第1実施形態に係る眼科装置の外観を示す斜視図である。
第1実施形態に係る眼科装置の外観を示す側面図である。
顔支持部の外観を示す正面図である。
第1実施形態に係る眼科装置のブロック構成を示す図である。
第1実施形態に係る眼科装置の動作の一例を示すフローチャートである。
表示面に表示される被検眼像と操作ボタンとの一例を示す説明図であって、アライメント完了前の被検眼像の状態を示す図である。
表示面に表示される被検眼像と操作ボタンとの一例を示す説明図であって、アライメント完了後の測定実行時の状態を示す図である。
第2実施形態に係る眼科装置において、光学テーブルと顎受け部との協調移動による被検眼と測定ヘッドとの位置合わせの一例を説明するための説明図であり、(a)は被検眼に対して測定ヘッドが下方に位置する際の位置合わせの一例を示し、(b)は被検眼に対して測定ヘッドが上方に位置する際の位置合わせの一例を示す。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係る眼科装置を、図面に基づいて説明する。まず図1~図4に基づいて、第1実施形態に係る眼科装置1の構成を説明する。図1は、第1実施形態に係る眼科装置1の外観を示す斜視図であり、図2はその側面図である。図3は顔支持部の外観を示す正面図である。図4は第1実施形態に係る眼科装置1のブロック構成を示す図である。
なお、本明細書を通じて各図に記すようにX軸、Y軸及びZ軸を取り、図1における左右方向(X軸正方向が右方向、負方向が左方向)、前後方向(Z軸正方向が後方向、負方向が前方向)及び上下方向(Y軸正方向が上方向、Y軸負方向が下方向、高さ方向ということもある)を基準として明細書中の説明を行う。また、被検者P側(Z軸負方向)を眼科装置1の正面、被検者Pと対峙する側(Z軸正方向)を眼科装置1の背面、被検者Pの右側(X軸正方向)を眼科装置1の右側、被検者Pの左側(X軸負方向)を眼科装置1の左側と定義する。
本実施形態の眼科装置1は、例えば、自覚検査として、遠用検査、近用検査、コントラスト検査、グレア検査などを実行可能であり、他覚測定として、他覚屈折測定、角膜形状測定などを実行可能な眼科装置(オートレフケラトメータ)とすることができる。
なお、本発明を適用する眼科装置1がオートレフケラトメータに限定されるものではなく、視標表示装置、レフラクターヘッド、視標表示装置やレフラクターヘッドを備えた検眼装置、その他の自覚検査装置、他覚屈折測定装置、角膜形状測定装置、眼底撮影装置、眼軸長測定装置、眼圧測定装置、眼軸長測定装置、光コヒーレンストモグラフィ(Optical Coherence Tomography:OCT)装置、走査型レーザー検眼鏡(Scanning Laser Ophthalmoscope:SLO)等であってもよい。
図1~図4に示すように、第1実施形態に係る眼科装置1は、本体部10及び顔支持部20を有する眼科装置本体2と、眼科装置本体2が載置される光学テーブル30と、を主に備えて構成される。また、眼科装置1は、この他にも、眼科装置1に対してデータを入力したり、操作指示を与えたりするための操作部19を備えている。
本実施形態の眼科装置1は、被検眼Eと本体部10の測定ヘッド12との高さ調整を行うに際して、光学テーブル30を上下方向に移動し、この移動状態に応じて顔支持部20の移動状態を決定し、この移動状態に従って顔支持部20を移動させるものである。以下、このように光学テーブル30と顔支持部20とが連動して移動することを、「協調移動」という。
本体部10は、ベース部11と測定ヘッド(測定部)12とを備えており、カバー部材13によって被覆されている。測定ヘッド12の頂部には、図1、図2等に示すように、表示部としてのモニタ部14が設けられている。
本体部10のベース部11と測定ヘッド12とモニタ部14とは、電気的に接続されている。また本体部10と、顔支持部20及び光学テーブル30も電気的に接続されている。このため、ベース部11と測定ヘッド12とモニタ部14との間、さらには本体部10と顔支持部20と光学テーブル30との間で、データや操作指示の通信などが可能となる。また、例えばベース部11に設けられた電力供給部から、測定ヘッド12、モニタ部14及び顔支持部20、さらには光学テーブル30に電力が供給される。なお、光学テーブル30の電力供給部は眼科装置本体2とは別個に設けてもよい。
測定ヘッド12の内部には、図2に破線で示すように、公知の観察・撮影用の測定光学系15や測定光学系15を制御する制御回路等が設けられている。測定光学系15は、光学レンズ、撮像素子等を含み、この測定光学系15により、被検者Pの被検眼Eの前眼部、角膜、眼底等が観察・撮影可能である。測定ヘッド12の正面には、前眼部の照明用及び膜形状を測定する測定用の光源が輪環状に配置されている。
ベース部11には、図2に破線で示すように、測定ヘッド12をXYZ方向へ駆動する公知のXYZ駆動機構・駆動回路16が設けられている。XYZ駆動機構・駆動回路16は、駆動部として、例えばステッピングモータが用いられる。
測定ヘッド12は、XYZ駆動機構・駆動回路16によりベース部11に対して水平方向つまり前後左右方向(X軸方向及びZ軸方向)、及びこれに垂直な垂直方向つまり上下方向(Y軸方向)に駆動される。これにより、測定ヘッド12はベース部11に対して水平方向及び垂直方向にそれぞれ移動自在に支持されている。測定ヘッド12の駆動は、モニタ部14のタッチパネル式の表示面40を操作することで行える。すなわち、表示面40は操作部19として機能する。
モニタ部14は、液晶ディスプレイからなり、被検眼像と操作ボタン等が表示されるタッチパネル式の表示面40を有している。モニタ部14は、カバー部材14aによって被覆されている。カバー部材14aには、制御回路ユニット等が内蔵されている。モニタ部14は、測定ヘッド12の頂部の一縁に固定された支持部12aに、水平軸回り(X軸又はZ軸回り)及び垂直軸周り(Y軸周り)に回動自在に取付けられている。この構成により、モニタ部14の表示面40を、検者の位置、姿勢、目線の高さなどに応じて、所望の角度や方向に配置できる。例えば、図2に示すように本体部10の背面方向に表示面40を向けることや、図1に示すように本体部10の正面方向に表示面40を向けることができる。また、モニタ部14を本体部10の右側又は左側に配置し、表示面40を右側又は左側に向けることもできる。
制御回路ユニットは、ハードウェア的には、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ等を含んで構成される。制御回路ユニットは、図4に示す主制御部17と、内部メモリ17aと、記憶部18として機能する。主制御部17は、主にマイクロプロセッサからなり、内部メモリ17aはRAM等からなり、記憶部18はROM、EEPROM、フラッシュメモリ等からなる。
主制御部17には、図4に示すように、測定光学系15、XYZ駆動機構・駆動回路16、モニタ部14、記憶部18、操作部19、顔支持部20の駆動機構25、光学テーブル30のテーブル制御部33、等が接続されている。主制御部17は、記憶部18又は内部メモリ17aに記憶したプログラムを例えばRAM上に展開し、適宜操作部19からの操作入力信号に応じて、これら眼科装置1の各部を統括的に制御する。
表示面40に表示される画面の例を、図6、図7を参照して説明するが、表示面40に表示される画面がこの例に限定されることはない。図6、図7に示すように、矩形状の表示面40には、被検眼像等表示領域40aと操作ボタン表示領域40b~40dとが設けられている。被検眼像等表示領域40aには、その画面中央に矩形状の目標エリアマーク40eと最小瞳孔径判定マーク40fとが表示されている。最小瞳孔径判定マーク40fは、この最小瞳孔径判定マーク40f以下の瞳孔径の場合、測定を中止するのに用いられる。
操作ボタン表示領域40b,40c,40dは、表示面40に向かってその被検眼像等表示領域40aを挟んでその左右両辺部と、下辺部にそれぞれ設けられている。左辺部の操作ボタン表示領域40bには、患者のIDを入力するためのIDボタンB1、右眼を選択するためのRボタンB2、顔支持部20に設けた顎受け部22を上下動させるための顎受け上下動ボタンB3、眼科装置1全体の設定をリセットするためのリセットボタンB4、レフ(眼屈折力)、ケラト(角膜形状)、レフ/ケラト等の測定モードを切り替えるための測定モードボタンB5が配置されている。また、顎受け上下動ボタンB3の近傍には、光学テーブル30及び顎受け部22を協調移動させるための協調ボタンB12が配置されている。
右辺部の操作ボタン表示領域40cには、セットアップ画面を表示するためのセットアップボタンB6、左眼を選択するためのLボタンB7、測定ヘッド12を前後方向に移動させるための測定ヘッド前後ボタン(Z方向ボタン)B8、マニュアルモード時に測定を開始させるためのスタートボタンB9、マニュアル・オート切り替えボタンB10が配置されている。
下辺部の操作ボタン表示領域40dには、白内障等の被検眼を測定する際に用いる白内障ボタン、測定結果のプリントアウトボタン、測定値クリアボタン等、各種ファンクションボタンB11が配置されている。
被検眼像等表示領域40aには、観察中の前眼部像の他、測定結果やその他検査に関連する文字、記号、符号等の他、図形等の画像が適宜表示される。図7には、被検眼Eの前眼部像Gfと測定結果S,C、Aが表示される。図6、図7において、Gf’は虹彩像、Gf”は瞳孔像である。また、P1は角膜輝点像、P2はアライメント指標像である。
例えば、前眼部像Gfの観察モードのときに、図6に示すように、検者が指等で被検眼像等表示領域40aの前検部像Gfの瞳孔付近をタッチする。主制御部17は、このタッチ操作による操作入力信号を受け付けて、タッチ箇所tpに対応する画像部位が画面中心G0に位置するように、測定ヘッド12を上下左右に移動する。これにより、被検眼像の瞳孔像Gf”が画面中央に位置するように制御され、アライメントが行われる。
このとき、主制御部17は、例えば、画面中心G0からタッチ箇所tpまでの画面上での距離Lを演算し、この距離Lに基づいてXYZ駆動機構・駆動回路16の駆動部を駆動制御する。この駆動制御により、被検眼に対して測定ヘッド12を上下左右方向(Y軸方向及びX軸方向)に移動させる。
また、主制御部17は、目標エリアマーク40eの近傍に瞳孔中心PDOが位置して、角膜輝点像P1が検出されると、角膜輝点像P1の検出位置と画面中心G0との距離に基づいてXYZ駆動機構・駆動回路16の駆動部を駆動制御し、測定ヘッド12を上下左右方向(Y軸方向及びX軸方向)に駆動するとともに、角膜輝点像P1のピントが合焦するように、測定ヘッド12を前後方向(Z軸方向)に駆動する。そして、角膜輝点像P1が目標エリアマーク40e内に入り、かつ角膜輝点像P1の出力値が所定値を超えると、主制御部17による測定光学系15の制御により、測定が自動的に実行される。
操作部19は、前述したように、モニタ部14のタッチパネルを含み、その表示面40に表示された操作ボタンやキーボード等に対する操作入力を受け付け、この操作入力信号を主制御部17に出力する。また、操作部19は、本体部10の電源ボタン、後述の光学テーブル30の電源ボタン34、昇降レバー35及び協調ボタン36等も含み、これらに対する操作入力を受け付け、この操作入力信号を主制御部17、テーブル制御部33に出力する。なお、眼科装置1にジョイスティックや操作ボタンが備えられている場合、これらジョイスティック等も操作部19に含まれる。
顔支持部20は、本体部10のベース部11の前方(正面)に連結して設けられている。なお、顔支持部20が、本体部10に連結された構成に限定されるものではなく、顔支持部20が本体部10と分離し、光学テーブル50上に設置された構成でもよい。
顔支持部20は、ベース部11に連結固定された基部21と、基部21に上下動自在に設けられた顎受け部22と、基部21の左右両側に突出して設けられた一対の支柱23と、この一対の支柱23の上端に設けられた額当て部24と、顎受け部22を上下方向に移動させる駆動機構(顔支持部駆動機構)25と、等を主に備えて構成される。また、測定部との前後方向の位置を調整するため、顔支持部20は、駆動機構25によって前後方向に移動自在に設けられていてもよい。
被検者Pは、例えば眼科装置本体2の前方(正面)に設けられた椅子9等に座った状態で眼科装置本体2と対峙し、顎受け部22に顎を置き、額当て部24に額を当てた状態で検査等を受ける。なお、被検者Pが立った状態で検査等を行ってもよい。
顎受け部22は、被検者Pの顎が載置される部材である。本実施形態では、この顎受け部22を基部21に対して上下動自在に設けることで、顎受け部22を本体部10に対して上下動自在としているが、他の異なる実施形態として、顔支持部20全体を本体部10に対して上下動自在に構成してもよい。
駆動機構25は、公知の駆動機構によって構成され、制御部の制御により駆動して、顎受け部22を上方向又は下方向の所定の移動方向に、所定の移動量(移動距離)で、所定の移動速度により移動させる。本明細書では、移動方向、移動量、移動速度等、移動に関わる態様、数値、その他の条件を、「移動状態」と定義する。
額当て部24は、被検者Pの額が突き当てられる部材である。本実施形態では、額当て部24は一対の支柱23に固定されているが、他の異なる実施形態として、額当て部24が前後方向の位置を調整自在となっていてもよい。この調整は、手動で行う構成としてもよいし、適宜の駆動機構(顔支持部駆動機構)が自動で行う構成としてもよい。
また、顔支持部20は、被検眼Eの眼特性の測定中に、被検者Pの顔(頭部)が不測に移動することのないよう、被検者Pの顔を安定して支持できるものであれば、何れの構成であってもよい。他の異なる実施形態として、例えば顔支持部20が、顎受け部22及び額当て部24の一方のみを有する構成であってもよい。なお、額当て部24のみを有する場合は、この額当て部24(又は顔支持部20全体)を所定の駆動機構によって上下方向等に移動自在とする。
主制御部17は、顎受け上下動ボタンB3の操作入力を受けて駆動機構25を制御し、顎受け部22を上下に移動させる。また、主制御部17は、光学テーブル30の移動状態に応じて顎受け部22の移動状態を決定し、この移動状態に従って駆動機構25を制御し、顎受け部22を移動させる。
本実施形態では、主制御部17が顔支持部制御部として機能しているが、これに限定されることはなく、主制御部17とは別個に顔支持部制御部を設けてもよい。この場合、主制御部17からの指示信号に応じて、顔支持部制御部が駆動機構25を駆動制御して顎受け部22を上下に移動させる。
光学テーブル30は、眼科装置1が載置される天板31と、この天板31を昇降させる昇降機構(テーブル駆動機構)32と、昇降機構32の駆動を制御するテーブル制御部33と、電源ボタン34と、昇降機構32を作動するための昇降レバー35と、光学テーブル30及び顎受け部22を協調移動させるための協調ボタン36と、昇降機構32が取り付けられたキャスターベース37と、を備えて構成される。
昇降機構32は、テーブル制御部33の制御の下、天板31を昇降させる。これにより、被検者Pの身長や座高、被検眼Eの高さに応じて、天板31の高さを調整できる。このように、昇降機構32によって実際には天板31が昇降するが、本明細書では、天板31の昇降と同等の意味で、「光学テーブル30が昇降する。」ということがある。
昇降機構32は、昇降杆32aと、この昇降杆32aを上下動自在に支持する支持杆32bと、昇降杆32aを上下動させる駆動部32cと、を備えている。昇降杆32aは、天板31の裏面の略中央に固定され、天板31を支持する。また、昇降杆32aは、駆動部32cの駆動力により支持杆32bに沿って上下動し、天板31を昇降させる。この昇降杆32aの移動状態(移動方向、移動距離、移動速度等)は、ロータリーエンコーダ等によって検出され、テーブル制御部33に出力される。
駆動部32cは、例えば、電動アクチュエータ等から構成される電動式としているが、この構成に限定されることはない。駆動部32cとして、油圧式、空圧式、ネジ式、リンク式、その他の公知の昇降機構を用いることができる。
キャスターベース37は、光学テーブル30全体を支持する。キャスターベース37には、ロック機構付きのキャスター37aが設けられている。よって、検者等が眼科装置1を所望の設置場所へ容易に移動でき、かつ、設置場所では、キャスター37aをロックすることで、不測に移動しないように眼科装置1を安定して設置できる。
また、昇降機構32の構造が、図1に示すような構造に限定されることはない。他の異なる実施形態として、例えば昇降機構32を天板31の左右方向(X方向)のいずれかの端部に設けてもよいし、両端部に一対設けてもよい。この構成では、天板31の下方の空間を広くして、被検者Pの足等を配置でき、被検者Pがより楽な姿勢で測定できる。
テーブル制御部33は、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の内部メモリ33aと、等を有して構成される。テーブル制御部33は、昇降機構32、電源ボタン34、昇降レバー35及び協調ボタン36と電気的に接続されている。昇降レバー35は、押し上げ操作と押し下げ操作が自在であり、これらの操作がされると、上昇又は下降の操作入力信号をテーブル制御部33に出力する。電源ボタン34及び協調ボタン36は、ON/OFFの操作入力信号をテーブル制御部33に送出する。
テーブル制御部33は、昇降レバー35からの上昇又は下降の操作入力信号を受け付けて、昇降機構32を制御して駆動させ、天板31(光学テーブル30)を所定の移動状態(上方向又は下方向の所定の移動方向、所定の移動量(移動距離)及び所定の移動速度)で移動させる。また、テーブル制御部33は、協調ボタン36からのON信号を受けると、光学テーブル30及び顎受け部22を協調移動させるべく、光学テーブル30の移動状態の情報を、逐次主制御部17に送出する。
なお、本実施形態では、光学テーブル30(天板31)が昇降自在に構成されているため、顎受け部22の「移動状態」と区別して説明を容易とするため、以下では光学テーブル30の「移動状態」を、「昇降状態」(昇降方向、昇降量(昇降距離)及び昇降速度)と称して説明する。
また、本実施形態では、協調ボタンを本体部10(協調ボタンB12)と光学テーブル30(協調ボタン36)の双方に設けているが、一方のみに設けてもよい。また、本実施形態では、電源ボタン34及び昇降レバー35を、光学テーブル30に設けているが、操作がし易いように、これらを本体部10に設けてもよいし、双方に設けてもよい。
本実施形態では、タッチパネル式の表示部の操作又は光学テーブル30の各種ボタン若しくはレバー34~36の操作により眼科装置1を操作しているが、この構成に限定されることはない。例えば、眼科装置1と通信可能なコントローラ、PC等を操作部19として備え、これらによって眼科装置1を操作し、光学テーブル30や顔支持部20の協調移動を実行させてもよい。
ここで、光学テーブル30と顎受け部22との「協調移動」の必要性について説明する。被検眼Eの特性を測定するに際して、被検眼Eに対する測定ヘッド12のアライメントが実行される。このとき、被検眼E(例えば瞳孔中心を基準とする)と測定ヘッド12(例えば測定光学系15の光軸を基準とする)の位置のずれが、測定ヘッド12での測定許容範囲内、又は測定ヘッド12のXYZ方向の可動範囲内であれば、測定光学系15の光学調整や測定ヘッド12の移動によって、アライメントを適切に行える。
しかしながら、測定ヘッド12のXYZ方向への移動可能な距離は、数ミリ~十数ミリ単位であるのに対して、顎受け部22は数センチ単位で移動可能である。そのため、顎受け部22の移動量が大きく被検眼Eと測定ヘッド12の高さ方向の位置のずれが過度に大きいと、測定ヘッド12を最大限に上昇又は下降させても、被検眼Eに対して測定光学系15を適切な位置に配置するのが困難となり、アライメントを適切に行えなくなる場合がある。
例えば、大人と幼児とでは顎から被検眼Eまでの高さが異なるため、大人の測定の後に幼児が顎受け部22に顎を載置したときに、測定ヘッド12に対する被検眼Eの位置が過度に低くなることがある。逆に幼児の測定の後に大人が顎受け部22に顎を載置したときに、測定ヘッド12に対する被検眼Eの位置が過度に高くなることがある。
このような場合、従来は光学テーブル30を昇降させて測定ヘッド12の高さを調整し、さらに顎受け部22の高さを調整していた。しかし、被検者Pが顎受け部22に顎を載せた状態で光学テーブル30や顎受け部22を昇降させると、被検者Pの顔も上下に移動して不快感を与えるとともに、顎受け部22から顎が外れてしまうことがあり、被検者Pの顔の安定した支持が困難であった。また、光学テーブル30の調整と顎受け部22の調整とを別個に行うため、手間がかかるとともに、微調整が困難であった。
そこで、本実施形態では、測定ヘッド12の移動だけでは適切なアライメントや測定が行えなくなる場合、又は行えなくなると予想される場合は、光学テーブル30と顎受け部22との協調移動によって被検眼Eと測定ヘッド12との位置合わせ(本実施形態では高さ調整)を行う。これにより、被検者Pに身体的な負担等を与えることなく、かつ効率的に測定ヘッド12と被検眼Eとの高さ調整を行える。
本実施形態では測定ヘッド12の上下方向(Y方向)の可動範囲の上限値及び下限値と、被検眼Eと測定ヘッド12との距離とを比較して、その差分が所定の閾値を超えたとき、協調移動による高さ調整を行うものとしている。また、駆動部の負荷を軽減する等の目的で、測定ヘッド12の移動量が上限値及び下限値に到達しないように、上限値及び下限値を適宜補正した値を閾値としてもよい。
また、他の異なる実施形態として、顎と被検眼Eとの距離に基づいて、その上限と下限の閾値を設定し、顎受け部22と測定ヘッド12の基準位置(例えば測定光学系15の上下方向の中心)との距離が、上限の閾値を超えたとき、又は下限の閾値未満となったときに、協調移動による高さ調整を行ってもよい。この場合、例えば顎受け部22の移動量をロータリーエンコーダ等で計測しておき、この計測値に基づいて顎受け部22と測定ヘッド12(例えば測定光学系15の光軸)との距離を算出する。また、顎と被検眼Eとの距離は、例えば、平均値、平均値±標準偏差(σ×A)(Aは整数)等を用いることができる。
これらの閾値は、記憶部18に登録される。閾値は、工場出荷時、搬入時、使用時等に提供元やユーザが登録や変更したり、選択したりできることが望ましい。例えば、眼科装置1を提供する国の人種等に応じて、更には年齢別に、その人種や年齢等の平均値等を設定できるようにすれば、被検眼Eと測定ヘッド12との位置合わせを、より適切に行える。
上述のような構成の第1実施形態に係る眼科装置1の動作の一例を、図5のフローチャートを参照しながら説明する。図5に示すフローチャートの動作は、眼科装置1の電源が投入され、協調ボタンB12又は協調ボタン36が操作されたときに開始される。
まず、被検者Pの被検眼Eの特性を測定するに際して、検者は眼科装置1(眼科装置本体2及び光学テーブル30)の電源を投入する。これにより、眼科装置1が起動し、主制御部17が内部メモリ17aに格納されたプログラムを実行し、各部の初期設定を行う。
この初期設定の際には、主制御部17は、XYZ駆動機構・駆動回路16、駆動機構25、昇降機構32を制御して駆動させ、測定ヘッド12、顔支持部20及び光学テーブル30を初期位置に移動させ、リセット動作を実行してもよい。また、表示面40のリセットボタンB4の操作を受け付けて、リセット動作を行ってもよい。
次に、検者は表示面40の協調ボタンB12又は光学テーブル30の協調ボタン36を操作する。この操作によって、タッチパネル又は協調ボタン36から操作入力信号が出力され、主制御部17がこの操作入力信号を受け付ける(ステップS1)。これにより、協調移動を伴う測定処理が開始される。
そして、検者は、被検者Pを椅子9に座らせて、眼科装置本体2と対峙させる。次いで、被検者Pが、背中を丸めたり、中腰になったりすることなく、楽な姿勢で顎受け部22に顎を載せられるように光学テーブル30の高さを調整するべく、検者が光学テーブル30の昇降レバー35を押し上げ操作又は押し下げ操作する。昇降レバー35から出力される上昇又は下降の操作入力信号を受け付けたテーブル制御部33が、昇降機構32を駆動制御することで、天板51を昇降させ、光学テーブル30の高さが調整される(ステップS2)。
光学テーブル30の高さ調整を行ったら、検者の指示によって被検者Pの顎を顎受け部22に載置させ、額を額当て部24に当てさせる。このとき、検者は、被検者Pが楽な姿勢での検査が可能となるよう顎受け部22の高さを調整するべく、モニタ部14の表示面40の顎受け上下動ボタンB3を操作する。すると、主制御部17がタッチパネルからの操作指示信号を受け付けて、駆動機構25を駆動制御することで、顎受け部22を上下に移動させる(ステップS3)。
光学テーブル30及び顎受け部22の調整が完了したら、アライメントを実行するため、検者がモニタ部14の表示面40を操作する。この表示面40には、図6に示すように、各種操作ボタンB1~B17と、測定光学系15により取得された被検眼Eの前眼部像Gfが表示されている。この表示面40で、検者は前述したように、瞳孔付近をタッチ操作して、アライメントの指示の入力操作を行う。
なお、被検眼Eが測定光学系15での測定許容範囲内に位置していない場合等は、表示面40に前眼部像Gfが表示されないことがあるが、この場合も表示面40のタッチ操作等によってアライメントを指示する。この段階で、協調ボタンB12をタッチ操作して、協調移動によるアライメントを指示してもよい。
これらの操作によってタッチパネルからアライメントの操作入力信号が出力される。ステップS4では、この操作入力信号を主制御部17が受け付け、前眼部像Gfに基づいて、例えば、測定光学系15の光軸Iと被検眼Eの瞳孔中心との上下方向の距離を算出する。
ステップS5で、主制御部17は、この距離が測定ヘッド12の上下方向の移動量の閾値(許容範囲)を超えたか否かを判定する。このステップS5でYESと判定された場合は、光学テーブル30と顎受け部22とを協調移動して被検眼Eと測定ヘッド12との高さ調整を行うべく、ステップS6へ進む。これに対して、ステップS5でNOと判定された場合は、被検眼Eが測定光学系15の測定許容範囲内にあるか、被検眼Eと測定光学系15との距離が測定ヘッド12の移動許容範囲内(測定ヘッド12の移動で高さ調整が可能)にあるため、ステップS6~S7をスキップしてステップS8へと進む。
ステップS6では、主制御部17が、被検眼Eと測定光学系15との距離に基づいて、光学テーブル30の昇降方向、昇降距離、昇降速度等の昇降状態を算出する。昇降方向は、例えば、測定ヘッド12が上方向の移動の閾値に達していたときは、上方向を設定し、下方向の移動の閾値に達していたときは、下方向を設定する。昇降距離は、例えば、前眼部像Gfを画像解析して、瞳孔中心を画面中心G0に位置させることができる距離とする。また、移動速度は、予め決められた一定の速度でもよいが、例えば、移動距離が所定距離よりも長い場合は速度を速くし、所定距離に達した後は速度を遅くすれば、光学テーブル30の昇降をより効率的、かつ精度よく行える。
これら昇降状態のデータは、主制御部17からテーブル制御部33に送信される。テーブル制御部33は、この昇降状態に従って昇降機構32を駆動制御し、天板31を昇降させる。なお、被検眼Eと測定ヘッド12とのずれが過度に大きく、測定光学系15によって前眼部像Gfが取得できない場合等は、前眼部像Gfが取得できる位置まで、光学テーブル30を上昇及び/又は下降させるように昇降機構32を駆動制御してもよい。
このステップS6の処理に対応して、ステップS7で、主制御部17は、光学テーブル30の昇降状態に応じて、顎受け部22の移動状態を決定する。具体的には、光学テーブル30の上昇時は、顎受け部22の移動方向を下方向と設定し、光学テーブル30の下降時には顎受け部22の移動方向を上方向と設定する。移動距離は、光学テーブル30の昇降距離と等量とし、昇降速度は等速とする。そして、主制御部17は、上記昇降状態で光学テーブル30を昇降させるときに、当該移動状態で駆動機構25を駆動制御し、顎受け部22を上下方向に移動させる。
以上の処理により、光学テーブル30とともに測定ヘッド12が昇降し、これらと反対方向に等量かつ等速で顎受け部22が移動するため、顎受け部22の被検者Pの顔に対する相対的な位置が変化しない。そのため、被検者Pの顔を上下方向に移動させることなく、顎受け部22で安定して支持しつつ、被検者Pの被検眼Eに合わせて測定ヘッド12の高さを精度よく調整できる。
光学テーブル30の昇降及び顎受け部22の移動により、高さ調整を適切に行ったら、ステップS8で、主制御部17は、前眼部像Gfに基づいて、XYZ駆動機構・駆動回路16を駆動制御してアライメントを実行する。
アライメントが完了したら、ステップS9の被検眼Eの眼特定の測定に進む。例えば、アライメントによって、角膜輝点像P1が目標エリアマーク40e内に入りかつ角膜輝点像P1の出力値が所定値を超えたとき、又はスタートボタンB9の操作入力信号を受け付けたとき、主制御部17は測定光学系15を制御し、被検眼Eの眼特性の測定を実行させる。
以上説明したように、第1実施形態に係る眼科装置1は、被検者Pの被検眼Eの情報を取得する測定部(測定ヘッド12、測定光学系15)を有する本体部10と、被検者Pの顔を支持し本体部10に対して移動自在に設けられた顔支持部20と、本体部10が載置される光学テーブル30と、を備えている。光学テーブル30は、測定部の測定許容範囲内に被検眼Eが位置するように、所定の移動状態で移動され、顔支持部20は、光学テーブル30の移動状態に応じて移動状態が決定され、当該移動状態に基づいて移動される構成である。また、移動状態は、移動方向、移動量及び移動速度の少なくとも何れかを含んでいる。
このため、被検眼Eと測定ヘッド12との位置合わせに際して、被検者の顔が不測に移動するのを抑制でき、被検者Pが楽な姿勢を保つことができる。また、顔支持部20で被検者Pの顔を安定して支持できる。したがって、測定光学系に対する被検眼Eの高さ調整を適切かつ迅速に行って、測定効率を向上させることができる眼科装置1を提供できる。
また、上記第1実施形態では、顔支持部20は、光学テーブル30の移動量と同じ移動量で、光学テーブル30の移動方向とは反対方向に移動される構成である。この構成により、顔支持部20で顔を支持した状態で、被検者Pの顔を移動させることなく、適切に位置調整が可能となる。
また、第1実施形態では、顔支持部移動機構(駆動機構25)と、顔支持部制御部(主制御部17)と、テーブル移動機構(昇降機構32)と、テーブル制御部33と、を備えている。テーブル制御部33は、測定部(測定ヘッド12、測定光学系15)の測定許容範囲内に被検眼Eが位置するように、テーブル移動機構を制御して光学テーブル30を所定の移動状態で移動させる。顔支持部制御部は、光学テーブル30の移動状態に応じて顔支持部20の移動状態を決定し、当該移動状態に基づいて顔支持部移動機構を制御して決定した移動状態で顔支持部20を移動させる。
したがって、光学テーブル30と顔支持部20との協調移動を、制御系によって自動で実行させることができ、検者等がボタン操作等で行う必要がない。よって、特に検者が不在で被検者Pが自身で測定等を行う眼科装置や、ネットワークでホストと接続され、ホスト側からのリモート操作によって自動で測定等を行う眼科装置システムにこれらの機能を適用することで、協調移動による位置調整の顕著な効果を享受でき、これらの利便性や操作性等を向上できる。
また、上記第1実施形態では、本体部10は、被検眼Eが測定部(測定ヘッド12、測定光学系15)の測定許容範囲に位置するように、測定部を少なくとも上下方向に移動させる測定部移動機構(XYZ駆動機構・駆動回路16)を備えている。そして、測定部移動機構による測定部の移動が、移動許容範囲外となったとき又は移動許容範囲外となると予想されるときに、光学テーブル30を所定の移動状態で移動させ、この移動状態に応じて決定した顔支持部20(顎受け部22)の移動状態に基づいて、顔支持部20を移動させている。よって、測定部、光学テーブル30及び顔支持部20を、互いに連動(協調)させて移動でき、被検眼Eと測定ヘッド12との位置合わせを、より適切かつ高精度に行える。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の眼科装置について説明する。第2実施形態の眼科装置1は、図4に破線で示すように、顔支持部20が検出センサ26を備えていること以外は、図1等に示す第1実施形態の眼科装置1と同様の基本構成を備えている。そのため、以下では第1実施形態と同様の構成及び動作については詳細な説明を省略し、第1実施形態と異なる構成及び動作について説明する。
検出センサ26は、顎受け部22に設けられ、顔支持部20と被検者Pの顎との接触状態を検出する検出部として機能する。この検出センサ26としては、具体的には、圧力センサ、フォトセンサ、磁気センサ、スイッチ等が挙げられる。また、検出センサ26として顎受け部22近傍を撮影するカメラを用い、撮影画像に基づいて顔支持部20と被検者Pの顎との接触状態を検出してもよい。
このような検出センサ26を備えることで、例えば、被検者Pが楽な姿勢で眼科装置本体2と対峙したときに、顎受け部22が顎に接触していない場合の被検眼Eと測定ヘッド12との高さ調整に有効である。
以下、このような場合の高さ調整について、図8を参照しながら説明する。図8(a)は、被検眼Eに対して測定ヘッド12が下方に位置する際の位置合わせの一例を示す図である。この例では、図8(a)の紙面左図に示すように、被検眼Eと測定光学系15の光軸Iとの上下方向における距離が、測定ヘッド12のY軸方向への移動の上限値を超えており、かつ被検者Pの顎が顎受け部22に接触していない。
この状態において、主制御部17(テーブル制御部33)は、被検眼Eが測定光学系15の光軸Iと一致又は測定光学系15での測定許容範囲に位置するような昇降距離で、光学テーブル30を上昇させる。このとき、検出センサ26により顎受け部22と顎との接触は検出されていない。この状態で光学テーブル30の上昇に対応して顎受け部22を下方に移動させると、顎受け部22と顎との距離がより大きくなってしまうため、主制御部17は顎受け部22の移動を実行しないように制御する(例えば、移動方向:未定、移動距離:0、移動速度:0とする)。
光学テーブル30の上昇によって、図8(a)の紙面右図のように、被検者Pの顎が顎受け部22に接触すると、検出センサ26によってこの接触が検出され、検出信号が主制御部17に出力される。この検出信号を受け付けた主制御部17は、光学テーブル30の上昇が継続しているときは、この上昇に対応した移動状態(移動方向:下方向、移動距離:等量、移動速度:等速)で、顎受け部22を下方向に移動させる。そして、測定光学系15に対する被検眼Eの高さが適切となったときに、光学テーブル30の上昇と顎受け部22の移動を停止する。なお、顎受け部22への顎の接触を検出したときに、被検眼Eの高さが測定光学系15の測定許容範囲内に到達していたら、顎受け部22を移動することなく光学テーブル30の上昇を停止してもよい。
図8(b)は、被検眼Eに対して測定ヘッド12が上方に位置する際の位置合わせの一例を示す図である。この例では、図8(b)の紙面左図に示すように、被検眼Eと測定光学系15の光軸Iとの上下方向における距離が、測定ヘッド12のY軸方向への移動の下限値を超えており、かつ被検者Pの顎が顎受け部22に接触していない。
この場合は、光学テーブル30を下降に応じて、顎受け部22を上方へ移動する。しかし、被検眼Eと光軸Iとの距離よりも、顎受け部22と顎との距離が過度に大きい場合は、被検眼Eと測定光学系15との高さを適切に調整しても、顎受け部22に顎が接触しない場合もある。このため、主制御部17は、これらの距離の大小関係に基づいて顎受け部22の移動状態を決定し、光学テーブル30を上昇させつつ、顎受け部22を上方に移動させる。つまり、顎受け部22と顎の距離のほうがより大きい場合は、光学テーブル30の下降速度よりも移動速度を大きくして、より大きい距離で顎受け部22を上方に移動させれば、顎受け部22と顎との接触をより短時間で行える。
そして、検出センサ26によって顎受け部22と顎との接触が検出されたら、主制御部17は、光学テーブル30の下降状態に応じて、顎受け部22を上昇させ、測定光学系15に対する被検眼Eの高さが適切となったときに、光学テーブル30の上昇と顎受け部22の移動を停止する。
以上、第2実施形態の眼科装置でも、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。さらに、第2実施形態に係る眼科装置では、顔支持部20(顎受け部22)に被検者Pの顔が支持されているか否かを検出する検出センサ26を設け、光学テーブル30の昇降状態及び検出センサ26での検出結果に応じて、顔支持部20の移動状態を決定している。このため、被検者Pの顎と顎受け部22とが接触していない場合であっても、測定光学系15(測定ヘッド12)に対する被検眼Eの高さ調整を適切に、かつ被検者Pの顔を上下させることなく楽な姿勢を保った状態で行える。よって、その後のアライメントや測定も適切に行える。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の眼科装置について説明する。第3実施形態の眼科装置1は、図4に破線で示すように、本体部10にカメラ(撮像部)3を備えていること以外は、図1等に示す第1実施形態の眼科装置1と同様の基本構成を備えている。そのため、以下では第1実施形態と同様の構成及び動作については詳細な説明を省略し、第1実施形態と異なる構成及び動作について説明する。
カメラ3は、例えば、本体部10の測定ヘッド12の正面に、被検者Pの顔に向けて設ける。カメラ3は、被検眼Eを少なくとも含む被検者Pの顔の撮像画像を取得する。より好ましくは、カメラ3が被検者Pの被検眼E及び顎を含む撮像画像を取得できるようにすれば、顎受け部22と顎との接触状態を検出する検出部としても機能させることができる。また、より広い範囲を撮影可能なカメラ3を用いれば、測定ヘッド12と被検眼Eとの距離が過度に大きい場合でも測定ヘッド12に対する被検眼Eの撮像画像をより確実に取得できる。
カメラ3としては、被検者Pの顔を撮影できればよく、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、CCD等、何れのものであってもよい。また、カメラ3を一台のみ設けてもよいし、2台以上設けて(ステレオカメラ)被検者Pの顔画像を三次元的に撮影すれば、測定ヘッド12に対する被検者Pの顔の位置関係をより適切に把握できる。
第3実施形態の眼科装置1では、主制御部17が、カメラ3で撮影した撮像画像を解析して被検眼像を検出することで、測定ヘッド12(例えば、測定光学系15の光軸I)に対する被検眼E(例えば、瞳孔中心)の位置情報を適切に取得できる。主制御部17は、この位置情報に基づいて、被検眼Eと測定ヘッド12との上下方向の距離を算出し、所定の閾値に基づいて、光学テーブル30の昇降方向、昇降距離、昇降速度等の昇降状態を算出し、この昇降状態に基づいて、顎受け部22の移動方向、移動距離、移動速度等の移動状態を算出する。
そして、主制御部17は、算出した昇降状態及び移動状態に基づいて、光学テーブル30を昇降させつつ、顎受け部22を移動させる。これにより、被検者Pの顔が不測に移動せず、被検者Pに楽な姿勢を保たせつつ、顎受け部22で安定して顎を支持し、測定ヘッド12と被検眼Eの高さ調整を行える。このとき、撮像画像に基づいて、顎受け部22と顎との接触状態(顎受け部22と顎との距離、顎受け部22の位置等)を検出し、この検出結果に基づいて顎受け部22の移動状態を算出するようにすれば、顎受け部22に顎が載っていない状態からでも、被検者Pへの負担を低減して、適切な高さ調整が可能となる。
以上、第3実施形態の眼科装置でも、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。さらに、第3実施形態に係る眼科装置では、本体部10は、少なくとも被検眼Eを含む被検者Pの顔の撮像画像を取得するカメラ3を備え、撮像画像に基づく測定ヘッド12と被検眼Eの位置関係に応じて、光学テーブル30の昇降状態を決定し、この昇降状態に基づいて顔支持部20の移動状態を決定している。したがって、昇降状態及び移動状態を、より高精度かつ迅速に決定でき、被検眼Eと測定ヘッド12との位置合わせをより効率的かつより適切に行える。
以上、本開示の実施形態を図面により詳述してきたが、上記各実施形態は本開示の例示にしか過ぎないものであり、本発明は上記各実施形態の構成にのみ限定されるものではない。本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、本開示に含まれることは勿論である。
例えば、上記各実施形態では、顔支持部20が、顎受け部22と額当て部24を備えているが、この構成に限定されることはなく、何れか一方であってもよいし、被検者Pの顔を支持できるものであれば、これら以外の部材を備えていてもよい。
また、上記各実施形態では、光学テーブル30及び顔支持部20を上下方向に移動し、被検眼Eと測定ヘッド12との高さ調整を行っているが、被検眼Eと測定ヘッド12との位置合わせが、高さ調整に限定されることない。例えば、光学テーブル30及び顔支持部20を左右方向(X軸方向)や前後方向(Z軸方向)に移動自在とし、被検眼Eが測定ヘッド12の左右方向及び前後方向における位置合わせを行ってもよい。この構成により、上下方向、左右方向及び前後方向の被検眼Eと測定ヘッド12の位置合わせが可能となり、位置合わせの精度がより高まる。このような場合も、光学テーブル30と顔支持部20とを協調移動させることで、被検者Pへの負担を抑制しつつ、各方向への効率的な移動が可能となる。
また、上記各実施形態では、被検眼Eと測定ヘッド12との距離等に応じて、主制御部17の制御によって自動で光学テーブル30と顎受け部22とを連動させていたが、この構成に限定されることはない。例えば、検者が顎受け部22に設けられた基準の高さマークと、想定ヘッドに設けられた測定窓の高さマークとを見比べながら、昇降レバー35を操作して、光学テーブル30を昇降させる。そして、この光学テーブル30の昇降状態に応じて、主制御部17が適切な移動状態で顎受け部22を移動させる構成としてもよい。この場合でも、被検者Pの顔を不測に移動させることなく、被検眼Eと測定ヘッド12との位置合わせができる。また、主制御部17が画像解析によって前眼部像Gfの位置を検出したり、検出センサ26やカメラ3等を設けたりする必要がなく、眼科装置1をより簡素化できる。
また、上記実施形態では、測定ヘッド12をXYZ方向へ移動可能とし、測定ヘッド12、光学テーブル30及び顔支持部20を協調移動させているが、このような構成に限定されることなない。例えば、測定部が移動しない構成の眼科装置であっても、光学テーブル30と顔支持部20との協調移動によって、測定部と被検眼Eとの位置合わせを適切に行える。