JP7371426B2 - 半導体装置 - Google Patents

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Description

この発明は、半導体装置に関する。
従来、高電圧や大電流を制御するパワー半導体装置の構成材料として、シリコン(Si)が用いられている。パワー半導体装置は、バイポーラトランジスタやIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)など複数種類あり、これらは用途に合わせて使い分けられている。
例えば、バイポーラトランジスタやIGBTは、MOSFETに比べて電流密度は高く大電流化が可能であるが、高速にスイッチングさせることができない。具体的には、バイポーラトランジスタは数kHz程度のスイッチング周波数での使用が限界であり、IGBTは数十kHz程度のスイッチング周波数での使用が限界である。一方、パワーMOSFETは、バイポーラトランジスタやIGBTに比べて電流密度が低く大電流化が難しいが、数MHz程度までの高速スイッチング動作が可能である。
しかしながら、市場では大電流と高速性とを兼ね備えたパワー半導体装置への要求が強く、IGBTやパワーMOSFETはその改良に力が注がれ、現在ではほぼ材料限界に近いところまで開発が進んでいる。パワー半導体装置の観点からシリコンに代わる半導体材料が検討されており、低オン電圧、高速特性、高温特性に優れた次世代のパワー半導体装置を作製(製造)可能な半導体材料として炭化珪素(SiC)が注目を集めている。
炭化珪素は、化学的に非常に安定した半導体材料であり、バンドギャップが3eVと広く、高温でも半導体として極めて安定的に使用することができる。また、炭化珪素は、最大電界強度もシリコンより1桁以上大きいため、オン抵抗を十分に小さくすることができる半導体材料として期待される。このような炭化珪素の特長は、他のシリコンよりバンドギャップが広いワイドバンドギャップ半導体である、例えば窒化ガリウム(GaN)にもあてはまる。このため、ワイドバンドギャップ半導体を用いることにより、半導体装置の高耐圧化を図ることができる。
トレンチゲート構造は、半導体基板(半導体チップ)のおもて面に形成したトレンチ内にMOSゲートを埋め込んだMOSゲート構造であり、トレンチの側壁に沿って半導体基板のおもて面と直交する方向にチャネル(反転層)が形成される。このため、半導体基板のおもて面に沿ってチャネルが形成されるプレーナゲート構造と比べて、単位面積当たりの単位セル(素子の構成単位)密度を増やすことができ、単位面積当たりの電流密度を増やすことができるため、コスト面で有利である。プレーナゲート構造は、半導体基板のおもて面上に平板状にMOSゲートを設けたMOSゲート構造である。
また、デバイスの電流密度を増加させた分、単位セルの占有体積に応じた温度上昇率が高くなり、ボンディングワイヤが剥離する等の問題が生じるため、放電効率の向上と信頼性の安定化とを図るために両面冷却構造が必要になる。両面冷却構造とは、半導体基板で発生した熱を半導体基板の両面から外へ逃がすことで半導体基板全体の放熱性を向上させた構造である。両面冷却構造では、半導体基板で発生した熱は、半導体基板の裏面に金属ベース板を介して接触させた冷却フィンから放熱され、かつ半導体基板のおもて面に一方の端部を接合した端子ピンを介して当該端子ピンの他方の端部を接合した金属バーから放熱される。
さらに信頼性を向上させるために、メイン半導体素子である縦型MOSFETと同一の半導体基板に、電流センス部、温度センス部および過電圧保護部等の高機能部を配置して高機能構造とした装置が提案されている。高機能構造とする場合、高機能部を安定して形成するために、活性領域に、メイン半導体素子の単位セルと離して、かつエッジ終端領域に隣接して、高機能部のみを配置した領域が設けられる。活性領域は、メイン半導体素子のオン時に主電流が流れる領域である。エッジ終端領域は、半導体基板のおもて面側の電界を緩和して耐圧(耐電圧)を保持するための領域である。耐圧とは、素子が誤動作や破壊を起こさない限界の電圧である。
従来の炭化珪素半導体装置の構造について、トレンチ型MOSFETを例に説明する。図12は、従来の炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。図12に示すように、トレンチ型MOSFET150では、n+型炭化珪素基板101のおもて面にn型炭化珪素エピタキシャル層102が堆積される。n型炭化珪素エピタキシャル層102のn+型炭化珪素基板101側に対して反対側の表面側は、n型高濃度領域106が設けられている。また、n型高濃度領域106のn+型炭化珪素基板101側に対して反対側の表面層には、第1p+型ベース領域104が選択的に設けられている。n型高濃度領域106には、トレンチ118の底面全体を覆うように第2p+型ベース領域105が選択的に設けられている。
また、従来のトレンチ型MOSFET150には、さらにp型炭化珪素エピタキシャル層103、n+型ソース領域107、p++型コンタクト領域108、ゲート絶縁膜109、ゲート電極110、層間絶縁膜111、ソース電極113、裏面電極114、トレンチ118、ソース電極パッド115およびドレイン電極パッド(不図示)が設けられている。
ソース電極113は、n+型ソース領域107、p++型コンタクト領域108上に設けられ、ソース電極113上にソース電極パッド115が設けられている。ソース電極パッド115は、順に第1TiN膜125、第1Ti膜126、第2TiN膜127、第2Ti膜128およびAl合金膜129が積層されている多層膜である。また、ソース電極パッド115上部には、めっき膜116、はんだ117、外部電極ピン119、第1保護膜121および第2保護膜123が設けられる。
図13は、従来の炭化珪素半導体装置の構造を示す平面図である。図13は、図12のC-C’部分を下側から見た平面図を示す。図13に示すように、n+型ソース領域107は格子状に設けられ、p++型コンタクト領域108はゲート絶縁膜109と離間して設けられている。つまり、MOS構造が形成される活性領域において、ゲート絶縁膜109と近接して設けられているn+型ソース領域107の直線部分T’では、上部が層間絶縁膜111に覆われており、ソース電極113と接触していない。一方、n+型ソース領域107の接続部分S’にて層間絶縁膜111が開口され、ソース電極113とn+型ソース領域107とが接触している。このようにn+型ソース領域107に囲まれた一つのピッチが連続的に形成されている。
また、非圧接領域(薄いエミッタ電極下)のIGBTセルのしきい値電圧を圧接領域のIGBTセルより高くすることで、ターンオフ時にエミッタ電極に流れる電流を低減することができるIGBTが公知である(例えば、下記特許文献1参照)。
また、底部チャネルおよび側壁チャネルが異なる特性、例えば異なるゲート閾値電圧を有するように形成し、底部チャネルを抑制する結果として、より均一なデバイス特性およびより急峻な出力/入力特性が得られる炭化珪素半導体装置が公知である(例えば、下記特許文献2参照)。
特開2016-066701号公報 特開2019-068065号公報
MOSFETは、ゲート電極110に電圧を印加することによりドレイン電極(裏面電極)114とソース電極113間に電流が流れる。定格動作時は、ゲート電極110に数Vの電圧が印加され、ドレイン電極114とソース電極113間に電流が流れ、定格電圧が印加される。
しかしながら、インバータの負荷または素子が短絡し、ゲートがオンの状態で高電圧が、例えばゲート電極110に20V以上の高電圧が印加される場合がある。この場合、ドレイン電極114とソース電極113間に定格電圧以上の高電圧が印加される。このため、炭化珪素半導体装置をインバータで使用する場合、高機能部に過電圧保護部等を設けて、ゲート電極110に高電圧が印加されると、過電圧保護部等が動作して、炭化珪素半導体装置が破壊されることを防止している。
しかしながら、過電圧保護部等が動作するまでに5μs~10μsまでのタイムラグがあり、この期間、ドレイン電極114とソース電極113間に定格電圧以上の高電圧が印加される。
図14は、従来の炭化珪素半導体装置の特性を示すグラフである。図14において、横軸は、ドレインソース間の電圧を示し、単位はVである。縦軸はドレインソース間の電流を示し、単位はAである。図14では、オン抵抗(RonA)が異なる炭化珪素半導体装置の特性を示し、Xで示す線が最もRonAが低く、Yで示す線が次にRonAが低く、Zで示す線が最もRonAが高い炭化珪素半導体装置の特性を示す。
図14に示すように、定格動作時(図14の一点鎖線)では、RonAが低いほど、同じ電圧に対して、ドレイン電極114とソース電極113間に流れる電流が多く特性がよくなる。このため、RonAが低い炭化珪素半導体装置が製造されてきた。一方、飽和領域では、RonAが低いほど、飽和電流が多くなり、大電流が流れる。
RonAが低い場合は、過電圧保護部等が動作するまでに流れる飽和電流が少なく、炭化珪素半導体装置が破壊されることは少ないが、RonAが高くなるにつれて、飽和電流が多くなる。上述のようなn+型ソース領域107の構造の場合、セルピッチを狭めていくと全体のセルの線密度が上昇するため、ソースドレイン間の抵抗が小さくなり、RonAが小さくなる。セルの細分化とともにRonAが小さくなるため、素子の飽和電流が増加する。これにより、素子に印加される電圧と電流のパワーが大きくなり、素子の発熱が高く、また寄生のバイポーラトランジスタが動作しやすくなる。この場合、過電圧保護部等が動作するまでに流れる飽和電流が多くなり、過電圧保護部等の動作が間に合わず、炭化珪素半導体装置が破壊される場合がある。このように、セルピッチを狭めて、RonAを低くすると、炭化珪素半導体装置の短絡耐量が低くなるという課題がある。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、定格動作時のドレイン-ソース間の電流値を低下させず、飽和電流を低くし、短絡耐量を高くすることができる半導体装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置は、次の特徴を有する。第1導電型の半導体基板のおもて面に、前記半導体基板より低不純物濃度の第1導電型の第1半導体層が設けられる。前記第1半導体層の、前記半導体基板側に対して反対側の表面に選択的に第2導電型の第2半導体層が設けられる。前記第2半導体層の、前記半導体基板側に対して反対側の表面層に選択的に第1導電型の第1半導体領域が設けられる。前記第2半導体層の、前記半導体基板側に対して反対側の表面層に選択的に前記第1半導体領域と接する第2導電型の第2半導体領域が設けられる。前記第1半導体領域および前記第2半導体層を貫通し、前記第1半導体層に達するストライプ形状のトレンチが設けられる。前記トレンチの内部にゲート絶縁膜を介してゲート電極が設けられる。前記第1半導体領域および前記第2半導体領域の表面に第1電極が設けられる。前記半導体基板の裏面に第2電極が設けられる。前記第1半導体領域は、隣り合う前記トレンチに接する前記第1半導体領域を接続する構造であって、前記トレンチがストライプ状に延びる方向に周期的に並んだ前記構造を含む。前記第1電極は、前記第1半導体領域の前記構造でのみ前記第1半導体領域と接する。前隣り合う2つの前記構造の間に閾値の値が異なる複数の領域が、前記隣り合う2つの前記構造の同士の中間を中心として線対称に配置され、前記第1半導体領域の前記構造に接する領域で最も閾値が高い。
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記構造と前記構造の間に、前記構造と接する第1領域と、前記第1領域の間に設けられた第2領域とを有し、前記第2領域は、前記第1領域よりも閾値の値が低いことを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記構造と前記構造の間に、前記構造と接する第1領域と、前記第1領域と接し、前記構造と離れた第2領域と、前記第2領域の間に設けられた第3領域とを有し、前記第3領域は、前記第2領域よりも閾値の値が低く、前記第2領域は、前記第1領域よりも閾値の値が低いことを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記閾値の値が異なる複数の領域は、前記第2半導体層に注入された不純物の濃度が異なる領域であることを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記線対称の中心となる領域において、最も閾値が低いことを特徴とする。
上述した発明によれば、n+型ソース領域(第1導電型の第1半導体領域)の隣り合うトレンチを接続する構造間に、閾値の値が異なる複数の領域が線対称に配置され、n+型ソース領域の上記構造に接する領域で最も閾値の値が高くなっている。これにより、本発明にかかる炭化珪素半導体装置は、定格動作時は、RonAが低い従来の炭化珪素半導体装置と同様の動作をし、飽和領域ではRonAが高い従来の炭化珪素半導体装置と同様の動作をする。このため、本発明にかかる炭化珪素半導体装置では、定格動作時のドレイン-ソース間の電流値を低下させない。さらに、短絡等の理由によりゲート電極に高電圧が印加されたとしても、過電圧保護部等が動作するまでに流れる飽和電流値を少なくし、炭化珪素半導体装置が破壊されることを防止でき、短絡耐量を改善することができる。
本発明にかかる半導体装置によれば、定格動作時のドレイン-ソース間の電流値を低下させず、飽和電流を低くし、短絡耐量を高くすることができるという効果を奏する。
実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す図3および図4のA-A'断面図である。 実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す図3および図4のB-B'断面図である。 実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す平面図である。 実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す他の平面図である。 実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その1)。 実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その2)。 実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その3)。 実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その4)。 実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その5)。 実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その6)。 実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置と従来の炭化珪素半導体装置の特性を示すグラフである。 従来の炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。 従来の炭化珪素半導体装置の構造を示す平面図である。 従来の炭化珪素半導体装置の特性を示すグラフである。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および-は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。+および-を含めたnやpの表記が同じ場合は近い濃度であることを示し濃度が同等とは限らない。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本明細書では、ミラー指数の表記において、“-”はその直後の指数につくバーを意味しており、指数の前に“-”を付けることで負の指数をあらわしている。
(実施の形態)
実施の形態にかかる半導体装置は、シリコン(Si)よりもバンドギャップが広い半導体(ワイドバンドギャップ半導体とする)を用いて構成される。この実施の形態にかかる半導体装置の構造について、ワイドバンドギャップ半導体として例えば炭化珪素(SiC)を用いた場合を例に説明する。図1は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す図3および図4のA-A'断面図である。図2は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す図3および図4のB-B'断面図である。
実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置は、半導体基板のおもて面(後述するp型炭化珪素エピタキシャル層3側の面)側にトレンチゲート構造のMOSゲートを備えたトレンチ型MOSFET50である。炭化珪素半導体基体は、炭化珪素からなるn+型炭化珪素基板(第1導電型の半導体基板)1上にn型炭化珪素エピタキシャル層(第1導電型の第1半導体層)2およびp型炭化珪素エピタキシャル層(第2導電型の第2半導体層)3を順にエピタキシャル成長させてなる。n型高濃度領域6をn型炭化珪素エピタキシャル層2上にエピタキシャル成長させてもよい。
トレンチゲート構造のMOSゲートは、p型炭化珪素エピタキシャル層3、n+型ソース領域(第1導電型の第1半導体領域)7、p++型コンタクト領域(第2導電型の第2半導体領域)8、トレンチ18、ゲート絶縁膜9およびゲート電極10で構成される。
具体的には、トレンチ18は、半導体基板のおもて面から深さ方向zにp型炭化珪素エピタキシャル層3を貫通して、n型高濃度領域6(n型高濃度領域6が設けられていない場合は、n型炭化珪素エピタキシャル層2、以下(2)と称する)に達する。深さ方向zとは、半導体基板のおもて面から裏面へ向かう方向である。トレンチ18は、例えば、ストライプ形状であり、ストライプ状に配置されている。
トレンチ18の内部には、トレンチ18の内壁に沿ってゲート絶縁膜9が設けられ、ゲート絶縁膜9上にトレンチ18の内部に埋め込むようにゲート電極10が設けられている。1つのトレンチ18内のゲート電極10と、当該ゲート電極10を挟んで隣り合うメサ領域(隣り合うトレンチ18間の領域)と、でメイン半導体素子の1つの単位セルが構成される。図1および図2では、2つのトレンチMOS構造のみを図示しているが、さらに多くのトレンチ構造のMOSゲート(金属-酸化膜-半導体からなる絶縁ゲート)構造が並列に配置されていてもよい。
n型炭化珪素エピタキシャル層2のソース側(後述するソース電極13側)の表面層に、p型炭化珪素エピタキシャル層3に接するようにn型領域(以下、n型高濃度領域とする)6が設けられていてもよい。n型高濃度領域6は、キャリアの広がり抵抗を低減させる、いわゆる電流拡散層(Current Spreading Layer:CSL)である。このn型高濃度領域6は、例えば、トレンチ18の内壁を覆うように、基板おもて面(半導体基板のおもて面)に平行な方向に一様に設けられている。
n型高濃度領域6は、p型炭化珪素エピタキシャル層3との界面から、トレンチ18の底面よりもドレイン側(後述する裏面電極14側)に深い位置に達している。n型高濃度領域6の内部には、第1,2p+型ベース領域4、5がそれぞれ選択的に設けられていてもよい。第1p+型ベース領域4は、隣り合うトレンチ18間(メサ領域)に、第2p+型ベース領域5およびトレンチ18と離して設けられ、かつp型炭化珪素エピタキシャル層3に接する。第2p+型ベース領域5は、トレンチ18の底面および底面コーナー部のうち少なくとも底面を覆う。トレンチ18の底面コーナー部とは、トレンチ18の底面と側壁との境界である。
第1,2p+型ベース領域4、5とn型炭化珪素エピタキシャル層2とのpn接合は、トレンチ18の底面よりもドレイン側に深い位置に形成されている。n型高濃度領域6を設けずに、第1,2p+型ベース領域4、5がn型炭化珪素エピタキシャル層2の内部に設けられていてもよい。第1,2p+型ベース領域4、5のドレイン側端部の深さ位置は、第1,2p+型ベース領域4、5とn型炭化珪素エピタキシャル層2とのpn接合がトレンチ18の底面よりもドレイン側に深い位置にあればよく、設計条件に合わせて種々変更可能である。第1,2p+型ベース領域4、5により、トレンチ18の底面に沿った部分でゲート絶縁膜9に高電界が印加されることを防止することができる。
p型炭化珪素エピタキシャル層3の内部には、n+型ソース領域7が選択的に設けられている。n+型ソース領域7と接するようにp++型コンタクト領域8が選択的に設けられている。p++型コンタクト領域8については、以下で説明する。n+型ソース領域7は、トレンチ18の側壁のゲート絶縁膜9に接し、トレンチ18の側壁のゲート絶縁膜9を介してゲート電極10に対向する。
図3は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す平面図である。図3では、図1および図2のC-C’部分を下側(裏面電極14側)から見た平面図を示す。図3に示すように、n+型ソース領域7は、隣り合うトレンチ18に接するn+型ソース領域7を接続する構造(n+型ソース領域7の接続部分S)が、トレンチ18がストライプ状に延びる方向(トレンチ18の奥行き方向)に周期的に並んだ格子状に配置されている。
図1は、n+型ソース領域7の接続部分Sが設けられていない部分の断面であり、n+型ソース領域7の間に、p++型コンタクト領域8が設けられている。また、図2は、n+型ソース領域7の接続部分Sが設けられている部分の断面である。
また、図1~図3に示すように、n+型ソース領域7は、n+型ソース領域7の接続部分Sでのみソース電極13と接し、n+型ソース領域7の直線部分Tでは、上部が層間絶縁膜11に覆われており、ソース電極13と接触していない。つまり、n+型ソース領域7の間にp++型コンタクト領域8が設けられている構造(図1)では、層間絶縁膜11がn+型ソース領域7の上面を覆い、n+型ソース領域7はソース電極13と接していない。このため、オン時に流れる電流は、n+型ソース領域7の接続部分Sで層間絶縁膜11が上面を覆っていない部分を経由してソース電極13へと流れ込む。
実施の形態では、z軸方向の上側(ソース電極13側)から見た平面視で、n+型ソース領域7の接続部分S間に、閾値(Vth)の値が異なる複数の領域が、隣り合う2つの接続部分Sの同士の中間を中心として線対称に配置される。そして、線対称の中心となる領域で最も閾値が低く、線対称の中心から離れるほど閾値が高くなり、n+型ソース領域7の接続部分Sに接する領域で最も閾値が高くなっている。閾値は階段状に変化させても、連続的に変化させても構わない。接続部分Sの閾値は、隣接するVth1領域31と同じにしてもよいし、Vth1領域31よりも高く設定してもよい。例えば、図3に示すように、隣り合う2つのn+型ソース領域7の接続部分S間に、n+型ソース領域7の接続部分Sに接するVth1領域(第1領域)31が配置される。Vth1領域31同士の間に、Vth1領域31よりも閾値が低いVth2領域(第2領域)32が配置される。例えば、図3のVth1領域31は、閾値が5Vの領域であり、Vth2領域32は、閾値が4Vの領域である。この例では出力されるトータルのVthの値は、4.5Vになるようにしきい値に影響する不純物濃度と図3の31,32,33の寸法値を最適化することによって得られる。必要とされるVthに対して数STEPで調整する。
図4は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す他の平面図である。図4に示すように、隣り合う2つのn+型ソース領域7の接続部分S間に、n+型ソース領域7の接続部分Sに接するVth1領域31が配置される。Vth1領域31同士の間に、Vth1領域31よりも閾値が低いVth2領域32が配置される。Vth2領域32同士の間に、Vth2領域32よりも閾値が低いVth3領域(第3領域)33が配置される。例えば、図4のVth1領域31は、閾値が5Vの領域であり、Vth2領域32は、閾値が4Vの領域であり、Vth3領域33は、閾値が3Vの領域である。
ここで、閾値は、p型炭化珪素エピタキシャル層2の不純物濃度とチャネルの条件で決定することができる。例えば、p型炭化珪素エピタキシャル層2の厚さ、不純物濃度を後述する値で形成した場合、p型炭化珪素エピタキシャル層2のチャネル領域にイオン注入を行い、このドーズ量が0.2×1013/cm2の場合、閾値は3Vとなり、ドーズ量が0.6×1013/cm2の場合、閾値は4Vとなり、ドーズ量が1.0×1013/cm2の場合、閾値は5Vとなる。
炭化珪素半導体装置では、セルピッチが細分化するにつれて、ソース電極13からの電子電流の比率が高くなり、ソースドレイン間の抵抗が下がり、その分ゲート電圧一定時の飽和電流が高くなる。実施の形態では、n+型ソース領域7とソース電極13とが接触して抵抗が少ない領域に閾値が高い領域を配置している。これにより、定格動作時は、閾値が低い領域に電流が流れ、閾値が低い領域のみで構成された従来の構造と同じRonAを維持することができる。
一方、大電流が流れてくると、閾値が低い領域よりもソース電極13とのコンタクトに近い閾値が高い領域も機能するようになる。このように、大電流が流れてくると閾値が高い領域にも電流が流れ、閾値が高い領域は抵抗が高いため、炭化珪素半導体装置全体での抵抗が高くなり、閾値が低い領域のみで構成された従来の構造よりも飽和電流を少なくすることができる。その結果、短絡時に炭化珪素半導体装置が破壊されない時間を長くすることができる。
また、Vth1領域31、Vth2領域32、Vth3領域33のトレンチ18の奥行き方向の長さ、閾値等は要求特性に合わせてその値を最適設計することができる。また、図3では、閾値の値が異なる3つの領域が隣り合う2つの接続部分S同士の中間を中心として線対称に配置され、図4では、閾値の値が異なる5つの領域が隣り合う2つの接続部分S同士の中間を中心として線対称に配置されているが、閾値の値が異なる領域は5以上であってもかまわない。図4のように、閾値を3つにする場合は、図3のように、閾値を2つにする場合より最適設計しやすいが、閾値を2つにする場合は、全体のセルピッチを容易に縮小させることができる。
層間絶縁膜11は、ゲート電極10を覆うように、半導体基板のおもて面全面に設けられている。層間絶縁膜11には、層間絶縁膜11を深さ方向zに貫通して基板おもて面に達するコンタクトホール40が開口されている。
ソース電極(第1電極)13は、コンタクトホール40内において半導体基板(n+型ソース領域7)にオーミック接触し、かつ層間絶縁膜11によりゲート電極10と電気的に絶縁されている。ソース電極13上に、ソース電極パッド15が設けられている。ソース電極パッド15は、第1TiN膜25、第1Ti膜26、第2TiN膜27、第2Ti膜28およびAl合金膜29が積層されている多層膜である。ソース電極13はp++型コンタクト領域8とオーミック接触する。
ソース電極13上に、めっき膜16およびはんだ17を介して、外部電極ピン19の一方の端部が接合されている。外部電極ピン19の他方の端部は、半導体基板のおもて面に対向するように配置された金属バー(不図示)に接合されている。また、外部電極ピン19の他方の端部は、半導体チップを実装したケース(不図示)の外側に露出し、外部装置(不図示)と電気的に接続される。ソース電極パッド15の表面のめっき膜16以外の部分は、第1保護膜21で覆われている。具体的には、ソース電極パッド15を覆うように第1保護膜21が設けられており、第1保護膜21の開口部には、めっき膜16が設けられている。はんだ17を介してめっき膜16の表面に外部電極ピン19が接合されている。はんだ17の領域を制限するために、めっき膜16の表面に第2保護膜23を設けてもよい。第1,2保護膜21、23は、例えばポリイミド膜である。
半導体基板の裏面に、ドレイン電極となる裏面電極(第2電極)14が設けられている。裏面電極14上には、ドレイン電極パッド(不図示)が設けられている。
(実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法)
次に、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法について説明する。図5~図10は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
まず、n型の炭化珪素でできたn+型炭化珪素基板1を用意する。そして、このn+型炭化珪素基板1の第1主面上に、n型の不純物、例えば窒素原子(N)をドーピングしながら炭化珪素でできた第1n型炭化珪素エピタキシャル層2aを、例えば30μm程度の厚さまでエピタキシャル成長させる。ここまでの状態が図5に示されている。
次に、第1n型炭化珪素エピタキシャル層2aの表面上に、フォトリソグラフィ技術によって所定の開口部を有するイオン注入用マスクを例えば酸化膜で形成する。そして、アルミニウム等のp型の不純物を、酸化膜の開口部に注入し、深さ0.5μm程度の下部第1p+型ベース領域4aおよび第2p+型ベース領域5を形成する。
また、隣り合う下部第1p+型ベース領域4aと第2p+型ベース領域5との距離が1.5μm程度となるよう形成する。下部第1p+型ベース領域4aおよび第2p+型ベース領域5の不純物濃度を例えば5×1018/cm3程度に設定する。
次に、イオン注入用マスクの一部を除去し、開口部に窒素等のn型の不純物をイオン注入し、第1n型炭化珪素エピタキシャル層2aの表面領域の一部に、例えば深さ0.5μm程度の下部n型高濃度領域6aを形成してもよい。下部n型高濃度領域6aの不純物濃度を例えば1×1017/cm3程度に設定する。ここまでの状態が図6に示されている。
次に、第1n型炭化珪素エピタキシャル層2aの表面上に、窒素等のn型の不純物をドーピングした第2n型炭化珪素エピタキシャル層2bを、0.5μm程度の厚さで形成する。第2n型炭化珪素エピタキシャル層2bの不純物濃度が3×1015/cm3程度となるように設定する。以降、第1n型炭化珪素エピタキシャル層2aと第2n型炭化珪素エピタキシャル層2bとを合わせてn型炭化珪素エピタキシャル層2となる。
次に、第2n型炭化珪素エピタキシャル層2bの表面上に、フォトリソグラフィによって所定の開口部を有するイオン注入用マスクを例えば酸化膜で形成する。そして、アルミニウム等のp型の不純物を、酸化膜の開口部に注入し、深さ0.5μm程度の上部第1p+型ベース領域4bを、下部第1p+型ベース領域4aに重なるように形成する。下部第1p+型ベース領域4aと上部第1p+型ベース領域4bは連続した領域を形成し、第1p+型ベース領域4となる。上部第1p+型ベース領域4bの不純物濃度を例えば5×1018/cm3程度となるように設定する。
次に、イオン注入用マスクの一部を除去し、開口部に窒素等のn型の不純物をイオン注入し、第2n型炭化珪素エピタキシャル層2bの表面領域の一部に、例えば深さ0.5μm程度の上部n型高濃度領域6bを形成してもよい。上部n型高濃度領域6bの不純物濃度を例えば1×1017/cm3程度に設定する。この上部n型高濃度領域6bと下部n型高濃度領域6aは少なくとも一部が接するように形成され、n型高濃度領域6を形成する。ただし、このn型高濃度領域6が基板全面に形成される場合と、形成されない場合がある。ここまでの状態が図7に示されている。
次にn型炭化珪素エピタキシャル層2の表面上に、エピタキシャル成長によりp型炭化珪素エピタキシャル層3を1.1μm程度の厚さで形成する。p型炭化珪素エピタキシャル層3の不純物濃度は4×1017/cm3程度に設定する。p型炭化珪素エピタキシャル層3をエピタキシャル成長により形成した後、p型炭化珪素エピタキシャル層3にさらにアルミニウム等のp型の不純物を、p型炭化珪素エピタキシャル層3のチャネル領域にイオン注入を行う。イオン注入のドーズ量を調節することにより、n+型ソース領域7の接続部分S間に、線対称に配置され、n+型ソース領域7に接する領域で最も閾値が高くなっている閾値の値が異なる複数の領域(Vth1領域31、Vth2領域32、Vth3領域33)を形成する。
次に、p型炭化珪素エピタキシャル層3の表面上に、フォトリソグラフィによって所定の開口部を有するイオン注入用マスクを例えば酸化膜で形成する。この開口部に窒素(N)、リン(P)等のn型の不純物をイオン注入し、p型炭化珪素エピタキシャル層3の表面の一部にn+型ソース領域7を形成する。次に、n+型ソース領域7の形成に用いたイオン注入用マスクを除去し、同様の方法で、所定の開口部を有するイオン注入用マスクを形成し、p型炭化珪素エピタキシャル層3の表面の一部にリン等のp型の不純物をイオン注入し、p++型コンタクト領域8を形成する。p++型コンタクト領域8の不純物濃度は、p型炭化珪素エピタキシャル層3の不純物濃度より高くなるように設定する。ここまでの状態が図8に示されている。以下では、図1のp++型コンタクト領域8がn+型ソース領域7の間に設けられた構造の断面図のみを示す。
次に、1700℃程度の不活性ガス雰囲気で熱処理(アニール)を行い、第1p+型ベース領域4、第2p+型ベース領域5、n+型ソース領域7およびp++型コンタクト領域8の活性化処理を実施する。なお、上述したように1回の熱処理によって各イオン注入領域をまとめて活性化させてもよいし、イオン注入を行うたびに熱処理を行って活性化させてもよい。
次に、p型炭化珪素エピタキシャル層3の表面上に、フォトリソグラフィによって所定の開口部を有するトレンチ形成用マスクを例えば酸化膜で形成する。次に、ドライエッチングによってp型炭化珪素エピタキシャル層3を貫通し、n型高濃度領域6(2)に達するトレンチ18を形成する。トレンチ18の底部はn型高濃度領域6(2)に形成された第2p+型ベース領域5に達してもよい。次に、トレンチ形成用マスクを除去する。ここまでの状態が図9に示されている。
次に、n+型ソース領域7の表面と、トレンチ18の底部および側壁と、に沿ってゲート絶縁膜9を形成する。このゲート絶縁膜9は、酸素雰囲気中において1000℃程度の温度の熱酸化によって形成してもよい。また、このゲート絶縁膜9は高温酸化(High Temperature Oxide:HTO)等のような化学反応によって堆積する方法で形成してもよい。
次に、ゲート絶縁膜9上に、例えばリン原子がドーピングされた多結晶シリコン層を設ける。この多結晶シリコン層はトレンチ18内を埋めるように形成してもよい。この多結晶シリコン層をフォトリソグラフィによりパターニングし、トレンチ18内部に残すことによって、ゲート電極10を形成する。
次に、ゲート絶縁膜9およびゲート電極10を覆うように、例えばリンガラスを1μm程度の厚さで成膜し、層間絶縁膜11を形成する。次に、層間絶縁膜11を覆うように、チタン(Ti)または窒化チタン(TiN)またはチタンと窒化チタンの積層からなるバリアメタルを形成してもよい。層間絶縁膜11およびゲート絶縁膜9をフォトリソグラフィによりパターニングしn+型ソース領域7およびp++型コンタクト領域8を露出させたコンタクトホールを形成する。その後、熱処理(リフロー)を行って層間絶縁膜11を平坦化する。ここまでの状態が図10に示されている。また、層間絶縁膜11にコンタクトホールを形成した後に、チタン(Ti)または窒化チタン(TiN)またはチタンと窒化チタンの積層からなるバリアメタルを形成してもよい。この場合、バリアメタルにもn+型ソース領域7およびp++型コンタクト領域8を露出させるコンタクトホールが設けられる。
次に、層間絶縁膜11に設けられたコンタクトホール内および層間絶縁膜11上にソース電極13となる導電性の膜を形成する。導電性の膜は、例えばニッケル(Ni)膜である。また、n+型炭化珪素基板1の第2主面上にも、同様にニッケル(Ni)膜を形成する。その後、例えば970℃程度の温度で熱処理を行って、コンタクトホール内部のニッケル膜をシリサイド化してソース電極13とする。同時に、第2主面に形成したニッケル膜は、n+型炭化珪素基板1とオーミック接合を形成する裏面電極14となる。その後、未反応のニッケル膜を選択的に除去して、例えばコンタクトホール内にのみソース電極13を残す。
次に、例えばスパッタ法によって、炭化珪素半導体基体のおもて面のソース電極13および層間絶縁膜11を覆うように、第1TiN膜25、第1Ti膜26、第2TiN膜27、第2Ti膜28を順に積層し、さらにAl合金膜29を、厚さが例えば、5μm程度になるように形成する。Al合金膜29はAl膜であってもよい。Al合金膜29は、例えば、Al-Si膜またはAl-Si-Cu膜である。この導電性の膜をフォトリソグラフィによりパターニングし、素子全体の活性領域に残すことによってソース電極パッド15を形成する。
次に、Al合金膜29上にポリイミド膜を形成した後、フォトリソグラフィおよびエッチングにより当該ポリイミド膜を選択的に除去して、第1保護膜21を形成するとともに、第1保護膜21に開口部を形成する。次に、第1保護膜21の開口部に露出したAl合金膜29上にめっき膜16を形成する。
次に、めっき膜16と第1保護膜21との境界を覆うように第2保護膜23を形成する。第2保護膜23は例えばポリイミド膜である。その後、めっき膜16にはんだ17を介して外部電極ピン19を形成する。以上のようにして、図1~図4に示す半導体装置が完成する。
図11は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置と従来の炭化珪素半導体装置の特性を示すグラフである。図11において、横軸は、ドレインソース間の電圧を示し、単位はVである。縦軸はドレインソース間の電流を示し、単位はAである。図11では、Xで示す線が従来の炭化珪素半導体装置の特性を示し、Yで示す線が実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の特性を示す。従来の炭化珪素半導体装置は、図14のXで示す線のように、RonAが低く、飽和電流値が多い炭化珪素半導体装置である。
図11に示すように、定格動作時(図11の一点鎖線)では、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置と従来の炭化珪素半導体装置の特性は同じになっている。このため、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置は、定格動作時には、従来のRonAが低い炭化珪素半導体装置と同程度の電流を流すことができる。一方、飽和領域では、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置は、従来のRonAが低い炭化珪素半導体装置よりも飽和電流が低くなり、短絡耐量が高くなっている。
以上、説明したように、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置によれば、n+型ソース領域の隣り合うトレンチを接続する構造間に、閾値の値が異なる複数の領域が線対称に配置され、n+型ソース領域の上記構造に接する領域で最も閾値が高くなっている。これにより、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置は、定格動作時は、RonAが低い従来の炭化珪素半導体装置と同様の動作をし、飽和領域ではRonAが高い従来の炭化珪素半導体装置と同様の動作をする。このため、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置では、定格動作時のドレイン-ソース間の電流値を低下させない。さらに、短絡等の理由によりゲート電極に高電圧が印加されたとしても、過電圧保護部等が動作するまでに流れる飽和電流値を少なくし、炭化珪素半導体装置が破壊されることを防止でき、短絡耐量を改善することができる。
以上において本発明は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であり、上述した各実施の形態において、例えば各部の寸法や不純物濃度等は要求される仕様等に応じて種々設定される。また、上述した各実施の形態では、ワイドバンドギャップ半導体として炭化珪素を用いた場合を例に説明しているが、炭化珪素以外の例えば窒化ガリウム(GaN)などのワイドバンドギャップ半導体にも適用可能である。また、各実施の形態では第1導電型をn型とし、第2導電型をp型としたが、本発明は第1導電型をp型とし、第2導電型をn型としても同様に成り立つ。
以上のように、本発明にかかる半導体装置は、インバータなどの電力変換装置や種々の産業用機械などの電源装置や自動車のイグナイタなどに使用されるパワー半導体装置に有用である。
1、101 n+型炭化珪素基板
2、102 n型炭化珪素エピタキシャル層
2a 第1n型炭化珪素エピタキシャル層
2b 第2n型炭化珪素エピタキシャル層
3、103 p型炭化珪素エピタキシャル層
4、104 第1p+型ベース領域
4a 下部第1p+型ベース領域
4b 上部第1p+型ベース領域
5、105 第2p+型ベース領域
6、106 n型高濃度領域
6a 下部n型高濃度領域
6b 上部n型高濃度領域
7、107 n+型ソース領域
8、108 p++型コンタクト領域
9、109 ゲート絶縁膜
10、110 ゲート電極
11、111 層間絶縁膜
13、113 ソース電極
14、114 裏面電極
15、115 ソース電極パッド
16、116 めっき膜
17、117 はんだ
18、118 トレンチ
19、119 外部電極ピン
21、121 第1保護膜
23、123 第2保護膜
25、125 第1TiN膜
26、126 第1Ti膜
27、127 第2TiN膜
28、128 第2Ti膜
29、129 Al合金膜
31 Vth1領域
32 Vth2領域
33 Vth3領域
40 コンタクトホール
50、150 トレンチ型MOSFET

Claims (5)

  1. 第1導電型の半導体基板と、
    前記半導体基板のおもて面に設けられた、前記半導体基板より低不純物濃度の第1導電型の第1半導体層と、
    前記第1半導体層の、前記半導体基板側に対して反対側の表面に選択的に設けられた第2導電型の第2半導体層と、
    前記第2半導体層の、前記半導体基板側に対して反対側の表面層に選択的に設けられた第1導電型の第1半導体領域と、
    前記第2半導体層の、前記半導体基板側に対して反対側の表面層に選択的に設けられた前記第1半導体領域と接する第2導電型の第2半導体領域と、
    前記第1半導体領域および前記第2半導体層を貫通し、前記第1半導体層に達するストライプ形状のトレンチと、
    前記トレンチの内部にゲート絶縁膜を介して設けられるゲート電極と、
    前記第1半導体領域および前記第2半導体領域の表面に設けられた第1電極と、
    前記半導体基板の裏面に設けられた第2電極と、
    を備え、
    前記第1半導体領域は、隣り合う前記トレンチに接する前記第1半導体領域を接続する構造であって、前記トレンチがストライプ状に延びる方向に周期的に並んだ前記構造を含み、
    前記第1電極は、前記第1半導体領域の前記構造でのみ前記第1半導体領域と接し、
    隣り合う2つの前記構造の間に閾値の値が異なる複数の領域が、前記隣り合う2つの前記構造同士の中間を中心として線対称に配置され、前記第1半導体領域の前記構造に接する領域で最も閾値が高いことを特徴とする半導体装置。
  2. 前記構造と前記構造の間に、前記構造と接する第1領域と、前記第1領域の間に設けられた第2領域とを有し、
    前記第2領域は、前記第1領域よりも閾値の値が低いことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記構造と前記構造の間に、前記構造と接する第1領域と、前記第1領域と接し、前記構造と離れた第2領域と、前記第2領域の間に設けられた第3領域とを有し、
    前記第3領域は、前記第2領域よりも閾値の値が低く、前記第2領域は、前記第1領域よりも閾値の値が低いことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  4. 前記閾値の値が異なる複数の領域は、前記第2半導体層に注入された不純物の濃度が異なる領域であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の半導体装置。
  5. 前記線対称の中心となる領域において、最も閾値が低いことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
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