JP4553271B1 - 鋳造方法及び網状消失模型 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の鋳造方法では、網状消失模型15を砂型20に埋設してその一部を砂型20のキャビティ20Z内に露出させておき、砂型20内に溶湯を鋳込む。これにより、網状消失模型15に代わってその埋設領域で成形される網状鋳物壁(格子壁12)をキャビティ20Zで成形される通常鋳物壁(角筒型本体部11)に一体に備えた鋳物製品(例えば、イケール10)が見映え良く鋳造される。
【選択図】図11
Description
請求項1の鋳造方法によれば、砂型に埋設した網状消失模型の一部を砂型のキャビティ内に露出させておき、砂型内に鋳込んだ溶湯により、網状消失模型に代わってその埋設領域で網状鋳物壁が成形されるので、砂型同士の接合面が網状鋳物壁上に位置することがなくなる。これにより、通常鋳物壁で包囲された網状鋳物壁を有する鋳物製品のバリの発生を抑えかつ見映え良く鋳造することが可能になる。また、砂型のうち網状消失模型の埋設位置を変更するだけで、鋳物製品における網状鋳物壁の配置を変更することができるので、従来の鋳造方法とは異なり、網状鋳物壁の配置に拘わらず、砂型を簡素な構造にすることができる。これにより、容易に砂型の組み付け作業を行うことが可能になると共に、従来の板状の鋳物壁を網状鋳物壁に変更して軽量化を図ることが可能になる。
請求項2の鋳造方法によれば、網状消失模型を消失模型用塗型剤で被うので、網状鋳物壁の表面の見映えを良くすることができる。そして、網目構成壁のうち砂型製作型の模型嵌合用凹部に嵌合される端部は、マスキングテープで被われて消失模型用塗型剤が塗布されないので、砂型製作型に対する網状消失模型の位置決め精度を高くすることができ、鋳物製品の形状品質を向上させることができる。
請求項3の鋳造方法によれば、チップマウンター、工作機械を含む可動装置の支持ベース又は、イケールの一部を網状鋳物壁に代えて、チップマウンター等の支持ベース又はイケールの軽量化を図ることが可能になる。
請求項4の鋳造方法によれば、通常鋳物壁を複数の網板状鋳物壁で補強した鋳物製品を鋳造することができる。
請求項5の鋳造方法によれば、網状消失模型を砂型の上端側に偏在させて砂型内に溶湯を鋳込むので、網状消失模型が消失する際のガスを上方に逃がして、鋳物製品における残渣の発生を抑えることができる。
請求項6の鋳造方法では、網目構成壁の断面形状を略I字形状にすることで強度を落とさずに軽量化を図ることができる。
請求項7の鋳造方法によれば、通常鋳物壁からリブ状に突出した網状鋳物壁を有する鋳物製品を、バリの発生を抑えて見映え良く鋳造することができる。
請求項8の鋳造方法では、網状消失模型における網目構成壁の断面を略T字形状にすることで強度を落とさずに軽量化を図ることができる。
請求項9の網状消失模型を使用することで、上記した請求項1乃至8の鋳造方法を行うことができ、網状鋳物壁を有した鋳物製品のバリの発生を抑えかつ見映え良く鋳造することが可能になる。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図12に基づいて説明する。図1には、本発明に係る鋳造方法で鋳造されたイケール10が示されている。このイケール10は、角筒形本体部11の一端開口を格子壁12で塞いだ構造をなしている。その格子壁12は、本発明に係る「網状鋳物壁」に相当し、複数の帯板状の網目構成壁13を格子状に直交させた構造になっている。
以下、前記第1実施形態とは異なるイケール10Vの鋳造方法に本発明を適用した第2実施形態を、図13〜図15に基づいて説明する。図13に示した本実施形態のイケール10Vは、角筒形本体部11の両端部と中央の3箇所に本発明に係る「網状鋳物壁」を備えた構造になっている。具体的には、角筒形本体部11の上端開口を閉塞するように本発明に係る「網状鋳物壁」としての第1ハニカム構造壁67を備えると共に、角筒形本体部11の下端開口を閉塞するように本発明に係る「網状鋳物壁」としての第2ハニカム構造壁69を備え、さらに、それら第1と第2のハニカム構造壁67,69の間の中央位置に本発明に係る「網状鋳物壁」としての湾曲網状構造壁68を備えている。そして、このイケール10Vを鋳造するために、第1ハニカム構造壁67に対応した第1ハニカム網状消失模型61(図14(A)参照)と、第2ハニカム構造壁69に対応した第2ハニカム網状消失模型63(図15参照)と、湾曲網状構造壁68に対応した湾曲網状消失模型62(図16参照)とを使用する。
以下、第1及び第2の実施形態とは異なるイケール10Wの鋳造方法に本発明を適用した第3実施形態を、図18〜図23に基づいて説明する。図18に示すように、本実施形態のイケール10Wは、角筒形本体部11の側壁11A(以下、「強化対象側壁11A」という)の内側面に本発明に係る「網状鋳物壁」としての強化格子壁91をリブ状に突出形成し、その強化対象側壁11Aの両側の側壁11B,11Bに強化格子壁91の両側部を接続した構造になっている。詳細には、強化格子壁91は、断面が略T字形状の複数の網目構成壁91Kを格子状に交差させた構造をなし、その略T字形状の縦辺91Xのうち横辺91Yから離れた側の端部が強化対象側壁11Aに接続されると共に、水平方向の延びた網目構成壁91K群の両端部が強化対象側壁11Aの両側の側壁11B,11Bに接続された構造になっている。
以下、チップマウンターの支持ベース70を、本発明に係る鋳造方法で鋳造する第4実施形態を、図24〜図26に基づいて説明する。図24に示すように、本実施形態のチップマウンターの支持ベース70は、帯板状をなして互いに平行に延びた1対のメイン側壁71,71における幅方向の一端側部同士の間を、3つの連絡壁72,73,74にて連絡する一方、メイン側壁71,71における幅方向の他端側部同士の間を板状連絡壁78にて連絡した構造になっている。3つの連絡壁72,73,74は、メイン側壁71,71の長手方向のおける両端部と中央部とに配置されている。そして、メイン側壁71の長手方向の一端側で1対のメイン側壁71,71と1対の連絡壁72,73とによって四方を囲まれた領域にハニカム構造壁75が設けられると共に、メイン側壁71の長手方向の他端側で1対のメイン側壁71,71と1対の連絡壁73,74とによって四方を囲まれた領域にもハニカム構造壁76が設けられている。これらハニカム構造壁75,76は、前記第2実施形態で説明した第2ハニカム構造壁69(図13参照)と同じハニカム構造になっている。
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
11 角筒形本体部(通常鋳物壁)
12 格子壁(網状鋳物壁)
15,81A,81B,92 網状消失模型
16 網目構成壁
16T マスキングテープ
20,90 砂型
20Z,88 キャビティ
21 主型
22,22V,22W,80A,80B 中子
30 中子用砂型製作型
31 模型嵌合用凹部
40 主型用砂型製作型
61 第1ハニカム網状消失模型
62 湾曲網状消失模型
63 第2ハニカム網状消失模型
67 第1ハニカム構造壁
68 湾曲網状構造壁
69 第2ハニカム構造壁
75,76 ハニカム構造壁
91 強化格子壁(網状鋳物壁)
95A 格子形嵌合溝(模型嵌合用凹部)
95B T字形嵌合溝(模型嵌合用凹部)
Claims (9)
- 格子状及びハニカム状を含む網状に網目構成壁が交差した構造の網状消失模型を、砂を硬化剤で固めてなる砂型に埋設すると共に、前記網状消失模型の一部を前記砂型のキャビティ内に露出させておき、前記砂型内に鋳込んだ溶湯を前記キャビティと前記網状消失模型の埋設領域とに充填し、前記網状消失模型に代わってその埋設領域で成形される網状鋳物壁を前記キャビティで成形される通常鋳物壁に一体に備えた鋳物製品を鋳造する鋳造方法において、
前記砂型を成形する砂型製作型の内面に複数の模型嵌合用凹部を形成し、
前記網状消失模型の外縁に位置した前記網目構成壁の複数の端部を前記複数の模型嵌合用凹部に嵌合して前記砂型製作型に固定することで、その砂型製作型で成形された前記砂型の壁面から前記網目構成壁の複数の端部を突出させた状態とし、
前記砂型に砂型用塗型剤を塗布した後、前記網目構成壁の複数の端部を切断し、それら切断面を前記砂型の壁面と面一に配置しかつ前記キャビティ内に露出させて、前記網状鋳物壁を前記通常鋳物壁で包囲した状態に備えた鋳物製品を鋳造することを特徴とする鋳造方法。 - 前記網状消失模型の外縁に位置した前記網目構成壁の複数の端部をマスキングテープで覆ってから前記網状消失模型の表面全体に消失模型用塗型剤を塗布し、その消失模型用塗型剤を固化させてから前記マスキングテープを剥がした後、前記網目構成壁の複数の端部を前記複数の模型嵌合用凹部に嵌合して前記網状消失模型を前記砂型製作型に固定することを特徴とする請求項1に記載の鋳造方法。
- 前記砂型は、略直方体の箱形構造の主型とその内側に収容される略直方体状の中子とで構成され、チップマウンター、工作機械を含む可動装置の支持ベース又は、イケールを前記鋳物製品として鋳造するためのものであり、
前記中子に前記網状消失模型を埋設してその中子の4つの側面から前記網目構成壁の複数の端部を露出させておくと共に、前記中子の4つの側面に、前記主型の内面又は、他の前記中子の側面を隙間をあけて対向配置して前記キャビティを形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の鋳造方法。 - 複数の前記網状消失模型を平行に配置して前記略直方体状の中子に埋設しておくことを特徴とする請求項3に記載の鋳造方法。
- 前記網状消失模型を前記砂型の上端側に偏在させて前記砂型に溶湯を鋳込むことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載の鋳造方法。
- 前記網目構成壁の断面形状を略I字形状にしておくことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1の請求項に記載の鋳造方法。
- 前記網状消失模型のうち網目群が開口した一の面を前記キャビティ内に露出させておき、前記網状鋳物壁を前記通常鋳物壁からリブ状に突出させた前記鋳物製品を鋳造することを特徴とする請求項1に記載の鋳造方法。
- 前記網状消失模型のうち各網目を囲む網目構成壁の断面を略T字形状にしておき、前記略T字形状の縦辺のうち横辺から離れた側の端面を、前記キャビティ内に露出させることを特徴とする請求項7に記載の鋳造方法。
- 請求項1乃至8の何れか1の請求項に記載の鋳造方法に使用可能に構成されたことを特徴とする網状消失模型。
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