JP2524189B2 - タレット回転工具刃物台 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、旋盤のタレット回転工具刃物台に関す
る。更に詳しくは、バイトと回転工具とを同一の刃物台
に取り付けて、旋削とドリル加工、エンドミル加工など
ができるタレット回転工具刃物台に関する。

［従来技術］ タレット旋盤は、外周に複数の工具を装着したタレッ
ト刃物台を備えている。タレット刃物台には、旋削用の
バイトの他にドリル加工、エンドミル加工を旋削加工の
後続けて加工できるように、ドリル、エンドミル、タッ
プなどの回転工具を備えたタレット回転工具刃物台が知
られている。また、ワークをチャックした主軸自体がNC
制御で送りをかけられるＣ軸制御機能を有している。こ
のため、ワークの外周位置などにミーリング加工ができ
る。旋削加工とミーリング加工とが集約できて仕掛かり
時間を短くできるものである。

［発明が解決しようとする課題］ しかし、前記タレット回転工具刃物台は、回転工具を
取り付ける位置には旋削用のバイトは取り付けられな
い。このため、タレット回転工具刃物台に取り付けられ
る工具の数が限定されてしまう。

この発明の目的は、タレット回転工具刃物台の回転工
具用のツールポストにも旋削用のバイトが取り付けられ
るタレット回転工具刃物台に関する。

この発明の他の目的は、タレット回転工具刃物台へ回
転駆動力を伝達するための動力伝達機構を提供すること
にある。

［前記課題を解決するための手段］ 第１の手段は、 a.旋削工具と回転工具とを装着したタレット回転工具刃
物台において、回転割出しされるタレット本体（１）
と、 b.該タレット本体（１）の外周等間隔位置に固定して設
けた複数の旋削工具ポスト（３）と、 c.該旋削工具ポスト（３）に設けた工具挿入穴と、 d.前記タレット本体（１）の外周等間隔位置に回転自在
に設けられ、前記旋削工具ポスト（３）の工具挿入穴と
同一形状で同一軸線方向に工具挿入穴（35）を有する複
数の回転工具ポスト（２）と、 e.該回転工具ポスト（２）の工具挿入穴（35）に挿入し
て固定した前記旋削工具を前記タレット本体（１）に角
度位置決めするために、前記複数の回転工具ポスト
（２）に対応して前記タレット本体（１）に各々設けら
れた位置決め手段と f.を有することを特徴とするタレット回転工具刃物台で
ある。

第２の手段は、旋削工具と回転工具とを装着したタレ
ット回転工具刃物台において、 回転割出しされるタレット本体（１）と、 該タレット本体（１）に回転自在に設けた回転工具ポ
スト（２）と、 該回転工具ポスト（２）に設けられ前記回転工具ポス
ト（２）を駆動するためのツールポスト駆動歯車（31）
と、 前記ツールポスト駆動歯車（31）と選択的に噛み合う
駆動軸駆動歯車（70）が設けられた出力軸（４）と、 前記駆動軸駆動歯車（70）を回転駆動するための回転
駆動手段（9,10,13,30）と、 前記回転工具ポスト（２）の軸線方向に直交する方向
に向いた回転工具を有する回転ツールユニット（100）
を前記回転工具ポスト（２）に挿入して固定し前記タレ
ット本体（１）に角度位置決めしたとき、前記ツールポ
スト駆動歯車（31）と前記駆動軸駆動歯車（70）とのか
み合いを離脱させ前記回転ツールユニット（100）に駆
動軸駆動歯車（70）の回転を伝達する係脱手段（４、7
2、73）と を有することを特徴とするタレット回転工具刃物台であ
る。

第３の手段は、前記回転駆動手段（9,10,13,30）は、
前記駆動軸駆動歯車（70）と噛み合い、かつ回転駆動す
るためのピニオン歯車（30）を有し、 該ピニオン歯車（30）にかみ合って回転しないように
固定するためのロック歯車（91）と、 前記タレット本体が所定角度位置に割出しされたとき
に前記ピニオン歯車（30）と前記ロック歯車（91）のか
み合いを外すための係脱手段と を有することを特徴とするタレット回転工具刃物台であ
る。

［作 用］ タレット本体を割出して所望の割出位置に回転工具を
割出す。回転工具をロックしているロック歯車のかみ合
いを外して、回転工具駆動用の駆動軸をせり出して出力
軸を回して、この出力軸により回転工具ユニットの回転
工具を回転させる。旋削工具を回転工具ポストに取り付
けると、タレット本体に旋削工具は角度位置決めされて
固定される。このとき、ロック歯車は旋削工具の回転を
止める。

［実施例］ 以下、この発明の実施例を図面にしたがって説明す
る。第１図に示すものは、ドラム形と呼ばれるタレット
回転工具刃物台の正面図である。タレット本体１は、円
板状の形をしている。タレット本体１の外周等間隔位置
には、５本の回転工具ポスト２が取り付けられている。
この回転工具ポスト２は、旋削工具も取り付けできる。
この回転工具ポスト２の間には、旋削工具ポスト３が設
けてある。回転工具ポスト２の内周側には、回転駆動力
を出力するユニット駆動軸４が設けてある。ユニット駆
動軸４は、回転工具ユニット100ヘクラッチを介して回
転駆動力が出力される。

回転工具ポスト２は、フランジ68を有していて、この
フランジ68には、空気噴出孔６が設けてある。空気噴出
孔６は、フランジ68の端面66の切粉を吹き飛ばすための
ものである。ユニット軸４は、Ｘ軸線方向すなわちタレ
ット回転工具刃物台の半径方向に向いている回転工具を
駆動するときに使用する出力軸である。第２図（ａ）、
（ｂ）は、第１図II−IIで切断して展開した断面展開図
である。タレット本体１は、軸受５に支持されて回転自
在に割出しされる。タレット回転工具刃物台を支持する
機体７には、入力軸10が軸受11により回転自在に支持し
てある。

入力軸10は、駆動モータ（図示せず）で回転駆動され
る軸である。入力軸10の一端には、入力軸10を回転駆動
するための歯付プーリ９が固定されている。入力軸10の
他端の中心には、摺動孔12が設けてある。この摺動孔12
内には、駆動軸13の一端がキー14で軸線方向に摺動自在
に挿入してある。駆動軸13の他端の前端面には、突起15
が形成してある。突起15は、入力軸20に設けた凹溝29に
係合して入力軸20を回転駆動するものである。

すなわち、突起15と凹溝29とは、クラッチを形成して
いる。駆動軸13の中間には、ドッグ16が設けてある。ド
ッグ16は駆動軸13の移動を検知するものである。この検
知は、リミットスイッチ（図示せず）で検出される。駆
動軸13の中間位置は、二つの軸受17により回転自在に支
持されている。軸受17は、ピストン18内に支持されてい
る。ピストン18は、シリンダ孔19内に摺動自在に設けて
ある。シリンダ孔19内に油圧を導入すると、ピストン18
は、シリンダ孔19内を摺動する。

この摺動により、駆動軸13の先端の突起15が凹溝29に
挿入される。この状態で入力軸10が回転駆動されると、
入力軸20は回転駆動される。入力軸20には、歯車30が固
定されている。歯車30は、歯車70にかみ合っている。歯
車70は、歯車31にかみ合っている。歯車31は、スリーブ
33にキー32によりキー結合されている。スリーブ33は、
軸受34により回転自在に支持している。スリーブ33の先
端には、テーパの工具挿入孔35が形成してある。

スリーブ33の中心には、中心管軸36が軸線方向に移動
自在に設けられている。中心管軸36の後端には、ナット
37がねじ込んである。ナット37は、スリーブ33に設けた
摺動孔38内に摺動自在に設けてある。ナット37の前端面
とスリーブ33の間には、皿バネ39が介在してある。した
がって、皿バネ39は、ナット37、中心管軸36を常に後方
に引っ張っている。

中心管軸36の中心孔には、ロック軸40が軸線方向に移
動自在に設けてある。ロック軸40の先端は、大径になっ
ていてその大径部分の外周にボール係止用の半円形の切
欠き41が設けてある。中心管軸36の先端には、ボール孔
42が半径方向に明けてある。ボール孔42内には、ボール
43が挿入されている。旋削工具50は、旋削用の工具であ
る。旋削工具50の後端には、テーパーシャンク51が形成
してある。テーパーシャンク51は、工具挿入孔35に挿入
されて固定される。

テーパーシャンク51内には、固定穴52が形成してあ
る。固定穴52には、ボール挿入溝53が形成してある。旋
削工具50の把持部60の側端面61は、タレット本体１に固
定したフランジ68の端面66に密着して固定してある。フ
ランジ68の端面にはキー67が固定してある。スリーブ33
の前端面49は、端面66と同一平面であり、この平面と側
端面61はクランプ時に密着する。このため、旋削工具50
は、強固にクラップされる。また、スリーブ33の前端に
は、キー69が固定してある。このキー67、キー69は、旋
削工具50に設けたキー溝に挿入してある。したがって、
旋削工具50は、常に所定の角度位置に位置決め固定され
るし、所定角度位置に固定する必要がある。このため、
後述するロック歯車91が設けてある。

歯車30には、同時に歯車70がかみ合っている。歯車70
は、ユニット駆動軸４に固定してある。ユニット駆動軸
４の中央部には、開放した孔が明けてあり、その中にコ
イルスプリング73が挿入してある。コイルスプリング73
は、ユニット駆動軸４を常に前方に押している。ユニッ
ト駆動軸４の先端には、突起72が設けてある。ユニット
駆動軸４と平行に検知軸80が軸線方向に摺動自在に設け
てある。検知軸80の中央部には、大径部81が形成してあ
る。

大径部81とタレット本体１との間には、コイルスプリ
ング82が介在している。コイルスプリング82は、常に前
方に検知棒80を押し出している。検知軸80には、連結部
材83の一端が固定されている。連結部材83の他端には、
連動軸84が固定されている。連動軸84は、検知軸80と連
動して移動する。連動軸84の一端には、近接スイッチな
どの検出手段が配置してある。結局、検知軸80と連動軸
84とは、回転駆動ユニット100が取り付けてあるか否か
を検出することになる（詳細は後記する。）。

歯車30には、ロック用のロック歯車91がかみ合ってい
る。ロック歯車91は、軸90に固定されている。軸90は、
タレット本体１に回転不能にキー止めされている。軸90
とタレット本体１との間にスプリング92が介在してあ
り、ロック歯車91を常に歯車30とかみ合う位置に押して
いる。歯車30とロック歯車91とかみ合うと歯車30は回転
しないことになる。したがって、ラック歯91は、歯車30
とかみ合っている歯車70と、歯車70にかみ合っている歯
車31の回転を一定角度位置に止める。

軸90と同軸線位置には、ロック解除用のピストンロッ
ド95が配置してある。ピストンロッド95は、油圧シリン
ダ96内に挿入されている。油圧シリンダ96内に油圧が導
入されるとピストンロッド95が移動し、軸90の端部を押
してロック歯車91を歯車30から外して歯車30の回転をフ
リーにする。

動 作 旋削工具の取り付け 回転工具ポスト２の工具挿入孔35内に旋削工具50を固
定するには、次のように行う。旋削工具50の挿入固定の
とき、ロック軸40は、後方からプッシャー（図示せず）
に押されているため、ボール43は切欠き41内に挿入され
ている。プッシャーでロック棒40を押すのを停止する
と、皿バネ39がナット37を後方に移動させる。この移動
で中心管軸36が移動する。ボール43は、切欠き41から離
脱してボール挿入溝53に挿入され旋削工具50をロックす
る。

旋削工具50の端面61は、フランジ68の端面66に位置決
めされる。キー67、キー69は、旋削工具50のキー溝に入
り旋削工具50の角度位置決めがなされる。このとき、歯
車30は、ロック歯車91とかみ合っているので、歯車70、
歯車31は回転しない。

回転工具ユニットの取り付け タレット刃物台の半径方向に向いた回転工具を有する
回転工具ユニット100を、フランジ68の端面66に密着し
て固定して取り付ける。この回転工具ユニット100の位
置決めは、同時にユニット駆動軸４の突起72を押して、
歯車70と歯車31とのかみ合いを外す。ユニット駆動軸４
の回転は、突起72を経由して回転工具ユニット100内の
歯車機構（図示せず）を駆動して回転工具を回す。回転
工具ユニット100をフランジ68の端面66に取り付けると
きは、検知軸80を常に押している。

検知軸80を押しているので、連結部材83、連動軸84を
移動させる。この移動で回転工具ユニット100がタレッ
ト回転工具刃物台に取り付けられているか否か判定す
る。この判定により、入力軸10の回転のON,OFFを制御す
る。回転工具ユニット100の回転工具の回転軸線は、タ
レット本体１の半径方向に向いているので、工作物の外
周から内周に向けて加工できる。

工具挿入孔35には、主軸軸線方向、すなわち工具挿入
孔35と同一軸線方向に回転工具を取り付けることもでき
る。このとき、キー67はキー溝には挿入されない。

回転駆動力の入力 回転工具ユニット100の回転工具への回転駆動力は、
次のように伝達される。所定角度位置にタレット本体１
が割出されると、シリンダ孔19に油圧が導入されピスト
ン18が移動する。駆動軸13が移動して突起15が凹溝29内
に挿入される。この移動と同時にピストンロッド95が移
動して、軸90を押してロック歯車91を移動させて、歯車
30とロック歯車91のかみ合いを外す。歯車30は、自由に
回転できる状態となる。歯車30の回転は、歯車70を回し
て、回転工具ユニット100内の歯車を駆動し、回転工具
を回す。このとき、歯車70と、歯車31はかみ合っていな
いので歯車31は回転駆動されることはない。

［発明の効果］ 以上、詳記したようにこの発明は、回転工具と旋削工
具を同一のツールポストに強固に固定できる。また、回
転工具の取付方向によって動力の入力軸を選択できるの
で動力の取り出しに無理がない。更に、ロック歯車を設
けたので常に一定の角度位置に旋削工具を固定できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はタレット回転工具歯車台の正面図、第２図
（ａ）、（ｂ）は第１図のII−II断面展開図である。 １……タレット本体、２……回転工具ポスト、３……旋
削工具ポスト、４……ユニット駆動軸、13……駆動軸、
80……検知軸、100……回転工具ユニット

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】a.旋削工具と回転工具とを装着したタレッ
   ト回転工具刃物台において、 回転割出しされるタレット本体（１）と、 b.該タレット本体（１）の外周等間隔位置に固定して設
   けた複数の旋削工具ポスト（３）と、 c.該旋削工具ポスト（３）に設けた工具挿入穴と、 d.前記タレット本体（１）の外周等間隔位置に回転自在
   に設けられ、前記旋削工具ポスト（３）の工具挿入穴と
   同一形状で同一軸線方向に工具挿入穴（35）を有する複
   数の回転工具ポスト（２）と、 e.該回転工具ポスト（２）の工具挿入穴（35）に挿入し
   て固定した前記旋削工具を前記タレット本体（１）に角
   度位置決めするために、前記複数の回転工具ポスト
   （２）に対応して前記タレット本体（１）に各々設けら
   れた位置決め手段と f.を有することを特徴とするタレット回転工具刃物台。
2. 【請求項２】旋削工具と回転工具とを装着したタレット
   回転工具刃物台において、 回転割出しされるタレット本体（１）と、 該タレット本体（１）に回転自在に設けた回転工具ポス
   ト（２）と、 該回転工具ポスト（２）に設けられ前記回転工具ポスト
   （２）を駆動するためのツールポスト駆動歯車（31）
   と、 前記ツールポスト駆動歯車（31）と選択的に噛み合う駆
   動軸駆動歯車（70）が設けられた出力軸（４）と、 前記駆動軸駆動歯車（70）を回転駆動するための回転駆
   動手段（9,10,13,30）と、 前記回転工具ポスト（２）の軸線方向に直交する方向に
   向いた回転工具を有する回転ツールユニット（100）を
   前記回転工具ポスト（２）に挿入して固定し前記タレッ
   ト本体（１）に角度位置決めしたとき、前記ツールポス
   ト駆動歯車（31）と前記駆動軸駆動歯車（70）とのかみ
   合いを離脱させ前記回転ツールユニット（100）に駆動
   軸駆動歯車（70）の回転を伝達する係脱手段（４、72、
   73）と を有することを特徴とするタレット回転工具刃物台。
3. 【請求項３】請求項２において、 前記回転駆動手段（9,10,13,30）は、前記駆動軸駆動歯
   車（70）と噛み合い、かつ回転駆動するためのピニオン
   歯車（30）を有し、 該ピニオン歯車（30）にかみ合って回転しないように固
   定するためのロック歯車（91）と、 前記タレット本体が所定角度位置に割出しされたときに
   前記ピニオン歯車（30）と前記ロック歯車（91）のかみ
   合いを外すための係脱手段と を有することを特徴とするタレット回転工具刃物台。