鋼2中の炭素濃度の推定値に対する実際の炭素濃度がmU 倍である場合における、実際の炭素酸化物の体積流出速度の減衰係数の導出方法について説明する。式20は、実際の真空槽内溶鋼炭素濃度及び実際の脱炭容量係数を適用することで、下記の式33に変換することができる。
Figure 0004715617
同様にして式22は、下記の式34に変換することができる。
Figure 0004715617
式34に式17を代入することにより、下記の式35を求めることができる。
Figure 0004715617
このとき式14より、下記の式36を示すことができる。
Figure 0004715617
また式14及び式17より、下記の式37を示すことができる。
Figure 0004715617
さらに式14より、下記の式38を示すことができる。
Figure 0004715617
従って、式33に、式17、式35、式36、式37及び式38を代入することにより、実際の炭素酸化物成分流出速度減衰係数を示す下記の式39を導出することができる。なお式39において、真空槽内溶鋼炭素濃度の時間微分値は、式8及び式9に示すオブザーバを用いて求めることができる。
Figure 0004715617
図3は、本発明の異常検出方法にて用いられる変数mの上限値mU 及び実際の炭素酸化物成分流出速度減衰係数の関係を示すグラフである。図3は、横軸に上限値mU をとり、縦軸に実際の炭素酸化物成分流出速度減衰係数をとって、式39における真空槽内溶鋼炭素濃度の時間微分値、即ち炭素濃度の変化速度が一定であるとした場合の、上限値mU 及び実際の炭素酸化物成分流出速度減衰係数の関係を示している。
図3に示す様に実際の炭素酸化物成分流出速度減衰係数は、上限値mU に対して右下がりの曲線で表される。上限値mU が溶鋼2の炭素濃度の推定値に対する実際の炭素濃度の上限として設定されたものであるとすると、図3のグラフにおいて、上限値mU に対応する実際の炭素酸化物成分流出速度減衰係数の値を下限値として設定することができる。
従って脱炭停止までに実際の炭素酸化物成分流出速度減衰係数と、設定した下限値との大小関係を比較し、下限値より小さいと判定した場合、溶鋼炭素濃度の推定値が脱炭停止の目標値に到達していたとしても、実際の溶鋼炭素濃度が上限値mU より高い異常状態にあることを検出することができる。これにより本発明の異常検出方法は、溶鋼2内の炭素濃度が規格外となることを防止することができる。
次に実際の炭素酸化物成分流出速度係数の算出方法について説明する。実際の炭素酸化物成分流出速度係数は、排ガスの流出速度の測定値及び排ガス中の炭素酸化物の成分比率から算出した排ガス中の炭素酸化物の流出速度を一定の時間間隔で時系列的に算出する。そして算出した炭素酸化物成分の流出速度の経時変化からカルマンフィルタを用いてノイズを除去することにより、炭素酸化物成分の流出速度の経時変化に係る係数、即ち実際の炭素酸化物成分流出速度係数を算出する。下記の式40は、平均値0、分散σ2 である正規分布に従うノイズn(t) を用いて排ガス中の炭素酸化物の体積流出速度を示したものである。
Figure 0004715617
式40に基づくカルマンフィルタを用いた下記の式41、式42及び式43に基づく計算を、Δtとして示す時間間隔で行う。
Figure 0004715617
離散時間における炭素酸化物成分流出速度係数と、連続時間における炭素酸化物成分流出速度係数との関係は、下記の式44にて示される。
Figure 0004715617
従って連続時間における実際の炭素酸化物成分流出速度係数は、下記の式45にて算出することができる。
Figure 0004715617
この様にして算出した実際の炭素酸化物成分流出速度係数を、理論式を用いて推定した炭素酸化物成分流出速度係数に基づく値と大小関係を比較することにより、本発明の異常検出方法は、脱炭速度低下を異常として検出することができる。
次に本発明の異常検出装置20の処理について説明する。図4は、本発明の異常検出装置20の処理を示すフローチャートである。異常検出装置20は、制御部21の制御により、排ガス流出速度測定装置10が測定した排ガスの流出速度、排ガス成分測定装置11が測定した排ガス中の炭素酸化物の成分比率等の測定値を、取得部23から取得する(ステップS1)。ステップS1において、異常検出装置20は、予め設定されている時間間隔Δtで測定値を取得する。なお異常検出装置20は、測定装置毎に異なる時間間隔で測定値を取得し、取得した測定値を記録部22に記録し、所定の時間間隔で記録部22から測定値を読み出すようにしても良い。
異常検出装置20は、取得した排ガスの流出速度及び炭素酸化物の成分比率に基づいて排ガス中の炭素酸化物成分の体積流出速度を時系列的に算出する(ステップS2)。ステップS2における排ガス中の炭素酸化物成分の体積流出速度は、式5を用いて算出される。なお時系列的とは、時間間隔Δtで断続的に算出することを示す。
異常検出装置20は、算出した排ガス中の炭素酸化物成分の体積流出速度に基づいて取鍋3内及び真空槽4内の溶鋼2の炭素濃度の推定値を算出する(ステップS3)。ステップS3における溶鋼2の炭素濃度の推定値は、式8及び式9に示すオブザーバを用いた公称モデルに基づいて算出される。
異常検出装置20は、ステップS3にて算出した取鍋3内及び真空槽4内の溶鋼2の炭素濃度の推定値、取鍋3内の溶鋼2の質量、取鍋3及び真空槽4間の環流溶鋼量、並びに予め設定されている溶鋼炭素濃度に係る比の値の上限値mU を用いた理論式に基づき、炭素酸化物成分流出速度減衰係数を下限値として算出する(ステップS4)。ステップS4において、取鍋3及び真空槽4間の環流溶鋼量は、真空槽内圧力測定装置14が測定した真空槽4内の圧力(真空槽内雰囲気圧力)、環流ガス流量測定装置12が測定した環流ガス流量及び環流ガス吹き込み位置静圧に基づき式4を用いて算出される。ステップS4において溶鋼炭素濃度に係る比の値の上限値mU とは、溶鋼2の炭素濃度の規格上限値と脱炭停止基準炭素濃度との比の値とであるmの許容可能な上限値として予め設定されている。ステップS4において理論式とは式39を示す。
また異常検出装置20は、ステップS2にて時系列的に算出した炭素酸化物成分の体積流出速度から式41乃至式43に基づくカルマンフィルタを用いて離散時間における炭素酸化物成分流出速度係数を算出する(ステップS5)。
異常検出装置20は、ステップS5にて算出した離散時間における炭素酸化物成分流出速度係数から式45に基づいて、連続時間における炭素酸化物成分流出速度係数を算出する(ステップS6)。
そして異常検出装置20は、ステップS4にて下限値として算出した炭素酸化物成分流出速度減衰係数と、ステップS6にて算出した連続時間における炭素酸化物成分流出速度係数との大小関係を比較し、連続時間における炭素酸化物成分流出速度係数が、下限値となる炭素酸化物成分流出速度減衰係数未満であると判定した場合(ステップS7:YES)、脱炭速度が低下したと判断し、異常処理を行う(ステップS8)。ステップS8における異常処理とは、出力部26から異常発生を示す信号の出力、脱炭処理の延長、脱炭処理を停止する基準として設定している目標炭素濃度の変更等の処理である。
ステップS7において、連続時間における炭素酸化物成分流出速度係数が、下限値となる炭素酸化物成分流出速度減衰係数以上であると判定した場合(ステップS7:NO)、脱炭速度は正常であると判定する。
なおステップS1〜S8の処理は、取鍋3内の溶鋼2の炭素濃度の推定値が、目標炭素濃度に到達するまで所定の時間間隔Δtで繰り返される。
そして異常検出装置20は、取鍋3内の溶鋼2の炭素濃度の推定値が、目標炭素濃度に到達した段階で、信号出力部24から脱炭停止装置30へ停止信号を出力する(ステップS9)。脱炭停止装置30は、異常検出装置20から入力を受け付けた停止信号に基づいて、アルミニウム、鉄スケール等の金属を真空槽4内に投入する作業者への指示及び/又は投入装置の制御を行う脱炭停止処理を行う。
次に本発明の異常検出方法を適用した実施例について説明する。先ず実施条件について説明する。高炉から出銑された溶銑をトーピードカーに移して転炉工場に輸送し、脱珪、脱硫、脱燐等の溶銑予備処理を一つ以上実施する。そして溶銑を250トンの転炉に移し、脱炭吹錬を実施する。そして脱炭吹錬により得られた溶鋼2を取鍋3へ出鋼し、未脱酸状態でRH真空脱ガス装置1まで輸送し、脱炭処理を実施する。なお脱炭処理において、アルゴンガスの環流ガス流量は2000NL/minであり、真空槽内雰囲気圧力は133Paである。この条件下で、炭素濃度規格上限値30ppmの極低炭鋼を製造すべく真空脱炭処理を実施した。
(実施例1)
図5は、本発明の異常検出方法に係る脱炭処理の工程値の経時変化を示すグラフである。図5(a)は、横軸に時間をとり、縦軸に取鍋内溶鋼炭素濃度の推定値をとって、脱炭処理中における推定値の経時変化を実線にて示している。図5(a)において白丸は、脱炭処理後の溶鋼炭素濃度の実測値を示している。図5(b)は、横軸に時間をとり、縦軸に排ガス中の炭素酸化物の体積流出速度をとって、脱炭処理中における体積流出速度の経時変化を実線にて示している。図5(c)は、横軸に時間をとり、縦軸に炭素酸化物成分流出速度減衰係数をとって、脱炭処理中における炭素酸化物成分流出速度係数の経時変化を示している。図5(c)において、破線は、理論式に基づき推定した炭素酸化物成分流出速度係数の経時変化を示し、実線は、実測値に基づく炭素酸化物成分流出速度係数の経時変化を示している。
実施例1では、極低炭鋼の炭素濃度規格上限値が30ppmであるのに対し、脱炭停止目標値を22ppmとし、mの上限値mU を1.36として推定する炭素酸化物成分流出速度減衰係数を下限値とした。脱炭速度低下の判定は、溶鋼酸素活量を測定した脱炭処理開始9分後から行った。
実施例1では、図5(a)に示す様に、脱炭処理中の取鍋内溶鋼炭素濃度の推定値が17ppmに到達した段階で、アルミニウムを真空槽4内に投入して脱炭処理を停止した。その結果、脱炭処理後の溶鋼炭素濃度の実測値は、推定値と同じ17ppmであった。図5(c)に示す様に脱炭速度低下の判定を行った脱炭処理開始から9分後以降において、実測値に基づく炭素酸化物成分流出速度係数は、常に下限値である推定した炭素酸化物成分流出速度係数以上の値を示している。従って本発明の異常検出装置20は、脱炭速度が低下したと判定していない。脱炭処理後の溶鋼炭素濃度が実測値が17ppmであることにより、本発明の異常検出装置20は適切な判定を行ったと言える。
(実施例2)
図6は、本発明の異常検出方法に係る脱炭処理の工程値の経時変化を示すグラフである。図6(a)は、横軸に時間をとり、縦軸に取鍋内溶鋼炭素濃度の推定値をとって、脱炭処理中における推定値の経時変化を実線にて示している。図6(a)において白丸は、脱炭処理後の溶鋼炭素濃度の実測値を示している。図6(b)は、横軸に時間をとり、縦軸に排ガス中の炭素酸化物の体積流出速度をとって、脱炭処理中における体積流出速度の経時変化を実線にて示している。図6(c)は、横軸に時間をとり、縦軸に炭素酸化物成分流出速度減衰係数をとって、脱炭処理中における炭素酸化物成分流出速度係数の経時変化を示している。図6(c)において、破線は、理論式に基づき推定した炭素酸化物成分流出速度係数の経時変化を示し、実線は、実測値に基づく炭素酸化物成分流出速度係数の経時変化を示している。
実施例2において、脱炭停止目標値は、実施例1と同様22ppmとし、mの上限値mU を1.36として推定する炭素酸化物成分流出速度減衰係数を下限値とした。脱炭速度低下の判定は、溶鋼酸素活量を測定した脱炭処理開始11分後から行った。
実施例2では、図6(a)に示す様に、脱炭処理中の取鍋内溶鋼炭素濃度の推定値が17ppmに到達した段階で、アルミニウムを真空槽4内に投入して脱炭処理を停止した。その結果、脱炭処理後の溶鋼炭素濃度の実測値は、推定値を大きく上回る27ppmであった。図6(c)に示す様に脱炭速度低下の判定を行った脱炭処理開始から11分後以降において、実測値に基づく炭素酸化物成分流出速度係数は、下限値である推定した炭素酸化物成分流出速度係数未満の値を示す状態が長く続いた。従って本発明の異常検出装置20は、脱炭速度が低下したと判定した。脱炭処理後の溶鋼炭素濃度が実測値が27ppmであることにより、本発明の異常検出装置20は適切な判定を行ったと言える。
前記実施の形態は、本発明の無数にある実施の形態の一例を示したに過ぎず、本発明は、上記形態以外にも様々な形態に展開することが可能であり、例えば炭素酸化物成分流出速度係数の算出方法一つについても、必ずしもカルマンフィルタを用いる必要はなく、様々な測定値及び様々な理論から導き出す様々な方法を用いることが可能である。
本発明の異常検出システムを模式的に示す説明図である。 本発明の異常検出方法にて用いられる変数m及びrの関係を示すグラフである。 本発明の異常検出方法にて用いられる変数mの上限値mU 及び実際の炭素酸化物成分流出速度減衰係数の関係を示すグラフである。 本発明の異常検出装置の処理を示すフローチャートである。 本発明の異常検出方法に係る脱炭処理の工程値の経時変化を示すグラフである。 本発明の異常検出方法に係る脱炭処理の工程値の経時変化を示すグラフである。
符号の説明
1 RH真空脱ガス装置
2 溶鋼
3 取鍋
4 真空槽
5 上昇管
6 下降管
7 排気管
8 真空槽内排気装置
9 環流ガス吹き込み装置
10 排ガス流出速度測定装置
11 排ガス成分測定装置
12 環流ガス流量測定装置
13 溶鋼酸素濃度測定装置
14 真空槽内圧力測定装置
20 異常検出装置
30 脱炭停止装置

Claims (4)

  1. 取鍋内の溶鋼のガス成分を真空槽にて除去し排出する真空脱ガス装置の異常を検出する異常検出方法において、
    真空槽から流出する排ガスの流出速度及び排ガス中の炭素酸化物の成分比率を測定し、
    測定した排ガスの流出速度及び炭素酸化物の成分比率に基づき排ガス中の炭素酸化物成分の流出速度を時系列的に算出し、
    算出した排ガス中の炭素酸化物成分の流出速度に基づいて取鍋内及び真空槽内の溶鋼炭素濃度の推定値を算出し、
    算出した推定値に基づいて、炭素酸化物成分の流出速度の経時変化に係る第1の係数を算出し、
    時系列的に算出した炭素酸化物成分の流出速度に基づいて、該流出速度の経時変化に係る第2の係数を算出し、
    算出した第1の係数及び第2の係数の大小関係に基づいて脱炭速度の異常を検出する
    ことを特徴とする異常検出方法。
  2. 取鍋内の溶鋼のガス成分を真空槽にて除去し排出する真空脱ガス装置の異常を検出する異常検出システムにおいて、
    真空槽から流出する排ガスの流出速度を測定する流出速度測定装置と、
    排ガス中の炭素酸化物の成分比率を測定する成分測定装置と、
    前記流出速度測定装置及び成分測定装置の測定結果に基づいて異常を検出する異常検出装置と
    を備え、
    該異常検出装置は、
    測定した排ガスの流出速度及び炭素酸化物の成分比率に基づいて排ガス中の炭素酸化物成分の流出速度を時系列的に算出する手段と、
    算出した排ガス中の炭素酸化物成分の流出速度に基づいて取鍋内及び真空槽内の溶鋼炭素濃度の推定値を算出する手段と、
    算出した推定値に基づいて、炭素酸化物成分の流出速度の経時変化に係る第1の係数を算出する手段と、
    時系列的に算出した炭素酸化物成分の流出速度に基づいて、該流出速度の経時変化に係る第2の係数を算出する手段と、
    算出した第1の係数及び第2の係数の大小関係に基づいて脱炭速度の異常を検出する手段と
    を備えることを特徴とする異常検出システム。
  3. 取鍋内の溶鋼のガス成分を真空槽にて除去し排出する真空脱ガス装置の異常を検出する異常検出システムにおいて、
    真空槽から流出する排ガスの流出速度を測定する流出速度測定装置と、
    排ガス中の炭素酸化物の成分比率を測定する成分測定装置と、
    前記流出速度測定装置及び成分測定装置の測定結果に基づいて異常を検出する異常検出装置と
    を備え、
    該異常検出装置は、
    測定した排ガスの流出速度及び炭素酸化物の成分比率に基づいて排ガス中の炭素酸化物成分の流出速度を時系列的に算出する手段と、
    算出した排ガス中の炭素酸化物成分の流出速度に基づいて取鍋内及び真空槽内の溶鋼炭素濃度の推定値を算出する手段と、
    算出した溶鋼炭素濃度の推定値、取鍋内の溶鋼質量、並びに取鍋及び真空槽間の環流溶鋼量を用いた理論式に基づいて、炭素酸化物成分の流出速度の経時変化に係る第1の係数を算出する手段と、
    時系列的に算出した炭素酸化物成分の流出速度に基づいて、該流出速度の経時変化に係る第2の係数を算出する手段と、
    算出した第1の係数及び第2の係数の大小関係に基づいて脱炭速度の異常を検出する手段と
    を備えることを特徴とする異常検出システム。
  4. 取鍋内の溶鋼のガス成分を真空槽にて除去し排出する真空脱ガス装置の異常を検出する異常検出装置において、
    真空槽から流出する排ガスの流出速度の測定結果を時系列的に取得する手段と、
    排ガス中の炭素酸化物の成分比率の測定結果を時系列的に取得する手段と、
    測定した排ガス中の流出速度及び炭素酸化物の成分比率に基づいて排ガス中の炭素酸化物成分の流出速度を時系列的に算出する手段と、
    算出した排ガス中の炭素酸化物成分の流出速度に基づいて取鍋内及び真空槽内の溶鋼炭素濃度の推定値を算出する手段と、
    算出した推定値に基づいて、炭素酸化物成分の流出速度の経時変化に係る第1の係数を算出する手段と、
    時系列的に算出した炭素酸化物成分の流出速度に基づいて、該流出速度の経時変化に係る第2の係数を算出する手段と、
    算出した第1の係数及び第2の係数の大小関係に基づいて脱炭速度の異常を検出する手段と
    を備えることを特徴とする異常検出装置。
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