JP7372593B2 - 竪型粉砕機 - Google Patents
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Description
このような竪型粉砕機は、回転テーブルの中央に粉砕原料が供給されると回転テーブルの回転により、粉砕原料が回転テーブルの外周部へと移動する。外周部では粉砕ローラが圧接して回転しているので、粉砕原料は、粉砕ローラと回転テーブルの間へ侵入して粉砕される。そして、回転テーブルの外周面とケーシングの内周面との間の環状通路から吹き上がる熱空気によって、熱空気とともに粉粒体が乾燥されながらケーシング内を上昇する。粉粒体は、ケーシング内の上部に設けた分級手段によって振り分けられて所定粒度の製品が外部へ排出される。分級手段を通過できない粗粉は再度回転テーブル上に落下して粉砕される。
このような状態になると一端粉砕機を停止して、所定時間の冷却後に内部で隙間を測定し、ストッパを調整する。その後、内部を昇温して再起動する手順となり作業員の手間と時間のロスが発生する。特に、作業員が内部に入るまでの冷却や、調整後の昇温にはかなりの時間がかかるため、稼働時間の大幅なロスとなり影響は大きい。
前記粉砕ローラを水平軸回りに揺動自在に軸支するアームの側面に対し進退移動するスピンドルを備え前記粉砕ローラと前記回転テーブルとの隙間を調整するストッパと、
前記粉砕ローラの回転数を検出し、前記回転数からローラの摩耗具合を推定して前記隙間の初期設定値に戻すための前記スピンドルの調整長さを求めるローラ摩耗推定部と、
前記スピンドルの調整長さに基づいて前記スピンドルを進退移動するストッパ調整部と、
を有し、
前記ローラ摩耗推定部は、粉砕ローラの摩耗時に隙間を初期設定値tまで戻すためのストッパのスピンドル調整長さ(δ)、Dt:テーブル軌道径(mm)、L1:ストッパのスピンドル軸線と、前記アームの回転軸を通りスピンドル軸線と平行線の間の距離(mm)、L2:ローラ径と、前記アームの回転軸を通りローラ径と平行線の間の距離(mm)、θ:ローラタイヤ角度(°)、Nr:ローラの回転数(rpm)、Nt:テーブル回転数(rpm)、t:初期設定隙間長さ(mm)、Nr’:摩耗時のローラの回転数(rpm)としたとき、
上記第1の手段によれば、ローラタイヤとテーブルライナの隙間が生じてもストッパ調整に要する時間及び人員の大幅な削減が可能となる。
また摩耗の進行度合いの異なる粉砕ローラ毎にストッパ調整を行うことができ、常に効率の高い粉砕運転を継続して実行できる。
また粉砕ローラの回転数からローラタイヤとテーブルライナの隙間を初期設定値に戻すストッパのスピンドル調整長さを算出することができる。
上記第2の手段によれば、スピンドルの進退移動を人手によらず自動で行い、隙間を初期設定値に調整することができる。
[竪型粉砕機10]
図4は、竪型粉砕機の構成概略図である。なお図4においてメカニカルストッパは省略している。図示のように竪型粉砕機10は、ケーシング12と、回転テーブル14と、回転テーブル14の上面外周部を円周方向に等分する位置に配置した複数個の粉砕ローラ16と、回転テーブル14の外周に沿って形成した環状通路40と、ケーシング12の上部に設けた分級手段30と、回転テーブル14の外周縁部上に取り付けたダムリング48を主な基本構成としている。
粉砕ローラ16は、支点となる下部ケーシング12Bに回動自在に軸着したアーム20を介して油圧シリンダ24のピストンロッドに連結されている。粉砕ローラ16は油圧シリンダ24の作動によって回転テーブル上面14Aに押圧されて、回転テーブル14に粉砕原料を介して従動することによって回転する。
ケーシング12の回転テーブル上面14Aの上方には、分級手段30が設けられている。
固定羽根30cの下端部には、内部コーン30e及びフィード管30fが設けられている。内部コーン30eは、上方から下方に向かって径が小さくなる漏斗状に形成し、フィード管30fは、内部コーン30eの下端に接続する円筒状に形成し、分級手段30を通過できなかった粉粒体を捕捉して、フィード管30fを介して下部の排出口から回転テーブル上面14Aへ供給する構造となっている。
内部コーン30eには、原料投入シュート34が接続している。この原料投入シュート34を介して原料投入口32から回転テーブル上面14Aに原料が投入される。
原料投入シュート34から投入した原料は、回転テーブル上面14Aを渦巻き状の軌跡を描きながら回転テーブル上面14Aの外周部に移動して、回転テーブル上面14Aと粉砕ローラ16の間に噛み込まれ粉砕される。そして、粉砕された粉粒体の一部は、回転テーブル上面14Aの外縁部に周設されて原料の層厚を調整するダムリング48を乗り越えて、回転テーブル上面14Aの外周部とケーシング12の隙間である環状通路40へと向かう。ここで、下部ケーシング12Bの回転テーブル14の下方には、所定温度に加熱された熱空気を導入するためのガス導入口42を設けている。
竪型粉砕機10内に投入した原料と、回転テーブル14と粉砕ローラ16に粉砕されて後述するダムリング48を乗り越えた粉粒体の一部は、環状通路40からの熱空気によって吹き上げられてケーシング12内を上昇し、分級手段30に到達する。
ここで、径及び質量の大きな粉粒体は、分級手段30の固定羽根30c及び回転羽根30bを通過することができず、内部コーン30eに落下して再度粉砕ローラ16に噛み込まれて粉砕される。一方、径の小さな粉粒体は、隙間を開けて並べられた固定羽根30c及び回転羽根30bの間を抜けて分級手段30を通過して上部取出口44よりケーシング12外へ取り出される。
また、粉砕ローラ16に噛み込まれずそのまま環状通路40に達したような一部の極大の粒径の原料は、環状通路40より回転テーブル14の下方に落下して下部取出口46より竪型粉砕機10の外に取り出される。
図1は本発明の竪型粉砕機のローラ摩耗推定部及びストッパ調整部の説明図である。図2はローラ摩耗部の説明図である。
ローラ摩耗推定部50は粉砕ローラ16の回転数を測定し記録している。回転数測定は一例として、粉砕ローラ16の回転箇所に設けてローラと共に回転するターゲット52と、周回転するターゲットの軌道付近に設けた近接スイッチ54により、時間当たりの検知回数から回転数に変換する方式を採用している。
ここで、ローラの回転数Nr(rpm)、摩耗時のローラの回転数Nr’(rpm)は、Dt:テーブル軌道径(mm)、Dr:ローラ回転径(mm)、Dr’ :摩耗時のローラ回転径(mm)、Nt:テーブル回転数(rpm)、t:初期設定隙間長さ(mm)としたとき数式1(ローラの新品時),2(ローラの摩耗時)のように表すことができる。
そこでローラタイヤ17の摩擦深さ(tr)は数式3のように表すことができる。
なお実際にはローラタイヤ17だけでなく、テーブルライナ15も摩耗するが、データ蓄積によりローラ摩耗深さとテーブル摩耗深さの関数を把握することができる。またローラタイヤ17やテーブルライナ15の摩耗形状も関係するが、データ蓄積により、実用する場合には数式6に基づいて、テーブルライナ15の摩耗深さ、ローラタイヤ17及びテーブルライナ15の摩耗形状を補正すると良い。
図3はストッパ調整部の説明図である。ストッパ調整部60は、スピンドル2に取り付けたギア62と噛み合うピニオンギア64を有する電動式ギヤードモータ66に接続している。ギア62の回転軸はスピンドル2の回転軸と同軸上に設置している。ギヤードモータ66を回転させることでギア62を介してスピンドル2を進退移動できる。また、ギア62に設けたターゲットに近接する近接スイッチでセンシングしている。スピンドル調整長さδの目標値に対してP:スピンドル2のネジピッチ(mm/rev)、Ns:スピンドル2の回転量(rev)としたとき数式7によりスピンドル2の回転量を求めることができる。
なお、上記ローラ摩耗推定部50及びストッパ調整部60は、粉砕機に設置した複数の粉砕ローラ16毎に取り付けることにより、ローラ毎の調整を実行できる。
上記構成による本発明の竪型粉砕機の作用(運用方法)について、以下説明する。
竪型粉砕機10の稼働中において、ローラ摩耗推定部50により粉砕ローラ16の回転数を定期的に記録する。
なお、粉砕機の振動が大きいときは粉砕ローラ16がスリップ(空回り)している可能性が高く、正確な回転数を把握することができない可能性がある。このため振動値が所定値(μm)以上のときのデータ誤差は採用せずに排除すると良い。
運転中又は一時的に原料投入を停止して粉砕ローラ16を上昇させた状態、換言するとストッパ1のスピンドル2に外力が作用していない状態で隙間調整を行う。一例として、竪型粉砕機10の(遠隔地等にある)運転画面上に設けた隙間自動調整ボタンを押下するなどして実行する。
ローラ摩耗推定部50では、記録した現在の摩耗深さから隙間を初期値まで戻すためのスピンドル調整長さδを計算する。
そしてストッパ調整部60では、スピンドル調整長さδに基づいてギヤードモータ66を正逆回転させてスピンドル2の進退移動を行いローラタイヤ17とテーブルライナ15の隙間を初期値に戻す調整を行うことができる。
また粉砕機の粉砕ローラは複数設置しているが、すべてのローラが同じ速度で摩耗が進行することは少ない。実際には回転テーブル上の原料の流れ、熱空気のバランスなどにより負荷が高いローラとそうでないローラがあり、負荷の高いローラの方が早く摩耗が進行する。負荷の高いローラから隙間が広がり粉砕性能が低下していく。しかし本発明によれば、遠隔で、すべての粉砕ローラの隙間を常時最適(初期値)に調整することができるため、常に効率の高い粉砕運転を継続することが可能になる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
また、本発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
2 スピンドル
10 竪型粉砕機
12 ケーシング
12B 下部ケーシング
14 回転テーブル
14A 回転テーブル上面
15 テーブルライナ
16 粉砕ローラ
17 ローラタイヤ
20 アーム
24 油圧シリンダ
30 分級手段
30a 回転軸
30b 回転羽根
30c 固定羽根
30e 内部コーン
30f フィード管
32 原料投入口
34 原料投入シュート
40 環状通路
42 ガス導入口
44 上部取出口
48 ダムリング
50 ローラ摩耗推定部
52 ターゲット
54 近接スイッチ
60 ストッパ調整部
62 ギア
64 ピニオンギア
66 ギヤードモータ
Claims (2)
- 回転テーブル上で粉砕原料を介して接する複数の粉砕ローラが従動して前記粉砕原料を粉砕する竪型粉砕機であって、
前記粉砕ローラを水平軸回りに揺動自在に軸支するアームの側面に対し進退移動するスピンドルを備え前記粉砕ローラと前記回転テーブルとの隙間を調整するストッパと、
前記粉砕ローラの回転数を検出し、前記回転数からローラの摩耗具合を推定して前記隙間の初期設定値に戻すための前記スピンドルの調整長さを求めるローラ摩耗推定部と、
前記スピンドルの調整長さに基づいて前記スピンドルを進退移動するストッパ調整部と、
を有し、
前記ローラ摩耗推定部は、粉砕ローラの摩耗時に隙間を初期設定値tまで戻すためのストッパのスピンドル調整長さ(δ)、Dt:テーブル軌道径(mm)、L1:ストッパのスピンドル軸線と、前記アームの回転軸を通りスピンドル軸線と平行線の間の距離(mm)、L2:ローラ径と、前記アームの回転軸を通りローラ径と平行線の間の距離(mm)、θ:ローラタイヤ角度(°)、Nr:ローラの回転数(rpm)、Nt:テーブル回転数(rpm)、t:初期設定隙間長さ(mm)、Nr’:摩耗時のローラの回転数(rpm)としたとき、
- 請求項1に記載された竪型粉砕機であって、
前記ストッパ調整部は、スピンドルに設けたギアと、前記ギアと噛み合うピニオンギアを有するギヤードモータを有し、前記粉砕ローラの摩耗時に隙間を初期設定値tまで戻すためのストッパのスピンドル調整長さ(δ)に基づいて前記ギヤードモータを正逆回転させて前記スピンドルを進退移動することを特徴とする竪型粉砕機。
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