JP7358055B2 - 鋳型および型作製方法 - Google Patents
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Description
[2]前記カルシウムアルミネートが非晶質カルシウムアルミネートである、前記[1]に記載の水硬性組成物。
[3]前記ポリマーがポリビニルアルコールである、前記[1]または[2]に記載の水硬性組成物。
[4]前記ポリビニルアルコールのケン化度が80~90モル%である、前記[3]に記載の水硬性組成物。
[5]前記ポリビニルアルコールの平均粒径が、150μm以下である、前記[3]または[4]に記載の水硬性組成物。
[6]前記結合材が、結合材全体を100質量%として、JIS R 5210に準拠して測定した凝結(始発)が30分以内であるセメントを、0~20質量%含む、前記[1]~[5]のいずれかに記載の水硬性組成物。
[7]前記結合材が、結合材全体を100質量%として、石膏を無水石膏換算で0~5質量%含む、前記[1]~[6]のいずれかに記載の水硬性組成物。
該カルシウムアルミネートは、3CaO・Al2O3、2CaO・Al2O3、12CaO・7Al2O3、5CaO・3Al2O3、CaO・Al2O3、3CaO・5Al2O3、またはCaO・2Al2O3等のカルシウムアルミネート;カルシウムアルミネートにハロゲンが固溶または置換した3CaO・3Al2O3・CaF2、および11CaO・7Al2O3・CaF2等のカルシウムフロロアルミネートを含むカルシウムハロアルミネート;8CaO・Na2O・3Al2O3、および3CaO・2Na2O・5Al2O3等のカルシウムナトリウムアルミネート;カルシウムリチウムアルミネート;アルミナセメント;さらにこれらにNa,K,Li、Ti、Fe、Mg、Cr、P、F、S等の微量元素(酸化物等含む。)が固溶した鉱物から選ばれる1種以上が挙げられる。
非晶質カルシウムアルミネートは、原料を溶融した後、急冷して製造するから、実質的に結晶構造を有せず、通常、そのガラス化率は80%以上であり、ガラス化率が高い程、早期強度発現性は高いため、ガラス化率は好ましくは90%以上である。
カルシウムアルミネートのCaO/Al2O3のモル比は、好ましくは1.5~3.0、より好ましくは1.7~2.4である。該モル比が1.5以上で水硬性組成物の早期強度発現性が高く、3.0以下で水硬性組成物の耐熱性が高い。
また、カルシウムアルミネートと、任意の成分であるセメントおよび石膏等を含む結合材の合計を100質量%として、カルシウムアルミネートの含有率は、好ましくは50~100質量%である。該値が50質量%以上であれば、水硬性組成物の早期強度発現性と耐熱性が高い。なお、該値は、好ましくは60~100質量%、より好ましくは70~100質量%、さらに好ましくは80~95質量%である。
また、カルシウムアルミネートのブレーン比表面積は、充分な早期強度発現性を得るとともに粉塵の発生を抑制するために、好ましくは1000~6000cm2/g、より好ましくは1500~5000cm2/gである。なお、カルシウムアルミネートのブレーン比表面積は、付加製造装置での敷きならしが均一で、かつ、鋳型の強度が低下しないためには、さらに好ましくは1000~2500cm2/g、特に好ましくは1500~2000cm2/gである。
セメントは、JIS R 5210に準拠して測定した凝結(始発)が3時間30分以内であれば、鋳型Mの製造時から3時間後の早期の強度発現性が高いため好ましく、該凝結(始発)は1時間以内がより好ましい。
結合材中のセメントの含有率は、早期強度発現性の向上のため、結合材全体を100質量%として、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。
また、セメント中の珪酸カルシウムの含有率は、好ましくは25質量%以上である。該含有率が25質量%以上あれば、材齢1日以後の強度発現性が高く、また長期強度発現性が必要な場合、該含有率は、好ましくは45質量%以上である。
セメントは、速硬セメント、超速硬セメント、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント、エコセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、およびセメントクリンカー粉末から選ばれる1種以上が挙げられる。なお、セメントクリンカー粉末もセメントに含める。
これらの中でも、早期強度発現性が高いため、好ましくは、凝結(始発)が30分以内である速硬性セメント、超速硬セメント、または止水セメントである。なお、速硬性セメント等の市販品は、スーパージェットセメント(SJC:太平洋セメント社製)、ジェットセメント(住友大阪セメント社製)、ライオンシスイ(登録商標、住友大阪セメント社製)、またはデンカスーパーセメント(デンカ社製)が挙げられる。
石膏は結合材の任意の成分であり、無水石膏、半水石膏、および二水石膏から選ばれる1種以上が挙げられる。これらの中でも、半水石膏は早期強度発現性がより高いために好ましい。
結合材中の石膏の含有率は、強度の向上や、鋳物の製造時においてガスや黒鉛球状化不良を防止するため、結合材全体を100質量%として、好ましくは無水石膏換算で5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
で、より早期強度発現性が向上する。
水硬性組成物中のポリマーの含有割合は、水硬性組成物の強度をより高めるために、結合材100質量部に対し固形分換算で2~12質量部が好ましい。ポリマーの含有割合が2質量部未満では、強度の向上効果は低く、にじみが発生して寸法精度が劣る場合があり、また、12質量部を越えると、鋳型Mの収縮により、形状によっては変形やひび割れが生じ、また形状が複雑な鋳型が製造できない場合がある。なお、ポリマーの含有割合は、結合材100質量部に対し、より好ましくは3~12質量部、さらに好ましくは4~10質量部である。
前記ポリマーは、ポリマーの形態で示せば、JIS A 6203に規定するポリマーディスパージョンや再乳化粉末樹脂等であり、また、ポリマーの種類で示せば、ポリアクリル酸エステル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニルエステル共重合体、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニル・アクリル酸エステル3元共重合体、ポリビニルアルコール、マルトデキストリン、エポキシ樹脂、およびウレタン樹脂から選ばれる1種以上が挙げられる。
これらの中でも、早期強度発現性が得られるため、好ましくはポリビニルアルコール(ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物または完全ケン化物)であり、さらに好ましくはケン化度が85~90モル%のポリビニルアルコールである。
また、早期強度発現性が得られるため、好ましくポリビニルアルコールの平均粒径(メディアン径D50)は、高い強度が得られるため、好ましくは10~150μm、より好ましくは30~90μmである。したがって、ポリビニルアルコールは、結合材のいずれかまたは複数の結合材の原料と混合粉砕して、粒度調整すると、より細粒で均質に混合でき、早期強度発現性を高めることができる。
前記ポリマーは、粉体の状態で結合材や砂と混合して用いるか、または、後述の水に溶解して用いてもよい。
砂は、耐火砂であれば、特に制限されず、珪砂、オリビン砂、ジルコン砂、クロマイト砂、アルミナ砂、および人工砂等から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、砂の配合量は、前記結合材100質量部に対し、好ましくは100~1200質量部である。該値が該範囲であれば、耐火性と強度発現性を確保できる。砂の配合量は、前記結合材100質量部に対し、1200質量部以下では硬化部分の通気性が悪いので本発明の効果がより発揮される。なお、該配合量は、前記結合材100質量部に対し、より好ましくは150~1000質量部、さらに好ましくは200~800質量部である。
水硬性組成物は、強度発現性を向上させるため、さらに任意成分として硬化促進剤を含むことができる。該硬化促進剤は、炭酸アルカリ金属塩、乳酸アルカリ金属塩、乳酸アルカリ土類金属塩、およびケイ酸アルカリ金属塩から選ばれる1種以上である。これらの硬化促進剤は、ポリマーの含有割合が、結合材100質量部に対し2~6質量部である水硬性組成物において強度発現性の向上効果が高い。また、これらの硬化促進剤は、後述の養生温度が10~40℃と低い場合において、強度発現性の向上効果が高い。
そして、(i)前記炭酸アルカリ金属塩は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、および炭酸リチウムから選ばれる1種以上が挙げられる。また、(ii)前記乳酸アルカリ金属塩は、
乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、および乳酸リチウムから選ばれる1種以上が挙げられる。(iii)前記乳酸アルカリ土類金属塩は、乳酸カルシウム、および乳酸マグネシウムから選ばれる1種以上が挙げられる。また、(vi)前記ケイ酸アルカリ金属塩は、ケイ酸ナト
リウム、ケイ酸カリウム、およびケイ酸リチウムから選ばれる1種以上が挙げられる。
前記硬化促進剤の含有割合は、結合材100質量部に対し、好ましくは3~10質量部である。硬化促進剤の含有割合が該範囲内であれば、迅速な造形のための早期強度発現性と取扱い可能な強度を確保できる。なお、硬化促進剤の含有割合は、結合材100質量部
に対し、より好ましくは4~9質量部、さらに好ましくは5~8質量部である。硬化促進剤は、予め水硬性組成物に混合するほか、付加製造装置から供給される水に溶解して用いることもできる。
造形後に残った水硬性組成物の未硬化の粉末を、鋳型Mから除去する作業(デパウダー)を容易にするために、水硬性組成物は、さらに、結合材の合計100質量部に対し、任意の成分として疎水性フュームドシリカを0.1~2質量部、より好ましくは0.5~1.5質量部含むことができる。ここで、疎水性フュームドシリカとは、フュームドシリカの表面をシランまたはシロキサンで処理して、表面を疎水性にしたシリカ粉末である。
また、水硬性組成物の粉末の除去効率をより高めるため、疎水性フュームドシリカのBET比表面積は、好ましくは30~300m2/gである。疎水性フュームドシリカのBET比表面積が該範囲内であれば、粉体の流動性が向上し、付加製造装置で敷きならした面が平坦で、かつ強度が低下することなく鋳型Mを軽量化できる。また、鋳型Mの透気性が向上するため鋳物の製造時にガスが発生しても欠陥が生じ難い。また、疎水性フュームドシリカは、粉体の固結の防止や混合性の向上に有効である。
該型作製方法では、付加製造装置と本発明に用いられる水硬性組成物を用いて、鋳型Mが作製される。付加製造装置は特に限定されず、粉末積層型付加製造装置等の市販品が使用できる。また、水硬性組成物は、前記の成分を市販の混合機または手作業で混合して調製する。なお、結合材として複数の材料を用いる場合、結合材を予め市販の混合機や手作業で混合したり、粉砕機で混合粉砕してもよい。
また、結合剤として、水を用いることができる。前記水は、通常の上水道や井戸水等を用いることができる。前記水硬性組成物は、セメントとポリマーとの合計100質量部に対し、好ましくは、水を28~130質量部、および砂を含む組成物である。水の配合割合が該範囲であれば、強度発現性を確保できる。また、該値が28質量部以上ではガスの発生量が多くなるので本発明の効果がより発揮される。なお、水の配合割合は、鋳型Mの強度と寸法精度をより高める観点から、好ましくは30~120質量部、より好ましくは32~105質量部である。なお、水は、必要とされる各種の機能を付与するため、増粘剤、潤滑剤、流動化剤、界面活性剤、および表面張力低減剤から選ばれる1種以上を混合して用いてもよい。
2 基準面
3 ステージ
4 材料載置部
5 粉体材料
6 リコーター
7 プリンタヘッド
8 ガイド部
9 昇降機構
13 注湯空間
14 外郭部
15 側壁部
16 対面壁部
17 リブ
18 排気空間
19a~c 通気部
M,M1~10 鋳型(型)
Claims (6)
- 鋳造に用いられる鋳型であって、
当該鋳型が、セメントを有する水硬性組成物からなる粉体材料が固化したものであり、
鋳物となる溶融体が注入される注湯空間を形成する単一層の側壁部を有し、
鋳造において発生するガスを透過させるために前記側壁部の厚みが2から15ミリメートルである、
ことを特徴とする鋳型。 - 前記側壁部から突出したリブを有し、
前記リブが、ハニカム構造である、
ことを特徴とする請求項1に記載された鋳型。 - 前記側壁部と間を空けて対面した対面壁部を有し、前記側壁部及び前記対面壁部にガスを排気するための孔である通気部が形成されていない、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載された鋳型。 - 前記対面壁部が前記側壁部よりも厚い、
ことを特徴とする請求項3に記載された鋳型。 - 前記対面壁部の厚みが、3から15ミリメートルである、
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載された鋳型。 - 型を作製するためのステージを、基準面に対して相対的に低い位置に移動させる昇降手順と、一方側から前記ステージを渡って他方側に移動するリコーターによって、一方側にある粉体材料を、前記基準面から前記ステージに移動させて均す材料充填手順と、前記ステージの前記粉体材料にプリンタヘッドから結合剤を吹き付けることで前記粉体材料を固化させる造形手順と、を含み、前記昇降手順、前記材料充填手順、前記造形手順を繰り返すことで、鋳物の鋳造に用いる型を作製する型作製方法であって、
前記粉体材料が、セメントを有する水硬性組成物からなり、
前記型において、鋳物となる溶融体が注入される注湯空間を形成する単一層である側壁部の厚みを、鋳造において発生するガスを透過させるために2から15ミリメートルに形成する、
ことを特徴とする型作製方法。
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