JP2021050415A - 溶鋼中の水素濃度推定方法及び溶鋼の真空脱ガス精錬方法 - Google Patents

溶鋼中の水素濃度推定方法及び溶鋼の真空脱ガス精錬方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021050415A
JP2021050415A JP2020128151A JP2020128151A JP2021050415A JP 2021050415 A JP2021050415 A JP 2021050415A JP 2020128151 A JP2020128151 A JP 2020128151A JP 2020128151 A JP2020128151 A JP 2020128151A JP 2021050415 A JP2021050415 A JP 2021050415A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molten steel
refining
vacuum degassing
hydrogen concentration
auxiliary raw
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2020128151A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7180645B2 (ja
Inventor
圭介 溝端
Keisuke Mizobata
圭介 溝端
晃史 原田
Akinori Arada
晃史 原田
中井 由枝
Yoshie Nakai
由枝 中井
令 山田
Rei Yamada
令 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Publication of JP2021050415A publication Critical patent/JP2021050415A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7180645B2 publication Critical patent/JP7180645B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)

Abstract

【課題】 溶鋼に真空脱ガス精錬を実施する際に、溶鋼中の水素濃度分析によるコスト増加を招くことなく、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度を精度良く推定する。【解決手段】 本発明に係る溶鋼中の水素濃度推定方法は、減圧下で溶鋼中の水素を除去する真空脱ガス精錬が溶鋼に施される前の溶鋼中の水素濃度を推定する方法であって、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度を、真空脱ガス精錬に先立つ製鋼精錬工程における副原料の使用量を変数とする関数を用いて推定する。前記関数として、(1)式を使用することが好ましい。(1)式において、[H]0は、脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度、W1は、転炉または電気炉での副原料の添加量、W2は、出鋼から脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での副原料の添加量である。[H]0=b1×W1+b2×W2+β…(1)【選択図】 図1

Description

本発明は、減圧下で溶鋼中の水素を除去する真空脱ガス精錬が溶鋼に施される前の溶鋼中の水素濃度を推定する方法、及び、RH真空脱ガス装置などの真空脱ガス設備を用い、溶鋼を減圧下で精錬して溶鋼中の水素を除去する溶鋼の真空脱ガス精錬方法に関する。
鉄鋼材料において水素は、毛割れ、白点、水素脆性、遅れ破壊などの原因となる有害元素である。そのため、製鋼工程では、溶鋼の水素含有量を低減することが望まれており、RH真空脱ガス装置、DH真空脱ガス装置、REDA真空脱ガス装置、VAD真空精錬設備など、種々の真空脱ガス設備において、溶鋼を減圧下で精錬して溶鋼中の水素を除去する溶鋼の真空脱ガス精錬(「脱水素処理」とも記す)が行われている。
溶鋼の真空脱ガス精錬において、精錬後の溶鋼の水素濃度が目標水素濃度を下回るように管理する従来方法としては、(1)溶鋼の水素濃度をオンラインで直接測定し、溶鋼の水素濃度が目標水素濃度を下回ることを確認する方法、(2)溶鋼の水素濃度が目標水素濃度を下回るように、過去の実績に基づいて精錬時間を長めに設定する方法、(3)モデル式によって溶鋼の水素濃度を推定し、推定した溶鋼の水素濃度が目標水素濃度を下回る精錬時間を確保する方法の3つが大別して挙げられる。
しかし、溶鋼の水素濃度をオンラインで直接測定する方法では、水素濃度を測定する専用の測定装置が必要であり、この測定装置を設置するための費用が必要であるうえに、測定ごとに高価な消耗品の測定プローブが必要であり、真空脱ガス精錬コストが増加するという問題がある。また、真空脱ガス精錬の精錬時間を長めに設定する方法では、精錬時間が長くなることで、耐火物コスト、撹拌用ガスコスト及び電力コストが増加し、真空脱ガス精錬コストが増加するという問題がある。
そこで、これらの問題を解決するために、モデル式によって溶鋼の水素濃度を推定する方法が注目され、これまでに種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、真空脱ガス精錬において、排ガス装置の運転パターンによって予測した排気量に基づいて真空槽内の真空度(圧力)を予測し、この予測した真空度に基づいて溶鋼中水素濃度を予め推定しておき、精錬開始後、実績としての真空度を前記予測した真空度と比較し、そのずれを補正することで真空度の推移を予測し、その予測値から溶鋼の水素濃度を推定する方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1では、真空脱ガス精錬前の溶鋼中水素濃度、つまり、真空脱ガス精錬開始時の溶鋼中水素濃度を推定する方法が示されておらず、真空脱ガス精錬に先立って行われる製鋼精錬工程の種類や内容により、真空脱ガス精錬前の溶鋼中水素濃度が大きく変化する実操業においては、推定精度が不十分であるという問題がある。
特許文献2には、オンライン水素迅速分析計によって真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度を直接測定し、更に真空脱ガス精錬期間を3期に区分し、それぞれの期間での脱水素速度定数を事前測定によって溶鋼量に応じて定めることで、真空脱ガス精錬の精錬時間を推定する方法が提案されている。
しかしながら、特許文献2では、真空脱ガス精錬前の溶鋼中水素濃度を求めるために、毎回の真空脱ガス精錬前に溶鋼の水素濃度を測定する必要があり、一般に、オンライン水素迅速分析用のプローブは高価であり、却って真空脱ガス精錬コストが増加してしまうという問題がある。
また、特許文献3には、成分調整用の合金及びアルミニウムを溶鋼に投入して溶鋼中の自由酸素濃度を10質量ppm以下とした後、溶鋼中水素濃度を測定し、その測定結果と予め求めておいた脱水素速度定数とに基づく脱水素予測モデル式を用いて、脱水素のための精錬時間を算出する方法が提案されている。
しかしながら、特許文献3においても、溶鋼中水素濃度を求めるために、毎回の真空脱ガス精錬の都度、溶鋼中の自由酸素濃度を10質量ppm以下とした後に、プローブを用いた水素濃度測定を行う必要があり、真空脱ガス精錬コストが増加してしまうという問題がある。
特開平9−209027号公報 特開平5−70821号公報 特開2018−109212号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、溶鋼を減圧下で精錬して溶鋼中の水素を除去する溶鋼の真空脱ガス精錬を実施する際に、溶鋼の水素濃度を分析することによるコスト増加を招くことなく、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度を精度良く推定することのできる溶鋼中の水素濃度推定方法を提供することである。また、他の目的は、推定した真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度に対して脱水素モデル式を適用し、これによって、真空脱ガス精錬の精錬時間を延長することなく、真空脱ガス精錬中の溶鋼中の水素濃度を高精度に推定することのできる溶鋼の真空脱ガス精錬方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意、実験及び検討を行った。その結果、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度は、真空脱ガス精錬に先立つ製鋼精錬工程の操業条件に依存するとの知見を得た。
本発明は上記知見に基づきなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
[1]減圧下で溶鋼中の水素を除去する真空脱ガス精錬が溶鋼に施される前の溶鋼中の水素濃度を推定する方法であって、
真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度を、真空脱ガス精錬に先立つ製鋼精錬工程における副原料の使用量を変数とする関数を用いて推定することを特徴とする、溶鋼中の水素濃度推定方法。
[2]前記製鋼精錬工程における副原料の使用量を変数とする関数が、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの副原料の添加量の合計、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの副原料の添加量の合計、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰含有副原料の添加量の合計、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰含有副原料の添加量の合計、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰非含有副原料の添加量の合計、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰非含有副原料の添加量の合計、のうちの少なくとも一つを変数として含む関数であることを特徴とする、上記[1]に記載の溶鋼中の水素濃度推定方法。
[3]前記製鋼精錬工程における副原料の使用量を変数とする関数として、下記の(1)式を使用することを特徴とする、上記[1]に記載の溶鋼中の水素濃度推定方法。
[H]=b×W+b×W+β ・・・(1)
ここで、(1)式において、[H]は、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度(質量ppm)、Wは、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの副原料の添加量の合計(kg/ton)、Wは、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの副原料の添加量の合計(kg/ton)、b、bは、個々の副原料の種類や管理状態によって決まる影響係数、βは補正定数である。
[4]前記製鋼精錬工程における副原料の使用量を変数とする関数として、下記の(2)式を使用することを特徴とする、上記[1]に記載の溶鋼中の水素濃度推定方法。
[H]=a×w+a×w+a×w+a×w+α ・・・(2)
ここで、(2)式において、[H]は、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度(質量ppm)、wは、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰含有副原料の添加量の合計(kg/ton)、wは、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰含有副原料の添加量の合計(kg/ton)、wは、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰非含有副原料の添加量の合計(kg/ton)、wは、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰非含有副原料の添加量の合計(kg/ton)、a、a、a、aは、個々の副原料の種類や管理状態によって決まる影響係数、αは補正定数である。
[5]前記焼成石灰含有副原料は遊離石灰を含有する副原料であることを特徴とする、上記[4]に記載の溶鋼中の水素濃度推定方法。
[6]過去の操業データを回帰分析することによって前記影響係数及び前記補正定数のうちの少なくとも1つを決定することを特徴とする、上記[3]から上記[5]のいずれかに記載の溶鋼中の水素濃度推定方法。
[7]溶鋼を減圧下で精錬して溶鋼中の水素を除去する溶鋼の真空脱ガス精錬方法であって、
真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度を、真空脱ガス精錬に先立つ製鋼精錬工程における副原料の使用量を変数とする関数を用いて推定し、
更に、真空脱ガス精錬中の溶鋼中の水素濃度を、脱水素モデル式を用いて逐次推定し、脱水素モデル式で推定した水素濃度が目標水素濃度未満になった時点で真空脱ガス精錬を終了することを特徴とする、溶鋼の真空脱ガス精錬方法。
[8]前記製鋼精錬工程における副原料の使用量を変数とする関数が、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの副原料の添加量の合計、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの副原料の添加量の合計、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰含有副原料の添加量の合計、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰含有副原料の添加量の合計、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰非含有副原料の添加量の合計、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰非含有副原料の添加量の合計、のうちの少なくとも一つを変数として含む関数であることを特徴とする、上記[7]に記載の溶鋼の真空脱ガス精錬方法。
[9]前記製鋼精錬工程における副原料の使用量を変数とする関数として、下記の(1)式を使用することを特徴とする、上記[7]に記載の溶鋼の真空脱ガス精錬方法。
[H]=b×W+b×W+β ・・・(1)
ここで、(1)式において、[H]は、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度(質量ppm)、Wは、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの副原料の添加量の合計(kg/ton)、Wは、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの副原料の添加量の合計(kg/ton)、b、bは、個々の副原料の種類や管理状態によって決まる影響係数、βは補正定数である。
[10]前記製鋼精錬工程における副原料の使用量を変数とする関数として、下記の(2)式を使用することを特徴とする、上記[7]に記載の溶鋼の真空脱ガス精錬方法。
[H]=a×w+a×w+a×w+a×w+α ・・・(2)
ここで、(2)式において、[H]は、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度(質量ppm)、wは、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰含有副原料の添加量の合計(kg/ton)、wは、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰含有副原料の添加量の合計(kg/ton)、wは、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰非含有副原料の添加量の合計(kg/ton)、wは、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰非含有副原料の添加量の合計(kg/ton)、a、a、a、aは、個々の副原料の種類や管理状態によって決まる影響係数、αは補正定数である。
[11]前記焼成石灰含有副原料は遊離石灰を含有する副原料であることを特徴とする、上記[10]に記載の溶鋼の真空脱ガス精錬方法。
[12]過去の操業データを回帰分析することによって前記影響係数及び前記補正定数のうちの少なくとも1つを決定することを特徴とする、上記[9]から上記[11]のいずれかに記載の溶鋼の真空脱ガス精錬方法。
[13]前記脱水素モデル式として、下記の(3)式及び(4)式を使用することを特徴とする、上記[7]から上記[12]のいずれかに記載の溶鋼の真空脱ガス精錬方法。
[H]={[H]−[H]}×exp(−K×t)+[H] ・・・(3)
[H]=10-(1905/T)-1.591×P1/2 ・・・(4)
ここで、(3)式において、[H]は、真空脱ガス精錬中の溶鋼中の水素濃度(質量ppm)、[H]は、真空脱ガス精錬に先立つ製鋼精錬工程における副原料の使用量を変数とする関数を用いて推定した、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度(質量ppm)、[H]は、真空槽内の溶鋼界面での平衡水素濃度(質量ppm)、Kは、真空脱ガス精錬における脱水素速度定数(1/min)、tは、真空脱ガス精錬の開始からの経過時間(min)であり、(4)式において、[H]は、真空槽内の溶鋼界面での平衡水素濃度(質量ppm)、Tは、真空脱ガス精錬時の溶鋼温度(K)、Pは、真空槽内の圧力(atm)である。
[14]前記真空脱ガス精錬は、RH真空脱ガス装置における真空脱ガス精錬であって、前記脱水素速度定数(K)を、下記の(5)式、(6)式及び(7)式を使用して決定することを特徴とする、上記[13]に記載の溶鋼の真空脱ガス精錬方法。
=(Q/V)×{ak/(Q+ak)} ・・・(5)
Q=11.4×G1/3×D4/3×{ln(P/P)}1/3/ρ ・・・(6)
ak=2500×D 1/2×(G×10-31/2×d/2 ・・・(7)
ここで、(5)式、(6)式及び(7)式において、Kは、真空脱ガス精錬における脱水素速度定数(1/min)、Qは、真空槽への溶鋼環流量(m/min)、Vは、真空脱ガス精錬対象の溶鋼の体積(m)、akは、脱水素反応容量係数(m/min)、Gは、環流用ガスの流量(NL/min)、Dは上昇側浸漬管の内径(m)、Pは、大気圧(atm)、Pは、真空槽内の圧力(atm)、ρは、溶鋼の密度(ton/m)、Dは、溶鋼中水素の拡散係数(m/min)、dは、真空槽の内径(m)である。
[15]当該真空脱ガス精錬よりも以前の真空脱ガス精錬中に溶鋼の水素濃度を測定し、測定した水素濃度から水素濃度の経時変化を求め、求めた水素濃度の経時変化に基づいて脱水素速度定数(K)を予め決定しておき、予め決定した脱水素速度定数(K)を用いて真空脱ガス精錬中の溶鋼中の水素濃度を逐次推定することを特徴とする、上記[13]に記載の溶鋼の真空脱ガス精錬方法。
[16]溶鋼を減圧下で精錬して溶鋼中の水素を除去する溶鋼の真空脱ガス精錬方法であって、
真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度を、真空脱ガス精錬に先立つ製鋼精錬工程における副原料の使用量を変数とする関数を用いて推定し、
前記真空脱ガス精錬を、前記推定された真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度と真空脱ガス精錬後の溶鋼中の水素濃度の目標値とから得られる下記(8)式の条件を満たす時点で終了することを特徴とする、溶鋼の真空脱ガス精錬方法。
t≧(1/K)×ln{([H]−[H])/([H]−[H])}・・・(8)
ここで、(8)式において、tは、真空脱ガス精錬の開始からの経過時間(min)、[H]は、真空脱ガス精錬に先立つ製鋼精錬工程における副原料の使用量を変数とする関数を用いて推定した、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度(質量ppm)、[H]は、真空脱ガス精錬後の溶鋼中の水素濃度の目標値(質量ppm)、[H]は、真空槽内の溶鋼界面での平衡水素濃度(質量ppm)、Kは、真空脱ガス精錬における脱水素速度定数(1/min)、lnは、自然対数である。
[17]前記製鋼精錬工程における副原料の使用量を変数とする関数として、下記の(1)式を使用することを特徴とする、上記[16]に記載の溶鋼の真空脱ガス精錬方法。
[H]=b×W+b×W+β ・・・(1)
ここで、(1)式において、[H]は、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度(質量ppm)、Wは、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの副原料の添加量の合計(kg/ton)、Wは、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの副原料の添加量の合計(kg/ton)、b、bは、個々の副原料の種類や管理状態によって決まる影響係数、βは補正定数である。
[18]前記製鋼精錬工程における副原料の使用量を変数とする関数として、下記の(2)式を使用することを特徴とする、上記[16]に記載の溶鋼の真空脱ガス精錬方法。
[H]=a×w+a×w+a×w+a×w+α ・・・(2)
ここで、(2)式において、[H]は、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度(質量ppm)、wは、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰含有副原料の添加量の合計(kg/ton)、wは、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰含有副原料の添加量の合計(kg/ton)、wは、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰非含有副原料の添加量の合計(kg/ton)、wは、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰非含有副原料の添加量の合計(kg/ton)、a、a、a、aは、個々の副原料の種類や管理状態によって決まる影響係数、αは補正定数である。
[19]前記真空脱ガス精錬は、RH真空脱ガス装置における真空脱ガス精錬であって、前記脱水素速度定数(K)を、下記の(5)式、(6)式及び(7)式を使用して決定することを特徴とする、上記[16]から上記[18]のいずれかに記載の溶鋼の真空脱ガス精錬方法。
=(Q/V)×{ak/(Q+ak)} ・・・(5)
Q=11.4×G1/3×D4/3×{ln(P/P)}1/3/ρ ・・・(6)
ak=2500×D 1/2×(G×10-31/2×d/2 ・・・(7)
ここで、(5)式、(6)式及び(7)式において、Kは、真空脱ガス精錬における脱水素速度定数(1/min)、Qは、真空槽への溶鋼環流量(m/min)、Vは、真空脱ガス精錬対象の溶鋼の体積(m)、akは、脱水素反応容量係数(m/min)、Gは、環流用ガスの流量(NL/min)、Dは上昇側浸漬管の内径(m)、Pは、大気圧(atm)、Pは、真空槽内の圧力(atm)、ρは、溶鋼の密度(ton/m)、Dは、溶鋼中水素の拡散係数(m/min)、dは、真空槽の内径(m)である。
本発明によれば、真空脱ガス精錬のコスト増加を招くことなく、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度を精度良く推定することができる。また、推定した真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度に対して、脱水素モデル式を適用した場合には、真空脱ガス精錬の精錬時間を延長することなく、真空脱ガス精錬中の溶鋼中の水素濃度を高精度に推定することが可能となる。
RH真空脱ガス装置の一例の概略縦断面図である。
以下、本発明に係る溶鋼中の水素濃度推定方法及び溶鋼の真空脱ガス精錬方法を具体的に説明する。
本発明に係る溶鋼の真空脱ガス精錬方法を行うことができる真空脱ガス設備には、RH真空脱ガス装置、DH真空脱ガス装置、REDA真空脱ガス装置、VAD真空精錬設備などがあるが、それらの中で最も代表的なものは、RH真空脱ガス装置である。そこで、先ず、RH真空脱ガス装置における真空脱ガス精錬方法を説明する。
図1に、RH真空脱ガス装置の一例の概略縦断面図を示す。図1において、符号1はRH真空脱ガス装置、2は取鍋、3は溶鋼、4はスラグ、5は真空槽、6は上部槽、7は下部槽、8は上昇側浸漬管、9は下降側浸漬管、10は環流用ガス吹き込み管、11はダクト、12は原料投入口、13は上吹きランス、Dは上昇側浸漬管の内径、dは真空槽の内径である。真空槽5は、上部槽6と下部槽7とから構成され、また、上吹きランス13は、真空槽内の溶鋼に酸素ガスや媒溶剤を吹き付けて添加する装置であり、真空槽5の上部に設置され、真空槽5の内部で上下移動が可能となっている。
RH真空脱ガス装置1では、溶鋼3を収容した取鍋2を昇降装置(図示せず)にて上昇させ、上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9を取鍋内の溶鋼3に浸漬させる。そして、真空槽5の内部をダクト11に連結される排気装置(図示せず)にて排気して真空槽5の内部を減圧するとともに、環流用ガス吹き込み管10から上昇側浸漬管8の内部に環流用ガスを吹き込む。真空槽5の内部が減圧されると、取鍋内の溶鋼3は、大気圧と真空槽内の圧力(真空度)との差に比例して上昇し、真空槽内に流入するとともに、環流用ガス吹き込み管10から吹き込まれる環流用ガスによるガスリフト効果によって、環流用ガスとともに上昇側浸漬管8を上昇して真空槽5の内部に流入し、その後、下降側浸漬管9を経由して取鍋2に戻る流れ、所謂、環流を形成してRH真空脱ガス精錬が施される。溶鋼3は、真空槽内で減圧下の雰囲気に曝され、溶鋼中の水素が真空槽内の雰囲気に移動し、溶鋼3の脱水素反応が進行する。
本発明者らは、RH真空脱ガス装置などの真空脱ガス設備を用いた、溶鋼を減圧下で精錬して溶鋼中の水素を除去する、溶鋼の真空脱ガス精錬(脱水素処理)において、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度を精度良く推定すること、更に、推定した真空脱ガス精錬前の溶鋼中水素濃度に対して脱水素モデル式を適用することによって真空脱ガス精錬中の溶鋼中の水素濃度を推定することを、研究及び検討した。その結果、真空脱ガス精錬前の溶鋼中水素濃度は、真空脱ガス精錬に先立つ製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの副原料の添加量に大きく左右され、副原料の使用量を変数とする関数を用いて精度良く推定できることを見出した。
本発明者らの調査の結果、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度([H];質量ppm)は、真空脱ガス精錬に先立つ製鋼精錬工程における副原料の使用量を変数とする関数を用いて推定できることがわかった。
真空脱ガス精錬に先立つ製鋼精錬工程における副原料の使用量を変数とする関数としては、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの副原料の添加量の合計、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの副原料の添加量の合計、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰含有副原料の添加量の合計、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰含有副原料の添加量の合計、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰非含有副原料の添加量の合計、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰非含有副原料の添加量の合計、のうちの少なくとも一つを変数として含む関数を用いることができる。
例えば、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの副原料の添加量の合計をW(kg/ton)とし、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの副原料の添加量の合計をW(kg/ton)とすると、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度([H];質量ppm)は、下記の(1)式で表されることがわかった。
[H]=b×W+b×W+β ・・・(1)
ここで、(1)式において、b、bは、個々の副原料の種類や管理状態によって決まる影響係数、βは補正定数である。
(1)式、影響係数及び補正定数は、それぞれの真空脱ガス精錬において、真空脱ガス精錬に先立つ製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの副原料の添加量の実績値と、真空脱ガス精錬前の溶鋼中水素濃度の測定結果との回帰分析によって求められる。特に、過去の操業データを回帰分析することによって影響係数及び補正定数を決定することが好ましい。本発明者らが実施した種々の実験の結果によれば、b、bの値は、0.02≦b≦0.05、0.07≦b≦1.3、−3≦β≦3であった。
また、Wに関して、「転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前まで」とは、転炉または電気炉からの出鋼開始時点から真空脱ガス設備での真空脱ガス精錬が開始されるまでの期間を表し、具体的には、出鋼時の取鍋内への副原料の添加や、出鋼後から真空脱ガス精錬が開始されるまでの期間に行われる取鍋精錬炉での精錬における副原料の添加などを指す。
また、本発明者らが実施した実験の結果より求められた影響係数において、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの副原料の添加量の合計(W)よりも、出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの副原料の添加量の合計(W)の影響が大きい理由は、出鋼後においては、脱水素処理の施される鋼種は基本的に溶鋼が脱酸されているので、後述する(10)式における右向きの反応、つまり、溶鋼への吸水素反応が進行しやすいことによる。
更に、副原料を焼成石灰含有副原料及び焼成石灰非含有副原料に分類し、それぞれの使用量を変数とする関数を用いることで、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度をより精度良く推定できることを見出した。
ここで、焼成石灰含有副原料についてその機構を説明する。焼成石灰含有副原料中のCaOの一部は、下記の(9)式の水和反応により、大気中の水蒸気(HO(g))を吸収して消石灰(Ca(OH))として存在し、そのため、焼成石灰含有副原料が溶鋼上に添加された際に、下記の(10)式の分解反応が起こり、消石灰中の水分が溶鋼中に移動して溶鋼の水素濃度が上昇することによる。
CaO+HO(g)→Ca(OH) ・・・(9)
Ca(OH)→CaO+2H+O ・・・(10)
焼成石灰非含有副原料については、焼成石灰非含有副原料の表面に付着した水分が、下記の(11)式の反応により溶鋼中に移動して溶鋼の水素濃度が上昇することによる。
O(l)→2H+O ・・・(11)
本発明者らの調査の結果、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度([H];質量ppm)は、真空脱ガス精錬に先立つ製鋼精錬工程における焼成石灰含有副原料及び焼成石灰非含有副原料の使用量を変数とする関数を用いることで、より精度良く推定できることがわかった。即ち、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰含有副原料の添加量の合計をw(kg/ton)とし、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰含有副原料の添加量の合計をw(kg/ton)とし、また、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰非含有副原料の添加量の合計をw(kg/ton)とし、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰非含有副原料の添加量の合計をw(kg/ton)とすると、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度([H];質量ppm)は、下記の(2)式で表されることがわかった。
[H]=a×w+a×w+a×w+a×w+α ・・・(2)
ここで、(2)式において、a、a、a、aは、個々の副原料の種類や管理状態によって決まる影響係数、αは補正定数である。
(2)式、影響係数及び補正定数は、それぞれの真空脱ガス精錬において、真空脱ガス精錬に先立つ製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰含有副原料及び焼成石灰非含有副原料の添加量の実績値と、真空脱ガス精錬前の溶鋼中水素濃度の測定結果との回帰分析によって求められる。特に、過去の操業データを回帰分析することによって影響係数及び補正定数を決定することが好ましい。本発明者らが実施した種々の実験の結果によれば、a、a、a、aの値は、0.01≦a≦0.1、0.1≦a≦0.5、0≦a≦0.05、0≦a≦0.25、−3≦α≦3であった。
また、w及びwに関して、「転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前まで」とは、転炉または電気炉からの出鋼開始時点から真空脱ガス設備での真空脱ガス精錬が開始されるまでの期間を表し、具体的には、出鋼時の取鍋内への焼成石灰含有副原料及び焼成石灰非含有副原料の添加や、出鋼後から真空脱ガス精錬が開始されるまでの期間に行われる取鍋精錬炉での精錬における焼成石灰含有副原料及び焼成石灰非含有副原料の添加などを指す。
本発明者らが実施した実験の結果より求められた影響係数において、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰含有副原料の添加量の合計(w)よりも、出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰含有副原料の添加量の合計(w)の影響が大きい理由は、出鋼後においては、脱水素処理の施される鋼種は基本的に溶鋼が脱酸されているので、(10)式における右向きの反応、つまり、溶鋼への吸水素反応が進行しやすいことによる。
また、本発明者らが実施した実験の結果より求められた影響係数において、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰非含有副原料の添加量の合計(w)よりも、出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰非含有副原料の添加量の合計(w)の影響が大きいことも、同様の理由による。
更に、影響係数a及び影響係数aが0を含む値となるのは、多くの場合、焼成石灰非含有副原料の表面に付着した水分は無視できるほど少ないことを示している。
ここで、焼成石灰含有副原料の添加量とは、CaOを成分として10質量%以上含有する副原料の真空脱ガス精錬前に添加された添加量の総和である。具体的には、焼成石灰(生石灰)、焼成ドロマイト、軽焼ドロマイト、リサイクルスラグなどの副原料の群から、対象となる焼成石灰含有副原料を予め選定し、決定しておく。対象となる焼成石灰含有副原料の選定及び決定に際しては、遊離石灰を含有するか否かで判断することが好ましい。つまり、遊離石灰を含有する副原料を焼成石灰含有副原料として選定することが好ましい。上記に例示した副原料以外でも、遊離石灰を含有する副原料であれば、焼成石灰含有副原料として選定する。
遊離石灰の含有の有無は、例えば、使用する副原料から採取した試料の示差熱分析を行ない、下記の(12)式で示す反応で生じる吸熱反応が検知されるか否かで判断すればよい。つまり、吸熱反応が検知される場合に、遊離石灰を含有していると判断すればよい。
Ca(OH)→CaO+HO(g) ・・・(12)
また、焼成石灰非含有副原料の添加量とは、焼成石灰含有副原料に該当しない副原料の、真空脱ガス精錬前に添加された添加量の総和である。CaOを成分として10質量%以上含有していても、遊離石灰を含有せず、焼成石灰含有副原料として選定されなかった副原料は、焼成石灰非含有副原料として扱えばよい。
焼成石灰非含有副原料とは、具体的には、生ドロマイト、石灰石、マンガン鉱石、炭材、保温材、鉄鉱石、鉄スクラップ、シリコンカーバイド、煉瓦屑、珪石及び各種の純金属・合金鉄などである。
尚、上記焼成石灰非含有副原料として例示した副原料であっても、遊離石灰を含有している場合には、(11)式のみならず(9)式の反応が起こり、溶鋼の水素濃度の上昇への寄与率が大きくなるため、焼成石灰含有副原料として扱う。
また、出鋼後においては、脱水素処理の施される鋼種は基本的に溶鋼が脱酸されているので、(10)式における右向きの反応、つまり、溶鋼への吸水素反応が進行しやすいため、出鋼の前後で個別に影響係数を設定することが望ましい。但し、未脱酸出鋼を行う鋼種に対しては、真空脱ガス精錬開始までに溶鋼は脱酸されないため、出鋼前後における影響係数は、出鋼時に脱酸を行う鋼種の影響係数と異なる値になる。よって、出鋼時の脱酸方法が異なる鋼種について、出鋼形態ごとに固有の推定式を作成することが望ましい。
尚、上記では真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度を(1)式や(2)式で表される関数を用いて推定する場合について示したが、関数の形はこれらに限定されない。例えば、(1)式及び(2)式は、いずれも変数の1次式で表わされるものであるが、1次式でなくても構わない。
本発明では、(1)式、(2)式などの副原料の使用量を変数とする関数で求めた真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度([H])を真空脱ガス精錬開始時の溶鋼の水素濃度として、真空脱ガス精錬中の溶鋼の水素濃度を、脱水素モデル式を用いて逐次推定し、脱水素モデル式で推定した水素濃度が目標水素濃度未満になった時点で真空脱ガス精錬を終了する。以下、本発明で使用する脱水素モデル式について説明する。
溶鋼の脱水素反応は、一般に、一次反応式で表されることから、脱水素モデル式を下記の(3)式とした。尚、(3)式は、一次反応式の一般形である下記の(3’)式を、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度([H])を初期条件として積分して得られる式である。
[H]={[H]−[H]}×exp(−K×t)+[H] ・・・(3)
d[H]/dt=−K×([H]−[H]) ・・・(3’)
ここで、(3)式及び(3’)式において、[H]は、真空脱ガス精錬中の溶鋼中の水素濃度(質量ppm)、[H]は、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度(質量ppm)、[H]は、真空槽内の溶鋼界面での平衡水素濃度(質量ppm)、Kは、真空脱ガス精錬における脱水素速度定数(1/min)、tは、真空脱ガス精錬の開始からの経過時間(min)である。
(3)式において、真空槽内の溶鋼界面での平衡水素濃度[H]は、下記の(4)式を用いた。但し、真空槽内の水素分圧は、真空槽内の圧力(真空度)に等しいと近似し、水素分圧の値として真空槽内の圧力を用いた。
[H]=10-(1905/T)-1.591×P1/2 ・・・(4)
ここで、(4)式において、Tは、真空脱ガス精錬時の溶鋼温度(K)、Pは、真空槽内の圧力(atm)である。溶鋼温度は、取鍋内の溶鋼に熱電対を浸漬させて測定される温度である。
また、真空脱ガス設備がRH真空脱ガス装置1の場合には、(3)式の脱水素速度定数(K)として、下記の(5)式を用いることで、溶鋼3の脱水素反応を精度良く把握することができる。
=(Q/V)×{ak/(Q+ak)} ・・・(5)
ここで、(5)式において、Kは、真空脱ガス精錬における脱水素速度定数(1/min)、Qは、真空槽への溶鋼環流量(m/min)、Vは、真空脱ガス精錬対象の溶鋼の体積(m)、akは、脱水素反応容量係数(m/min)である。
(5)式の溶鋼環流量(Q)としては、RH真空脱ガス装置1における溶鋼3の環流量を算出する経験式として一般に用いられている下記の(6)式を用いることができる。
Q=11.4×G1/3×D4/3×{ln(P/P)}1/3/ρ ・・・(6)
ここで、(6)式において、Gは、環流用ガスの流量(NL/min)、Dは上昇側浸漬管の内径(m)、Pは、大気圧(atm)、Pは、真空槽内の圧力(atm)、ρは、溶鋼の密度(ton/m)である。
また、(5)式の脱水素反応容量係数(ak)としては、水モデル実験における表面脱ガス反応の実験式である、下記の(7)式を用いることができる。但し、(7)式における比例定数の2500は、実機のRH真空脱ガス装置に合わせた補正値である。
ak=2500×D 1/2×(G×10-31/2×d/2 ・・・(7)
ここで、(7)式において、Dは、溶鋼中水素の拡散係数(m/min)、Gは、環流用ガスの流量(NL/min)、dは、真空槽の内径(m)である。
また、RH真空脱ガス装置以外の真空脱ガス設備を用いる場合にも、当該真空脱ガス設備における、当該真空脱ガス精錬よりも以前の真空脱ガス精錬中に溶鋼の水素濃度を測定し、測定した水素濃度から水素濃度の経時変化を求め、求めた水素濃度の経時変化に基づいて、(3)式による水素濃度の推定値が水素濃度の実測値と一致するように、脱水素速度定数(K)をフィッティングパラメータとして予め決定しておくことで、(3)式を用いた溶鋼中水素濃度の推定が可能である。
本発明に係る溶鋼の真空脱ガス精錬方法の一例として、図1に示すRH真空脱ガス装置1を用いて実施する場合について説明する。
先ず、RH真空脱ガス装置1で真空脱ガス精錬を開始する前に、転炉または電気炉における精錬で添加した副原料の添加量の合計(W)、出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程で添加した副原料の添加量の合計(W)及び、影響係数b、bを用いて、(1)式から真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度([H])を計算する。ここで、影響係数は、事前の測定結果から、b=0.035、b=0.100、β=0とした。
また、副原料を焼成石灰含有副原料と焼成石灰非含有副原料とに分類する場合には、RH真空脱ガス装置1で真空脱ガス精錬を開始する前に、転炉または電気炉における精錬で添加した焼成石灰含有副原料の添加量の合計(w)、出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程で添加した焼成石灰含有副原料の添加量の合計(w)、転炉または電気炉における精錬で添加した焼成石灰非含有副原料の添加量の合計(w)、出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程で添加した焼成石灰非含有副原料の添加量の合計(w)、及び、影響係数a、a、a、aを用いて、(2)式から真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度([H])を計算する。ここで、影響係数は、事前の測定結果から、a=0.031、a=0.294、a=0.044、a=0.074、α=0とした。
RH真空脱ガス装置1における真空脱ガス精錬では、真空槽5の内部の圧力(真空度)を2torr(0.266kPa)以下に減圧し、取鍋2と真空槽5との間で溶鋼3を環流させる。ここで、前述した(3)〜(7)式に、(1)式または(2)式で求めた水素濃度([H])、溶鋼温度、環流用ガスの流量及び真空槽内の圧力などの実績値を随時入力して、真空脱ガス精錬の開始からの経過時間における溶鋼中水素濃度を推定する。そして、推定される水素濃度が、鋼種ごとの水素規格に基づいて予め決定した目標水素濃度を下回った後に、真空脱ガス精錬を終了する。環流用ガスには、通常、アルゴンガスを用いるが、目的に応じて、窒素ガスなどの他の不活性ガスを用いることもできる。
また、上記の(3)式において、精錬中の溶鋼中の水素濃度([H])に、真空脱ガス精錬後の溶鋼中の水素濃度の目標値([H])を代入して、(3)式を変形すると、下記の(8’)式が導かれる。
t=(1/K)×ln{([H]−[H])/([H]−[H])}・・・(8’)
ここで、(8’)式において、tは、真空脱ガス精錬の開始からの経過時間(min)、[H]は、真空脱ガス精錬に先立つ製鋼精錬工程における副原料の使用量を変数とする関数を用いて推定した、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度(質量ppm)、[H]は、真空脱ガス精錬後の溶鋼中の水素濃度の目標値(質量ppm)、[H]は、真空槽内の溶鋼界面での平衡水素濃度(質量ppm)、Kは、真空脱ガス精錬における脱水素速度定数(1/min)、lnは、自然対数である。
(8’)式は、真空脱ガス精錬後の溶鋼中の水素濃度が目標値になるまでの経過時間(処理時間)を表す式であり、(8’)式で算出される経過時間(t)と同等またはそれ以上の処理時間、真空脱ガス精錬を溶鋼に施すことで、溶鋼中の水素濃度は目標値以下になる。つまり、下記の(8)式の条件を満たす時点で真空脱ガス精錬を終了することで、真空脱ガス精錬後の溶鋼中の水素濃度は目標値以下になる。
t≧(1/K)×ln{([H]−[H])/([H]−[H])}・・・(8)
即ち、RH真空脱ガス装置1での真空脱ガス精錬において、前述した(4)式から求められる平衡水素濃度([H])、前述した(5)式〜(7)式から求められる脱水素速度定数(K)、(1)式または(2)式から求められる真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度([H])、鋼種規格によって定められる真空脱ガス精錬後の溶鋼中の水素濃度の目標値([H])を、(8)式に随時入力して、溶鋼中水素濃度が目標水素濃度まで低下するのに要する真空脱ガス精錬の開始からの経過時間(t)を推定し、推定された経過時間(t)以上の処理時間、脱ガス精錬処理を行なってもよい。但し、生産効率の低下やコストの上昇を伴わないように、処理時間は推定された経過時間(t)の1.1倍を超えない時間とすることが好ましい。
ここでは、一例としてRH真空脱ガス装置を用いた真空脱ガス精錬方法を説明したが、DH真空脱ガス装置、REDA真空脱ガス装置、VAD真空精錬設備など、他の真空脱ガス設備を用いても、本発明に係る溶鋼の真空脱ガス精錬方法を実施することができる。
以上説明したように、本発明によれば、溶鋼中水素濃度を直接測定することなく、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度を精度良く推定することができる。また、推定した真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度に対して、脱水素モデル式を適用した場合には、真空脱ガス精錬の精錬時間を延長することなく、真空脱ガス精錬中の溶鋼中の水素濃度を高精度に推定することが可能となる。
転炉で溶銑を脱炭精錬して溶製した300トンの溶鋼を、転炉から取鍋に出鋼し、取鍋内の溶鋼をRH真空脱ガス装置(RH)で真空脱ガス精錬する試験を行った。試験では、転炉での脱炭精錬における焼成石灰含有副原料及び焼成石灰非含有副原料の使用量、並びに、出鋼時の取鍋内溶鋼への焼成石灰含有副原料及び焼成石灰非含有副原料の添加量、出鋼後の取鍋精錬炉(LF)での脱硫精錬における焼成石灰含有副原料及び焼成石灰非含有副原料の使用量を種々変更した。そして、真空脱ガス精錬に先立つ製鋼精錬工程である転炉及び取鍋精錬炉における焼成石灰含有副原料及び焼成石灰非含有副原料の使用量から、(1)式または(2)式によって算出される真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度([H])と、水素濃度の実測値とを比較調査した(試験番号1〜18)。試験では、(1)式において、b=0.035、b=0.100、β=0とし、(2)式において、a=0.031、a=0.294、a=0.044、a=0.074、α=0とした。
本実施例において、真空脱ガス精錬前の溶鋼中水素濃度に影響を及ぼす焼成石灰含有副原料として使用した副原料は、転炉脱炭精錬においては、焼成石灰、軽焼ドロマイトの2種、出鋼時の取鍋内溶鋼への添加や取鍋精錬炉での脱硫精錬においては、焼成石灰、軽焼ドロマイトの2種である。また、焼成石灰非含有副原料として使用した副原料は、転炉脱炭精錬においては、生ドロマイト、鉄スクラップ、鉄鉱石、シリコンカーバイド、珪石、レンガ屑の7種、出鋼後の精錬においては、金属アルミニウム、レンガ屑、無煙炭、シリコンマンガン、フェロシリコンの5種である。
また、RH真空脱ガス装置における真空脱ガス精錬では、(1)式または(2)式によって算出された水素濃度([H])を真空脱ガス精錬の溶鋼中初期水素濃度と設定し、設定した水素濃度([H])に対して(3)式〜(7)式による脱水素モデル式を適用し、脱水素モデル式で推定した水素濃度が目標水素濃度未満になった時点で真空脱ガス精錬を終了する試験(本発明例1〜16)を行った。
また、比較のために、RH真空脱ガス装置における真空脱ガス精錬中に溶鋼の水素濃度を3分ごとに実測し、水素濃度の実測値が目標水素濃度未満になった時点で真空脱ガス精錬を終了する試験(比較例1〜2)、真空脱ガス精錬前の溶鋼中水素濃度を実測し、実測した水素濃度に対して(3)式〜(7)式による脱水素モデル式を適用し、脱水素モデル式で推定した水素濃度が目標水素濃度未満になった時点で真空脱ガス精錬を終了する試験(比較例3〜6)、及び、鋼種に対する水素濃度規格に応じて精錬時間を予め設定し、設定した精錬時間(20分間)を経過した時点で真空脱ガス精錬を終了する試験(比較例7〜10)を行った。
ここで、真空槽は、全ての試験で同一のものを用いた。また、脱水素モデル式による溶鋼中水素濃度の推定値を評価するために、つまり、脱水素モデル式による溶鋼中水素濃度の推定値が実態と一致しているか否かを確認するために、全ての試験で真空脱ガス精錬の前後で溶鋼中水素濃度を実測した。
試験で用いた溶鋼の真空脱ガス精錬前における化学成分は、C;0.04〜0.06質量%、Si;0.15〜0.25質量%、Mn;1.2〜1.4質量%、P;0.02質量%以下、S;0.003質量%以下であり、真空脱ガス精錬前の溶鋼温度は1640〜1670℃であった。真空槽内の到達真空度を0.5〜1.0torrとし、環流用アルゴンガスの流量は2000〜2200NL/minとした。
表1に、転炉及び取鍋精錬炉における焼成石灰含有副原料の使用量から(1)式または(2)式によって算出された真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度([H])と、水素濃度の実測値とを比較して示す。
Figure 2021050415
表1に示すように、(1)式によって算出される真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度([H])の推定値と、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度の実測値とは、副原料の使用量が大きく変化しても高い精度で一致しており、(1)式によって精度良く真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度([H])を推定できることが確認できた。更に、(2)式を用いた場合には、(1)式を用いた場合と比較して、より精度良く真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度([H])を推定できることが確認できた。
また、表2に、本発明例1〜16及び比較例1〜10における脱ガス精錬前の溶鋼中水素濃度(実測値)及び脱ガス精錬時の溶鋼中水素濃度(実測値)、並びに、脱ガス精錬時間(推定時間及び実績時間)、短縮された精錬時間を示す。尚、本発明例1〜8では、転炉及び取鍋精錬炉における焼成石灰含有副原料及び焼成石灰非含有副原料の使用量、並びに、この焼成石灰含有副原料及び焼成石灰非含有副原料の使用量から(1)式によって算出された真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度([H])を示す。また、本発明例9〜16では、転炉及び取鍋精錬炉における焼成石灰含有副原料及び焼成石灰非含有副原料の使用量、並びに、この焼成石灰含有副原料及び焼成石灰非含有副原料の使用量から(2)式によって算出された真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度([H])を示す。ここで、表2における脱ガス精錬時間の「推定時間」とは、(8’)式で算出される経過時間(t)である。また、表2における「短縮された精錬時間」とは、鋼種に対する水素濃度規格に応じて予め設定された精錬時間である比較例7〜10における精錬時間20分に対して短縮された時間を示す。また、表2に示す精錬コストとは、従来の精錬方法における精錬コストに対して下記の基準で評価した結果である。
<脱ガス精錬コスト評価基準>
◎;コスト削減大(水素測定プローブ不使用、且つ、短縮された精錬時間3分以上)
〇;コスト削減中(水素測定プローブ不使用、且つ、短縮された精錬時間1分以上3分未満)
△;コスト削減小(水素測定プローブ使用、且つ、短縮された精錬時間3分以上)
×;コスト削減無(水素測定プローブ使用、且つ、短縮された精錬時間3分未満、または、水素測定プローブ不使用、且つ、短縮された精錬時間1分未満)
Figure 2021050415
本発明例1〜16では、溶鋼の水素濃度を測定することなく、溶鋼中水素濃度を精度良く推定でき、目標水素濃度近くで真空脱ガス精錬を終了することができた。その結果、精錬コストの増加を招くことがないばかりか、精錬コストを大幅に削減したうえで、精錬時間の短縮が達成された。特に、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度([H])の推定に(2)式を用いた本発明例9〜16において、より良好な結果が得られた。また、本発明例1〜16では、脱ガス精錬時間の実績時間は、(8’)式で算出される脱ガス精錬時間の推定時間の1.1倍以下であった。
これに対して、溶鋼の水素濃度を実測し、水素濃度の実測値に基づいて真空脱ガス精錬を行った比較例1〜2、及び、水素濃度の実測値と脱水素モデル式とを組み合わせた比較例3〜6においては、精錬時間の短縮が達成されたが、水素濃度分析用のプローブ使用に起因して精錬コストが増加した。また、比較例7〜10においては、目標水素濃度を上回らないように精錬時間を長く設定しているので、過剰に脱水素処理が行われていた。
1 RH真空脱ガス装置
2 取鍋
3 溶鋼
4 スラグ
5 真空槽
6 上部槽
7 下部槽
8 上昇側浸漬管
9 下降側浸漬管
10 環流用ガス吹き込み管
11 ダクト
12 原料投入口
13 上吹きランス
D 上昇側浸漬管の内径
真空槽の内径

Claims (19)

  1. 減圧下で溶鋼中の水素を除去する真空脱ガス精錬が溶鋼に施される前の溶鋼中の水素濃度を推定する方法であって、
    真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度を、真空脱ガス精錬に先立つ製鋼精錬工程における副原料の使用量を変数とする関数を用いて推定することを特徴とする、溶鋼中の水素濃度推定方法。
  2. 前記製鋼精錬工程における副原料の使用量を変数とする関数が、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの副原料の添加量の合計、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの副原料の添加量の合計、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰含有副原料の添加量の合計、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰含有副原料の添加量の合計、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰非含有副原料の添加量の合計、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰非含有副原料の添加量の合計、のうちの少なくとも一つを変数として含む関数であることを特徴とする、請求項1に記載の溶鋼中の水素濃度推定方法。
  3. 前記製鋼精錬工程における副原料の使用量を変数とする関数として、下記の(1)式を使用することを特徴とする、請求項1に記載の溶鋼中の水素濃度推定方法。
    [H]=b×W+b×W+β ・・・(1)
    ここで、(1)式において、[H]は、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度(質量ppm)、Wは、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの副原料の添加量の合計(kg/ton)、Wは、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの副原料の添加量の合計(kg/ton)、b、bは、個々の副原料の種類や管理状態によって決まる影響係数、βは補正定数である。
  4. 前記製鋼精錬工程における副原料の使用量を変数とする関数として、下記の(2)式を使用することを特徴とする、請求項1に記載の溶鋼中の水素濃度推定方法。
    [H]=a×w+a×w+a×w+a×w+α ・・・(2)
    ここで、(2)式において、[H]は、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度(質量ppm)、wは、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰含有副原料の添加量の合計(kg/ton)、wは、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰含有副原料の添加量の合計(kg/ton)、wは、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰非含有副原料の添加量の合計(kg/ton)、wは、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰非含有副原料の添加量の合計(kg/ton)、a、a、a、aは、個々の副原料の種類や管理状態によって決まる影響係数、αは補正定数である。
  5. 前記焼成石灰含有副原料は遊離石灰を含有する副原料であることを特徴とする、請求項4に記載の溶鋼中の水素濃度推定方法。
  6. 過去の操業データを回帰分析することによって前記影響係数及び前記補正定数のうちの少なくとも1つを決定することを特徴とする、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の溶鋼中の水素濃度推定方法。
  7. 溶鋼を減圧下で精錬して溶鋼中の水素を除去する溶鋼の真空脱ガス精錬方法であって、
    真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度を、真空脱ガス精錬に先立つ製鋼精錬工程における副原料の使用量を変数とする関数を用いて推定し、
    更に、真空脱ガス精錬中の溶鋼中の水素濃度を、脱水素モデル式を用いて逐次推定し、脱水素モデル式で推定した水素濃度が目標水素濃度未満になった時点で真空脱ガス精錬を終了することを特徴とする、溶鋼の真空脱ガス精錬方法。
  8. 前記製鋼精錬工程における副原料の使用量を変数とする関数が、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの副原料の添加量の合計、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの副原料の添加量の合計、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰含有副原料の添加量の合計、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰含有副原料の添加量の合計、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰非含有副原料の添加量の合計、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰非含有副原料の添加量の合計、のうちの少なくとも一つを変数として含む関数であることを特徴とする、請求項7に記載の溶鋼の真空脱ガス精錬方法。
  9. 前記製鋼精錬工程における副原料の使用量を変数とする関数として、下記の(1)式を使用することを特徴とする、請求項7に記載の溶鋼の真空脱ガス精錬方法。
    [H]=b×W+b×W+β ・・・(1)
    ここで、(1)式において、[H]は、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度(質量ppm)、Wは、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの副原料の添加量の合計(kg/ton)、Wは、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの副原料の添加量の合計(kg/ton)、b、bは、個々の副原料の種類や管理状態によって決まる影響係数、βは補正定数である。
  10. 前記製鋼精錬工程における副原料の使用量を変数とする関数として、下記の(2)式を使用することを特徴とする、請求項7に記載の溶鋼の真空脱ガス精錬方法。
    [H]=a×w+a×w+a×w+a×w+α ・・・(2)
    ここで、(2)式において、[H]は、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度(質量ppm)、wは、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰含有副原料の添加量の合計(kg/ton)、wは、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰含有副原料の添加量の合計(kg/ton)、wは、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰非含有副原料の添加量の合計(kg/ton)、wは、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰非含有副原料の添加量の合計(kg/ton)、a、a、a、aは、個々の副原料の種類や管理状態によって決まる影響係数、αは補正定数である。
  11. 前記焼成石灰含有副原料は遊離石灰を含有する副原料であることを特徴とする、請求項10に記載の溶鋼の真空脱ガス精錬方法。
  12. 過去の操業データを回帰分析することによって前記影響係数及び前記補正定数のうちの少なくとも1つを決定することを特徴とする、請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の溶鋼の真空脱ガス精錬方法。
  13. 前記脱水素モデル式として、下記の(3)式及び(4)式を使用することを特徴とする、請求項7から請求項12のいずれか1項に記載の溶鋼の真空脱ガス精錬方法。
    [H]={[H]−[H]}×exp(−K×t)+[H] ・・・(3)
    [H]=10-(1905/T)-1.591×P1/2 ・・・(4)
    ここで、(3)式において、[H]は、真空脱ガス精錬中の溶鋼中の水素濃度(質量ppm)、[H]は、真空脱ガス精錬に先立つ製鋼精錬工程における副原料の使用量を変数とする関数を用いて推定した、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度(質量ppm)、[H]は、真空槽内の溶鋼界面での平衡水素濃度(質量ppm)、Kは、真空脱ガス精錬における脱水素速度定数(1/min)、tは、真空脱ガス精錬の開始からの経過時間(min)であり、(4)式において、[H]は、真空槽内の溶鋼界面での平衡水素濃度(質量ppm)、Tは、真空脱ガス精錬時の溶鋼温度(K)、Pは、真空槽内の圧力(atm)である。
  14. 前記真空脱ガス精錬は、RH真空脱ガス装置における真空脱ガス精錬であって、前記脱水素速度定数(K)を、下記の(5)式、(6)式及び(7)式を使用して決定することを特徴とする、請求項13に記載の溶鋼の真空脱ガス精錬方法。
    =(Q/V)×{ak/(Q+ak)} ・・・(5)
    Q=11.4×G1/3×D4/3×{ln(P/P)}1/3/ρ ・・・(6)
    ak=2500×D 1/2×(G×10-31/2×d/2 ・・・(7)
    ここで、(5)式、(6)式及び(7)式において、Kは、真空脱ガス精錬における脱水素速度定数(1/min)、Qは、真空槽への溶鋼環流量(m/min)、Vは、真空脱ガス精錬対象の溶鋼の体積(m)、akは、脱水素反応容量係数(m/min)、Gは、環流用ガスの流量(NL/min)、Dは上昇側浸漬管の内径(m)、Pは、大気圧(atm)、Pは、真空槽内の圧力(atm)、ρは、溶鋼の密度(ton/m)、Dは、溶鋼中水素の拡散係数(m/min)、dは、真空槽の内径(m)である。
  15. 当該真空脱ガス精錬よりも以前の真空脱ガス精錬中に溶鋼の水素濃度を測定し、測定した水素濃度から水素濃度の経時変化を求め、求めた水素濃度の経時変化に基づいて脱水素速度定数(K)を予め決定しておき、予め決定した脱水素速度定数(K)を用いて真空脱ガス精錬中の溶鋼中の水素濃度を逐次推定することを特徴とする、請求項13に記載の溶鋼の真空脱ガス精錬方法。
  16. 溶鋼を減圧下で精錬して溶鋼中の水素を除去する溶鋼の真空脱ガス精錬方法であって、
    真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度を、真空脱ガス精錬に先立つ製鋼精錬工程における副原料の使用量を変数とする関数を用いて推定し、
    前記真空脱ガス精錬を、前記推定された真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度と真空脱ガス精錬後の溶鋼中の水素濃度の目標値とから得られる下記(8)式の条件を満たす時点で終了することを特徴とする、溶鋼の真空脱ガス精錬方法。
    t≧(1/K)×ln{([H]−[H])/([H]−[H])}・・・(8)
    ここで、(8)式において、tは、真空脱ガス精錬の開始からの経過時間(min)、[H]は、真空脱ガス精錬に先立つ製鋼精錬工程における副原料の使用量を変数とする関数を用いて推定した、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度(質量ppm)、[H]は、真空脱ガス精錬後の溶鋼中の水素濃度の目標値(質量ppm)、[H]は、真空槽内の溶鋼界面での平衡水素濃度(質量ppm)、Kは、真空脱ガス精錬における脱水素速度定数(1/min)、lnは、自然対数である。
  17. 前記製鋼精錬工程における副原料の使用量を変数とする関数として、下記の(1)式を使用することを特徴とする、請求項16に記載の溶鋼の真空脱ガス精錬方法。
    [H]=b×W+b×W+β ・・・(1)
    ここで、(1)式において、[H]は、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度(質量ppm)、Wは、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの副原料の添加量の合計(kg/ton)、Wは、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの副原料の添加量の合計(kg/ton)、b、bは、個々の副原料の種類や管理状態によって決まる影響係数、βは補正定数である。
  18. 前記製鋼精錬工程における副原料の使用量を変数とする関数として、下記の(2)式を使用することを特徴とする、請求項16に記載の溶鋼の真空脱ガス精錬方法。
    [H]=a×w+a×w+a×w+a×w+α ・・・(2)
    ここで、(2)式において、[H]は、真空脱ガス精錬前の溶鋼中の水素濃度(質量ppm)、wは、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰含有副原料の添加量の合計(kg/ton)、wは、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰含有副原料の添加量の合計(kg/ton)、wは、転炉または電気炉における精錬での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰非含有副原料の添加量の合計(kg/ton)、wは、転炉出鋼または電気炉出鋼から真空脱ガス精錬開始前までの製鋼精錬工程での溶鋼単位質量当たりの焼成石灰非含有副原料の添加量の合計(kg/ton)、a、a、a、aは、個々の副原料の種類や管理状態によって決まる影響係数、αは補正定数である。
  19. 前記真空脱ガス精錬は、RH真空脱ガス装置における真空脱ガス精錬であって、前記脱水素速度定数(K)を、下記の(5)式、(6)式及び(7)式を使用して決定することを特徴とする、請求項16から請求項18のいずれか1項に記載の溶鋼の真空脱ガス精錬方法。
    =(Q/V)×{ak/(Q+ak)} ・・・(5)
    Q=11.4×G1/3×D4/3×{ln(P/P)}1/3/ρ ・・・(6)
    ak=2500×D 1/2×(G×10-31/2×d/2 ・・・(7)
    ここで、(5)式、(6)式及び(7)式において、Kは、真空脱ガス精錬における脱水素速度定数(1/min)、Qは、真空槽への溶鋼環流量(m/min)、Vは、真空脱ガス精錬対象の溶鋼の体積(m)、akは、脱水素反応容量係数(m/min)、Gは、環流用ガスの流量(NL/min)、Dは上昇側浸漬管の内径(m)、Pは、大気圧(atm)、Pは、真空槽内の圧力(atm)、ρは、溶鋼の密度(ton/m)、Dは、溶鋼中水素の拡散係数(m/min)、dは、真空槽の内径(m)である。
JP2020128151A 2019-09-19 2020-07-29 溶鋼中の水素濃度推定方法及び溶鋼の真空脱ガス精錬方法 Active JP7180645B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019170013 2019-09-19
JP2019170013 2019-09-19

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021050415A true JP2021050415A (ja) 2021-04-01
JP7180645B2 JP7180645B2 (ja) 2022-11-30

Family

ID=75157160

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020128151A Active JP7180645B2 (ja) 2019-09-19 2020-07-29 溶鋼中の水素濃度推定方法及び溶鋼の真空脱ガス精錬方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7180645B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5238415A (en) * 1975-09-23 1977-03-25 Nippon Steel Corp Refining method of low hydrogen content steel
JP2007275903A (ja) * 2006-04-03 2007-10-25 Sumitomo Metal Ind Ltd ステンレス鋼または高合金鋼の鋳造方法
JP2018109212A (ja) * 2017-01-04 2018-07-12 新日鐵住金株式会社 溶鋼の脱水素精錬方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5238415A (en) * 1975-09-23 1977-03-25 Nippon Steel Corp Refining method of low hydrogen content steel
JP2007275903A (ja) * 2006-04-03 2007-10-25 Sumitomo Metal Ind Ltd ステンレス鋼または高合金鋼の鋳造方法
JP2018109212A (ja) * 2017-01-04 2018-07-12 新日鐵住金株式会社 溶鋼の脱水素精錬方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7180645B2 (ja) 2022-11-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2022124050A1 (ja) 転炉の操業方法及び転炉の吹錬制御システム
JP5087840B2 (ja) 真空脱ガス設備における脱炭終点判定方法
JP2021050415A (ja) 溶鋼中の水素濃度推定方法及び溶鋼の真空脱ガス精錬方法
JP6007887B2 (ja) 真空脱ガス装置およびこれを用いた溶鋼の脱炭処理方法
JP4686917B2 (ja) 真空脱ガス設備における溶鋼の溶製方法
KR102103391B1 (ko) 용강 처리 방법
KR20050005067A (ko) 선행가탄을 이용한 극저탄소강 개재물 발생 저감 방법
KR101388066B1 (ko) 용강의 온도 예측방법
TWI685569B (zh) 熔鐵之精煉方法
JP2014037605A (ja) 溶銑脱りん方法、溶銑脱りんシステム、低りん溶銑の製造方法および低りん溶銑の製造装置
JP6822148B2 (ja) 溶鋼の脱水素精錬方法
KR102155413B1 (ko) Rh 진공탈가스 공정시 탈탄시간 결정방법
US20100071508A1 (en) Method of regulating the output of carbon monoxide in a metallurgical melting process
JP7318821B2 (ja) 溶鋼の脱酸精錬方法、鋼材の製造方法およびその鋼材
JP6277991B2 (ja) スラグ成分推定方法、媒溶剤の計算方法および溶銑予備処理方法
JP6966029B1 (ja) 減圧下における溶鋼の脱炭精錬方法
JP4816513B2 (ja) 溶鋼成分推定方法
JP7376795B2 (ja) Rh真空脱ガス装置における溶鋼脱炭方法
JP6795133B1 (ja) 転炉型脱燐精錬炉の吹錬制御方法及び吹錬制御装置
JP2002285223A (ja) 溶銑脱燐方法
JP2013040359A (ja) 溶鋼の二次精錬方法および製造方法
JP2017115173A (ja) 転炉の操業方法
JPS6225726B2 (ja)
JPH07166228A (ja) Rh脱ガスによる溶鋼の到達炭素濃度制御方法
JP4850336B2 (ja) 溶銑脱燐方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210428

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220310

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220426

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220624

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221018

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20221031

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7180645

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150