JP7102140B2 - 結合剤噴射式粉末積層成形装置用水硬性組成物、および鋳型の製造方法 - Google Patents

結合剤噴射式粉末積層成形装置用水硬性組成物、および鋳型の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、早期の強度発現性に優れた、付加製造装置(3Dプリンタ)用水硬性組成物と、該組成物を用いた鋳型の製造方法等に関する。
鋳造は、溶融した金属を鋳型に注入して鋳物を製造する伝統的な金属加工法である。この鋳造に用いる自硬性鋳型は、使用する結合材(結合材)に応じて有機系と無機系があり、このうち無機系は、主に水ガラス系とセメント系がある。ただし、セメント系自硬性鋳型は、鋳込み温度によっては、含まれる石膏が熱分解してガスが発生し、鋳物に欠陥が生じ、美観や機能が損なわれる。また、この鋳型の製造は、模型や木型の作製が前工程として必須であるが、この前工程には時間とコストがかかる。
そこで、鋳物の美観等が損なわれず、該前工程が不要な鋳型の製造手段が望まれる。
ところで、最近、付加製造装置が、迅速かつ精密な成形手段として注目されている。この付加製造装置のうち、例えば、粉末積層成形装置は、粉末を平面の上に敷き詰めた後、該粉末に水性バインダを噴射して固化した固化物を、垂直方向に順次積層して成形する装置である。この装置の特徴は、3次元CAD等で作成した立体成形のデータを多数の水平面に分割し、これらの水平面の形状を順次積層して、成形体を製造する点にある。
そこで、前記装置を用いて鋳型を製造できれば、前記の前工程は不要になり、作業時間とコストを削減できると期待される。
例えば、特許文献1には、粉末積層成形法に適した付加製造装置用水硬性組成物として、珪砂、オリビン砂、および人工砂等の耐火砂に、速硬セメントを15~50%配合して混練(混合)した材料に、水性バインダを加えて固化・積層して成形体を得る技術が開示されている。ここで、粉末積層成形法とは、積載台(台座)の上に置いた粉体材料の所定の範囲に、インクジェット等のノズルを通して成形液を滴下または噴霧して固化し、逐次、固化した層を積層して所望の形状を成形(成形)する方法である。
しかし、特許文献1に記載の材料を用いて付加製造装置により作製した成形体は、早期の強度発現性、特に曲げ強度が十分でないため欠損が生じ易く製品の安定供給が難しく、付加製造装置による成形技術の特徴である微細形状品の製造が困難な場合がある。
また、セメントは石膏を多く含むため、前記成形用材料前記成形用材料を鋳型として用いた場合、ガスの発生を抑制できないから、鋳物製品の美観への悪影響が懸念される。
特開2011-51010号公報
したがって、本発明は、結合材噴射方式付加製造装置に用いるための付加製造装置用水硬性組成物であって、これまでよりも高い強度発現性を有する付加製造装置用水硬性組成物等を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、カルシウムアルミネートと、砂の一部または全量を、セメントクリンカー細骨材で置き換えて混合した混合砂を含む水硬性組成物は、前記目的を達成できることを見い出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、下記の構成を有する付加製造装置用水硬性組成物等である。
[1]カルシウムアルミネート類を50~100質量%含む結合材と、セメントクリンカー細骨材を含むが砂を含まない、付加製造装置用水硬性組成物であって
記セメントクリンカー細骨材が、カルシウムアルミネート類と同一の化学組成を有する、結合剤噴射式粉末積層成形装置用水硬性組成物。
[2]結合材全体を100質量%として、さらに石膏を0~5質量%含む、前記[1]に記載の結合剤噴射式粉末積層成形装置用水硬性組成物。
[3]結合材全体を100質量%として、さらにJIS R 5210に準拠して測定した凝結(始発)が30分以内である速硬セメントを、0~20質量%含む、前記[1]または[2]に記載の結合剤噴射式粉末積層成形装置用水硬性組成物。
[4]前記カルシウムアルミネート類が非晶質カルシウムアルミネートである、前記[1]~[3]のいずれかに記載の結合剤噴射式粉末積層成形装置用水硬性組成物。
[5]前記結合材全体を100質量%として、ポリビニルアルコールを2~12質量%含む、前記[1]~[4]のいずれかに記載の結合剤噴射式粉末積層成形装置用水硬性組成物。
[6]結合剤噴射式粉末積層成形装置と前記[1]~[5]のいずれかに記載の結合剤噴射式粉末積層成形装置用水硬性組成物を用いて鋳型を成形する、鋳型の製造方法。
本発明の付加製造装置用水硬性組成物は、早期の強度発現性が高く、鋳型の製造に使用した場合でもガスの発生が抑制できるから、鋳物の美観に優れる。さらに、使用済みの成形体(鋳型等)は効率よくリサイクルできる。
本発明は、前記のとおり、カルシウムアルミネート類を50~100質量%含む結合材と、砂の50~100質量%をセメントクリンカー細骨材で置き換えて混合した混合砂を含む、付加製造装置用水硬性組成物(以下「水硬性組成物」と略記することもある。)等である。
以下、本発明について、説明の便宜上、カルシウムアルミネート類等の結合材、該結合材に砂と水を混合した水硬性組成物、鋳型の製造方法、および使用済み鋳型のリサイクル方法に分けて説明する。
1.結合材
前記結合材は、カルシウムアルミネート類を必須成分として含み、石膏、セメント、およびポリマー等を任意成分として含む結合材である。
次に、カルシウムアルミネート類、石膏、セメント、およびポリマー等に分けて詳細に説明する。
(1)カルシウムアルミネート類
前記カルシウムアルミネート類は、3CaO・Al、2CaO・Al、12CaO・7Al、5CaO・3Al、CaO・Al、3CaO・5Al、またはCaO・2Al等のカルシウムアルミネート;カルシウムアルミネートにハロゲンが固溶または置換した3CaO・3Al・CaF、および11CaO・7Al・CaF2等のカルシウムフロロアルミネートを含むカルシウムハロアルミネート;8CaO・NaO・3Al、および3CaO・2NaO・5Al等のカルシウムナトリウムアルミネート;カルシウムリチウムアルミネート;アルミナセメント;さらにこれらにNa,K,Li、Ti、Fe、Mg、Cr、P、F、S等の微量元素(酸化物等含む。)が固溶した鉱物から選ばれる1種以上が挙げられる。
これらの中でも、強度発現性が高いことから、カルシウムアルミネートが好ましく、特に、非晶質カルシウムアルミネートが好ましい。非晶質カルシウムアルミネートは、原料を溶融した後、急冷して製造するから、実質的に結晶構造を有せず、通常、そのガラス化率は80%以上であり、ガラス化率が高い程、早期強度発現性は高いため、ガラス化率は好ましくは90%以上である。
カルシウムアルミネート類のCaO/Alのモル比は、好ましくは1.5~3.0、より好ましくは1.7~2.4である。該モル比が1.5以上で水硬性組成物の早期強度発現性が高く、3.0以下で水硬性組成物の耐熱性が高い。
また、カルシウムアルミネート類のブレーン比表面積(JIS R 5201に規定する粉末度)は、充分な早期強度発現性を得るとともに粉塵の発生を抑制するために、好ましくは1000~6000cm/g、より好ましくは1500~5000cm/gである。
結合材中のカルシウムアルミネート類の含有率は、鋳物の製造時においてガスや黒鉛球状化不良を防止するため、好ましくは70~100質量%、より好ましくは85~95質量%である。また、該範囲であれば、後述のリサイクル時に化学組成を調整するために使用する新規材料(追加の材料)の使用量を減らすことができる。
(2)石膏
前記石膏は、任意成分であり、無水石膏、半水石膏、および二水石膏から選ばれる1種以上が挙げられる。これらの中でも、半水石膏は早期強度発現性がより高いために好ましい。石膏の含有率は、鋳物の製造時においてガスや黒鉛球状化不良を防止するため、結合材全体を100質量%として、好ましくは無水石膏換算で5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。また、該範囲であれば、リサイクル時に化学組成を調整するために使用する新規材料の使用量を減らすことができる。
使用済み鋳型のリサイクル方法が鋳型の焼成、または溶融工程を含む場合、石膏中の硫黄分は揮発すして、カルシウム成分が残るから、リサイクル時の化学組成の調整は、アルミニウム成分を添加するだけで、元の付加製造装置用水硬性組成物の化学組成に調整でき、また添加量も少なくて済むため、石膏の使用は好適である。
(3)セメント
前記セメントは、任意成分であり、速硬セメント、超速硬セメント、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント、エコセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、およびセメントクリンカー粉末から選ばれる1種以上が挙げられる。なお、本発明では、セメントクリンカー粉末もセメントに含める。これらの中でも、早期強度発現性が高いため、好ましくは、JIS R 5210に準拠して測定した凝結(始発)が3時間30分以内、より好ましくは1時間以内、さらに好ましくは30分以内である。凝結(始発)が30分以内のセメントは、超速硬セメント、または止水セメントと呼ばれ、市販品として、スーパージェットセメント(太平洋セメント社製)、ジェットセメント(住友大阪セメント社製)、ライオンシスイ(登録商標、住友大阪セメント社製)、またはデンカスーパーセメント(デンカ社製)が挙げられる。
セメントの含有率は、鋳物の製造時においてガスや黒鉛球状化不良を防止するため、結合材全体を100質量%として、好ましくは30質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは5~15質量%である。また、該範囲であれば、リサイクル時に化学組成を調整するために使用する新規材料の使用量を減らすことができる。
(4)ポリマー
前記ポリマーは、任意成分であり、ポリマーの含有率は、結合材全体を100質量%として2~12質量%である。ポリマーの含有率が2質量%未満では、早期強度発現が低く、成形体ににじみが発生して寸法精度が劣る場合があり、また、12質量%を越えると、形状によっては成形体の収縮により変形やひび割れが生じ、複雑な形状の鋳型が製造できない場合があるほか、鋳物を製造する際にガスが発生して鋳物にブローホール等の欠陥が生じたり、製造現場で異臭が生じる場合がある。なお、ポリマーの含有率は、結合材全体を100質量部%として、より好ましくは3~12質量%、さらに好ましくは4~10質量%である。
前記ポリマーは、ポリマーの形態で示せば、JIS A 6203に規定するポリマーディスパージョンや再乳化粉末樹脂等であり、また、ポリマーの種類で示せば、ポリアクリル酸エステル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニルエステル共重合体、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニル・アクリル酸エステル3元共重合体、ポリビニルアルコール、マルトデキストリン、エポキシ樹脂、およびウレタン樹脂から選ばれる1種以上が挙げられる。
これらの中でも、早期強度発現性が得られるため、好ましくはポリビニルアルコール(ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物または完全ケン化物)であり、さらに好ましくはケン化度が85~90モル%のポリビニルアルコールである。
また、前記ポリビニルアルコールの平均粒径(メディアン径、D50)は、高い強度が得られるため、好ましくは10~150μm、より好ましくは30~90μmである。また、ポリビニルアルコールは、結合材のいずれかの原料、または結合材の複数の原料との混合粉砕により粒度を調整すれば、より細粒で均質に混合でき、水硬性組成物の早期強度発現性が高まる。ポリビニルアルコールは粉体の状態で混合して結合材を調製する。
前記ポリマーは、粉体の状態で結合材や砂と混合して用いるか、または、後述の水に溶解して用いてもよい。
ポリマーは、鋳型に用いた場合、鋳物の製造時やリサイクルにおける焼成、または溶融時に、ポリマーは全て揮発するから、リサイクル時のポリマーに起因する化学組成の調整は不要になり、ポリマーの使用はとくに好適である。
(5)結合材中のその他の成分
前記結合材は、その他の成分(任意成分)として、さらに炭酸アルカリ金属塩、乳酸アルカリ金属塩、乳酸アルカリ土類金属塩、およびケイ酸アルカリ金属塩から選ばれる1種以上のルカリ系硬化促進剤を含むことができる。そして、
(i)前記炭酸アルカリ金属塩は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、および炭酸リチウム
から選ばれる1種以上が挙げられる。
(ii)前記乳酸アルカリ金属塩は、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、および乳酸リチウムから選ばれる1種以上が挙げられる。
(iii)前記乳酸アルカリ土類金属塩は、乳酸カルシウム、および乳酸マグネシウムから
選ばれる1種以上が挙げられる。
(iv)前記ケイ酸アルカリ金属塩は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、およびケイ酸リチウムから選ばれる1種以上が挙げられる。
アルカリ系硬化促進剤の含有率は、結合材全体を100質量%として、好ましくは1~10質量%である。該範囲にあれば、早期強度発現性はさらに向上し、また後述のリサイクルにおける化学組成の調整において、前記と同様に、化学組成を調整するための新規材料の使用量が減少する。なお、前記アルカリ系硬化促進剤の含有率は、結合材全体を100質量%として、より好ましくは2~8質量%、さらに好ましくは3~6質量%である。
前記アルカリ系硬化促進剤は、前もって付加製造装置用セメント組成物に含めるほか、付加製造装置から供給される水に溶解して用いることもできる。
2.水硬性組成物
前記水硬性組成物は、前記結合材と、砂の50~100質量%をセメントクリンカー細骨材で置き換えて混合した混合砂を含む組成物である。
また、前記水硬性組成物中の混合砂の含有割合は、結合材100質量部に対し、好ましくは100~600質量部である。該値が該範囲であれば、耐火性と強度発現性を確保できる。なお、混合砂の含有割合は、前記結合材100質量部に対し、好ましくは150~500質量部、より好ましくは200~400質量部である。
また、前記混合砂は、砂の50~100質量%をセメントクリンカー細骨材で置き換えて混合した混合砂である。次に、セメントクリンカー細骨材と砂について説明する。
(1)セメントクリンカー細骨材
該セメントクリンカー細骨材は、普通ポルトランドセメントクリンカー、早強ポルトランドセメントクリンカー、エコセメントクリンカー、アリナイトセメントクリンカー、アーウィンクリンカー、カルシウムフルオロアルミネートクリンカー、およびカルシウムアルミネート類のクリンカーから選ばれる1種以上が挙げられ、これらの中でも、強度の観点から、早強ポルトランドセメントクリンカー、アーウィンクリンカー、カルシウムフルオロアルミネートクリンカー、またはカルシウムアルミネート類のクリンカーが好ましく、さらにカルシウムアルミネート類のクリンカーが好ましく、非晶質のカルシウムアルミネート類のクリンカーが好ましい。
また、該セメントクリンカー細骨材の平均粒径(メディアン径、D50)は40~200μmである。該値が該範囲内にあれば、セメント組成物の強度発現性と砂としての強度は充分に高い。なお、該値は、より好ましくは50~180μm、さらに好ましくは60~150μmである。
また、前記混合砂中のセメントクリンカー細骨材の含有率は、セメントクリンカー細骨材と砂の合計を100質量%として、50~100質量%である。該値が該範囲内であれば、強度発現性が高い。また、該範囲であれば後述のリサイクルにおける組成調整において組成調整するための新規材料の使用量が低下する。なお、該値は、好ましくは70~100質量%、より好ましくは80~95質量%である。
リサイクルにおける焼成、または溶融時において、カルシウムアルミネート類のセメントクリンカー細骨材を用いた場合、その化学組成によってアルミニウム成分やカルシウム成分を補う必要がある。結合材に使用したカルシウムアルミネート類と同一の化学組成のカルシウムアルミネート類のセメントクリンカー細骨材を用いた場合、両者の化学組成は同一であるから、化学組成の調整は不要である。したがって、セメントクリンカー細骨材は、好ましくはカルシウムアルミネート類のセメントクリンカー細骨材、より好ましくは、結合材に使用するカルシウムアルミネート類と同一の化学組成のカルシウムアルミネート類のセメントクリンカー細骨材である。
(2)砂
前記砂は、耐火砂であれば、特に制限されず、珪砂、オリビン砂、ジルコン砂、クロマイト砂、アルミナ砂、および人工砂等から選ばれる1種以上が挙げられる。
(3)水硬性組成物中のその他の成分
さらに、水硬性組成物の粉末の除去効率をより高めるため、任意の成分として、結合材全体を100質量%として、疎水性フュームドシリカを0.1~2質量%、より好ましくは0.5~1.5質量%含むことができる。ここで、疎水性フュームドシリカとは、フュームドシリカの表面をシランまたはシロキサンで処理して、表面を疎水性にしたシリカ粉末である。
また、水硬性組成物の粉末の除去効率をより高めるため、疎水性フュームドシリカのBET比表面積は、好ましくは30~300m/gである。疎水性フュームドシリカのBET比表面積が該範囲内であれば、粉体の流動性が向上し、付加製造装置で敷きならした面が平坦で、かつ強度が低下することなく鋳型を軽量化できる。また、疎水性フュームドシリカは、粉体の固結の防止や混合性の向上に有効である。
なお、本発明の水硬性組成物は、さらに、強度発現性の調整材等として、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカフューム、珪石微粉末、および石灰石粉末等の任意の成分を含んでもよい。
3.鋳型の製造方法
該製造方法は、付加製造装置と本発明の水硬性組成物を用いて、鋳型を製造する方法である。付加製造装置は特に限定されず、粉末積層型付加製造装置等の市販品が使用できる。また、水を含まない水硬性組成物は、前記の成分を市販の混合機または手作業で混合して調製する。なお、結合材として複数の材料を用いる場合、結合材を予め市販の混合機や手作業で混合したり、粉砕機で混合粉砕してもよい。
また、前記水は、通常の上水道水や井戸水等を用いることができる。前記水硬性組成物は、結合材100質量部に対し、好ましくは、水を28~60質量部、および砂を含む組成物である。水の配合割合が該範囲であれば、強度発現性を確保できる。なお、水の配合割合は、鋳型の強度と寸法精度をより高める観点から、好ましくは30~55質量部、より好ましくは32~45質量部である。なお、水は、必要とされる各種の機能を付与するため、増粘剤、潤滑剤、流動化剤、界面活性剤、および表面張力低減剤から選ばれる1種以上を混合して用いてもよい。
鋳型の養生方法は、気中養生単独、気中養生した後に続けて水中養生する方法、または、表面含浸剤養生等がある。これらの中でも、早期の強度発現と鋳物の製造時に発生する水蒸気の抑制の点から、気中養生単独が好ましい。また、カルシウムアルミネート類、セメント、ポリマー、およびセメントクリンカー細骨材による強度増進の点から、気中養生の温度は、好ましくは10~100℃、より好ましくは30~80℃である。また、気中養生の相対湿度は、充分な強度発現と生産効率の点から、好ましくは10~90%、より好ましくは15~80%、さらに好ましくは20~60%である。さらに、気中養生時間は、充分な強度発現と生産効率の点から、好ましくは1時間~1週間、より好ましくは2時間~5日間、さらに好ましくは3時間~4日間である。
4.使用済み鋳型のリサイクル方法
鋳型を用いた鋳物の製造において、鋳物を取出した際に排出される使用済み鋳型は、粒度調整したとしても鋳型に再使用することはできず、廃棄物として処分される。しかし、本発明の付加製造装置用水硬性組成物を用いれば、使用済み鋳型は、再び、付加製造装置用水硬性組成物のカルシウムアルミネート類やセメントクリンカー細骨材として、容易にリサイクルできる。
前記鋳型に高温の鋳鉄などを流し込み鋳物を製造する際、鋳型中のポリマーや石膏の硫黄分が揮発して水硬性がなくなるため、通常、使用済み鋳型は廃棄される。本発明では、廃棄された使用済み鋳型を収集する。使用済み鋳型は、組成を調査し、再度目的とするカルシウムアルミネート類になるよう化学組成を調整する。リサイクルするカルシウムアルミネート類の化学組成が、元のカルシウムアルミネート類の化学組成と必ずしも一致する必要はない。
具体的には、カルシウムアルミネート類とポリマーからなる使用済み鋳型であれば化学組成の調整は不要となる場合がある。また、これに石膏を添加した付加製造装置用水硬性組成物から得られた使用済み鋳型も、元のカルシウムアルミネート類とCaO/Alのモル比が異なるだけなので、化学組成の調整が不要となる場合がある。しかし、硬化促進剤等や砂を用いた場合は組成調整を行う必要がある。化学組成を調整した原料は、1250℃以上の温度で焼成、または溶融する。溶融後は急冷して非晶質にしても良いし、徐冷して結晶化しても良い。得られた焼成物、または溶融物は、再度、所望の粒度に粉砕して、カルシウムアルミネート類やセメントクリンカー細骨材として、本発明の付加製造装置用水硬性組成物の原料に用いることができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
1.使用した材料
(1)カルシウムアルミネート類
非晶質のカルシウムアルミネート 試製品である。
CaO/Alのモル比は2.2、ガラス化率は95%以上、ブレーン比表面積は2040cm/gである。平均粒径(メディアン径、D50)は24μm、10%径(D10)は5μm、90%径(D90)は62μmである。なお、カルシウムアルミネート類および後記の砂の粒度は、エタノールを溶媒に用いて、マイクロトラック社製Microtrac MT3300EXIIを用いて測定した。
(2)石膏
半水石膏、試薬鹿1級で、関東化学社製である。
(3)砂
(i) 砂A:非晶質のカルシウムアルミネート 試製品である。
CaO/Alのモル比は2.2、ガラス化率は95%以上、カルシウムアルミネート類と同一の化学組成で粒径は異なり、平均粒径(メディアン径、D50)は65μm、10%径(D10)は14μm、90%径(D90)は184μmである。
(ii) 砂B:珪砂 商品名 東北珪砂8号 東北珪砂社製である。
平均粒径(メディアン径、D50)は110μm、10%径(D10)は63μm、90%径(D90)は160μmである。
(4)ポリマー
ポリビニルアルコール 品番 22-88S1(PVA217SS)、クラレ社製である。
ケン化度は87~89%、平均粒径(メディアン径、D50)は60μm、94μmより大きい粒子の含有率は29質量%、77μmより大きい粒子の含有率は47質量%、10%径(D10)は25μm、90%径(D90)は121μmである。
なお、ポリビニルアルコールの粒径は、シリコーンオイルを媒質に用いて、島津製作所製SALD-2000Jにより測定した。
(5)水
3質量%のグリセロール水溶液(ProJet660Pro用バインダー液)、スリーディシステム社製
2.水硬性組成物、および供試体の作製
前記のカルシウムアルミネート、石膏、ポリビニルアルコール、および砂を、表1に示す配合に従い混合して粉体混合物(水を含まない水硬性組成物)を作製した。
次に、該粉体混合物と、付加製造装置として結合剤噴射式粉末積層成形装置(商品名: ProJet660Pro スリーディシステム社製)を用いて、室温(20℃)、相対湿度60%の条件下で、結合剤噴射法により、断面の寸法が縦10mm、横16mm、および長さ80mmの成形体を作製した。さらに、該成形体は40℃、相対湿度30%の条件下で3時間、および24時間、気中養生して供試体を製造した。
なお、前記装置による成形体の製造では、粉体混合物の所定の位置を選択して、ノズルから粉体混合物の外部と内部に水を噴射して(装置の水量設定値、外部65%、内部90%、水/結合材比約30%)、粉体混合物を固化した。
Figure 0007102140000001
3.供試体の曲げ強度の測定
次に、前記供試体と、曲げ強度試験機(型番:MODEL-2257、アイコーエンジニアリング社製)を用いて3点曲げ試験を行い、前記供試体の曲げ強度を測定した。その結果を表1に示す。
表1に示すように、クリンカ細骨材を使用した実施例では比較例に比べて曲げ強度が増加していた。また、すべての実施例と同じ製造条件で作成した鋳型を用いたところ、鋳込み時にガスが発生せず、表面が平滑な鋳物が作製できた。

Claims (6)

  1. カルシウムアルミネート類を50~100質量%含む結合材と、セメントクリンカー細骨材を含むが砂を含まない、付加製造装置用水硬性組成物であって
    記セメントクリンカー細骨材が、カルシウムアルミネート類と同一の化学組成を有する、結合剤噴射式粉末積層成形装置用水硬性組成物。
  2. 結合材全体を100質量%として、さらに石膏を0~5質量%含む、請求項1に記載の結合剤噴射式粉末積層成形装置用水硬性組成物。
  3. 結合材全体を100質量%として、さらにJIS R 5210に準拠して測定した凝結(始発)が30分以内である速硬セメントを、0~20質量%含む、請求項1または2に記載の結合剤噴射式粉末積層成形装置用水硬性組成物。
  4. 前記カルシウムアルミネート類が非晶質カルシウムアルミネートである、請求項1~3のいずれか1項に記載の結合剤噴射式粉末積層成形装置用水硬性組成物。
  5. 前記結合材全体を100質量%として、ポリビニルアルコールを2~12質量%含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の結合剤噴射式粉末積層成形装置用水硬性組成物。
  6. 結合剤噴射式粉末積層成形装置と請求項1~5のいずれか1項に記載の結合剤噴射式粉末積層成形装置用水硬性組成物を用いて鋳型を成形する、鋳型の製造方法。
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