JP7318821B2 - 溶鋼の脱酸精錬方法、鋼材の製造方法およびその鋼材 - Google Patents

溶鋼の脱酸精錬方法、鋼材の製造方法およびその鋼材 Download PDF

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Description

本発明は、真空精錬装置を用いた溶鋼の脱酸処理において、添加Alの歩留まりが向上する溶鋼の脱酸精錬方法に関する。
鉄鋼製造工程の製鋼過程では、溶銑の脱炭吹錬(「一次精錬」という)を転炉にて行う。その後、溶製した溶鋼を取鍋に出湯し、取鍋内の溶鋼を真空精錬装置、たとえば、RH真空脱ガス装置の真空槽へ環流し、溶鋼を減圧下で精錬(「二次精錬」という)することが広く行われている。
二次精錬でRHやDHなどの真空精錬装置を用いて未脱酸または半脱酸の溶鋼を真空精錬処理する場合には、一般に、処理中に金属Alなどを真空雰囲気の真空槽に存在する溶鋼に添加することで溶鋼の脱酸精錬を行う。
真空精錬装置は、取鍋の上側を覆うように設置され、取鍋内の溶鋼が、真空精錬装置の真空槽へ上昇し、真空精錬処理される。この真空槽の上部側面または天蓋に、原料投入口を設け、そこから金属Al、合金AlなどAl含有物質を真空槽へ投下し、Alによる溶鋼の脱酸精錬を行う。
しかし、この溶鋼の脱酸精錬において、真空槽に投下されたAl含有物質は、溶鋼中のAlの歩留まりが悪い。そのため、添加Al含有物質の量が増加し処理時間が長くなる、原料コストが増加するなど、真空精錬コスト増加の要因となっている。また、Alの溶鋼における歩留まり低下により歩留まりが安定せず、鉄鋼製造工程を経た鋼材のAl成分量がばらつく場合もある。
そこで、これらの問題を解決するため、添加Alの歩留まりを向上させる技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、添加Alが拡散・合金化するまでの間40Torr(5000Pa)以上の低真空度でAl含有物質を溶鋼中に浸漬添加することで、Alの蒸発損失を抑制し歩留まりを向上させる技術が提案されている。減圧開始から12分経過するまで真空度を40Torr(5000Pa)以上として、金属Alの溶鋼中への拡散、合金化を進行させることでAlの蒸発揮散が抑制される。この発明では、Al添加後真空度を一気に40Torr(5000Pa)未満の高真空とする従来パターンより、Alの歩留まりが高くなると説明されている。脱酸処理時間は15~20分である。
また、非特許文献1には、Al弾を圧縮ガスで溶鋼へ発射し、Al弾の溶鋼浸入深さが深くなることでAl歩留まりを向上させる技術が提案されている。
特開平3-211216号公報
住友金属技報Vol.25、p30
上記従来技術には以下のような問題がある。
特許文献1に記載の技術では、脱酸完了までに真空度が従来と比べ悪化するため(真空度5000Pa以上で12分以上保持)、真空精錬の処理時間が長くなる。また、脱酸時のAl添加において、Alの酸化反応により局所的な高温部が発生し、低真空であってもAlの蒸気圧が雰囲気圧を上回ってAlが蒸発しAl蒸発損失を十分には低減できない問題がある。
また、非特許文献1に記載の技術では、ガス弾発射装置を新規に建設する必要があり設備費が増大する問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、真空精錬の処理時間が短く添加Alの歩留まりが向上する溶鋼の脱酸精錬方法を提案することを目的とする。また、真空精錬での添加Alの歩留まりが向上し、Al成分量のばらつきが少ない鋼材の製造方法を提案することを目的とする。
発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意、実験及び検討を行った。その結果、添加Al含有物質の顕熱による温度低下量が、Alの酸化反応熱による温度上昇量を上回る条件でAl含有物質の添加を行うことで、Al歩留まりが向上することを見出した。
上記知見に基づき、本発明は、以下のように構成される。
[1]真空精錬装置を用いた溶鋼の脱酸精錬方法であって、Al含有物質を真空槽内の溶鋼に添加し、Al脱酸中の前記溶鋼の温度変化ΔT及びΔTが、式(1)を満足する溶鋼の脱酸精錬方法である。
ΔT+ΔT<0・・・(1)
ここで、ΔT、ΔTは、それぞれ
ΔT=(WRe_Al×QAl-O)/(Csteel×WRe_STEEL)・・・(2)
ΔT=-(VAl/0.01XAl×t1×QAl_Alloy-C)/(Csteel×WRe_STEEL)・・・(3)
で定義される温度変化(℃)、
は、Al含有物質の添加開始時に真空槽内に存在する溶鋼がAl含有物質の添加開始から循環して入れ替わるまでの時間(s)、
Re_Alは、時間tの間に脱酸反応に使用される金属Alとしての質量(kg)、
Al-Oは、Alの酸化反応熱(kJ/kg-Al)、
steelは、溶鋼比熱(kJ/kg/℃)、
Re_STEELは、時間tの間に脱酸反応に使用される溶鋼量(kg)、
Alは、金属Alとしての添加速度(kg/s)、
Alは、Al含有物質のAl含有量(質量%)、
Al_Alloy-Cは、Al含有物質の顕熱及び潜熱(kJ/kg)
である。
[2]前記[1]に記載の溶鋼の脱酸精錬方法は、前記Al含有物質のAl含有量が30~80質量%であることが好ましい。
[3]前記[1]又は[2]に記載の溶鋼の脱酸精錬方法を脱酸工程として有し、
該脱酸工程後の鋼中Al濃度幅が0.02質量%以下である鋼材の製造方法である。
[4]前記[1]又は[2]に記載の溶鋼の脱酸精錬方法を脱酸工程として有し、
該脱酸工程後の鋼中Al濃度幅が0.02質量%以下である鋼材である。
[5」前記[4]に記載の鋼材は、前記Al濃度幅がAl成分規格幅であることが好ましい。
本発明によれば、鉄鋼製造プロセスの真空精錬工程において、添加Alによる脱酸処理時間が短く、添加Alの歩留まりを向上させる、高生産性・低製造コストが実現でき、さらに鋼材Al成分量のばらつきが非常に少ない製品も提供できる等、工業的効果及び省資源の効果が極めて大きい。
RH真空脱ガス装置の一例を示す概略縦断面図である。 本発明の概念を表す上記RH真空脱ガス装置の拡大断面図である。 Al蒸発率に及ぼすAl添加前後の溶鋼の熱量変化の影響を示すグラフである。 Al添加条件の違いによるAl脱酸時の溶鋼温度挙動を示すグラフである。
発明者らは、脱酸時のAl蒸発損失量を評価するため、小型真空溶解炉を用いて、種々の条件のもとで溶鋼の脱酸試験を実施した。その結果、図3に示すように、Al蒸発率はAl添加前後の溶鋼の熱量変化と相関があり、特に熱量変化が負となる領域でAl蒸発損失量が大きく減少することを見出した。ここで、熱量変化とは(1)脱酸時におけるAlの酸化熱、(2)単位時間に添加するAl含有物質の顕熱の和である。さらに、図4に示すように、RH真空脱ガス装置におけるAlの蒸発温度と種々のAl合金添加条件における真空槽内溶鋼温度推移を比較した。その結果、Al含有物質の添加速度を大きくすることや、Al含有物質としてFeAlを使用することで、添加物質の顕熱による温度低下量が大きくなり、真空槽内溶鋼温度がAl蒸発温度を上回る時間が短縮することを知見した。
このように発明者らは、真空精錬装置における脱酸処理において、添加Al含有物質の顕熱及び酸化反応熱による温度変化と溶鋼への添加Alの歩留まりを調査し、添加Al含有物質による反応サイトの温度変化が添加Alの歩留まりに及ぼす効果を詳細に検討した。その結果、添加Al含有物質の顕熱および酸化反応熱による反応サイトの温度が添加Alの歩留まりに影響し、反応サイトの温度を制御することによりAl歩留まりが向上することを見出した。
本発明は、溶鋼に添加したAl含有物質の顕熱による温度低下量が、添加したAlの酸化反応熱による温度上昇量より大きくなるようにAl脱酸反応サイトにおける温度を制御する。そして、本発明は、従来の脱酸処理方法に比べ大幅に処理時間が短く、添加Alの歩留まりが向上することを技術思想とするものである。
以下、本発明にかかる溶鋼の脱酸精錬方法を詳細に説明する。
本発明にかかる溶鋼の脱酸精錬方法を行うことができる真空精錬装置には、RH真空脱ガス装置、DH真空脱ガス装置、REDA真空脱ガス装置などがあるが、それらの中で最も代表的なものは、RH真空脱ガス装置である。
そこで、先ず、RH真空脱ガス装置における真空精錬方法を説明する。
図1において、符号1はRH式真空脱ガス装置、2は取鍋、3は溶鋼、4はスラグ、5は真空槽、6は上部槽、7は下部槽、8は上昇側浸漬管(上昇管)、9は下降側浸漬管(下降管)、10は環流用ガス吹き込み管、11はダクト、12は原料投入口、13は上吹きランスである。真空槽5は、上部槽6と下部槽7とから構成され、また、上吹きランス13は、真空槽内の溶鋼に酸素ガスや媒溶剤を吹き付けて添加する装置であり、真空槽5の上部に設置され、真空槽5の内部で上下移動が可能となっている。
RH式真空脱ガス装置1では、溶鋼3を収容した取鍋2を昇降装置(図示せず)にて上昇させ、上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9を取鍋2内の溶鋼3に浸漬させる。そして、真空槽5の内部をダクト11に連結される排気装置(図示せず)にて排気して真空槽5の内部を減圧するとともに、環流用ガス吹き込み管10から上昇側浸漬管8の内部に環流用ガスを吹き込む。真空槽5の内部が減圧されると、取鍋2内の溶鋼3は、大気圧と真空槽5内の圧力(真空度)との差に比例して上昇し、真空槽5内に流入する。同時に、環流用ガス吹き込み管10から吹き込まれる環流用ガスによるガスリフト効果によって、溶鋼3は、環流用ガスとともに上昇側浸漬管8を上昇して真空槽5の内部に流入する。その後、下降側浸漬管9を経由して取鍋2に戻る流れ、所謂、環流を形成してRH式真空精錬が施される。溶鋼3は、真空槽5内で減圧下の雰囲気に曝され、溶鋼3中のガス成分が真空槽5内の雰囲気に移動し、溶鋼3の脱ガス反応が進行する。RH式真空精錬において、未脱酸溶鋼または半脱酸溶鋼の脱酸処理を行う場合には、原料投入口12より、酸素と反応し酸化物を生成する合金を脱酸剤として真空槽5内の溶鋼3に添加する。脱酸材には、その脱酸力の強さから金属AlまたはAl含有合金が一般に用いられる。
本発明では、溶鋼の脱酸にあたり、Alの蒸発損失を抑制するため、添加したAlの酸化反応熱による温度上昇量よりも添加Al含有物質の顕熱による温度低下量が大きくなるようにする。すなわち、式(1)のように前者の温度変化量ΔTと後者の温度変化量ΔTの和が負となるように操業条件を決定し脱酸処理を行う。
ΔT+ΔT<0
添加Alの酸化反応熱による温度変化量ΔT及び添加Al含有物質の顕熱(潜熱含む)による温度変化量ΔTをそれぞれ式(2)、式(3)と定義し、式(1)を満たすように式(4)から式(7)の各エネルギーで温度変化量ΔT及びΔTを制御する。
ΔT+ΔT<0・・・(1)
ここで、式(1)において、ΔT、ΔTは式(2)、式(3)で定義される。
ΔT=(WRe_Al×QAl-O)/(Csteel×WRe_STEEL)・・・(2)
ΔT=-(VAl/0.01XAl×t1×QAl_Alloy-C)/(Csteel×WRe_STEEL)・・・(3)
Re_Al=MIN[WRe_STEEL×aO/fO×1.0×10-6×54/48,VAl×t]・・・(4)
MIN[A,B]はA、Bの小さい方の値を意味する。
Re_STEEL=QCir×t・・・(5)
1=W/QCir ・・・(6)
Cir=K×G1/3×D4/3×{ln(P/P1)}1/3・・・(7)
は、Al含有物質の添加開始時に真空槽内に存在する溶鋼がAl含有物質の添加開始から循環して入れ替わるまでの時間(s)、
Re_Alは、時間tの間に脱酸反応に使用される金属Alとしての質量(kg)、
Al-Oは、Alの酸化反応熱(kJ/kg-Al)、
steelは、溶鋼比熱0.188(kJ/kg/℃)、
Re_STEELは、時間tの間に脱酸反応に使用される溶鋼量(kg)、
Alは、金属Alとしての添加速度(kg/s)、
Alは、Al含有物質のAl含有量(質量%)、
Al_Alloy-Cは、Al含有物質の顕熱及び潜熱(kJ/kg)、
は、真空槽内溶鋼量(kg)、
Cirは、環流量(kg/s)、
Kは、定数(190)、
Gは、環流ガス流量(Nl/min)、
Dは、浸漬管内径(m)、
は、大気圧力(101325Pa)、
は、真空度(Pa)、
は、溶鋼の酸素活量(ppm)、
は、溶鋼中酸素の活量係数
である。
溶鋼の酸素活量は、脱酸処理に先立ち測酸プローブを用いて測定を行う。Al添加速度は、添加中の合金ホッパー秤量値の時間変化から算出するか、あるいは槽内監視カメラを用いて添加開始及び添加終了のタイミングを判断し、Al添加に要した時間を求め、総添加量を添加時間で除することで得る。
真空槽内溶鋼量Wを、下記の式(8)、式(9)に示す。図2に各長さを定義する。
=π/4・D 2×h×ρg・・・(8)
=(P-P1)/(ρg)+l-L・・・(9)
ここで、Dは、真空槽内径(m)、
は、真空槽内溶鋼高さ(m)、
ρgは、溶鋼密度(kg/m)、
lは、浸漬管の溶鋼への浸漬深さ(m)、
Lは、浸漬管下端から真空槽敷までの高さ(m)
である。
浸漬管の溶鋼への浸漬深さlを、下記の式(10)に示す。
l=l-lFB-lLV・・・(10)
ここで、lは、取鍋底から取鍋上端までの距離(m)、
FBは、取鍋上端から取鍋溶鋼面までの距離(m)、
LVは、浸漬管下端から取鍋底までの距離(m)
である。
但し、lFBは、溶鋼レベル計を用いて溶鋼面高さを測定する、または金属棒を取鍋内溶鋼に浸漬させ、溶解した部分の長さを測定する。lLVについては、制御系から得られる取鍋と真空槽の相対距離から求める。
式(1)を満たすための操作因子は真空度、環流ガス流量、Al添加速度である。すなわち、主に、真空度、環流ガス流量、Al添加速度でAl脱酸反応サイトにおける温度変化量ΔT及びΔTを制御する。真空度、環流ガス流量については、ΔTの絶対値を増加させるためには、真空度の低下または環流ガス流量の減少が必要である。また、その時、精錬効率が悪化し処理時間が長くなるため、Al添加速度を調整することが望ましい。Al添加速度は合金ホッパーの開度を増減することで調整する。
但し、ホッパーの開度でAl添加速度を早めるには限界があるため、Al含有量80%以下のAl含有物質を使用し、添加Al量当たりの顕熱を増やすことで、より効率を高めることができる。
また、DH真空脱ガス装置、REDA真空脱ガス装置のように真空槽・取鍋の間で溶鋼を循環させる方式の真空精錬装置であれば、本技術が適用可能である。但し、溶鋼の環流量QCirを求める式(7)はRH真空脱ガス装置特有のものであるため、DH真空脱ガス装置、REDA真空脱ガス装置において本技術を適用する場合には、予めCuなどの添加合金の均一混合時間を測定し、操業条件ごとの溶鋼の環流量を求める必要がある。
添加Al含有物質のAl含有量:30~80質量%
溶鋼のAl脱酸におけるAl損失要因の一つは、脱酸反応熱によって局所的に高温となった溶鋼でAlが蒸発することである。添加するAl含有物質のAl含有量を小さくし、添加Al量当たりの顕熱を増加させることで顕熱による温度低下量ΔTを多くして、より効率的にAlの蒸発を抑制することができる。したがって、添加Al含有物質のAl含有量は80質量%以下とすることが好ましい。
一方で、添加Al含有物質のAl含有量が低すぎると、Al含有物質の総添加量が増え、処理時間が長くなるほか、処理中の溶鋼温度が真空槽内で凝固温度以下まで下がるおそれがある。そのため、添加Al含有物質のAl含有量は30質量%以上が望ましい。
使用するAl含有物質の種類としては、他の溶鋼成分の調整を阻害しないようにフェロアルミ合金FeAlを使用することが好ましい。なお、目標成分に合わせて鉄以外の成分を含むAl合金を使用してもよい。
鋼中Al濃度幅が0.02質量%以下
本発明の脱酸精錬方法によりAl歩留まりが向上し、本脱酸精錬方法を含む鉄鋼製造プロセスから製造される鋼材のAl成分量のばらつきを低減することができる。
すなわち、本発明の脱酸精錬方法による脱酸工程後の鋼中Alの濃度幅は、0.02質量%以下とすることができる。
ここで、鋼中Al濃度幅とは、目標の鋼中Al濃度範囲が同じ鋼種の処理における、各チャージ(1回の出鋼量)の脱酸精錬後の鋼中Alの成分量(質量%)について、特定チャージ数(規格、特性など)におけるばらつき幅をいう。たとえば、鋼中Al濃度幅をAl成分規格幅と設定してもよい。
ただし、ばらつき幅とは、上記特定チャージ数における鋼中Alの成分量実績について、その標準偏差を6倍した値である。
鋼中Alの濃度幅が、0.02質量%以下となれば、製品規格の化学成分量の狭幅化や目標化学成分量の外れ防止を期待できる。
本発明の脱酸精錬方法により、Al歩留まりが85%以上となれば鋼中Al濃度幅を0.02質量%以下とすることができる。なぜなら、脱酸後の鋼中Al濃度のばらつきは主にAl歩留まりのばらつきによるものであり、Al歩留まりを100%に近づけることで、Al歩留まりのばらつきが低減されるためである。また、Al歩留まりが向上することにより、目標のAl濃度に対する必要なAl添加量が少なくなることも、Al濃度ばらつきが低減する要因である。
転炉で溶銑を脱炭精錬して溶製した300トンの溶鋼を、転炉から取鍋に出鋼し、取鍋内の溶鋼をRH真空装置で真空精錬を行った。対象鋼種は[C]規格上限が25ppmの極低炭鋼種とした。真空精錬前の溶鋼の化学成分は、C;0.04~0.06質量%、Si;0.15~0.25質量%、Mn;0.1~0.5質量%、P;0.02質量%以下、S;0.003質量%以下であり、脱酸前の溶鋼温度は1580~1630℃、脱酸前の溶鋼中の酸素活量aは300~600ppmであった。真空度は267Pa、環流ガス流量は2500Nl/minとした。
Al含有物質は、99%Al含有の金属Alおよび20%、40%、70%、80%、90%Alを含むFeAl合金を使用した。
主にAl添加速度VAlを10~25kg/sの範囲で変化させて、ΔT及びΔTの種々の値によるAl歩留まりを評価した。
実験は各条件30チャージずつ実施し、Al歩留まり、Al含有物質添加時間については30チャージの平均値を用いて評価した。
鋼中Al濃度幅は、各条件(No.1~10)の、脱酸処理後の鋼中Al濃度の標準偏差から算出した。
式(2)~(10)の各数値については、次の値を設定した。
:4.2(s)、
Re_Al:4~7(kg)、
Al-O:27045(kJ/kg-Al)、
STEEL:溶鋼比熱0.188(kJ/kg/℃)、
Re_STEEL:11757(kg)、
Al:10~25(kg/s)、
Al:20~99(%)、
Al_Alloy-C:1381~2163(kJ/kg)
とした。
ただし、添加するAl含有物質の含有成分i(Alを含む)の質量分率、顕熱をそれぞれX、Qi_C(kJ/kg-i)とすると、
Figure 0007318821000001
であり、実施例ではQAlC=2163(kJ/kg-Al)、QFe_C=1186(kJ/kg-Fe)として計算した。
:11760(kg)、
Cir:2903(kg/s)、
K=190、
G:2500(Nl/min)、
D:0.7(m)、
:1.01325x10(Pa)、
:267(Pa)、
:350~500(ppm)、
:1、
:4.0(m)、
FB:1.2(m)、
LV:2.1(m)
である。
Al歩留まりは、式(11)で評価した。式(11)における分子は脱酸に消費されたAl質量と脱酸後に溶鋼中に溶けたAl質量の総和、分母は添加されたAl成分の総質量を表している。
eAl={(a/f×1.0×10-6×54/48+[%Al]/100)×W}×100/(WAl×XAl/100)・・・(11)
ここで、eAlは、Al歩留まり(%)、
[%Al]は、脱酸後の溶鋼中Al濃度(質量%)、
Wは、処理溶鋼量で300(ton)、
Alは、金属AlまたはAl合金添加量(kg)、
Alは、Al含有物質中のAl含有量(質量%)
である。
但し、[%Al]は、RH式真空精錬処理終了後にメタルサンプルを採取しその分析値から求めた。
実験結果を表1に示す。Al歩留まりとは、脱酸に消費されたAl量と鋼中Al濃度の増加に対応するAl量の総和の、添加したAl含有物質中のAl量に対する百分率をいう。添加Alの温度低下量ΔTの絶対値が、添加したAlの温度上昇量ΔTの絶対値を上回る条件、発明例No.1~8において、Al歩留まりが70%以上となる良好な結果が得られた。また全ての水準でAlの添加は267Pa以下の高真空で行われ、再度真空引きの処理時間延長を行っていない。
添加Al含有物質のAl含有量が80質量%以下の発明例No.5~8では、Al歩留まりが85%以上となり、さらに良好な結果が得られた。
しかしながら、発明例No.5のAl含有量が30質量%未満でも、高いAl歩留まりが得られた一方で、必要添加Al量が増加することで添加時間が1分以上と長くなり、真空引きの処理時間を延長した。
そこで、処理時間も考量したAl歩留まりを下記のように3段階に区分し、表1最右列に評価として示した。
◎:Al歩留まりが85%以上、かつ、Al添加時間が1分未満
○:Al歩留まりが70%以上85%未満、かつ、Al添加時間が1分未満、または、Al歩留まりが85%以上、かつ、Al添加時間が1分以上
△:Al歩留まりが70%未満
Al歩留まりが85%以上である、発明例No.5~8は、鋳造工程でサンプルを採取・分析して得られた最終Al成分の濃度ばらつきが、0.02質量%幅以下であった。
一方で、Al歩留まりが70%未満である比較例No.9~10における最終Al成分の濃度ばらつきは0.035質量%幅以下と、発明例よりも濃度ばらつきが大きい結果であった。
Figure 0007318821000002
本発明の鉄鋼製造プロセスの製鋼工程におけるAl添加による脱酸精錬方法は、低製造コストおよび狭範囲Al成分量が要求される鋼材の製造に適用することができる。
1 RH真空脱ガス装置
2 取鍋
3 溶鋼
4 スラグ
5 真空槽
6 上部槽
7 下部槽
8 上昇側浸漬管
9 下降側浸漬管
10 環流用ガス吹き込み管
11 ダクト
12 原料投入口
13 上吹きランス
真空槽内径
D 浸漬管内径
L 浸漬管下端から真空槽敷までの高さ
l 浸漬管の溶鋼への浸漬深さ
取鍋底から取鍋上端までの距離
LV 浸漬管下端から取鍋底までの距離
FB 取鍋上端から取鍋溶鋼面までの距離
真空槽内溶鋼高さ
取鍋底から取鍋溶鋼面までの距離

Claims (3)

  1. 真空精錬装置を用いた溶鋼の脱酸精錬方法であって、Al含有物質を真空槽内の溶鋼に添加し、Al脱酸中の前記溶鋼の温度変化ΔT及びΔTが、式(1)を満足する溶鋼の脱酸精錬方法。
    ΔT+ΔT<0・・・(1)
    ここで、ΔT、ΔTは、それぞれ
    ΔT=(WRe_Al×QAl-O)/(Csteel×WRe_STEEL)・・・(2)
    ΔT=-(VAl/0.01XAl×t1×QAl_Alloy-C)/(Csteel×WRe_STEEL)・・・(3)
    で定義される温度変化(℃)、
    は、Al含有物質の添加開始時に真空槽内に存在する溶鋼がAl含有物質の添加開始から循環して入れ替わるまでの時間(s)、
    Re_Alは、時間tの間に脱酸反応に使用される金属Alとしての質量(kg)、
    Al-Oは、Alの酸化反応熱(kJ/kg-Al)、
    steelは、溶鋼比熱(kJ/kg/℃)、
    Re_STEELは、時間tの間に脱酸反応に使用される溶鋼量(kg)、
    Alは、金属Alとしての添加速度(kg/s)、
    Alは、Al含有物質のAl含有量(質量%)、
    Al_Alloy-Cは、Al含有物質の顕熱及び潜熱(kJ/kg)
    である。
  2. 前記Al含有物質はAl含有量が30~80質量%である請求項1に記載の溶鋼の脱酸精錬方法。
  3. 請求項1又は2に記載の溶鋼の脱酸精錬方法を脱酸工程として有し、該脱酸工程後の鋼中Al濃度幅が0.02質量%以下である鋼材の製造方法。
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