JP7358055B2 - 鋳型および型作製方法 - Google Patents

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Description

この発明は、鋳型および型作製方法に関するものである。
従来、コンピューターグラフィックス(CG:computer graphics)などで描かれた三次元の形状を、樹脂材料や粉体材料などで具現化する三次元造形装置として、いわゆる3Dプリンターがある。3Dプリンターによる立体物の作製方法は様々であり、例えば、樹脂材料で造形するものとして材料押出法があり、また、粉体材料で造形するものとして結合剤噴射法(バインダジェット法)がある。
結合剤噴射法によれば、例えば、下記特許文献1に記載された結合剤噴射方式付加製造装置用セメント組成物が、粉体材料として用いられ、所望の位置に水性バインダを吹き付けることで粉体材料を固化させて立体物が作製される。立体物は、例えば、鋳物を鋳造するための鋳型に用いられる。鋳型は、内側に中空の注湯空間を有し、この注湯空間に、溶融した金属やプラスチックなど(以下、「溶融体」と記す。)が注入される。
特開2017-178671号公報
しかし、上記したような鋳型は、有機系の結合材が用いられ、水硬性の粉体材料で作製されることから、有機物や結合水由来の強熱減量(IL:Ignition Loss)が比較的大きく、また、通常の砂型と比較して緻密であり、粉体材料の粒径が小さく、水和反応も生じているため、通気性が悪い。鋳鋼などにおいては、溶融体の温度が高く、水蒸気やガス(以下、「ガス等」と記す。)が発生し易くなるところ、これらのガス等が鋳物に含まれると、いわゆるガス欠陥や、鋳肌が荒くなる原因となる。
本発明は、この様な実情に鑑みて提案されたものである。すなわち、実用上の強度を有して破損することなく、優れた通気性を有し、欠陥のない美麗な鋳肌を有する鋳物を鋳造するための鋳型、および、この鋳型を作製することができる型作製方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る鋳型は、鋳造に用いられる鋳型であって、当該鋳型が、セメントを有する水硬性組成物からなる粉体材料が固化したものであり、鋳物となる溶融体が注入される注湯空間を形成する側壁部を有し、この側壁部の厚みが2から15ミリメートルである、ことを特徴とする。
本発明に係る鋳型は、前記側壁部から突出したリブを有する、ことを特徴とする。
本発明に係る鋳型は、前記側壁部と間を空けて対面した対面壁部を有する、ことを特徴とする。
本発明に係る鋳型は、前記対面壁部が前記側壁部よりも厚い、ことを特徴とする。
本発明に係る鋳型は、鋳造に用いられる鋳型であって、当該鋳型が、セメントを有する水硬性組成物からなる粉体材料が固化したものであり、鋳物となる溶融体が注入される注湯空間から離れる方向に伸びる通気部を有し、この通気部の径が、0.2から2ミリメートルである、ことを特徴とする。
本発明に係る鋳型は、鋳造に用いられる鋳型であって、当該鋳型が、セメントを有する水硬性組成物からなる粉体材料が固化したものであり、鋳物となる溶融体が注入される注湯空間を形成する側壁部と間を空けて対面した対面壁部を有し、前記対面壁部が、前記注湯空間から離れる方向に伸びる通気部を有する、ことを特徴とする。
本発明に係る鋳型は、前記対面壁部の厚みが、3から15ミリメートルである、ことを特徴とする。
本発明に係る鋳型は、前記通気部が湾曲し、終端部において閉塞している、ことを特徴とする。
本発明に係る鋳型は、複数の前記通気部同士が繋がっている、ことを特徴とする。
本発明に係る鋳型は、前記リブが、ハニカム構造である、ことを特徴とする。
本発明に係る型作製方法は、型を作製するためのステージを、基準面に対して相対的に低い位置に移動させる昇降手順と、一方側から前記ステージを渡って他方側に移動するリコーターによって、一方側にある粉体材料を、前記基準面から前記ステージに移動させて均す材料充填手順と、前記ステージの前記粉体材料にプリンタヘッドから結合剤を吹き付けることで前記粉体材料を固化させる造形手順と、を含み、前記昇降手順、前記材料充填手順、前記造形手順を繰り返すことで、鋳物の鋳造に用いる型を作製する型作製方法であって、前記粉体材料が、セメントを有する水硬性組成物からなり、前記型において、鋳物となる溶融体が注入される注湯空間を形成する側壁部の厚みを、2から15ミリメートルに形成する、ことを特徴とする。
本発明に係る型作製方法は、型を作製するためのステージを、基準面に対して相対的に低い位置に移動させる昇降手順と、一方側から前記ステージを渡って他方側に移動するリコーターによって、一方側にある粉体材料を、前記基準面から前記ステージに移動させて均す材料充填手順と、前記ステージの前記粉体材料にプリンタヘッドから結合剤を吹き付けることで前記粉体材料を固化させる造形手順と、を含み、前記昇降手順、前記材料充填手順、前記造形手順を繰り返すことで、鋳物の鋳造に用いる型を作製する型作製方法であって、前記粉体材料が、セメントを有する水硬性組成物からなり、前記型において、鋳物となる溶融体が注入される注湯空間から離れる方向に伸びる通気部の径を、0.2から2ミリメートルに形成する、ことを特徴とする。
本発明に係る鋳型は、セメントを有する水硬性組成物からなる粉体材料が固化したものであり、当該鋳型に、注湯空間を形成する側壁部を有し、この側壁部の厚みが2から15ミリメートルである。すなわち、セメントを有する水硬性組成物からなる粉体材料が固化して構成された鋳型は、水分や硫黄分を含み、有機系の結合材を含むため、強熱減量が比較的大きく、また、砂型と比較して緻密であるため、通気性が悪い。本件発明は、注湯空間を形成する側壁部が薄いため、ガス等が透過し易く、排気され易い。また、ガス等が発生する媒体となる側壁部そのものが薄いのであれば、発生するガス等の量も抑えられる。したがって、優れた通気性を有し、かつ、ガス等の発生を抑え、欠陥のない美麗な鋳肌を有する鋳物を鋳造することができる。また、薄くなることで鋳型の強度が低下したとしても、側壁部の厚みが2ミリメートル程度であれば、溶融体の注入に対する最低限度の強度を維持することができる。
本発明に係る鋳型は、側壁部から突出したリブを有している。すなわち、リブを有することで、鋳型の強度を維持することができ、取扱い時に損傷することがない。
本発明に係る鋳型は、側壁部と間を空けて対面した対面壁部を有している。すなわち、対面壁部を有することで、鋳型の強度を維持することができる。また、側壁部と対面壁部との間が空けられているため、ガス等が、薄い側壁部を透過して側壁部と対面壁部との間に収容される。したがって、優れた通気性を有し、欠陥のない美麗な鋳肌を有する鋳物を鋳造することができる。また、側壁部と対面壁部との間に、未硬化の粉体材料が充填されたままであれば、溶融体の注入や外力による圧力に対して、より強固となる。
本発明に係る鋳型は、対面壁部が前記側壁部よりも厚い。すなわち、側壁部よりも厚い対面壁部を有することで、鋳型の強度を維持することができる。
本発明に係る鋳型は、当該鋳型が、セメントを有する水硬性組成物からなる粉体材料が固化したものであり、注湯空間から離れる方向に伸びる通気部を有し、この通気部の径が、0.2から2ミリメートルである。すなわち、通気部を介してガス等が排気され易い。したがって、優れた通気性を有し、欠陥のない美麗な鋳肌を有する鋳物を鋳造することができる。鋳物の作製において、通気部に固化していない粉体材料が残存していたとしても、通気部が0.2から2ミリメートル程度であれば、粉体材料は、通気部に詰まったままであり、こぼれることがない。仮に、粉体材料が通気部からこぼれ、通気部が中空となって注湯空間と通じた場合であっても、鋳造において、溶融体は、表面張力によって、注湯空間から通気部に流れることがない。なお、通気部に、固化していない粉体材料が詰まっていることは、ガス等の通気に何ら影響を及ぼすものではない。
本発明に係る鋳型は、セメントを有する水硬性組成物からなる粉体材料が固化したものであり、注湯空間を形成する側壁部と間を空けて対面壁部を有し、対面壁部が、注湯空間から離れる方向に伸びる通気部を有している。すなわち、側壁部と対面壁部との間が空けられているため、ガス等が、側壁部を透過して側壁部と対面壁部との間に収容される。さらに、対面壁部から通気部を介してガス等が排気され易い。したがって、優れた通気性を有し、欠陥のない美麗な鋳肌を有する鋳物を鋳造することができる。
本発明に係る鋳型は、対面壁部の厚みが、3から15ミリメートルである。すなわち、対面壁部の厚みが3ミリメートル以上であれば、鋳型の強度を維持することができる。
本発明に係る鋳型は、通気部が湾曲し、終端部において閉塞している。すなわち、湾曲した通気部は、直線状の場合と比較して、固化せずに詰まった粉体材料がこぼれ難いため、通気部の径を大きく採ることができる。径が大きければ、ガス等が排気され易い。また、終端部が閉塞しているため、固化せず詰まった粉体材料がこぼれることがない。
本発明に係る鋳型は、複数の前記通気部同士が繋がっている。すなわち、繋がった通気部は、単一である場合と比較して、距離が長く、体積が多いため、ガス等が排気され易い。
本発明に係る鋳型は、リブがハニカム構造である。したがって、鋳型の強度を維持することができる。
本発明に係る型作製方法は、例えば、3Dプリンターなどの三次元造形装置によって実現され、粉体材料が、セメントを有する水硬性組成物からなり、型において、鋳物となる溶融体が注入される注湯空間を形成する側壁部の厚みを、2から15ミリメートルに形成するものである。すなわち、注湯空間を形成する側壁部が薄いため、ガス等が透過し易く、排気され易い。また、ガス等が発生する媒体となる側壁部そのものが薄いのであれば、発生するガス等の量も抑えられる。したがって、優れた通気性を有し、欠陥のない美麗な鋳肌を有する鋳物を鋳造することができる。また、薄くなることで鋳型の強度が低下したとしても、側壁部の厚みが2ミリメートル程度であれば、最低限度の強度を維持することができる。3Dプリンターによって型が作製されるため、このような複雑で精密な形状や、薄い部材を作製することができる。
本発明に係る型作製方法は、例えば、3Dプリンターなどの三次元造形装置によって実現され、粉体材料が、セメントを有する水硬性組成物からなり、型において、鋳物となる溶融体が注入される注湯空間から離れる方向に伸びる通気部の径を、0.2から2ミリメートルに形成するものである。すなわち、通気部を介してガス等が排気され易い。したがって、優れた通気性を有し、欠陥のない美麗な鋳肌を有する鋳物を鋳造することができる。鋳物の作製において、通気部に固化していない粉体材料が残存していたとしても、通気部が0.2から2ミリメートル程度であれば、粉体材料は、通気部に詰まったままであり、こぼれることがない。仮に、粉体材料が通気部からこぼれ、通気部が中空となって注湯空間と通じた場合であっても、鋳造において、溶融体は、表面張力によって、注湯空間から通気部に流れることがない。3Dプリンターによって型が作製されるため、このような複雑で精密な形状や、薄い部材を作製することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る鋳型の作製および型作製方法に用いられる三次元造形装置の概略が示され、(a)は平面図、(b)は(a)におけるA-A断面図である。 図2は、本発明の第一実施形態に係る鋳型の断面概略図である。 図3は、本発明の第二実施形態に係る鋳型の断面概略図である。 図4は、本発明の第三実施形態に係る鋳型の断面概略図である。 図5は、本発明の第四実施形態に係る鋳型の断面概略図である。 図6は、本発明の第五実施形態に係る鋳型の断面概略図である。 図7は、本発明の第六実施形態に係る鋳型の断面概略図である。 図8は、本発明の第七実施形態に係るである中子が鋳型が示され、(a)は第一の中子の断面概略図、(b)は第二の中子の断面概略図である。 図9は、本発明の他の実施形態に係る鋳型が示され、(a)は長方形の鋳型の断面概略図、(b)は球形の鋳型の断面概略図である。
以下に、本発明の実施形態に係る鋳型および型作製方法を図面に基づいて説明する。図1は、鋳型Mの作製および型作製方法に用いられる三次元造形装置(以下、三次元造形装置を「3Dプリンター」と記す。)の構成の概略が示されている。
3Dプリンター1は、三次元で表された鋳型Mのデータに基づいて、結合剤噴射方式で鋳型Mを具現化するものである。はじめに、3Dプリンター1の構成の概略を説明する。
図1に示されているとおり、3Dプリンター1は、基準面2に対して昇降するステージ3と、このステージ3の外側であって基準面2上にある材料載置部4と、この材料載置部4に粉体材料5を供給する材料供給部(図示省略)と、粉体材料5を材料載置部4からステージ3に移動させて均すリコーター6と、ステージ3上の粉体材料5に結合剤を吹き付けるプリンタヘッド7と、このプリンタヘッド7を自在に移動させるガイド部8とを有している。なお、以下の説明では、図1に示されているとおり、互いに直交する三軸をX軸、Y軸、Z軸とし、ステージ3に平行で、かつ、ステージ3の横幅方向をX軸、ステージ3に並行で、かつ、ステージ3の奥行方向をY軸、ステージ3が昇降する高さ方向をZ軸とする。X軸において、横幅の一方を右側とし、他方を左側とする。Y軸において、一方側を奥側とし、他方側を手前側とする。
ステージ3は、四角形の平板状であり、鋳型Mが作製される場所である。ステージ3は、下面側に昇降機構9が取り付けられ、昇降機構9が作動することによって、Z軸を昇降する。材料載置部4は、ステージ3の外側であって、ステージ3の奥側に配置されている。材料供給部は、ステージ3の外側であって、材料載置部4の上方に配置されている。なお、材料供給部は、ステージ3の外側であって、材料載置部4の奥側に配置されていてもよい。リコーター6は、X軸方向に長手の棒状であり、基準面2上に配置されている。リコーター6は、基準面2上を、ステージ3に対して平行な状態で、Y軸において、材料載置部4の奥側とステージ3の手前側との間を自在に移動する。ガイド部8は、X軸方向に長手であり、ステージ3に対して平行な状態で、Y軸において、ステージ3の奥側と手前側との間を自在に移動する。プリンタヘッド7は、ガイド部8に支持され、X軸において、ガイド部8を自在に移動する。
次に、3Dプリンター1を用いた結合剤噴射方式による鋳型Mの作製手順を説明する。3Dプリンター1は、三次元で表された所望の鋳型Mのデータが入力されている。作製手順は、材料供給手順、材料充填手順、造形手順、養生手順を含む。各手順は、材料供給手段、材料充填手段、造形手段、養生手段として、3Dプリンター1に備えられている。なお、養生手順(養生手段)は、3Dプリンター1とは別個の装置(図示省略)で実現してもよく、また、必須ではない。
図1において、初期状態では、ステージ3は、基準面2と同一平面上に揃って配置される。昇降手順では、昇降機構9が作動することで、ステージ3がZ軸を下降し、ステージ3は、予め設定された所定量だけ、基準面2に対して相対的に低い位置に移動する。
材料供給手順では、粉体材料5が、材料供給部から材料載置部4に供給される。粉体材料5は、材料載置部4に盛られる。なお、昇降手順と材料供給手順とは、順番に実行されても、同時に実行されてもよい。
材料充填手順では、リコーター6が、Y軸において、材料載置部4の奥側からステージ3を渡って手前側に移動することで、粉体材料5が、材料載置部4からステージ3に移させられる。リコーター6が、基準面2に沿ってステージ3上を移動することで、粉体材料5がステージ3上で均される。場合によっては、材料供給手順が複数回繰り返されることで、ステージ3に粉体材料5が充填されて均される。
造形手順では、ガイド部8がY軸方向に移動すると共に、プリンタヘッド7がX軸方向に移動しながら、予め設定された位置で、プリンタヘッド7から結合剤が噴射され、結合剤が吹き付けられた箇所で粉体材料5が固化する。ガイド部8およびプリンタヘッド7の動作について詳説すれば、例えば、ガイド部8は、最初に、作製位置における最も手前側に配置される。この位置で、プリンタヘッド7がガイド部8に沿って右側から左側に移動しながら結合剤を噴射する。次に、ガイド部8は、所定量だけ奥側に移動し、この位置で、プリンタヘッド7が右側から左側に移動しながら結合剤を噴射する。この動作が繰り返され、ガイド部7は、鋳型Mにおける最も奥側まで移動する。
一巡目の昇降手順、材料供給手順、材料充填手順および造形手順によれば、所望の鋳型Mのうち、ステージ3が下降した所定量に相当する高さの第一積層物が造形される。このように、昇降手順、材料供給手順、材料充填手順および造形手順が複数回繰り返されることで、Z軸方向に連なった第一積層物から第n積層物が、所望の鋳型Mとなってステージ3上に作製される。
養生手順では、粉体材料5に埋もれた状態、または、粉体材料5が適度に除去された鋳型Mを、好ましくは3時間以上放置し、または、特定の温度、湿度中で養生することで、強度を高める。なお、養生手順は、3Dプリンター1以外の他の装置(図示省略。)で実行してもよい。
次に、以上のとおり作製された鋳型Mを、図面に基づいて説明する。図2から図8は、本発明の第一から第七実施形態に係る鋳型MからMの断面の概略が示されている。鋳型M1~8は、粉体材料5が固化したものである。各図に示されているとおり、鋳型M1~6は、鋳物(図示省略。)となる溶融体が注入される注湯空間13を有し、一方で、鋳型M7、8は、いわゆる中子であり、注湯空間13の中に配置される。鋳型M1~6は、ほぼ直方体であり、外郭部14の内側に、ほぼ長方形の空隙である注湯空間13を有し、外郭部14の一部に側壁部15を有している。換言すれば、側壁部15は、注湯空間13を形成し、厚みが外郭部14よりも薄い。なお、鋳型Mの形状は任意であり、直方体に制限するものではない。例えば、所望の鋳物の形状に応じて、鋳型Mの形状も適切に選択される。
図2に示されているとおり、鋳型Mの側壁部15は、注湯空間13に対して反対側である外側に、強度を上げるためのリブ17を有している。換言すれば、リブ17は、外郭部14の一部とも言える。リブ17は、側壁部15から外側に向けて突出し、長手方向に沿ってほぼ等間隔に整列している。なお、リブ17の数、形状および配置は任意である。側壁部15の厚みは、好ましくは、2から15ミリメートル、3から10ミリメートル、4から8ミリメートルである。リブ17は、正六角形などハニカム状に形成であれば、強度がより高い。
側壁部15の外側には、外郭部14との厚みの差によって形成された空間である排気空間18がある。排気空間18が狭い場合、粉体材料5が、排気空間18に詰まった状態で残存している。一方で、排気空間18が広い場合、粉体材料5が除去される手順(以下、「デパウダー」と記す。)などを経ることで、排気空間18は外気に晒されている。
図3に示されているとおり、鋳型Mは、側壁部15の外側に、排気空間18を開けて対面壁部16を有している。すなわち、対面壁部16は、側壁部15の外側において側壁部15と対面し、側壁部15と対面壁部16との間に、排気空間18が形成されている。対面壁部16は、外郭部14の一部とも言える。対面壁部16の厚みは、側壁部15の厚みとほぼ同じである。リブ17を有する場合、リブ17は、側壁部15と外側壁16との間に連接されているが、鋳型Mの強度を保証することができるのであれば、リブ17がなくてもよい。排気空間18が密閉されている場合、粉体材料5が排気空間18に充満した状態で残存している。
図4に示されているとおり、鋳型Mは、対面壁部16が側壁部15よりも厚く形成されている。側壁部15の厚みは、好ましくは、2から15ミリメートル、3から10ミリメートル、4から8ミリメートルである。排気空間18の厚み(側壁部15から対面壁部16までの間隔)は、好ましくは、3から15ミリメートル、4から10ミリメートル、5から8ミリメートルである。対面壁部16の厚みは、好ましくは、3ミリメートル以上であり、3から15ミリメートル、5から10ミリメートルである。外郭部14全体の厚み(側壁部15と対面壁部16との合計の厚み)は、好ましくは、5ミリメートル以上であり、8から30ミリメートルである。
図5に示されているとおり、鋳型Mは、外郭部14が、注湯空間13から離れる方向に伸びる複数の通気部19aを有している。通気部19aは、注湯空間13から外気に通じる直線状の孔であり、長手方向に沿ってほぼ等間隔に整列している。なお、通気部19aの数、形状および配置は任意である。通気部19aの径は、好ましくは、0.2から2ミリメートル、0.3から1ミリメートル、0.5から0.8ミリメートルである。通気部19aの径が、0.2から2ミリメートル程度であれば、粉体材料5は、通気部19aに詰まった状態で残存している。なお、単一の通気部19aにおいて、複数の異なる径が形成されていてもよい。例えば、単一の通気部19aにおいて、注湯空間13に近い側の径が小さく、外気に近い側の径が大きくてもよい。
図6に示されているとおり、鋳型Mは、外郭部14が、湾曲した通気部19bを有し、一部の通気部19b同士が繋がっている。通気部19bの径は、直線状の通気部19aの径よりも大きくできる。また、鋳型Mは、外郭部14が、終端部において閉塞している通気部19cを有している。また、複数の通気部19bまたは19c同士は、一部において繋がっている。通気部19b,cが湾曲しているため、粉体材料5は、通気部19b,cに詰まった状態で残存している。
図7に示されているとおり、鋳型Mは、対面壁部16が、注湯空間13から離れる方向に伸びる複数の通気部19aを有している。具体的には、通気部19aは、排気空間18から外気に通じる直線状の孔である。なお、側壁部15、対面壁部16、排気空間18は、鋳型Mと同様であり、通気部19aは、鋳型Mと同様である。
図8に示されているとおり、鋳型M7、8は、例えば、内側に空隙や孔を有する鋳物を鋳造する際の中子として用いられ、注湯空間13の中に配置される。鋳型M7、8は、注湯空間13の中で内側から注湯空間13を形成する側壁部15を有し、注湯空間13に対して反対側である内側に、リブ17を有している。リブ17は、側壁部15から内側に向けて突出している。鋳型M7、8は、側壁部15の内側に、排気空間18を開けて対面壁部16を有している。すなわち、対面壁部16は、側壁部15の内側において側壁部15と対面し、側壁部15と対面壁部16との間に、排気空間18が形成されている。図8(a)に示されているとおり、鋳型Mにおいて、対面壁部16は、中空の球状であり、この中空の部分も排気空間18となる。一方で、図8(b)に示されているとおり、鋳型Mにおいて、対面壁部16は、内側に空隙のない球体である。鋳型Mの場合、対面壁部16の厚みは、中心から対面壁部16の外面までの距離(球の半径)をいう。
他の実施形態として、図9(a)に示されているとおり、鋳型Mが、注湯空間13を形成する側壁部15、対面壁部16およびリブ17のみから構成され、この場合、側壁部15、対面壁部16およびリブ17から外郭部14が形成される。同様に図9(b)に示されているとおり、鋳型M10は、球状であり、注湯空間13を形成する側壁部15およびリブ17のみから構成され、この場合、側壁部15およびリブ17から外郭部14が形成される。
なお、上記した鋳型M1~10は、ガス等が透過し易いハニカム構造であってもよい。また、側壁部15が厚いほど、鋳型Mの強度が高くなるため、十分な強度が保証できる場合、他の実施形態(図示省略。)として、側壁部15はリブ17を有しなくてもよい。また、他の実施形態(図示省略。)として、側壁部15が通気部19a,b,cを有していてもよい。また、他の実施形態(図示省略。)として、通気部19aの注湯空間13側または終端部が薄い壁によって閉塞していてもよい。また、他の実施形態(図示省略。)として、通気部19a~cが混在していてもよい。
次に、鋳型Mおよび型作製方法に用いられる粉体材料5を説明する。
粉体材料5は、セメントや石膏、石灰などの水硬性組成物であり、例えば、カルシウムアルミネートを、特定割合含む結合材100質量部に対し、ポリマーを特定割合含有する。詳説すれば、水硬性組成物は、下記の構成を有する。
[1]カルシウムアルミネートを50~100質量%含む結合材100質量部に対し、ポリマーを2~12質量部含有する、水硬性組成物。
[2]前記カルシウムアルミネートが非晶質カルシウムアルミネートである、前記[1]に記載の水硬性組成物。
[3]前記ポリマーがポリビニルアルコールである、前記[1]または[2]に記載の水硬性組成物。
[4]前記ポリビニルアルコールのケン化度が80~90モル%である、前記[3]に記載の水硬性組成物。
[5]前記ポリビニルアルコールの平均粒径が、150μm以下である、前記[3]または[4]に記載の水硬性組成物。
[6]前記結合材が、結合材全体を100質量%として、JIS R 5210に準拠して測定した凝結(始発)が30分以内であるセメントを、0~20質量%含む、前記[1]~[5]のいずれかに記載の水硬性組成物。
[7]前記結合材が、結合材全体を100質量%として、石膏を無水石膏換算で0~5質量%含む、前記[1]~[6]のいずれかに記載の水硬性組成物。
上記した水硬性組成物は、強度発現性と耐熱性が高いため、鋳型Mに用いた場合、鋳造時のガスの発生が少なく、欠陥のない鋳物を製造することができる。
以下、結合材の必須の成分であるセメントとして、最も好ましいカルシウムアルミネートと、より好ましいセメント、その他等に分けて詳細に説明する。
<カルシウムアルミネート>
該カルシウムアルミネートは、3CaO・Al、2CaO・Al、12CaO・7Al、5CaO・3Al、CaO・Al、3CaO・5Al、またはCaO・2Al等のカルシウムアルミネート;カルシウムアルミネートにハロゲンが固溶または置換した3CaO・3Al・CaF、および11CaO・7Al・CaF2等のカルシウムフロロアルミネートを含むカルシウムハロアルミネート;8CaO・NaO・3Al、および3CaO・2NaO・5Al等のカルシウムナトリウムアルミネート;カルシウムリチウムアルミネート;アルミナセメント;さらにこれらにNa,K,Li、Ti、Fe、Mg、Cr、P、F、S等の微量元素(酸化物等含む。)が固溶した鉱物から選ばれる1種以上が挙げられる。
非晶質カルシウムアルミネートは、原料を溶融した後、急冷して製造するから、実質的に結晶構造を有せず、通常、そのガラス化率は80%以上であり、ガラス化率が高い程、早期強度発現性は高いため、ガラス化率は好ましくは90%以上である。
カルシウムアルミネートのCaO/Alのモル比は、好ましくは1.5~3.0、より好ましくは1.7~2.4である。該モル比が1.5以上で水硬性組成物の早期強度発現性が高く、3.0以下で水硬性組成物の耐熱性が高い。
また、カルシウムアルミネートと、任意の成分であるセメントおよび石膏等を含む結合材の合計を100質量%として、カルシウムアルミネートの含有率は、好ましくは50~100質量%である。該値が50質量%以上であれば、水硬性組成物の早期強度発現性と耐熱性が高い。なお、該値は、好ましくは60~100質量%、より好ましくは70~100質量%、さらに好ましくは80~95質量%である。
また、カルシウムアルミネートのブレーン比表面積は、充分な早期強度発現性を得るとともに粉塵の発生を抑制するために、好ましくは1000~6000cm/g、より好ましくは1500~5000cm/gである。なお、カルシウムアルミネートのブレーン比表面積は、付加製造装置での敷きならしが均一で、かつ、鋳型の強度が低下しないためには、さらに好ましくは1000~2500cm/g、特に好ましくは1500~2000cm/gである。
<セメント>
セメントは、JIS R 5210に準拠して測定した凝結(始発)が3時間30分以内であれば、鋳型Mの製造時から3時間後の早期の強度発現性が高いため好ましく、該凝結(始発)は1時間以内がより好ましい。
結合材中のセメントの含有率は、早期強度発現性の向上のため、結合材全体を100質量%として、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。
また、セメント中の珪酸カルシウムの含有率は、好ましくは25質量%以上である。該含有率が25質量%以上あれば、材齢1日以後の強度発現性が高く、また長期強度発現性が必要な場合、該含有率は、好ましくは45質量%以上である。
セメントは、速硬セメント、超速硬セメント、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント、エコセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、およびセメントクリンカー粉末から選ばれる1種以上が挙げられる。なお、セメントクリンカー粉末もセメントに含める。
これらの中でも、早期強度発現性が高いため、好ましくは、凝結(始発)が30分以内である速硬性セメント、超速硬セメント、または止水セメントである。なお、速硬性セメント等の市販品は、スーパージェットセメント(SJC:太平洋セメント社製)、ジェットセメント(住友大阪セメント社製)、ライオンシスイ(登録商標、住友大阪セメント社製)、またはデンカスーパーセメント(デンカ社製)が挙げられる。
<石膏>
石膏は結合材の任意の成分であり、無水石膏、半水石膏、および二水石膏から選ばれる1種以上が挙げられる。これらの中でも、半水石膏は早期強度発現性がより高いために好ましい。
結合材中の石膏の含有率は、強度の向上や、鋳物の製造時においてガスや黒鉛球状化不良を防止するため、結合材全体を100質量%として、好ましくは無水石膏換算で5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
また、前記石膏はセメント中に含まれる石膏でもよく、セメント中の石膏の含有率が無水石膏換算で5質量%以上含むような超速硬セメント(例えば、太平洋セメント社製スーパージェットセメント)は、カルシウムアルミネートと混合して結合材として用いること
で、より早期強度発現性が向上する。
<ポリマー>
水硬性組成物中のポリマーの含有割合は、水硬性組成物の強度をより高めるために、結合材100質量部に対し固形分換算で2~12質量部が好ましい。ポリマーの含有割合が2質量部未満では、強度の向上効果は低く、にじみが発生して寸法精度が劣る場合があり、また、12質量部を越えると、鋳型Mの収縮により、形状によっては変形やひび割れが生じ、また形状が複雑な鋳型が製造できない場合がある。なお、ポリマーの含有割合は、結合材100質量部に対し、より好ましくは3~12質量部、さらに好ましくは4~10質量部である。
前記ポリマーは、ポリマーの形態で示せば、JIS A 6203に規定するポリマーディスパージョンや再乳化粉末樹脂等であり、また、ポリマーの種類で示せば、ポリアクリル酸エステル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニルエステル共重合体、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニル・アクリル酸エステル3元共重合体、ポリビニルアルコール、マルトデキストリン、エポキシ樹脂、およびウレタン樹脂から選ばれる1種以上が挙げられる。
これらの中でも、早期強度発現性が得られるため、好ましくはポリビニルアルコール(ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物または完全ケン化物)であり、さらに好ましくはケン化度が85~90モル%のポリビニルアルコールである。
また、早期強度発現性が得られるため、好ましくポリビニルアルコールの平均粒径(メディアン径D50)は、高い強度が得られるため、好ましくは10~150μm、より好ましくは30~90μmである。したがって、ポリビニルアルコールは、結合材のいずれかまたは複数の結合材の原料と混合粉砕して、粒度調整すると、より細粒で均質に混合でき、早期強度発現性を高めることができる。
前記ポリマーは、粉体の状態で結合材や砂と混合して用いるか、または、後述の水に溶解して用いてもよい。
<砂>
砂は、耐火砂であれば、特に制限されず、珪砂、オリビン砂、ジルコン砂、クロマイト砂、アルミナ砂、および人工砂等から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、砂の配合量は、前記結合材100質量部に対し、好ましくは100~1200質量部である。該値が該範囲であれば、耐火性と強度発現性を確保できる。砂の配合量は、前記結合材100質量部に対し、1200質量部以下では硬化部分の通気性が悪いので本発明の効果がより発揮される。なお、該配合量は、前記結合材100質量部に対し、より好ましくは150~1000質量部、さらに好ましくは200~800質量部である。
<硬化促進剤>
水硬性組成物は、強度発現性を向上させるため、さらに任意成分として硬化促進剤を含むことができる。該硬化促進剤は、炭酸アルカリ金属塩、乳酸アルカリ金属塩、乳酸アルカリ土類金属塩、およびケイ酸アルカリ金属塩から選ばれる1種以上である。これらの硬化促進剤は、ポリマーの含有割合が、結合材100質量部に対し2~6質量部である水硬性組成物において強度発現性の向上効果が高い。また、これらの硬化促進剤は、後述の養生温度が10~40℃と低い場合において、強度発現性の向上効果が高い。
そして、(i)前記炭酸アルカリ金属塩は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、および炭酸リチウムから選ばれる1種以上が挙げられる。また、(ii)前記乳酸アルカリ金属塩は、
乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、および乳酸リチウムから選ばれる1種以上が挙げられる。(iii)前記乳酸アルカリ土類金属塩は、乳酸カルシウム、および乳酸マグネシウムから選ばれる1種以上が挙げられる。また、(vi)前記ケイ酸アルカリ金属塩は、ケイ酸ナト
リウム、ケイ酸カリウム、およびケイ酸リチウムから選ばれる1種以上が挙げられる。
前記硬化促進剤の含有割合は、結合材100質量部に対し、好ましくは3~10質量部である。硬化促進剤の含有割合が該範囲内であれば、迅速な造形のための早期強度発現性と取扱い可能な強度を確保できる。なお、硬化促進剤の含有割合は、結合材100質量部
に対し、より好ましくは4~9質量部、さらに好ましくは5~8質量部である。硬化促進剤は、予め水硬性組成物に混合するほか、付加製造装置から供給される水に溶解して用いることもできる。
<その他>
造形後に残った水硬性組成物の未硬化の粉末を、鋳型Mから除去する作業(デパウダー)を容易にするために、水硬性組成物は、さらに、結合材の合計100質量部に対し、任意の成分として疎水性フュームドシリカを0.1~2質量部、より好ましくは0.5~1.5質量部含むことができる。ここで、疎水性フュームドシリカとは、フュームドシリカの表面をシランまたはシロキサンで処理して、表面を疎水性にしたシリカ粉末である。
また、水硬性組成物の粉末の除去効率をより高めるため、疎水性フュームドシリカのBET比表面積は、好ましくは30~300m/gである。疎水性フュームドシリカのBET比表面積が該範囲内であれば、粉体の流動性が向上し、付加製造装置で敷きならした面が平坦で、かつ強度が低下することなく鋳型Mを軽量化できる。また、鋳型Mの透気性が向上するため鋳物の製造時にガスが発生しても欠陥が生じ難い。また、疎水性フュームドシリカは、粉体の固結の防止や混合性の向上に有効である。
なお、水硬性組成物は、さらに、強度発現性の調整材等として、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカフューム、珪石微粉末、および石灰石粉末等の任意の成分を含んでもよい。
<鋳型Mの作製方法>
該型作製方法では、付加製造装置と本発明に用いられる水硬性組成物を用いて、鋳型Mが作製される。付加製造装置は特に限定されず、粉末積層型付加製造装置等の市販品が使用できる。また、水硬性組成物は、前記の成分を市販の混合機または手作業で混合して調製する。なお、結合材として複数の材料を用いる場合、結合材を予め市販の混合機や手作業で混合したり、粉砕機で混合粉砕してもよい。
また、結合剤として、水を用いることができる。前記水は、通常の上水道や井戸水等を用いることができる。前記水硬性組成物は、セメントとポリマーとの合計100質量部に対し、好ましくは、水を28~130質量部、および砂を含む組成物である。水の配合割合が該範囲であれば、強度発現性を確保できる。また、該値が28質量部以上ではガスの発生量が多くなるので本発明の効果がより発揮される。なお、水の配合割合は、鋳型Mの強度と寸法精度をより高める観点から、好ましくは30~120質量部、より好ましくは32~105質量部である。なお、水は、必要とされる各種の機能を付与するため、増粘剤、潤滑剤、流動化剤、界面活性剤、および表面張力低減剤から選ばれる1種以上を混合して用いてもよい。
鋳型Mの養生方法は、気中養生単独、気中養生した後に続けて水中養生する方法、または、表面含浸剤養生等がある。これらの中でも、早期の強度発現と鋳物の製造時に発生する水蒸気の抑制の点から、気中養生単独が好ましい。また、カルシウムアルミネート、セメント、およびポリマーによる強度増進の点から、気中養生の温度は、好ましくは10~100℃、より好ましくは30~80℃である。また、気中養生の相対湿度は、充分な強度発現と生産効率の点から、好ましくは10~90%、より好ましくは15~80%、さらに好ましくは20~60%である。さらに、気中養生時間は、充分な強度発現と生産効率の点から、好ましくは1時間~1週間、より好ましくは2時間~5日間、さらに好ましくは3時間~4日間である。
次に、鋳型Mおよび型作製方法の効果を説明する。
上記したとおり、鋳型M1~10は、セメントや石膏、石灰などの水硬性組成物からなる粉体材料5が固化したものであり、特に、鋳型M1,2,3,6は、外郭部14の内側に、ほぼ長方形の空隙である注湯空間13を有し、この注湯空間13を形成する側壁部15の厚みが、外郭部14よりも薄く形成されている。この構成により、ガス等が、側壁部15を透過し易く、排気され易い。また、ガス等が発生する媒体となる側壁部15そのものが薄いのであれば、発生するガス等の量も抑えられる。したがって、優れた通気性を有し、かつ、ガス等の発生を抑え、欠陥のない美麗な鋳肌を有する鋳物を鋳造することができる。
また、薄くなることで鋳型M1,2,3,6の強度が低下したとしても、側壁部15の厚みが、例えば2ミリメートル程度であれば、溶融体の注入に対する最低限度の強度を維持することができる。
鋳型M1,2,3,6の側壁部15は、注湯空間13に対して反対側である外側に、リブ17が突出している。すなわち、リブ17を有することで、鋳型M1,2,3,6の強度を維持することができ、取扱い時に損傷することがない。
鋳型M2,3,6は、側壁部15の外側に、排気空間18を開けて対面壁部16を有している。すなわち、対面壁部16を有することで、鋳型M2,3,6の強度を維持することができる。また、排気空間18を有しているため、ガス等が、薄い側壁部15を透過して排気空間18に収容される。したがって、優れた通気性を有し、欠陥のない美麗な鋳肌を有する鋳物を鋳造することができる。また、鋳型Mの対面壁部16は、側壁部15よりも厚く形成されている。したがって、鋳型Mの強度を維持することができる。また、対面壁部16の厚みが、例えば3ミリメートル以上であれば、鋳型の強度を維持することができる。また、側壁部15と対面壁部16との間に、未硬化の粉体材料5が充填されたままであれば、溶融体の注入や外力による圧力に対して、より強固となる。
鋳型M4,6は、注湯空間13から離れる方向に伸びて外気に通じる直線状の孔である通気部19aを有している。すなわち、通気部19aを介してガス等が排気され易い。したがって、優れた通気性を有し、欠陥のない美麗な鋳肌を有する鋳物を鋳造することができる。鋳物の作製において、通気部19aに固化していない粉体材料5が残存していたとしても、通気部19aが、例えば0.2から2ミリメートル程度であれば、粉体材料5は、通気部19aに詰まったままであり、こぼれることがない。仮に、粉体材料5が通気部19aからこぼれ、通気部19aが中空となって注湯空間13と通じた場合であっても、鋳造において、溶融体は、表面張力によって、注湯空間13から通気部19aに流れることがない。
鋳型Mは、対面壁部16が、注湯空間13から離れる方向に伸びる通気部19aを有している。すなわち、ガス等が、側壁部15を透過して注湯空間13に収容され、さらに、対面壁部16から通気部19aを介してガス等が排気され易い。したがって、優れた通気性を有し、欠陥のない美麗な鋳肌を有する鋳物を鋳造することができる。
鋳型Mの外郭部14は、湾曲した通気部19bを有している。すなわち、湾曲した通気部19bは、直線状の通気部19aと比較して、固化せずに詰まった粉体材料5がこぼれ難いため、通気部19bの径を大きく採ることができる。径が大きければ、ガス等が排気され易い。また、鋳型Mの外郭部14は、終端部において閉塞している通気部19cを有しているため、固化せず詰まった粉体材料5がこぼれることがない。また、鋳型Mでは、複数の通気部19bまたは19c同士が、一部において繋がっており、繋がった通気部19b、cは、単一である場合と比較して、距離が長く、体積が多いため、ガス等が排気され易い。
中子として用いられる鋳型M7、8の側壁部15は、注湯空間13に対して反対側である内側にリブ17が突出し、側壁部15の内側に、排気空間18を開けて対面壁部16を有しているため、強度を維持することができ、取扱い時に損傷することがない。特に、鋳型Mの対面壁部16は、内側に空隙のない球体であるため、より堅固である。また、鋳型M7、8は、側壁部15と対面壁部16との間に、排気空間18が形成されているため、ガス等が、薄い側壁部15を透過して排気空間18に収容される。したがって、優れた通気性を有し、欠陥のない美麗な鋳肌を有する鋳物を鋳造することができる。
型作製方法であれば、上記した鋳型M1~10を作製することができる。したがって、優れた通気性を有し、欠陥のない美麗な鋳肌を有する鋳物を鋳造することができる。型作製方法は、3Dプリンター1によって作成されるため、このような複雑で精密な形状や、薄い鋳型M1~10を作製することができる。
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。そして本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。
1 3Dプリンター(三次元造形装置)
2 基準面
3 ステージ
4 材料載置部
5 粉体材料
6 リコーター
7 プリンタヘッド
8 ガイド部
9 昇降機構
13 注湯空間
14 外郭部
15 側壁部
16 対面壁部
17 リブ
18 排気空間
19a~c 通気部
M,M1~10 鋳型(型)

Claims (6)

  1. 鋳造に用いられる鋳型であって、
    当該鋳型が、セメントを有する水硬性組成物からなる粉体材料が固化したものであり、
    鋳物となる溶融体が注入される注湯空間を形成する単一層の側壁部を有し、
    鋳造において発生するガスを透過させるために前記側壁部の厚みが2から15ミリメートルである、
    ことを特徴とする鋳型。
  2. 前記側壁部から突出したリブを有し、
    前記リブが、ハニカム構造である、
    ことを特徴とする請求項1に記載された鋳型。
  3. 前記側壁部と間を空けて対面した対面壁部を有し、前記側壁部及び前記対面壁部にガスを排気するための孔である通気部が形成されていない
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載された鋳型。
  4. 前記対面壁部が前記側壁部よりも厚い、
    ことを特徴とする請求項3に記載された鋳型。
  5. 前記対面壁部の厚みが、3から15ミリメートルである
    ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載された鋳型。
  6. 型を作製するためのステージを、基準面に対して相対的に低い位置に移動させる昇降手順と、一方側から前記ステージを渡って他方側に移動するリコーターによって、一方側にある粉体材料を、前記基準面から前記ステージに移動させて均す材料充填手順と、前記ステージの前記粉体材料にプリンタヘッドから結合剤を吹き付けることで前記粉体材料を固化させる造形手順と、を含み、前記昇降手順、前記材料充填手順、前記造形手順を繰り返すことで、鋳物の鋳造に用いる型を作製する型作製方法であって、
    前記粉体材料が、セメントを有する水硬性組成物からなり、
    前記型において、鋳物となる溶融体が注入される注湯空間を形成する単一層である側壁部の厚みを、鋳造において発生するガスを透過させるために2から15ミリメートルに形成する、
    ことを特徴とする型作製方法
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