本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る保護部材の設置方法を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る保護部材の設置方法の設置対象の被加工物1の斜視図である。被加工物1は、実施形態1では、シリコン、サファイア、ガリウムヒ素などを基板2とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハである。被加工物1は、図1に示すように、交差(実施形態1では、直交)する複数の分割予定ライン3で区画された表面4の各領域にそれぞれデバイス5が形成されている。被加工物1は、デバイス5の表面に複数の電極バンプ6が搭載されている。電極バンプ6は、デバイス5の表面から突出している。デバイス5は、表面4に電極バンプ6が搭載されていることで、凹凸を有している。被加工物1及びデバイス5は、表面4とは反対側の裏面7が平坦に形成されている。被加工物1は、各分割予定ライン3に沿って分割されて、個々のデバイス5に分割される。なお、実施形態1において、被加工物1は、デバイス5の表面に電極バンプ6が搭載されて凹凸を有しているが、本発明では、これに限定されない。
次に、実施形態1に係る保護部材の設置方法を説明する。図2は、実施形態1に係る保護部材の設置方法を示すフローチャートである。
保護部材の設置方法は、被加工物1の一方の面である表面4を保護する保護部材103(図6参照)の設置方法であって、図2に示すように、樹脂供給ステップST11と、カバーステップST12と、冷却ステップST13と、を備える。
図3は、図2の樹脂供給ステップST11の一例を示す断面図である。なお、図3は、拡大図を除き、電極バンプ6を省略している。樹脂供給ステップST11は、図3に示すように、被加工物1の一方の面である表面4に、塊状又は粒状の熱可塑性樹脂100を供給するステップである。
樹脂供給ステップST11では、具体的には、まず、図3に示すように、チャックテーブル10の保持面11で、被加工物1の他方の面である裏面7側を保持する。ここで、チャックテーブル10は、保持面11が設けられかつポーラスセラミック等から形成された保持部12を備え、図示しない真空吸引源と接続され、真空吸引源により吸引されることで、保持面11で被加工物1を吸引、保持する。
樹脂供給ステップST11では、次に、チャックテーブル10に保持された被加工物1において上方に露出した表面4に、1個または複数個の熱可塑性樹脂100を供給する。樹脂供給ステップST11では、熱可塑性樹脂100を、被加工物1の表面4上に広く分散して供給することが好ましい。樹脂供給ステップST11では、図3に示す実施形態1では、7個の熱可塑性樹脂100が供給されているが、本発明はこれに限定されず、1個から6個でもよく、8個以上でもよい。樹脂供給ステップST11では、実施形態1では、図3の拡大図に示すように、電極バンプ6よりも大きな塊状又は粒状の熱可塑性樹脂100が、複数の電極バンプ6上に跨いで載置される。
ここで、樹脂供給ステップST11で供給される熱可塑性樹脂100は、被加工物1の表面4の全面において電極バンプ6を覆うことが可能な体積を有する。すなわち、樹脂供給ステップST11で供給される熱可塑性樹脂100は、後述するカバーステップST12を経て、表面4を途切れなく覆う層を形成することが可能であり、電極バンプ6によって形成された表面4上の凹凸より厚い層を形成することが可能な体積を有する。
樹脂供給ステップST11で供給される熱可塑性樹脂100は、実施形態1では、軟化点より低温の硬化状態では、流動性を有さない剛体であり、実質的に粘着剤のような粘着性を有さないため、被加工物1における表面4及び電極バンプ6等と粘着することが抑制される。また、樹脂供給ステップST11で供給される熱可塑性樹脂100は、軟化点より高温の軟化状態では、流動性を有するものの、実質的に粘着剤のような粘着性は概ね見られないため、被加工物1における表面4及び電極バンプ6等と粘着することが低減される。
樹脂供給ステップST11で供給される熱可塑性樹脂100は、具体的には、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ビニル系樹脂、ポリアセタール、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4-メチル-1-ペンテン),ポリ(1-ブテン)等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン-6,ナイロン-66,ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルイミド、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレン、エーテルポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素樹脂、エチレン-不飽和カルボン酸共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、アイオノマー、エチレン-酢酸ビニル-無水マレイン酸三元共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化樹脂、並びに、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
樹脂供給ステップST11で供給される熱可塑性樹脂100に使用される上記のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体を構成する不飽和カルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸、及び、無水イタコン酸等が例示される。ここで、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンと不飽和カルボン酸の2元共重合体のみならず、更に他の単量体が共重合された多元共重合体を包含するものである。エチレン・不飽和カルボン酸共重合体に共重合されていてもよい上記他の単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルのような不飽和カルボン酸エステルなどが例示される。
樹脂供給ステップST11で供給される熱可塑性樹脂100の軟化点は、実施形態1では、0℃以上300℃以下の範囲内の温度である。樹脂供給ステップST11で供給される熱可塑性樹脂100は、上で例示した化合物群が使用されるので、軟化点が0℃以上300℃以下の範囲内の温度となる。樹脂供給ステップST11で供給される熱可塑性樹脂100は、上で例示した異なる種類の化合物を混ぜることで、軟化点を調整することができ、例えば、軟化点をドライ研磨加工中の被加工物1の温度である40℃~100℃程度よりも高い温度に調整することで、ドライ研磨加工中に軟化状態となることを防止することができる。
樹脂供給ステップST11で供給される熱可塑性樹脂100は、例えば、試験法JIS K 7210-1もしくは7210-2による条件を温度が190°Cかつ荷重が21.18Nでのメルトマスフローレート(Melt mass-Flow Rate、MFR)が、0.01g/10min以上500g/10min以下、好ましくは0.1g/10min以上100g/10min以下、より好ましくは0.3g/10min以上50g/10min以下であるものが使用される。すなわち、樹脂供給ステップST11で供給される熱可塑性樹脂100は、190℃以上の高温化で軟化状態になっている場合でも、流動性は小さく、実質的に粘着剤のような粘着性が概ね見られない固い材料のものが例示される。
図4は、図2のカバーステップST12の一状態を示す断面図である。図5は、図2のカバーステップST12の図4後の一状態を示す断面図である。なお、図4及び図5は、電極バンプ6を省略している。カバーステップST12は、図4及び図5に示すように、樹脂供給ステップST11で供給した熱可塑性樹脂100を加熱しつつ、軟化した熱可塑性樹脂100を被加工物1の一方の面である表面4に沿って押し広げ、被加工物1の表面4を覆う保護層101を熱可塑性樹脂100で形成するステップである。
カバーステップST12では、具体的には、まず、チャックテーブル10の保持部12の内部に備えられた熱源13により被加工物1側から熱可塑性樹脂100を加熱する。また、カバーステップST12では、これに合わせて、図4に示すように、押圧部材20の押圧面21を、樹脂供給ステップST11で熱可塑性樹脂100が供給された被加工物1の表面4に向けて接近させる。ここで、押圧部材20は、平坦な面状に形成された押圧面21がチャックテーブル10の保持面11と対向して設けられ、内部に備えられた熱源22で押圧面21側を加熱する。
カバーステップST12では、被加工物1側から熱可塑性樹脂100が徐々に加熱され、軟化する。また、カバーステップST12では、これに合わせて、押圧部材20の押圧面21が熱可塑性樹脂100の一部と接触し、さらに押圧することで、押圧部材20側から熱可塑性樹脂100が徐々に加熱され、軟化する。カバーステップST12では、そして、平坦な面である押圧部材20の押圧面21で、被加工物1の表面4上の軟化した熱可塑性樹脂100を押圧して、押圧面21及び被加工物1の表面4に沿って変形させて押し広げる。これにより、カバーステップST12では、図5に示すように、押圧面21と被加工物1の表面4との間において、被加工物1の表面4を覆う保護層101を熱可塑性樹脂100で形成する。カバーステップST12では、保護層101は、押圧面21で押された面である表面102が、押圧面21に沿って平坦に形成される。表面102は、保護層101の露出面となる。
実施形態1では、被加工物1の表面4の全面において電極バンプ6を覆うことが可能な体積の熱可塑性樹脂100が樹脂供給ステップST11で供給されているので、熱可塑性樹脂100は、カバーステップST12で被加工物1の表面4を途切れなく覆う保護層101に変形し、保護層101は、電極バンプ6によって形成された表面4上の凹凸より厚く形成される。
カバーステップST12では、押圧面21に離型材料が塗布された押圧部材20を使用することが好ましく、この場合、押圧部材20の押圧面21と軟化した熱可塑性樹脂100との間の貼着をさらに抑制することができる。押圧面21に塗布される離型材料としては、フッ素樹脂が好適なものとして例示される。他にも、離型シートとして機能する平坦な樹脂シートを押圧面21に配置しておき、後述する冷却ステップST13の前または後に保護層101からめくって剥離しても良い。なお、押圧面21に配置する樹脂シートは、表面に離型材料が塗布されていることが好ましい。
カバーステップST12では、実施形態1では、熱源13及び熱源22により、被加工物1側及び押圧部材20側の両側から熱可塑性樹脂100を加熱して軟化しているが、本発明はこれに限定されず、熱源13及び熱源22のうちいずれか一方により、被加工物1側及び押圧部材20側のうちいずれか一方から熱可塑性樹脂100を加熱して軟化してもよい。カバーステップST12は、これらの場合、熱可塑性樹脂100を加熱する側の熱源13または熱源22だけが設けられている装置系で実行しても良い。
図6は、図2の冷却ステップST13の一状態を示す断面図である。図6は、拡大図を除き、電極バンプ6を省略している。冷却ステップST13は、図6に示すように、カバーステップST12で形成した保護層101を冷却して硬化させることで保護部材103とするステップである。
冷却ステップST13では、具体的には、熱源13及び熱源22をオフにして熱源13及び熱源22による加熱を停止する。これにより、冷却ステップST13では、熱源13及び熱源22による保護層101の加熱が停止され、軟化状態の保護層101の冷却が開始する。冷却ステップST13では、例えば大気により、大気の温度程度まで軟化状態の保護層101が十分に冷却され、硬化状態の保護部材103となる。冷却ステップST13では、保護層101が保護部材103となることに伴い、平坦に形成された保護層101の表面102が、平坦な保護部材103の露出面である表面104となる。冷却ステップST13では、図6の拡大図に示すように、隣接する電極バンプ6の間の領域に熱可塑性樹脂100が埋め込まれて、保護部材103が形成される。冷却ステップST13では、その後、図6に示すように、保護層101の冷却後に、保護層101の形成のために被加工物1の表面4に向けて押圧していた押圧部材20を被加工物1から退避させて、保護部材103が形成された被加工物1を取り出す。
なお、冷却ステップST13は、押圧部材20で熱可塑性樹脂100を押圧したまま、熱源13及び熱源22による加熱を停止するとともに、押圧部材20を空冷又は水冷等で冷却することで、押圧部材20により保護層101を冷却してもよい。
また、冷却ステップST13では、熱源22をオフにすることに代えて、図6に示すように、押圧部材20を被加工物1から退避させることで、押圧部材20内の熱源22による保護層101の加熱を停止し、軟化状態の保護層101の冷却を開始させてもよい。冷却ステップST13では、この場合、押圧部材20を被加工物1から退避させた状態を保持させることで、大気により保護層101を十分に空冷することで、硬化状態の保護部材103が形成される。
なお、冷却ステップST13は、カバーステップST12で熱源13及び熱源22を熱可塑性樹脂100の加熱及び軟化に使用するか否かに応じて、適宜変更することができる。
また、実施形態1では、チャックテーブル10と押圧部材20とが大気中に配置され、大気中でカバーステップST12及び冷却ステップST13を実施しているが、本発明では、この形態に限定されず、例えば、チャックテーブル10と押圧部材20とが減圧チャンバ内に収容され、減圧状態下でカバーステップST12及び冷却ステップST13を実施してもよい。ここで、カバーステップST12及び冷却ステップST13を実施する減圧状態は、例えば、真空チャンバの内圧が105Pa~102Pa程度の低真空であり、真空チャンバに連通して設けられたドライポンプや油回転ポンプ等で実現される。減圧状態下でカバーステップST12及び冷却ステップST13を実施した場合、カバーステップST12及び冷却ステップST13を実施中の熱可塑性樹脂100の内部及び被加工物1と熱可塑性樹脂100との間に空気が噛み込まれることを低減及び防止することにより、追って得られる保護層付き被加工物200における保護層101(保護部材103)の内部及び被加工物1と保護層101(保護部材103)との間に空気が噛み込まれることを低減及び防止することができる。
図7は、実施形態1に係る保護部材の設置方法における余剰部分切除ステップの一状態を示す断面図である。なお、図7は、電極バンプ6を省略している。保護部材の設置方法は、図7に示すように、保護部材103の余剰部分106を切除する余剰部分切除ステップをさらに有することが好ましい。
余剰部分切除ステップでは、具体的には、図7に示すように、切除装置30のカッター31で、チャックテーブル10の保持面11で保持された被加工物1に形成された保護部材103のうち、被加工物1から径方向にはみ出した部分である余剰部分106を切除する。ここで、切除装置30は、被加工物1の外周に向けてカッター31を保持する円板32と、円板32を軸心周りに回転駆動する不図示の回転駆動源とを備え、回転駆動源により円板32を軸心周りに回転させることで、カッター31を被加工物1の外周に沿って回転移動させて、余剰部分106を切除する。
図8は、実施形態1に係る保護部材の設置方法を経て得られる保護層付き被加工物200を示す斜視図である。図9は、図8の保護層付き被加工物200を示す断面図である。実施形態1に係る保護部材の設置方法を経て得られる保護層付き被加工物200は、図8及び図9に示すように、被加工物1の一方の面である表面4に保護層101に基づく保護部材103が形成されている。
保護層付き被加工物200は、図8及び図9に示すように、保護層101に基づく保護部材103が被加工物1の表面4を密着して覆い、保護部材103(保護層101)の露出した面である表面104(表面102)が平坦に形成されている。
また、保護層付き被加工物200は、図9に示すように、保護部材103(保護層101)が形成された被加工物1の表面4が電極バンプ6による凹凸を有し、保護部材103(保護層101)がこの凹凸を超える厚さに形成されている。
図10は、実施形態1に係る被加工物の加工方法の一例である研削加工を示す断面図である。図10は、電極バンプ6を省略している。実施形態1に係る被加工物の加工方法は、図10に示すように、保護層付き被加工物200の保護部材103側の露出面である表面104を研削装置40のチャックテーブル45の保持面46で吸引保持し、保護層付き被加工物200の被加工物1を裏面7側から研削加工するものである。
実施形態1に係る被加工物の加工方法では、具体的には、図10に示すように、保護層付き被加工物200を保護部材103側から保持したチャックテーブル45を不図示の回転駆動源により軸心周りに回転させつつ、研削装置40の研削液供給部41から被加工物1の裏面7に研削液42を供給しながら、研削装置40に装着された研削砥石43を軸心回りに回転させて被加工物1の裏面7に接触させて研削する。
実施形態1に係る保護部材の設置方法は、被加工物1の一方の面である表面4に、塊状又は粒状の熱可塑性樹脂100を供給する樹脂供給ステップST11と、熱可塑性樹脂100を加熱しつつ軟化した熱可塑性樹脂100を被加工物1の表面4に沿って押し広げ、被加工物1の表面4を覆う保護層101を熱可塑性樹脂100で形成するカバーステップST12と、カバーステップST12で形成した保護層101を冷却する冷却ステップST13とを備える。
このために、実施形態1に係る保護部材の設置方法は、一方の面である表面4に電極バンプ6による凹凸が形成されていても、充分に軟化した熱可塑性樹脂100が凹凸を覆いつつ、保護層101の露出面である表面102を平坦に形成することが出来るので、凹凸のある被加工物1を平坦な状態で強力に固定する事を可能にする保護層101を容易に形成できるという作用効果を奏する。
また、実施形態1に係る保護部材の設置方法は、この方法で形成される保護層101及び保護層101に基づく保護部材103が、粘着テープに使用される粘着層と異なり、実質的に粘着剤のような粘着性は概ね見られず、冷却されることで固化して実質的に粘着性を有さない状態となるため、被加工物1から剥離されても被加工物1に残渣として残らないという作用効果を奏する。また、実施形態1に係る保護部材の設置方法は、この方法で形成される保護層101及び保護層101に基づく保護部材103が、上記のような性質を有するため、加工中にクッションとなってしまうことが抑制されるので、加工処理を施すことによって被加工物1が欠ける現象が起きる可能性を低減することができるという作用効果を奏する。
さらに、実施形態1に係る保護部材の設置方法は、この方法で形成される保護層101及び保護層101に基づく保護部材103が、従来に保護部材として用いられる粘着テープと異なり、厚さが規定されていないため、熱可塑性樹脂100の供給量や押し広げる際の押圧量に応じて、所望の厚さに形成できるため、準備する熱可塑性樹脂100の種類を増やす必要が無くコスト削減に繋がるという作用効果も奏する。
また、実施形態1に係る保護部材の設置方法は、熱可塑性樹脂100が、1つ又は複数個が被加工物1の表面4に供給され、カバーステップST12で表面4を途切れなく覆う保護層101に変形する。このため、実施形態1に係る保護部材の設置方法は、この方法で形成される保護層101及び保護層101に基づく保護部材103が、粘着テープに使用される粘着層と異なり、途切れなく覆うことで、被加工物1を全面に渡って安定して保護し、凹凸のある被加工物1を平坦な状態でより強力に固定する事を可能にする。
また、実施形態1に係る保護部材の設置方法は、カバーステップST12では、熱可塑性樹脂100を平坦な面で押圧して押し広げ、露出した保護層101の面が平坦に形成される。このため、実施形態1に係る保護部材の設置方法は、この方法で形成される保護層101及び保護層101に基づく保護部材103が、凹凸のある被加工物1をより平坦な状態でさらに強力に固定する事を可能にする。
また、実施形態1に係る保護部材の設置方法は、被加工物1の表面4が凹凸を備え、熱可塑性樹脂100で形成した保護層101が、凹凸より厚く形成される。このため、実施形態1に係る保護部材の設置方法は、この方法で形成される保護層101及び保護層101に基づく保護部材103が、凹凸のある被加工物1をより平坦な状態でさらに強力に固定する事を可能にする。
また、実施形態1に係る被加工物の加工方法は、一方の面である表面4に保護層101が形成された板状の被加工物1の保護層101側をチャックテーブル10の保持面11で吸引保持し、被加工物1を他方の面側である裏面7側から加工する被加工物の加工方法であって、保護層101は、実施形態1に係る保護部材の設置方法で被加工物1に設置される。このために、実施形態1に係る被加工物の加工方法は、当然に、上記した実施形態1に係る保護部材の設置方法と同様の作用効果を奏する。これにより、実施形態1に係る被加工物の加工方法は、一方の面である表面4に電極バンプ6による凹凸が形成されていても、電極バンプ6による凹凸にとらわれることなく、被加工物1の裏面7側を精度よく加工することができるという作用効果を奏する。また、実施形態1に係る被加工物の加工方法は、保護層101及び保護層101に基づく保護部材103が加工中にクッションとなってしまうことが抑制されるので、加工処理を施すことによって被加工物1が欠ける現象が起きる可能性を低減することができ、これにより、被加工物1の裏面7側を精度よく加工することができるという作用効果を奏する。
また、実施形態1に係る保護層付き被加工物200は、板状の被加工物1の一方の面である表面4に保護層101に基づく保護部材103が形成された保護層付き被加工物200であって、保護層101に基づく保護部材103が、熱可塑性樹脂100が表面4を密着して覆い、露出した面である表面102に基づく表面104が平坦に形成されている。このため、実施形態1に係る保護層付き被加工物200は、一方の面である表面4に電極バンプ6による凹凸が形成されていても、表面4とともにこの凹凸を覆い、充分に軟化可能な熱可塑性樹脂100により構成され、露出面である表面102(表面104)が平坦に形成された保護層101(保護部材103)を有するので、この保護層101(保護部材103)により、凹凸のある被加工物1を平坦な状態で強力に固定する事ができるという作用効果を奏する。
また、実施形態1に係る保護層付き被加工物200は、保護層101及び保護層101に基づく保護部材103が、粘着テープに使用される粘着層と異なり、実質的に粘着剤のような粘着性は概ね見られず、冷却されることで固化して実質的に粘着性を有さない状態となるため、被加工物1から剥離されても被加工物1に残渣として残らないという作用効果を奏する。また、実施形態1に係る保護層付き被加工物200は、保護層101及び保護層101に基づく保護部材103が、上記のような性質を有するため、加工中にクッションとなってしまうことが抑制されるので、加工処理を施すことによって被加工物1が欠ける現象が起きる可能性を低減することができるという作用効果を奏する。
また、実施形態1に係る保護層付き被加工物200は、保護層101(保護部材103)が形成された被加工物1の表面4が電極バンプ6による凹凸を有し、保護層101(保護部材103)がこの凹凸を超える厚さに形成されている。このため、実施形態1に係る保護層付き被加工物200は、保護層101(保護部材103)が、凹凸のある被加工物1をより平坦な状態でさらに強力に固定する事を可能にしたものとなる。
〔変形例1〕
本発明の実施形態1の変形例1に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法及び保護層付き被加工物を図面に基づいて説明する。図11は、実施形態1の変形例1に係る保護部材の設置方法の設置対象の被加工物1-2の一部分を示す斜視図である。図12は、実施形態1に係る保護部材の設置方法の変形例1の設置対象の被加工物1-2の外観を示す斜視図である。なお、図11は、封止剤8を省略している。図11及び図12は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
変形例1に係る保護部材の設置方法は、保護部材103の設置対象が図11及び図12に示す被加工物1-2であり、被加工物1-2の形状に応じて、使用されるチャックテーブル10、押圧部材20、切除装置30及び研削装置40の形状が異なること以外、実施形態1と同じである。
被加工物1-2は、実施形態1の変形例1では、絶縁性の絶縁板及び絶縁板の内部に埋設され導電性の金属により構成されたグランドラインを有し、表面4-2及び裏面7-2に電極や各種配線が形成された配線基板2-2を備えたパッケージ基板である。被加工物1-2は、図11に示すように、交差(実施形態1の変形例1では、直交)する複数の分割予定ライン3-2で区画された表面4-2の各領域にそれぞれデバイス5-2が形成されている。被加工物1-2は、配線基板2-2の表面4-2に、各デバイス5-2及び各デバイス5-2にワイヤボンディングにより形成された不図示のワイヤを封止する封止剤8が形成されている。封止剤8は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、又はポリイミド樹脂等により構成された所謂モールド樹脂である。被加工物1-2は、表面4-2に封止剤8が形成されていることで、凹凸を有している。被加工物1-2は、裏面7-2が平坦に形成されている。被加工物1-2は、各分割予定ライン3-2に沿って分割されて、個々のデバイス5-2に分割される。
実施形態1の変形例1に係る保護部材の設置方法及び被加工物の加工方法は、実施形態1と同様に、一方の面である表面4-2に封止剤8による凹凸が形成されていても、充分に軟化した熱可塑性樹脂100が凹凸を覆いつつ、保護層101の露出面である表面102を平坦に形成することが出来るので、凹凸のある被加工物1-2を平坦な状態で強力に固定する事を可能にする保護層101を容易に形成できるという作用効果を奏する。実施形態1の変形例1に係る保護部材の設置方法及び被加工物の加工方法は、その他についても、実施形態1と同様の作用効果を奏するものとなる。
また、実施形態1の変形例1に係る保護部材の設置方法及び被加工物の加工方法は、保護層101の形成に熱可塑性樹脂100を使用しているので、熱可塑性樹脂100が、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、又はポリイミド樹脂等といった封止剤8に使用されている硬化反応済みの硬化性樹脂とほとんど反応することなく、保護層101を安定して形成することができるという作用効果をさらに奏する。
また、実施形態1の変形例1に係る保護層付き被加工物は、実施形態1に係る保護層付き被加工物200において、被加工物1を被加工物1-2に変更したものであるので、実施形態1と同様の作用効果を奏するものとなる。
〔変形例2〕
本発明の実施形態1の変形例2に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法及び保護層付き被加工物200を図面に基づいて説明する。図13は、実施形態1の変形例2に係る被加工物の加工方法の一例である研削加工を示す断面図である。図14は、実施形態1の変形例2に係る被加工物の加工方法の別の一例である切削加工を示す断面図である。図15は、実施形態1の変形例2に係る被加工物の加工方法の別の一例であるレーザー加工を示す断面図である。なお、図13から図15は、電極バンプ6を省略している。図13から図15は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
変形例2に係る保護部材の設置方法は、実施形態1に係る保護部材の設置方法と同じである。変形例2に係る被加工物の加工方法は、被加工物1を他方の面側である裏面7側から施す加工方法以外、実施形態1と同じである。変形例2に係る保護層付き被加工物200は、実施形態1と同じである。
変形例2に係る被加工物の加工方法の第1例は、図13に示すように、被加工物1の最外周の側端部分を残し、その内周のみを研削装置40の研削砥石43により裏面7側から研削して、被加工物1を薄化する方法であり、すなわち、被加工物1を裏面7側から所謂TAIKO(登録商標)研削する方法である。
変形例2に係る被加工物の加工方法の第2例は、図14に示すように、チャックテーブル55の保持面56で被加工物1を保護部材103側から保持した状態で、切削装置50の切削液供給部51から被加工物1の裏面7に切削液52を供給しながら、切削装置50に装着された切削ブレード53を軸心回りに回転させて、不図示の駆動源によりチャックテーブル55または切削装置50の切削ブレード53を加工送り、割り出し送り、及び切り込み送りすることで、被加工物1を裏面7側から切削する方法である。変形例2に係る被加工物の加工方法の第2例では、例えば、分割予定ライン3に沿って被加工物1を裏面7側から切削することで、被加工物1を各デバイス5に分割する。
変形例2に係る被加工物の加工方法の第3例は、図15に示すように、チャックテーブル65の保持面66で保護部材103側から保持した被加工物1の裏面7に向けて、レーザー照射装置60からレーザー光線61を照射することで、被加工物1を裏面7側からレーザー加工する方法である。なお、変形例2に係る被加工物の加工方法の第3例では、パルス状のレーザー光線61が使用されても良い。変形例2に係る被加工物の加工方法の第3例では、例えば、分割予定ライン3に沿って被加工物1を裏面7側からレーザー光線61を照射する。変形例2に係る被加工物の加工方法の第3例では、所謂アブレーション加工をすることで、被加工物1をハーフカットしたり、各デバイス5に分割したりしてもよいし、改質層を内部に形成してもよい。
これらの変形例2に係る被加工物の加工方法においても、実施形態1に係る保護部材の設置方法を施した被加工物1に対して裏面7側から加工を施すものであるため、実施形態1と同様の作用効果を奏するものとなる。また、これらの変形例2に係る被加工物の加工方法においても、変形例1に係る被加工物1-2を加工対象とすることができる。
また、被加工物の加工方法は、変形例2に限定されず、本発明では、実施形態1に係る保護部材の設置方法を施した被加工物1に対して、保護層101に基づく保護部材103が形成された表面4側から、所定のレーザー光線を保護部材103越しに照射することで、被加工物1をアブレーション加工してもよく、特にデバイス5のデバイス面にアブレーション加工を実施する場合、保護部材103がアブレーション加工で発生したデブリの被加工物1への付着を抑制するという作用効果を奏する。
変形例2に係る保護部材の設置方法で形成する保護層101(保護部材103)は、実施形態1に係る保護部材の設置方法で形成するものと同じであり、実施形態1で記載したように、被加工物1を研削する時、表面4側のデバイスを保護する保護層101(保護部材103)として機能するほか、実施形態1の変形例2で記載したように、被加工物1を裏面7側から切削(ダイシング)やレーザー加工をする際にはデバイスを保護する保護層101(保護部材103)として機能させることが出来る。このため、変形例2に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法及び保護層付き被加工物200は、被加工物1のデバイス5が形成された表面4側に保護層101(保護部材103)を配置することで、研削と切削、レーザー加工を被加工物1の裏面7側から実施する場合、保護層101(保護部材103)を一度配置すれば、研削から引き続き、切削やレーザー加工を実施することも出来るため、保護層101(保護部材103)の貼り替えを不要とするという作用効果も奏する。
〔変形例3〕
本発明の実施形態1の変形例3に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法及び保護層付き被加工物200を図面に基づいて説明する。図16、図17、図18、図19、図20、図21及び図22は、いずれも、実施形態1の変形例3に係る保護部材の設置方法における樹脂供給ステップST11の別の一例を示す斜視図である。なお、図16から図22は、分割予定ライン3、デバイス5及び電極バンプ6を省略している。図16から図22は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
変形例3に係る保護部材の設置方法は、樹脂供給ステップST11が異なること以外、実施形態1と同じである。変形例3に係る被加工物の加工方法は、実施形態1に係る被加工物の加工方法と同じである。変形例3に係る保護層付き被加工物200は、実施形態1と同じである。
変形例3に係る保護部材の設置方法の第1例は、図16に示すように、粉状の熱可塑性樹脂100-2(熱可塑性樹脂粉末)を供給するものである。変形例3に係る保護部材の設置方法の第2例は、図17に示すように、ブロック状の熱可塑性樹脂100-3(熱可塑性樹脂ブロック)を供給するものである。変形例3に係る保護部材の設置方法の第3例は、図18に示すように、ドーナツ状の熱可塑性樹脂100-4(熱可塑性樹脂ドーナツ)を供給するものである。変形例3に係る保護部材の設置方法の第4例は、図19に示すように、麺状(繊維状)の熱可塑性樹脂100-5(熱可塑性樹脂繊維)を供給するものである。変形例3に係る保護部材の設置方法の第5例は、図20に示すように、タブレット状の熱可塑性樹脂100-6(熱可塑性樹脂タブレット)を供給するものである。変形例3に係る保護部材の設置方法の第6例は、図21に示すように、被加工物1より面積が小さく、被加工物1の凹凸に係る凸部の高さよりも厚い板体状またはシート体状の熱可塑性樹脂100-7(熱可塑性樹脂板体、熱可塑性樹脂シート体)を供給するものである。例えば、熱可塑性樹脂100-7の厚さは、被加工物1の凹凸に係る凸部の高さが300μmである場合、700μmである。変形例3に係る保護部材の設置方法の第7例は、図22に示すように、渦巻き状に配した繊維状の熱可塑性樹脂100-8(熱可塑性樹脂渦巻き)を供給するものである。
これらの変形例3に係る保護部材の設置方法においても、実施形態1と同様の保護層101を容易に形成できるので、実施形態1と同様の作用効果を奏するものとなる。また、これらの変形例3に係る保護部材の設置方法においても、変形例1に係る被加工物1-2を設置対象とすることができる。
〔変形例4〕
本発明の実施形態1の変形例4に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法及び保護層付き被加工物200を図面に基づいて説明する。図23は、実施形態1の変形例4に係る保護部材の設置方法における樹脂供給ステップST11の一例を示す断面図である。なお、図23は、電極バンプ6及び保持部12を省略している。図23は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
変形例4に係る保護部材の設置方法は、樹脂供給ステップST11が異なること以外、実施形態1と同じである。変形例4に係る被加工物の加工方法は、実施形態1に係る被加工物の加工方法と同じである。変形例4に係る保護層付き被加工物200は、実施形態1と同じである。
変形例4に係る保護部材の設置方法における樹脂供給ステップST11は、図23に示すように、被加工物1の表面4に、熱可塑性樹脂100-9を加熱して軟化させつつ供給するステップである。変形例4に係る保護部材の設置方法における樹脂供給ステップST11では、具体的には、図23に示すように、まず、チャックテーブル10-2の内部に備えられた熱源14で保持面11側を加熱する。変形例4に係る保護部材の設置方法における樹脂供給ステップST11では、次に、固形の熱可塑性樹脂100-9を、被加工物1の表面4に接触させて押圧しながら、被加工物1の表面4の全面に渡って移動させる。変形例4に係る保護部材の設置方法における樹脂供給ステップST11では、これにより、被加工物1の表面4の全面に渡って、固形の熱可塑性樹脂100-9の被加工物1の表面4と接触している部分が被加工物1を介して熱源14により加熱されて軟化して、被加工物1の表面4に軟化状態で供給される。
これらの変形例4に係る保護部材の設置方法においても、実施形態1と同様の保護層101を容易に形成できるので、実施形態1と同様の作用効果を奏するものとなる。また、これらの変形例4に係る保護部材の設置方法においても、変形例1に係る被加工物1-2を設置対象とすることができる。また、変形例4を変形例3に組み合わせて保護部材の設置方法を実行してもよく、この場合も、実施形態1と同様の保護層101を容易に形成できるので、実施形態1と同様の作用効果を奏するものとなる。
また、変形例4に係る保護部材の設置方法における樹脂供給ステップST11は、被加工物1の表面4に、熱可塑性樹脂100-9を加熱して軟化させつつ供給する方法は、上記した方法に限定されず、グルーガン等を使用して、熱可塑性樹脂100-9をグルーガン等に備え付けられた加熱体で加熱して軟化させて、当該グルーガン等から熱可塑性樹脂100-9を被加工物1の表面4に供給するものとしてもよい。
〔変形例5〕
本発明の実施形態1の変形例5に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法及び保護層付き被加工物200を以下に説明する。変形例5に係る保護部材の設置方法は、樹脂供給ステップST11で供給する熱可塑性樹脂100に熱可塑性樹脂100より熱膨張係数が小さい充填剤であるフィラーを混合すること以外は、実施形態1に係る保護部材の設置方法と同じである。変形例5に係る保護層付き被加工物200は、保護部材103(保護層101)を構成する熱可塑性樹脂100にフィラーが混合されていること以外は、実施形態1に係る保護層付き被加工物200と同じである。
変形例5に係る保護部材の設置方法における樹脂供給ステップST11で供給される熱可塑性樹脂100に混合されるフィラーは、熱可塑性樹脂100より熱膨張係数が小さい無機充填剤または有機充填剤が好適に使用される。熱可塑性樹脂100は、このようなフィラーが混合されることにより、カバーステップST12で加熱されて被加工物1を覆った保護層101が、冷却ステップST13で冷却時に収縮することを防止することができ、これに伴い、被加工物1が撓んだり変形したりすることを防止することができる。
熱可塑性樹脂100に混合されるフィラーは、無機充填剤であることが好ましく、具体的には、溶融シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、クレー、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ベリリウム、酸化鉄、酸化チタン、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、マイカ、ガラス、石英、雲母等が好適に使用される。また、熱可塑性樹脂100に混合されるフィラーは、上記の2種類以上を混合して使用しても良い。熱可塑性樹脂100に混合されるフィラーは、上記した無機充填剤のうち、溶融シリカや結晶性シリカ等のシリカ類が使用されることが好ましく、この場合、フィラーのコストを好適に抑制することができる。
また、変形例5に係る保護部材の設置方法を経て得られる変形例5に係る保護層付き被加工物200は、保護部材103(保護層101)を構成する熱可塑性樹脂100には、上記のフィラーが混合されたものとなる。
変形例5に係る保護部材の設置方法は、樹脂供給ステップST11で供給する熱可塑性樹脂100には、フィラーが混合されている。このため、実施形態1に係る保護部材の設置方法は、カバーステップST12で加熱されて被加工物1を覆った熱可塑性樹脂100によって構成された保護層101(保護部材103)が、混合されたフィラーの効果により、冷却ステップST13で冷却時に収縮することを防止することができ、これに伴い、被加工物1と熱可塑性樹脂100との間の熱膨張係数差に起因して被加工物1が撓んだり変形したりすることを防止することができる。また、変形例5を変形例3または変形例4に組み合わせて保護部材の設置方法を実行してもよく、この場合には、変形例3に係る熱可塑性樹脂100-2から熱可塑性樹脂100-8、または、変形例4に係る熱可塑性樹脂100-9は、いずれも、フィラーが混合されたものとなる。
また、変形例5に係る保護層付き被加工物200は、保護層101(保護部材103)を構成する熱可塑性樹脂100には、フィラーが混合されている。このため、実施形態1に係る保護層付き被加工物200は、保護層101(保護部材103)が、混合されたフィラーの効果により、被加工物1と熱可塑性樹脂100との間の熱膨張係数差に起因して被加工物1が撓んだり変形したりすることを防止することができたものとなる。
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法及び保護層付き被加工物200-2を図面に基づいて説明する。図24は、実施形態2に係る保護部材の設置方法を示すフローチャートである。図25は、図24の準備ステップST21の一例を示す断面図である。図26は、図24の樹脂供給ステップST11の一例を示す断面図である。図27は、図24のカバーステップST12の一状態を示す断面図である。図28は、図24のカバーステップST12の図27後の一状態を示す断面図である。図29は、実施形態2に係る保護部材の設置方法を経て得られる保護層付き被加工物200-2を示す断面図である。図30は、実施形態2に係る被加工物の加工方法の一例である切削加工を示す断面図である。図24から図30までの各図は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態2に係る保護部材の設置方法は、実施形態1に係る保護部材の設置方法において、図24及び図25に示すように、樹脂供給ステップST11の実施前に、環状のフレーム9の開口9-1の中に被加工物1-3を位置付ける準備ステップST21を備え、カバーステップST12では、図27及び図28に示すように、開口9-1を覆うように熱可塑性樹脂100を押し広げて、被加工物1-3にフレーム9を熱可塑性樹脂100で固定するものである。
ここで、実施形態2に係る保護部材の設置方法の設置対象の被加工物1-3は、実施形態1に係る保護部材の設置方法の設置対象の被加工物1において、デバイス5の表面に電極バンプ6が搭載されておらず、凹凸を有さない形態である。なお、被加工物1-3は、本発明では、これに限定されず、デバイス5の表面に凹凸を有している形態であってもよい。
準備ステップST21では、具体的には、図25に示すように、所定の保持テーブル70の保持面71の中央領域に円盤状に窪んで形成された第1載置部72に被加工物1-3を、表面4側を下方に向け、裏面7側を上方に向けて、嵌め合せるようにして載置する。また、準備ステップST21では、保持面71の外周領域に第1載置部72を囲繞するように円環状に窪んで形成された第2載置部73にフレーム9を嵌め合せるようにして載置する。なお、準備ステップST21では、第1載置部72への被加工物1-3の載置と、第2載置部73へのフレーム9の載置との順番を問わない。このようにして、準備ステップST21では、保持テーブル70の保持面71上において、環状のフレーム9の開口9-1の中に被加工物1-3を位置付ける。
実施形態2に係る保護部材の設置方法の樹脂供給ステップST11は、実施形態1に係る保護部材の設置方法の樹脂供給ステップST11において、図26に示すように、熱可塑性樹脂100を供給する側を、第1載置部72に載置された被加工物1-3において上方に露出した別の一方の面である裏面7側に変更したものである。実施形態2に係る樹脂供給ステップST11では、第1載置部72に載置された被加工物1-3の裏面7側に加えて、図26に示すように、第2載置部73に載置されたフレーム9上と、保持テーブル70の保持面71における第1載置部72と第2載置部73との間の領域とにも、熱可塑性樹脂100を供給することが好ましい。
実施形態2に係る保護部材の設置方法のカバーステップST12では、まず、実施形態1に係る保護部材の設置方法のカバーステップST12とほぼ同様に、図27に示すように、保持テーブル70の内部に備えられた熱源74により保持テーブル70側から熱可塑性樹脂100を加熱する。実施形態2に係るカバーステップST12では、これとともに、内部に備えられた熱源22で押圧面21側を加熱しながら、押圧部材20の押圧面21を、準備ステップST21で保持テーブル70の保持面71に載置され、樹脂供給ステップST11で熱可塑性樹脂100が供給された被加工物1-3の裏面7及びフレーム9に向けて接近させる。
実施形態2に係るカバーステップST12では、そして、押圧部材20の押圧面21を、熱可塑性樹脂100の一部に接触させて被加工物1-3側から熱可塑性樹脂100を徐々に加熱して軟化し、図28に示すように、押圧部材20の押圧面21で、被加工物1-3の裏面7、フレーム9及び保持テーブル70の保持面71上の軟化した熱可塑性樹脂100を押圧して、押圧面21と、被加工物1-3の裏面7、フレーム9及び保持テーブル70の保持面71に沿って変形させて押し広げる。これにより、カバーステップST12では、図28に示すように、押圧面21と、被加工物1-3の裏面7、フレーム9及び保持テーブル70の保持面71との間において、被加工物1-3の裏面7、フレーム9及び保持テーブル70の保持面71を覆う保護層101-2を熱可塑性樹脂100で形成する。このようにして、カバーステップST12では、フレーム9上において開口9-1を覆うように熱可塑性樹脂100を押し広げて、被加工物1-3にフレーム9を熱可塑性樹脂100で固定する。
実施形態2に係るカバーステップST12では、保護層101-2は、押圧面21で押された面である表面102-2が、押圧面21に沿って平坦に形成される。表面102-2は、保護層101-2の露出面となる。
実施形態2に係る保護部材の設置方法を経て得られる保護層付き被加工物200-2は、図29に示すように、被加工物1-3の一方の面である裏面7に保護層101-2に基づく保護部材103-2が形成されている。保護層付き被加工物200-2は、図29に示すように、保護層101-2に基づく保護部材103-2が被加工物1-3の裏面7を密着して覆い、保護部材103-2(保護層101-2)の露出した面である表面104-2(表面102-2)が平坦に形成されている。保護層付き被加工物200-2は、被加工物1-3の周囲を囲む環状のフレーム9が、熱可塑性樹脂100で形成された保護部材103-2(保護層101-2)によって被加工物1-3に固定されている。
実施形態2に係る被加工物の加工方法は、図30に示すように、保護層付き被加工物200-2のフレーム9をクランプ57で把持し、保護層付き被加工物200-2の保護部材103-2側の露出面である表面104-2をチャックテーブル55の保持面56で吸引保持した状態で、切削装置50の切削液供給部51から被加工物1-3の表面4に切削液52を供給しながら、切削装置50に装着された切削ブレード53を軸心回りに回転させて、不図示の駆動源によりチャックテーブル55または切削装置50の切削ブレード53を加工送り、割り出し送り、及び切り込み送りすることで、被加工物1-3を表面4側から切削加工するものである。実施形態2に係る被加工物の加工方法では、例えば、分割予定ライン3に沿って被加工物1-3を表面4側から切削することで、被加工物1-3を各デバイス5に分割する。
実施形態2に係る保護部材の設置方法は、環状のフレーム9の開口9-1の中に被加工物1-3を位置付ける準備ステップST21と、被加工物1の一方の面である裏面7に、塊状又は粒状の熱可塑性樹脂100を供給する樹脂供給ステップST11と、熱可塑性樹脂100を加熱しつつ軟化した熱可塑性樹脂100を被加工物1-3の裏面7に沿って開口9-1を覆うように押し広げ、被加工物1-3の裏面7を覆う保護層101-2を熱可塑性樹脂100で形成するとともに、被加工物1-3にフレーム9を熱可塑性樹脂100で固定するカバーステップST12と、カバーステップST12で形成した保護層101-2を冷却する冷却ステップST13とを備える。
このために、実施形態2に係る保護部材の設置方法は、この方法で形成される保護層101-2及び保護層101-2に基づく保護部材103-2が、粘着テープに使用される粘着層と異なり、実質的に粘着剤のような粘着性は概ね見られず、冷却されることで固化して実質的に粘着性を有さない状態となるため、被加工物1-3から剥離されても被加工物1-3に残渣として残らないという作用効果を奏する。また、実施形態2に係る保護部材の設置方法は、この方法で形成される保護層101-2及び保護層101-2に基づく保護部材103-2が、上記のような性質を有するため、加工中にクッションとなってしまうことが抑制されるので、加工処理を施すことによって被加工物1-3が欠ける所謂チッピング現象が起きる可能性を低減することができるという作用効果を奏する。
また、実施形態2に係る保護部材の設置方法は、上記のような構成を備えるので、デバイス5の表面に電極バンプ6が搭載されており凹凸を有することに起因するものを除き、実施形態1に係る保護部材の設置方法と同様の作用効果を奏するものとなる。なお、実施形態2に係る保護部材の設置方法は、被加工物1-3の裏面7側に凹凸を有する場合には、実施形態1に係る保護部材の設置方法においてデバイス5の表面に電極バンプ6が搭載されており凹凸を有することに起因する作用効果と同様の作用効果を奏するものとなる。
また、実施形態2に係る保護部材の設置方法は、実施形態1に係る保護部材の設置方法に加えて、熱可塑性樹脂100で被加工物1-3にフレーム9を固定することができる。このため、実施形態2に係る保護部材の設置方法は、さらに、熱可塑性樹脂100で被加工物1-3の裏面7を覆う保護層101-2(保護部材103-2)を形成すると同時に、同じ一連のプロセスを利用して、被加工物1-3にフレーム9を固定することができるので、被加工物1-3にフレーム9を固定することを容易にし、なおかつ、手間及びコストを大幅に低減することができるという作用効果を奏するものとなる。
また、実施形態2に係る保護部材の設置方法は、実施形態1の変形例3及び変形例4に係る保護部材の設置方法で説明したように、熱可塑性樹脂100に代えて、熱可塑性樹脂100-2,100-3,100-4,100-5,100-6,100-7,100-8,100-9を供給するものとしてもよく、これらの場合でも、実施形態1の変形例3及び変形例4に係る保護部材の設置方法と同様の作用効果を奏するものとなる。
また、実施形態2に係る保護部材の設置方法は、実施形態1の変形例5に係る保護部材の設置方法で説明したように、熱可塑性樹脂100に対してフィラーを混合してもよく、この場合でも、実施形態1の変形例5に係る保護部材の設置方法と同様の作用効果を奏するものとなる。
また、実施形態2に係る被加工物の加工方法は、実施形態1に係る被加工物の加工方法において、被加工物1-3の保護層101-2(保護部材103-2)が形成されている側(裏面7側)及び加工処理が施される側(表面4側)が共に反対であることを除き、同様であるので、実施形態1に係る被加工物の加工方法と同様の作用効果を奏するものとなる。また、実施形態2に係る被加工物の加工方法は、実施形態1及び実施形態1の変形例2に係る被加工物の加工方法で説明したように、上記した切削加工に代えて、研削加工、TAIKO(登録商標)研削加工、レーザー加工をするものとしてもよく、これらの場合でも、実施形態1及び実施形態1の変形例2に係る被加工物の加工方法と同様の作用効果を奏するものとなる。
また、実施形態2に係る保護層付き被加工物200-2は、実施形態1に係る保護層付き被加工物200において、被加工物1-3の保護層101-2(保護部材103-2)が形成されている側(裏面7側)が反対であることを除き、同様であるので、実施形態1に係る保護層付き被加工物200と同様の作用効果を奏するものとなる。また、実施形態2に係る保護層付き被加工物200-2は、さらに、被加工物1-3の周囲を囲む環状のフレーム9が熱可塑性樹脂100で形成された保護層101-2(保護部材103-2)によって被加工物1-3に固定されているので、環状のフレーム9が必要な種々の取り扱いができたり、環状のフレーム9が必要なその他の加工方法の加工対象とすることができたりするという作用効果を奏するものとなる。
〔変形例6〕
本発明の実施形態2の変形例6に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法及び保護層付き被加工物200-3を図面に基づいて説明する。図31は、実施形態2の変形例6に係る保護部材の設置方法における準備ステップST21及び樹脂供給ステップST11の一例を示す断面図である。図32は、実施形態2の変形例6に係る保護部材の設置方法を経て得られる保護層付き被加工物200-3を示す断面図である。図31及び図32は、実施形態1及び実施形態2と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態2の変形例6に係る保護部材の設置方法は、図31に示すように、実施形態2に係る保護部材の設置方法において、準備ステップST21で第1載置部72に載置する対象を、保護層101(保護部材103)が形成された表面4側を下方に向け、裏面7側を上方に向けた実施形態1に係る保護層付き被加工物200に変更したものである。
実施形態2の変形例6に係る保護層付き被加工物200-3は、図32に示すように、実施形態2の変形例6に係る保護部材の設置方法を経て得られるものであり、実施形態2に係る保護層付き被加工物200-2において、被加工物1-3を実施形態1に係る保護層付き被加工物200に変更したものである。実施形態2の変形例6に係る被加工物の加工方法は、実施形態2に係る被加工物の加工方法において、加工対象を、実施形態2に係る保護層付き被加工物200-2を実施形態2の変形例6に係る保護層付き被加工物200-3に変更したものである。
実施形態2の変形例6に係る保護層付き被加工物200-3は、図32に示すように、被加工物1の裏面7側に保護層101-2(保護部材103-2)を形成した後、被加工物1の表面4側を覆う保護層101(保護部材103)を剥離して除去することで、被加工物1の表面4側に搭載された電極バンプ6を露出させて凹凸を露出させることができる。
実施形態2の変形例6に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法及び保護層付き被加工物200-3は、上記のような構成を備えるので、実施形態2に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法及び保護層付き被加工物200-2と同様の作用効果を奏するものとなる。また、実施形態2の変形例6に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法及び保護層付き被加工物200-3は、実施形態1の変形例1に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法及び保護層付き被加工物で説明したように、被加工物1に代えて被加工物1-2を採用してもよく、これらの場合でも、同様の作用効果を奏するものとなる。
また、実施形態1と、実施形態2の変形例6とを組み合わせることで、表面4側に凹凸がある被加工物1,1-2を採用する場合でも、先に被加工物1,1-2の表面4側に保護層101(保護部材103)を形成することで、被加工物1,1-2の裏面7を覆う保護層101-2を熱可塑性樹脂100で形成するとともに、熱可塑性樹脂100で形成される裏面7を覆う保護層101-2により被加工物1,1-2にフレーム9を固定することができる。
〔変形例7〕
本発明の実施形態2の変形例7に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法及び保護層付き被加工物200-4を図面に基づいて説明する。図33は、実施形態2の変形例7に係る保護部材の設置方法における準備ステップST21及び樹脂供給ステップST11の一例を示す断面図である。図34は、実施形態2の変形例7に係る保護部材の設置方法を経て得られる保護層付き被加工物200-4を示す断面図である。図33及び図34は、実施形態1及び実施形態2と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態2の変形例7に係る保護部材の設置方法は、図33に示すように、実施形態2に係る保護部材の設置方法において、準備ステップST21で第2載置部73に載置する対象を、環状のフレーム9から環状のフレーム芯材9-2に変更したものである。環状のフレーム芯材9-2は、径方向中央における直径が環状のフレーム9と等しく、径方向の幅及び厚みが環状のフレーム9より小さい芯材であり、図33に示すように、第2載置部73に径方向の内側及び外側と、厚み方向の上方とに隙間を介して載置される。実施形態2の変形例7に係る保護部材の設置方法の樹脂供給ステップST11では、この第2載置部73とフレーム芯材9-2との間の隙間に、熱可塑性樹脂100を供給してもよい。
実施形態2の変形例7に係る保護部材の設置方法は、図33及び図34に示すように、カバーステップST12では、樹脂供給ステップST11で供給された熱可塑性樹脂100が変形して、第2載置部73とフレーム芯材9-2との間の隙間にも押し広げられる。これにより、実施形態2の変形例7に係る保護部材の設置方法は、カバーステップST12では、フレーム芯材9-2と、第2載置部73とフレーム芯材9-2との間の隙間に押し広げられた熱可塑性樹脂100とにより、フレーム9と同様の開口9-1を有するフレームが形成される。
実施形態2の変形例7に係る保護層付き被加工物200-4は、図34に示すように、実施形態2の変形例7に係る保護部材の設置方法を経て得られるものであり、実施形態2に係る保護層付き被加工物200-2において、フレーム9を、フレーム芯材9-2と、第2載置部73とフレーム芯材9-2との間の隙間に押し広げられた熱可塑性樹脂100とにより形成されたフレームに変更したものである。実施形態2の変形例7に係る被加工物の加工方法は、実施形態2に係る被加工物の加工方法において、加工対象を、実施形態2に係る保護層付き被加工物200-2を実施形態2の変形例7に係る保護層付き被加工物200-4に変更したものである。
実施形態2の変形例7に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法及び保護層付き被加工物200-4は、上記のような構成を備えるので、実施形態2に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法及び保護層付き被加工物200-2と同様の作用効果を奏するものとなる。
〔変形例8〕
本発明の実施形態2の変形例8に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法及び保護層付き被加工物200-5を図面に基づいて説明する。図35は、実施形態2の変形例8に係る保護部材の設置方法における準備ステップST21及び樹脂供給ステップST11の一例を示す断面図である。図36は、実施形態2の変形例8に係る保護部材の設置方法を経て得られる保護層付き被加工物200-5を示す断面図である。図35及び図36は、実施形態1及び実施形態2と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態2の変形例8に係る保護部材の設置方法は、図35に示すように、実施形態2に係る保護部材の設置方法において、準備ステップST21で第2載置部73に載置する対象を、環状のフレーム9から環状のフレーム9-3及び接着促進部材9-4に変更したものである。環状のフレーム9-3は、径方向中央における直径及び径方向の幅が環状のフレーム9と等しく、厚みが環状のフレーム9より少し小さく、図35に示すように、第2載置部73に厚み方向の上方に隙間を介して載置される。
接着促進部材9-4は、径方向中央における直径及び径方向の幅が環状のフレーム9及びフレーム9-3と等しく、厚みが環状のフレーム9の厚みからフレーム9-3の厚みを差し引いた厚みに等しく、図35に示すように、第2載置部73に嵌め合わせされたフレーム9-3の厚み方向の上方の隙間に嵌め合わせされて載置される。すなわち、接着促進部材9-4は、フレーム9-3において樹脂供給ステップST11で供給されカバーステップST12で押し広げられる熱可塑性樹脂100が接触する面に配置される。接着促進部材9-4は、フレーム9-3に対する熱可塑性樹脂100の接着を促進する部材であり、冷却ステップST13で熱可塑性樹脂100を冷却して硬化する際にフレーム9-3と熱可塑性樹脂100との間で発生する接着反応を促進する材料で形成されている。
実施形態2の変形例8に係る保護部材の設置方法は、図35及び図36に示すように、カバーステップST12及び冷却ステップST13では、フレーム9-3と熱可塑性樹脂100で形成された保護層101-2(保護部材103-2)とが接着促進部材9-4を介して接着される。これにより、実施形態2の変形例8に係る保護部材の設置方法は、図36に示すように、実質的にフレーム9-3と接着促進部材9-4とにより、フレーム9と同様の開口9-1を有するフレームが形成される。
実施形態2の変形例8に係る保護層付き被加工物200-5は、図36に示すように、実施形態2の変形例8に係る保護部材の設置方法を経て得られるものであり、実施形態2に係る保護層付き被加工物200-2において、フレーム9を、実質的にフレーム9-3と接着促進部材9-4とにより形成されたフレームに変更したものである。実施形態2の変形例8に係る被加工物の加工方法は、実施形態2に係る被加工物の加工方法において、加工対象を、実施形態2に係る保護層付き被加工物200-2を実施形態2の変形例8に係る保護層付き被加工物200-5に変更したものである。
実施形態2の変形例8に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法及び保護層付き被加工物200-5は、上記のような構成を備えるので、実施形態2に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法及び保護層付き被加工物200-2と同様の作用効果を奏するものとなる。
〔変形例9〕
本発明の実施形態2の変形例9に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法及び保護層付き被加工物200-6を図面に基づいて説明する。図37は、実施形態2の変形例9に係る保護部材の設置方法における準備ステップST21及び樹脂供給ステップST11の一例を示す断面図である。図38は、実施形態2の変形例9に係る保護部材の設置方法を経て得られる保護層付き被加工物200-6を示す断面図である。図37及び図38は、実施形態1及び実施形態2と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態2の変形例9に係る保護部材の設置方法は、図37に示すように、実施形態2に係る保護部材の設置方法において、準備ステップST21で第2載置部73に環状のフレーム9を載置しないように変更したものである。実施形態2の変形例9に係る保護部材の設置方法は、図37に示すように、樹脂供給ステップST11では、第2載置部73に熱可塑性樹脂100を供給することが好ましい。
実施形態2の変形例9に係る保護部材の設置方法は、図37及び図38に示すように、カバーステップST12では、樹脂供給ステップST11で供給された熱可塑性樹脂100が変形して、第2載置部73にも押し広げられる。これにより、実施形態2の変形例8に係る保護部材の設置方法は、カバーステップST12では、第2載置部73に押し広げられた熱可塑性樹脂100により、フレーム9と同様の形状の被加工物1-3の周囲を囲む開口9-1を有する環状の肉厚部9-5が、保護層101-2(保護部材103-2)と一体に形成される。
実施形態2の変形例9に係る保護層付き被加工物200-6は、図38に示すように、実施形態2の変形例9に係る保護部材の設置方法を経て得られるものであり、実施形態2に係る保護層付き被加工物200-2において、フレーム9を、熱可塑性樹脂100で形成された環状の肉厚部9-5に変更したものである。実施形態2の変形例9に係る被加工物の加工方法は、実施形態2に係る被加工物の加工方法において、加工対象を、実施形態2に係る保護層付き被加工物200-2を実施形態2の変形例9に係る保護層付き被加工物200-6に変更したものである。
実施形態2の変形例9に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法及び保護層付き被加工物200-6は、上記のような構成を備えるので、実施形態2に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法及び保護層付き被加工物200-2と同様の作用効果を奏するものとなる。
〔変形例10〕
本発明の実施形態2の変形例10に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法及び保護層付き被加工物300-2を図面に基づいて説明する。図39は、実施形態2の変形例10に係る被加工物の加工方法の一例である研削加工を示す断面図である。図39は、実施形態1及び実施形態2と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態2の変形例10に係る保護部材の設置方法は、実施形態2に係る保護部材の設置方法において、被加工物1-3の裏面7に代えて表面4に保護層101-2(保護部材103-2)を設置するものである。実施形態2の変形例10に係る被加工物の加工方法は、実施形態2に係る加工方法において、被加工物1-3の表面4側に代えて裏面7側から加工処理をするものである。実施形態2の変形例10に係る保護層付き被加工物300-2は、実施形態2に係る保護層付き被加工物200-2において、被加工物1-3の裏面7に代えて表面4に保護層101-2(保護部材103-2)が形成されたものである。
実施形態2の変形例10に係る被加工物の加工方法は、図39に示すように、保護層付き被加工物200-2のフレーム9をクランプ47で把持し、保護層付き被加工物300-2の保護部材103-2側の露出面である表面104-2をチャックテーブル45の保持面46で吸引保持した状態で、チャックテーブル45を不図示の回転駆動源により軸心周りに回転させつつ、研削装置40の研削液供給部41から被加工物1-3の裏面7に研削液42を供給しながら、研削装置40に装着された研削砥石43を軸心回りに回転させて被加工物1-3の裏面7に接触させて研削する。
また、実施形態2の変形例10に係る被加工物の加工方法は、図示は省略するが、実施形態1の変形例2と概ね同様に、保護層付き被加工物300-2のフレーム9をクランプで把持し、チャックテーブルの保持面で保護部材103-2側から保持した被加工物1-3の裏面7に向けて、レーザー照射装置からレーザー光線を照射することで、被加工物1-3を裏面7側からレーザー加工をしてもよい。この場合において、実施形態2の変形例10に係る被加工物の加工方法は、実施形態1の変形例2に係る被加工物の加工方法の第3例と同様の変更を適宜実施してもよく、同様の作用効果を奏するものとなる。また、実施形態2の変形例10に係る被加工物の加工方法は、同様に、切削ブレードを裏面7側から切り込ませて切削加工をしても良い。
実施形態2の変形例10に係る被加工物の加工方法では、このようなレーザー加工や切削加工の際、被加工物1-3の裏面7側から赤外線カメラを用いて表面4側のデバイス5を撮影し、加工する領域である分割予定ライン3を割り出しても良い。また、実施形態2の変形例10に係る被加工物の加工方法は、ガラス等の透光性のあるチャックテーブルを用いて被加工物1-3を保持しチャックテーブル越しに被加工物1-3の表面4側のデバイス5を撮影して分割予定ライン3を割り出しても良く、この場合、保護層101-2(保護部材103-2)が、粘着テープに使用される半透明な粘着層と異なり、透光性を有するので、粘着テープを使用する従来と比較して、被加工物1-3の裏面7側から表面4側のデバイス5を明瞭に撮影して精度よく分割予定ライン3を割り出すことができるという作用効果を奏する。
これらの実施形態2の変形例10に係る被加工物の加工方法は、実施形態2に係る加工方法において、被加工物1-3の表面4側に代えて裏面7側から加工処理をするものであるため、実施形態2と同様の作用効果を奏するものとなる。また、これらの実施形態2の変形例10に係る被加工物の加工方法においても、変形例7、変形例8及び変形例9と同様の方法で裏面7に代えて表面4に保護層101-2(保護部材103-2)を設置した各被加工物1-3を加工対象とすることができる。
実施形態2の変形例10に係る保護部材の設置方法で形成する保護層101-2(保護部材103-2)は、実施形態2に係る保護部材の設置方法で形成するものと同じであり、被加工物1-3を裏面7側から切削(ダイシング)する時、表面4側を保護する保護層101-2(保護部材103-2)として機能するほか、被加工物1-3を裏面7側から研削やレーザー加工をする際には表面4側を保護する保護層101-2(保護部材103-2)として機能させることが出来る。このため、実施形態2の変形例10に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法及び保護層付き被加工物300-2は、被加工物1-3の表面4側に保護層101-2(保護部材103-2)を配置することで、切削と研削、レーザー加工を被加工物1-3の裏面7側から実施する場合、保護層101-2(保護部材103-2)を一度配置すれば、研削から引き続き、切削やレーザー加工を実施することも出来るため、保護層101-2(保護部材103-2)の貼り替えを不要とするという作用効果も奏する。
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法、保護層付き被加工物200-2及びフレームユニット110を図面に基づいて説明する。図40は、実施形態3に係る保護部材の設置方法に使用するフレームユニット110の製造方法の一例を示す断面図である。図41は、実施形態3に係るフレームユニット110の一例を示す断面図である。図42は、実施形態3に係る保護部材の設置方法の一状態を示す断面図である。図43は、実施形態3に係る保護部材の設置方法の図42後の一状態を示す断面図である。図40から図43までの各図は、実施形態1及び実施形態2と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態3に係る保護部材の設置方法は、実施形態3に係る保護部材の設置方法に使用するフレームユニット110の製造方法についての各ステップと、実施形態2における準備ステップST21、樹脂供給ステップST11、カバーステップST12及び冷却ステップST13においてフレームユニット110を使用する形態に変更した各ステップと、を備える。
フレームユニット110の製造方法では、まず、図40に示すように、実施形態2における準備ステップST21と概ね同様に、所定の保持テーブル80の保持面81の外周領域に、実施形態2に係る所定の保持テーブル70に形成された第2載置部73と同様の第2載置部83に、フレーム9を嵌め合せるようにして載置する。なお、所定の保持テーブル80は、実施形態2に係る所定の保持テーブル70と異なり、保持面81の中央領域には第1載置部72に相当する円盤状の窪みは形成されておらず、平坦となっている。
フレームユニット110の製造方法では、次に、図40に示すように、実施形態2における樹脂供給ステップST11と概ね同様に、第2載置部83に載置されたフレーム9上と、保持テーブル80の保持面81における中央領域とに、熱可塑性樹脂100を供給する。なお、フレームユニット110の製造方法では、熱可塑性樹脂100に代えて、熱可塑性樹脂100-2,100-3,100-4,100-5,100-6,100-7,100-8,100-9を供給するものとしてもよく、また、熱可塑性樹脂100に対してフィラーを混合してもよい。
フレームユニット110の製造方法では、実施形態2に係るカバーステップST12及び冷却ステップST13と概ね同様に、保持テーブル80の内部に備えられた熱源84により保持テーブル80側から熱可塑性樹脂100を加熱し、押圧部材20の接近、熱可塑性樹脂100の軟化、熱可塑性樹脂100の押圧及び変形をして、図41に示すように、フレーム9及び保持テーブル80の保持面81を覆うシート状の熱可塑性樹脂111を熱可塑性樹脂100で形成する。このようにして、フレームユニット110の製造方法では、フレーム9上において開口9-1を覆うように熱可塑性樹脂100を押し広げて、図41に示すような実施形態3に係るフレームユニット110を形成、製造する。
フレームユニット110の製造方法を経て得られる実施形態3に係るフレームユニット110は、図41に示すように、環状のフレーム9と、フレーム9の開口9-1を覆うシート状の熱可塑性樹脂111と、を有する。フレームユニット110は、フレーム9の開口9-1の中に被加工物1-3を位置付け、シート状の熱可塑性樹脂111においてフレーム9が設置された側の面113の中央領域に被加工物1-3が設置及び貼着されると、フレーム9が被加工物1-3の周囲を囲む部材として機能し、シート状の熱可塑性樹脂111が被加工物1-3の一方の面である表面4または裏面7に貼着された保護層101-2(保護部材103-2)として機能し、シート状の熱可塑性樹脂111の露出した面112が表面102-2(表面104-2)として機能する。
実施形態3に係る保護部材の設置方法における準備ステップST21では、所定の保持テーブル90-1と、所定の押圧部材90-2とを備える一対の押圧ユニット90を使用する。所定の保持テーブル90-1と、所定の押圧部材90-2とは、互いに厚み方向に対向して配置される。保持テーブル90-1は、実施形態2で使用した保持テーブル70において、熱源94の径方向(水平方向)の加熱領域を熱源74に対して狭めたものである。熱源94の径方向(水平方向)の加熱領域は、被加工物1-3が載置される第1載置部92と対向する領域を含み、なおかつ、フレーム9が嵌め合せされる第2載置部93と対向する領域を含まないものとなっている。具体的には、熱源94は、第1載置部92が形成されている全部の領域まで延在して形成されており、端部が第2載置部93よりも内側に形成されている。
押圧部材90-2は、実施形態2で使用した押圧部材20において、押圧面95が押圧面21に対して図示しない吸引保持機能を新たに備え、熱源96の径方向(水平方向)の加熱領域を熱源22に対して狭めたものである。押圧面95の吸引保持機能は、例えば、押圧面95が設けられたポーラスセラミック等と、ポーラスセラミック等に接続された図示しない真空吸引源とを備える構成により、真空吸引源により吸引されることで実現される。熱源96は、熱源94に対向して熱源94と同様の大きさ及び形状に形成されており、熱源96の径方向(水平方向)の加熱領域は、熱源94と同様となっている。
実施形態3に係る保護部材の設置方法における準備ステップST21では、図42に示すように、保持テーブル90-1の保持面91の中央領域に円盤状に窪んで形成された第1載置部92に被加工物1-3を、表面4側を下方に向け、裏面7側を上方に向けて押圧部材90-2に対向させて、嵌め合せるようにして載置する。実施形態3に係る保護部材の設置方法における準備ステップST21では、また、図42に示すように、押圧部材90-2の押圧面95にフレームユニット110をシート状の熱可塑性樹脂111の面112側から吸引保持させることで、フレームユニット110のフレーム9を保持テーブル90-1の第2載置部93に対向させ、フレームユニット110のシート状の熱可塑性樹脂111の面113を第1載置部92に載置された被加工物1-3に対向させる。
実施形態3に係る保護部材の設置方法における樹脂供給ステップST11では、図42及び図43に示すように、被加工物1-3が第1載置部92に載置された保持テーブル90-1に対し、フレームユニット110を押圧面95に吸引保持した押圧部材90-2を接近させて、シート状の熱可塑性樹脂111の面113を被加工物1-3に接触させることで、実施される。すなわち、実施形態3に係る保護部材の設置方法における樹脂供給ステップST11では、フレームユニット110の製造方法を経てシート状の熱可塑性樹脂111となった熱可塑性樹脂100を、被加工物1-3に接触させることで供給する。
実施形態3に係る保護部材の設置方法におけるカバーステップST12では、図43に示すように、保持テーブル90-1の熱源94及び押圧部材90-2の熱源96によりシート状の熱可塑性樹脂111を加熱して、少なくとも面113側の被加工物1-3と対向及び接触する領域の部分を軟化及び溶融することで、シート状の熱可塑性樹脂111を被加工物1-3の裏面7側に貼着する。これにより、シート状の熱可塑性樹脂111は、図43に示すように、保護層101-2(保護部材103-2)となる。また、シート状の熱可塑性樹脂111の露出した面112は、表面102-2(表面104-2)となる。
実施形態3に係る保護部材の設置方法における冷却ステップST13では、実施形態1及び実施形態2と同様である。このようにして、実施形態3に係る保護部材の設置方法では、実施形態2と同様の保護層付き被加工物200-2を得る。また、実施形態3に係る被加工物の加工方法は、実施形態2及び実施形態2の変形例10と同様である。なお、実施形態3に係る保護部材の設置方法は、実施形態2の変形例6と同様に、保護部材の設置対象を、被加工物1-3に代えて、実施形態1に係る保護層付き被加工物200としてもよい。
なお、図42及び図43では、被加工物1-3の裏面7にフレームユニット110のシート状の熱可塑性樹脂111の面113を貼着する形態を示しているが、本発明では、これに限定されず、準備ステップST21において第1載置部92に載置する被加工物1-3の厚み方向の向きを逆にして、裏面7側を下方に向け、表面4側を上方に向けて押圧部材90-2に対向させることで、被加工物1-3の表面4にフレームユニット110のシート状の熱可塑性樹脂111の面113を貼着して保護層付き被加工物300-2を得る形態に変更することができる。
実施形態3に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法及び保護層付き被加工物200-2は、上記のような構成を備えるので、実施形態2に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法及び保護層付き被加工物200-2と同様の作用効果を奏するものとなる。
また、実施形態3に係る保護部材の設置方法は、予め熱可塑性樹脂100がフレーム9と一体化されてシート状の熱可塑性樹脂111となっていて、すでにシート状に保護層101-2(保護部材103-2)が広がっている形態なので、被加工物1-3と保護層101-2(保護部材103-2)とを貼着する際の加熱時間や温度を最小限に抑えることができるという作用効果を奏する。
また、実施形態3に係る保護部材の設置方法は、被加工物1の上に熱可塑性樹脂100を撒いて保護層101-2(保護部材103-2)を一から形成する実施形態1及び実施形態2と比較して、保護層101-2(保護部材103-2)の厚さがある程度決まっているシート状の熱可塑性樹脂111が形成された状態で被加工物1-3に貼着するため、保護層101-2(保護部材103-2)に被加工物1-3がめり込む可能性を低減及び抑制することができるという作用効果を奏する。
さらに、実施形態3に係る保護部材の設置方法は、シート状の熱可塑性樹脂111を形成してから、シート状の熱可塑性樹脂111に基づいて保護層101-2(保護部材103-2)を形成するので、被加工物1-3に対応した領域の保護層101-2(保護部材103-2)の厚みが薄くなってしまう可能性を低減及び抑制することを目的として、シート状の熱可塑性樹脂111を形成する段階で、予め被加工物1-3に対応した領域の保護層101-2(保護部材103-2)に相当するシート状の熱可塑性樹脂111の部分の厚みを集めに設定しておく等、シート状の熱可塑性樹脂111の段階での初期の厚さ設定を自在に実施できるという作用効果を奏する。
また、実施形態3に係る保護部材の設置方法は、予め被加工物1-3の外周の領域の保護層101-2(保護部材103-2)に相当するシート状の熱可塑性樹脂111の部分に、保護層101-2(保護部材103-2)を補強する補強部として機能する放射線状や網目状等の肉厚部分を設けることで、保護層101-2(保護部材103-2)が撓んだり破れたりする可能性を低減及び抑制することができるという作用効果を奏する。
また、実施形態3に係る保護層付き被加工物200-2は、上記した実施形態3に係る保護部材の設置方法が奏する作用効果に基づき、保護層101-2(保護部材103-2)に被加工物1-3がめり込む可能性が低減及び抑制され、被加工物1-3に対応した領域の保護層101-2(保護部材103-2)の厚みが薄くなってしまう可能性が低減及び抑制され、かつ、保護層101-2(保護部材103-2)が撓んだり破れたりする可能性が低減及び抑制されたものとなる。また、実施形態3に係る被加工物の加工方法は、上記した作用効果を奏する保護層付き被加工物200-2を加工することにより、被加工物1-3の表面4側をさらに精度よく加工することができるという作用効果を奏する。
また、実施形態3に係るフレームユニット110は、上記した実施形態3に係る保護部材の設置方法と同様に、被加工物1-3と保護層101-2(保護部材103-2)とを貼着する際の加熱時間や温度を最小限に抑えることができるという作用効果を奏する。また、実施形態3に係るフレームユニット110は、予め被加工物1-3に対応した領域の保護層101-2(保護部材103-2)に相当するシート状の熱可塑性樹脂111の部分の厚みを集めに設定しておいたり、保護層101-2(保護部材103-2)を補強する補強部として機能する放射線状や網目状等の肉厚部分を設けたりすること等ができるので、実施形態3に係る保護層付き被加工物200-2に上記した種々の作用効果をもたらすことを可能にするものである。
〔変形例11〕
本発明の実施形態3の変形例11に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法、保護層付き被加工物200-4及びフレームユニット110-2を図面に基づいて説明する。図44は、実施形態3の変形例11に係る保護部材の設置方法に使用するフレームユニット110-2の製造方法の一例を示す断面図である。図45は、実施形態3の変形例11に係るフレームユニット110-2の一例を示す断面図である。図44及び図45は、実施形態1、実施形態2及び実施形態3と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態3の変形例11に係る保護部材の設置方法は、実施形態3に係る保護部材の設置方法において、フレームユニット110の製造方法を変更したものである。実施形態3の変形例11に係るフレームユニット110-2の製造方法は、図44に示すように、実施形態3に係るフレームユニット110の製造方法において、第2載置部83に載置する対象を、環状のフレーム9から環状のフレーム芯材9-2に変更したものである。環状のフレーム芯材9-2は、実施形態2の変形例7において第2載置部73に載置される形態と同様の方法で、第2載置部83に載置される。実施形態3の変形例11に係るフレームユニット110-2の製造方法では、実施形態2の変形例7と概ね同様に、図44に示すように、この第2載置部83とフレーム芯材9-2との間の隙間に、熱可塑性樹脂100を供給してもよい。
実施形態3の変形例11に係るフレームユニット110-2は、図45に示すように、実施形態3の変形例11に係るフレームユニット110-2の製造方法を経て得られるものであり、実施形態3に係るフレームユニット110において、フレーム9を、フレーム芯材9-2と、第2載置部83とフレーム芯材9-2との間の隙間に押し広げられた熱可塑性樹脂100とにより形成されたフレームに変更したものである。このため、実施形態3の変形例11に係る保護部材の設置方法では、実施形態2の変形例7と同様の保護層付き被加工物200-4を得る。また、実施形態3の変形例11に係る被加工物の加工方法は、実施形態3に係る被加工物の加工方法において、加工対象を、保護層付き被加工物200-2を保護層付き被加工物200-4に変更したものである。
実施形態3の変形例11に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法、保護層付き被加工物200-4及びフレームユニット110-2は、上記のような構成を備えるので、実施形態3に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法、保護層付き被加工物200-2及びフレームユニット110と同様の作用効果を奏するものとなる。
〔変形例12〕
本発明の実施形態3の変形例12に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法、保護層付き被加工物200-5及びフレームユニット110-3を図面に基づいて説明する。図46は、実施形態3の変形例12に係る保護部材の設置方法に使用するフレームユニット110-3の製造方法の一例を示す断面図である。図47は、実施形態3の変形例12に係るフレームユニット110-3の一例を示す断面図である。図46及び図47は、実施形態1、実施形態2及び実施形態3と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態3の変形例12に係る保護部材の設置方法は、実施形態3に係る保護部材の設置方法において、フレームユニット110の製造方法を変更したものである。実施形態3の変形例12に係るフレームユニット110-3の製造方法は、図46に示すように、実施形態3に係るフレームユニット110の製造方法において、第2載置部83に載置する対象を、環状のフレーム9から環状のフレーム9-3及び接着促進部材9-4に変更したものである。環状のフレーム9-3及び接着促進部材9-4は、実施形態2の変形例8において第2載置部73に載置される形態と同様の方法で、第2載置部83に載置される。
実施形態3の変形例12に係るフレームユニット110-3は、図47に示すように、実施形態3の変形例12に係るフレームユニット110-3の製造方法を経て得られるものであり、実施形態3に係るフレームユニット110において、フレーム9を、実質的にフレーム9-3と接着促進部材9-4とにより形成されたフレームに変更したものである。このため、実施形態3の変形例12に係る保護部材の設置方法では、実施形態2の変形例8と同様の保護層付き被加工物200-5を得る。また、実施形態3の変形例12に係る被加工物の加工方法は、実施形態3に係る被加工物の加工方法において、加工対象を、保護層付き被加工物200-2を保護層付き被加工物200-5に変更したものである。
実施形態3の変形例12に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法、保護層付き被加工物200-5及びフレームユニット110-3は、上記のような構成を備えるので、実施形態3に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法、保護層付き被加工物200-2及びフレームユニット110と同様の作用効果を奏するものとなる。
〔変形例13〕
本発明の実施形態3の変形例13に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法、保護層付き被加工物200-6及びフレームユニット110-4を図面に基づいて説明する。図48は、実施形態3の変形例13に係る保護部材の設置方法に使用するフレームユニット110-4の製造方法の一例を示す断面図である。図49は、実施形態3の変形例13に係るフレームユニット110-4の一例を示す断面図である。図50は、実施形態3の変形例13に係る保護部材の設置方法の一状態を示す断面図である。図51は、実施形態3の変形例13に係る保護部材の設置方法の図50後の一状態を示す断面図である。図48から図51までの各図は、実施形態1、実施形態2及び実施形態3と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態3の変形例13に係る保護部材の設置方法は、実施形態3に係る保護部材の設置方法において、フレームユニット110の製造方法を変更したものである。実施形態3の変形例13に係るフレームユニット110-4の製造方法は、図48に示すように、実施形態3に係るフレームユニット110の製造方法において、第2載置部83に環状のフレーム9を載置しないように変更したものである。実施形態3の変形例13に係るフレームユニット110-2の製造方法では、実施形態2の変形例9と概ね同様に、図48に示すように、この第2載置部83に熱可塑性樹脂100を供給してもよい。
実施形態3の変形例13に係るフレームユニット110-4は、図49に示すように、実施形態3の変形例13に係るフレームユニット110-4の製造方法を経て得られるものであり、実施形態3に係るフレームユニット110において、フレーム9を、熱可塑性樹脂100で形成された環状の肉厚部9-5に変更したものである。すなわち、実施形態3の変形例13に係るフレームユニット110-4は、概ね円盤形状を有するシート状領域111-4と、シート状領域111-4の外周に形成された肉厚部9-5でシート状領域111-4を補強する補強部114-4と、を有し、シート状領域111-4と補強部114-4とは熱可塑性樹脂100で一体形成されているものである。
フレームユニット110-4は、肉厚部9-5(補強部114-4)の開口9-1の中に被加工物1-3を位置付け、シート状領域111-4において肉厚部9-5(補強部114-4)が突出している側の面113-4の中央領域に被加工物1-3が設置及び貼着されると、肉厚部9-5(補強部114-4)が被加工物1-3の周囲を囲む部材として機能し、シート状領域111-4が被加工物1-3の一方の面である裏面7に貼着された保護層101-2(保護部材103-2)として機能し、シート状領域111-4の露出した面112-4が表面102-2(表面104-2)として機能する。なお、フレームユニット110-4は、シート状領域111-4が、シート状領域111-4の面113-4の中央領域に設置及び貼着される被加工物1-3の直径より大きい直径を有する。
実施形態3の変形例13に係る保護部材の設置方法は、図50及び図51に示すように、実施形態3に係る保護部材の設置方法と概ね同様の方法で実施される。実施形態3の変形例13に係る保護部材の設置方法は、具体的には、実施形態3に係る保護部材の設置方法において、押圧部材90-2の押圧面95に吸引保持させる対象を、フレームユニット110からフレームユニット110-4に変更したものである。このため、実施形態3の変形例13に係る保護部材の設置方法では、実施形態2の変形例9と同様の保護層付き被加工物200-6を得る。また、実施形態3の変形例13に係る被加工物の加工方法は、実施形態3に係る被加工物の加工方法において、加工対象を、保護層付き被加工物200-2を保護層付き被加工物200-6に変更したものである。
実施形態3の変形例13に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法、保護層付き被加工物200-6及びフレームユニット110-4は、上記のような構成を備えるので、実施形態3に係る保護部材の設置方法、被加工物の加工方法、保護層付き被加工物200-2及びフレームユニット110と同様の作用効果を奏するものとなる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、上記した各実施形態及び各変形例において使用する熱可塑性樹脂100は、紫外線からの回路保護や回路の秘匿を目的として、黒などの暗色に着色されていてもよく、紫外線吸収剤を混練させてもよい。