JP6943300B2 - 真空脱ガス設備の制御装置及び制御方法 - Google Patents

真空脱ガス設備の制御装置及び制御方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6943300B2
JP6943300B2 JP2020000683A JP2020000683A JP6943300B2 JP 6943300 B2 JP6943300 B2 JP 6943300B2 JP 2020000683 A JP2020000683 A JP 2020000683A JP 2020000683 A JP2020000683 A JP 2020000683A JP 6943300 B2 JP6943300 B2 JP 6943300B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molten steel
component
concentration
carbon
vacuum degassing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020000683A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020132999A (ja
Inventor
知義 小笠原
知義 小笠原
雄平 西山
雄平 西山
智治 石田
智治 石田
雄三 花園
雄三 花園
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Publication of JP2020132999A publication Critical patent/JP2020132999A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6943300B2 publication Critical patent/JP6943300B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Waste-Gas Treatment And Other Accessory Devices For Furnaces (AREA)
  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)

Description

本発明は、真空脱ガス設備の制御装置及び制御方法に関する。
製鋼工程のうち、RH式真空脱ガス工程(以下、RH工程と略記)は、転炉処理工程の次工程として位置付けられている二次精錬工程であり、鉄鋼製品の最終成分を決定する重要な工程である。溶鋼中のカーボン濃度は、転炉処理工程の直後ではおよそ300[ppm]以上あるが、極低炭素鋼と呼ばれる規格ではRH工程によって10〜20[ppm]程度まで低下(脱炭)させることができる。また、RH工程中に溶鋼に副原料(Mn、FeTi、FeNb、Al等)を投入することによって溶鋼の成分や温度を調整することができる。
ここで、図6を参照して、RH工程において用いられる真空脱ガス設備の構成について説明する。図6は、一般的な真空脱ガス設備の構成を示す模式図である。図6に示すように、一般に、真空脱ガス設備100は真空槽101と取鍋102を備え、その間は2本の浸漬管103a,103bで繋がっている。そして、真空槽101内を真空状態にした状態で配管104を介して片側の浸漬管(上昇管)103bにArガスを供給することにより、Arガスの浮力によって溶鋼Sが真空槽101と取鍋102との間を循環(還流)する。真空槽101内では、脱ガス反応及び脱炭反応(2[H]→H、2[N]→N、[C]+[O]→CO)が進み、溶鋼Sの成分が調整される。
また、真空槽101に設置された上吹ランス105から溶鋼Sに酸素を供給することにより、脱炭反応の促進、昇温(温度調整)、及び微小介在物の浮上分離を行うことができる。他には、配管106を介して溶鋼Sに副原料を投入することによる溶鋼Sの成分調整及びAlキルド処理(脱酸処理)(2[Al]+3[O]→Al)を行うことにより、溶鋼Sは最終的な成分に調整される。なお、脱ガス反応及び脱炭反応で発生する排ガスは配管107を介して真空槽101の外に排出され、真空槽101内は真空状態に保たれている。そして、RH工程完了後の溶鋼Sは連続鋳造設備にて成形される。
次に、図6に示す真空脱ガス設備100の操業方法について説明する。まず、RH工程前に処理対象となる溶鋼Sの目標温度、目標成分(C,Mn,Ti,Nb,O等)、処理量等の緒元情報と、転炉処理工程終了後に取鍋102からサンプリング採取して測定した溶鋼Sの成分分析値及び温度計測値がオペレータに通知される。そして、浸漬管103a,103bに取鍋102を接続し、真空槽101内を真空状態にし、続いてArガスを片側の浸漬管103bに供給することにより、溶鋼Sは還流し、脱炭処理が開始される。脱炭処理中には上吹ランス105から酸素が供給され、脱炭反応が促進される。
極低炭素鋼の場合、周期的にサンプリングしている排ガス流量や排ガス成分を確認し、脱炭反応の進行具合(脱炭速度dC/dt)を監視し、それが十分小さくなったとき(平衡点になったとき)を脱炭完了、つまり目標とするカーボン濃度が達成されたと判断し、その後、Alキルド処理及び他の合金添加による成分調整が行われて溶鋼Sを目標成分とする。一方、目標カーボン濃度が200ppm程度のセミ極低炭素鋼の場合でも、同じく脱炭反応の進行具合を監視し、それが十分小さくなったときを確認するまでは同じであるが、平衡点におけるカーボン濃度は、目標カーボン濃度よりも大きく下回っている。このため、カーボン濃度の調整のためにカーボン成分を含有した副原料(合金)と加炭材を溶鋼Sに投入することにより、カーボン濃度と他の成分濃度を目標値に調整する。
このように、平衡点に到達した後にカーボン濃度の調整を行う理由は、平衡点におけるカーボン濃度が真空槽内圧力等を用いて比較的高い精度で推定できるため、そこからの副原料や加炭材の投入量を逆算することが容易であるためである。また、カーボン成分を含有した副原料(例えば高炭素フェロマンガン)は、カーボン成分の含有量が小さい副原料よりも安価であるため、一般的に使用されている。加炭材は、カーボン成分や温度を調整するために使用される。以降のAlキルド処理及び他の合金添加による成分調整は極低炭素鋼のときと同じ手順で行われる。
このような真空脱ガス設備では、真空槽内の減圧のための蒸気と還流用のArガスが大量に必要となるため、溶鋼が目標成分となった際には直ちに脱炭処理を終了することが製造コストの抑制に有効である。このことから、脱炭処理終了の早期化のために、プロセスの情報、排ガスの情報、脱炭処理中の溶鋼サンプルの成分分析値等を用いて脱炭完了判定を行う方法が提案されている。
具体的には、特許文献1には、反応への影響が大きい浸漬管の内径の変化を溶鋼還流時間と合金鉄添加量を説明変数としたモデルで表現し、それを真空槽と取鍋での反応モデルに導入することによってモデルの精度向上を図り、モデルによって算出されたカーボン濃度推定値が目標値となった際に脱炭完了判定を行う方法が記載されている。
また、特許文献2には、実績の排ガス成分を用いて溶鋼からの脱カーボン量を求め、それとモデル計算した脱カーボン量との差に応じてモデルを修正するという制御理論におけるオブザーバ(状態推定器)を適用することにより、溶鋼中カーボン濃度の推定精度を向上させる方法が記載されている。
また、特許文献3には、処理中の溶鋼サンプルの炭素分析値、温度、酸素濃度分析値を用いてモデル計算によって脱炭完了目標炭素量が達成される時間を推定し、推定結果に基づいて脱炭完了時刻を求める方法が記載されている。
特開2015−101742号公報 特許第4353054号公報 特許第3221787号公報
Bernd Kleimt, Siegfried Kohle, and Alfred Jungreithmeier:Steel Research 72(2001), No.9, pp.337
特許文献1〜3に記載の方法はいずれも、カーボン濃度推定値が目標値となったときに脱炭完了判定を行うものである。このため、特許文献1〜3に記載の方法は、脱炭反応が十分に進行した後に副原料によるカーボン濃度調整を行わない極低炭素鋼に対しては有効に働き、処理時間を短縮することが期待できる。しかしながら、セミ極低炭素鋼の操業では、脱炭処理により平衡点まで脱炭した後に副原料によるカーボン濃度調整が行われており、この平衡点到達までの脱炭処理によって処理時間の長期化を招いている。特許文献1〜3に記載の技術は、RH工程で主要となる規格である極低炭素鋼を前提としているため、脱炭完了判定に使用するカーボン濃度目標値はRH工程完了後の目標値としており、セミ極低炭素鋼の操業で発生する副原料投入によるカーボン濃度上昇を考慮していない。このため、製造コスト低減に繋がる処理時間の短縮化はできない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、平衡点到達前に脱炭完了判定を行うことにより脱炭処理時間を短縮可能な真空脱ガス設備の制御装置及び制御方法を提供することにある。
本発明に係る真空脱ガス設備の制御装置は、転炉処理工程後の溶鋼の成分濃度及び温度を測定する成分・温度測定部と、前記成分・温度測定部によって測定された前記溶鋼の成分濃度と処理対象の溶鋼の重量とを用いて、真空脱ガス工程後に指定成分濃度が目標濃度となるように指定成分及びカーボン成分を含有する副原料の投入量を決定する副原料投入量決定部と、前記成分・温度測定部によって測定された溶鋼の成分濃度及び温度と、所定周期毎に得られる真空脱ガス工程における複数の操業実績値と、を用いて、真空脱ガス工程中における溶鋼中カーボン濃度を算出するカーボン成分計算部と、前記カーボン成分計算部によって計算された溶鋼中カーボン濃度に対して、前記副原料投入量決定部によって決定された投入量の副原料を脱炭処理中から脱炭処理後にかけて投入することに伴う溶鋼中カーボン濃度の上昇量を加算し、加算値が溶鋼中カーボン濃度の目標値となったタイミングで真空脱ガス処理を終了させる脱炭完了判定部と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る真空脱ガス設備の制御装置は、上記発明において、前記溶鋼中カーボン濃度の目標値は、溶鋼中カーボン濃度の規格上限値から正の所定値を減算した値であることを特徴とする。
本発明に係る真空脱ガス設備の制御方法は、転炉処理工程後の溶鋼の成分濃度及び温度を測定する成分・温度測定ステップと、前記成分・温度測定ステップにおいて測定された前記溶鋼の成分濃度と処理対象の溶鋼の重量とを用いて、真空脱ガス工程後に指定成分濃度が目標濃度となるように指定成分及びカーボン成分を含有する副原料の投入量を決定する副原料投入量決定ステップと、前記成分・温度測定ステップにおいて測定された溶鋼の成分濃度及び温度と、所定周期毎に得られる真空脱ガス工程における複数の操業実績値と、を用いて、真空脱ガス工程中における溶鋼中カーボン濃度を算出するカーボン成分計算ステップと、前記カーボン成分計算ステップにおいて計算された溶鋼中カーボン濃度に対して、前記副原料投入量決定ステップにおいて決定された投入量の副原料を脱炭処理中から脱炭処理後にかけて投入することに伴う溶鋼中カーボン濃度の上昇量を加算し、加算値が溶鋼中カーボン濃度の目標値となったタイミングで真空脱ガス処理を終了させる脱炭完了判定ステップと、を含むことを特徴とする。
本発明に係る真空脱ガス設備の制御方法は、上記発明において、前記溶鋼中カーボン濃度の目標値は、溶鋼中カーボン濃度の規格上限値から正の所定値を減算した値であることを特徴とする。
本発明に係る真空脱ガス設備の制御装置及び制御方法によれば、平衡点到達前に脱炭完了判定を行うことにより脱炭処理時間を短縮することができる。
図1は、本発明の一実施形態である真空脱ガス設備の制御装置の構成を示すブロック図である。 図2は、本発明の一実施形態である脱炭制御処理の流れを示すフローチャートである。 図3は、脱炭完了判定処理を説明するための図である。 図4は、従来法及び発明法による溶鋼中カーボン濃度の時間変化を示す図である。 図5は、発明法による溶鋼中カーボン濃度の時間変化を示す図である。 図6は、一般的な真空脱ガス設備の構成を示す模式図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である真空脱ガス設備の制御装置の構成及びその動作について説明する。
〔構成〕
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態である真空脱ガス設備の制御装置の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態である真空脱ガス設備の制御装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本発明の一実施形態である真空脱ガス設備の制御装置1は、図5に示す真空脱ガス設備100の動作を制御する装置であり、コンピュータ等の情報処理装置によって構成されている。本発明の一実施形態である真空脱ガス設備の制御装置1は、情報処理装置内のCPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置がコンピュータプログラムを実行することにより、成分・温度測定部11、副原料投入量決定部12、カーボン成分計算部13、及び脱炭完了判定部14として機能する。これら各部の機能については後述する。
このような構成を有する真空脱ガス設備の制御装置1は、以下に示す脱炭制御処理を実行することにより、平衡点到達前に脱炭完了判定を行うことによって脱炭処理時間を短縮する。以下、図2,図3を参照して、脱炭制御処理を実行する際の本発明の一実施形態である真空脱ガス設備の制御装置1の動作について説明する。
〔脱炭制御処理〕
図2は、本発明の一実施形態である脱炭制御処理の流れを示すフローチャートである。図2に示すフローチャートは、脱炭処理の実行命令が入力されたタイミングで開始となり、脱炭制御処理はステップS1の処理に進む。
ステップS1の処理では、成分・温度測定部11が、転炉処理工程完了後からRH工程開始までの間で溶鋼のサンプルを採取し、その成分濃度及び温度を測定してそれらの値を保持しておく。濃度を測定する成分としては、C,Si,Mn,P,S,Al,Cu,Nb,Ti等を例示できる。これにより、ステップS1の処理は完了し、脱炭制御処理はステップS2の処理に進む。
ステップS2の処理では、副原料投入量決定部12が、ステップS1の処理において測定された溶鋼の成分濃度と上位コンピュータから取得した処理対象の溶鋼の重量の情報とを用いて、溶鋼中の指定成分の濃度が目標値となる指定成分及びカーボン成分を含有する副原料の投入量を決定する。具体的には、カーボン成分を重量パーセントにしてX[%]含有する副原料がY[kg]あるとし、これを重量Z[ton]の溶鋼に投入したときの溶鋼中のカーボン濃度の上昇量ΔC[ppm]は以下に示す数式(1)により算出できる。同様に、副原料Y[kg]中に指定成分iがX[%]含有しているとき、溶鋼中の指定成分iの濃度の上昇量Δi[ppm]は以下に示す数式(2)により算出できる。
Figure 0006943300
Figure 0006943300
従って、溶鋼中の指定成分iの濃度の目標値をT[ppm]、成分・温度測定部11によって測定された溶鋼中の指定成分iの濃度をy[ppm]としたとき、投入すべき副原料の量Y[kg]は、上記数式(2)を変形した以下に示す数式(3)により算出できる。但し、この場合、測定値yは目標値Tより小さいと仮定する。
Figure 0006943300
これらの数式によれば、副原料投入量決定部12は、数式(3)を用いて溶鋼の成分調整に必要な副原料投入量Y[kg]を決定した後、数式(1)を用いて副原料の投入に伴う溶鋼中のカーボン濃度の上昇量(以下、カーボン成分上昇量と表記)ΔCを算出できる。このようにして、複数の副原料についてその投入量及びカーボン成分上昇量ΔCが求まる。以下では、複数の副原料のカーボン成分上昇量ΔCの和をカーボン成分上昇量ΔIと表記する。これにより、ステップS2の処理は完了し、脱炭制御処理はステップS3の処理に進む。
ステップS3の処理では、カーボン成分計算部13が、ステップS1の処理において測定された溶鋼の成分濃度及び温度、所定周期毎に得られるRH工程の操業実績情報である排ガスの流量及び成分濃度(CO,CO,O)、上吹ランスからの酸素流量、還流用のArガスの流量、真空槽の圧力を入力として、溶鋼中カーボン濃度(カーボン成分計算値)を出力するモデルを用いて、溶鋼中カーボン濃度(カーボン成分計算値)を算出する。なお、上記モデルは、例えば非特許文献1に記載の内容に基づいて作成することができる。これにより、ステップS3の処理は完了し、脱炭制御処理はステップS4の処理に進む。
ステップS4の処理では、脱炭完了判定部14が、図3に示すように、ステップS3の処理において算出されたカーボン成分計算値(曲線L1)にステップS2の処理において算出されたカーボン成分上昇量ΔIを加算した値(曲線L2)を算出する。そして、脱炭完了判定部14は、加算値がカーボン成分目標値CAIMとなったタイミング(時間t=t1)で脱炭処理が完了したと判定する。なお、図3中のCは、溶鋼中カーボン濃度の初期値を示している。ここで、カーボン成分目標値CAIMは、カーボン成分規格の上限値CMAXからある正の値ΔSTを引いた指定値に設定する。望ましくは、カーボン成分計算値の算出に用いたモデルの誤差のRMSE(Root Mean Square Error)を事前に定量評価しておき、正の値ΔSTはRMSEの2倍以上とすることによりモデルに誤差があった場合にでもカーボン成分規格の上限値CMAXを超過しない設定が可能となる。なお、モデル精度は、(カーボン成分規格上限値−カーボン成分規格下限値)/RMSE≧6程度あれば実用上耐え得る。それ以下の精度しか得られない場合は、適用したとしてもカーボン成分規格の上下限外れが発生する可能性が高く、実用が困難である。以後、Alキルド処理及びカーボンを含有する副原料の投入による成分調整処理を行うことにより、溶鋼の成分は目標成分に調整される。これにより、ステップS4の処理は完了し、一連の脱炭制御処理は終了する。
以上の説明から明らかなように、本発明の一実施形態である真空脱ガス設備の制御装置1は、転炉処理工程後の溶鋼の成分濃度及び温度を測定する成分・温度測定部11と、成分・温度測定部11によって測定された溶鋼の成分濃度と処理対象の溶鋼の重量とを用いて、真空脱ガス工程後に指定成分濃度が目標濃度となるように指定成分及びカーボン成分を含有する副原料の投入量を決定する副原料投入量決定部12と、成分・温度測定部11によって測定された溶鋼の成分濃度及び温度と、所定周期毎に得られる真空脱ガス工程における複数の操業実績値と、を用いて、真空脱ガス工程中における溶鋼中カーボン濃度を算出するカーボン成分計算部13と、カーボン成分計算部13によって計算された溶鋼中カーボン濃度に対して、副原料投入量決定部12によって決定された投入量の副原料を投入することに伴う溶鋼中カーボン濃度の上昇量を加算し、加算値が溶鋼中カーボン濃度の目標値となったタイミングで真空脱ガス処理を終了させる脱炭完了判定部14と、を備える。これにより、平衡点到達前に脱炭完了判定を行うことにより脱炭処理時間を短縮することができ、結果として、製造コストを削減することができる。また、従来、副原料の投入に伴うカーボン濃度の上昇量だけでは溶鋼中カーボン濃度が不足した場合に投入されていた加炭材が不要になるので、製造コストをさらに削減することができる。
実施例として、カーボン成分規格の上限値からある正の指定値を引いた値である200[ppm]をカーボン成分目標値とする同規格の5つの実験サンプル(A,B,C,D,E)を対象とした試験を行った(表1参照)。この規格は、Alキルド処理終了後の成分調整のための副原料として高炭素フェロマンガン(カーボン含有量8%)と加炭材を投入することにより、溶鋼中のマンガン濃度及びカーボン濃度を調整する。図4は、従来法及び発明法による溶鋼中カーボン濃度の時間変化を示す図である。図4に示すように、従来法では平衡点になるまで脱炭処理を行った後(時間t=t3)、Alキルド処理を実施し、十分撹拌した後に高炭素フェロマンガンと加炭材を投入することによりカーボン濃度を規格範囲内に収めている(時間t=t4)。
これに対して、発明法では、処理前に高炭素フェロマンガンの投入量を決定し、シミュレーションによる溶鋼中カーボン濃度の推定値に高炭素フェロマンガンの投入によるカーボン成分上昇量を加算した値がカーボン成分目標値になったタイミングで脱炭処理を終了させている(時間t=t2)。このため、Alキルド処理を開始するタイミングが従来法と比較して早期化できている。そして、十分に撹拌した後に高炭素フェロマンガンのみを投入することによりカーボン濃度を規格範囲内に収めている(時間t=t5)。全サンプルの時間短縮効果を表1に示す。表1に示すように、各実験サンプルについて高い処理時間短縮効果が得られている。以上のことから、発明法によれば、平衡点到達前に脱炭完了判定を行うことにより脱炭処理時間を短縮できることが確認された。
Figure 0006943300
なお、この発明法に基づけば、脱炭処理後における副原料(高炭素フェロマンガン)を投入する操業方法だけではなく、脱炭処理中に副原料を投入する操業方法にも対応することができる。この場合、溶鋼中カーボン濃度が目標値に到達した際にAlキルド処理を行い、全体の処理を完了する。このような操業方法の例を示すと図5に示すようになる。図5に示す例では、脱炭処理中の時間t=t6において副原料を投入し、時間t=t7においてAlキルド処理を行っている。
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
1 真空脱ガス設備の制御装置
11 成分・温度測定部
12 副原料投入量決定部
13 カーボン成分計算部
14 脱炭完了判定部
100 真空脱ガス設備
101 真空槽
102 取鍋
103a,103b 浸漬管
104,106,107 配管
105 上吹ランス
S 溶鋼

Claims (4)

  1. 転炉処理工程後の溶鋼の成分濃度及び温度を測定する成分・温度測定部と、
    前記成分・温度測定部によって測定された前記溶鋼の成分濃度と処理対象の溶鋼の重量とを用いて、真空脱ガス工程後に指定成分濃度が目標濃度となるように指定成分及びカーボン成分を含有する副原料の投入量を決定する副原料投入量決定部と、
    前記成分・温度測定部によって測定された溶鋼の成分濃度及び温度と、所定周期毎に得られる真空脱ガス工程における複数の操業実績値と、を用いて、真空脱ガス工程中における溶鋼中カーボン濃度を算出するカーボン成分計算部と、
    前記カーボン成分計算部によって計算された溶鋼中カーボン濃度に対して、前記副原料投入量決定部によって決定された投入量の副原料を脱炭処理中から脱炭処理後にかけて投入することに伴う溶鋼中カーボン濃度の上昇量を加算し、加算値が溶鋼中カーボン濃度の目標値となったタイミングで真空脱ガス処理を終了させる脱炭完了判定部と、
    を備えることを特徴とする真空脱ガス設備の制御装置。
  2. 前記溶鋼中カーボン濃度の目標値は、溶鋼中カーボン濃度の規格上限値から正の所定値を減算した値であることを特徴とする請求項1に記載の真空脱ガス設備の制御装置。
  3. 転炉処理工程後の溶鋼の成分濃度及び温度を測定する成分・温度測定ステップと、
    前記成分・温度測定ステップにおいて測定された前記溶鋼の成分濃度と処理対象の溶鋼の重量とを用いて、真空脱ガス工程後に指定成分濃度が目標濃度となるように指定成分及びカーボン成分を含有する副原料の投入量を決定する副原料投入量決定ステップと、
    前記成分・温度測定ステップにおいて測定された溶鋼の成分濃度及び温度と、所定周期毎に得られる真空脱ガス工程における複数の操業実績値と、を用いて、真空脱ガス工程中における溶鋼中カーボン濃度を算出するカーボン成分計算ステップと、
    前記カーボン成分計算ステップにおいて計算された溶鋼中カーボン濃度に対して、前記副原料投入量決定ステップにおいて決定された投入量の副原料を脱炭処理中から脱炭処理後にかけて投入することに伴う溶鋼中カーボン濃度の上昇量を加算し、加算値が溶鋼中カーボン濃度の目標値となったタイミングで真空脱ガス処理を終了させる脱炭完了判定ステップと、
    を含むことを特徴とする真空脱ガス設備の制御方法。
  4. 前記溶鋼中カーボン濃度の目標値は、溶鋼中カーボン濃度の規格上限値から正の所定値を減算した値であることを特徴とする請求項3に記載の真空脱ガス設備の制御方法。
JP2020000683A 2019-02-21 2020-01-07 真空脱ガス設備の制御装置及び制御方法 Active JP6943300B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019029122 2019-02-21
JP2019029122 2019-02-21

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020132999A JP2020132999A (ja) 2020-08-31
JP6943300B2 true JP6943300B2 (ja) 2021-09-29

Family

ID=72277917

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020000683A Active JP6943300B2 (ja) 2019-02-21 2020-01-07 真空脱ガス設備の制御装置及び制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6943300B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020132999A (ja) 2020-08-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5527180B2 (ja) 転炉吹錬方法及び転炉吹錬システム
JP2010133030A (ja) 含クロム溶鋼の減圧脱炭精錬方法
JP6943300B2 (ja) 真空脱ガス設備の制御装置及び制御方法
JP3287204B2 (ja) Rh真空脱ガス装置における終点炭素濃度制御方法及び炭素濃度制御装置
JP6825711B2 (ja) 溶湯成分推定装置、溶湯成分推定方法、及び溶湯の製造方法
JP6007887B2 (ja) 真空脱ガス装置およびこれを用いた溶鋼の脱炭処理方法
JP4353054B2 (ja) Rh真空脱ガス装置における溶鋼脱炭方法
JP3891564B2 (ja) 溶鋼の減圧脱炭法における脱炭処理時間の制御方法
JP2009144244A (ja) 炭素を低減するための高クロムフェライト系ステンレス鋼の精錬方法
JP6822148B2 (ja) 溶鋼の脱水素精錬方法
JP5884182B2 (ja) Ca含有アルミキルド鋼の介在物組成の制御方法
JP7376795B2 (ja) Rh真空脱ガス装置における溶鋼脱炭方法
JP4289214B2 (ja) 溶鋼の脱炭処理方法および溶鋼製造方法
TWI778563B (zh) 減壓下之熔鋼的脫碳精煉方法
JP2010174320A (ja) Rh脱ガス精錬における溶鋼中炭素濃度の制御方法
JP2023166207A (ja) 真空脱ガス設備の制御装置、真空脱ガス設備の制御方法、操業方法及び溶鋼の製造方法
JP3827852B2 (ja) 含クロム溶鋼の脱窒方法
JP4075834B2 (ja) 溶鋼の成分濃度の推定方法及び極低炭素鋼の製造方法
JPH0312127B2 (ja)
JP5353320B2 (ja) 溶鋼の真空脱ガス方法、真空脱ガス装置および製造方法
JPH06306443A (ja) 真空精錬による極低炭素鋼の溶製方法
JP3293674B2 (ja) Rh脱ガス処理における終点炭素濃度制御方法
JP2017171994A (ja) ステンレス鋼溶湯の二次精錬方法
JPH03180418A (ja) 転炉の溶鋼炭素制御方法
JP3126374B2 (ja) 溶鋼の真空脱炭処理制御方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200923

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210729

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210810

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210823

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6943300

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150