JP7061872B2 - 結合剤噴射式粉末積層成形装置用水硬性組成物、および鋳型の製造方法 - Google Patents

結合剤噴射式粉末積層成形装置用水硬性組成物、および鋳型の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、早期強度発現性に優れた、付加製造装置(3Dプリンタ)用水硬性組成物と、該組成物を用いた鋳型の製造方法、および使用済み鋳型のリサイクル方法に関する。
鋳造は、溶融した金属を鋳型に注入して鋳物を製造する伝統的な金属加工法である。この鋳造に用いる自硬性鋳型は、使用する粘結材(結合材)に応じて有機系と無機系があり、このうち無機系は、主に水ガラス系とセメント系がある。ただし、セメント系自硬性鋳型は、鋳込み温度によっては、含まれる石膏が熱分解してガスが発生し、鋳物に欠陥が生じ、美観や機能が損なわれる。また、この鋳型の製造は、模型や木型の作製が前工程として必須であるが、この前工程には時間とコストがかかる。
そこで、鋳物の美観等が損なわれず、該前工程が不要な鋳型の製造手段が望まれる。
ところで、最近、付加製造装置が、迅速かつ精密な成形手段として注目されている。この付加製造装置のうち、例えば、粉末積層成形装置は、粉末を平面の上に敷き詰めた後、該粉末に水性バインダを噴射して固化した固化物を、垂直方向に順次積層して成形する装置である。この装置の特徴は、3次元CAD等で作成した立体成形のデータを多数の水平面に分割し、これらの水平面の形状を順次積層して、成形体を製造する点にある。
そこで、前記装置を用いて鋳型を製造できれば、前記の前工程は不要になり、作業時間とコストを削減できると期待される。
例えば、特許文献1には、粉末積層成形法に適した付加製造装置用水硬性組成物として、珪砂、オリビン砂、および人工砂等の耐火砂に、速硬セメントを15~50%配合して混練(混合)した材料に、水性バインダを加えて固化・積層して成形体を得る技術が開示されている。ここで、粉末積層成形法とは、積載台(台座)の上に置いた粉体材料の所定の範囲に、インクジェット等のノズルを通して成形液を滴下または噴霧して固化し、逐次、固化した層を積層して所望の形状を成形する方法である。
しかし、特許文献1に記載の材料を用いて付加製造装置により作製した成形体は、早期強度発現性、特に曲げ強度が十分でないため欠損が生じ易く製品の安定供給が難しく、付加製造装置による成形技術の特徴である微細形状品の製造が困難な場合がある。
また、セメントは石膏を多く含むため、前記成形用材料を鋳型として用いた場合、ガスの発生を抑制できないから、鋳物製品の美観への悪影響が懸念される。さらに、鋳型等として使用された成形体は廃棄物として処分されるが、この使用済み成形体のリサイクルが望まれている。
特開2011-51010号公報
したがって、本発明は、早期の曲げ強度発現性に優れ、使用済み成形体を効率的にリサイクルできる付加製造装置用水硬性組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、カルシウムアルミネート類、砂、および水を含む水硬性組成物は、前記目的を達成できることを見い出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、下記の構成を有する付加製造装置用水硬性組成物等である。
なお、下記[5]および[6]に記載の無機結合材とは、下記カルシウムアルミネート類から選ばれる1種以上を必須成分として含み、さらに石膏とセメントを任意成分として含む結合材をいう。
[1]カルシウムアルミネート類、砂、および水を少なくとも含む、結合剤噴射式粉末積層成形装置用水硬性組成物であって、
前記砂がカルシウムアルミネート類のクリンカ砂であり、
前記カルシウムアルミネート類と、前記カルシウムアルミネート類のクリンカ砂の化学組成が同一である、結合剤噴射式粉末積層成形装置用水硬性組成物(ただし、前記結合剤噴射式粉末積層成形装置用水硬性組成物は、付加製造で使用済みの型材料をリサイクルした材料を含まない。)
[2]無機結合材全体を100質量%として、さらに石膏を、無水石膏換算で0~5質量%含む、前記[1]に記載の結合剤噴射式粉末積層成形装置用水硬性組成物。
[3]無機結合材全体を100質量%として、さらにJIS R 5210に準拠して測定した凝結(始発)が30分以内である速硬セメントを0~20質量%含む、前記[1]または[2]に記載の結合剤噴射式粉末積層成形装置用水硬性組成物。
[4]前記カルシウムアルミネート類が非晶質カルシウムアルミネートである、前記[1]~[]のいずれかに記載の結合剤噴射式粉末積層成形装置用水硬性組成物。
[5]結合剤噴射式粉末積層成形装置と、前記[1]~[]のいずれかに記載の結合剤噴射式粉末積層成形装置用水硬性組成物を用いて鋳型を成形する、鋳型の製造方法。
本発明の付加製造装置用水硬性組成物は、早期の強度発現性に優れ、使用済み鋳型も効率よくリサイクルできる。
本発明の付加製造装置用水硬性組成物(以下「水硬性組成物」と略記することもある。)は、前記のとおり、カルシウムアルミネート類、砂および水を少なくとも含む組成物である。以下、本発明について、説明の便宜上、カルシウムアルミネート類等の無機結合材、該無機結合材に任意成分としてポリマーを混合した複合結合材、該複合結合材に砂と水を混合した水硬性組成物、鋳型の製造方法、および、使用済み鋳型のリサイクル方法に分けて説明する。
1.無機結合材
前記無機結合材は、下記カルシウムアルミネート類から選ばれる1種以上を必須成分として含み、さらに石膏とセメントを任意成分として含む結合材である。
次に、カルシウムアルミネート類、石膏、およびセメント等に分けて詳細に説明する。
(1)カルシウムアルミネート類
前記カルシウムアルミネート類は、水硬性組成物の早期の強度発現性を高めるために使用する必須の成分であり、3CaO・Al、2CaO・Al、12CaO・7Al、5CaO・3Al、CaO・Al、3CaO・5Al、またはCaO・2Al等のカルシウムアルミネート;カルシウムアルミネートにハロゲンが固溶または置換した3CaO・3Al・CaF、および11CaO・7Al・CaF2等のカルシウムフロロアルミネートを含むカルシウムハロアルミネート;8CaO・NaO・3Al、および3CaO・2NaO・5Al等のカルシウムナトリウムアルミネート;カルシウムリチウムアルミネート;アルミナセメント;さらにこれらにNa,K,Li、Ti、Fe、Mg、Cr、P、F、S等の微量元素(酸化物等含む。)が固溶した鉱物から選ばれる1種以上が挙げられる。
これらのカルシウムアルミネート類の中でも、強度発現性が高いことから、カルシウムアルミネートが好ましく、特に、非晶質カルシウムアルミネートが好ましい。非晶質カルシウムアルミネートは、原料を溶融した後、急冷して製造するから、実質的に結晶構造を有せず、通常、そのガラス化率は80%以上であり、ガラス化率が高い程、早期強度発現性は高いため、ガラス化率は好ましくは90%以上である。
カルシウムアルミネート類のCaO/Alのモル比は、好ましくは1.5~3.0、より好ましくは1.7~2.4である。該モル比が1.5以上で水硬性組成物の早期強度発現性が高く、3.0以下で水硬性組成物の耐熱性が高い。
また、カルシウムアルミネート類のブレーン比表面積(JIS R 5201に規定する粉末度)は、充分な早期強度発現性を得るとともに粉塵の発生を抑制するために、好ましくは1000~6000cm/g、より好ましくは1500~5000cm/gである。
(2)石膏
前記石膏は、水硬性組成物の硬化促進のために使用する任意成分であり、無水石膏、半水石膏、および二水石膏から選ばれる1種以上が挙げられる。これらの中でも、半水石膏は早期の強度発現性がより高いために好ましい。石膏の含有率は、鋳物の製造時においてガスや黒鉛球状化不良を防止するため、後述のリサイクルにおいて、化学組成の調整するための新規材料の使用量が低下するよう、無機結合材全体を100質量%として、無水石膏換算で、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
後述のリサイクルにおける焼成、または溶融時に、石膏中の硫黄分は揮発するために、残るのはカルシウム成分となる。したがって、リサイクルにおいて、石膏の添加に起因して必要となる化学組成の調整剤は、アルミニウム成分の添加だけで元のカルシウムアルミネート類と同じ化学組成に調整でき、またその添加量も少なくて済むので石膏は好適である。
(3)セメント
前記セメントは、水硬性組成物の硬化促進のために使用する任意成分であり、速硬セメント、超速硬セメント、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント、エコセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、およびセメントクリンカー粉末から選ばれる1種以上が挙げられる。なお、本発明では、セメントクリンカー粉末もセメントに含める。これらの中でも、早期強度発現性が高いため、好ましくは、JIS R 5210に準拠して測定した凝結(始発)が3時間30分以内、より好ましくは1時間以内、さらに好ましくは30分以内である。凝結(始発)が30分以内のセメントは、超速硬セメント、または止水セメントと呼ばれ、市販品として、スーパージェットセメント(太平洋セメント社製)、ジェットセメント(住友大阪セメント社製)、ライオンシスイ(登録商標、住友大阪セメント社製)、またはデンカスーパーセメント(デンカ社製)が挙げられる。
セメントの含有率は、鋳物の製造時においてガスや黒鉛球状化不良を防止するため、また後述のリサイクルにおける化学組成の調整において、組成を調整するための新規材料(追加の材料)の使用量を減らすため、無機結合材全体を100質量%として、好ましくは25質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは5~15質量%である。
(4)無機結合材中のその他の成分
前記無機結合材は、その他の成分(任意成分)として、さらに炭酸アルカリ金属塩、乳酸アルカリ金属塩、乳酸アルカリ土類金属塩、およびケイ酸アルカリ金属塩から選ばれる1種以上のルカリ系硬化促進剤を含むことができる。そして、
(i)前記炭酸アルカリ金属塩は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、および炭酸リチウム
から選ばれる1種以上が挙げられる。
(ii)前記乳酸アルカリ金属塩は、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、および乳酸リチウムから選ばれる1種以上が挙げられる。
(iii)前記乳酸アルカリ土類金属塩は、乳酸カルシウム、および乳酸マグネシウムから
選ばれる1種以上が挙げられる。
(iv)前記ケイ酸アルカリ金属塩は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、およびケイ酸リチウムから選ばれる1種以上が挙げられる。
アルカリ系硬化促進剤の含有率は、無機結合材全体を100質量%として、好ましくは1~10質量%である。該範囲にあれば、早期強度発現性はさらに向上し、また後述のリサイクルにおける化学組成の調整において、前記と同様に、化学組成を調整するための新規材料の使用量が減少する。なお、前記アルカリ系硬化促進剤の含有率は、無機結合材全体を100質量%として、より好ましくは2~8質量%、さらに好ましくは3~6質量%である。
前記アルカリ系硬化促進剤は、前もって付加製造装置用セメント組成物に含めるほか、付加製造装置から供給される水に溶解して用いることもできる。
2.複合結合材
前記複合結合材は、無機結合材100質量部に対し、ポリマーを任意成分として2~12質量部含む結合材である。ポリマーの含有割合が2質量部未満では、早期強度発現が低く、成形体ににじみが発生して寸法精度が劣る場合があり、また、12質量部を越えると、形状によっては成形体の収縮により変形やひび割れが生じ、複雑な形状の鋳型が製造できない場合があるほか、鋳物を製造する際にガスが発生して鋳物にブローホール等の欠陥が生じたり、製造現場で異臭が生じる場合がある。なお、ポリマーの含有割合は、無機結合材100質量部に対し、より好ましくは3~12質量部、さらに好ましくは4~10質量部である。
前記ポリマーは、ポリマーの形態で示せば、JIS A 6203に規定するポリマーディスパージョンや再乳化粉末樹脂等であり、また、ポリマーの種類で示せば、ポリアクリル酸エステル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニルエステル共重合体、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニル・アクリル酸エステル3元共重合体、ポリビニルアルコール、マルトデキストリン、エポキシ樹脂、およびウレタン樹脂から選ばれる1種以上が挙げられる。
これらの中でも、早期強度発現性が得られるため、好ましくはポリビニルアルコール(ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物または完全ケン化物)であり、さらに好ましくはケン化度が85~90モル%のポリビニルアルコールである。
また、前記ポリビニルアルコールの平均粒径(メディアン径、D50)は、高い強度が得られるため、好ましくは10~150μm、より好ましくは30~90μmである。また、ポリビニルアルコールは、無機結合材のいずれかの原料、または無機結合材の複数の原料との混合粉砕により粒度を調整すれば、より細粒で均質に混合でき、水硬性組成物の早期強度発現性が高まる。
前記ポリマーは、粉体の状態で結合材や砂と混合して用いるか、または、後述の水に溶解して用いてもよい。
ポリマーは、鋳型に用いた場合、鋳型使用時、さらには後述のリサイクルにおける焼成、または溶融時において全てが揮発する。したがって、リサイクルにおいてポリマーの使用に起因する化学組成の調整のための新規の化学組成の調整剤は不要である。
3.水硬性組成物
前記水硬性組成物は、前記複合結合材、砂、および水を少なくとも含む組成物である。
このうち、前記水硬性組成物中の砂の配合割合は、好ましくは、複合結合材の合計100質量部に対し、好ましくは100~600質量部である。砂の配合割合が該範囲にあれば、同じく、強度発現性を確保できる。なお、砂の配合割合は、より好ましくは150~500質量部、さらに好ましくは200~400質量部である。
前記砂は、耐火砂であれば、特に制限されず、珪砂、オリビン砂、ジルコン砂、クロマイト砂、アルミナ砂、およびカルシウムアルミネート類のクリンカ砂等から選ばれる1種以上が挙げられる。なお、砂に使用されるカルシウムアルミネート類のクリンカは、前記カルシウムアルミネート類の原料となるクリンカを粉砕して製造したもので、前記カルシウムアルミネート類よりも粗粒である。
後述のリサイクルにおける焼成、または溶融時において、アルミナ砂を用いた場合は化学組成の調整剤としてカルシウム成分が必要となる。カルシウムアルミネート類のクリンカ砂を用いた場合は、その組成によってアルミニウム分またはカルシウム成分が必要であるが、アルミナ砂よりは化学組成の調整剤の量が少なくなる。カルシウムアルミネート類と同一の化学組成のカルシウムアルミネート類のクリンカ砂を用いた場合は、その使用による化学組成の調整剤は不要である。したがって、砂はアルミナ砂(天然、人工問わず)またはカルシウムアルミネート類のクリンカ砂が好ましく、カルシウムアルミネート類のクリンカ砂がより好ましく、カルシウムアルミネート類と同一の化学組成のカルシウムアルミネート類のクリンカ砂が最も好ましい。
また、前記水硬性組成物中の水の配合割合は、好ましくは、複合結合材の合計100質量部に対し、好ましくは28~60質量部、より好ましくは30~55質量部、さらに好ましくは32~45質量部である。水の配合割合が該範囲であれば、強度発現性を確保できる。なお、水の配合割合は、鋳型の強度と寸法精度をより高める観点から、好ましくは30~55質量部、より好ましくは32~45質量部である。水は、通常の上水道水、井戸水等を用いることができる。なお、水は、必要とされる各種の機能を付与するため、増粘剤、潤滑剤、流動化剤、界面活性剤、および表面張力低減剤から選ばれる1種以上を混合して用いてもよい。
4.水硬性組成物中のその他の成分
前記水硬性組成物は、複合結合材の合計100質量部に対し、任意成分として疎水性フュームドシリカを0.1~2質量部、より好ましくは0.5~1.5質量部含むことができる。ここで、疎水性フュームドシリカとは、フュームドシリカの表面をシランまたはシロキサンで処理して、表面を疎水性にしたシリカ粉末である。
また、水硬性組成物の粉末の除去効率をより高めるため、疎水性フュームドシリカのBET比表面積は、好ましくは30~300m/gである。疎水性フュームドシリカのBET比表面積が該範囲内であれば、粉体の流動性が向上し、付加製造装置で敷きならした面が平坦で、かつ強度が低下することなく鋳型を軽量化できる。また、疎水性フュームドシリカは、粉体の固結の防止や混合性の向上に有効である。
なお、本発明の水硬性組成物は、さらに、強度発現性の調整材等として、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカフューム、珪石微粉末、および石灰石粉末等の任意の成分を含んでもよい。
5.鋳型の製造方法
該製造方法は、付加製造装置と本発明の水硬性組成物を用いて、鋳型を製造する方法である。用いる付加製造装置は特に限定されず、粉末積層型付加製造装置等の市販品が使用できる。また、水を含まない水硬性組成物は、前記の成分を市販の混合機または手作業で混合して調製する。なお、結合材として複数の材料を用いる場合、結合材を予め市販の混合機や手作業で混合したり、粉砕機で混合粉砕してもよい。
鋳型の養生方法は、気中養生単独、気中養生した後に続けて水中養生する方法、または、表面含浸剤養生等がある。これらの中でも、早期強度発現と鋳物の製造時に発生する水蒸気の抑制の点から、気中養生単独が好ましい。また、カルシウムアルミネート類やポリマー等による強度増進の点から、気中養生の温度は、好ましくは10~100℃、より好ましくは30~80℃である。また、気中養生の相対湿度は、充分な強度発現と生産効率の点から、好ましくは10~90%、より好ましくは15~80%、さらに好ましくは20~60%である。さらに、気中養生時間は、充分な強度発現と生産効率の点から、好ましくは1時間~1週間、より好ましくは2時間~5日間、さらに好ましくは3時間~4日間である。
6.使用済み鋳型のリサイクル方法
鋳物を取出した際に排出される使用済みの一般の鋳型は、粒度を調整したとしても鋳型に再使用することはできず、廃棄物として処分される。しかし、本発明の付加製造装置用水硬性組成物を用いて製造した鋳型は、鋳型として使用した後、再び付加製造装置用水硬性組成物のカルシウムアルミネート類や砂として容易にリサイクルが可能である。
前記鋳型に高温の鋳鉄などを流し込み鋳物を製造する。このとき、鋳型中のポリマーや石膏の硫黄分が揮発して水硬性を有しなくなるので、通常、使用済み鋳型は廃棄される。本発明では、廃棄された使用済み鋳型を収集する。使用済み鋳型は、化学組成を調査し、再度目的とするカルシウムアルミネート類になるよう化学組成が調整される。リサイクルするカルシウムアルミネート類の組成が、元のカルシウムアルミネート類の組成と必ずしも一致する必要はない。
具体的には、カルシウムアルミネート類を含む使用済み鋳型であれば化学組成の調整が不要となる場合がある。また、これに石膏が添加された付加製造装置用水硬性組成物から得られた使用済み鋳型も元のカルシウムアルミネート類とCaO/Alのモル比が異なるだけなので化学組成の調整が不要となる場合がある。その他、硬化促進剤等や砂を用いた場合は化学組成の調整を行う。化学組成を調整した原料は、1250℃以上の温度で焼成、または溶融する。溶融後は急冷して非晶質としてもよいし、徐冷して結晶化してもよい。得られた焼成、または溶融物は、再度所望の粒度に粉砕して、カルシウムアルミネート類や砂等、本発明の付加製造装置用水硬性組成物として用いることができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
1.使用した材料
(1)カルシウムアルミネート類
非晶質のカルシウムアルミネート 試製品である。
CaO/Alのモル比は2.2、ガラス化率は95%以上、ブレーン比表面積は2040cm/gである。平均粒径(メディアン径、D50)は24μm、10%径(D10)は5μm、90%径(D90)は62μmである。
なお、カルシウムアルミネート類の粒度は、マイクロトラック社製Microtrac MT3300EXIIを用い、エタノールを媒質にして測定した。
(2)速硬セメント
スーパージェットセメント、太平洋セメント社製である。
ケイ酸カルシウムの含有率は47質量%、無水石膏の含有率は14質量%、凝結(始発)は30分、ブレーン比表面積は4700cm/gである。
(3)石膏
半水石膏、試薬鹿1級、関東化学社製である。
(4)砂
(i) 砂A:非晶質のカルシウムアルミネート 試製品である。
CaO/Alのモル比は2.2、ガラス化率は95%以上、カルシウムアルミネート類と同一の化学組成で粒径は異なり、平均粒径(メディアン径、D50)は65μm、10%径(D10)は14μm、90%径(D90)は184μmである。なお、カルシウムアルミネート砂Aの粒度は、マイクロトラック社製Microtrac MT3300EXIIにより、エタノールを媒質に用いて測定した。
(ii) 砂B:下記2種類の人工鋳物砂の等量を混合して用いた。
アルミナ系、商品名 エスパール♯180L、山川産業社製
アルミナ系、商品名 ナイガイセラビーズ60#1450(登録商標)、伊藤忠セラテック社製
(5)ポリマー
ポリビニルアルコール 品番 22-88S1(PVA217SS)、クラレ社製である。
ケン化度は87~89%、平均粒径(メディアン径、D50)は60μm、94μmより大きい粒子の含有率は29質量%、77μmより大きい粒子の含有率は47質量%、10%径(D10)は25μm、90%径(D90)は121μmである。なお、ポリビニルアルコールの粒径は、シリコーンオイルを媒質に用いて、島津製作所製SALD-2000Jにより測定した。
(6)水
3質量%のグリセロール水溶液(ProJet660Pro用バインダー液)、スリーディシステム社製
2.水硬性組成物、および供試体の作製
前記のカルシウムアルミネート、速硬セメント、石膏、ポリビニルアルコール、および砂を表1に示す量で混合して粉体混合物(水を含まない水硬性組成物)を作製した。
次に、該粉体混合物と、付加製造装置として結合剤噴射式粉末積層成形装置(商品名: ProJet660Pro スリーディシステム社製)を用いて、室温(20℃)、相対湿度60%の条件下で、結合剤噴射法により、断面の寸法が縦10mm、横16mm、および長さ80mmの成形体を作製した後、該成形体は40℃、相対湿度30%の条件下で3時間、および72時間時間、気中養生して供試体を製造した。
なお、前記装置による成形体の製造では、粉体混合物の所定の位置を選択して、ノズルから粉体混合物の外部と内部に水を噴射して(装置の水量設定値、外部65%、内部90%、水/複合結合材比は約30%)、粉体混合物を固化した。
3.供試体の曲げ強度の測定とその結果
次に、前記供試体と、曲げ強度試験機(型番:MODEL-2257、アイコーエンジニアリング社製)を用いて3点曲げ試験を行い、前記供試体の曲げ強度を測定した。その結果を表1に示す。
実用性の観点から、製造直後は装置から取り出し可能であり、また材齢24日以内に1.5N/mm以上と、鋳型としても使用可能な強度を満たしていた。
すべての実施例と同じ製造条件で作成した鋳型により、鋳鉄(約1450℃)を流し込み鋳物を製造したところ、鋳込み時にガスが発生せず、表面が平滑な鋳物が作製できた。また、カルシウムアルミネート類を製造する際に回収した使用済み鋳型を全量リサイクルすることができた。とくに実施例1および実施例2では、カルシウムアルミネート類を製造する際の使用済み鋳型の原料としての配合率(リサイクル率)は95%以上であった。
Figure 0007061872000001

Claims (5)

  1. カルシウムアルミネート類、砂、および水を少なくとも含む、結合剤噴射式粉末積層成形装置用水硬性組成物であって、
    前記砂がカルシウムアルミネート類のクリンカ砂であり、
    前記カルシウムアルミネート類と、前記カルシウムアルミネート類のクリンカ砂の化学組成が同一である、結合剤噴射式粉末積層成形装置用水硬性組成物(ただし、前記結合剤噴射式粉末積層成形装置用水硬性組成物は、付加製造で使用済みの型材料をリサイクルした材料を含まない。)
  2. 無機結合材全体を100質量%として、さらに石膏を、無水石膏換算で0~5質量%含む、請求項1に記載の結合剤噴射式粉末積層成形装置用水硬性組成物。
  3. 無機結合材全体を100質量%として、さらにJIS R 5210に準拠して測定した凝結(始発)が30分以内である速硬セメントを0~20質量%含む、請求項1または2に記載の結合剤噴射式粉末積層成形装置用水硬性組成物。
  4. 前記カルシウムアルミネート類が非晶質カルシウムアルミネートである、請求項1~のいずれか1項に記載の結合剤噴射式粉末積層成形装置用水硬性組成物。
  5. 結合剤噴射式粉末積層成形装置と、請求項1~のいずれか1項に記載の結合剤噴射式粉末積層成形装置用水硬性組成物を用いて鋳型を成形する、鋳型の製造方法。
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