この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
図1は、工作機械を示す斜視図である。図1中では、工作機械の外観をなすカバー体が透視されることにより、工作機械の内部構造が示されている。
図1を参照して、本実施の形態における工作機械10は、回転するワークに工具を接触させることによって、ワーク加工を行なう旋盤である。工作機械10には、停止するワークに回転する工具を接触させることによって、ワーク加工を行なうミーリング機能が備わっている。
工作機械10は、コンピュータによる数値制御によって、ワーク加工のための各種動作が自動化されたNC(Numerically Control)工作機械である。
まず、工作機械10の全体構造について説明する。工作機械10は、ベッド11と、主軸台21と、刃物台31と、自動工具交換装置18(後出の図2を参照)とを有する。
ベッド11は、主軸台21、刃物台31および自動工具交換装置18等を支持するためのベース部材であり、工場などの床面上に設置される。ベッド11は、鋳鉄などの金属から形成されている。
主軸台21は、ベッド11に取り付けられている。主軸台21は、主軸(不図示)を有する。主軸は、水平方向に延びるZ軸に平行な中心軸101を中心に回転駆動する。主軸の先端には、ワークを着脱可能に保持可能なチャック機構が設けられている。チャック機構に保持されたワークは、主軸の回転駆動に伴って、中心軸101を中心に回転する。
刃物台31は、カバー体(不図示)によって区画形成される加工エリア内に設けられている。刃物台31は、タレット型刃物台であり、Z軸に平行な旋回中心軸102(第1軸)を中心に旋回可能である。
刃物台31は、刃物台ベース32と、タレット33(基台)と、複数の工具保持部210とを有する。刃物台ベース32には、刃物台31を旋回駆動させるためのモータ等が搭載されている。刃物台ベース32は、後述する横送り台に取り付けられている。
タレット33は、刃物台ベース32から、Z軸方向において主軸台21に近接する方向に突出するように設けられている。タレット33は、旋回中心軸102の軸方向が厚み方向となる円盤形状を有する。タレット33は、旋回中心軸102を中心に旋回可能である。
複数の工具保持部210は、タレット33に設けられている。複数の工具保持部210は、タレット33の外周面に設けられている。複数の工具保持部210は、旋回中心軸102の周方向に並んで設けられている。各工具保持部210は、工具を保持可能なように構成されている。
刃物台31は、サドル16および横送り台(不図示)を介して、ベッド11に取り付けられている。サドル16は、各種の送り機構、案内機構およびサーボモータなどによって、Z軸方向に移動可能である。横送り台は、各種の送り機構、案内機構およびサーボモータなどによって、Z軸に直交し、鉛直方向に対して傾斜するX軸方向に移動可能である。サドル16および横送り台が、それぞれ、Z軸方向およびX軸方向に移動することによって、工具保持部210に保持された工具によるワークの加工位置をZ軸-X軸平面内で移動させることができる。
図2は、刃物台における工具交換位置を示す側面図である。図3は、刃物台におけるワーク加工位置を示す側面図である。
図1から図3を参照して、自動工具交換装置(ATC:Automatic Tool Changer)18は、工具を把持可能なダブルアーム等を有しており、加工エリア内の刃物台31と、加工エリア外の工具マガジン(不図示)との間で工具を交換可能なように構成されている。自動工具交換装置18は、刃物台31の機械前方側に設けられている。
タレット33は、各工具保持部210が、工具を交換するための工具交換位置Jと、ワークを加工するためのワーク加工位置Kとを含む複数の位置の間で移動するように動作する。タレット33は、各工具保持部210が、旋回中心軸102を中心に、360°を複数の工具保持部210の数(本実施の形態では、12個)で除した角度(本実施の形態では、30°)ずつずれた複数の位置を移動するように、旋回中心軸102を中心に旋回する。
図2に示されるように、自動工具交換装置18により刃物台31における工具を交換する場合、交換対象となる工具を保持する工具保持部210は、図中の工具交換位置Jに位置決めされる。図3に示されるように、刃物台31における工具によりワークWの加工を行なう場合、加工に用いられる工具を保持する工具保持部210は、図中のワーク加工位置Kに位置決めされる。
なお、上記の工具交換位置Jおよびワーク加工位置Kの各位置は、特に限定されるものではない。たとえば、自動工具交換装置18が機械後方側に設けられる場合、工具交換位置Jは、図3に示されるワーク加工位置Kから180°ずれた位置であってもよい。
続いて、刃物台31のタレット33側の構造について説明する。図4および図5は、刃物台を示す断面図である。図4および図5中には、後述する工具ホルダ121が取り外された状態の刃物台31が示されている。図4に示される断面は、図2中のIV-IV線上の矢視方向に見た工具交換位置Jにおける刃物台31の断面に対応している。図5に示される断面は、図3中のV-V線上の矢視方向に見たワーク加工位置Kにおける刃物台31の断面に対応している。
図4および図5を参照して、刃物台31(タレット33)は、リング部材34をさらに有する。リング部材34は、旋回中心軸102を中心とするリング形状を有する。リング部材34には、周回溝35が設けられている。周回溝35は、旋回中心軸102の半径方向内側に向けて凹み、旋回中心軸102を中心に周回する溝形状を有する。
刃物台31は、エア供給部41をさらに有する。エア供給部41は、図4に示される工具交換位置Jにおける刃物台31の断面位置に設けられている。エア供給部41には、第1エア流路43が設けられている。第1エア流路43には、エア供給源46からのエアが供給される。
リング部材34には、ノズル挿入孔44がさらに設けられている。ノズル挿入孔44は、周回溝35の溝底から、旋回中心軸102の半径方向内側に向けて凹む有底の孔である。エア供給部41は、エアノズル42を有する。エアノズル42には、貫通孔43hが設けられている。貫通孔43hは、第1エア流路43からのエアの吐出口をなしている。
刃物台31は、モータ36をさらに有する。モータ36は、図5に示されるワーク加工位置Kにおける刃物台31の断面位置に設けられている。モータ36は、タレット33に内蔵されている。
モータ36は、ロータ軸37を有する。ロータ軸37は、旋回中心軸102の半径方向に延びる中心軸106に沿って軸状に延びている。ロータ軸37は、中心軸106を中心に回転可能なように支持されている。ロータ軸37の先端部には、係合溝38が設けられている。係合溝38は、ロータ軸37の先端部の端面から凹み、一方向に延びる溝形状を有する。係合溝38は、旋回中心軸102の周方向において、周回溝35と一続きに設けられている。
なお、後で詳細に説明するが、エア供給部41は、刃物台31に装着される工具の自動交換時にエアパージを行なう。モータ36は、刃物台31に回転工具が装着された場合に、その回転工具に回転を出力する。
続いて、工具保持部210の構造について説明する。図6は、回転工具用の第1工具ホルダを示す斜視図である。図7は、固定工具用の第2工具ホルダを示す斜視図である。図8は、図6中の第1工具ホルダを示す断面図である。図9は、図7中の第2工具ホルダを示す断面図である。
図10は、第1工具ホルダが装着された刃物台(クランプ時)を示す断面図である。図11は、第1工具ホルダが装着された刃物台(ワーク加工時)を示す断面図である。図12は、第1工具ホルダが装着された刃物台(アンクランプ時)を示す断面図である。
図10中には、回転工具のクランプ時であって、図2中の工具交換位置Jにおける刃物台31の断面が示されている。図11中には、回転工具によるワーク加工時であって、図3中のワーク加工位置Kにおける刃物台31の断面が示されている。図12中には、回転工具のアンクランプ時であって、図2中の工具交換位置Jにおける刃物台31の断面が示されている。
図13は、第2工具ホルダが装着された刃物台(クランプ時)を示す断面図である。図13中には、代表的に、固定工具のクランプ時であって、図2中の工具交換位置Jにおける刃物台31の断面が示されている。
図4から図13を参照して、各工具保持部210は、ホルダ装着部50と、工具ホルダ121とを有する。ホルダ装着部50は、タレット33の外周面に設けられている。ホルダ装着部50には、ホルダ挿入孔58が設けられている。ホルダ挿入孔58は、旋回中心軸102の半径方向内側に向けて凹む凹形状をなしている。
工具ホルダ121は、図4中の矢印201に示される方向からホルダ挿入孔58に挿入されることによって、ホルダ装着部50に装着される。図6から図9中に示される中心軸106は、工具ホルダ121がホルダ装着部50に装着された場合に、図4および図5中に示される中心軸106と一致する。
以下の説明においては、ホルダ挿入孔58に対する工具ホルダ121の挿入方向の奥側方向を、「中心軸106の軸方向の後方」ともいい、ホルダ挿入孔58に対する工具ホルダ121の挿入方向の手前側方向を、「中心軸106の軸方向の前方」ともいう。
各工具保持部210は、クランプ機構部131を有する。クランプ機構部131は、油圧が供給されることによって、工具をクランプするクランプ状態と、工具をアンクランプするアンクランプ状態との間で動作する。
図6から図9を参照して、ホルダ装着部50に装着可能な工具ホルダ121として、第1工具ホルダ121Aおよび第2工具ホルダ121Bが準備されている。
第1工具ホルダ121Aは、回転工具を保持するための工具ホルダである。第2工具ホルダ121Bは、固定工具を保持するための工具ホルダである。ユーザは、工作機械10において実行するワーク加工の内容に合わせて、各ホルダ装着部50に、回転工具を保持するための第1工具ホルダ121Aを装着することも可能であるし、固定工具を保持するための第2工具ホルダ121Bを装着することも可能である。
なお、回転工具は、回転しながらワークを加工する工具であり、ドリル、エンドミルまたはリーマ等である。固定工具は、回転するワークを加工する工具であり、外径切削用バイト、内径切削用バイト、端面切削用バイトまたは突っ切りバイト等である。
クランプ機構部131は、クランプ動作部131Hを有する。クランプ動作部131Hは、工具ホルダ121に設けられている。クランプ動作部131Hは、クランプ動作することによって工具をクランプし、アンクランプ動作することによって工具をアンクランプする。
クランプ動作部131Hは、ドローバ132と、コレット136と、スライド部材134とを有する。
ドローバ132は、中心軸106の軸上に設けられている。ドローバ132は、中心軸106の軸方向の前後方向にスライド移動が可能なように設けられている。コレット136は、ドローバ132の前端部に取り付けられている。コレット136は、中心軸106の軸方向の前後方向におけるドローバ132のスライド移動に伴って、中心軸106を中心に拡径または縮径するように変形する。
ドローバ132には、挿入孔132hが設けられている。挿入孔132hは、中心軸106の軸上で延び、中心軸106の軸方向の後方を向いて開口している。スライド部材134は、中心軸106の軸方向においてドローバ132と並んで設けられている。スライド部材134は、挿入孔132hに挿入されている。
クランプ動作部131Hは、レバー135(係止部)をさらに有する。レバー135は、スライド部材134に設けられている。
レバー135は、中心軸106の半径方向外側に向けて延出するレバー形状を有する。クランプ動作部131Hは、複数のレバー135を有する。クランプ動作部131Hは、3つのレバー135を有する。複数のレバー135は、中心軸106の周方向に互いに間隔を設けて配置されている。複数のレバー135は、中心軸106の周方向において等間隔に設けられている(後出の図15を参照のこと)。
複数のレバー135に対して、中心軸106の軸方向の後方に向けた外力が加わると、スライド部材134が中心軸106の軸方向の後方にスライド移動する。このとき、スライド部材134とともにドローバ132が中心軸106の軸方向の後方にスライド移動することによって、コレット136が中心軸106を中心に拡径するように変形する。工具が、コレット136により把持され、中心軸106の軸方向の後方に引き込まれることによって、工具のクランプ状態が得られる。
複数のレバー135に対して、中心軸106の軸方向の前方に向けた外力が加わると、スライド部材134が中心軸106の軸方向の前方にスライド移動する。このとき、スライド部材134とともにドローバ132が中心軸106の軸方向の前方にスライド移動することによって、コレット136が中心軸106を中心に縮径するように変形する。コレット136による工具の把持が解除され、工具が中心軸106の軸方向の前方に押し出されることによって、工具のアンクランプ状態が得られる。
ドローバ132は、楔機構部133を有する。工具のクランプ時、スライド部材134が中心軸106の軸方向の後方にスライドすると、スライド部材134から楔機構部133に中心軸106の半径方向外側に向けた力が作用し、楔機構部133において楔効果が発生する。これにより、複数のレバー135に対する中心軸106の軸方向の後方に向けた力の付加が解消された場合であっても、工具のクランプ状態が保持される。
図6および図8を参照して、第1工具ホルダ121Aは、外側ハウジング141(第2ハウジング部材)と、内側ハウジング143と、第1軸受け142と、リヤメンバ151とをさらに有する。
内側ハウジング143は、中心軸106を中心とする円筒形状を有する。内側ハウジング143の内側には、クランプ動作部131Hが設けられている。内側ハウジング143には、工具挿入孔145が設けられている。工具挿入孔145は、中心軸106の軸方向の前方を向いて開口している。工具挿入孔145には、クランプ動作部131Hにおけるドローバ132およびコレット136が配置されている。工具挿入孔145には、クランプ機構部131によりクランプされる回転工具が挿入される。
内側ハウジング143には、複数の開口部144が設けられている。開口部144は、中心軸106の半径方向において内側ハウジング143を貫通している。複数の開口部144は、中心軸106を中心に複数のレバー135に対応する位相位置にそれぞれ設けられている。複数のレバー135は、それぞれ、複数の開口部144を通じて、内側ハウジング143の外部に延出している(後出の図15を参照のこと)。
外側ハウジング141は、中心軸106を中心とする円筒形状を有する。外側ハウジング141は、内側ハウジング143の外周上に設けられている。外側ハウジング141は、中心軸106の軸方向において、第1工具ホルダ121Aの前端部寄りの位置に設けられている。刃物台31に対する第1工具ホルダ121Aの装着時に、外側ハウジング141は、図4および図5に示される後出のフロントハウジング57に締結される。
第1軸受け142は、内側ハウジング143および外側ハウジング141の間に介挿されている。第1軸受け142は、中心軸106の軸方向において、第1工具ホルダ121Aの前端部寄りの位置に設けられている。クランプ動作部131Hは、内側ハウジング143を介して、第1軸受け142により中心軸106を中心に回転可能に支持されている。第1軸受け142は、アンギュラ玉軸受けである。
リヤメンバ151は、第1工具ホルダ121Aの後端部に設けられている。リヤメンバ151は、内側ハウジング143に締結されている。リヤメンバ151は、中心軸106の軸方向の後方を向いて開口する内側ハウジング143の開口を閉塞するように設けられている。
リヤメンバ151は、第1接続部152を有する。第1接続部152は、中心軸106の軸上で延び、中心軸106の軸方向の後方に向けて突出している。第1接続部152は、中心軸106に直交する平面により切断された場合に矩形断面を有するキー形状を有する。
第1接続部152には、第2エア流路153が設けられている。第2エア流路153は、中心軸106の軸上で延び、中心軸106の軸方向の後方を向いて開口している。第2エア流路153は、第1接続部152から、リヤメンバ151および内側ハウジング143の内部を順に延びて、工具挿入孔145を規定する内側ハウジング143の内周面に開口している。
図7および図9を参照して、第2工具ホルダ121Bは、ハウジング171と、リヤメンバ161とをさらに有する。
ハウジング171は、中心軸106を中心とする円筒形状を有する。ハウジング171の内側には、クランプ動作部131Hが設けられている。ハウジング171には、工具挿入孔175が設けられている。工具挿入孔175は、中心軸106の軸方向の前方を向いて開口している。工具挿入孔175には、クランプ動作部131Hにおけるドローバ132およびコレット136が配置されている。工具挿入孔175には、クランプ機構部131によりクランプされる固定工具が挿入される。
ハウジング171には、複数の開口部174が設けられている。複数の開口部174は、第1工具ホルダ121Aの内側ハウジング143における複数の開口部144と同様の形態により設けられている。
リヤメンバ161は、第2工具ホルダ121Bの後端部に設けられている。リヤメンバ161は、ハウジング171に締結されている。リヤメンバ161は、中心軸106の軸方向の後方を向いて開口するハウジング171の開口を閉塞するように設けられている。
リヤメンバ161は、第2接続部162を有する。第2接続部162は、中心軸106の軸上で延び、中心軸106の軸方向の後方に向けて突出している。第2接続部162は、中心軸106に直交する平面により切断された場合に円形断面を有するピン形状を有する。
第2接続部162には、第3エア流路163が設けられている。第3エア流路163は、中心軸106の軸上で延び、中心軸106の軸方向の後方を向いて開口している。第3エア流路163は、第2接続部162から、リヤメンバ161およびハウジング171の内部を延びて、工具挿入孔175を規定するハウジング171の内周面に開口している。
図6から図9を参照して、第1工具ホルダ121Aおよび第2工具ホルダ121Bは、略同一の外観をなしている。第1工具ホルダ121Aおよび第2工具ホルダ121Bは、全体として、中心軸106の軸方向の前方側から後方側に向かうほど直径が小さくなる外観をなしている。
図14は、図4中の2点鎖線XIVで囲まれた範囲のホルダ装着部を拡大して示す断面図である。
図4および図14を参照して、クランプ機構部131は、油圧シリンダ機構部131Gをさらに有する。油圧シリンダ機構部131Gは、ホルダ装着部50に設けられている。油圧シリンダ機構部131Gは、クランプ動作部131Hを動作させるための油圧シリンダを構成している。油圧シリンダ機構部131Gは、シリンダ52と、フロントハウジング57(第1ハウジング部材)とを有する。ホルダ装着部50は、ベアリングハウジング56をさらに有する。
シリンダ52は、円筒部53と、後壁部54とを有する。円筒部53は、中心軸106を中心とする円筒形状を有する。
円筒部53は、第1内周面53pと、第2内周面53qと、第3内周面53rとを有する。第1内周面53p、第2内周面53qおよび第3内周面53rは、挙げた順に、中心軸106の軸方向の前方側から後方側に向けて並んでいる。第2内周面53qは、第3内周面53rよりも大きい内径を有する。第1内周面53pは、第2内周面53qよりも大きい内径を有する。
後壁部54は、中心軸106の軸方向の後方における円筒部53の開口を塞ぐ壁形状をなしている。後壁部54には、連通孔55が設けられている。連通孔55は、中心軸106の軸方向において後壁部54を貫通する貫通孔からなる。連通孔55は、円筒部53の内外を連通させるように設けられている。
フロントハウジング57は、シリンダ52の前端部(円筒部53)に接続されている。フロントハウジング57は、第1内周面53pの内側に嵌め合わされている。ベアリングハウジング56は、シリンダ52の後端部(後壁部54)に接続されている。ベアリングハウジング56は、円筒部53の内側から連通孔55に嵌め合わされている。
ホルダ装着部50には、ホルダ挿入孔58が設けられている。ホルダ挿入孔58は、中心軸106の軸上において延び、中心軸106の軸方向の前方を向いて開口している。ホルダ挿入孔58は、フロントハウジング57に設けられている。ホルダ挿入孔58には、ホルダ装着部50に装着される工具ホルダ121(第1工具ホルダ121A,第2工具ホルダ121B)が挿入される。図4中の矢印201に示す方向が、ホルダ挿入孔58に対する工具ホルダ121(第1工具ホルダ121A,第2工具ホルダ121B)の挿入方向である。
ホルダ装着部50は、第2軸受け91をさらに有する。第2軸受け91は、ホルダ装着部50の後端部に設けられている。第2軸受け91は、ベアリングハウジング56の内側に嵌め合わされている。第2軸受け91は、円筒部53の内側に配置されている。
図10から図12を参照して、ホルダ装着部50には、回転工具を保持するための第1工具ホルダ121Aが装着されている。第1工具ホルダ121Aの外側ハウジング141は、ホルダ装着部50のフロントハウジング57の内側に嵌め合わされている。
リヤメンバ151は、第2軸受け91の内側に挿入されている。第2軸受け91は、第1軸受け142よりも、ホルダ挿入孔58に対する第1工具ホルダ121Aの挿入方向の奥側に配置されている。第2軸受け91は、中心軸106の軸方向において、タレット33と対向して設けられている。中心軸106を中心とする第2軸受け91の直径D2は、中心軸106を中心とする第1軸受け142の直径D1よりも小さい(図4および図8を参照のこと)。
第2軸受け91は、ニードル軸受けである。第2軸受け91は、外輪92と、複数のコロ93とを有する。
外輪92は、中心軸106を中心とする円筒形状を有する。外輪92は、ベアリングハウジング56の内側に嵌め合わされている。複数のコロ93は、外輪92によって支持されている。各コロ93は、中心軸106の軸方向に軸状に延びている。複数のコロ93は、中心軸106の周方向において互いに間隔を設けて配置されている。複数のコロ93は、第1工具ホルダ121Aと接触している。複数のコロ93は、リヤメンバ151の外周面と接触している。
第2軸受け91は、第1工具ホルダ121Aを中心軸106を中心に回転可能なように支持している。第1工具ホルダ121Aは、ホルダ挿入孔58に対する第1工具ホルダ121Aの挿入方向における手前側において、第1軸受け142により回転可能に支持され、第1工具ホルダ121Aの挿入方向における奥側において、第2軸受け91により回転可能に支持されている。
第1接続部152は、タレット33の旋回動作に伴って、周回溝35の内部を移動する。図10および図12中に示される工具交換位置Jにおける刃物台31の断面において、第1接続部152は、エア供給部41に接続される。第1接続部152は、ノズル挿入孔44内のエアノズル42と対向して位置決めされる。これにより、タレット33側における第1エア流路43と、第1工具ホルダ121A側における第2エア流路153とが連通する。
第1工具ホルダ121Aに保持される回転工具の自動交換時、エア供給源46からの空気が第1エア流路43および第2エア流路153を順に流れる。第2エア流路153を流れる空気は、工具挿入孔145に対して挿抜される回転工具と、工具挿入孔145を規定する内側ハウジング143の内周面との間の隙間に噴出される。
図11に示されるワーク加工位置Kにおける刃物台31の断面において、第1接続部152は、ロータ軸37の係合溝38に配置される。このとき、第1接続部152は、矩形断面を有するため、係合溝38と係合する。これにより、モータ36において出力される回転が、ロータ軸37からリヤメンバ151に伝達されるため、第1工具ホルダ121Aに保持された回転工具を回転させることができる。
図13を参照して、ホルダ装着部50には、固定工具を保持するための第2工具ホルダ121Bが装着されている。第2工具ホルダ121Bのハウジング171は、ホルダ装着部50のフロントハウジング57の内側に嵌め合わされている。
リヤメンバ161は、第2軸受け91の内側に挿入されている。第2工具ホルダ121Bは、ホルダ挿入孔58に対する第2工具ホルダ121Bの挿入方向における手前側において、フロントハウジング57により支持され、第2工具ホルダ121Bの挿入方向における奥側において、第2軸受け91により支持されている。
第2接続部162は、タレット33の旋回動作に伴って、周回溝35の内部を移動する。図13中に示される工具交換位置Jにおける刃物台31の断面において、第2接続部162は、ノズル挿入孔44内のエアノズル42と対向して位置決めされる。これにより、タレット33側における第1エア流路43と、第2工具ホルダ121B側における第3エア流路163とが連通する。
第2工具ホルダ121Bに保持される固定工具の自動交換時、エア供給源46からの空気が第1エア流路43および第3エア流路163を順に流れる。第3エア流路163を流れる空気は、工具挿入孔175に対して挿抜される固定工具と、工具挿入孔175を規定するハウジング171の内周面との間の隙間に噴出される。
第2工具ホルダ121Bがワーク加工位置Kに位置決めされた場合、第1工具ホルダ121Aがワーク加工位置Kに位置決めされた場合と同様に、第2接続部162は、ロータ軸37の係合溝38に配置される。このとき、第2接続部162は、円形断面を有するため、係合溝38と係合しない。これにより、仮にモータ36から回転が出力されることがあっても、その回転が第2工具ホルダ121Bに伝達されることはない。
図4および図14を参照して、油圧シリンダ機構部131Gは、第1ピストン61と、第2ピストン71とをさらに有する。
第1ピストン61および第2ピストン71は、中心軸106を中心とする円筒形状を有する。第1ピストン61および第2ピストン71は、シリンダ52に嵌め合わされている。第1ピストン61および第2ピストン71は、中心軸106(第3軸)の軸方向においてスライド移動が可能なように設けられている。
第1ピストン61および第2ピストン71は、中心軸106の軸方向に並んで設けられている。第2ピストン71は、第1ピストン61よりも、ホルダ挿入孔58に対する工具ホルダ121の挿入方向の奥側に配置されている。
第1ピストン61は、前段部65と、第1中段部66と、第2中段部67と、後段部68とを有する。
前段部65、第1中段部66、第2中段部67および後段部68は、挙げた順に、ホルダ挿入孔58に対する工具ホルダ121の挿入方向の手前側から奥側に向けて並んでいる。前段部65は、第1ピストン61の前端部に設けられている。後段部68は、第1ピストン61の後端部に設けられている。
前段部65、第1中段部66、第2中段部67および後段部68は、第1ピストン61の外周面に段差形状をなしている。第1中段部66は、第1ピストン61において最大の外径(直径)を有する。前段部65および第2中段部67は、第1中段部66よりも小さい外径(直径)を有する。後段部68は、前段部65および第2中段部67よりも小さい外径(直径)を有する。後段部68は、第1ピストン61において最小の外径(直径)を有する。
第1中段部66の外周面は、シリンダ52の第2内周面53qと摺接している。前段部65の外周面は、フロントハウジング57の内周面と摺接している。
第2ピストン71は、前段部72と、中段部73と、後段部74とを有する。前段部72、中段部73および後段部74は、挙げた順に、ホルダ挿入孔58に対する工具ホルダ121の挿入方向の手前側から奥側に向けて並んでいる。前段部72は、第2ピストン71の前端部に設けられている。後段部74は、第2ピストン71の後端部に設けられている。
前段部72、中段部73および後段部74は、第2ピストン71の内周面に段差形状をなしている。中段部73は、第2ピストン71において最小の内径を有する。後段部74は、中段部73よりも大きい内径を有する。前段部72は、後段部74よりも大きい内径を有する。前段部72は、第2ピストン71において最大の内径を有する。中段部73は、後段部74および前段部72から、中心軸106の半径方向内側に向けて突出する凸形状を有する。
第2ピストン71(前段部72、中段部73および後段部74)の外周面は、シリンダ52の第3内周面53rと摺接している。前段部72の内周面は、第1ピストン61における第2中段部67の外周面と摺接している。中段部73の内周面は、第1ピストン61における後段部68の外周面と摺接している。
油圧シリンダ機構部131Gは、係止ブロック76(係止部材)をさらに有する。係止ブロック76は、第1ピストン61に設けられている。係止ブロック76は、第1ピストン61の後端部(後段部68)に設けられている。係止ブロック76は、ボルト77により第1ピストン61に締結されている。係止ブロック76は、後段部68の外周面よりも中心軸106の半径方向外側に突出するように設けられている。その中心軸106の半径方向外側に突出する係止ブロック76の部分は、中心軸106の軸方向において、第1ピストン61の第2中段部67と間隔を設けて対向している。
第2ピストン71の中段部73は、中心軸106の軸方向において、中心軸106の半径方向外側に突出する係止ブロック76の部分と、第1ピストン61の第2中段部67との間に配置されている。
中心軸106の軸方向における係止ブロック76および第2中段部67の間の距離H1は、中心軸106の軸方向における中段部73の長さH2よりも大きい。このような構成により、第2ピストン71は、第1ピストン61に対して、中段部73が係止ブロック76および第2中段部67の間で移動する範囲においてスライド移動が可能である。係止ブロック76は、第1ピストン61および第2ピストン71の相互の抜け止めとして設けられている。
シリンダ52は、第1油圧室81と、第2油圧室82とを区画形成している。第1ピストン61および第2ピストン71は、第3油圧室83を区画形成している。
第1油圧室81、第2油圧室82および第3油圧室83の各油圧室は、バルブ220を介して、油圧供給源87に接続されている。バルブ220が動作することによって、油圧供給源87からの油圧が、第1油圧室81、第2油圧室82または第3油圧室83に供給される(図4および図5を参照のこと)。
第1油圧室81は、中心軸106の半径方向において、第1ピストン61(前段部65)と、シリンダ52(第2内周面53q)との間に形成されている。第1油圧室81は、中心軸106の軸方向において、フロントハウジング57と、第1ピストン61(第1中段部66)との間に形成されている。第1油圧室81に油圧が供給されると、第1ピストン61が、ホルダ挿入孔58に対する工具ホルダ121の挿入方向の手前側から奥側に向かってスライド移動する。
第2油圧室82は、中心軸106の半径方向において、第1ピストン61(第2中段部67)と、シリンダ52(第2内周面53q)との間に形成されている。第2油圧室82は、中心軸106の軸方向において、第1ピストン61(第1中段部66)と、シリンダ52(第2内周面53qと第3内周面53rとの段差部分)および第2ピストン71(前段部72)との間に形成されている。第1油圧室81および第2油圧室82は、中心軸106の軸方向において、第1中段部66を挟んで並んでいる。第2油圧室82に油圧が供給されると、第1ピストン61が、ホルダ挿入孔58に対する工具ホルダ121の挿入方向の奥側から手前側に向かってスライド移動する。
第3油圧室83は、中心軸106の半径方向において、第1ピストン61(後段部68)と、第2ピストン71(前段部72)との間に形成されている。第3油圧室83は、中心軸106の軸方向において、第1ピストン61(第2中段部67)と、第2ピストン71(中段部73)との間に形成されている。
第1ピストン61には、プランジャー挿入孔84が設けられている。プランジャー挿入孔84は、第1ピストン61の前端部(前段部65)の端面から中心軸106の軸方向に延び、第3油圧室83に連通している。
油圧シリンダ機構部131Gは、プランジャー85をさらに有する。プランジャー85は、中心軸106の軸方向において円筒状に延びている。プランジャー85は、プランジャー挿入孔84に挿入されている。プランジャー85は、プランジャー挿入孔84内において、中心軸106の軸方向にスライド移動が可能である。プランジャー85は、プランジャー挿入孔84から、ホルダ挿入孔58に対する工具ホルダ121の挿入方向の手前側に突出している。プランジャー85は、フロントハウジング57に接続されている。
油圧供給源87からの油圧は、プランジャー85およびプランジャー挿入孔84を通じて第3油圧室83に供給される。第3油圧室83に油圧が供給されると、第1ピストン61および第2ピストン71は、第2中段部67および中段部73が互いに離れる方向において、相互にスライド移動する。
第1油圧室81、第2油圧室82および第3油圧室83は、挙げた順に、ホルダ挿入孔58に対する工具ホルダ121の挿入方向の手前側から奥側に配置されている。
第3油圧室83は、第1油圧室81および第2油圧室82よりも、中心軸106の半径方向内側に設けられている。第3油圧室83の外周壁は、第2油圧室82の内周壁と、中心軸106を中心に同一の半径位置にある。第3油圧室83の外周壁は、第1油圧室81の内周壁より、中心軸106の半径方向内側の位置にある。
図15は、図11中のXV-XV線上の矢視方向に見た刃物台を示す断面図である。図11および図15を参照して、油圧シリンダ機構部131Gは、第1対向部63と、第2対向部64とをさらに有する。第1対向部63および第2対向部64は、第1ピストン61に設けられている。
第1対向部63および第2対向部64は、中心軸106の軸方向において互いに間隔を設けて対向している。第1対向部63は、第2対向部64よりも、ホルダ挿入孔58に対する第1工具ホルダ121Aの挿入方向の手前側に位置している。
第1ピストン61には、凹部62が設けられている。凹部62は、第1ピストン61の内周面から、中心軸106の半径方向外側に向けて窪む凹形状をなしている。凹部62は、中心軸106の周方向に延びる環状溝である。
第1ピストン61は、第1壁面62mと、第2壁面62nとを有する。第1壁面62mおよび第2壁面62nは、凹部62の壁面に対応している。第1壁面62mおよび第2壁面62nは、中心軸106に直交する平面からなる。第1壁面62mは、ホルダ挿入孔58に対する第1工具ホルダ121Aの挿入方向の奥側を向いている。第2壁面62nは、ホルダ挿入孔58に対する第1工具ホルダ121Aの挿入方向の手前側を向いている。第1壁面62mは、第1対向部63に対応している。第2壁面62nは、第2対向部64に対応している。
複数のレバー135は、第1対向部63(第1壁面62m)および第2対向部64(第2壁面62n)の間に配置されている。中心軸106の軸方向における第1対向部63(第1壁面62m)および第2対向部64(第2壁面62n)の間の距離は、中心軸106の軸方向におけるレバー135の長さ(厚み)よりも大きい。
図10から図12および図14を参照して、第1ピストン61は、レバー135および第1対向部63(第1壁面62m)が接触し、クランプ機構部131を、回転工具をクランプするクランプ状態に動作させる第1ピストン位置(図10に示される位置)と、レバー135および第2対向部64(第2壁面62n)が接触し、クランプ機構部131を、回転工具をアンクランプするアンクランプ状態に動作させる第2ピストン位置(図12に示される位置)との間で往復移動する。
第2ピストン71は、第1ピストン61を、中心軸106の軸方向において第1ピストン位置(図10に示される位置)および第2ピストン位置(図12に示される位置)の間に位置する第3ピストン位置(図11に示される位置)に移動させる。第1ピストン61が第3ピストン位置(図11に示される位置)に位置決めされた場合に、クランプ機構部131がクランプ状態に保持され、レバー135が第1対向部63(第1壁面62m)および第2対向部64(第2壁面62n)から離間する。
より具体的には、第1工具ホルダ121Aに対する回転工具の装着時、クランプ機構部131を、アンクランプ状態からクランプ状態に動作させる。この場合、図10に示されるように、油圧供給源87から第2油圧室82への油圧供給が停止され、油圧供給源87から第1油圧室81に油圧が供給される。第1油圧室81に油圧が供給されると、第1ピストン61が、中心軸106の軸方向の後方に向けてスライド移動する。
これにより、第1ピストン61は、ボルト77がシリンダ52の後壁部54に当接する中心軸106の軸方向の後方側のスライド端まで移動する。第2ピストン71も、第1ピストン61とともに、後段部74がシリンダ52の後壁部54に当接する中心軸106の軸方向の後方側のスライド端まで移動する。係止ブロック76と、第2ピストン71の中段部73とは、中心軸106の軸方向において互いに離れている。
第1ピストン61のスライド移動に伴って、第1対向部63(第1壁面62m)が複数のレバー135と接触する。第1対向部63(第1壁面62m)が複数のレバー135を中心軸106の軸方向の後方に向けて押すことによって、複数のレバー135に対して、中心軸106の軸方向の後方に向けた外力が加わる。これにより、クランプ機構部131が回転工具をクランプするクランプ状態が得られる。
回転工具をクランプするクランプ状態が得られた後、図11に示されるように、油圧供給源87から第1油圧室81への油圧供給が停止され、油圧供給源87から第3油圧室83に油圧が供給される。第3油圧室83に油圧が供給されると、第1ピストン61が、中心軸106の軸方向の前方に向けてスライド移動する。
これにより、第1ピストン61は、係止ブロック76が第2ピストン71の中段部73に当接する位置まで移動する。第2ピストン71は、後段部74がシリンダ52の後壁部54に当接する中心軸106の軸方向の後方側のスライド端に停止している。
第1ピストン61のスライド移動に伴って、第1対向部63(第1壁面62m)がレバー135から離れる。レバー135は、第1対向部63(第1壁面62m)および第2対向部64(第2壁面62n)と非接触となる。すなわち、本工程における第1ピストン61の移動長さは、図10に示される、中心軸106の軸方向におけるレバー135および第2対向部64(第2壁面62n)の隙間の長さよりも小さい。
クランプ機構部131は、既に説明した楔機構部133における楔効果によって回転工具のクランプ状態を保持している。第1工具ホルダ121Aに保持された回転工具を回転させつつ、ワークのミーリング加工を実施する。この際、複数のレバー135と、第1対向部63(第1壁面62m)および第2対向部64(第2壁面62n)とを接触させることなく、回転工具を回転させることができる。
第1工具ホルダ121Aからの回転工具の取り外し時、クランプ機構部131を、アンクランプ状態に動作させる。この場合、図12に示されるように、油圧供給源87から第3油圧室83への油圧供給が停止され、第2油圧室82に油圧が供給される。第2油圧室82に油圧が供給されると、第1ピストン61が、中心軸106の軸方向の前方に向けてスライド移動する。
これにより、第1ピストン61は、前段部65が外側ハウジング141およびフロントハウジング57に当接する中心軸106の軸方向の前方側のスライド端まで移動する。係止ブロック76が第2ピストン71(中段部73)と係止されることによって、第2ピストン71も第1ピストン61と一体となって移動する。
第1ピストン61のスライド移動に伴って、第2対向部64(第2壁面62n)が複数のレバー135と接触する。第2対向部64(第2壁面62n)がレバー135を中心軸106の軸方向の前方に向けて押すことによって、複数のレバー135に対して、中心軸106の軸方向の前方に向けた外力が加わる。これにより、クランプ機構部131が回転工具をアンクランプするアンクランプ状態が得られる。
なお、以上においては、ホルダ装着部50に第1工具ホルダ121Aが装着された場合のクランプ機構部131の動作を説明したが、ホルダ装着部50に第2工具ホルダ121Bが装着された場合のクランプ機構部131の動作も同様である。
図16は、図15中の刃物台において、ホルダ装着部から第1工具ホルダを着脱する工程を示す断面図である。
図12、図15および図16を参照して、第1ピストン61には、複数の切り欠き69がさらに設けられている。切り欠き69は、凹部62から中心軸106の軸方向に延びて開口している。切り欠き69は、中心軸106の軸方向の前方を向いて開口している。切り欠き69は、中心軸106の軸方向の後方において、凹部62の底壁に連なっている。
複数の切り欠き69は、中心軸106の周方向に互いに間隔を設けて配置されている。複数の切り欠き69は、中心軸106の周方向において、複数のレバー135と等ピッチで配置されている。中心軸106の周方向において互いに隣り合う切り欠き69間には、第1対向部63(第1壁面62m)を有する壁部70が設けられている。
ホルダ装着部50から第1工具ホルダ121Aを取り外す場合、まず、ホルダ装着部50および第1工具ホルダ121A間の締結を解除する。次に、油圧供給源87からの油圧供給をオフにする。次に、第1工具ホルダ121Aを中心軸106の周方向において回転可能とするために、第1工具ホルダ121Aを中心軸106の軸方向の手前側に所定ストロークだけ引き出す。
次に、第1工具ホルダ121Aを中心軸106を中心に60度回転させる。これにより、レバー135を、中心軸106の軸方向において壁部70と対向する位置から、切り欠き69と対向する位置に移動させる。次に、第1工具ホルダ121Aを中心軸106の軸方向の手前側に引き出すことによって、第1工具ホルダ121Aの取り外しが完了する。
ホルダ装着部50に第1工具ホルダ121Aを装着する場合、上記の工程を逆の順番で行なうとよい。ホルダ装着部50に対する第2工具ホルダ121Bの着脱については、ホルダ装着部50に対する第1工具ホルダ121Aの着脱と同様である。
なお、本実施の形態では、工具ホルダ121側のクランプ動作部131Hに係止部としてのレバー135が設けられ、ホルダ装着部50側の第1ピストン61に第1対向部63および第2対向部64が設けられる構成を説明したが、ホルダ装着側の第1ピストンに係止部が設けられ、工具ホルダ側のクランプ動作部に第1対向部および第2対向部が設けられる構成であってもよい。
また、本実施の形態では、工具保持部210が、工具を刃物台31の旋回中心軸102の半径方向外側に延出する姿勢により保持する構成について説明したが、これに限られず、工具保持部210は、工具を刃物台31の旋回中心軸102の軸方向に延出する姿勢により保持する構成であってもよい。
続いて、クランプ機構部131に対する油圧供給機構について説明する。図17は、図1中の刃物台を示す背面図である。
図17中では、図1中の刃物台ベース32からカバー体が取り除かれることにより、刃物台ベース32の内部構造が示されている。また、タレット33には、工具を旋回中心軸102の半径方向外側に延出する姿勢により保持する工具保持部210と、工具を旋回中心軸102の軸方向に延出する姿勢により保持する工具保持部210とが、旋回中心軸102の周方向において交互に並んで設けられている。
図17を参照して、各工具保持部210は、バルブ220をさらに有する。バルブ220は、クランプ機構部131に供給される油圧を制御する。バルブ220は、ホルダ装着部50における油圧シリンダ機構部131Gに供給される油圧を制御する。
バルブ220は、タレット33に設けられている。図1および図17に示されるように、バルブ220は、旋回中心軸102の軸方向における主軸台21の側から見て、タレット33の背面側に設けられている。バルブ220は、旋回中心軸102の軸方向において、ホルダ装着部50および刃物台ベース32の間に設けられている。
複数のバルブ220が、それぞれ、複数の工具保持部210に対応して設けられている。本実施の形態では、タレット33に12個の工具保持部210が設けられており、その12個の工具保持部210に対応して、それぞれ、12個のバルブ220が設けられている。
複数のバルブ220は、旋回中心軸102の周方向に並んで設けられている。複数のバルブ220は、旋回中心軸102の周方向において等間隔に配置されている。複数のバルブ220は、タレット33の旋回動作に伴って、複数の工具保持部210とともに旋回中心軸102を中心に移動する。
刃物台31は、アクチュエータ240をさらに有する。アクチュエータ240は、工具交換位置Jに位置決めされた工具保持部210と接続されることによって、工具交換位置Jに位置決めされた工具保持部210のバルブ220(以下、「バルブ220J」ともいう)を動作させる。
複数のバルブ220に対応して、1個のアクチュエータ240が設けられている。アクチュエータ240は、刃物台ベース32に取り付けられている。タレット33の旋回動作にかかわらず、旋回中心軸102の周方向におけるアクチュエータ240の位置は、固定されている。アクチュエータ240は、旋回中心軸102の周方向において、工具交換位置Jに対応する位置に設けられている。アクチュエータ240は、旋回中心軸102の軸方向においてバルブ220Jと対向する位置に設けられている。バルブ220Jは、旋回中心軸102の軸方向において、工具交換位置Jに位置決めされた工具保持部210のホルダ装着部50と、アクチュエータ240との間に配置されている。
アクチュエータ240は、油圧シリンダ機構を構成する、シリンダ本体241と、ピストン246(246A,246B)とを有する。シリンダ本体241は、金属製のブロック体からなる。ピストン246は、シリンダ本体241に嵌装されている。ピストン246は、旋回中心軸102の軸方向に延びている。シリンダ本体241に対して油圧が供給されることによって、ピストン246は、旋回中心軸102に軸方向に沿ってスライド動作する。
ピストン246Aおよびピストン246Bは、互いに間隔を設けて平行に延びている。ピストン246Aおよびピストン246Bは、互いに独立して、旋回中心軸102に軸方向に沿ってスライド動作する。
なお、本発明においてバルブを動作させるためのアクチュエータの種類は、特に限定されず、たとえば、空圧シリンダ機構であってもよいし、モータであってもよい。
図18は、図17中のバルブ(クランプ時)を示す断面図である。図19は、図17中のバルブ(アンクランプ時)を示す断面図である。図18および図19中には、工具交換位置Jに位置決めされた工具保持部210のバルブ220(バルブ220J)が示されている。
図20は、図17中のバルブ(ワーク加工時)を示す断面図である。図20中には、ワーク加工位置Kに位置決めされた工具保持部210のバルブ220が示されている。なお、バルブ220は、工具交換位置Jを除く位置において、図20中に示される断面形状を有する。
図18から図20を参照して、バルブ220は、バルブ本体221と、弁体231(231A,231B)と、付勢部材233(233A,233B)とを有する。
バルブ本体221は、金属製のブロック体からなる。バルブ本体221は、ホルダ装着部50に接続されている。バルブ本体221には、挿入孔232(232A,232B)が設けられている。挿入孔232は、旋回中心軸102と平行な中心軸250を中心に延びている。
挿入孔232には、弁体231が挿入されている。弁体231は、旋回中心軸102と平行な中心軸250(第2軸)を中心に延びるスプールから構成されている。弁体231は、中心軸250の軸方向に沿ってスライド可能に設けられている。弁体231は、中心軸250の軸方向に往復移動することによって、クランプ機構部131に対する油圧回路を切り替える。
図18および図19に示されるように、ピストン246は、中心軸250の軸方向において、工具交換位置Jに位置決めされた工具保持部210のバルブ220Jと対向して配置されている。ピストン246は、中心軸250の軸上において、バルブ220Jの弁体231と当接している。ピストン246は、その伸張動作に伴って、中心軸250の軸方向に沿った一方向にバルブ220Jの弁体231を押進可能である。
挿入孔232には、付勢部材233がさらに挿入されている。付勢部材233は、中心軸250の軸方向において弁体231と並んで設けられている。付勢部材233は、中心軸250の軸方向において、弁体231を挟んでピストン246の反対側に配置されている。付勢部材233は、中心軸250を中心に配置されるコイルバネからなる。付勢部材233は、中心軸250の軸方向において圧縮変形されている。付勢部材233は、弁体231に対して、中心軸250の軸方向に沿った、ピストン246による弁体231の押進方向とは逆方向の付勢力を作用させている。
挿入孔232Aおよび挿入孔232Bは、それぞれ、中心軸250Aおよび中心軸250Bを中心に延びている。挿入孔232Aおよび挿入孔232Bには、それぞれ、弁体231Aおよび弁体231Bが挿入されている。弁体231Aおよび弁体231Bは、それぞれ、中心軸250Aおよび中心軸250Bを中心に延びている。弁体231Aおよび弁体231Bは、互いに間隔を設けて平行に延びている。図18および図19に示されるように、工具交換位置Jに位置決めされた工具保持部210のバルブ220Jにおいて、弁体231Aは、中心軸250Aの軸上において、ピストン246Aと対向し、弁体231Bは、中心軸250Bの軸上において、ピストン246Bと対向している。挿入孔232Aおよび挿入孔232Bには、それぞれ、付勢部材233Aおよび付勢部材233Bが挿入されている。
バルブ本体221には、分岐(a)ポート、Pポート、UCLポート、T(a)ポートおよび分岐(b)ポートと、T(b)ポート、中間ポート、P’ポート、CLポートおよびT(c)ポートとが設けられている。
分岐(a)ポート、Pポート、UCLポート、T(a)ポートおよび分岐(b)ポートは、挙げた順に中心軸250Aの軸方向に並び、弁体231Aの外周上に連通している。弁体231Aが中心軸250Aの軸方向に往復移動することによって、分岐(a)ポート、Pポート、UCLポート、T(a)ポートおよび分岐(b)ポートのうちの隣接するポート同士が、選択的に、弁体231Aの外周上で連通される。
T(b)ポート、中間ポート、P’ポート、CLポートおよびT(c)ポートは、挙げた順に中心軸250Bの軸方向に並び、弁体231Bの外周上に連通している。弁体231Bが中心軸250Bの軸方向に往復移動することによって、T(b)ポート、中間ポート、P’ポート、CLポートおよびT(c)ポートのうちの隣接するポート同士が、選択的に、弁体231Bの外周上で連通される。
分岐(a)ポートは、バルブ本体221の内部で、P’ポートと繋がっている。Pポートには、図4および図5に示される油圧供給源87から油(作動油)が供給されている。UCLポートは、図4および図5に示される第2油圧室82と繋がっている。T(a)ポートは、油を回収するためのオイルタンク(不図示)と繋がっている。分岐(b)ポートは、バルブ本体221の内部で、CLポートと繋がっている。
T(b)ポートは、油を回収するためのオイルタンク(不図示)と繋がっている。中間ポートは、図4および図5に示される第3油圧室83と繋がっている。CLポートは、図4および図5に示される第1油圧室81と繋がっている。T(c)ポートは、油を回収するためのオイルタンク(不図示)と繋がっている。
図10および図18を参照して、工具交換位置Jに位置決めされた工具保持部210において、クランプ機構部131をクランプ状態に動作させる場合、ピストン246Bを伸張動作させる。
このとき、アクチュエータ240は、工具交換位置Jに位置決めされた工具保持部210と接続される。ピストン246Bは、付勢部材233Bの付勢力に抗しながら、弁体231Bを中心軸250Bの軸方向に沿った一方向に押進する。弁体231Aは、付勢部材233Aの付勢力を受けることによって、中心軸250Aの軸方向に沿った逆方向の端部に位置決めされている。
分岐(a)ポートおよびPポートは、互いに連通している。UCLポートおよびT(a)ポートは、互いに連通している。P’ポートおよびCLポートは、互いに連通している。
Pポートに供給された油は、分岐(a)ポート、P’ポートおよびCLポートを順に通って、第1油圧室81に供給される。油圧供給により第1油圧室81の容積が拡張すると、第1ピストン61が、中心軸106の軸方向の後方に向けてスライド移動する。第1ピストン61のスライド動作に伴って、第2油圧室82の容積が縮小する。第2油圧室82から排出された油は、UCLポートおよびT(a)ポートを順に通って、オイルタンク(不図示)に回収される。
図11および図20を参照して、工具交換位置Jに位置決めされた工具保持部210において、クランプ機構部131のクランプ状態が得られた後、ピストン246Bを短縮動作させる。弁体231Aは、付勢部材233Aの付勢力を受けることによって、中心軸250Aの軸方向に沿った逆方向の端部に位置決めされている。弁体231Bは、付勢部材233Bの付勢力を受けることによって、中心軸250Bの軸方向に沿った逆方向の端部に位置決めされている。
分岐(a)ポートおよびPポートは、互いに連通している。中間ポートおよびP’ポートは、互いに連通している。CLポートおよびT(c)ポートは、互いに連通している。
Pポートに供給された油は、分岐(a)ポート、P’ポートおよび中間ポートを順に通って、第3油圧室83に供給される。油圧供給により第3油圧室83の容積が拡張すると、第1ピストン61が、中心軸106の軸方向の前方に向けてスライド移動する。第1ピストン61のスライド動作に伴って、第1油圧室81の容積が縮小する。第1油圧室81から排出された油は、CLポートおよびT(c)ポートを順に通って、オイルタンク(不図示)に回収される。
バルブ220は、工具保持部210が位置決めされる複数の位置のうちの工具交換位置Jを除く位置において、第1ピストン61が図11中に示される第3ピストン位置に位置決めされるように、クランプ機構部131に供給される油圧を制御する。
すなわち、本実施の形態においては、工具保持部210が工具交換位置Jを離れた場合に、バルブ220の弁体231は、付勢部材233の付勢力を受けることによって、中心軸250の軸方向に沿った逆方向の端部に保持されている。これにより、第3油圧室83に対して油圧が継続的に供給されるため、第1ピストン61が図11中に示される第3ピストン位置に位置決めされた状態が維持される。結果、ワーク加工位置Kに位置決めされた工具保持部210において、複数のレバー135と、第1対向部63および第2対向部64とを接触させることなく、回転工具を回転させることができる。
図12および図19を参照して、工具交換位置Jに位置決めされた工具保持部210において、クランプ機構部131をアンクランプ状態に動作させる場合、ピストン246Aおよびピストン246Bを伸張動作させる。ピストン246Aは、付勢部材233Aの付勢力に抗しながら、弁体231Aを中心軸250Aの軸方向に沿った一方向に押進する。ピストン246Bは、付勢部材233Bの付勢力に抗しながら、弁体231Bを中心軸250Bの軸方向に沿った一方向に押進する。
PポートおよびUCLポートは、互いに連通している。T(a)ポートおよび分岐(b)ポートは、互いに連通している。P’ポートおよびCLポートは、互いに連通している。
Pポートに供給された油は、UCLポートを通って、第2油圧室82に供給される。油圧供給により第2油圧室82の容積が拡張すると、第1ピストン61が、中心軸106の軸方向の前方に向けてスライド移動する。第1ピストン61のスライド動作に伴って、第1油圧室81の容積が縮小する。第1油圧室81から排出された油は、CLポート、分岐(b)ポートおよびT(a)ポートを順に通って、オイルタンク(不図示)に回収される。
本実施の形態における刃物台31においては、複数の工具保持部210の各々にバルブ220を設けるとともに、工具交換位置Jに対応する位置にアクチュエータ240を設け、そのアクチュエータ240によって工具交換位置Jに位置決めされた工具保持部210のバルブ220Jを動作させている。このような構成により、各工具保持部210のバルブ220毎にアクチュエータを設ける必要がないため、クランプ機構部131を動作させるための油圧供給機構を簡易に構成することができる。
また、ピストン246は、刃物台31の旋回中心軸102に直交する中心軸250の軸方向において、工具交換位置Jに位置決めされた工具保持部210のバルブ220Jと対向して配置され、中心軸250の軸方向に沿った一方向にバルブ220Jの弁体231を押進可能である。このような構成により、刃物台31の旋回動作に伴って、ピストン246と、工具交換位置Jに位置決めされた工具保持部210のバルブ220の弁体231とが対向する構成を、容易に実現することができる。
なお、本実施の形態では、回転工具を保持するための第1工具ホルダ121Aと、固定工具を保持するための第2工具ホルダ121Bとを選択的に装着可能な工具保持部210について説明したが、本発明における工具保持部は、固定工具のみを保持可能なものであってもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。