JP2022073713A - 保護部材付き被加工物の製造方法、被加工物の加工方法及び保護部材付き被加工物 - Google Patents

保護部材付き被加工物の製造方法、被加工物の加工方法及び保護部材付き被加工物 Download PDF

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Abstract

【課題】加工中に被加工物から保護部材が剥離することを低減しつつ、加工後に保護部材を剥がすことができる保護部材付き被加工物の製造方法、被加工物の加工方法及び保護部材付き被加工物を提供すること。【解決手段】保護部材付き被加工物の製造方法は、熱可塑性樹脂からなるシート110を準備するシート準備ステップと、熱可塑性樹脂の軟化点以上の温度でシート110を加熱しつつ、シート110を被加工物1の一方の面である裏面7に向かって押圧し、被加工物1とシート110を一体化する一体化ステップと、を備える。被加工物1と一体化されたシート110(保護部材119)は、温度25℃、剥離速度100mm/分での180度ピール試験で測定される密着強度が、0.15~10N/mmである。【選択図】図9

Description

本発明は、保護部材付き被加工物の製造方法、被加工物の加工方法及び保護部材付き被加工物に関する。
半導体ウェーハや樹脂パッケージ基板、セラミックス基板、ガラス基板など各種板状の被加工物を、研削装置で研削して薄化したり、切削ブレードやレーザービームで分割したりする場合、被加工物はチャックテーブルで吸引保持される。被加工物の被保持面側がチャックテーブルの保持面と接触することによる被加工物の損傷、汚染等を防ぐ目的や、被加工物が複数のチップ(チップ状のデバイス)に分割された後に全てのチップを一括して搬送する目的の下に、通常、被加工物の被保持面側には、保護部材としての粘着テープが貼り付けられる(例えば、特許文献1参照)。
特開2001-358093号公報
粘着テープは、一般的に、樹脂製の基材層と、樹脂製の粘着剤で形成された糊層と、の積層構造を有する。粘着テープの糊層を被保持面側に密着させて貼り付けると、粘着テープを剥離する際に、粘着剤の残渣が被加工物に残るという問題があった。また、糊層がクッションとして作用することで、加工中に被加工物が振動しやすくなり、その結果、被加工物に欠けが生じたり、分割後のチップが飛散したりする可能性があるという問題があった。
そこで、糊層を無くして基材層のみにして基材層を熱圧着で固定する方法も考案された。これにより、クッションとなってしまったり残渣となって残ってしまったりする糊層の問題が解消されたが、加工中に被加工物から保護部材が剥離してしまったり、加工後に保護部材が剥がれ無いという問題が残っていた。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、加工中に被加工物から保護部材が剥離することを低減しつつ、加工後に保護部材を剥がすことができる保護部材付き被加工物の製造方法、被加工物の加工方法及び保護部材付き被加工物を提供することである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の保護部材付き被加工物の製造方法は、板状の被加工物と、該被加工物の一方の面に密着して加工中の被加工物を保護する保護部材とからなる保護部材付き被加工物の製造方法であって、熱可塑性樹脂からなるシートを準備するシート準備ステップと、該熱可塑性樹脂の軟化点以上の温度で該シートを加熱しつつ、該シートを被加工物の一方の面に向かって押圧し、該被加工物と該シートを一体化する一体化ステップと、を備え、被加工物と一体化された該保護部材は、温度25℃、剥離速度100mm/分での180度ピール試験で測定される密着強度が、0.15~10N/mmなるものである。
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の保護部材付き被加工物の製造方法は、板状の被加工物と、該被加工物の一方の面に密着して加工中の被加工物を保護する保護部材とからなる保護部材付き被加工物の製造方法であって、被加工物の該一方の面に板状、粉状、塊状、紐状、粒状、膜状又は流動体状の熱可塑性樹脂を供給する熱可塑性樹脂供給ステップと、軟化点以上の温度で該熱可塑性樹脂を加熱しつつ、10MPa以上の圧力で被加工物に向かって該熱可塑性樹脂を押し広げ、該被加工物の一方の面を覆う保護部材を該熱可塑性樹脂で形成する一体化ステップと、を備え、被加工物と一体化された該保護部材は、温度25℃、剥離速度100mm/分での180度ピール試験で測定される密着強度が、0.15~10N/mmなるものである。
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の被加工物の加工方法は、板状の被加工物の加工方法であって、上記した保護部材付き被加工物の製造方法で保護部材付き被加工物を製造する保護部材付き被加工物製造ステップと、該保護部材付き被加工物の該保護部材側を加工装置のチャックテーブルで保持し、加工ユニットで該被加工物を加工する加工ステップと、該加工ステップ実施後、該保護部材を該被加工物から剥離する剥離ステップと、を備える。
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の保護部材付き被加工物は、板状の被加工物と、該被加工物の一方の面に密着して加工中の被加工物を保護する保護部材とからなる保護部材付き被加工物であって、該保護部材は、被加工物の該一方の面に熱圧着されて密着し、該一方の面を覆う熱可塑性樹脂からなり、被加工物に固定された該保護部材は、温度25℃、剥離速度100mm/分での180度ピール試験で測定される密着強度が、0.15~10N/mmなるものである。
上記した本発明の保護部材付き被加工物の製造方法、被加工物の加工方法及び保護部材付き被加工物において、該保護部材の少なくとも該被加工物に接触する面にはナトリウム及び亜鉛のいずれも含まない熱可塑性樹脂で形成されていることが好ましい。
本願発明は、加工中に被加工物から保護部材が剥離することを低減しつつ、加工後に保護部材を剥がすことができる。
図1は、実施形態1に係る保護部材付き被加工物の製造方法及び被加工物の加工方法の対象の被加工物を示す斜視図である。 図2は、実施形態1に係る保護部材付き被加工物の製造方法の処理手順を示すフローチャートである。 図3は、図2のシート準備ステップを説明する斜視図である。 図4は、図2のシート準備ステップを説明する断面図である。 図5は、図2のシート準備ステップを説明する断面図である。 図6は、図2のシート準備ステップを説明する断面図である。 図7は、図2の一体化ステップの第1例を説明する断面図である。 図8は、図2の一体化ステップの第1例を説明する断面図である。 図9は、図2の一体化ステップの第1例を説明する断面図である。 図10は、図2の一体化ステップの第2例を説明する断面図である。 図11は、図2の一体化ステップの後処理を説明する断面図である。 図12は、実施形態1に係る保護部材付き被加工物の製造方法により製造された実施形態1に係る保護部材付き被加工物を示す斜視図である。 図13は、実施形態1に係る被加工物の加工方法の処理手順を示すフローチャートである。 図14は、図13の加工ステップの第1例である切削加工を説明する断面図である。 図15は、図13の加工ステップの第2例である研削加工を説明する断面図である。 図16は、図13の加工ステップの第3例であるレーザー加工を説明する断面図である。 図17は、実施形態2に係る保護部材付き被加工物の製造方法の一体化ステップを説明する断面図である。 図18は、実施形態3に係る保護部材付き被加工物の製造方法の一体化ステップを説明する断面図である。 図19は、実施形態3に係る保護部材付き被加工物の製造方法により製造された実施形態3に係る保護部材付き被加工物を示す斜視図である。 図20は、実施形態3に係る被加工物の加工方法の加工ステップの第1例である切削加工を説明する断面図である。 図21は、実施形態3に係る被加工物の加工方法の加工ステップの第2例である研削加工を説明する断面図である。 図22は、実施形態3に係る被加工物の加工方法の加工ステップの第3例であるレーザー加工を説明する断面図である。 図23は、実施形態4に係る保護部材付き被加工物の製造方法のシート準備ステップを説明する断面図である。 図24は、実施形態4に係る保護部材付き被加工物の製造方法の一体化ステップを説明する断面図である。 図25は、実施形態5に係る保護部材付き被加工物の製造方法の処理手順を示すフローチャートである。 図26は、図25の熱可塑性樹脂供給ステップ及び一体化ステップを説明する断面図である。 図27は、実施形態6に係る保護部材付き被加工物の製造方法の熱可塑性樹脂供給ステップ及び一体化ステップを説明する断面図である。 図28は、変形例1に係るフレームユニットの製造方法におけるシート準備ステップで熱可塑性樹脂を供給する方法の一例を示す斜視図である。 図29は、変形例1に係るフレームユニットの製造方法におけるシート準備ステップで熱可塑性樹脂を供給する方法の一例を示す斜視図である。 図30は、変形例1に係るフレームユニットの製造方法におけるシート準備ステップで熱可塑性樹脂を供給する方法の一例を示す斜視図である。 図31は、変形例1に係るフレームユニットの製造方法におけるシート準備ステップで熱可塑性樹脂を供給する方法の一例を示す斜視図である。 図32は、変形例1に係るフレームユニットの製造方法におけるシート準備ステップで熱可塑性樹脂を供給する方法の一例を示す斜視図である。 図33は、変形例1に係るフレームユニットの製造方法におけるシート準備ステップで熱可塑性樹脂を供給する方法の一例を示す斜視図である。 図34は、変形例1に係るフレームユニットの製造方法におけるシート準備ステップで熱可塑性樹脂を供給する方法の一例を示す斜視図である。 図35は、変形例1に係るフレームユニットの製造方法におけるシート準備ステップで熱可塑性樹脂を供給する方法の一例を示す斜視図である。 図36は、変形例1に係るフレームユニットの製造方法におけるシート準備ステップで熱可塑性樹脂を供給する方法の一例を示す斜視図である。 図37は、変形例1に係るフレームユニットの製造方法におけるシート準備ステップで熱可塑性樹脂を供給する方法の一例を示す斜視図である。 図38は、実施形態1に係る保護部材付き被加工物の製造方法、被加工物の加工方法及び保護部材付き被加工物の作用効果を説明する図である。 図39は、実施形態5に係る保護部材付き被加工物の製造方法、被加工物の加工方法及び保護部材付き被加工物の作用効果を説明する図である。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る保護部材付き被加工物の製造方法、被加工物の加工方法及び保護部材付き被加工物を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る保護部材付き被加工物の製造方法及び被加工物の加工方法の対象の被加工物1を示す斜視図である。被加工物1は、実施形態1では、シリコン、サファイア、ガリウムヒ素、SiC基板、GaN基板、LT基板、単結晶ダイヤモンド基板などを基板2とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハ等のウェーハである。なお、被加工物1は、本発明では円板状に限定されず、樹脂パッケージ基板や金属基板等その他の板状であってもよい。
被加工物1は、実施形態1では、図1に示すように、交差(実施形態1では、直交)する複数の分割予定ライン3で区画された表面4の各領域にそれぞれチップ状のデバイス5が形成されている。被加工物1は、各分割予定ライン3に沿って分割されて、個々のデバイス5(チップ)に分割される。なお、被加工物1の半導体ウェーハは、本発明ではこれに限定されず、デバイス5が形成されていてもいなくても良い。被加工物1及びデバイス5は、表面4とは反対側の裏面7が平坦に形成されている。裏面7は、実施形態1では、被加工物1及びデバイス5をチャックテーブル145,155,165(図14、図15及び図16参照)で吸引保持するときの被保持面となる。被加工物1は、本発明では、表面4に凹凸の構造物を備えていてもよく、例えば、デバイス5の表面4に、デバイス5の表面4から突出している複数の電極バンプが搭載されていてもよい。
まず、実施形態1に係る保護部材付き被加工物の製造方法及び保護部材付き被加工物を説明する。図2は、実施形態1に係る保護部材付き被加工物の製造方法の処理手順を示すフローチャートである。実施形態1に係る保護部材付き被加工物の製造方法は、図2に示すように、シート準備ステップ1001と、一体化ステップ1002と、を備える。
なお、保護部材付き被加工物の製造方法は、実施形態1では、被加工物1の裏面7を被保持面として裏面7にシート110(図5及び図6等参照)を密着及び固定して一体化し、シート110を保護部材119(図9、図10及び図11等参照)とすることで保護部材付き被加工物120(図12等参照)を製造するが、本発明ではこれに限定されず、被加工物1の表面4を被保持面として表面4にシート110を密着及び固定して一体化してもよい。
図3は、図2のシート準備ステップ1001を説明する斜視図である。図4、図5及び図6は、図2のシート準備ステップ1001を説明する断面図である。シート準備ステップ1001は、図3、図4、図5及び図6に示すように、熱可塑性樹脂100を加熱して軟化させながら支持テーブル10の平坦な支持面11に沿って押し広げて両面が平坦なシート状に成形し、支持面11上に熱可塑性樹脂100のシート110を形成することで、熱可塑性樹脂100からなるシート110を準備するステップである。
シート準備ステップ1001では、まず、図3に示すように、支持テーブル10の支持面11上に熱可塑性樹脂100を供給する。シート準備ステップ1001で供給する成形前の熱可塑性樹脂100は、実施形態1では塊状であるが、本発明ではこれに限定されず、板状、粉状、紐状、粒状、膜状又は流動体状等であってもよい。シート準備ステップ1001で供給して成形する熱可塑性樹脂100は、所定の厚さに成形した際に被加工物1の裏面7を途切れなく覆うことが可能な体積を有する。シート準備ステップ1001で供給して成形する熱可塑性樹脂100は、所定の厚さに成形した際に、被加工物1の裏面7の外縁からはみ出ない体積であることが好ましい。シート準備ステップ1001では、供給する熱可塑性樹脂100の体積を変更することで、熱可塑性樹脂100を成形して得られるシート110の厚さを変更することができる。
シート準備ステップ1001で供給して成形する熱可塑性樹脂100は、実施形態1では、軟化点より低温の硬化状態では、流動性を有さない剛体であり、実質的に粘着剤のような粘着性を有さないため、被加工物1の裏面7と過度に粘着することが抑制される。また、シート準備ステップ1001で供給する熱可塑性樹脂100は、軟化点より高温の軟化状態では、流動性を有するものの、実質的に粘着剤のような粘着性は概ね見られないため、被加工物1の裏面7と過度に粘着することが低減される。
シート準備ステップ1001で供給して成形する熱可塑性樹脂100は、具体的には、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ビニル系樹脂、ポリアセタール、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリ(4-メチル-1-ペンテン),ポリ(1-ブテン)等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン-6,ナイロン-66,ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルイミド、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレン、エーテルポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素樹脂、エチレン・不飽和カルボン酸共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、アイオノマー、エチレン-酢酸ビニル-無水マレイン酸三元共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化樹脂、並びに、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
シート準備ステップ1001で供給して成形する熱可塑性樹脂100に使用される上記のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体を構成する不飽和カルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸、及び、無水イタコン酸等が例示される。ここで、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンと不飽和カルボン酸の2元共重合体のみならず、更に他の単量体が共重合された多元共重合体を包含するものである。エチレン・不飽和カルボン酸共重合体に共重合されていてもよい上記他の単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルのような不飽和カルボン酸エステルなどが例示される。
シート準備ステップ1001で供給して成形する熱可塑性樹脂100の軟化点は、実施形態1では、0℃以上150℃以下の範囲内の温度である。シート準備ステップ1001で供給して成形する熱可塑性樹脂100は、上で例示した化合物群が使用されるので、軟化点が0℃以上150℃以下の範囲内の温度となる。シート準備ステップ1001で供給して成形する熱可塑性樹脂100は、上で例示した異なる種類の化合物を混ぜることで、軟化点を調整することができ、例えば、軟化点をドライ研磨加工中の被加工物1の温度である40℃~100℃程度よりも高い温度に調整することで、ドライ研磨加工中に軟化状態となることを防止することができる。
シート準備ステップ1001で供給して成形する熱可塑性樹脂100は、被加工物1に接触してデバイス5に侵入することでデバイス5の動作不良が生じる可能性がある金属であるナトリウム及び亜鉛のいずれも含まない。なお、ナトリウム及び亜鉛は、一般的に粘着テープの基材層にコシ(すなわち、しなやかさ及び丈夫さ)を持たせるために意図的に添加されるものであり、意図的に添加しなければ基本的に含まれない。ここで、熱可塑性樹脂100がナトリウム及び亜鉛のいずれも含まないとは、熱可塑性樹脂100に対して実施可能な本出願時点で周知の成分検出方法、例えば、誘導結合プラズマ質量分析法(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry、ICP-MS)や二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry、SIMS)等を用いて熱可塑性樹脂100を分析しても、ナトリウム及び亜鉛のいずれもが検出限界以下であることをいう。
シート準備ステップ1001で供給して成形する熱可塑性樹脂100は、大きさが0.1nm以上400nm以下のフィラーが混合されている。フィラーは、実施形態1では、粒状であるが、本発明ではこれに限定されず、繊維のような柱状等の形状を有していてもよい。なお、本明細書では、フィラーの大きさは、フィラーの粒子径で定義される。粒子径の表し方には、幾何学的径、相当径等の既知の手法がある。幾何学的径には、フェレー(Feret)径、定方向最大径(即ち、Krummbein径)、Martin径、ふるい径等があり、相当径には、投影面積円相当径(即ち、Heywood径)、等表面積球相当径、等体積球相当径、ストークス径、光散乱径等がある。フィラーが繊維のような柱状等の形状を有している場合でも、前述のフィラーが粒状である場合と同様の方法で、フィラーの大きさを定義できる。また、本明細書では、大きさが0.1nm以上400nm以下のフィラーのことを、nmオーダーの大きさのフィラーであるとして、ナノフィラーと適宜称する。
このようなナノフィラーが混合された熱可塑性樹脂100を用いて形成される被加工物1に固定されるシート110(保護部材119)は、混合されているナノフィラーの大きさが可視光の波長よりも小さく、可視光を吸収または散乱できないため、透明に近くなり、シート110(保護部材119)越しに被加工物1を観察する事を妨げないため、シート110(保護部材119)越しにデバイス5を観察するアライメントが容易に実施出来る。なお、400nmより大きいフィラーが混合された熱可塑性樹脂を用いて形成されるシート(保護部材)は、混合されているフィラーが可視光を吸収または散乱する割合が大きくなってしまい、透明度が落ちてしまう可能性がある。
シート準備ステップ1001で供給して成形する熱可塑性樹脂100は、全フィラーのうちナノフィラーが混合された割合が50wt%(質量%)を超えて含まれることが好ましい。なお、例えば、全フィラーのうち大きさが500nmのフィラーをそれぞれ40wt%、50wt%、60wt%の割合で混合したところ、40wt%の場合には、この熱可塑性樹脂100を成形して得られるシート110(保護部材119)越しに観察するデバイス5の視認性が良好であったが、50wt%、60wt%の場合には、この熱可塑性樹脂100を成形して得られるシート110(保護部材119)越しにデバイス5の視認はできるものの、40wt%の場合と比較してその視認性が低下した。
シート準備ステップ1001で供給して成形される熱可塑性樹脂100に混合されるナノフィラーは、熱可塑性樹脂100より熱膨張係数が小さい充填剤である。シート準備ステップ1001で供給して成形される熱可塑性樹脂100に混合されるナノフィラーは、熱可塑性樹脂100より熱膨張係数が小さい無機充填剤または有機充填剤が好適に使用される。熱可塑性樹脂100は、このようなナノフィラーが混合されることにより、シート110(保護部材119)が、シート準備ステップ1001でシート110を形成後の冷却処理や一体化ステップ1002で保護部材119(シート110)を冷却する際に、収縮することを低減及び防止することができ、これに伴い、シート110(保護部材119)を固定した被加工物1が撓んだり変形したりすることを防止することができる。
熱可塑性樹脂100に混合されるナノフィラーは、無機充填剤であることが好ましく、具体的には、溶融シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、クレー、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ベリリウム、酸化鉄、酸化チタン、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、マイカ、ガラス、石英、雲母等が好適に使用される。また、熱可塑性樹脂100に混合されるナノフィラーは、上記の2種類以上を混合して使用しても良い。熱可塑性樹脂100に混合されるナノフィラーは、上記した無機充填剤のうち、溶融シリカや結晶性シリカ等のシリカ類が使用されることが好ましく、この場合、ナノフィラーのコストを好適に抑制することができる。
熱可塑性樹脂100のうちナノフィラーの含有割合(混合割合)は、0.01wt%~90wt%の範囲で変更可能であり、ナノフィラーの含有割合が多い方が、シート110(保護部材119)の熱膨張係数が小さくなり、ドレッシング効果も高くなるが、多すぎるとシート110(保護部材119)の全体が脆くなる可能性があるため、適宜の割合を選択してシート110(保護部材119)を形成する。
シート準備ステップ1001で供給して成形される熱可塑性樹脂100には、フィラーの他に、酸化防止剤、光安定剤、バインダー樹脂、帯電防止剤、シランカップリング剤、離型剤、界面活性剤、染料、顔料、蛍光剤、紫外線吸収剤等の種々の配合剤を必要に応じて添加することができる。
シート準備ステップ1001では、支持テーブル10の支持面11上に熱可塑性樹脂100を供給した後、この供給した熱可塑性樹脂100を支持テーブル10の内部に備えられた熱源12により支持面11側から加熱して軟化させる。シート準備ステップ1001では、また、図4に示すように、押圧部材20の平坦な押圧面21を、支持面11側とは反対側から熱可塑性樹脂100に向けて接近させて接触させる。シート準備ステップ1001では、また、押圧部材20の内部に備えられた熱源22により、押圧面21側から熱可塑性樹脂100をさらに加熱して軟化させる。
シート準備ステップ1001では、このように熱源12,22により熱可塑性樹脂100を加熱して軟化させながら、図5に示すように、支持面11と平行にした押圧面21で支持面11上の熱可塑性樹脂100を支持面11に沿って押し広げて、シート状に成形することで、支持面11上に熱可塑性樹脂100のシート110を形成する。シート準備ステップ1001では、支持面11と押圧面21とがともに平坦で互いに平行であるので、一方の面113と他方の面114とがともに平坦で互いに平行なシート110を形成する。シート準備ステップ1001では、上記したように十分な体積の熱可塑性樹脂100を成形しているので、被加工物1の裏面7を途切れなく覆うことが可能な大きさのシート110を形成する。シート準備ステップ1001では、被加工物1の裏面7の外縁からはみ出ない大きさのシート110を形成することが好ましい。シート準備ステップ1001では、実施形態1では、例えば、所定の時間(実施形態1では例えば10分)以上の間、熱源12,22により所定の温度(実施形態1では例えば90℃以上)で加熱しながら、支持テーブル10及び押圧部材20により所定の圧力(実施形態1では例えば10MPa(本明細書における圧力は、後述する真空チャンバ31内の真空圧を除き、いずれもゲージ圧))で加圧して熱可塑性樹脂100を成形することで、シート110を形成する。シート準備ステップ1001では、実施形態1では、支持テーブル10の上昇量及び押圧部材20の下降量を調整することで、形成するシート110の厚さを調整できる。
シート準備ステップ1001で使用する支持テーブル10は、支持面11に離型材料が被覆されることが好ましく、この場合、支持面11に軟化した熱可塑性樹脂100が接着する可能性をさらに抑制することができる。同様に、シート準備ステップ1001で使用する押圧部材20は、押圧面21に離型材料が被覆されることが好ましく、この場合、押圧面21に軟化した熱可塑性樹脂100が接着する可能性をさらに抑制することができる。被覆方法としては、例えば離型材料をスプレーして塗布する。支持面11及び押圧面21に被覆される離型材料としては、ナトリウム及び亜鉛のいずれも含まないものが使用され、フッ素樹脂が好適なものとして例示される。他にも、離型シートとして機能する平坦なナトリウム及び亜鉛のいずれも含まない樹脂シートを支持面11及び押圧面21に配置しておき、シート110を形成後に、この樹脂シートをシート110からめくって剥離しても良い。なお、支持面11及び押圧面21に配置する樹脂シートは、表面に離型材料が被覆されていることが好ましい。
シート準備ステップ1001では、実施形態1では、熱源12及び熱源22により、支持面11側及び押圧面21側の両側から熱可塑性樹脂100を加熱して軟化しているが、本発明はこれに限定されず、熱源12及び熱源22のうちいずれか一方により、支持面11側及び押圧面21側のうちいずれか一方から熱可塑性樹脂100を加熱して軟化してもよい。なお、シート準備ステップ1001では、両方の熱源12,22の温度が同じでも異なっていても良く、低い温度の方にシート110がくっつきやすい特性があるので、次の工程の都合等に合わせて、温度を各々設定しても良い。
また、シート準備ステップ1001は、減圧チャンバ内で実施してもよく、この場合、シート110の内部に気泡が混入することを抑制できる。
シート準備ステップ1001では、実施形態1では、シート110を形成後にシート110を冷却するため、シート状に成形してすぐ後に、シート110を構成する熱可塑性樹脂100を硬化させるので、シート110の形状を速やかに安定化させることができる。シート準備ステップ1001では、実施形態1では、例えば、熱源12及び熱源22をオフにして熱源12及び熱源22によるシート110の加熱を停止することにより、シート110の冷却を開始し、例えば大気により、シート110を大気の温度程度まで冷却する。
シート準備ステップ1001では、本発明ではこれに限定されず、熱源12及び熱源22をオフにした後、押圧部材20でシート110を加圧した状態で、支持テーブル10及び押圧部材20の内部に設けられた不図示の空冷又は水冷等の冷却機構により、支持面11側及び押圧面21側からシート110を冷却してもよい。シート準備ステップ1001では、また、熱源22をオフすることに代えて、押圧部材20をシート110から離すことで、熱源22によるシート110の加熱を停止してもよい。シート準備ステップ1001では、熱源12及び熱源22をそれぞれ熱可塑性樹脂100の加熱及び軟化に使用するか否かに応じて、適宜冷却処理の方法を変更することができる。
シート準備ステップ1001では、その後、押圧部材20をシート110から離し、図6に示すように、シート110を支持テーブル10の支持面11から剥して、シート110の準備が完了する。シート準備ステップ1001で準備したシート110は、上述したように、ナトリウム及び亜鉛のいずれも含まない熱可塑性樹脂100で形成されたものであり、被加工物1に接触する面113にはナトリウム及び亜鉛のいずれも含まないため、被加工物1の一方の面に固定された際に被加工物1のデバイス5に不良動作が生じる可能性を抑制する。なお、シート準備ステップ1001で準備したシート110は、実施形態1では被加工物1の裏面7に固定されて裏面7側を保護する保護部材119となるが、本発明ではこれに限定されず、被加工物1の表面4に固定されて表面4側を保護する保護部材119となってもよい。
図7、図8、図9は、図2の一体化ステップ1002の第1例を説明する断面図である。図10は、図2の一体化ステップ1002の第2例を説明する断面図である。図11は、図2の一体化ステップ1002の後処理を説明する断面図である。一体化ステップ1002は、シート準備ステップ1001の後に実施される。一体化ステップ1002の第1例は、図7、図8及び図9に示すように、熱可塑性樹脂100の軟化点以上の温度でシート110を加熱しつつ、所定の圧力(実施形態1では例えば0.3MPa以上)でシート110を被加工物1の一方の面である裏面7に向かって押圧し、被加工物1とシート110を一体化するステップである。
一体化ステップ1002の第1例では、まず、図7に示すように、被加工物1を、裏面7側を上方に向けて、シート密着装置30の真空チャンバ31内の下方の中央領域に設置された支持台32上に載置する。一体化ステップ1002の第1例では、次に、シート110の面113を下方に向けて、シート110の両端を、真空チャンバ31の側方に支持台32を挟んで形成された一対の貫通穴33に挿通させ、真空チャンバ31の外から所定の力で引っ張る。一体化ステップ1002の第1例では、このようにして、シート110を、面113を支持台32上の被加工物1の裏面7側に向けて、裏面7の上方を覆うように配置する。
一体化ステップ1002の第1例では、シート110を被加工物1の上方に配置した後、図7に示すように、真空チャンバ31の上方の中央領域に設けられた第1連通路34と、真空チャンバ31の下方の支持台32よりも外側に設けられた第2連通路35とから、真空チャンバ31内を排気して減圧する。一体化ステップ1002の第1例では、この減圧処理により、被加工物1の裏面7とシート110の面113との間に空気が噛み込まれることを低減及び防止する。一体化ステップ1002の第1例では、実施形態1では、例えば、第1連通路34及び第2連通路35に連通して設けられたドライポンプや油回転ポンプ等により、真空チャンバ31内を絶対圧で10Pa~10Pa程度の低真空に減圧する。
一体化ステップ1002の第1例では、第1連通路34及び第2連通路35から真空チャンバ31内を排気して減圧した後、図8に示すように、第2連通路35からの排気を継続した状態で、第1連通路34から真空チャンバ31内にガスを導入する。一体化ステップ1002の第1例では、このように、シート110の上方の気圧をシート110の下方の気圧よりも高くすることで、図8に示すように、シート110の面113を、シート110の下方にある被加工物1の裏面7に密着させる。
なお、一体化ステップ1002の第1例では、シート110と被加工物1との上下方向の位置関係を入れ替えて、被加工物1を上から押圧して、被加工物1の裏面7を、被加工物1の下方にあるシート110の面113に密着させてもよい。
また、一体化ステップ1002の第1例では、被加工物1を支持する支持台32を上昇させて、被加工物1の裏面7を、被加工物1の上方にあるシート110の面113に密着させてもよい。この場合、シート110の面114側を所定の支持部材の支持面によって上から押さえつけられていることが好ましい。また、被加工物1を支持する支持台32の内部と、シート110の面114側を支持する支持部材の内部とに、後述する熱源42,52と同様の熱源が備えられていても良い。
一体化ステップ1002の第1例では、シート110の面113を被加工物1の裏面7に密着させた後、シート110及び被加工物1をシート密着装置30の真空チャンバ31内から取り出し、図9に示すように、被加工物1の他方の面側である表面4側を吸引保持テーブル40の保持面41に向けて載置し、吸引保持する。ここで、吸引保持テーブル40は、保持面41が設けられかつポーラスセラミックス等から形成された保持部43を備え、図示しない真空吸引源と接続され、真空吸引源により吸引されることで、保持面41で被加工物1を吸引保持する。
一体化ステップ1002の第1例では、そして、吸引保持テーブル40の内部に備えられた熱源42により、保持面41側から被加工物1を介してシート110を加熱して軟化させる。一体化ステップ1002の第1例では、また、図9に示すように、押圧部材20と同様の押圧部材50の平坦な押圧面51を、保持面41側とは反対側から、吸引保持テーブル40で吸引保持した被加工物1の裏面7に密着したシート110の面114側に向けて接近させて接触させる。一体化ステップ1002の第1例では、また、押圧部材50の内部に備えられた熱源52により、押圧面51側からシート110を加熱して軟化させる。なお、実施形態1では、シート準備ステップ1001で使用する押圧部材20と、一体化ステップ1002の第1例で使用する押圧部材50とを別々としているが、本発明ではこれに限定されず、同じものを使用しても良い。
一体化ステップ1002の第1例では、このように熱源42,52によりシート110を熱可塑性樹脂100の軟化点以上の所定の温度(実施形態1では例えば80℃以上)で加熱して軟化させながら、図9に示すように、保持面41と平行にした押圧面51で所定の圧力(実施形態1では例えば0.3MPa以上)で軟化したシート110を被加工物1に所定時間(実施形態1では例えば30秒)以上押し付けることで、軟化したシート110の面113を被加工物1の裏面7に熱圧着して密着し、シート110を被加工物1に固定して被加工物1を保護する保護部材119とする。
一体化ステップ1002の第1例では、制御ユニット55が、押圧面51付近に設けられた温度測定部53で、押圧面51で被加工物1に押し付けるシート110の温度を測定し、温度の測定結果に基づいて熱源42,52による加熱を制御することで、押圧面51で被加工物1に押し付けるシート110の温度を熱可塑性樹脂100の軟化点以上の所定の温度に制御する。なお、温度測定部53は、吸引保持テーブル40の保持面41付近に設けられていてもよい。また、一体化ステップ1002の第1例では、制御ユニット55が、押圧部材50を押圧する押圧部に設けられた押圧力測定部54で、押圧面51でシート110を被加工物1に押し付ける圧力を測定し、圧力の測定結果に基づいて押圧部による押圧力を制御することで、押圧面51でシート110を被加工物1に押し付ける押圧力を所定の圧力に制御する。
ここで、制御ユニット55は、実施形態1では、コンピュータシステムを含む。制御ユニット55が含むコンピュータシステムは、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有する。制御ユニット55の演算処理装置は、制御ユニット55の記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、熱源42,52及び押圧部材50を押圧する押圧部を制御するための制御信号を、制御ユニット55の入出力インターフェース装置を介して熱源42,52及び押圧部材50を押圧する押圧部に出力する。
一体化ステップ1002の第1例では、保持面41と押圧面51とがともに平坦で互いに平行であるので、シート110(保護部材119)の露出面である面114と被加工物1の表面4とが互いに平行になるように、シート110を被加工物1に密着及び固定する。
一体化ステップ1002の第1例では、シート110の被加工物1に密着及び固定する領域を限定的に熱源42,52により加熱して軟化することが好ましい。このため、熱源42,52は、シート110の被加工物1に密着及び固定する領域に対向して限定的に設けられていることが好ましい。なお、熱源42は、実施形態1では、図9に示すように、シート110の被加工物1に密着及び固定する領域に対向して限定的に設けられている。
一方、一体化ステップ1002の第2例では、図10に示すように、面113側を吸引保持テーブル40で吸引保持した被加工物1の裏面7側に向けたシート110を介して被加工物1の裏面7側の一方の端から他方の端に向かってローラー57を回転移動させることにより、被加工物1の裏面7側の一方の端から順にシート110を載置しながら、載置するシート110を吸引保持テーブル40の内部に備えられた熱源42により被加工物1側から加熱して軟化させつつ、ローラー57により載置するシート110を面114側から被加工物1に向けて押圧することで、軟化したシート110の面113を被加工物1の裏面7に熱圧着して密着し、シート110を被加工物1に固定して被加工物1を保護する保護部材119とする。
一体化ステップ1002の第2例では、一体化ステップ1002の第1例と同様に、制御ユニット55が、ローラー57に設けられた温度測定部53で、ローラー57で被加工物1に押し付けるシート110の温度を測定し、温度の測定結果に基づいて熱源42による加熱を制御することで、ローラー57で被加工物1に押し付けるシート110の温度を熱可塑性樹脂100の軟化点以上の温度に制御する。また、一体化ステップ1002の第2例では、一体化ステップ1002の第1例と同様に、制御ユニット55が、ローラー57を押圧する押圧部に設けられた押圧力測定部54で、ローラー57でシート110を被加工物1に押し付ける圧力を測定し、圧力の測定結果に基づいて押圧部による押圧力を制御することで、ローラー57でシート110を被加工物1に押し付ける圧力を所定の圧力(実施形態1では例えば0.3MPa以上)に制御する。
なお、一体化ステップ1002の第2例では、本発明ではこれに限定されず、ローラー57に代えて所定の温度に加熱された熱圧着ローラーを使用して、シート110を被加工物1の裏面7に熱圧着してもよい。
また、一体化ステップ1002の第3例では、まず、一体化ステップ1002の第2例と同様に、シート110を介してローラー57を所定の圧力(実施形態1では例えば0.3MPa以上)で押圧しながら回転移動させることにより、吸引保持テーブル40で保持した被加工物1の裏面7側の一方の端から順にシート110を密着させる。一体化ステップ1002の第3例では、ローラー57で被加工物1の裏面7側にシート110を密着させた後、シート110を被加工物1に向けて押圧することなく、すなわち押圧力が0MPa下で、シート110側から工業用ドライヤーで所定の温度(実施形態1では例えば80℃以上)の熱風を吹き付けることによりシート110を加熱して軟化させることで、軟化したシート110の面113を被加工物1の裏面7に密着し、シート110を被加工物1に固定して被加工物1を保護する保護部材119とする。
一体化ステップ1002では、実施形態1では、シート110を被加工物1に密着及び固定して保護部材119とした後に、保護部材119を冷却する。一体化ステップ1002では、このように被加工物1に密着及び固定して形成された保護部材119をすぐ後に冷却することにより、保護部材119を構成する熱可塑性樹脂100を硬化させるので、保護部材119の形状を安定化させることができる。
一体化ステップ1002の第1例では、実施形態1では、例えば、熱源42,52をオフにして熱源42,52による保護部材119の加熱を停止することにより、保護部材119の冷却を開始し、例えば大気により、保護部材119を大気の温度程度まで冷却する。
一体化ステップ1002の第1例では、本発明ではこれに限定されず、熱源42,52をオフにした後、押圧部材50で保護部材119を加圧した状態で、吸引保持テーブル40及び押圧部材50の内部に設けられた不図示の空冷又は水冷等の冷却機構により、保持面41側及び押圧面51側から保護部材119を冷却してもよい。一体化ステップ1002の第1例では、また、熱源52をオフすることに代えて、押圧部材50を保護部材119から離すことで、熱源52による保護部材119の加熱を停止してもよい。一体化ステップ1002の第1例は、熱源42,52をそれぞれシート110の加熱及び軟化に使用するか否かに応じて、適宜変更することができる。
一方、一体化ステップ1002の第2例では、例えば、熱源42をオフにして熱源42によるシート110の加熱を停止することにより、シート110の冷却を開始し、例えば大気により、シート110を大気の温度程度まで冷却する。一体化ステップ1002の第2例では、本発明ではこれに限定されず、熱源42をオフにした後、吸引保持テーブル40の内部に設けられた不図示の空冷又は水冷等の冷却機構により、吸引保持テーブル40側からシート110を冷却してもよい。
また、一体化ステップ1002の第3例では、例えば、工業用ドライヤーによる熱風の吹き付けを停止することにより、シート110の冷却を開始し、例えば大気により、シート110を大気の温度程度まで冷却する。一体化ステップ1002の第3例では、本発明ではこれに限定されず、工業用ドライヤーによる熱風の吹き付けを停止した後、一体化ステップ1002の第2例と同様に、吸引保持テーブル40の内部に設けられた不図示の空冷又は水冷等の冷却機構により、吸引保持テーブル40側からシート110を冷却してもよい。
また、一体化ステップ1002は、第1例でも第2例でも第3例でも、減圧チャンバ内で実施してもよく、この場合、シート110(保護部材119)と被加工物1との間に気泡が混入することを抑制できる。
一体化ステップ1002の第1例の後、押圧部材50を保護部材119から離し、保護部材119を固定した被加工物1を吸引保持テーブル40から取り外す。一体化ステップ1002の第2例の後、ローラー57を保護部材119から離し、保護部材119を固定した被加工物1を吸引保持テーブル40から取り外す。一体化ステップ1002の第3例の後、工業用ドライヤーを保護部材119から離し、保護部材119を固定した被加工物1を吸引保持テーブル40から取り外す。一体化ステップ1002では、実施形態1では、保護部材119を固定した被加工物1を吸引保持テーブル40から取り外した後に、図11に示すように、保護部材119(シート110)のうち、被加工物1の外縁から径方向にはみ出した部分である外周の領域116を切除する後処理を実施する。
一体化ステップ1002の後処理では、まず、図11に示すように、保護部材119を固定した被加工物1の表面4側を、吸引保持テーブル60の保持面61で吸引保持する。ここで、吸引保持テーブル60は、吸引保持テーブル40において、熱源42がなく、保持部43が保持部63に変更されたものである。保持部63は、保持面61側に、被加工物1の外径と同様の直径を有する円環状の溝65が形成されている。
一体化ステップ1002の後処理では、次に、図11に示すように、切除装置70のカッター71で、吸引保持テーブル60の保持面61で保持された被加工物1に固定された保護部材119(シート110)における外周の領域116を切除する。ここで、切除装置70は、被加工物1の外縁に向けてカッター71を保持する円板72と、円板72を軸心周りに回転駆動する不図示の回転駆動源とを備え、カッター71の刃先を溝65に挿入した状態で回転駆動源により円板72を軸心周りに回転させることで、カッター71を被加工物1の外縁に沿って回転移動させて、外周の領域116を切除する。一体化ステップ1002では、このようにして、熱可塑性樹脂100からなる保護部材119が裏面7の全面を覆って固定された被加工物1である保護部材付き被加工物120(図12参照)を得る。
図12は、実施形態1に係る保護部材付き被加工物の製造方法により製造された実施形態1に係る保護部材付き被加工物120を示す斜視図である。保護部材付き被加工物120は、図12に示すように、板状の被加工物1と、被加工物1の一方の面である裏面7に密着して加工中の被加工物1を保護する保護部材119とからなる。保護部材付き被加工物120の保護部材119は、裏面7を覆う熱可塑性樹脂100からなり、一体化ステップ1002で、保護部材119を構成する熱可塑性樹脂100の軟化点以上の温度下で、被加工物1の裏面7に熱圧着されて密着したものである。
保護部材付き被加工物120の保護部材119は、上記したように熱可塑性樹脂100の軟化点以上の温度下という条件下で被加工物1に熱圧着されて密着したものであるため、温度25℃、剥離速度100mm/分での180度ピール試験で測定される被加工物1との密着強度が、0.15N/mm以上10N/mm以下である。ここで、温度25℃、剥離速度100mm/分での180度ピール試験は、試験法JIS K 6854-2による条件を、剛性被着材側を被加工物1とし、たわみ性被着材側を保護部材119として、温度25度及び大気圧の環境下で、推奨つかみ移動速度を剥離速度の100mm/分(JIS K 6854-2での標準速度)として、180度剥離試験を実施するものである。
また、保護部材付き被加工物120の保護部材119は、一体化ステップ1002で被加工物1に熱圧着するときの加熱及び押圧処理の処理時間を長くするに従って、被加工物1との密着強度が強くなる。また、保護部材付き被加工物120の保護部材119は、一体化ステップ1002で被加工物1に熱圧着するときの加熱温度を高くするに従って、被加工物1との密着強度が強くなる。また、保護部材付き被加工物120の保護部材119は、一体化ステップ1002で被加工物1に熱圧着するときの押圧力を大きくするに従って、被加工物1との密着強度が強くなる。保護部材付き被加工物120の保護部材119は、一体化ステップ1002で被加工物1に熱圧着するときの処理時間、加熱温度及び押圧力を制御することで、温度25℃、剥離速度100mm/分での180度ピール試験で測定される被加工物1との密着強度を、0.15N/mm以上10N/mm以下に制御することができる。
保護部材付き被加工物120は、保護部材119の被加工物1に接触して固定される面113にはナトリウム及び亜鉛のいずれも含まない熱可塑性樹脂100で形成されているので、被加工物1のデバイス5に不良動作が生じる可能性が抑制されている。
次に、実施形態1に係る被加工物の加工方法を説明する。図13は、実施形態1に係る被加工物の加工方法の処理手順を示すフローチャートである。実施形態1に係る被加工物の加工方法は、図13に示すように、保護部材付き被加工物製造ステップ1011と、加工ステップ1012と、剥離ステップ1013と、を備える。
保護部材付き被加工物製造ステップ1011は、上記した保護部材付き被加工物の製造方法を実施して保護部材付き被加工物120,120-2(図15参照)を製造するステップである。保護部材付き被加工物120は、保護部材119が被加工物1の裏面7に密着したものであり、保護部材付き被加工物120-2は、保護部材119が被加工物1の表面4に密着したものである。
図14は、図13の加工ステップ1012の第1例である切削加工を説明する断面図である。図15は、図13の加工ステップ1012の第2例である研削加工を説明する断面図である。図16は、図13の加工ステップ1012の第3例であるレーザー加工を説明する断面図である。加工ステップ1012は、図14、図15及び図16に示すように、保護部材付き被加工物製造ステップ1011で製造した保護部材付き被加工物120,120-2(図15参照)の保護部材119側を加工装置のチャックテーブル145,155,165で保持し、加工ユニットで被加工物1を加工するステップである。実施形態1において加工ステップ1012を実施する図14に示す切削加工装置140、図15に示す研削加工装置150及び図16に示すレーザー加工装置160は、いずれも、本発明に係る加工装置の一例である。また、実施形態1において、切削加工を実施する図14に示す切削ブレード141、研削加工を実施する図15に示す研削砥石153、及び、レーザー加工を実施する図16に示すレーザー照射器161は、いずれも、本発明に係る加工ユニットの一例である。
加工ステップ1012の第1例は、実施形態1では、保護部材付き被加工物120において、切削加工装置140により被加工物1を表面4側から切削加工するものであるが、本発明ではこれに限定されず、保護部材付き被加工物120-2(図15参照)において、被加工物1を裏面7側から切削加工してもよい。加工ステップ1012の第1例は、図14に示すように、チャックテーブル145の保持面146で保護部材付き被加工物120を保護部材119側から吸引保持した状態で、被加工物1の表面4に切削液を供給しながら、切削加工装置140に装着された切削ブレード141を軸心回りに回転させて、不図示の駆動源によりチャックテーブル145または切削加工装置140の切削ブレード141を加工送り、割り出し送り、及び切り込み送りすることにより、被加工物1を表面4側から切削する方法である。加工ステップ1012の第1例では、例えば、分割予定ライン3に沿って被加工物1を表面4側から切削して切削溝149を形成することで、被加工物1をハーフカットしたり、被加工物1を各デバイス5に分割(フルカット)したりする。加工ステップ1012の第1例では、切削ブレード141でフィラーが混合された保護部材119を切削することにより、フィラーによって切削ブレード141の消耗が促進され、切削ブレード141のドレッシング効果が発生する。
加工ステップ1012の第2例は、実施形態1では、保護部材付き被加工物120-2において、研削加工装置150により被加工物1を裏面7側から研削加工するものである。加工ステップ1012の第2例は、実施形態1では、被加工物1を裏面7側の全面を研削加工するものであるが、本発明ではこれに限定されず、被加工物1の最外周の側端部分を残し、その内周のみを裏面7側から研削して被加工物1を薄化する所謂TAIKO(登録商標)研削加工してもよい。加工ステップ1012の第2例は、図15に示すように、チャックテーブル155の保持面156で保護部材付き被加工物120-2を保護部材119側から吸引保持した状態で、チャックテーブル155を不図示の回転駆動源により軸心周りに回転させつつ、研削加工装置150の研削液供給部151から被加工物1の裏面7に研削液152を供給しながら、研削加工装置150に装着された研削砥石153を軸心回りに回転させて被加工物1の裏面7に接触させて研削する。
加工ステップ1012の第3例は、実施形態1では、保護部材付き被加工物120において、レーザー加工装置160により被加工物1を表面4側からレーザー加工するものであるが、本発明ではこれに限定されず、保護部材付き被加工物120-2(図15参照)において、被加工物1を裏面7側からレーザー加工してもよい。加工ステップ1012の第3例は、図16に示すように、チャックテーブル165の保持面166で保護部材付き被加工物120を保護部材119側から吸引保持した状態で、被加工物1の表面4に向けて、レーザー照射器161から被加工物1に対して吸収性を有する波長または被加工物1に対して透過性を有する波長のレーザービーム164を照射しながら、不図示の駆動源によりチャックテーブル165またはレーザー照射器161を相対的に移動させることにより、被加工物1を表面4側からレーザービーム164により昇華もしくは蒸発させるいわゆるアブレーション加工または、被加工物1の内部に改質層を形成する方法である。実施形態1に係る加工ステップ1012の第3例では、例えば、分割予定ライン3に沿って被加工物1を表面4側からレーザー加工(アブレーション加工)してレーザー加工溝169を形成することで、被加工物1をハーフカットしたり、被加工物1を各デバイス5に分割(フルカット)したり、被加工物1の内部に改質層を形成したりする。なお、加工ステップ1012の第3例では、パルス状のレーザービーム164が使用されても良い。
加工ステップ1012の第3例は、さらに、保護部材付き被加工物120,120-2において、被加工物1を保護部材119が固定された側からレーザー加工してもよい。この場合、保護部材119は、アブレーション加工で発生したデブリが被加工物1やデバイス5に付着することを抑制する。
加工ステップ1012は、第1例の切削加工や第3例のレーザー加工の際、チャックテーブル145,165の上方に設けられた可視光カメラや赤外線カメラ等のカメラユニット142,162で被加工物1の表面4側からデバイス5や分割予定ライン3のパターンを撮影し、カメラユニット142,162が撮影したパターンの位置に基づいて加工する領域である分割予定ライン3を割り出すアライメントを実施してから、被加工物1を加工しても良い。また、加工ステップ1012は、第1例の切削加工や第3例のレーザー加工において、さらに被加工物1を保護部材119が固定された側からアライメント及び加工を実施する場合、保護部材119が、ナノフィラーが混合されているために良好な透光性を有するので、精度よくアライメントを実施できる。
また、加工ステップ1012は、第1例の切削加工や第3例のレーザー加工の際、ガラス等の透光性のあるチャックテーブル145,165を用いて被加工物1を保持し、チャックテーブル145,165の下方に設けられたカメラユニット143,163で透光性のあるチャックテーブル145,165越しに保護部材119を介して、保護部材119が貼着された被加工物1の表面4側に形成されたデバイス5や分割予定ライン3のパターンを撮影し、カメラユニット143,163が撮影したパターンの位置に基づいて分割予定ライン3を割り出してから、被加工物1を加工しても良い。なお、このように、チャックテーブル145,165越しに被加工物1の表面4のパターンを撮影して加工する位置を割り出すことは、バックサイドアライメントと称される。加工ステップ1012は、保護部材119が、ナノフィラーが混合されているために良好な透光性を有するので、精度よくバックサイドアライメントを実施できる。
また、加工ステップ1012は、第1例の切削加工、第2例の研削加工、第3例のレーザー加工のうち2つ以上を連続して実施してもよい。保護部材付き被加工物120,120-2の保護部材119は、温度25℃、剥離速度100mm/分での180度ピール試験で測定される被加工物1との密着強度が0.15N/mm以上であるため、加工ステップ1012の実施後でも、被加工物1から剥がれることなく、被加工物1に密着して固定した状態が維持される。
剥離ステップ1013は、加工ステップ1012の実施後、保護部材119を被加工物1から剥離するステップである。保護部材付き被加工物120,120-2の保護部材119は、温度25℃、剥離速度100mm/分での180度ピール試験で測定される被加工物1との密着強度が10N/mm以下であるため、剥離ステップ1013では、被加工物1から容易に剥離することができる。
以上のような構成を有する実施形態1に係る保護部材付き被加工物の製造方法、被加工物の加工方法及び保護部材付き被加工物120,120-2は、粘着テープに使用される粘着層と異なり、実質的に粘着剤のような過度な粘着性は概ね見られず、冷却されることで固化して実質的に過度な粘着性を有さない性質を有するシート110を被加工物1に固定して保護部材119とするので、保護部材119が被加工物1から剥離されても被加工物1に残渣として残らず、また、保護部材119が加工中にクッションとなってしまうことが抑制されるため、加工処理を施すことによって被加工物1が欠ける現象が起きる可能性を低減できる。
また、実施形態1に係る保護部材付き被加工物の製造方法、被加工物の加工方法及び保護部材付き被加工物120,120-2は、熱可塑性樹脂100のシート110が、熱可塑性樹脂100の軟化点以上の温度下で、被加工物1の一方の面に熱圧着されて密着されることにより保護部材119が形成されるため、保護部材119の、温度25℃、剥離速度100mm/分での180度ピール試験で測定される被加工物1との密着強度が0.15N/mm以上10N/mm以下となるので、加工中に被加工物1から保護部材119が剥離することを低減しつつ、加工後に被加工物1から保護部材119を剥がすことができるという作用効果を奏する。
また、実施形態1に係る保護部材付き被加工物の製造方法、被加工物の加工方法及び保護部材付き被加工物120,120-2は、保護部材119(シート110)の被加工物1に接触して固定される面113にはナトリウム及び亜鉛のいずれも含まないので、被加工物1のデバイス5に不良動作が生じる可能性を抑制できるという作用効果を奏する。
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係る保護部材付き被加工物の製造方法、被加工物の加工方法及び保護部材付き被加工物を図面に基づいて説明する。図17は、実施形態2に係る保護部材付き被加工物の製造方法の一体化ステップ1002を説明する断面図である。図17は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態2に係る保護部材付き被加工物の製造方法は、実施形態1において、一体化ステップ1002の第1例を変更したものである。実施形態2に係る一体化ステップ1002は、実施形態1において、図17に示すように、熱可塑性樹脂100の軟化点以上の温度下で被加工物1とシート110を一体化する際の被加工物1とシート110との上下方向の位置関係を入れ替えたものである。
実施形態2に係る一体化ステップ1002では、シート110の面113に被加工物1の裏面7を密着させた後、図17に示すように、シート110の面114側を支持テーブル80の支持面81に向けて載置し、支持テーブル80の内部に備えられた熱源82により、支持面81側からシート110を加熱して軟化させる。実施形態2に係る一体化ステップ1002では、また、押圧部材50の押圧面51を、支持面81側とは反対側から、支持テーブル80で支持したシート110の面113が密着した被加工物1に向けて接近させて接触させて、押圧部材50の熱源52により、押圧面51側から被加工物1を介してシート110をさらに加熱して軟化させる。実施形態2に係る一体化ステップ1002では、そして、支持面81と平行にした押圧面51で被加工物1を軟化したシート110に押し付けることで、被加工物1の裏面7を軟化したシート110の面113に熱圧着する。
この実施形態2に係る一体化ステップ1002では、実施形態1と同様の保護部材付き被加工物120が得られる。実施形態2に係る被加工物の加工方法は、実施形態1と同様である。
以上のような構成を備える実施形態2に係る保護部材付き被加工物の製造方法、被加工物の加工方法及び保護部材付き被加工物120,120-2は、実施形態1において、熱可塑性樹脂100の軟化点以上の温度下で被加工物1とシート110を一体化する際の被加工物1とシート110との上下方向の位置関係を入れ替えたものであるので、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3に係る保護部材付き被加工物の製造方法、被加工物の加工方法及び保護部材付き被加工物130を図面に基づいて説明する。図18は、実施形態3に係る保護部材付き被加工物の製造方法の一体化ステップ1002を説明する断面図である。図19は、実施形態3に係る保護部材付き被加工物の製造方法により製造された実施形態3に係る保護部材付き被加工物130を示す斜視図である。図20は、実施形態3に係る被加工物の加工方法の加工ステップ1012の第1例である切削加工を説明する断面図である。図21は、実施形態3に係る被加工物の加工方法の加工ステップ1012の第2例である研削加工を説明する断面図である。図22は、実施形態3に係る被加工物の加工方法の加工ステップ1012の第3例であるレーザー加工を説明する断面図である。図18から図22は、実施形態1及び実施形態2と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態3に係る保護部材付き被加工物の製造方法は、実施形態1において、シート準備ステップ1001と、一体化ステップ1002の第1例を変更したものである。実施形態3に係るシート準備ステップ1001では、実施形態1において、支持テーブル10の支持面11上に供給する熱可塑性樹脂100の体積を変更したものである。実施形態3に係るシート準備ステップ1001で供給して成形する熱可塑性樹脂100は、さらに、所定の厚さに成形した際に被加工物1を収容する金属フレーム9(図18及び図19参照)の開口9-1(図18及び図19参照)を途切れなく覆うことが可能な体積を有する。実施形態3に係るシート準備ステップ1001で供給して成形する熱可塑性樹脂100は、所定の厚さに成形した際に、金属フレーム9の開口9-1を覆う際に金属フレーム9の外縁からはみ出ない体積であることが好ましい。
実施形態3に係る一体化ステップ1002では、図18に示すように、実施形態1において、熱可塑性樹脂100の軟化点以上の温度下で被加工物1の一方の面である裏面7にシート110を熱圧着して密着することにより被加工物1とシート110を一体化する際に、さらに、金属フレーム9の面9-2にシート110を熱圧着して密着することにより金属フレーム9とシート110を一体化することで、図19に示す金属フレーム9付の保護部材付き被加工物130を得るものである。
実施形態3に係る一体化ステップ1002で使用する金属フレーム9は、金属製であり、例えば、SUS製である。金属フレーム9は、中央に円形状の開口9-1を有しており、板状に形成されている。金属フレーム9の開口9-1の内径は、被加工物1の外径よりも大きい。
実施形態3に係る一体化ステップ1002では、図18に示すように、吸引保持テーブル90の保持面91の外周の領域に円環状に窪んで形成されたフレーム載置部94に金属フレーム9を載置し、シート110を密着させた被加工物1を、被加工物1側を下方に向けて、金属フレーム9の開口9-1内に収容される位置に相当する吸引保持テーブル90の保持面91に載置し、吸引保持する。なお、吸引保持テーブル90は、吸引保持テーブル40と同様の保持部93を備え、吸引保持テーブル40と同様の機構により保持面91で被加工物1を吸引保持する。実施形態3に係る一体化ステップ1002では、保持面91で被加工物1を吸引保持することにより、シート110の外周の領域115を金属フレーム9の面9-2上に載置する。
なお、実施形態3に係る一体化ステップ1002で使用するシート110及びこのシート110によって形成される保護部材119は、金属フレーム9に接触して固定される面113側の円環状の外周の領域115(図18及び図19参照)をエチレン・不飽和カルボン酸共重合体を主成分として有する熱可塑性樹脂100で形成してもよい。ここで、熱可塑性樹脂100がエチレン・不飽和カルボン酸共重合体(エチレン・不飽和カルボン酸共重合樹脂)を主成分として有するとは、熱可塑性樹脂100全体からナノフィラーを含むフィラー及びその他の種々の配合剤を除く質量に対する不飽和カルボン酸の質量の割合が少なくとも1質量%以上であり、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上である。なお、熱可塑性樹脂100全体からナノフィラーを含むフィラー及びその他の種々の配合剤を除く質量に対する不飽和カルボン酸の質量の割合は、50質量%以下である。このようなシート110は、金属フレーム9に対して高い固定力を発揮して金属フレーム9に好適に固定することで好適に保護部材付き被加工物130を形成でき、このシート110によって形成された保護部材119が加工中や搬送中に金属フレーム9から剥離してしまう恐れを低減できる。
シート110は、実施形態3では、熱可塑性樹脂100全体からナノフィラーを含むフィラー及びその他の種々の配合剤を除く質量に対する不飽和カルボン酸の質量の割合が1質量%以上である熱可塑性樹脂100を使用して形成しているので、含有する不飽和カルボン酸がエチレンとの間で十分な質量割合のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体(エチレン・不飽和カルボン酸共重合樹脂)を形成するため、金属フレーム9に対して十分な高い固定力を発揮し、金属フレーム9から剥離してしまう恐れを十分に低減できる。また、シート110は、この不飽和カルボン酸の質量の割合が5質量%以上である熱可塑性樹脂100を使用して形成した場合、含有する不飽和カルボン酸がエチレンとの間でより大きい質量割合のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体(エチレン・不飽和カルボン酸共重合樹脂)を形成するため、金属フレーム9に対してより高い固定力を発揮し、金属フレーム9から剥離してしまう恐れをさらに低減できる。さらに、シート110は、この不飽和カルボン酸の質量の割合が10質量%以上である熱可塑性樹脂100を使用して形成した場合、含有する不飽和カルボン酸がエチレンとの間でさらに大きい質量割合のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体(エチレン・不飽和カルボン酸共重合樹脂)を形成するため、金属フレーム9に対してより高い固定力を発揮し、金属フレーム9から剥離してしまう恐れをほぼ完全に抑制できる。一方、熱可塑性樹脂100全体からナノフィラーを含むフィラー及びその他の種々の配合剤を除く質量に対する不飽和カルボン酸の質量の割合が1質量%未満である熱可塑性樹脂を使用して形成したシートは、含有する不飽和カルボン酸がエチレンとの間で十分な質量の割合のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体(エチレン・不飽和カルボン酸共重合樹脂)を形成できないため、金属フレーム9に対して十分な高い固定力を発揮できない。なお、ナノフィラーを含むフィラー及びその他の種々の配合剤を除く質量に対する不飽和カルボン酸の質量の割合が50質量%を超えると熱可塑性樹脂がゴム状の物体となり、熱可塑性の性質が失われてしまう。
また、実施形態3に係る一体化ステップ1002では、金属フレーム9の面9-2とシート110の外周の領域115との間に、金属フレーム9に対する熱可塑性樹脂100の接着を促進する接着促進部材を設けてもよい。また、接着促進部材が金属フレーム9の面9-2上に配置されていても良い。ここで、接着促進部材は、金属フレーム9と熱可塑性樹脂100との間で発生する接着反応を促進する材料で形成されている。
実施形態3に係る一体化ステップ1002では、そして、吸引保持テーブル90の内部に備えられた熱源92により、保持面91側から被加工物1及び金属フレーム9を介してシート110を加熱して軟化させる。実施形態3に係る一体化ステップ1002では、また、図18に示すように、押圧部材50の平坦な押圧面51を、保持面91側とは反対側から、吸引保持テーブル90で吸引保持した被加工物1の裏面7及び金属フレーム9の面9-2に密着したシート110の面114側に向けて接近させて接触させる。実施形態3に係る一体化ステップ1002では、また、押圧部材50の内部に備えられた熱源52により、押圧面51側からシート110を加熱して軟化させる。
実施形態3に係る一体化ステップ1002では、このように熱源52,92によりシート110を熱可塑性樹脂100の軟化点以上の温度で加熱して軟化させながら、図18に示すように、保持面91と平行にした押圧面51で所定の圧力(実施形態3では例えば0.3MPa以上)で軟化したシート110を被加工物1及び金属フレーム9に押し付けることで、軟化したシート110の面113を被加工物1の裏面7及び金属フレーム9の面9-2に熱圧着して密着し、シート110を被加工物1及び金属フレーム9に固定して被加工物1を保護する保護部材119として、金属フレーム9付の保護部材付き被加工物130を得る。
また、実施形態3に係る一体化ステップ1002では、実施形態1に係る一体化ステップ1002の第2例と同様にローラー57を使用して、同様の温度条件及び押圧条件で、シート110の被加工物1及び金属フレーム9への熱圧着処理をしてもよい。また、実施形態3に係る一体化ステップ1002では、実施形態1に係る一体化ステップ1002の第3例と同様に、ローラー57を使用して同様の押圧条件でシート110を密着させた後、工業用ドライヤーを使用して同様の温度条件でシート110の被加工物1及び金属フレーム9への熱圧着処理をしてもよい。
実施形態3に係る一体化ステップ1002の後、シート110を被加工物1の裏面7及び金属フレーム9の面9-2に熱圧着することで形成した保護部材付き被加工物130を吸引保持テーブル90から取り外す。保護部材付き被加工物130は、図19に示すように、板状の被加工物1と、被加工物1の一方の面である裏面7に密着して加工中の被加工物1を保護する保護部材119と、保護部材119の面113上において開口9-1内で被加工物1を収容する金属フレーム9と、を有する。保護部材付き被加工物130の保護部材119は、裏面7を覆う熱可塑性樹脂100からなり、実施形態3に係る一体化ステップ1002で、保護部材119を構成する熱可塑性樹脂100の軟化点以上の温度下で、被加工物1の裏面7及び金属フレーム9の面9-2に熱圧着されて密着したものである。
保護部材付き被加工物130は、保護部材119の被加工物1及び金属フレーム9に接触して固定される面113にはナトリウム及び亜鉛のいずれも含まない熱可塑性樹脂100で形成されているので、被加工物1のデバイス5に不良動作が生じる可能性が抑制されている。
実施形態3に係る被加工物の加工方法の保護部材付き被加工物製造ステップ1011は、上記した実施形態3に係る保護部材付き被加工物の製造方法を実施して保護部材付き被加工物130,130-2(図21参照)を製造するステップである。保護部材付き被加工物130は、保護部材119が被加工物1の裏面7及び金属フレーム9の面9-2に密着したものであり、保護部材付き被加工物130-2は、保護部材119が被加工物1の表面4及び金属フレーム9の面9-2に密着したものである。
実施形態3に係る被加工物の加工方法の加工ステップ1012は、実施形態1において、図20、図21及び図22に示すように、保護部材119側を加工装置のチャックテーブル145,155,165で保持し、加工ユニットで被加工物1を加工する対象を金属フレーム9付の保護部材付き被加工物130,130-2に変更したものである。実施形態3に係る加工ステップ1012の第1例は、図20に示すように、切削加工装置140のフレーム保持部147で保護部材付き被加工物130,130-2の金属フレーム9を保持した状態で切削加工する点を除き、実施形態1と同様である。実施形態3に係る加工ステップ1012の第2例は、図21に示すように、研削加工装置150のフレーム保持部157で保護部材付き被加工物130,130-2の金属フレーム9を保持した状態で研削加工する点を除き、実施形態1と同様である。実施形態3に係る加工ステップ1012の第3例は、図22に示すように、レーザー加工装置160のフレーム保持部167で保護部材付き被加工物130,130-2の金属フレーム9を保持した状態でレーザー加工する点を除き、実施形態1と同様である。
以上のような構成を備える実施形態3に係る保護部材付き被加工物の製造方法、被加工物の加工方法及び保護部材付き被加工物130,130-2は、実施形態1において、熱可塑性樹脂100の軟化点以上の温度下で被加工物1の一方の面である裏面7にシート110を熱圧着して密着することにより被加工物1とシート110を一体化する際に、さらに、金属フレーム9の面9-2にシート110を熱圧着して密着することにより金属フレーム9とシート110を一体化するものであるので、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
なお、実施形態3に係る保護部材付き被加工物の製造方法、被加工物の加工方法及び保護部材付き被加工物130,130-2は、被加工物1とともにシート110を熱圧着して密着することによりシート110と一体化させる対象は、本発明では金属フレーム9に限定されず、同様の形状の樹脂製のフレームでもよい。
〔実施形態4〕
本発明の実施形態4に係る保護部材付き被加工物の製造方法、被加工物の加工方法及び保護部材付き被加工物130-3を図面に基づいて説明する。図23は、実施形態4に係る保護部材付き被加工物の製造方法のシート準備ステップ1001を説明する断面図である。図24は、実施形態4に係る保護部材付き被加工物の製造方法の一体化ステップ1002を説明する断面図である。図23及び図24は、実施形態1、実施形態2及び実施形態3と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態4に係る保護部材付き被加工物の製造方法のシート準備ステップ1001は、図23に示すように、実施形態1において、さらに、シート110の外周縁に熱可塑性樹脂100の肉厚部139を形成するものである。ここで、肉厚部139は、シート110よりも厚い部分のことであり、実施形態4では、例えば、実施形態3の金属フレーム9と同等の厚さ分だけシート110よりも厚い。
実施形態4に係るシート準備ステップ1001では、まず、支持テーブル180の平坦な支持面181と、支持面181の外周の領域に円環状に窪んで形成された溝部184とに、熱可塑性樹脂100を供給する。ここで、溝部184の内径は、被加工物1の外径よりも大きい。
実施形態4に係るシート準備ステップ1001では、図23に示すように、支持テーブル180の内部に備えられた熱源182と、押圧部材20の熱源22とにより、熱可塑性樹脂100を加熱して軟化させながら、支持面181と平行にした押圧面21で、支持面181上の熱可塑性樹脂100を支持面181に沿って押し広げてシート状に成形しつつ、溝部184内の熱可塑性樹脂100を溝部184に従って肉厚に成形することで、外周縁に熱可塑性樹脂100の肉厚部139付のシート110を形成する。
なお、実施形態4に係るシート準備ステップ1001では、溝部184に環状のフレーム芯材を供給し、溝部184内で環状のフレーム芯材と熱可塑性樹脂100とにより肉厚部139を形成してもよい。ここで、環状のフレーム芯材は、例えば、径方向中央における直径が溝部184と等しく、径方向の幅及び厚みが溝部184より小さい芯材である。
実施形態4に係る保護部材付き被加工物の製造方法の一体化ステップ1002は、図24に示すように、実施形態1において、熱可塑性樹脂100の軟化点以上の温度下で被加工物1の一方の面である裏面7に熱圧着して密着することにより被加工物1と一体化する対象を、肉厚部139付のシート110に変更したものである。実施形態4に係る一体化ステップ1002では、まず、実施形態1と同様の方法で、肉厚部139付のシート110のシート状の領域の肉厚部139の突出側の面(肉厚部139に囲繞された凹部の底面)である面113を被加工物1の裏面7に密着させる。
実施形態4に係る一体化ステップ1002では、肉厚部139付のシート110の面113に被加工物1の裏面7を密着させた後、図24に示すように、肉厚部139付のシート110側を吸引保持テーブル190の保持面191に向けて載置して吸引保持し、吸引保持テーブル190の内部に設けられた熱源192により、保持面191側から肉厚部139付のシート110を加熱して軟化させる。なお、吸引保持テーブル190は、吸引保持テーブル40と同様の保持部193を備え、吸引保持テーブル40と同様の機構により保持面191で被加工物1を吸引保持する。実施形態4に係る一体化ステップ1002では、また、押圧部材50-2の押圧面51を、保持面191側とは反対側から、吸引保持テーブル190で吸引保持した肉厚部139付のシート110の面113が密着した被加工物1に向けて接近させて接触させて、押圧部材50-2の熱源52により、押圧面51側から被加工物1を介して肉厚部139付のシート110をさらに加熱して軟化させる。実施形態4に係る一体化ステップ1002では、そして、保持面191と平行にした押圧面51で所定の圧力(実施形態4では例えば0.3MPa以上)で被加工物1を軟化した肉厚部139付のシート110に押し付けることで、被加工物1の裏面7を軟化した肉厚部139付のシート110の面113に熱圧着する。ここで、押圧部材50-2は、押圧部材50の径方向の幅を、肉厚部139付のシート110の面113の内径よりも小さくしたものである。
また、実施形態4に係る一体化ステップ1002では、実施形態1に係る一体化ステップ1002の第2例と同様にローラー57を使用して、同様の温度条件及び押圧条件で、肉厚部139付のシート110の被加工物1への熱圧着処理をしてもよい。また、実施形態3に係る一体化ステップ1002では、実施形態1に係る一体化ステップ1002の第3例と同様に、ローラー57を使用して同様の押圧条件で肉厚部139付のシート110を密着させた後、工業用ドライヤーを使用して同様の温度条件で肉厚部139付のシート110の被加工物1への熱圧着処理をしてもよい。
この実施形態4に係る一体化ステップ1002では、実施形態3に係る保護部材付き被加工物130において、金属フレーム9を、開口139-1内で被加工物1を収容する肉厚部139に変更した形態である実施形態4に係る保護部材付き被加工物130-3が得られる。実施形態4に係る被加工物の加工方法は、実施形態3と概ね同様であり、加工ステップ1012において、被加工物1の加工中に、金属フレーム9の代わりに肉厚部139がフレーム保持部147,157,167で保持される。
以上のような構成を備える実施形態4に係る保護部材付き被加工物の製造方法、被加工物の加工方法及び保護部材付き被加工物130-3は、実施形態1において、熱可塑性樹脂100の軟化点以上の温度下で被加工物1の一方の面である裏面7に熱圧着して密着することにより被加工物1と一体化する対象を、肉厚部139付のシート110に変更したものであるので、実施形態3と同様の作用効果を奏する。
〔実施形態5〕
本発明の実施形態5に係る保護部材付き被加工物の製造方法、被加工物の加工方法及び保護部材付き被加工物を図面に基づいて説明する。図25は、実施形態5に係る保護部材付き被加工物の製造方法の処理手順を示すフローチャートである。図26は、図25の熱可塑性樹脂供給ステップ1021及び一体化ステップ1022を説明する断面図である。図25及び図26は、実施形態1から実施形態4と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態5に係る保護部材付き被加工物の製造方法及び保護部材付き被加工物を説明する。実施形態5に係る保護部材付き被加工物の製造方法は、図25に示すように、熱可塑性樹脂供給ステップ1021と、一体化ステップ1022と、を備える。
実施形態5に係る熱可塑性樹脂供給ステップ1021は、図26に示すように、被加工物1の一方の面である裏面7に熱可塑性樹脂100を供給するステップである。
実施形態5に係る熱可塑性樹脂供給ステップ1021では、まず、図26に示すように、被加工物1の他方の面側である表面4側を吸引保持テーブル40の保持面41に向けて載置し、吸引保持する。実施形態5に係る熱可塑性樹脂供給ステップ1021では、次に、吸引保持テーブル40で保持した被加工物1の裏面7上に熱可塑性樹脂100を供給する。なお、実施形態5に係る熱可塑性樹脂供給ステップ1021で供給する熱可塑性樹脂100の種々の性質は、実施形態1に係るシート準備ステップ1001で供給して成形する熱可塑性樹脂100と同様である。
実施形態5に係る一体化ステップ1022は、軟化点以上の温度で熱可塑性樹脂100を加熱しつつ、10.0MPa以上の圧力で被加工物1に向かって熱可塑性樹脂100を押し広げ、被加工物1の一方の面である裏面7を覆う保護部材119を熱可塑性樹脂100で形成するステップである。
実施形態5に係る一体化ステップ1022では、被加工物1の裏面7上に供給した熱可塑性樹脂100を、吸引保持テーブル40の内部に備えられた熱源42により保持面41側から加熱して軟化させる。実施形態5に係る一体化ステップ1022では、また、図26に示すように、押圧部材50の平坦な押圧面51を、保持面41側とは反対側から熱可塑性樹脂100に向けて接近させて接触させる。実施形態5に係る一体化ステップ1022では、また、押圧部材50の内部に備えられた熱源52により、押圧面51側から熱可塑性樹脂100をさらに加熱して軟化させる。
実施形態5に係る一体化ステップ1022では、このように熱源42,52により軟化点以上の所定の温度(実施形態5では例えば90℃以上)で熱可塑性樹脂100を加熱して軟化させながら、図26に示すように、保持面41と平行にした押圧面51で10.0MPa以上の圧力で軟化した熱可塑性樹脂100を被加工物1に所定時間(実施形態5では例えば10分)以上押し付けることで、押圧面51で被加工物1の裏面7上の軟化した熱可塑性樹脂100を被加工物1の裏面7に沿って押し広げてシート状に成形しつつ、シート状に成形した熱可塑性樹脂100を被加工物1の裏面7に熱圧着して密着し、熱可塑性樹脂100を被加工物1に固定して被加工物1を保護する保護部材119とする。
実施形態5に係る一体化ステップ1022では、実施形態1から実施形態4の一体化ステップ1002と同様に、制御ユニット55が、押圧面51付近または保持面41付近に設けられた温度測定部53で、押圧面51で被加工物1に押し付ける熱可塑性樹脂100の温度を測定し、温度の測定結果に基づいて熱源42,52による加熱を制御することで、押圧面51で成形しつつ被加工物1に押し付ける熱可塑性樹脂100の温度を熱可塑性樹脂100の軟化点以上の温度に制御する。また、実施形態5に係る一体化ステップ1022では、制御ユニット55が、押圧部材50を押圧する押圧部に設けられた押圧力測定部54で、押圧面51で熱可塑性樹脂100を成形しつつ被加工物1に押し付ける圧力を測定し、圧力の測定結果に基づいて押圧部による押圧力を制御することで、押圧面51で熱可塑性樹脂100を成形しつつ被加工物1に押し付ける圧力を10.0MPa以上の圧力に制御する。実施形態5に係る一体化ステップ1022は、上記以外のその他の動作及び条件等については、実施形態1から実施形態4の一体化ステップ1002と同様である。
実施形態1から実施形態4に係る保護部材付き被加工物の製造方法では、シート準備ステップ1001の1度目の加熱及び押圧処理で熱可塑性樹脂100をシート110に成形してから、一体化ステップ1002の2度目の加熱及び押圧処理でシート110を被加工物1に熱圧着しているが、一方で、実施形態5に係る保護部材付き被加工物の製造方法では、一体化ステップ1022の1度の加熱及び押圧処理で熱可塑性樹脂100をシート状に成形しつつ被加工物1に熱圧着している。このため、実施形態5に係る一体化ステップ1022により、実施形態1から実施形態4に係る一体化ステップ1002と同様の保護部材119の被加工物1との密着強度を得るためには、実施形態5に係る一体化ステップ1022の熱可塑性樹脂100を成形しつつ被加工物1に押し付ける処理時間は、実施形態1から実施形態4に係る一体化ステップ1002の熱可塑性樹脂100を被加工物1に押し付ける処理時間よりも、長くなる。また、同様の密着強度を得るためには、実施形態5に係る一体化ステップ1022の熱可塑性樹脂100を成形しつつ被加工物1に押し付ける際に必要な加熱温度は、実施形態1から実施形態4に係る一体化ステップ1002の熱可塑性樹脂100を被加工物1に押し付ける際に必要な加熱温度よりも、高くなる。また、同様の密着強度を得るためには、実施形態5に係る一体化ステップ1022の熱可塑性樹脂100を成形しつつ被加工物1に押し付ける際に必要な押圧力は、実施形態1から実施形態4に係る一体化ステップ1002の熱可塑性樹脂100を被加工物1に押し付ける際に必要な押圧力よりも、大きくなる。なお、実施形態1から実施形態4に係る保護部材付き被加工物の製造方法は、被加工物1上ではないところで熱可塑性樹脂100からシート110が形成されるので、「Off Wafer」と称される一方で、実施形態5に係る保護部材付き被加工物の製造方法は、被加工物1上で熱可塑性樹脂100がシート状に形成されるので、「On Wafer」と称される。
実施形態5に係る一体化ステップ1022で形成された保護部材付き被加工物120の保護部材119は、上記したように熱可塑性樹脂100の軟化点以上の温度下、及び、10.0MPa以上の圧力下という条件下でシート状に成形されつつ被加工物1に熱圧着されて密着したものであるため、温度25℃、剥離速度100mm/分での180度ピール試験で測定される被加工物1との密着強度が、0.15N/mm以上10N/mm以下である。なお、温度25℃、剥離速度100mm/分での180度ピール試験は、実施形態1と同様である。
実施形態5に係る一体化ステップ1022では、熱可塑性樹脂100を成形しながら被加工物1の裏面7に熱圧着及び固定して被加工物1を保護する保護部材119を形成した後、必要に応じて実施形態1の一体化ステップ1002と同様の後処理を実施することで、実施形態1と同様の保護部材付き被加工物120を得る。実施形態5に係る被加工物の加工方法は、実施形態1と同様である。
実施形態5に係る保護部材付き被加工物の製造方法、被加工物の加工方法及び保護部材付き被加工物120,120-2は、熱可塑性樹脂100が、軟化点以上の温度下で、10.0MPa以上の圧力でシート状に形成されながら被加工物1の一方の面に熱圧着されて密着されることにより、保護部材119が形成されるため、保護部材119の、温度25℃、剥離速度100mm/分での180度ピール試験で測定される被加工物1との密着強度が0.15N/mm以上10N/mm以下となるので、加工中に被加工物1から保護部材119が剥離することを低減しつつ、加工後に被加工物1から保護部材119を剥がすことができるという作用効果を奏する。また、実施形態5に係る保護部材付き被加工物の製造方法、被加工物の加工方法及び保護部材付き被加工物120,120-2は、その他の実施形態1と同様の作用効果を奏する。
〔実施形態6〕
本発明の実施形態6に係る保護部材付き被加工物の製造方法、被加工物の加工方法及び保護部材付き被加工物を図面に基づいて説明する。図27は、実施形態6に係る保護部材付き被加工物の製造方法の熱可塑性樹脂供給ステップ1021及び一体化ステップ1022を説明する断面図である。図27は、実施形態1から実施形態5と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態6に係る保護部材付き被加工物の製造方法は、実施形態5において、熱可塑性樹脂供給ステップ1021及び一体化ステップ1022を変更したものであり、実施形態5と同様に「On Wafer」と称されるものである。
実施形態6に係る熱可塑性樹脂供給ステップ1021では、まず、図27に示すように、被加工物1の表面4側を吸引保持テーブル90-2の保持面91に向けて載置し、吸引保持するとともに、保持面91及び支持面96の外周の領域に円環状に窪んで形成されたフレーム載置部94に金属フレーム9を載置する。ここで、吸引保持テーブル90-2は、吸引保持テーブル90において、保持面91及びフレーム載置部94の間の領域に、保持面91上に載置された被加工物1の裏面7及びフレーム載置部94に載置された金属フレーム9の面9-2と同一平面上になる支持面96が形成されたものである。実施形態6に係る熱可塑性樹脂供給ステップ1021では、次に、吸引保持テーブル90-2で保持した被加工物1の裏面7上、支持面96上、もしくは金属フレーム9の面9-2上に熱可塑性樹脂100を供給する。なお、実施形態6に係る熱可塑性樹脂供給ステップ1021で供給する熱可塑性樹脂100及び金属フレーム9の種々の性質は、実施形態3に係るシート準備ステップ1001で供給する熱可塑性樹脂100及び金属フレーム9と同様である。
実施形態6に係る一体化ステップ1022は、実施形態5において、軟化点以上の温度で熱可塑性樹脂100を加熱しつつ、10.0MPa以上の圧力で熱可塑性樹脂100を被加工物1の一方の面である裏面7に向かって押圧し、熱可塑性樹脂100を成形しながら被加工物1と一体化する際に、さらに、10.0MPa以上の圧力で熱可塑性樹脂100を金属フレーム9の面9-2に向かって押圧し、熱可塑性樹脂100を成形しながら金属フレーム9と一体化することで、実施形態3と同様の金属フレーム9付の保護部材付き被加工物130を得るものである。
実施形態6に係る一体化ステップ1022では、被加工物1の裏面7上、支持面96上、もしくは金属フレーム9の面9-2上に供給した熱可塑性樹脂100を、吸引保持テーブル90-2の内部に備えられた熱源92により保持面91側から加熱して軟化させる。実施形態6に係る一体化ステップ1022では、また、図27に示すように、押圧部材50の平坦な押圧面51を、保持面91側とは反対側から熱可塑性樹脂100に向けて接近させて接触させる。実施形態5に係る一体化ステップ1022では、また、押圧部材50の内部に備えられた熱源52により、押圧面51側から熱可塑性樹脂100をさらに加熱して軟化させる。
実施形態6に係る一体化ステップ1022では、このように熱源52,92により軟化点以上の温度で熱可塑性樹脂100を加熱して軟化させながら、図27に示すように、保持面91と平行にした押圧面51で10.0MPa以上の圧力で軟化した熱可塑性樹脂100を被加工物1及び金属フレーム9に押し付けることで、押圧面51で被加工物1の裏面7上、支持面96上、及び金属フレーム9の面9-2上の軟化した熱可塑性樹脂100を被加工物1の裏面7、支持面96、及び金属フレーム9の面9-2に沿って押し広げてシート状に成形しつつ、シート状に成形した熱可塑性樹脂100を被加工物1の裏面7及び金属フレーム9の面9-2に熱圧着して密着し、熱可塑性樹脂100を被加工物1及び金属フレーム9に固定して被加工物1を保護する保護部材119として、金属フレーム9付の保護部材付き被加工物130を得る。
実施形態6に係る一体化ステップ1022で形成された保護部材付き被加工物130の保護部材119は、裏面7を覆う熱可塑性樹脂100からなり、保護部材119を構成する熱可塑性樹脂100の軟化点以上の温度下、及び、10.0MPa以上の圧力下という条件下でシート状に成形されつつ被加工物1の裏面7及び金属フレーム9の面9-2に熱圧着されて密着したものである。実施形態6に係る被加工物の加工方法は、実施形態3と同様である。
実施形態6に係る保護部材付き被加工物の製造方法、被加工物の加工方法及び保護部材付き被加工物130,130-2は、熱可塑性樹脂100が、軟化点以上の温度下で、10.0MPa以上の圧力でシート状に形成されながら被加工物1の一方の面及び金属フレーム9に熱圧着されて密着されることにより、保護部材119が形成されるため、実施形態5と同様に、加工中に被加工物1から保護部材119が剥離することを低減しつつ、加工後に被加工物1から保護部材119を剥がすことができるという作用効果を奏する。また、実施形態6に係る保護部材付き被加工物の製造方法、被加工物の加工方法及び保護部材付き被加工物130,130-2は、その他の実施形態3と同様の作用効果を奏する。
〔変形例1〕
本発明の変形例1に係る保護部材付き被加工物の製造方法及び被加工物の加工方法を図面に基づいて説明する。図28から図37は、変形例1に係るフレームユニットの製造方法におけるシート準備ステップ1001または熱可塑性樹脂供給ステップ1021で熱可塑性樹脂を供給する方法の一例を示す斜視図である。図28から図37は、実施形態1から実施形態6と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
変形例1に係る保護部材付き被加工物の製造方法及び被加工物の加工方法は、シート準備ステップ1001または熱可塑性樹脂供給ステップ1021で熱可塑性樹脂100を供給する方法が異なること以外、実施形態1から実施形態6と同じである。なお、図28から図37は、実施形態1で使用する支持テーブル10の支持面11に熱可塑性樹脂100-2から熱可塑性樹脂100-13を供給する例を示している。
第1例は、図28に示すように、粉状の熱可塑性樹脂100-2(熱可塑性樹脂粉末)を供給するものである。第2例は、図29に示すように、1個または複数個のブロック状の熱可塑性樹脂100-3(熱可塑性樹脂ブロック)を供給するものである。第3例は、図30に示すように、ドーナツ状の熱可塑性樹脂100-4(熱可塑性樹脂ドーナツ)を供給するものである。第4例は、図31に示すように、麺状(繊維状)の熱可塑性樹脂100-5(熱可塑性樹脂繊維)を供給するものである。
第5例は、図32に示すように、1個または複数個のタブレット状の熱可塑性樹脂100-6(熱可塑性樹脂タブレット)を供給するものである。第6例は、図33に示すように、渦巻き状に配した繊維状(紐状)の熱可塑性樹脂100-7(熱可塑性樹脂渦巻き)を供給するものである。第7例は、図34に示すように、固形の熱可塑性樹脂100を薄くスライスした薄片状の熱可塑性樹脂100-8(熱可塑性樹脂薄片)を供給するものである。第8例は、図35に示すように、樹脂供給部210の四角筒状の供給筒211の内部を通って供給される四角柱状の固形の熱可塑性樹脂100-9を、供給筒211の供給口に沿って設けられたカッター212で切断することで、切ったようかん状の熱可塑性樹脂100-10(熱可塑性樹脂ようかん片)を供給するものである。
第9例は、図36に示すように、樹脂供給部220の円筒状の加熱部221の内部を通って供給される円柱状の固形の熱可塑性樹脂100-11を、加熱部221で加熱して軟化させつつ、加熱部221の上方から押圧部222で下方に押し出すことで、軟化して流動体となった熱可塑性樹脂100-12(熱可塑性樹脂流動体)を供給するものである。第10例は、図37に示すように、樹脂供給部230から流動体の熱可塑性樹脂100-13(熱可塑性樹脂流動体)を供給するものである。なお、流動体の熱可塑性樹脂100-12,100-13を供給する方法は、本発明では、これらの方法に限定されず、グルーガン等を使用して、熱可塑性樹脂100をグルーガン等に備え付けられた加熱体で加熱して軟化させて、当該グルーガン等から熱可塑性樹脂100を支持テーブル10の支持面11に供給するものとしてもよい。
これらの変形例1に係る保護部材付き被加工物の製造方法及び被加工物の加工方法は、実施形態1から実施形態6において、シート準備ステップ1001または熱可塑性樹脂供給ステップ1021で熱可塑性樹脂100-2から熱可塑性樹脂100-13を供給する方法を変更したものであるので、実施形態1から実施形態6と同様の作用効果を奏する。
〔実施例〕
次に、本発明の発明者らは、実施形態1及び実施形態5に係る保護部材付き被加工物の製造方法、被加工物の加工方法及び保護部材付き被加工物120の作用効果を確認した。図38は、実施形態1に係る保護部材付き被加工物の製造方法、被加工物の加工方法及び保護部材付き被加工物120の作用効果を説明する図である。図39は、実施形態5に係る保護部材付き被加工物の製造方法、被加工物の加工方法及び保護部材付き被加工物120の作用効果を説明する図である。図38及び図39は、それぞれ、実施形態1及び実施形態5の作用効果を確認した際に得られた結果をまとめて示している。
図38は、実施形態1のシート準備ステップ1001と同様の方法で、減圧雰囲気下で、供給する熱可塑性樹脂を変更してシートを形成し、実施形態1の一体化ステップ1002と同様のOff Waferの方法で、減圧雰囲気下で、加熱及び押圧の処理時間を30秒として、シートの加熱温度及び押圧力を変更してシートを被加工物1に熱圧着して保護部材とし、得たそれぞれの保護部材付き被加工物に対して、実施形態1と同様の温度25℃、剥離速度100mm/分での180度ピール試験を実施して得た密着強度の測定結果と、これらの保護部材付き被加工物に対して実施形態1の加工ステップ1012の第1例と同様の切削加工を実施した時の被加工物1からの保護部材の剥離評価の結果と、これらの切削加工後の保護部材付き被加工物に対して実施形態1の剥離ステップ1013と同様の剥離処理を実施した時の被加工物1からの保護部材の剥離評価の結果と、を示している。
図39は、実施形態5の熱可塑性樹脂供給ステップ1021と同様の方法で、減圧雰囲気下で、供給する熱可塑性樹脂を変更し、実施形態5の一体化ステップ1022と同様のOn Waferの方法で、減圧雰囲気下で、加熱及び押圧の処理時間を10分として、熱可塑性樹脂の加熱温度及び押圧力を変更して熱可塑性樹脂をシート状に成形しつつ被加工物1に熱圧着して保護部材とし、得たそれぞれの保護部材付き被加工物に対して、実施形態5と同様の温度25℃、剥離速度100mm/分での180度ピール試験を実施して得た密着強度の測定結果と、これらの保護部材付き被加工物に対して実施形態5の加工ステップ1012の第1例と同様の切削加工を実施した時の被加工物1からの保護部材の剥離評価の結果と、これらの切削加工後の保護部材付き被加工物に対して実施形態5の剥離ステップ1013と同様の剥離処理を実施した時の被加工物1からの保護部材の剥離評価の結果と、を示している。
図38及び図39の「熱可塑性樹脂」の行は、「成分」の行が供給する熱可塑性樹脂の種類を示しており、「軟化点[℃]」の行がその熱可塑性樹脂の軟化点を示している。図38及び図39の「加熱温度[℃]」の行は、被加工物1に熱圧着するシートまたは熱可塑性樹脂の加熱温度を示している。図38及び図39の「押圧力[MPa]」の行は、被加工物1に熱圧着するシートまたは熱可塑性樹脂に印加した押圧力を示している。図38及び図39の「加熱押圧時間[分]」の行は、被加工物1にシートまたは熱可塑性樹脂を熱圧着する際に加熱及び押圧した処理時間を示している。なお、図38の「本発明品等1」及び「本発明品等2」は、実施形態1の一体化ステップ1002の第1例の方法で加圧及び押圧したものであり、図38の「本発明品等3」は、実施形態1の一体化ステップ1002の第3例の方法で密着して熱風で加熱したため、押圧力が0MPaとなっているものである。図38及び図39の「密着強度[N/mm]」の行は、温度25℃、剥離速度100mm/分での180度ピール試験を実施して得た保護部材の被加工物1との密着強度の測定結果を示している。図38及び図39の「加工中の剥離評価の結果」の行は、「○」が加工中や搬送中に被加工物1からの保護部材の剥離が全く見られなかったという結果を示しており、「×」が加工中や搬送中に被加工物1からの保護部材の剥離が少なくとも一部で見られたという結果を示している。図38及び図39の「剥離ステップの剥離評価の結果」の行は、「○」が加工後に被加工物1から保護部材を容易に剥がすことができたという結果を示しており、「×」が加工後に被加工物1から保護部材を容易に剥がすことができなかったという結果を示している。
図38及び図39の「樹脂1」は、主成分がアクリル樹脂であり、熱可塑性樹脂100全体からナノフィラーを含むフィラー及びその他の種々の配合剤を除く質量に対するアクリル樹脂の質量の割合が100質量%である熱可塑性樹脂100を供給したことを示している。
図38に示すように、Off Waferの方法で、熱可塑性樹脂100のシート110を、熱可塑性樹脂100の軟化点以上の温度に加熱して軟化しながら被加工物1に熱圧着して密着した場合、温度25℃、剥離速度100mm/分での180度ピール試験で測定される保護部材119の被加工物1との密着強度が0.15N/mm以上10N/mm以下となり、加工中に保護部材119の被加工物1からの剥離が見られず、加工後に被加工物1から保護部材119を容易に剥がすことができた。
これにより、図38に示す例では、Off Waferの方法で、熱可塑性樹脂100のシート110を、熱可塑性樹脂100の軟化点以上の温度に加熱して軟化しながら被加工物1に熱圧着して密着することにより、温度25℃、剥離速度100mm/分での180度ピール試験で測定される保護部材119の被加工物1との密着強度が0.15N/mm以上10N/mm以下となり、加工中に被加工物1から保護部材119が剥離することを低減しつつ、加工後に被加工物1から保護部材119を剥がすことができることが明らかとなった。
図39に示すように、On Waferの方法で、熱可塑性樹脂100を、熱可塑性樹脂100の軟化点以上の温度に加熱して軟化し、10.0MPa以上の圧力でシート状に形成しつつ被加工物1に熱圧着して密着した場合、温度25℃、剥離速度100mm/分での180度ピール試験で測定される保護部材119の被加工物1との密着強度が0.15N/mm以上10N/mm以下となり、加工中に保護部材119の被加工物1からの剥離が見られず、加工後に被加工物1から保護部材119を容易に剥がすことができた。
これにより、図39に示す例では、On Waferの方法で、熱可塑性樹脂100を、熱可塑性樹脂100の軟化点以上の温度に加熱して軟化し、10.0MPa以上の圧力でシート状に形成しつつ被加工物1に熱圧着して密着することにより、温度25℃、剥離速度100mm/分での180度ピール試験で測定される保護部材119の被加工物1との密着強度が0.15N/mm以上10N/mm以下となり、加工中に被加工物1から保護部材119が剥離することを低減しつつ、加工後に被加工物1から保護部材119を剥がすことができることが明らかとなった。
また、図38から図39に示す実施例において、樹脂を、軟化点が変化しないようにしつつ、主成分がポリエチレンであり、熱可塑性樹脂100全体からナノフィラーを含むフィラー及びその他の種々の配合剤を除く質量に対するポリエチレンの質量の割合が100質量%であるものに変更して、上記と同様の実施をしたところ、樹脂の主成分がアクリル樹脂の場合と同様の結果が得られた。これにより、実施形態1及び実施形態5に係る保護部材付き被加工物の製造方法、被加工物の加工方法及び保護部材付き被加工物120が、樹脂の種類によらず同様の作用効果が得られることが明らかとなった。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、上記した各実施形態及び各変形例において使用する熱可塑性樹脂100は、紫外線からの回路保護や回路の秘匿を目的として、黒などの暗色に着色されていてもよく、紫外線吸収剤を混練させてもよい。
1 被加工物
4 表面
5 デバイス
7 裏面
100 熱可塑性樹脂
110 シート
113,114 面
119 保護部材
120,120-2,130,130-2,130-3 保護部材付き被加工物
140 切削加工装置(加工装置の一例)
141 切削ブレード(加工ユニットの一例)
145,155,165 チャックテーブル
150 研削加工装置(加工装置の一例)
153 研削砥石(加工ユニットの一例)
160 レーザー加工装置(加工装置の一例)
161 レーザー照射器(加工ユニットの一例)

Claims (7)

  1. 板状の被加工物と、該被加工物の一方の面に密着して加工中の被加工物を保護する保護部材とからなる保護部材付き被加工物の製造方法であって、
    熱可塑性樹脂からなるシートを準備するシート準備ステップと、
    該熱可塑性樹脂の軟化点以上の温度で該シートを加熱しつつ、該シートを被加工物の一方の面に向かって押圧し、該被加工物と該シートを一体化する一体化ステップと、を備え、
    被加工物と一体化された該保護部材は、温度25℃、剥離速度100mm/分での180度ピール試験で測定される密着強度が、0.15~10N/mmである保護部材付き被加工物の製造方法。
  2. 該保護部材の少なくとも該被加工物に接触する面にはナトリウム及び亜鉛のいずれも含まない熱可塑性樹脂で形成されている請求項1に記載の保護部材付き被加工物の製造方法。
  3. 板状の被加工物と、該被加工物の一方の面に密着して加工中の被加工物を保護する保護部材とからなる保護部材付き被加工物の製造方法であって、
    被加工物の該一方の面に板状、粉状、塊状、紐状、粒状、膜状又は流動体状の熱可塑性樹脂を供給する熱可塑性樹脂供給ステップと、
    軟化点以上の温度で該熱可塑性樹脂を加熱しつつ、10MPa以上の圧力で被加工物に向かって該熱可塑性樹脂を押し広げ、該被加工物の一方の面を覆う保護部材を該熱可塑性樹脂で形成する一体化ステップと、を備え、
    被加工物と一体化された該保護部材は、温度25℃、剥離速度100mm/分での180度ピール試験で測定される密着強度が、0.15~10N/mmである保護部材付き被加工物の製造方法。
  4. 該保護部材の少なくとも該被加工物に接触する面にはナトリウム及び亜鉛のいずれも含まない熱可塑性樹脂で形成されている請求項3に記載の保護部材付き被加工物の製造方法。
  5. 板状の被加工物の加工方法であって、
    請求項1、2、3または4に記載の保護部材付き被加工物の製造方法で保護部材付き被加工物を製造する保護部材付き被加工物製造ステップと、
    該保護部材付き被加工物の該保護部材側を加工装置のチャックテーブルで保持し、加工ユニットで該被加工物を加工する加工ステップと、
    該加工ステップ実施後、該保護部材を該被加工物から剥離する剥離ステップと、
    を備える被加工物の加工方法。
  6. 板状の被加工物と、該被加工物の一方の面に密着して加工中の被加工物を保護する保護部材とからなる保護部材付き被加工物であって、
    該保護部材は、被加工物の該一方の面に熱圧着されて密着し、該一方の面を覆う熱可塑性樹脂からなり、
    被加工物に固定された該保護部材は、温度25℃、剥離速度100mm/分での180度ピール試験で測定される密着強度が、0.15~10N/mmである保護部材付き被加工物。
  7. 該保護部材の少なくとも該被加工物に接触する面にはナトリウム及び亜鉛のいずれも含まない熱可塑性樹脂で形成されている請求項6に記載の保護部材付き被加工物。
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