JP3873483B2 - 竪型粉砕機の運転制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、石炭を粉砕する際に竪型粉砕機に発生する振動を防止するための竪型粉砕機の運転制御方法に係り、特に、被粉砕物の量が大きく変化する負荷変動の大きな竪型粉砕機に発生する振動を防止するに有効な竪型粉砕機の運転制御方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来から、石炭、石灰石、セメント原料、スラグ、セメントクリンカ、セラミック及び化学品等の原料を粉砕する粉砕機として、回転テーブルと複数の粉砕ローラを備えた竪型粉砕機が広く用いられている。
図9に、従来の竪型粉砕機10を示す。竪型粉砕機10は、粉砕機の下部に設置された減速機2Bを介して電動機により駆動されて回転する回転テーブル2と、回転テーブルの上面である回転テーブル上面2Aの外周部を円周方向に等分する位置に配設された複数個の粉砕ローラ3とを備えている。
また、粉砕ローラ3は、下部ケーシング1Aの上部に軸7により回動自在に軸着された上部アーム6と該上部アーム6と一体に形成された下部アーム6Aとを介して油圧シリンダ8のピストンロッド9に連結されており、該油圧シリンダ8の作動により回転テーブル上面2Aの方向に押圧され、回転テーブル上面2Aに原料を介して従働し回転する。
【0003】
原料投入シュート13より回転テーブル2の上部から回転テーブル上面2Aの中央部に供給された原料は、回転テーブル上面2Aで回転させられ、また、回転による遠心力が発生することにより、回転テーブル上面2Aを渦巻き状の軌跡を描きながら回転テーブル上面2Aの外周部に移動する。そして、回転テーブル上面2Aの外周縁部にあるダムリング15により、回転テーブル上面2Aで原料が滞留することによって、所要の原料層の厚み(粉砕層厚と称することもある)となって、回転テーブル上面2Aと粉砕ローラ3に噛み込まれ粉砕される。
【0004】
このような構成の従来の竪型粉砕機10において、回転テーブル上面2Aと粉砕ローラ3に噛み込まれて粉砕された原料は、該回転テーブル上面2Aの外縁部に周設されたダムリング15を乗り越え、回転テーブル上面2Aの外周部と下部ケーシング1Aとの隙間である環状空間部30へと向かい、そこで、環状空間部30から吹き込まれる熱風(空気)などのガスにより吹き上げられて上部ケーシング1B内を上昇する。上部ケーシング1B内を上昇した粉砕原料はセパレータ14の羽根14Aによって分級され所定粒度の製品のみが排出口16より排出される。14Aは前記環状空間部30と連通した熱風などのガスの供給通路である。また、セパレータ14を通過できなかった原料は回転テーブル上面2Aに落下し、再度、粉砕される。
なお、回転テーブル上面2Aの外周部と下部ケーシング1Aとの隙間である環状空間部30へと向かい、そこで、環状空間部30から吹き込まれる熱風などのガスにより吹き上げられなかった大径の原料や異物(比重の大きい金物等)は環状空間部30より下部に落下して竪型粉砕機10の外部に取出される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、竪型粉砕機10に供給される被粉砕物の原料の量は、常に一定であるとは限らず、供給量が大きく変化する場合も多い。
一例として、石炭ボイラ用竪型粉砕機のボイラ運転パターンと粉砕原料供給パターンの関係を図8に示すが、ボイラの負荷の変動に応じて粉砕原料の供給量を大きく変化させる必要がある。
【0006】
また、石炭ボイラ用竪型粉砕機に限らず、竪型粉砕機10の起動時、停止時において粉砕原料の供給量を、大きく変化させる必要がある。
このように、竪型粉砕機10に供給される原料の量は大きく変化することがあり、竪型粉砕機10に供給される原料の量が、大きく変化すると、回転テーブル上面2Aの粉砕層厚も変化して厚くなったり、薄くなったりする。
【0007】
しかしながら、従来の竪型粉砕機10の運転制御方法においては、粉砕層厚が異なる場合においても、同じ粉砕力で粉砕ローラ3を回転テーブル上面2Aに押し付けて原料を噛み込ませて粉砕することが多く、前記のように粉砕層厚が異なる場合に、常に同じ粉砕力で原料を粉砕すると、竪型粉砕機10に振動を生じたり、また、粉砕品の粒度が大きく変わるなど問題が発生して運転に支障を生じる。
【0008】
特に、図8に運転パターンの一例を示すような石炭焚きボイラ用の竪型粉砕機10は、ボイラの負荷状況に応じて竪型粉砕機10で粉砕する原料の供給量を大きく変化させなければならず、投入する原料の量が、投入した原料の量を最大にしたときの40%程度になることもある。そのような場合は、回転テーブル2Aと粉砕ローラ3の間にある、原料の層厚が極端に薄くなるため、投入した原料の量を最大にした時と同じ粉砕圧力のままで原料を粉砕すると、大きな振動が生じ、振動値が特に大きい場合には、竪型粉砕機10に損傷を起こして、運転不能になる。
【0009】
従って、従来では、運転者の経験と感に頼って竪型粉砕機10の粉砕圧力を変更し、振動を防ぐこともあったが、振動が防げたとしても、粉砕後の原料の粒度が大きくなりすぎて所望の粒度の粉砕品を得ることができないといった問題が多く発生していた。
【0010】
また、上記のように運転者の経験と感に頼って粉砕圧力を変更すると、粉砕後の原料の粒度が大きくなり、環状空間部30から落下する原料量が増加することが多いが、環状空間部30から落下して取出された原料は、排石となるか、あるいは、再び竪型粉砕機10に投入されるため、環状空間部30から落下して取出される原料の量が増えると粉砕効率を悪くするという問題がある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明による運転制御方法は、
(1) 回転テーブルの外周上面に回転自在な粉砕ローラを配置し、回転テーブル上に供給した原料を粉砕ローラに所定の粉砕圧力を与えて回転テーブル上面と粉砕ローラ周面との間で原料を粉砕する竪型粉砕機の運転制御方法であって、該回転テーブル上に供給する原料の量が変化する場合において、該粉砕圧力を回転テーブル上面と粉砕ローラ周面との間の原料の層厚で除した値である比加圧力が、HGI(ハードグローブインデックス)が同程度の石炭を粉砕する際に同一かつ一定となるように、該粉砕ローラに与える粉砕力を変化させる構成とした。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図に基づいて本発明の詳細について説明する。図1〜図8は本発明に係る実施例を示し、図1は竪型粉砕機の運転制御方法のフローシート、図2は竪型粉砕機の縦断面図、図3は竪型粉砕機の粉砕層厚の測定機構の説明図であり、ストッパS1とストッパ受けS2が当接した場合の図、図4は竪型粉砕機の粉砕層厚の測定機構の説明図であり、ストッパS1とストッパ受けS2の間の離間距離がGであって粉砕層厚がTの場合の図、図5は比加圧力と振動の関係を示すグラフ、図6は比加圧力と粉砕品の粒度を関係を示すグラフ、図7は比加圧力と排石量の関係を示すグラフ、図8は石炭ボイラ用竪型粉砕機の運転パターンと粉砕原料の供給量の関係を示すグラフである。
【0017】
本実施例に用いられる竪型粉砕機1の構成について以下に説明する。
本実施例に用いられる竪型粉砕機1は、図2に示すように、従来と同様に粉砕機の下部に設置された減速機2Bを介して電動機により駆動されて回転する回転テーブル2と、回転テーブルの上面である回転テーブル上面2Aの外周部を円周方向に等分する位置に配設された複数個の粉砕ローラ3とを備えている。
【0018】
そして、粉砕ローラ3は下部ケーシング1Aの上部に軸7により回動自在に軸着された上部アーム6と該上部アーム6と一体に形成された下部アーム6Aとを介して油圧シリンダ8のピストンロッド9に連結されており、該油圧シリンダ8の作動により回転テーブル上面2Aの方向に押圧され、回転テーブル上面2Aに原料を介して従働し回転する。
【0019】
ここで、本発明の実施例の竪型粉砕機1において、粉砕ローラ3を軸着したローラアーム(スイングレバーと称することもある)は、上部アーム6と下部アーム6Aとからなり、下部アーム6Aの端部近傍の下端に、ストッパS1が取付けられており、ストッパS1の下方には、ストッパ受けS2が下部ケーシング1Aに取付けられて位置されている。そして、油圧シリンダ8の作動によって、下部アーム6Aの位置が下降してきた時、ストッパS1がストッパ受けS2に当接することによって下部アーム6Aの下降を停止させる。
【0020】
また、図4に示すように、ストッパS1がストッパ受けS2に当接することによって下部アーム6Aの下降を停止した時、回転テーブル上面2Aと粉砕ローラ3の間には隙間L0が生じるように、ストッパS1とストッパ受けS2の距離が調整されており、粉砕ローラ3と回転テーブル上面2Aが接触するメタルタッチを防止するようになっている。
なお、本実施例に用いたストッパS1は、下部アーム6Aに固設されて一体とされた取付座と、該取付座に螺入するようにして取付けられたスクリュ部とからなり、スクリュウ部を自在に回転させることによって、下部アーム6Aからスクリュウ部の先端部(ストッパ受けS2と当接する部分)までの距離を変えることができ、その結果、ストッパS1がストッパ受けS2に当接することによって生じる回転テーブル上面2Aと粉砕ローラ3との間の隙間L0の長さを自在に変更することができるので、セットスクリュと称されることもある。
【0021】
そして、このストッパS1とストッパ受けS2の離間距離Gを測定する変位計Sを下部ケーシング1A上の、ストッパ受けS2の近傍の、前記離間距離Gを測定することができる位置に配置して取付けている。
【0022】
また、図1に示すように、油圧シリンダ8のロッド側の油室にかかる緊張圧力P1を測定できるように圧力計Pが取付けられており、油圧シリンダ8の緊張圧力P1を常に測定できる構成となっている。
さらに、前記変位計Sで測定した測定値と圧力計Pで測定した測定値は、それぞれの変位計アンプSAと圧力計アンプPAで変換されて、粉砕ローラ圧力制御装置である制御盤100に送られるよう構成されている。制御盤100は、演算器と比較器と設定器等で構成されており、制御盤100は、前記の測定値を演算して、予め設定器に設定した設定値と比較して、その結果に基づいて、粉砕ローラ緊張圧用油圧ユニット110に制御信号を送り油圧シリンダ8に送る圧油の圧力を制御することができる構成となっている。
【0023】
前記のように構成された本実施例による竪型粉砕機1の作動を以下に説明する。図示されない原料ホッパーより竪型粉砕機1に供給した原料(本実施例では、石炭)を、竪型粉砕機1の回転テーブル上面2Aの中央上部に設けられた原料投入シュート13を通して、回転テーブル上面2Aの上方より回転テーブル上面2Aの中央部に投入する。投入された原料は、回転テーブル上面2Aで回転させられ、また、回転による遠心力が発生することにより、回転テーブル上面2Aを渦巻き状の軌跡を描きながら回転テーブル上面2Aの外周部に移動し、回転テーブル上面2Aと粉砕ローラ3に噛み込まれ粉砕される。
【0024】
回転テーブル上面2Aと粉砕ローラ3に噛み込まれ粉砕された原料は該回転テーブル上面2Aの外縁部まで達するが、回転テーブル上面2Aの外周縁部にはダムリング15が固定されて設けられているので、該回転テーブル2の外縁部に達した原料は、該回転テーブル上面2Aの外縁部に周設されたダムリング15にせき止められて、回転テーブル上面2Aに滞留し、回転テーブル上面2Aと粉砕ローラ3に噛み込まれ粉砕される。
【0025】
また、ダムリング15を乗り越えた原料は、回転テーブル2Aの外周面とケーシング内周面との間の環状空間部30に放り出されるが、この時、図示されないガス導入口より導入された熱ガス(本実施例では、原料に含まれる水分を取り除くため、熱ガスを使用した。)が、回転テーブル2Aの外周面とケーシング内周面との間の環状空間部30から、ミル内を上方に向かって流れており、環状空間部30に放り出された原料の中の、比較的小さな粒径の原料が熱ガスの気流によってミル内の上方へ運ばれ、回転テーブル2の上方にあるセパレータ14に達しそこで、分級されて、所望の粒度になった微粉だけがセパレータ14を通過して、竪型粉砕機1の上部取出口16より熱ガスとともに取出される。また、セパレータ14を通過できなかった原料は回転テーブル上面2Aに落下し、再度、粉砕される。
【0026】
そして、環状空間部30に放り出された原料であって該熱ガスの気流によって持上げられない大きな粒径の原料は、回転テーブル上面2Aの外周面とケーシング内周面との間の環状空間部30よりミル下方外部へ落下させ図示されていない下部取出口よりミル外部へ取出され排石とされる。
【0027】
以上のような運転をおこなう場合において、例えば、前述したような石炭焚きボイラ用の竪型粉砕機のように、ボイラの運転状況に合わせて竪型粉砕機1に供給する原料の量を大きく変化させる必要がある場合や、竪型粉砕機の起動停止時等に該供給する原料の量を大きく変化させる必要が発生する場合がある。
そのような場合において、供給される原料の量が大きく変化すると、回転テーブル2Aと粉砕ローラとの間の粉砕層厚Tも変化するが、該粉砕層厚Tが変化した場合においても粉砕力を変更せずにいると振動が発生して運転不能となったり、あるいは、粉砕品の粒度が大きくなり所望の粒度の製品を得られなくなったりして著しく効率が下がる。
【0028】
そこで、本発明者はこのような状況に鑑みて振動防止などについて鋭意研究した結果、該粉砕圧力を回転テーブル上面と粉砕ローラ周面との間の原料の粉砕層厚Tで除した値に着目し、この値を比加圧力と定義し、当該比加圧力Kがある一定の値となるように粉砕圧力を調整すれば振動が発生せず、また、粉砕品の粒度が変化せず所望の粒度の粉砕品を得られることを見出した。
すなわち、石炭焚きボイラ用の竪型粉砕機でボイラに供給する石炭を粉砕する場合は比加圧力がおおむね、0.1〜0.2(kgf/cm2)/mmの値になるように粉砕ローラの圧力を設定すれば、振動低減、粉砕品粒度、排石量の点で有効であり、粉砕効率が向上することを見出した。
【0029】
ここで、比加圧力Kは、粉砕ローラの中心径をD、粉砕ローラ幅をW、粉砕層厚をTとし、粉砕ローラ3を回転テーブル2Aに押し付ける力である粉砕力をFとすると、K=[F/(D×W)]/Tであり、K=F/(T×D×W)である。
【0030】
図5は石炭ボイラ用竪型粉砕機で石炭を粉砕した時の、比加圧力Kと、竪型粉砕機の振動値(ミル振動と称することもある)の関係を示すグラフである。
図5の中にあるHGI(ハードグローブインデックス)は被粉砕物である石炭の粉砕性評価指数であり、HGIが64、49、44の場合のデータをそれぞれ示した。
図5より、HGIが64の場合において、比加圧力が0.2(kgf/cm2)/mmを超えると、ミル振動が石炭ボイラ用竪型粉砕機の許容限界振動値(本実施例においては、30μm/P−P)を超えることがわかる。また、HGIが49の場合において、0.45(kgf/cm2)/mm付近の値において、HGIが44の場合において、0.55(kgf/cm2)/mm付近の値においてそれぞれ石炭ボイラ用竪型粉砕機の許容限界振動値を超えている。
【0031】
また、図6は石炭ボイラ用竪型粉砕機で石炭を粉砕した時の、比加圧力Kと、粉砕品の粒度(微粉粒度と称することもある)の関係を示すグラフであり、図7は石炭ボイラ用竪型粉砕機で石炭を粉砕した時の比加圧力Kと排石量の関係を示すグラフである。
図6、および、図7に示すデータはHGIが64の場合を示すが、図6に示すように比加圧力が0.1(kgf/cm2)/mm以下であると被粉砕物の粒度が大きくなってしまい、許容限界粒度(例えば、200メッシュ残20%)を超えてしまうため、石炭ボイラで燃焼させるには粒度が大きくなりすぎてしまうことがわかる。
【0032】
さらに、図7に示すように石炭ボイラ用竪型粉砕機においては、比加圧力が0.1(kgf/cm2)/mm以下の場合においては、微粉粒度が大きくなってしまうため、環状空間部30に落下する石炭の量(排石量)が増え、許容限界排石量(本実施例では、5kg/h)を超えてしまい、粉砕効率を悪化させてしまうことがわかる。
なお、図6、および、図7に示す粉砕品の粒度、排石量は、HGIの値により多少変化はするもののHGIが49の場合も、44の場合も略同値である。
【0033】
ここで、図5、図6、および、図7に用いた粉砕層厚Tの単位はmmであり、粉砕圧力Fの単位は、kgfであり、粉砕ローラの中心径D、および、粉砕ローラ幅Wの単位はcmである。
また、本実施例に用いた竪型粉砕機1のテーブル回転数は43RPMであり、粉砕ローラ径Dは132cmであり、ダムリング15の高さはテーブル上面2Aより約90mmであり、セパレータ14の回転数は55RPMである。
【0034】
このようなことから、石炭ボイラ用竪型粉砕機で石炭を粉砕する場合は、HGIが64程度の原料においては、比加圧力Kが、0.2(kgf/cm2)/mm以下の範囲で運転するのが好ましく、HGIが49程度の原料の場合においては、0.45(kgf/cm2)/mm以下の範囲で運転するのが好ましく、HGIが44程度の原料の場合においては、0.55(kgf/cm2)/mm以下の範囲で運転するのが好ましい。
さらに言えば、HGIが64程度の原料の場合においては、比加圧力Kが、0.1〜0.2(kgf/cm2)/mmの範囲で運転するのが特に好ましく、HGIが49程度の原料の場合においては、0.1〜0.45(kgf/cm2)/mmの範囲で運転するのが特に好ましく、HGIが44程度の原料の場合においては、0.1〜0.55(kgf/cm2)/mmの範囲で運転するのが特に好ましい。
【0035】
同様に、他の原料を粉砕する場合においても、ミル振動が竪型粉砕機の許容振動値内であって、所望の微粉粒度を得られる比加圧力を求めれば、竪型粉砕機に供給される原料の量が大きく変化したとしても、それに応じて、比加圧力Kが一定になるように粉砕力Fを変化させることによって、ミル振動が竪型粉砕機の許容振動値内あって、所望の微粉粒度の粉砕品を得ることができる。
【0036】
また、本実施例においては、コニカル形状の粉砕ローラを有する竪型粉砕機を使用したが、その他の粉砕ローラ形状(例えば、スフェリカル形状等)の竪型粉砕機を用いても、ミル振動が竪型粉砕機の許容振動値内であって、所望の微粉粒度を得られる比加圧力を求めれば、竪型粉砕機に供給される原料の量が大きく変化したとしても、それに応じて比加圧力Kが一定になるように粉砕力Fを変化させることによって、ミル振動が竪型粉砕機の許容振動値内であって、所望の微粉粒度の粉砕品を得ることができる。
【0037】
本実施例による制御方法について以下に説明する。
本実施例における粉砕力Fは、図1、図2、および、図3に示すように、油圧シリンダ8のロッドを引込力(油圧シリンダ力と称することもある)をF1とし、油圧シリンダ8から粉砕ローラ3までのレーバー比をR(本実施例においては、R=L3/L2である)とすると、F=F1×Rである。
そして、油圧シリンダ力F1(kgf)は、緊張油圧P1(kgf/cm2)、油圧シリンダロッド側有効面積U(cm2)とすると、F1=P1×Uである。
従って、F=P1×U×Rとなり、油圧シリンダロッド側有効面積Uとレーバー比Rは竪型粉砕機1により決まっている固定値なので、緊張油圧P1を調整することにより、粉砕力Fを自在に制御することができる。
【0038】
また、図4に示すように、粉砕ローラを軸着したローラアームの下部アーム6Aに取付けたストッパS1が、ストッパ受けS2に当接することによって下部アーム6Aの下降が停止した時、回転テーブル上面2Aと粉砕ローラ3の間には隙間L0が生じるように、ストッパS1とストッパ受けS2は調整されており、ストッパS1とストッパ受けS2の離間距離Gを測定する変位計Sを下部ケーシング1A上の、ストッパ受けS2の近傍に、前記離間距離Gを測定することができるように配置している。
【0039】
また、図3に示すように下部アーム6Aに取付けられたストッパS1から上部アーム6と下部アーム6Aの支点までの距離をL1とし、粉砕ローラ3の下端側周面の幅方向における中心位置から上部アーム6と下部アーム6Aの支点までの距離をL2とすると、粉砕層厚Tは、T=G×L2/L1+L0となる。
従って、竪型粉砕機が運転中においても、ストッパS1とストッパ受けS2の離間距離Gを変位計Sで測定することによって常に知ることができる。
【0040】
なお、本発明の実施例においては、粉砕層厚TをストッパS1とストッパ受けS2の離間距離Gによって測定し、粉砕ローラ3と回転テーブル上面2Aの接触を防止すると共に、粉砕層厚Tを測定できる構成として機能的なものとしたが、上部アーム6や下部アーム6Aや油圧シリンダ8のピストンロッド9の動きを、該動きを測定できる変位計(例えば、作動変圧器等)で測定し、レバー比等を勘案して、粉砕層厚Tを算出することもできる。
【0041】
例えば、他の実施例として、図4に示すように粉砕ローラ3と回転テーブル上面2Aとの間に隙間L0が生じている状態のときの、粉砕ローラ押圧用油圧シリンダのピストンロッド9のロッド先端部の位置を基準点とし、粉砕層厚Tのときにおける該ロッド先端部の該基準点よりの移動量をピストンロッドの移動量G2として図示していない変位計で測定し、粉砕層厚TをT=G2×L2/L3+L0として容易に算出する方法がある。
また、上部アーム6や下部アーム6A等についても、それぞれのレバー比を勘案して計算することによって同様に算出することができる。
なお、粉砕ローラの位置を直接測定して粉砕層厚Tを算出したり、あるいは、粉砕層厚Tを直接測定しても構わない。
【0042】
本実施例の運転制御方法においては、図1に示すように、変位計SによってストッパS1とストッパ受けS2の離間距離Gを測定し、測定結果を変位計アンプSAを介し変換して制御盤100に入力し、また、緊張油圧P1を圧力計Pによって測定し、圧力計アンプPAを介して変換して制御盤100に入力している。そして、制御盤100に内装された演算器100によって、離間距離Gの値から、T=G×L2/L1+L0の関係式により、粉砕層厚Tの値を算出し、また、緊張油圧P1より、F=P1×U×Rの関係式によってFの値を算出して、K=F/(T×D×W)として比加圧力Kを計算結果として得る。
【0043】
次に、計算結果としての比加圧力Kを、予め、設定した比加圧力Cと比較して、設定値Cより計算により算出した比加圧力Kの方が大きい場合においては、制御盤100より粉砕ローラ緊張圧用油圧ユニット110に減圧指令信号を出して、緊張油圧P1を小さくし、また、設定値Cより計算により算出した比加圧力Kが小さい場合においては、制御盤100より粉砕ローラ緊張圧用油圧ユニット110に加圧指令信号を出して、緊張油圧P1を大きくすることによって、また、設定値Cと計算により算出した比加圧力Kが等しい場合においては、制御盤100より粉砕ローラ緊張圧用油圧ユニット110に現状の油圧を維持する保圧指令信号を出す。
このことにより、粉砕層厚Tが変化した場合においても、比加圧力Kを一定に保つことができる。
【0044】
また、本実施例においては、制御の安定性を高めるため、設定値Cと計算により算出した比加圧力Kの比較をする場合、設定値Cと計算により算出した比加圧力KとCの差の絶対値が、一定値[例えば、0.01(kgf/cm2)/mm]以上の場合にのみ、K<C、あるいは、K>Cと判定するようにし、KとCの差の絶対値が一定値[0.01(kgf/cm2)/mm]未満の場合においては、K=Cと判定するようにプログラムした。
なお、設定値Cは、一点の値(例えば、C1)として設定しても良いが、良好な運転のできる比加圧力Kの範囲に幅があれば、一定の範囲の値(例えば、C1〜C2)として設定しても構わない。
【0045】
なお、本実施例は、K=F/(T×D×W)を演算器で算出し、これを設定器に設定した比加圧力の設定値Cと比較して制御するようにしたが、K=F/(T×D×W)は、F=P1×U×RからK=(P1/T)×[(U×R)/(D×W)]で表される。
また、油圧シリンダロッド側有効面積Uとレーバー比Rと粉砕ローラ中心径Dと粉砕ローラ幅Wは、竪型粉砕機のサイズ等により決まっている固定値であり、Z=[(U×R)/(D×W)]とすれば、Zは竪型粉砕機のサイズ等により決まっている定数である。
従って、K=F/(T×D×W)を演算器で算出する代わりに、KをZで除した値であるKPを、KP=P1/Tとして演算器で算出し、CをZで除した値であるCPを、設定器に設定する設定値CPとすれば、KPとCPを比較制御して、比加圧力Kを一定に保つ制御を行なうことができる。
【0046】
このように、本発明の実施例であれば、粉砕原料の供給量が変化した場合においても、上記のようにして比加圧力Kを常に一定に保つことができるので、竪型粉砕機10に振動が生じず、また、粉砕品の粒度も変化せず所望の粒度の製品が得られるので、効率よく粉砕することができる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の粉砕装置においては、請求項1の発明による竪型粉砕機の運転制御方法では、回転テーブル上に供給する原料の量が変化する場合において、回転テーブルに粉砕ローラを押圧する粉砕力を変化させて、回転テーブルに粉砕ローラを押圧する粉砕圧力を回転テーブル上面と粉砕ローラ周面との間の原料の層厚で除した値である比加圧力が、HGI(ハードグローブインデックス)が同程度の石炭を粉砕する際に同一かつ一定となるように制御することにより、竪型粉砕機に振動が生じることなく、所望の粒度の製品を効率よく得ることができる。特に、ボイラの負荷状況に応じて竪型粉砕機で粉砕する原料の供給量を大きく変化させる必要がある石炭焚きボイラ用の竪型粉砕機に本願発明を適用した場合、原料の供給量が変わることによって、回転テーブル上面と粉砕ローラ周面との間の原料の層厚が大きく変化したとしても、竪型粉砕機の竪型粉砕機に振動が生じることがないので、竪型粉砕機に損傷を起こして、運転不能になることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る竪型粉砕機の運転制御方法のフローシートである。
【図2】本発明の実施例に係る竪型粉砕機の縦断面図である。
【図3】本発明の実施例に係る竪型粉砕機の層厚測定機構を説明する説明図であり、ストッパS1とストッパ受けS2が当接した場合の図である。
【図4】本発明の実施例に係る竪型粉砕機の層厚測定機構を説明する説明図であり、ストッパS1とストッパ受けS2の間の離間距離がGであって粉砕層厚がTの場合の図である。
【図5】比加圧力と振動の関係を示すグラフである。
【図6】比加圧力と粉砕品の粒度の関係を示すグラフである。
【図7】比加圧力と排石量の関係を示すグラフである。
【図8】石炭ボイラ用竪型粉砕機の運転パターンと粉砕原料の供給量の関係を示すグラフである。
【図9】従来の竪型粉砕機の縦断面図である。
【符号の説明】
1 竪型粉砕機
2 回転テーブル
2A 回転テーブル上面
3 粉砕ローラ
6 上部アーム
6A 下部アーム
8 油圧シリンダ
9 ピストンロッド
100 制御盤(粉砕ローラ圧力制御装置)
110 粉砕ローラ緊張圧用油圧ユニット
S 変位計
S1 ストッパ
S2 ストッパ受け
SA 変位計アンプ(信号変換器)
P 圧力計
PA 圧力計アンプ(信号変換器)
Claims (1)
- 回転テーブルの外周上面に回転自在な粉砕ローラを配置し、回転テーブル上に供給した原料を粉砕ローラに所定の粉砕圧力を与えて回転テーブル上面と粉砕ローラ周面との間で原料を粉砕する竪型粉砕機の運転制御方法であって、該回転テーブル上に供給する原料の量が変化する場合において、該粉砕圧力を回転テーブル上面と粉砕ローラ周面との間の原料の層厚で除した値である比加圧力が、HGI(ハードグローブインデックス)が同程度の石炭を粉砕する際に同一かつ一定となるように、該粉砕ローラに与える粉砕力を変化させることを特徴とする竪型粉砕機の運転制御方法。
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-
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