この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
図1は、この発明の実施の形態における刃物台を備える工作機械を示す斜視図である。図中では、工作機械の外観をなすカバー体が透視されることにより、工作機械の内部構造が示されている。図2は、図1中の刃物台を示す斜視図である。
図1および図2を参照して、工作機械100は、回転するワークに工具を接触させることによって、ワーク加工を行なう旋盤である。工作機械100には、停止するワークに回転する工具を接触させることによって、ワーク加工を行なうミーリング機能が備わっている。
工作機械100は、コンピュータによる数値制御によって、ワーク加工のための各種動作が自動化されたNC(Numerically Control)工作機械である。
本明細書においては、工作機械100の左右方向(幅方向)に平行で、水平方向に延びる軸を「Z軸」といい、工作機械100の前後方向(奥行き方向)に平行で、水平方向に延びる軸を「Y軸」といい、上下方向に延びる軸を「X軸」という。
なお、工作機械100と、工作機械100に備わる刃物台50との構造を説明する便宜上、上記のとおりX軸、Y軸およびZ軸を設定したが、これらは、旋盤で定義されるX軸、Y軸およびZ軸と必ずしも一致するものではない。
まず、工作機械100の構造について説明する。工作機械100は、ベッド11と、第1主軸台21と、第2主軸台26と、刃物台50と、マガジン110と、自動搬送装置130とを有する。
ベッド11は、第1主軸台21、第2主軸台26、刃物台50、マガジン110および自動搬送装置130等を支持するためのベース部材であり、工場などの床面に設置されている。ベッド11は、鋳鉄などの金属から形成されている。
第1主軸台21および第2主軸台26は、ベッド11に取り付けられている。第1主軸台21および第2主軸台26の各主軸台は、ワーク主軸(不図示)を有する。ワーク主軸の先端には、ワークを着脱可能に保持するチャックが設けられている。第1主軸台21のワーク主軸は、Z軸に平行な回転中心軸106を中心に回転駆動する。第2主軸台26のワーク主軸は、Z軸に平行な回転中心軸107を中心に回転駆動する。第1主軸台21および第2主軸台26は、回転中心軸106および回転中心軸107が一直線上に延びるように、Z軸方向において対向して配置されている。
刃物台50は、加工エリア内に設けられている。加工エリアは、ワークの加工が行なわれる空間であり、ワーク加工に伴う切屑または切削油等の異物が加工エリアの外側に漏出しないようにカバー体により略密閉されている。刃物台50は、複数の工具を保持可能なように構成されている。刃物台50は、保持する複数の工具を旋回中心軸101の周方向に移動させて、加工に用いる工具を割り出すタレット型刃物台である。旋回中心軸101は、Z軸方向に延びている。
刃物台50は、ベース部51を有する。ベース部51は、全体として、旋回中心軸101の軸方向が厚み方向となる円盤形状の外観をなしている。ベース部51は、刃物台ベース58に取り付けられている。
ベース部51は、旋回部63と、複数の装着部52とを有する。旋回部63は、全体として、旋回中心軸101を中心とする円筒形状をなしている。旋回部63は、図示しないモータ64からの回転が入力されることによって、旋回中心軸101を中心に旋回可能である。
複数の装着部52は、旋回中心軸101の周方向に並んで旋回部63に設けられている。複数の装着部52は、旋回部63と一体に設けられている。複数の装着部52は、旋回部63の外周面に設けられている。複数の装着部52は、旋回中心軸101の周方向において、等間隔に設けられている。複数の装着部52は、旋回部63とともに、旋回中心軸101を中心に旋回可能である。本実施の形態では、ベース部51が、12個の装着部52を有する。
刃物台50は、複数の工具ホルダ61をさらに有する。工具ホルダ61は、刃物台50において工具を保持するための装置である。複数の工具ホルダ61は、複数の装着部52にそれぞれ着脱可能に装着されている。複数の工具ホルダ61は、ボルトを用いて、複数の装着部52にそれぞれ締結されている。
複数の工具ホルダ61は、旋回中心軸101の周方向に並んで設けられている。工具ホルダ61は、工具を保持可能に構成されている。複数の工具ホルダ61は、工具の挿入方向に関して分類した場合に、旋回中心軸101の軸方向に工具が挿入される第1工具ホルダ61Sと、旋回中心軸101の半径方向に工具が挿入される第2工具ホルダ61Tとを含む。
工具ホルダ61は、油圧により動作し、工具をクランプするためのクランプ機構79(後出の図6を参照)を有する。工具ホルダ61により保持可能な工具のシャンク規格は、たとえば、CAPTOである。工具ホルダ61は、ベース部51の側から回転が入力されることにより、工具を回転させる回転機構部を内蔵してもよい。
なお、ユーザが、特定箇所の装着部52に工具ホルダ61を装着する必要がないと判断する場合がある。この場合、装着部52には、工具ホルダ61に替わって、図2に示される蓋体62が装着される。
旋回部63が旋回中心軸101を中心に旋回することによって、工具ホルダ61に保持された工具が旋回中心軸101の周方向に移動する。工具ホルダ61は、第1主軸台21または第2主軸台26のワーク主軸に保持されたワークを加工する場合、ワーク加工位置Wに位置決めされる。工具ホルダ61は、後述する自動搬送装置130と工具交換する場合、刃物台側工具交換位置Kに位置決めされる。ワーク加工位置Wおよび刃物台側工具交換位置Kは、旋回中心軸101の周方向において、互いに隣り合って位置している。
刃物台ベース58は、サドル57および横送り台(不図示)を介して、ベッド11により支持されている。サドル57は、各種の送り機構、案内機構およびサーボモータなどによって、Z軸方向に移動可能である。横送り台(不図示)は、各種の送り機構、案内機構およびサーボモータなどによって、Z軸に直交し、X軸およびY軸に対して傾斜する軸方向(「Xa軸方向」という)に移動可能である。サドル57および横送り台(不図示)が、それぞれ、Z軸方向およびXa軸方向に移動することによって、工具ホルダ61に保持された工具によるワークの加工位置をZ軸-Xa軸平面内で移動させることができる。
マガジン110は、加工エリア外に設けられている。マガジン110は、刃物台50からZ軸方向に離れた位置に設けられている。刃物台50は、Z軸方向において、第1主軸台21およびマガジン110の間に配置されている。
マガジン110は、加工目的に応じて工具を順次、加工エリアに供給するため、複数の工具を格納する装置である。マガジン110には、刃物台50における工具ホルダ61に装着されるドリル、エンドミルもしくはフライス等の回転工具、または、外径切削工具、内径切削工具もしくは溝入れ工具等の固定工具が格納されている。
マガジン110は、支持プレート111と、複数の工具ポット120と、モータ(不図示)とを有する。支持プレート111は、Y軸に平行な旋回中心軸103を中心とする円盤形状を有する。複数の工具ポット120は、支持プレート111に取り付けられている。複数の工具ポット120は、旋回中心軸103を中心とする円周経路に沿って一定間隔で並んでいる。
支持プレート111は、モータ(不図示)により、旋回中心軸103を中心にして旋回可能である。支持プレート111が旋回中心軸103を中心に旋回することによって、工具ポット120が旋回中心軸103の周方向に搬送される。工具ポット120は、後述する自動工具交換装置31と工具交換する場合、マガジン側工具交換位置に配置される。
自動搬送装置130は、工具を搬送するための装置である。自動搬送装置130は、支持フレーム14により支持されている。支持フレーム14は、第2主軸台26の上方でZ軸方向に延びている。自動搬送装置130は、Z軸方向に移動することによって、加工エリア内における刃物台50と、加工エリア外におけるマガジン110との間で工具を搬送する。
自動搬送装置130は、第1基台15と、第2基台16とを有する。第1基台15は、支持フレーム14に対して、各種の送り機構、案内機構およびサーボモータなどにより、Z軸方向に移動可能である。第2基台16は、第1基台15に対して、各種の送り機構、案内機構およびサーボモータなどにより、Y軸方向に移動可能である。このような構成により、自動搬送装置130は、Y軸方向およびZ軸方向の各方向に移動可能に構成されている。
自動搬送装置130は、工具交換部140をさらに有する。工具交換部140は、刃物台50において刃物台側工具交換位置Kに位置決めされた工具ホルダ61と工具交換し、マガジン110においてマガジン側工具交換位置に位置決めされた工具ポット120と工具交換する。
工具交換部140は、把持部146を有する。把持部146は、工具を着脱可能に把持する。把持部146は、工具を把持可能な爪形状を有する。工具交換部140は、把持部146として、一対の把持部146を有し、同時に2つの工具を保持可能なダブルアームタイプである。工具交換部140は、同時に1つの工具を保持可能なシングルアームタイプであってもよい。
なお、工具交換部140は、工具ホルダ61に対する工具の挿入方向に合わせて把持部146の姿勢を変化させるために、X軸方向に延びる旋回中心軸を中心にして旋回可能に構成されている。
続いて、刃物台50のより具体的な構造について説明する。図3は、図1中の刃物台を示す別の斜視図である。図3中では、刃物台50を透視することにより、刃物台50の内部配管の一部が示されている。図4は、図3中の2点鎖線IVで囲まれた範囲の刃物台(装着部)を示す斜視図である。図5は、図1中の刃物台を示す断面図である。
図3から図5を参照して、刃物台50は、ハウジング65と、モータ64とをさらに有する。ハウジング65は、旋回部63の内側で固定されている。旋回部63が旋回中心軸101を中心に旋回可能な回転側であるのに対して、ハウジング65は固定側である。
モータ64は、工具ホルダ61に保持された工具を回転させるためのミーリングモータである。モータ64は、旋回部63の内側に配置されている。モータ64は、複数の装着部52に対して、旋回中心軸101の半径方向内側に配置されている。モータ64のステータは、ハウジング65に固定されている。モータ64のロータは、ハウジング65により、回転中心軸102を中心に回転可能なように支持されている。モータ64の回転中心軸102は、旋回中心軸101と90°の角度をなして交わっている。
刃物台50は、軸部69と、蓋部66とをさらに有する。軸部69は、旋回中心軸101を中心とする軸(シャフト)形状を有する。軸部69は、ハウジング65に接続されている。軸部69は、旋回部63(装着部52)から旋回中心軸101の軸方向に突出した位置に設けられている。
蓋部66は、旋回中心軸101の軸方向における旋回部63の端部に接続されている。蓋部66は、旋回中心軸101の軸方向を向いて開口する旋回部63の端部に接続されている。蓋部66は、旋回中心軸101の軸方向において、ハウジング65およびモータ64と対向して設けられている。蓋部66は、旋回部63ととともに旋回中心軸101を中心に旋回可能である。
蓋部66は、軸部69の外周上に嵌め合わされている。蓋部66は、旋回中心軸101の半径方向において軸部69および旋回部63の間に生じている開口部分を閉塞するように設けられている。蓋部66は、軸部69に対して摺動しながら旋回中心軸101を中心に旋回する。
蓋部66は、ハウジング部67と、テーパ部68とを有する。ハウジング部67は、全体として、旋回中心軸101を中心とする円筒形状を有する。ハウジング部67は、旋回中心軸101の軸方向において、旋回部63から離れた位置に設けられている。旋回部63の旋回に伴って、ハウジング部67の内周面67tが、軸部69の外周面69uと摺接する。
テーパ部68は、ハウジング部67から、旋回中心軸101の軸方向であって、旋回部63に近づく方向に突出している。テーパ部68は、旋回中心軸101を中心とする筒形状を有する。テーパ部68は、旋回中心軸101の軸方向に対して傾斜する周面を有するテーパ形状を有する。旋回中心軸101を中心とするテーパ部68の直径は、旋回中心軸101の軸方向においてハウジング部67から旋回部63に近づくほど大きくなる。小径側のテーパ部68の端部が、ハウジング部67に連なり、大径側のテーパ部68の端部が、旋回部63に接続されている。
装着部52は、着座面53を有する。工具ホルダ61は、着座面53に着座する。装着部52に装着された工具ホルダ61は、着座面53と面接触する。着座面53は、平面からなる。着座面53は、複数の装着部52の数に対応する正多角形(本実施の形態では、正十二角形)の角柱が有する各側面に対応している。
図4に示されるように、装着部52には、第1孔211と、第2孔212と、第3孔213と、第4孔214と、第5孔215と、第6孔216とが設けられている。第1孔211、第2孔212、第3孔213、第4孔214、第5孔215および第6孔216は、着座面53に開口している。第1孔211、第2孔212、第3孔213、第4孔214、第5孔215および第6孔216の各孔は、円形の開口形状を有する。
第1孔211には、着座面53に対する工具ホルダ61(蓋体62)の着座を確認するための空気が流通する。装着部52に対する工具ホルダ61(蓋体62)の装着時、着座面53における第1孔211の開口部211aが工具ホルダ61によって閉塞される。このため、第1孔211における空気流れが規制される。一方、装着部52に対する工具ホルダ61(蓋体62)の未装着時、着座面53における第1孔211の開口部211aが大気に開放される。このため、第1孔211における空気流れが許容される。
第2孔212には、工具ホルダ61に内蔵されるクランプ機構79をクランプ動作させる作動油が流通する。第3孔213には、工具ホルダ61に内蔵されるクランプ機構79をアンクランプ動作させる作動油が流通する。第2孔212および第3孔213の各孔には、作動油の噴き出しを低減するための弁体312が挿入されている。なお、弁体312については、後で詳細に説明する。
第4孔214および第5孔215には、クーラントと、テーパエアブロー用の空気とのいずれか一方が選択的に流通する。第4孔214および第5孔215を通じて工具ホルダ61に供給されたクーラントは、工具ホルダ61に保持された工具の内部を通って、工具の刃先から吐出される。第4孔214および第5孔215を通じて工具ホルダ61に供給された空気は、工具のシャンク部を受ける工具ホルダ61のテーパ面に向けて噴射される。
第6孔216には、図1中の刃物台側工具交換位置Kおよびワーク加工位置Wに位置決めされた工具ホルダ61において、工具のクランプを確認するための空気が流通する。第6孔を通じて工具ホルダ61に供給された空気は、工具ホルダ61のホルダ端面に開口する開口部から吐出される。工具ホルダ61における工具のクランプ時、その開口部が工具のシャンク部の端面によって閉塞される。
装着部52には、第7孔217がさらに設けられている。第7孔217は、着座面53に開口している。第7孔217は、円形の開口形状を有する。第7孔217の開口面積は、第1孔211、第2孔212、第3孔213、第4孔214、第5孔215および第6孔216の各孔の開口面積よりも大きい。第1孔211、第2孔212、第3孔213、第4孔214、第5孔215および第6孔216は、第7孔217の周りで、第7孔217の円周方向に並んで開口している。
図5に示されるように、複数の工具ホルダ61は、工具回転の可否で分類した場合に、回転工具を保持可能な第3工具ホルダ61Uと、固定工具を保持可能な第4工具ホルダ61Vとを含む。第3工具ホルダ61Uは、クラッチ軸41を有する。第7孔217には、クラッチ軸41が挿入されている。第3工具ホルダ61Uが図1中のワーク加工位置Wに位置決めされている時、クラッチ軸41の先端部が、モータ64のロータ軸に連結される。
続いて、着座面53に対する工具ホルダ61の着座を確認するための機構について、さらに詳細に説明する。
図3および図5に示されるように、蓋部66には、複数の第1放射状孔240が設けられている。複数の第1放射状孔240は、旋回中心軸101を中心に放射状に延びている。蓋部66を旋回中心軸101の軸方向に見た場合に、複数の第1放射状孔240は、旋回中心軸101の周方向に互いに間隔を開けながら、旋回中心軸101の半径方向に延びている。
複数の第1放射状孔240は、第1区間部241と、第2区間部242とを含む。第1区間部241は、複数の第1放射状孔240における空気流れの上流側に位置し、第2区間部242は、複数の第1放射状孔240における空気流れの下流側に位置している。第1区間部241は、ハウジング部67に設けられている。第2区間部242は、ハウジング部67およびテーパ部68の間に渡って設けられている。
第1区間部241は、ハウジング部67の内周面67tから旋回中心軸101の半径方向外側に向けて延びている。第2区間部242は、旋回中心軸101の軸方向においてハウジング部67から旋回部63に近づきながら、旋回中心軸101の半径方向外側に向けて延びている。空気流れの上流側における第2区間部242の端部は、第1区間部241に連通し、空気流れの下流側における第2区間部242の端部は、装着部52における第1孔211に連通している。
旋回中心軸101の半径方向における軸部69および蓋部66の間には、第1環状溝224が設けられている。第1環状溝224は、旋回中心軸101の周方向に延びている。第1環状溝224には、複数の第1放射状孔240(第1区間部241)が接続されている。
蓋部66および軸部69には、それぞれ、凹部67gおよび凹部69gが設けられている。凹部67gは、ハウジング部67の内周面67tから凹み、旋回中心軸101の周方向に延びている。凹部69gは、軸部69の外周面69uから凹み、旋回中心軸101の半径方向において凹部67gと対向しながら、旋回中心軸101の周方向に延びている。第1環状溝224は、凹部67gおよび凹部69gにより区画形成されている。
このような構成によって、旋回中心軸101を中心とする蓋部66の旋回時に、第1環状溝224と、複数の第1放射状孔240とが互いに連通した状態が維持されるロータリージョイントが構成されている。
ハウジング65には、第1配管221が接続されている。第1配管221は、旋回中心軸101の軸方向において軸部69とは反対側から、ハウジング65に接続されている。ハウジング65には、第1配管221と連通する孔222が設けられている。軸部69には、孔222および第1環状溝224の間で延びる孔223が設けられている。第1配管221には、図示しないエアコンプレッサから空気が供給される。空気は、孔222、孔223、第1環状溝224および複数の第1放射状孔240を挙げた順に通って、装着部52における第1孔211に供給される。
図6は、図1中の刃物台において、工具ホルダの着座確認のための機構を示す回路図である。図6を参照して、刃物台50は、第1空気流路71と、複数の第2空気流路72とを有する。第1空気流路71には、空気が供給される。複数の第2空気流路72は、第1空気流路71から分岐している。複数の第2空気流路72は、それぞれ、複数の装着部52に向けて延びている。第2空気流路72は、着座面53に開口している。
第1空気流路71は、図5中の第1配管221、孔222、孔223および第1環状溝224によって構成されている。第2空気流路72は、図5中の第1放射状孔240および第1孔211により構成されている。
旋回部63の内側には工具を回転させるためのモータ64が内蔵されるため、スペースに大きな制約がある。本実施の形態では、旋回中心軸101の軸方向における旋回部63の端部に接続される蓋部66に、第1放射状孔240を設けることによって、上記のスペース上の制約を回避しつつ、各装着部52に対して空気を供給するための第2空気流路72を構成することができる。また、旋回中心軸101を中心とする軸形状を有し、蓋部66が外周上に嵌め合わされる軸部69に、第1環状溝224を設けることによって、蓋部66の旋回動作に拘わらず、複数の第2空気流路72と連通する状態が維持される第1空気流路71を構成することができる。
着座面53における工具ホルダ61の着座を確認する手段としては、工具ホルダ61により押下されるスイッチを各装着部52に設ける方法がある。この場合、旋回中心軸101の半径方向における軸部69および蓋部66の間に、蓋部66の旋回時に電気的な接点が維持されるロータリージョイントを設けるとともに、第1空気流路71および複数の第2空気流路72と同様の経路で電気配線を配索する。一方、本実施の形態では、着座面53における工具ホルダ61の着座を確認する機構として、空気配管が用いられるため、かかる機構を、簡易かつ安価に構築することができる。
刃物台50は、検知部76をさらに有する。検知部76は、第1空気流路71の経路上に設けられている。検知部76は、たとえば、第1配管221に接続されている。検知部76は、第1空気流路71における空気流れの状態を検知可能である。検知部76は、検知部76よりも第1空気流路71における空気流れの上流側(1次側)の空気の圧力と、検知部76よりも第1空気流路71における空気流れの下流側(2次側)の空気の圧力との差を検知可能な差圧センサである。
複数の装着部52の全てに工具ホルダ61が装着されている場合、着座面53における第2空気流路72の開口(第1孔211の開口部211a)が工具ホルダ61により閉塞される。この場合、検知部76により、第1空気流路71における1次側および2次側の間に所定の閾値以上の差圧が検知される。一方、複数の装着部52のうちに、工具ホルダ61が装着されなていない装着部52が少なくとも1つでも生じると、その装着部52において、着座面53における第2空気流路72の開口(第1孔211の開口部211a)を通じて空気が流出する。この場合、検知部76により、第1空気流路71における1次側および2次側の間に所定の閾値以上の差圧が検知されない。
なお、検知部76は、差圧センサに限られず、たとえば、第1空気流路71における空気流量を検知可能な流量センサであってもよい。
工作機械100は、制御部77をさらに有する。検知部76は、検知された第1空気流路71における空気流れの状態(1次側および2次側の間の差圧)を制御部77に出力する。
制御部77は、検知部76により検知された空気流れの状態に基づいて、複数の装着部52のうちに工具ホルダ61が装着されていない装着部52が生じているか否かを判断する。すなわち、制御部77は、検知部76により第1空気流路71における1次側および2次側の間に所定の閾値以上の差圧が検知された場合に、複数の装着部52の全てに工具ホルダ61が装着されていると判断する。制御部77は、第1空気流路71における1次側および2次側の間に所定の閾値以上の差圧が検知されなかった場合に、複数の装着部52のうちに工具ホルダ61が装着されていない装着部52が生じていると判断する。
制御部77は、複数の装着部52のうちに工具ホルダ61が装着されていない装着部52が生じていると判断した場合に、クランプ機構79の動作を規制する。より具体的には、制御部77は、NCプログラムの記載に基づいて自動工具交換(ATC)の実行が指令された場合にあっても、クランプ機構79に対して作動油を供給するためのオイルポンプ78を稼働させない。制御部77は、複数の装着部52のうちに工具ホルダ61が装着されていない装着部52が生じていると判断した場合に、NCプログラムの実行を停止させる制御を行なってもよい。
本実施の形態では、検知部76が、第1空気流路71の経路上に設けられている。このような構成により、複数の第2空気流路72の各々の経路上に検知部76が設けられる場合と比較して、簡易な構成で、装着部52に対する工具ホルダ61に未装着を検知することができる。
また、装着部52に対する工具ホルダ61に未装着を検知することによって、着座面53に開口する第2孔212および第3孔213からクランプ機構79の作動油が噴き出すことを防止できる。さらに、着座面53に開口する第7孔127等を通じて刃物台50の内部に切屑またはクーラント等が侵入することを防止できる。
続いて、工具ホルダ61に各種流体を供給するための配管構造について説明する。図7および図8は、図1中の刃物台を示す別の断面図である。
図7を参照して、蓋部66には、複数の第2放射状孔250がさらに設けられている。複数の第2放射状孔250は、複数の第1放射状孔240と同様の形態により設けられている。複数の第2放射状孔250は、旋回中心軸101の周方向において、複数の第1放射状孔240からずれた角度位置に設けられている。
旋回中心軸101の半径方向における軸部69および蓋部66の間には、第2環状溝234がさらに設けられている。第2環状溝234は、第1環状溝224と同様の形態により設けられている。第2環状溝234は、旋回中心軸101の軸方向において、第1環状溝224からずれた位置に設けられている。第2環状溝234には、複数の第2放射状孔250が接続されている。第2環状溝234は、複数の第2放射状孔250とともに、ロータリージョイントを構成している。
ハウジング65には、第2配管231が接続されている。第2配管231は、旋回中心軸101の軸方向において軸部69とは反対側から、ハウジング65に接続されている。ハウジング65には、第2配管231と連通する孔232が設けられている。軸部69には、孔232および第2環状溝234の間で延びる孔233が設けられている。第2配管231には、図6中のオイルポンプ78から作動油が供給される。作動油は、孔232、孔233、第2環状溝234および複数の第2放射状孔250を挙げた順に通って、旋回部63の内部配管(不図示)に供給される。
旋回部63には、切り替えバルブ80(図6を参照のこと)が内蔵されている。複数の第2放射状孔250は、旋回部63の内部配管により、切り替えバルブ80を介して図4中の第2孔212および第3孔213に連通している。切り替えバルブ80は、工具のクランプ時に作動油が図4中の第2孔212に供給され、工具のアンクランプ時に作動油が図4中の第3孔213に供給されるように、作動油の流路を切り替える。
図8を参照して、蓋部66には、複数の第3放射状孔260がさらに設けられている。複数の第3放射状孔260は、複数の第1放射状孔240と同様の形態により設けられている。複数の第3放射状孔260は、旋回中心軸101の周方向において、複数の第1放射状孔240および複数の第2放射状孔250からずれた角度位置に設けられている。
旋回中心軸101の半径方向における軸部69および蓋部66の間には、第3環状溝239がさらに設けられている。第3環状溝239は、第1環状溝224と同様の形態により設けられている。第3環状溝239は、旋回中心軸101の軸方向において、第1環状溝224および第2環状溝234からずれた位置に設けられている。第3環状溝239には、複数の第3放射状孔260が接続されている。第3環状溝239は、複数の第3放射状孔260とともに、ロータリージョイントを構成している。
ハウジング65には、第3配管236が接続されている。第3配管236は、旋回中心軸101の軸方向において軸部69とは反対側から、ハウジング65に接続されている。ハウジング65には、第3配管236と連通する孔237が設けられている。軸部69には、孔237および第3環状溝239の間で延びる孔238が設けられている。
クランプ機構79のクランプ動作およびアンクランプ動作に伴って、クランプ機構79から作動油が排出される。作動油は、旋回部63の内部配管を通じて、複数の第3放射状孔260に導かれる。作動油は、複数の第3放射状孔260、第3環状溝239、孔238、孔237および第3配管236を挙げた順に通って、図示しないオイルタンクに回収される。
図9は、図2中の配管ブロックを示す斜視図である。図10は、図2の配管ブロックの内部構造を示す断面図である。
図2、図9および図10を参照して、刃物台50は、配管ブロック81と、複数のピストン機構86(86A,86B,86C,86D)とをさらに有する。
配管ブロック81は、旋回中心軸101からその半径方向外側に離れた位置であって、かつ、旋回中心軸101の周方向における所定の角度位置に設けられている。配管ブロック81は、旋回中心軸101の軸方向において、旋回部63を挟んで蓋部66の反対側に設けられている。配管ブロック81は、旋回中心軸101の軸方向において、旋回部63と隙間を開けて対向している。
配管ブロック81は、刃物台ベース58に取り付けられている。旋回部63が旋回中心軸101を中心に旋回可能な回転側であるのに対して、配管ブロック81は、固定側である。
ピストン機構86は、配管ブロック81に内蔵されている。ピストン機構86は、旋回部63の旋回時に旋回部63と離間し、旋回部63の停止時(旋回停止時)に旋回部63と接続されるように、旋回中心軸101の軸方向に進退可能に設けられている。
より具体的には、配管ブロック81は、対向面82を有する。対向面82は、旋回中心軸101と直交する平面からなり、旋回中心軸101の軸方向において旋回部63と隙間を開けて対向している。配管ブロック81には、ピストン挿入孔83が設けられている。ピストン挿入孔83は、旋回中心軸101の軸方向に延び、対向面82に開口している。
ピストン機構86は、ピストン87を有する。ピストン87は、ピストン挿入孔83に挿入されている。ピストン87は、対向面82から突出している。ピストン87は、空圧または油圧等の流体圧によって、旋回中心軸101の軸方向にスライド動作する。ピストン87には、流路88が設けられている。流路88には、配管ブロック81の内部配管を通じて各種の流体が供給される。流路88は、旋回中心軸101の軸方向において旋回部63と対向する側のピストン87の先端部に開口している。
旋回中心軸101を中心とする旋回部63の旋回時、ピストン機構86は、対向面82からのピストン87の突出長さが小さくなるように短縮動作する。ピストン87が旋回部63から離間することによって、旋回する旋回部63と、ピストン87との干渉を回避することができる。旋回部63の旋回が停止すると、ピストン機構86は、対向面82からのピストン87の突出長さが大きくなるように伸張動作する。ピストン87が旋回部63と接続されることによって、流路88と、旋回部63の内部配管91とを互いに連通する。
ピストン機構86Aは、テーパエアブロー用の空気を旋回部63に向けて供給する。ピストン機構86Bは、図1中の刃物台側工具交換位置Kに位置決めされた工具ホルダ61において工具のクランプを確認するための空気を、旋回部63に向けて供給する。ピストン機構86Cは、クーラントを旋回部63に向けて供給する。ピストン機構86Dは、図1中のワーク加工位置Wに位置決めされた工具ホルダ61において工具のクランプを確認するための空気を、旋回部63に向けて供給する。
刃物台50は、ピストン機構96をさらに有する。ピストン機構96は、ピストン97を有する。ピストン機構96は、ピストン97に流路88が設けられないことを除いて、ピストン機構86と同様の構造を有する。ピストン機構96は、伸張動作することによって、切り替えバルブ80を切り替え動作させるためのスイッチ92を押す。切り替えバルブ80は、スイッチ92が押されることによって、図4中の第2孔212に向かう工具クランプのための作動油の流路を、図4中の第3孔213に向かう工具アンクランプのための作動油の流路に切り替える。
以上に説明したように、本実施の形態では、旋回中心軸101の軸中心からその半径方向に放射状に延びる流体経路と、旋回中心軸101の周方向における特定の角度位置に設けられ、旋回中心軸101の軸方向に延びる流体経路との2種類の流体経路を用いて、工具ホルダ61に対して各種の流体が供給されている。特に、着座面53に対する工具ホルダ61(蓋体62)の着座を確認するための空気は、複数の工具ホルダ61の全てに対して継続して供給される必要があるため、そのような継続的な流体の供給が可能となる前段の流体経路が利用されている。
このような構成によれば、刃物台50におけるスペース上の制約を回避しつつ、工具ホルダ61で用いられる流体の用途に合わせて、工具ホルダ61に対して多種の流体を供給することができる。
本実施の形態における刃物台50には、工具ホルダ61が未装着となった装着部52からクランプ機構79の作動油が噴き出すことを低減する機構が備わっている。以下、かかる機構について詳細に説明する。
図11は、工具ホルダの装着時における装着部、弁体および弾性部材を示す断面図である。図12は、図11中の弁体を示す斜視図である。図13は、工具ホルダの未装着時における装着部、弁体および弾性部材を示す断面図である。図14は、図13中の弁体を示す斜視図である。
図11から図14を参照して、装着部52には、第2孔212(本発明における「弁体挿入孔」に対応)と、油流通孔311とが設けられている。
第2孔212は、所定軸301を中心に延びている。所定軸301は、図2中の旋回中心軸101の半径方向に延びる仮想上の直線である。第2孔212は、着座面53に開口する有底の孔である。油流通孔311は、第2孔212に連通している。油流通孔311は、第2孔212の側壁に開口している。所定軸301の軸方向における、油流通孔311の開口部および第2孔212の孔底212cの間の長さは、所定軸301の軸方向における、油流通孔311の開口部および着座面53の間の長さよりも小さい。
油流通孔311には、クランプ機構79の作動油が流れる。油流通孔311は、図6中の切り替えバルブ80および第2孔212の間で延びている。油流通孔311には、切り替えバルブ80からクランプ機構79に向けて供給される作動油が流れる。
刃物台50は、弁体312をさらに有する。弁体312は、油流通孔311に挿入されている。弁体312は、全体として、所定軸301の軸方向に延びる軸(シャフト)形状を有する。弁体312は、所定軸301の軸方向にスライド可能なように設けられている。
弁体312は、装着部52に対する工具ホルダ61の非装着時に、油流通孔311からの作動油の圧力を受けることにより着座面53から突出し、作動油の流通を規制する第1状態(図13および図14に示される状態)と、装着部52に対する工具ホルダ61の装着時に、工具ホルダ61により弁体挿入孔311内に押し戻され、作動油の流通を許容する第2状態(図11および図12に示される状態)との間でスライド動作が可能である。
弁体312は、第1部材351と、第2部材331とを有する。第1部材351は、第2孔212の内側で所定軸301を中心とする円筒形状をなしている。第1部材351は、所定軸301の軸方向にスライドできないように、第2孔212の側壁に対して固定されている。
第2部材331は、第1部材351に対して、所定軸301の軸方向にスライド可能なように設けられている。第2部材331は、頂部332と、大径部334と、小径部341と、底部345とを有する。頂部332、大径部334、小径部341および底部345は、挙げた順に、所定軸301の軸方向に並んで設けられている。第2部材331は、大径部334および小径部341の間で分離可能に構成されている。
図11および図12に示される第2状態において、頂部332は、所定軸301の軸方向において工具ホルダ61と対向している。頂部332の頂面には、工具ホルダ61と当接するシール部材333が設けられている。図13および図14に示される第1状態において、頂部332は、着座面53から突出している。
大径部334は、第2孔212の内側に挿入されている。所定軸301の軸方向における弁体312のスライド動作時、大径部334は、第2孔212の側壁と摺接する。大径部334の外周面には、所定軸301の半径方向において第2孔212の側壁と当接するシール部材335が設けられている。小径部341は、大径部334よりも小さい直径を有する。小径部341は、第1部材351の内側に挿入されている。所定軸301の軸方向における弁体312のスライド動作時、小径部341は、第1部材351の内壁と摺接する。
底部345は、所定軸301の軸方向において、第2孔212の孔底212cと距離を設けて対向している。底部345および孔底212cの間には、工具ホルダ61に向けて供給される作動油が流れる油流通空間371が設けられている。油流通空間371は、第2孔212内の空間の一部である。油流通孔311は、油流通空間371に連通している。
第2部材331は、第1部材351に対して、第2状態における所定軸301の軸方向の大径部334および第1部材351の間の距離が、第1状態における所定軸301の軸方向の大径部334および第1部材351の間の距離よりも大きくなるように、スライド動作する。
第2部材331には、第1弁内流路342と、複数の第2弁内流路343とが設けられている。第1弁内流路342は、所定軸301の軸上で延びている。第1弁内流路342は、所定軸301の軸方向において、小径部341、大径部334および頂部332の間に渡って延びている。図11および図12に示される第2状態において、第1弁内流路342は、工具ホルダ61と対向して開口している。第1弁内流路342は、工具ホルダ61の内部でクランプ機構79に向けて延びる内部配管313と連通している。
複数の第2弁内流路343は、小径部341に設けられている。複数の第2弁内流路343は、底部345との境界をなす、所定軸301の軸方向における小径部341の端部に設けられている。第2弁内流路343は、所定軸301の半径方向に延びている。複数の第2弁内流路343は、所定軸301の周方向において互いに間隔を開けて設けられている。
小径部341は、所定軸301を中心とする円筒形状を有する。所定軸301の半径方向内側における第2弁内流路343の端部は、第1弁内流路342をなす小径部341の内周面に開口している。所定軸301の半径方向外側における第2弁内流路343の端部は、小径部341の外周面に開口している。各第2弁内流路343の開口面積は、小径部341における第1弁内流路342の開口面積よりも小さい。
第1部材351は、第1対向面356を有する。第1対向面356は、所定軸301を中心とする円錐面からなる。所定軸301を中心とする第1対向面356の直径(内径)は、所定軸301の軸方向において、第2孔212の孔底212cに近づくほど大きくなる。第2部材331は、第2対向面346を有する。第2対向面346は、所定軸301を中心とする円錐面からなる。所定軸301を中心とする第2対向面346の直径(外径)は、所定軸301の軸方向において、第2孔212の孔底212cに近づくほど大きくなる。第2対向面346は、所定軸301の軸方向において、第1対向面356と対向している。
図13および図14に示されるように、装着部52に対する工具ホルダ61の未装着時、油流通空間371内の作動油が底部345に対して圧力(たとえば、10MPa以上の圧力)を作用させることによって、第2部材331は、所定軸301の軸方向において孔底212cから遠ざかる方向にスライド動作する。所定軸301の軸方向において第2対向面346が、第1対向面356と接触し、複数の第2弁内流路343が、第1部材351により閉塞される。これにより、油流通空間371が第1弁内流路342と遮断され、作動油の流通が規制される第1状態が得られる。
図11および図12に示されるように、装着部52に対する工具ホルダ61の装着時、着座面53に着座する工具ホルダ61が頂部332を押すことによって、第2部材331は、所定軸301の軸方向において孔底212cに近づく方向にスライド動作する。第2対向面346が、第1対向面356から離間し、複数の第2弁内流路343が、所定軸301の軸方向における第1対向面356および第2対向面346の間の隙間に開口する。これにより、油流通空間371が、複数の第2弁内流路343を介して第1弁内流路342と連通し、作動油の流通が許容される第2状態が得られる。
刃物台50は、弾性部材361をさらに有する。弾性部材361は、第2孔212に配置されている。弾性部材361は、弁体312に対して、図11および図12に示される第2状態から、図13および図14に示される第1状態に向けて動作させる方向の弾性力を作用させている。
弾性部材361は、油流通空間371に配置されている。弾性部材361は、コイルバネからなる。弾性部材361は、所定軸301を中心に螺旋状に延びている。弾性部材361は、所定軸301の軸方向において、孔底212cおよび底部345の間で短縮変形されている。弾性部材361は、所定軸301の軸方向に見た場合に、第1対向面356および第2対向面346と重なる位置に設けられている。弾性部材361の弾性力によって底部345に対して作用する圧力は、油流通空間371内の作動油によって底部345に対して作用する圧力よりも小さい。
装着部52に対する工具ホルダ61の未装着時に、図6中のオイルポンプ78が誤動作によって作動油を圧送する場合を想定する。この場合、作動油が油流通空間371を満たすタイミングと、その作動油の圧力によって第2部材331のスライド動作が完了するタイミングとの間に微小なタイムラグが生じるため、第2孔212から瞬間的に高圧の作動油が噴き出す可能性がある。本実施の形態では、第2部材331に対して作動油の圧力に加えて弾性部材361の弾性力を作用させることで、上記のタイムラグの発生を抑制して、作動油の噴き出し現象を低減することができる。
特に本実施の形態における刃物台50では、着座面53に対する工具ホルダ61の着座を確認するための機構が加わることによって、工具ホルダ61の未装着時における作動油の噴き出し現象をより効果的に低減することができる。
また、オイルポンプ78が稼働していない場合であっても、第2孔212に通じる配管内は、作動油によって満たされている。第2孔212が下方を向いて開口する装着部52においては、そのような作動油が第2孔212から垂れ落ちる可能性がある。本実施の形態では、第2部材331に対して弾性部材361の弾性力を作用させることで、油流通空間371が第1弁内流路342と遮断される第1状態を得て、作動油の垂れ落ちる現象を低減することができる。
また、所定軸301を中心とする円錐面からなる第1対向面356および第2対向面346を互いに接触させることによって、油流通空間371が第1弁内流路342と遮断される第1状態を得ている。このような構成によれば、第1対向面356および第2対向面346の間に発生する楔力を利用することで、油流通空間371および第1弁内流路342の間をより確実に遮断することができる。
また、弾性部材361は、所定軸301の軸方向に見た場合に、第1対向面356および第2対向面346と重なる位置に設けられている。このような構成によれば、弾性部材361の弾性力をより効率的に第1対向面356および第2対向面346に伝えることで、油流通空間371および第1弁内流路342の間をさらに確実に遮断することができる。
なお、以上においては、クランプ機構79をクランプ動作させるための作動油が流通する図4中の第2孔212に注目して、作動油の噴き出し防止機構を説明したが、クランプ機構79をアンクランプ動作させるための作動油が流通する図4中の第3孔213にも、同様の機構が備わっている。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。