JP2022073712A - フレームユニットの製造方法、被加工物の加工方法、フレームユニット及びシート - Google Patents

フレームユニットの製造方法、被加工物の加工方法、フレームユニット及びシート Download PDF

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Abstract

【課題】糊層のない保護部材として被加工物及び被加工物を囲繞する金属フレームに固定する熱可塑性樹脂のシートが、加工中や搬送中に金属フレームから剥離してしまう恐れを低減できるフレームユニットの製造方法、被加工物の加工方法、フレームユニット及びシートを提供すること。【解決手段】フレームユニットの製造方法は、環状の金属フレーム9の開口9-1内に被加工物1を位置付け、金属フレーム9の開口9-1を覆うように熱可塑性樹脂からなるシート110を配設するシート配設ステップと、シート110を加熱しつつ金属フレーム9と被加工物1に向かってシート110を押圧し、被加工物1と金属フレーム9とをシート110を介して一体化する一体化ステップとを備え、少なくとも、シート110の金属フレーム9に接触する領域115はエチレン・不飽和カルボン酸共重合体を有する熱可塑性樹脂で形成されている。【選択図】図8

Description

本発明は、フレームユニットの製造方法、被加工物の加工方法、フレームユニット及びシートに関する。
半導体ウェーハや樹脂パッケージ基板、セラミックス基板、ガラス基板など各種板状の被加工物を、研削装置で研削して薄化したり、切削ブレードやレーザービームで分割したりする場合、被加工物はチャックテーブルで吸引保持される。被加工物の被保持面側がチャックテーブルの保持面と接触することによる被加工物の損傷、汚染等を防ぐ目的や、被加工物が複数のチップ(チップ状のデバイス)に分割された後に全てのチップを一括して搬送する目的の下に、通常、被加工物の被保持面側には、保護部材としての粘着テープが貼り付けられる(例えば、特許文献1参照)。
特開2001-358093号公報
粘着テープは、一般的に、樹脂製の基材層と、樹脂製の粘着剤で形成された糊層と、の積層構造を有する。粘着テープの糊層を被保持面側に密着させて貼り付けると、粘着テープを剥離する際に、粘着剤の残渣が被加工物に残るという問題があった。また、糊層がクッションとして作用することで、加工中に被加工物が振動しやすくなり、その結果、被加工物に欠けが生じたり、分割後のチップが飛散したりする可能性があるという問題があった。
そこで、糊層を無くして基材層のみにして基材層を熱圧着で固定する方法も考案された。さらに、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂をシート状に形成し、糊層のない保護部材として被加工物及び被加工物を囲繞する金属フレームに熱圧着し、粘着テープ等の保護部材の代わりとして用いる方法が考案された。これにより、クッションとなってしまったり残渣となって残ってしまったりする糊層の問題が解消されたが、熱可塑性樹脂は一般的に金属にくっつきにくい特性があり、加工中や搬送中にフレームから保護部材が剥離してしまう恐れがあるという問題が残されていた。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、糊層のない保護部材として被加工物及び被加工物を囲繞する金属フレームに固定する熱可塑性樹脂のシートが、加工中や搬送中に金属フレームから剥離してしまう恐れを低減できるフレームユニットの製造方法、被加工物の加工方法、フレームユニット及びシートを提供することである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のフレームユニットの製造方法は、環状の金属フレームの開口内に被加工物を位置付け、該金属フレームの該開口を覆うように熱可塑性樹脂からなるシートを配設するシート配設ステップと、該シートを加熱しつつ該金属フレームと被加工物に向かって該シートを押圧し、該被加工物と該金属フレームとを該シートを介して一体化する一体化ステップと、を備え、少なくとも、該シートの該金属フレームに接触する領域は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体を有する熱可塑性樹脂で形成されているものである。
該一体化ステップの後に、該シートを冷却するシート冷却ステップを備えていてもよい。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の被加工物の加工方法は、上記したフレームユニットの製造方法で製造したフレームユニットを、該シートを介して加工装置のチャックテーブルで保持し、被加工物を加工ユニットで加工するものである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のフレームユニットは、被加工物の一方の面と該被加工物を囲繞して配置される金属フレームとが該シートに固定されたフレームユニットであって、該シートの該金属フレームに接触する領域は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体を有する熱可塑性樹脂で形成されていることを特徴とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のシートは、被加工物の一方の面と該被加工物を囲繞して配置される金属フレームとに固定されフレームユニットを形成するシートであって、該シートの該被加工物と該金属フレームに固定される面は熱可塑性樹脂で形成され、少なくとも、該金属フレームに固定される領域はエチレン・不飽和カルボン酸共重合体を有する熱可塑性樹脂で形成されているものである。
上記した本発明のフレームユニットの製造方法、被加工物の加工方法、フレームユニット及びシートにおいて、該シートの該被加工物と該金属フレームに固定される面はナトリウム及び亜鉛のいずれも含まないことが好ましい。
本願発明は、糊層のない保護部材として被加工物及び被加工物を囲繞する金属フレームに固定する熱可塑性樹脂のシートが、加工中や搬送中に金属フレームから剥離してしまう恐れを低減できる。
図1は、実施形態1に係るフレームユニットの製造方法及び被加工物の加工方法の対象の被加工物を示す斜視図である。 図2は、実施形態1に係るフレームユニットの製造方法の処理手順を示すフローチャートである。 図3は、図2のシート形成ステップを説明する斜視図である。 図4は、図2のシート形成ステップを説明する断面図である。 図5は、図2のシート形成ステップを説明する断面図である。 図6は、図2のシート形成ステップを説明する断面図である。 図7は、図2のシート配設ステップ及び一体化ステップの第1例を説明する断面図である。 図8は、図2のシート配設ステップ及び一体化ステップの第2例を説明する断面図である。 図9は、実施形態1に係るフレームユニットの製造方法により製造されたフレームユニットを示す斜視図である。 図10は、実施形態1に係る被加工物の加工方法の第1例である切削加工を示す断面図である。 図11は、実施形態1に係る被加工物の加工方法の第2例である研削加工を示す断面図である。 図12は、実施形態1に係る被加工物の加工方法の第3例であるレーザー加工を示す断面図である。 図13は、変形例1に係るフレームユニットの製造方法におけるシート形成ステップで熱可塑性樹脂を供給する方法の一例を示す斜視図である。 図14は、変形例1に係るフレームユニットの製造方法におけるシート形成ステップで熱可塑性樹脂を供給する方法の一例を示す斜視図である。 図15は、変形例1に係るフレームユニットの製造方法におけるシート形成ステップで熱可塑性樹脂を供給する方法の一例を示す斜視図である。 図16は、変形例1に係るフレームユニットの製造方法におけるシート形成ステップで熱可塑性樹脂を供給する方法の一例を示す斜視図である。 図17は、変形例1に係るフレームユニットの製造方法におけるシート形成ステップで熱可塑性樹脂を供給する方法の一例を示す斜視図である。 図18は、変形例1に係るフレームユニットの製造方法におけるシート形成ステップで熱可塑性樹脂を供給する方法の一例を示す斜視図である。 図19は、変形例1に係るフレームユニットの製造方法におけるシート形成ステップで熱可塑性樹脂を供給する方法の一例を示す斜視図である。 図20は、変形例1に係るフレームユニットの製造方法におけるシート形成ステップで熱可塑性樹脂を供給する方法の一例を示す斜視図である。 図21は、変形例1に係るフレームユニットの製造方法におけるシート形成ステップで熱可塑性樹脂を供給する方法の一例を示す斜視図である。 図22は、変形例1に係るフレームユニットの製造方法におけるシート形成ステップで熱可塑性樹脂を供給する方法の一例を示す斜視図である。 図23は、実施形態1に係るフレームユニットの製造方法、被加工物の加工方法及びシートの作用効果を説明する図である。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るフレームユニットの製造方法、被加工物の加工方法、フレームユニット及びシートを図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係るフレームユニットの製造方法及び被加工物の加工方法の対象の被加工物1を示す斜視図である。被加工物1は、実施形態1では、シリコン、サファイア、ガリウムヒ素、SiC基板、GaN基板、LT基板、単結晶ダイヤモンド基板などを基板2とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハ等のウェーハである。なお、被加工物1は、本発明では円板状に限定されず、樹脂パッケージ基板や金属基板等その他の板状であってもよい。
被加工物1は、実施形態1では、図1に示すように、交差(実施形態1では、直交)する複数の分割予定ライン3で区画された表面4の各領域にそれぞれチップ状のデバイス5が形成されている。被加工物1は、各分割予定ライン3に沿って分割されて、個々のデバイス5(チップ)に分割される。なお、被加工物1の半導体ウェーハは、本発明ではこれに限定されず、デバイス5が形成されていてもいなくても良い。被加工物1及びデバイス5は、表面4とは反対側の裏面7が平坦に形成されている。裏面7は、実施形態1では、被加工物1及びデバイス5をチャックテーブル145,155,165(図10、図11及び図12参照)で吸引保持するときの被保持面となる。被加工物1は、本発明では、表面4に凹凸の構造物を備えていてもよく、例えば、デバイス5の表面4に、デバイス5の表面4から突出している複数の電極バンプが搭載されていてもよい。
まず、実施形態1に係るフレームユニットの製造方法、フレームユニット及びシートを説明する。図2は、実施形態1に係るフレームユニットの製造方法の処理手順を示すフローチャートである。実施形態1に係るフレームユニットの製造方法は、図2に示すように、シート形成ステップ1001と、シート配設ステップ1002と、一体化ステップ1003と、シート冷却ステップ1004と、を備える。
なお、フレームユニットの製造方法は、実施形態1では被加工物1の裏面7を被保持面として裏面7にシート110(図5及び図6等参照)を固定することでフレームユニット120(図9等参照)を製造するが、本発明ではこれに限定されず、被加工物1の表面4を被保持面として表面4にシート110を固定してもよい。
図3は、図2のシート形成ステップ1001を説明する斜視図である。図4、図5及び図6は、図2のシート形成ステップ1001を説明する断面図である。シート形成ステップ1001は、図3、図4、図5及び図6に示すように、熱可塑性樹脂100を加熱して軟化させながら支持テーブル10の平坦な支持面11に沿って押し広げて両面が平坦なシート状に成形し、支持面11上に熱可塑性樹脂100のシート110を形成するステップである。
シート形成ステップ1001では、まず、図3に示すように、支持テーブル10の支持面11上に熱可塑性樹脂100を供給する。シート形成ステップ1001で供給する成形前の熱可塑性樹脂100は、実施形態1では塊状であるが、本発明ではこれに限定されず、板状、粉状、紐状、粒状、膜状又は流動体状等であってもよい。シート形成ステップ1001で供給して成形する熱可塑性樹脂100は、所定の厚さに成形した際に被加工物1を収容する金属フレーム9(図7、図8及び図9等参照)の開口9-1(図7、図8及び図9等参照)を途切れなく覆うことが可能な体積を有する。シート形成ステップ1001で供給して成形する熱可塑性樹脂100は、所定の厚さに成形した際に、金属フレーム9の開口9-1を覆う際に金属フレーム9の外縁からはみ出ない体積であることが好ましい。シート形成ステップ1001では、供給する熱可塑性樹脂100の体積を変更することで、熱可塑性樹脂100を成形して得られるシート110の厚さを変更することができる。
シート形成ステップ1001で供給して成形する熱可塑性樹脂100は、実施形態1では、軟化点より低温の硬化状態では、流動性を有さない剛体であり、実質的に粘着剤のような過度な粘着性を有さないため、被加工物1の裏面7と過度に粘着することが抑制される。また、シート形成ステップ1001で供給する熱可塑性樹脂100は、軟化点より高温の軟化状態では、流動性を有するものの、実質的に粘着剤のような過度な粘着性は概ね見られないため、被加工物1の裏面7と過度に粘着することが低減される。
シート形成ステップ1001で供給して成形する熱可塑性樹脂100は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(エチレン・不飽和カルボン酸共重合樹脂)を主成分として有する。ここで、熱可塑性樹脂100がエチレン・不飽和カルボン酸共重合体(エチレン・不飽和カルボン酸共重合樹脂)を主成分として有するとは、熱可塑性樹脂100全体から後述するナノフィラーを含むフィラー及びその他の種々の配合剤を除く質量に対する不飽和カルボン酸の質量の割合が少なくとも1質量%以上であり、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上である。なお、熱可塑性樹脂100全体からナノフィラーを含むフィラー及びその他の種々の配合剤を除く質量に対する不飽和カルボン酸の質量の割合は、50質量%以下である。
シート形成ステップ1001で供給して成形する熱可塑性樹脂100に使用されるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体を構成する不飽和カルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸、及び、無水イタコン酸等が例示される。ここで、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンと不飽和カルボン酸の2元共重合体のみならず、更に他の単量体が共重合された多元共重合体を包含するものである。エチレン・不飽和カルボン酸共重合体に共重合されていてもよい上記他の単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルのような不飽和カルボン酸エステルなどが例示される。
また、シート形成ステップ1001で供給して成形する熱可塑性樹脂100は、さらに、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ビニル系樹脂、ポリアセタール、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリ(4-メチル-1-ペンテン),ポリ(1-ブテン)等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン-6,ナイロン-66,ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルイミド、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレン、エーテルポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、アイオノマー、エチレン-酢酸ビニル-無水マレイン酸三元共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化樹脂、並びに、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂等から選択される一種または二種以上を含んでいてもよい。
シート形成ステップ1001で供給して成形する熱可塑性樹脂100の軟化点は、実施形態1では、0℃以上150℃以下の範囲内の温度である。シート形成ステップ1001で供給して成形する熱可塑性樹脂100は、上で例示した化合物群が使用されるので、軟化点が0℃以上150℃以下の範囲内の温度となる。シート形成ステップ1001で供給して成形する熱可塑性樹脂100は、上で例示した異なる種類の化合物を混ぜることで、軟化点を調整することができ、例えば、軟化点をドライ研磨加工中の被加工物1の温度である40℃~100℃程度よりも高い温度に調整することで、ドライ研磨加工中に軟化状態となることを防止することができる。
シート形成ステップ1001で供給して成形する熱可塑性樹脂100は、被加工物1に接触してデバイス5に侵入することでデバイス5の動作不良が生じる可能性がある金属であるナトリウム及び亜鉛のいずれも含まない。なお、ナトリウム及び亜鉛は、一般的に粘着テープの基材層にコシ(すなわち、しなやかさ及び丈夫さ)を持たせるために意図的に添加されるものであり、意図的に添加しなければ基本的に含まれない。ここで、熱可塑性樹脂100がナトリウム及び亜鉛のいずれも含まないとは、熱可塑性樹脂100に対して実施可能な本出願時点で周知の成分検出方法、例えば、誘導結合プラズマ質量分析法(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry、ICP-MS)や二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry、SIMS)等を用いて熱可塑性樹脂100を分析しても、ナトリウム及び亜鉛のいずれもが検出限界以下であることをいう。
シート形成ステップ1001で供給して成形する熱可塑性樹脂100は、大きさが0.1nm以上400nm以下のフィラーが混合されている。フィラーは、実施形態1では、粒状であるが、本発明ではこれに限定されず、繊維のような柱状等の形状を有していてもよい。なお、本明細書では、フィラーの大きさは、フィラーの粒子径で定義される。粒子径の表し方には、幾何学的径、相当径等の既知の手法がある。幾何学的径には、フェレー(Feret)径、定方向最大径(即ち、Krummbein径)、Martin径、ふるい径等があり、相当径には、投影面積円相当径(即ち、Heywood径)、等表面積球相当径、等体積球相当径、ストークス径、光散乱径等がある。フィラーが繊維のような柱状等の形状を有している場合でも、前述のフィラーが粒状である場合と同様の方法で、フィラーの大きさを定義できる。また、本明細書では、大きさが0.1nm以上400nm以下のフィラーのことを、nmオーダーの大きさのフィラーであるとして、ナノフィラーと適宜称する。
このようなナノフィラーが混合された熱可塑性樹脂100を用いて形成される被加工物1に固定されるシート110は、混合されているナノフィラーの大きさが可視光の波長よりも小さく、可視光を吸収または散乱できないため、透明に近くなり、シート110越しに被加工物1を観察する事を妨げないため、シート110越しにデバイス5を観察するアライメントが容易に実施出来る。なお、400nmより大きいフィラーが混合された熱可塑性樹脂を用いて形成されるシートは、混合されているフィラーが可視光を吸収または散乱する割合が大きくなってしまい、透明度が落ちてしまう可能性がある。
シート形成ステップ1001で供給して成形する熱可塑性樹脂100は、全フィラーのうちナノフィラーが混合された割合が50wt%(質量%)を超えて含まれることが好ましい。なお、例えば、全フィラーのうち大きさが500nmのフィラーをそれぞれ40wt%、50wt%、60wt%の割合で混合したところ、40wt%の場合には、この熱可塑性樹脂100を成形して得られるシート110越しに観察するデバイス5の視認性が良好であったが、50wt%、60wt%の場合には、この熱可塑性樹脂100を成形して得られるシート110越しにデバイス5の視認はできるものの、40wt%の場合と比較してその視認性が低下した。
シート形成ステップ1001で供給して成形される熱可塑性樹脂100に混合されるナノフィラーは、熱可塑性樹脂100より熱膨張係数が小さい充填剤である。シート形成ステップ1001で供給して成形される熱可塑性樹脂100に混合されるナノフィラーは、熱可塑性樹脂100より熱膨張係数が小さい無機充填剤または有機充填剤が好適に使用される。熱可塑性樹脂100は、このようなナノフィラーが混合されることにより、シート110が、シート形成ステップ1001でシート110を形成後の冷却処理や後述するシート冷却ステップ1004でシート110を冷却する際に、収縮することを低減及び防止することができ、これに伴い、シート110を固定した被加工物1が撓んだり変形したりすることを防止することができる。
熱可塑性樹脂100に混合されるナノフィラーは、無機充填剤であることが好ましく、具体的には、溶融シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、クレー、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ベリリウム、酸化鉄、酸化チタン、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、マイカ、ガラス、石英、雲母等が好適に使用される。また、熱可塑性樹脂100に混合されるナノフィラーは、上記の2種類以上を混合して使用しても良い。熱可塑性樹脂100に混合されるナノフィラーは、上記した無機充填剤のうち、溶融シリカや結晶性シリカ等のシリカ類が使用されることが好ましく、この場合、ナノフィラーのコストを好適に抑制することができる。
熱可塑性樹脂100のうちナノフィラーの含有割合(混合割合)は、0.01wt%~90wt%の範囲で変更可能であり、ナノフィラーの含有割合が多い方が、シート110の熱膨張係数が小さくなり、ドレッシング効果も高くなるが、多すぎるとシート110の全体が脆くなる可能性があるため、適宜の割合を選択してシート110を形成する。
シート形成ステップ1001で供給して成形される熱可塑性樹脂100には、フィラーの他に、酸化防止剤、光安定剤、バインダー樹脂、帯電防止剤、シランカップリング剤、離型剤、界面活性剤、染料、顔料、蛍光剤、紫外線吸収剤等の種々の配合剤を必要に応じて添加することができる。
シート形成ステップ1001では、支持テーブル10の支持面11上に熱可塑性樹脂100を供給した後、この供給した熱可塑性樹脂100を支持テーブル10の内部に備えられた熱源12により支持面11側から加熱して軟化させる。シート形成ステップ1001では、また、図4に示すように、押圧部材20の平坦な押圧面21を、支持面11側とは反対側から熱可塑性樹脂100に向けて接近させて接触させる。シート形成ステップ1001では、また、押圧部材20の内部に備えられた熱源22により、押圧面21側から熱可塑性樹脂100をさらに加熱して軟化させる。
シート形成ステップ1001では、このように熱源12,22により熱可塑性樹脂100を加熱して軟化させながら、図5に示すように、支持面11と平行にした押圧面21で支持面11上の熱可塑性樹脂100を支持面11に沿って押し広げて、シート状に成形することで、支持面11上に熱可塑性樹脂100のシート110を形成する。シート形成ステップ1001では、支持面11と押圧面21とがともに平坦で互いに平行であるので、一方の面113と他方の面114とがともに平坦で互いに平行なシート110を形成する。シート形成ステップ1001では、上記したように十分な体積の熱可塑性樹脂100を成形しているので、金属フレーム9の開口9-1を途切れなく覆うことが可能な大きさのシート110を形成する。シート形成ステップ1001では、金属フレーム9の開口9-1を覆う際に金属フレーム9の外縁からはみ出ない大きさのシート110を形成することが好ましい。シート形成ステップ1001では、実施形態1では、例えば、所定の時間(実施形態1では例えば10分)の間、熱源12,22により所定の温度(実施形態1では例えば150℃)で加熱しながら、支持テーブル10及び押圧部材20により所定の圧力(実施形態1では例えば10MPa(本明細書における圧力は、いずれもゲージ圧))で加圧して熱可塑性樹脂100を成形することで、シート110を形成する。シート形成ステップ1001では、実施形態1では、支持テーブル10の上昇量及び押圧部材20の下降量を調整することで、形成するシート110の厚さを調整できる。
シート形成ステップ1001で使用する支持テーブル10は、支持面11に離型材料が被覆されることが好ましく、この場合、支持面11に軟化した熱可塑性樹脂100が接着する可能性をさらに抑制することができる。同様に、シート形成ステップ1001で使用する押圧部材20は、押圧面21に離型材料が被覆されることが好ましく、この場合、押圧面21に軟化した熱可塑性樹脂100が接着する可能性をさらに抑制することができる。被覆方法としては、例えば離型材料をスプレーして塗布する。支持面11及び押圧面21に被覆される離型材料としては、ナトリウム及び亜鉛のいずれも含まないものが使用され、フッ素樹脂が好適なものとして例示される。他にも、離型シートとして機能する平坦なナトリウム及び亜鉛のいずれも含まない樹脂シートを支持面11及び押圧面21に配置しておき、シート110を形成後に、この樹脂シートをシート110からめくって剥離しても良い。なお、支持面11及び押圧面21に配置する樹脂シートは、表面に離型材料が被覆されていることが好ましい。
シート形成ステップ1001では、実施形態1では、熱源12及び熱源22により、支持面11側及び押圧面21側の両側から熱可塑性樹脂100を加熱して軟化しているが、本発明はこれに限定されず、熱源12及び熱源22のうちいずれか一方により、支持面11側及び押圧面21側のうちいずれか一方から熱可塑性樹脂100を加熱して軟化してもよい。なお、シート形成ステップ1001では、両方の熱源12,22の温度が同じでも異なっていても良く、低い温度の方にシート110がくっつきやすい特性があるので、次の工程の都合等に合わせて、温度を各々設定しても良い。
また、シート形成ステップ1001は、減圧チャンバ内で実施してもよく、この場合、シート110の内部に気泡が混入することを抑制できる。
シート形成ステップ1001では、実施形態1では、シート110を形成後にシート110を冷却するため、シート状に成形してすぐ後に、シート110を構成する熱可塑性樹脂100を硬化させるので、シート110の形状を速やかに安定化させることができる。シート形成ステップ1001では、実施形態1では、例えば、熱源12及び熱源22をオフにして熱源12及び熱源22によるシート110の加熱を停止することにより、シート110の冷却を開始し、例えば大気により、シート110を大気の温度程度まで冷却する。
シート形成ステップ1001では、本発明ではこれに限定されず、熱源12及び熱源22をオフにした後、押圧部材20でシート110を加圧した状態で、支持テーブル10及び押圧部材20の内部に設けられた不図示の空冷又は水冷等の冷却機構により、支持面11側及び押圧面21側からシート110を冷却してもよい。シート形成ステップ1001では、また、熱源22をオフすることに代えて、押圧部材20をシート110から離すことで、熱源22によるシート110の加熱を停止してもよい。シート形成ステップ1001では、熱源12及び熱源22をそれぞれ熱可塑性樹脂100の加熱及び軟化に使用するか否かに応じて、適宜冷却処理の方法を変更することができる。
シート形成ステップ1001では、その後、押圧部材20をシート110から離し、図6に示すように、シート110を支持テーブル10の支持面11から剥がすことにより、実施形態1に係るシート110を得る。実施形態1に係るシート110は、上述したように、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体を有する熱可塑性樹脂100で形成されたものであり、被加工物1の一方の面と被加工物1を囲繞して配置される金属フレーム9とに固定されてフレームユニット120を形成するものである。また、実施形態1に係るシート110は、上述したように、ナトリウム及び亜鉛のいずれも含まない熱可塑性樹脂100で形成されたものであり、被加工物1及び金属フレーム9に接触して固定される面113にはナトリウム及び亜鉛のいずれも含まないため、被加工物1の一方の面に固定された際に被加工物1のデバイス5に不良動作が生じる可能性を抑制する。なお、シート110は、実施形態1では被加工物1の裏面7に固定されるが、本発明ではこれに限定されず、被加工物1の表面4に固定されてもよい。
図7は、図2のシート配設ステップ1002及び一体化ステップ1003の第1例を説明する断面図である。図8は、図2のシート配設ステップ1002及び一体化ステップ1003の第2例を説明する断面図である。図9は、実施形態1に係るフレームユニットの製造方法により製造されたフレームユニット120を説明する斜視図である。シート配設ステップ1002は、図7及び図8に示すように、環状の金属フレーム9の開口9-1内に被加工物1を位置付け、金属フレーム9の開口9-1を覆うように熱可塑性樹脂100からなるシート110を配設するステップである。一体化ステップ1003は、図7及び図8に示すように、シート110を加熱しつつ金属フレーム9と被加工物1に向かってシート110を押圧し、被加工物1と金属フレーム9とをシート110を介して一体化して、図9に示すフレームユニット120を形成するステップである。
シート配設ステップ1002及び一体化ステップ1003で使用する金属フレーム9は、金属製であり、例えば、SUS製である。金属フレーム9は、中央に円形状の開口9-1を有しており、板状に形成されている。金属フレーム9の開口9-1の内径は、被加工物1の外径よりも大きい。
シート配設ステップ1002では、第1例でも第2例でも、まず、図7及び図8に示すように、所定の保持テーブル30の保持面31の中央領域に円盤状に窪んで形成された第1載置部32に被加工物1を、表面4側を下方に向け、裏面7側を上方に向けて、嵌め合せるようにして載置する。また、シート配設ステップ1002では、保持面31の外周領域に第1載置部32を囲繞するように円環状に窪んで形成された第2載置部33に金属フレーム9を、シート110に接触して固定される面9-2側を上方に向けて、嵌め合せるようにして載置する。なお、シート配設ステップ1002では、第1載置部32への被加工物1の載置と、第2載置部33への金属フレーム9の載置との順番を問わない。このようにして、シート配設ステップ1002では、保持テーブル30の保持面31上において、金属フレーム9の開口9-1内に被加工物1を位置付ける。
シート配設ステップ1002及び一体化ステップ1003の第1例では、被加工物1及び金属フレーム9の載置の後、シート配設ステップ1002及び一体化ステップ1003を同時並行で実施する。シート配設ステップ1002及び一体化ステップ1003の第1例では、図7に示すように、面113側を保持面31上の被加工物1の裏面7側及び金属フレーム9の面9-2側に向けたシート110を介して被加工物1の裏面7側及び金属フレーム9の面9-2側の一方の端から他方の端に向かってローラー36を回転移動させることにより、被加工物1の裏面7側及び金属フレーム9の面9-2側の一方の端から順にシート110を載置しながら、載置するシート110を保持テーブル30の内部に備えられた熱源34により被加工物1及び金属フレーム9側から熱可塑性樹脂100の軟化点以上の所定の温度(実施形態1では例えば150℃)に加熱して軟化させつつ、例えば、ローラー36により載置するシート110を面114側から被加工物1及び金属フレーム9に向けて所定の圧力(実施形態1では例えば0.3MPa)で押圧することで、軟化したシート110の面113を被加工物1の裏面7及び金属フレーム9の面9-2に熱圧着する。
なお、シート配設ステップ1002及び一体化ステップ1003の第1例では、本発明ではこれに限定されず、ローラー36に代えて所定の温度に加熱された熱圧着ローラーを使用して、シート110を被加工物1の裏面7及び金属フレーム9の面9-2に熱圧着してもよい。
一方、シート配設ステップ1002の第2例では、被加工物1及び金属フレーム9の載置の後、図8に示すように、熱可塑性樹脂100で形成されたシート110を、シート110の被加工物1及び金属フレーム9に接触して固定される面113を被加工物1及び金属フレーム9に向けて、被加工物1の裏面7側及び金属フレーム9の面9-2側に渡って載置する。そして、シート配設ステップ1002の第2例の後に実施する一体化ステップ1003の第2例では、保持テーブル30の内部に備えられた熱源34により被加工物1及び金属フレーム9側からシート110を加熱して軟化するとともに、押圧部材37の平坦な押圧面38を、保持テーブル30とは反対側からシート110に向けて接近させて接触させ、押圧部材37の内部に備えられた熱源39により、押圧面38側からシート110をさらに加熱して軟化させる。
一体化ステップ1003の第2例では、例えば、所定の時間(実施形態1では例えば30秒)の間、このように熱源34,39によりシート110を熱可塑性樹脂100の軟化点以上の所定の温度(実施形態1では例えば150℃)に加熱して軟化させながら、例えば、押圧面38でシート110を保持テーブル30上の被加工物1及び金属フレーム9に向けて所定の圧力(実施形態1では例えば0.3MPa)で押圧することで、シート110を被加工物1の裏面7及び金属フレーム9の面9-2に熱圧着する。シート配設ステップ1002及び一体化ステップ1003の第2例では、上述したシート形成ステップ1001と同様に、加熱条件や押圧条件を調整できる。一体化ステップ1003の第2例で使用する押圧部材37は、シート形成ステップ1001で使用する支持テーブル10及び押圧部材20と同様に、押圧面38に離型材料が被覆されることが好ましい。
ここで、一体化ステップ1003では、第1例でも第2例でも、シート110は、被加工物1と金属フレーム9に接触して固定される面113が熱可塑性樹脂100で形成され、少なくとも、金属フレーム9に接触して固定される円環状の外周の領域115がエチレン・不飽和カルボン酸共重合体を有するので、金属フレーム9に対して高い固定力を発揮し、金属フレーム9に好適に熱圧着されて、実施形態1に係るフレームユニット120を形成する。
シート110は、実施形態1では、熱可塑性樹脂100全体からナノフィラーを含むフィラー及びその他の種々の配合剤を除く質量に対する不飽和カルボン酸の質量の割合が1質量%以上である熱可塑性樹脂100を使用して形成しているので、含有する不飽和カルボン酸がエチレンとの間で十分な質量割合のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体(エチレン・不飽和カルボン酸共重合樹脂)を形成するため、金属フレーム9に対して十分な高い固定力を発揮し、金属フレーム9から剥離してしまう恐れを十分に低減できる。また、シート110は、この不飽和カルボン酸の質量の割合が5質量%以上である熱可塑性樹脂100を使用して形成した場合、含有する不飽和カルボン酸がエチレンとの間でより大きい質量割合のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体(エチレン・不飽和カルボン酸共重合樹脂)を形成するため、金属フレーム9に対してより高い固定力を発揮し、金属フレーム9から剥離してしまう恐れをさらに低減できる。さらに、シート110は、この不飽和カルボン酸の質量の割合が10質量%以上である熱可塑性樹脂100を使用して形成した場合、含有する不飽和カルボン酸がエチレンとの間でさらに大きい質量割合のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体(エチレン・不飽和カルボン酸共重合樹脂)を形成するため、金属フレーム9に対してより高い固定力を発揮し、金属フレーム9から剥離してしまう恐れをほぼ完全に抑制できる。一方、熱可塑性樹脂100全体からナノフィラーを含むフィラー及びその他の種々の配合剤を除く質量に対する不飽和カルボン酸の質量の割合が1質量%未満である熱可塑性樹脂を使用して形成したシートは、含有する不飽和カルボン酸がエチレンとの間で十分な質量の割合のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体(エチレン・不飽和カルボン酸共重合樹脂)を形成できないため、金属フレーム9に対して十分な高い固定力を発揮できない。なお、ナノフィラーを含むフィラー及びその他の種々の配合剤を除く質量に対する不飽和カルボン酸の質量の割合が50質量%を超えると熱可塑性樹脂がゴム状の物体となり、熱可塑性の性質が失われてしまう。
また、シート配設ステップ1002及び一体化ステップ1003は、第1例でも第2例でも、減圧チャンバ内で実施してもよく、この場合、シート110と被加工物1及び金属フレーム9との間に気泡が混入することを抑制できる。
シート冷却ステップ1004は、一体化ステップ1003の後に、シート110を冷却するステップである。実施形態1では、シート冷却ステップ1004により、被加工物1に固定したすぐ後に、シート110を構成する熱可塑性樹脂100を硬化させるので、シート110の形状を安定化させることができる。
一体化ステップ1003の第1例の後に実施するシート冷却ステップ1004では、例えば、熱源34をオフにして熱源34によるシート110の加熱を停止することにより、シート110の冷却を開始し、例えば大気により、シート110を大気の温度程度まで冷却する。一体化ステップ1003の第1例の後に実施するシート冷却ステップ1004では、本発明ではこれに限定されず、熱源34をオフにした後、保持テーブル30の内部に設けられた不図示の空冷又は水冷等の冷却機構により、保持テーブル30側からシート110を冷却してもよい。
一体化ステップ1003の第2例の後に実施するシート冷却ステップ1004では、例えば、熱源34,39をオフにして熱源34,39によるシート110の加熱を停止することにより、シート110の冷却を開始し、例えば大気により、シート110を大気の温度程度まで冷却する。一体化ステップ1003の第2例の後に実施するシート冷却ステップ1004では、押圧部材37でシート110を加圧した状態で、保持テーブル30及び押圧部材37の内部に設けられた不図示の空冷又は水冷等の冷却機構により、保持テーブル30側及び押圧面38側からシート110を冷却してもよい。一体化ステップ1003の第2例の後に実施するシート冷却ステップ1004では、また、熱源39をオフすることに代えて、押圧部材37をシート110から離すことで、熱源39によるシート110の加熱を停止してもよい。シート冷却ステップ1004は、シート配設ステップ1002及び一体化ステップ1003でシート110の加熱及び軟化に使用する熱源34,39に応じて、適宜変更することができる。
シート冷却ステップ1004の後、シート110を被加工物1の裏面7及び金属フレーム9の面9-2に熱圧着することで形成した実施形態1に係るフレームユニット120を保持テーブル30から取り外す。実施形態1に係るフレームユニット120は、図9に示すように、シート110の面113上で金属フレーム9が開口9-1内で被加工物1を収容している。実施形態1に係るフレームユニット120は、シート110の円環状の外周の領域115がエチレン・不飽和カルボン酸共重合体を有する熱可塑性樹脂100で形成されているので、金属フレーム9に対して高い固定力を発揮し、金属フレーム9の面9-2に好適に固定されている。実施形態1に係るフレームユニット120は、シート110の被加工物1と金属フレーム9に接触して固定される面113にはナトリウム及び亜鉛のいずれも含まない熱可塑性樹脂100で形成されているので、被加工物1のデバイス5に不良動作が生じる可能性が抑制されている。
なお、シート形成ステップ1001、シート配設ステップ1002、一体化ステップ1003及びシート冷却ステップ1004を経て、被加工物1の裏面7及び金属フレーム9の面9-2に固定されたシート110が金属フレーム9の外縁からはみ出している場合には、シート110の金属フレーム9の外縁からはみ出している領域をカッターで切除してもよい。
次に、実施形態1に係る被加工物の加工方法を説明する。図10は、実施形態1に係る被加工物の加工方法の第1例である切削加工を示す断面図である。図11は、実施形態1に係る被加工物の加工方法の第2例である研削加工を示す断面図である。図12は、実施形態1に係る被加工物の加工方法の第3例であるレーザー加工を示す断面図である。実施形態1に係る被加工物の加工方法は、実施形態1に係るフレームユニットの製造方法により形成されたフレームユニット120,120-2(図11参照)の金属フレーム9の開口9-1内に位置づけられた被加工物1を加工するものである。実施形態1において被加工物の加工方法を実施する図10に示す切削加工装置140、図11に示す研削加工装置150及び図12に示すレーザー加工装置160は、いずれも、本発明に係る加工装置の一例である。また、実施形態1において、切削加工を実施する図10に示す切削ブレード141、研削加工を実施する図11に示す研削砥石153、及び、レーザー加工を実施する図12に示すレーザー照射器161は、いずれも、本発明に係る加工ユニットの一例である。
被加工物の加工方法の第1例は、実施形態1では、被加工物1の裏面7にシート110が固定されて形成されたフレームユニット120において、切削加工装置140により被加工物1を表面4側から切削加工するものであるが、本発明ではこれに限定されず、被加工物1の表面4にシート110が固定されて形成されたフレームユニット120-2(図11参照)において、被加工物1を裏面7側から切削加工してもよい。被加工物の加工方法の第1例は、図10に示すように、チャックテーブル145の保持面146でフレームユニット120をシート110側から吸引保持し、フレーム保持部147でフレームユニット120の金属フレーム9を保持した状態で、被加工物1の表面4に切削液を供給しながら、切削加工装置140に装着された切削ブレード141を軸心回りに回転させて、不図示の駆動源によりチャックテーブル145または切削加工装置140の切削ブレード141を加工送り、割り出し送り、及び切り込み送りすることにより、被加工物1を表面4側から切削する方法である。被加工物の加工方法の第1例では、例えば、分割予定ライン3に沿って被加工物1を表面4側から切削して切削溝149を形成することで、被加工物1をハーフカットしたり、被加工物1を各デバイス5に分割(フルカット)したりする。被加工物の加工方法の第1例では、切削ブレード141でフィラーが混合されたシート110を切削することにより、フィラーによって切削ブレード141の消耗が促進され、切削ブレード141のドレッシング効果が発生する。
被加工物の加工方法の第2例は、実施形態1では、被加工物1の表面4にシート110が固定されて形成されたフレームユニット120-2において、研削加工装置150により被加工物1を裏面7側から研削加工するものである。被加工物の加工方法の第2例は、実施形態1では、被加工物1を裏面7側の全面を研削加工するものであるが、本発明ではこれに限定されず、被加工物1の最外周の側端部分を残し、その内周のみを裏面7側から研削して被加工物1を薄化する所謂TAIKO(登録商標)研削加工してもよい。被加工物の加工方法の第2例は、図11に示すように、チャックテーブル155の保持面156でフレームユニット120-2をシート110側から吸引保持し、フレーム保持部157でフレームユニット120-2の金属フレーム9を保持した状態で、チャックテーブル155を不図示の回転駆動源により軸心周りに回転させつつ、研削加工装置150の研削液供給部151から被加工物1の裏面7に研削液152を供給しながら、研削加工装置150に装着された研削砥石153を軸心回りに回転させて被加工物1の裏面7に接触させて研削する。
被加工物の加工方法の第3例は、実施形態1では、被加工物1の裏面7にシート110が固定されて形成されたフレームユニット120において、レーザー加工装置160により被加工物1を表面4側からレーザー加工するものであるが、本発明ではこれに限定されず、被加工物1の表面4にシート110が固定されて形成されたフレームユニット120-2(図11参照)において、被加工物1を裏面7側からレーザー加工してもよい。被加工物の加工方法の第3例は、図12に示すように、チャックテーブル165の保持面166でフレームユニット120をシート110側から吸引保持し、フレーム保持部167でフレームユニット120の金属フレーム9を保持した状態で、被加工物1の表面4に向けて、レーザー照射器161から被加工物1に対して吸収性を有する波長または被加工物1に対して透過性を有する波長のレーザービーム164を照射しながら、不図示の駆動源によりチャックテーブル165またはレーザー照射器161を相対的に移動させることにより、被加工物1を表面4側からレーザービーム164により昇華もしくは蒸発させるいわゆるアブレーション加工または、被加工物1の内部に改質層を形成する方法である。実施形態1に係る被加工物の加工方法の第3例では、例えば、分割予定ライン3に沿って被加工物1を表面4側からレーザー加工(アブレーション加工)してレーザー加工溝169を形成することで、被加工物1をハーフカットしたり、被加工物1を各デバイス5に分割(フルカット)したり、被加工物1の内部に改質層を形成したりする。なお、被加工物の加工方法の第3例では、パルス状のレーザービーム164が使用されても良い。
被加工物の加工方法の第3例は、さらに、フレームユニット120,120-2において、被加工物1をシート110が固定された側からレーザー加工してもよい。この場合、シート110は、アブレーション加工で発生したデブリが被加工物1やデバイス5に付着することを抑制する。
被加工物の加工方法は、第1例の切削加工や第3例のレーザー加工の際、チャックテーブル145,165の上方に設けられた可視光カメラや赤外線カメラ等のカメラユニット142,162で被加工物1の表面4側からデバイス5や分割予定ライン3のパターンを撮影し、カメラユニット142,162が撮影したパターンの位置に基づいて加工する領域である分割予定ライン3を割り出すアライメントを実施してから、被加工物1を加工しても良い。また、被加工物の加工方法は、第1例の切削加工や第3例のレーザー加工において、さらに被加工物1をシート110が固定された側からアライメント及び加工を実施する場合、シート110が、ナノフィラーが混合されているために良好な透光性を有するので、精度よくアライメントを実施できる。
また、被加工物の加工方法は、第1例の切削加工や第3例のレーザー加工の際、ガラス等の透光性のあるチャックテーブル145,165を用いて被加工物1を保持し、チャックテーブル145,165の下方に設けられたカメラユニット143,163で透光性のあるチャックテーブル145,165越しにシート110を介して、シート110が貼着された被加工物1の表面4側に形成されたデバイス5や分割予定ライン3のパターンを撮影し、カメラユニット143,163が撮影したパターンの位置に基づいて分割予定ライン3を割り出してから、被加工物1を加工しても良い。なお、このように、チャックテーブル145,165越しに被加工物1の表面4のパターンを撮影して加工する位置を割り出すことは、バックサイドアライメントと称される。被加工物の加工方法は、シート110が、ナノフィラーが混合されているために良好な透光性を有するので、精度よくバックサイドアライメントを実施できる。
また、被加工物の加工方法は、第1例の切削加工、第2例の研削加工、第3例のレーザー加工のうち2つ以上を連続して実施してもよい。
以上のような構成を有する実施形態1に係るフレームユニットの製造方法、被加工物の加工方法、フレームユニット120及びシート110は、粘着テープに使用される粘着層と異なり、実質的に粘着剤のような過度な粘着性は概ね見られず、冷却されることで固化して実質的に過度な粘着性を有さない性質を有するシート110を被加工物1に固定するので、シート110が被加工物1から剥離されても被加工物1に残渣として残らず、また、シート110が加工中にクッションとなってしまうことが抑制されるため、加工処理を施すことによって被加工物1が欠ける現象が起きる可能性を低減できる。
また、実施形態1に係るフレームユニットの製造方法、被加工物の加工方法、フレームユニット120及びシート110は、シート配設ステップ1002で配設するシート110の金属フレーム9に固定される面113側の円環状の外周の領域115がエチレン・不飽和カルボン酸共重合体を有する熱可塑性樹脂100で形成されているので、金属フレーム9に対して高い固定力を発揮して金属フレーム9に好適に固定することでフレームユニット120を形成でき、熱可塑性樹脂100のシート110が加工中や搬送中に金属フレーム9から剥離してしまう恐れを低減できるという作用効果を奏する。
また、実施形態1に係るフレームユニットの製造方法、被加工物の加工方法、フレームユニット120及びシート110は、シート冷却ステップ1004により、被加工物1に固定したすぐ後に、シート110を構成する熱可塑性樹脂100を硬化させるので、シート110の形状を安定化させることができる。
また、実施形態1に係るフレームユニットの製造方法、被加工物の加工方法、フレームユニット120及びシート110は、シート配設ステップ1002で配設するシート110の被加工物1と金属フレーム9に接触して固定される面113にはナトリウム及び亜鉛のいずれも含まないので、被加工物1のデバイス5に不良動作が生じる可能性を抑制できるという作用効果を奏する。
なお、フレームユニットの製造方法、被加工物の加工方法及びフレームユニット120で使用するシート110は、実施形態1では、全部の領域がエチレン・不飽和カルボン酸共重合体を有する熱可塑性樹脂100で形成したが、本発明ではこれに限定されず、例えば、シート110の被加工物1及び金属フレーム9に接触して固定される面113とは反対側の面114側に、本発明の目的に反しない範囲で、任意の熱可塑性樹脂のシートを積層してもよい。
また、フレームユニットの製造方法、被加工物の加工方法及びフレームユニット120で使用するシート110は、上記の他にも、例えば、金属フレーム9に接触して固定される面113側の円環状の外周の領域115のみをエチレン・不飽和カルボン酸共重合体を有する熱可塑性樹脂100で形成し、その他の領域をエチレン・不飽和カルボン酸共重合体を有さない熱可塑性樹脂で形成してもよい。このようなシート110は、シート形成ステップ1001では、金属フレーム9に接触して固定される面113側の円環状の外周の領域115に対応する支持テーブル10の支持面11上の領域にエチレン・不飽和カルボン酸共重合体を有する熱可塑性樹脂100を供給し、その他の領域に対応する支持テーブル10の支持面11上の領域にエチレン・不飽和カルボン酸共重合体を有さない熱可塑性樹脂を供給し、それ以降は上記と同様の加熱、軟化、押し広げる処理をすることで、形成できる。
また、フレームユニットの製造方法、被加工物の加工方法及びフレームユニット120で使用するシート110は、実施形態1では、シート形成ステップ1001で形成したエチレン・不飽和カルボン酸共重合体を有する熱可塑性樹脂100のシート110をシート配設ステップ1002で被加工物1及び金属フレーム9に配設して、一体化ステップ1003で被加工物1及び金属フレーム9に熱圧着したが、本発明ではこれに限定されず、被加工物1上及び金属フレーム9上にエチレン・不飽和カルボン酸共重合体を有する熱可塑性樹脂100を供給し、熱可塑性樹脂100を被加工物1及び金属フレーム9上で加熱、軟化、押し広げる処理をして、シート110に形成しつつ、シート110を被加工物1及び金属フレーム9に熱圧着してフレームユニット120を形成してもよい。
〔変形例1〕
本発明の変形例1に係るフレームユニットの製造方法及び被加工物の加工方法を図面に基づいて説明する。図13から図22は、それぞれ、図13は、変形例1に係るフレームユニットの製造方法におけるシート形成ステップ1001で熱可塑性樹脂100を供給する方法の一例を示す斜視図である。図13から図22は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
変形例1に係るフレームユニットの製造方法及び被加工物の加工方法は、シート形成ステップ1001で熱可塑性樹脂100を供給する方法が異なること以外、実施形態1と同じである。なお、図13から図22は、実施形態1で使用する支持テーブル10の支持面11に熱可塑性樹脂100-2から熱可塑性樹脂100-13を供給する例を示している。
第1例は、図13に示すように、粉状の熱可塑性樹脂100-2(熱可塑性樹脂粉末)を供給するものである。第2例は、図14に示すように、1個または複数個のブロック状の熱可塑性樹脂100-3(熱可塑性樹脂ブロック)を供給するものである。第3例は、図15に示すように、ドーナツ状の熱可塑性樹脂100-4(熱可塑性樹脂ドーナツ)を供給するものである。第4例は、図16に示すように、麺状(繊維状)の熱可塑性樹脂100-5(熱可塑性樹脂繊維)を供給するものである。
第5例は、図17に示すように、1個または複数個のタブレット状の熱可塑性樹脂100-6(熱可塑性樹脂タブレット)を供給するものである。第6例は、図18に示すように、渦巻き状に配した繊維状(紐状)の熱可塑性樹脂100-7(熱可塑性樹脂渦巻き)を供給するものである。第7例は、図19に示すように、固形の熱可塑性樹脂100を薄くスライスした薄片状の熱可塑性樹脂100-8(熱可塑性樹脂薄片)を供給するものである。第8例は、図20に示すように、樹脂供給部210の四角筒状の供給筒211の内部を通って供給される四角柱状の固形の熱可塑性樹脂100-9を、供給筒211の供給口に沿って設けられたカッター212で切断することで、切ったようかん状の熱可塑性樹脂100-10(熱可塑性樹脂ようかん片)を供給するものである。
第9例は、図21に示すように、樹脂供給部220の円筒状の加熱部221の内部を通って供給される円柱状の固形の熱可塑性樹脂100-11を、加熱部221で加熱して軟化させつつ、加熱部221の上方から押圧部222で下方に押し出すことで、軟化して流動体となった熱可塑性樹脂100-12(熱可塑性樹脂流動体)を供給するものである。第10例は、図22に示すように、樹脂供給部230から流動体の熱可塑性樹脂100-13(熱可塑性樹脂流動体)を供給するものである。なお、流動体の熱可塑性樹脂100-12,100-13を供給する方法は、本発明では、これらの方法に限定されず、グルーガン等を使用して、熱可塑性樹脂100をグルーガン等に備え付けられた加熱体で加熱して軟化させて、当該グルーガン等から熱可塑性樹脂100を支持テーブル10の支持面11に供給するものとしてもよい。
これらの変形例1に係るフレームユニットの製造方法及び被加工物の加工方法は、実施形態1において、シート形成ステップ1001で熱可塑性樹脂100-2から熱可塑性樹脂100-13を供給する方法を変更したものであるので、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
〔実施例〕
次に、本発明の発明者らは、実施形態1に係るフレームユニットの製造方法、被加工物の加工方法、フレームユニット120及びシート110の作用効果を確認した。図23は、実施形態1に係るフレームユニットの製造方法、被加工物の加工方法、フレームユニット120及びシート110の作用効果を説明する図である。図23は、作用効果を確認した際に得られた結果をまとめて示している。
図23は、実施形態1のシート形成ステップ1001と同様の方法で、供給する熱可塑性樹脂の主成分のみを変更して、熱可塑性樹脂に含まれるナノフィラーを含むフィラー及びその他の種々の配合剤の各成分及び各含有割合を変更せず同じとして、シートを形成し、実施形態1のシート配設ステップ1002及び一体化ステップ1003と同様の方法で、これらのシートを被加工物1及び金属フレーム9に固定して形成したそれぞれのフレームユニットに対して、実施形態1の被加工物の加工方法の第1例と同様の切削加工を実施した時の金属フレーム9からのシートの剥離評価の結果を示している。
図23の「熱可塑性樹脂の主成分」の行は、各実験における供給した熱可塑性樹脂の主成分を示しており、図23の「剥離評価の結果」の行は、各実験における金属フレーム9からのシートの剥離評価の結果を示している。図23の「エチレン・不飽和カルボン酸共重合体」の列は、実施形態1と同様に、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体を主成分として有し、熱可塑性樹脂100全体からナノフィラーを含むフィラー及びその他の種々の配合剤を除く質量に対する不飽和カルボン酸の質量の割合が1質量%である熱可塑性樹脂100を供給してシート110及びフレームユニット120を形成した場合の結果を示している。図23の「アクリル樹脂」の列は、アクリル樹脂を主成分として有し、熱可塑性樹脂全体からナノフィラーを含むフィラー及びその他の種々の配合剤を除く質量に対するアクリル樹脂の質量の割合が100質量%であり、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体を含まない熱可塑性樹脂を供給してシート及びフレームユニットを形成した場合の結果を示している。図23の「ブチルゴム」の列は、ブチルゴムを主成分として有し、熱可塑性樹脂全体からナノフィラーを含むフィラー及びその他の種々の配合剤を除く質量に対するブチルゴムの質量の割合が100質量%であり、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体を含まない熱可塑性樹脂を供給してシート及びフレームユニットを形成した場合の結果を示している。図23の「ポリエチレン」の列は、ポリエチレンを主成分として有し、熱可塑性樹脂全体からナノフィラーを含むフィラー及びその他の種々の配合剤を除く質量に対するポリエチレンの質量の割合が100質量%であり、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体を含まない熱可塑性樹脂を供給してシート及びフレームユニットを形成した場合の結果を示している。図23の「○」は、金属フレーム9からのシートの剥離が全く見られなかったという結果を示しており、図23の「×」は、金属フレーム9からのシートの剥離が少なくとも一部で見られたという結果を示している。
図23に示すように、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体を主成分として有する熱可塑性樹脂100でシート110及びフレームユニット120を形成した場合には、金属フレーム9からのシート110の剥離が全く見られなかったが、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体を含まず、アクリル樹脂、ブチルゴム、ポリエチレンをそれぞれ主成分として有する熱可塑性樹脂でシート及びフレームユニットを形成した場合には、いずれも、シートが金属フレーム9に接触して固定される面積のうち10%以上の面積の金属フレーム9からのシートの剥離が見られた。
これにより、図23に示す実施例では、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体を主成分として有する熱可塑性樹脂100でシート110及びフレームユニット120を形成することにより、熱可塑性樹脂100のシート110が加工中や搬送中に金属フレーム9から剥離してしまう恐れを低減できることが明らかとなった。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、上記した各実施形態及び各変形例において使用する熱可塑性樹脂100は、紫外線からの回路保護や回路の秘匿を目的として、黒などの暗色に着色されていてもよく、紫外線吸収剤を混練させてもよい。
1 被加工物
4 表面
5 デバイス
7 裏面
9 金属フレーム
9-1 開口
100 熱可塑性樹脂
110 シート
113,114 面
115 領域
120,120-2 フレームユニット
140 切削加工装置(加工装置の一例)
141 切削ブレード(加工ユニットの一例)
145,155,165 チャックテーブル
150 研削加工装置(加工装置の一例)
153 研削砥石(加工ユニットの一例)
160 レーザー加工装置(加工装置の一例)
161 レーザー照射器(加工ユニットの一例)

Claims (8)

  1. 環状の金属フレームの開口内に被加工物を位置付け、該金属フレームの該開口を覆うように熱可塑性樹脂からなるシートを配設するシート配設ステップと、
    該シートを加熱しつつ該金属フレームと被加工物に向かって該シートを押圧し、該被加工物と該金属フレームとを該シートを介して一体化する一体化ステップと、を備え、
    少なくとも、該シートの該金属フレームに接触する領域は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体を有する熱可塑性樹脂で形成されていることを特徴とするフレームユニットの製造方法。
  2. 該一体化ステップの後に、該シートを冷却するシート冷却ステップを備える請求項1に記載のフレームユニットの製造方法。
  3. 該シートの該被加工物と該金属フレームに接触する面はナトリウム及び亜鉛のいずれも含まない請求項1又は2に記載のフレームユニットの製造方法。
  4. 請求項1、2又は3に記載のフレームユニットの製造方法で製造したフレームユニットを、該シートを介して加工装置のチャックテーブルで保持し、被加工物を加工ユニットで加工する被加工物の加工方法。
  5. 被加工物の一方の面と該被加工物を囲繞して配置される金属フレームとがシートに固定されたフレームユニットであって、
    該シートの該金属フレームに接触する領域は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体を有する熱可塑性樹脂で形成されていることを特徴とするフレームユニット。
  6. 該シートの該被加工物と該金属フレームに固定される面はナトリウム及び亜鉛のいずれも含まない請求項5に記載のフレームユニット。
  7. 被加工物の一方の面と該被加工物を囲繞して配置される金属フレームとに固定されフレームユニットを形成するシートであって、
    該シートの該被加工物と該金属フレームに固定される面は熱可塑性樹脂で形成され、少なくとも、該金属フレームに固定される領域はエチレン・不飽和カルボン酸共重合体を有する熱可塑性樹脂で形成されているシート。
  8. 該シートの該被加工物と該金属フレームに固定される面はナトリウム及び亜鉛のいずれも含まない請求項7に記載のシート。
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