JP7356767B1 - 電気メス - Google Patents

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Abstract

【課題】内視鏡的外科手術において用いられる電気メスにおいて、シャフト同士あるいはアーム同士の干渉を従来よりも生じにくくすること。【解決手段】電気メスは、患者の体の開口部を介して、当該患者の体外から体内に一方の端部が挿入される主軸であって、前記一方の端部に電極が設けられた主軸を備え、前記主軸の少なくとも一部は、可撓性を有する材料により構成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、内視鏡的外科手術において使用される電気メスに関する。
胆膿摘出術、大腸切除術、卵巣膿腫摘出術、及び子宮全摘出術といった手術では、腹腔内に内視鏡の一態様である腹腔鏡を挿入して行う腹腔鏡手術(あるいは腹腔鏡下手術)と呼ばれる手法が普及している。腹腔鏡手術において、手術者(例えば執刀医)は、腹腔鏡により得られる腹腔内の映像を見ながら、複数の手術器具を用いて手術を行う。手術用具の例としては、電気メス(非特許文献1~3参照)や鉗子などが挙げられる。これらの手術用具は、患者の腹部に設けた小さな穴である人工開口部から、その先端を腹腔内に挿入される。
また、腹腔鏡手術を支援するロボットも知られている(非特許文献4参照)。このロボットは、複数のアームを備えている。各アームの先端には、電気メスや鉗子などとして機能するロボットハンドが装着されている。各ロボットハンドは、患者の腹部に設けた小さな穴から腹腔内に挿入される。以下において、このようなロボットを利用した腹腔鏡手術のことをロボット手術とも呼ぶ。
なお、上述したような手術用具及びロボットは、腹腔鏡手術に加えて胸腔鏡手術にも適用可能である。胸腔鏡手術においては、胸腔内に内視鏡の一態様である胸腔鏡を挿入して手術を行う。また、上述したような手術用具及びロボットは、腹腔鏡手術及び胸腔鏡手術以外の内視鏡的外科手術にも適用可能である。ただし、以下においては、腹腔鏡手術を例とする。
[online]、Medtronic社、[令和4年8月9日検索]、インターネット〈URL:https://www.medtronic.com/covidien/en-us/products/electrosurgical-instruments/laparoscopic-instruments.html〉 [online]、Ethicon endo Surgery社、[令和4年8月9日検索]、インターネット〈URL:https://www.ethicon.jp/products/energy/probeplusII.html〉 [online]、CONMED社、[令和4年8月9日検索]、インターネット〈URL: https://www.conmed.com/en-DE/Products/Surgical-and-Medical-Instruments/Suction-Irrigation-and-Tubing/suctionirrigation/universal-plus-handpieces-and-reusable-electrodes〉 [online]、Intuitive Surgical社、[令和4年8月9日検索]、インターネット〈URL: https://www.intuitive.com/en-us/products-and-services/da-vinci〉
ところで、上述したような腹腔鏡手術においては、腹腔鏡と、複数の手術器具とを腹腔内に挿入する。また、上述したような腹腔鏡手術を支援するロボットにおいては、腹腔鏡と、複数のアームとを腹腔内に挿入する。
腹腔鏡手術において用いる各手術器具のうち腹腔内に挿入されるシャフト、及び、ロボット手術に利用されるロボットのアームは、何れも、剛直に設計されている。シャフト及びアームが撓ってしまうと腹腔鏡手術における精度が低下する虞があるためである。なお、本願発明の一態様が備えている主軸は、上記シャフトに相当する。
その結果、各手術器具の先端を所望の位置に移動させようとする場合に、各手術器具を構成するシャフト同士が干渉する場合がある。同様に、各アームのロボットハンドを所望の位置に移動させようとする場合に、各アーム同士が干渉する場合がある。これらの場合、手術を続行するためには、各手術器具の相互の位置を調整したり、各アームの相互の位置を調整したりすることにより、上述した干渉を解消することが求められる。ただし、このような作業は、手術者に手間を取らせ、延いては、手術時間を延長させる一因となる。
本発明の一態様に係る電気メスは、上述した課題に鑑みなされたものであり、その目的は、内視鏡を使用する内視鏡的外科手術において用いられる電気メスにおいて、シャフト同士あるいはアーム同士の干渉を従来よりも生じにくくすることである。
本発明の一態様に係る電気メスは、内視鏡的外科手術において用いられる電気メスである。上記の課題を解決するために、本電気メスは、患者の体の開口部を介して体外から体内に一方の端部が挿入される主軸であって、前記一方の端部に電極が設けられた主軸と、前記電極を前記一方の端部に接続する接続部材と、前記主軸の側方に突出するように前記接続部材に設けられた把持部であって、手術器具により把持される把持部と、を備え、前記主軸の少なくとも一部は、可撓性を有する材料により構成されている。
上記の構成によれば、主軸の少なくとも一部が可撓性を有する材料により構成されているため、剛直なシャフトを備えた従来の電気メスと比較して、シャフト同士の干渉を生じにくくすることができる。
また、手術者は、鉗子等の手術器具を用いて本電気メスを保持することができる。したがって、手術者は、本電気メスを所望の位置に容易に移動させることができる。
また、ロボット手術においては、手術者が電気メスを用いる時に、手術者は、例えば鉗子として機能するロボットハンドを用いて本電気メスを保持することができる。したがって、本電気メスを装着するロボットアームを個別に用意しなくてよいため、ロボット手術において腹腔内に挿入するロボットアームの数又はロボットアームの入れ替え頻度を抑制することができる。したがって、本電気メスは、ロボット手術においても、アーム同士の干渉を従来よりも生じにくくすることができる。
なお、手術者が電気メスを用いない時に、手術者は、本電気メスを腹腔内の任意の場所に載置しておくことができる。本電気メスは、上述したように、主軸の少なくとも一部が可撓性を有する材料により構成されているため、腹腔内に載置する場合の自由度を高めることができるという副次的な効果を奏する。
また、本発明の第2の態様に係る電気メスにおいては、上述した第1の態様に係る電気メスの構成に加えて、前記接続部材及び前記把持部は、導体により構成されており、
前記電極と前記接続部材と前記把持部とは、導通している構成が採用されている。
上記の構成によれば、本電気メスを保持する手術器具として高周波電流を供給可能な手術器具を用いることによって、バジングを行うことができる。
また、本発明の第3の態様に係る電気メスにおいては、上述した第2の態様に係る電気メスの構成に加えて、長さが前記主軸よりも短い筒状のガイドであって、内側面が前記主軸の外側面に沿ってスライドするガイドを更に備え、前記ガイドは、前記主軸の少なくとも一部を構成する可撓性を有する材料よりも可撓性が低い材料により構成されている、構成が採用されている。
上記の構成によれば、ガイドを主軸の一方の端部の方向へスライドさせることによって、主軸が有する可撓性を一時的に低下させることができる。したがって、患者の近くに位置する手術者又は手術補助者は、主軸の一方の端部を容易に所望の位置に移動させることができる。
また、本発明の第4の態様に係る電気メスにおいては、上述した第1の態様から第3の態様の何れか一態様に係る電気メスの構成に加えて、前記主軸には、前記一方の端部から他方の端部までつながる貫通孔であって、前記他方の端部が排気用のパイプと接続されている貫通孔が設けられている、構成が採用されている。
上記の構成によれば、貫通孔の他方の端部に排気機構を接続することにより、主軸の一方の端部から体内に存在するガス及びミストを排気することができる。このことは、本電気メスを用いて患部を処置する場合に、その患部の直近に排気用のポートを設けることができることを意味する。したがって、患部において生じ得るガス及びミストを効率よく排気可能であり、これらのガス及びミストが体内に充満することを抑制することができるので、内視鏡は、より鮮明な腹腔内又は胸腔内の映像を撮影することができる。
なお、上述した排気機構の例としては、手術室に備え付けられている排気ラインが上げられる。また、手術室に排気ラインが備え付けられていない場合には、真空ポンプに代表されるポンプを排気機構として用いることもできる。
また、本発明の第5の態様に係る電気メスにおいては、上述した第4の態様に係る電気メスの構成に加えて、前記排気用のパイプの排気を制御する開閉機構を更に備えている、構成が採用されている。
上記の構成によれば、開閉機構によって排気用のパイプによる排気を制御することができる。そのため、患者の近くに位置する手術者は、手術補助者に依頼することなく、自身で排気のタイミングを調整することができる。したがって、本電気メスは、ロボット手術ではない内視鏡的外科手術に好適である。
また、本発明の第6の態様に係る電気メスにおいては、上述した第4の態様または第5の態様に係る電気メスにおいて、前記他方の端部において、前記貫通孔には、前記排気用のパイプとともに、洗浄液を供給する洗浄液用のパイプと、液体を吸引する吸引用のパイプと、が接続されている、構成が採用されている。
上記の構成によれば、電気メスに洗浄機能及び吸引機能を付与することができる。したがって、腹腔内に挿入する手術器具の数、アームの数又はアームの入れ替え頻度を抑制することができる。
また、本発明の第7の態様に係る電気メスにおいては、上述した第1の態様から第6の態様の何れか一態様に係る電気メスの構成に加えて、前記主軸の前記一方の端部を含む一部区間は、前記主軸の他の区間により高い可撓性を有する材料により構成されており、前記一部区間の屈曲を任意に調整する屈曲調整機構を更に備えている、構成が採用されている。
上記の構成によれば、手術者は、屈曲調整機構を用いて、主部の一方の端部を含む一部区間を任意に屈曲させることができる。したがって、本電気メスは、主軸の一方の端部を所望の位置に移動させる場合の精度を更に高めることができる。
また、本発明の第8の態様に係る電気メスにおいては、上述した第1の態様から第7の態様において、前記手術器具は、ロボットハンド、手術用マニピュレータ、又は、鉗子である、構成が採用されている。
上記の構成によれば、ロボット手術において用いられるロボットが備えているロボットハンド、手術用マニピュレータ、又は鉗子等によって本電気メスを保持することができる。したがって、ロボット手術において手術者は、本電気メスを装着したロボットハンドを個別に用意する必要がなく、ロボット手術において腹腔内に挿入するロボットアームの数又はロボットアームの入れ替え頻度を抑制することができる。また、ロボット手術ではない内視鏡的外科手術において手術者は、持ち替えることなく所望の位置に本電気メスを移動させることができる。
本発明の一態様に係る電気メスは、内視鏡的外科手術において用いられる電気メスにおいて、シャフト同士あるいはアーム同士の干渉を従来よりも生じにくくすることができる。
本発明の一実施形態に係る電気メスの斜視図である。 図1に図示する電気メスが備えている主軸の断面図である。 図1に図示する電気メスが備えている電極及び把持部の斜視図である。 図1に図示する電気メスが備えているグリップの一変形例の斜視図である。 図1に図示する電気メスを腹腔鏡と併用する腹腔鏡手術の模式図である。
〔電気メスの概要〕
患者の体の開口部を介して、当該患者の体外から体内に内視鏡及び手術器具を挿入して行う外科手術(以下、「内視鏡的外科手術」とも記載する)において、手術者(例えば執刀医)は、内視鏡により得られる体内(例えば患部)の映像を見ながら、複数の手術器具を用いて手術を行う。なお、患者の体の開口部は、内視鏡的外科手術のために患者の体の表面に設けられた人工開口部であることが好ましい。また、患者の体の開口部は、口、肛門、尿道、鼻、耳等の自然開口部であってもよい。電気メス10は、このような内視鏡的外科手術において、内視鏡と併用することに適した電気メスである。内視鏡の具体例としては、腹腔鏡、胸腔鏡、子宮鏡、尿管鏡、甲状腺内視鏡、乳房内視鏡、及び関節鏡等が挙げられる。また、自然開口部を介して体内に挿入される内視鏡の具体例としては、上部消化管内視鏡、下部消化管内視鏡、喉頭鏡、耳鏡、及び鼻鏡等が挙げられる。上部消化管内視鏡は、胃内視鏡又は胃カメラとも呼ばれ、下部消化管内視鏡は、大腸内視鏡又は大腸カメラとも呼ばれる。ただし、電気メス10と併用される内視鏡は、例示した内視鏡に限定されるものではなく、適宜選択することができる。なお、本実施形態においては、内視鏡の一態様である腹腔鏡を使用する腹腔鏡手術を例にして、電気メス10について説明する。ただし、本発明の一態様においては、電気メス10と腹腔鏡とを併用する場合、及び、電気メス10と胸腔鏡とを併用する場合を除き得る。すなわち、本発明の一態様においては、電気メス10を腹腔鏡手術において使用する場合、及び、電気メス10を胸腔鏡手術において使用する場合を除き得る。
本実施形態において、電気メス10は、排煙機能、洗浄機能、及び吸引機能を有する。排煙機能は、腹腔内のガス及びミストの少なくとも何れか排気する機能である。洗浄機能は、洗浄液を吐出することにより腹腔内を洗浄する機能である。吸引機能は、腹腔内に存在している液体を吸引する機能である。
また、本実施形態において、電気メス10の主軸11は、コネクター15を介してグリップ16に接続されている。患者の近傍にいる手術者又は手術補助者は、グリップ16を制御することにより、腹腔内における電極12の位置制御することができる。また、患者の近傍にいる手術者又は手術補助者は、グリップ16を制御しない場合には、腹腔鏡手術に用いられる手術器具により電気メス10を保持して腹腔内における電極12の位置を制御することもできる。電気メス10を保持する手術器具の具体例としては、ロボットアーム及びロボットハンドR(図3参照)、手術用マニピュレータ等が挙げられる。
〔電気メスの構成〕
本発明の一実施形態に係る電気メス10の構成について、図1~図3を参照して説明する。図1は、電気メス10の斜視図である。図2は、電気メス10が備えている主軸11の断面図である。なお、図2は、主軸11の中心軸に直交する断面である横断面であって、図1に図示するA-A’線を通る横断面における断面図である。図3は、電気メス10が備えている電極12及び把持部13の斜視図である。
図1に示すように、電気メス10は、主軸11、電極12、把持部13、ガイド14、コネクター15、グリップ16、給電ケーブル17、排気パイプ18、洗浄パイプ19、及び吸引パイプ20を備えている。
<主軸>
図1及び図2に示すように、主軸11は、メインチューブ111、接続部材112、配線115、及び被覆116を備えている。
(メインチューブ)
主軸11の主たる部分を構成するメインチューブ111は、円筒形状であり、且つ、可撓性を有するチューブである。メインチューブ111を構成する材料は、可撓性を有するものであればよく、樹脂材料が好適である。樹脂材料としては、例えば、塩化ビニルが挙げられる。ただし、メインチューブ111を構成する材料は樹脂(例えば、塩化ビニル)に限定されず、可撓性を有する材料のなかから適宜選択することができる。
なお、本実施形態では、メインチューブ111として、全体が可撓性を有するように構成されたチューブを採用している。ただし、本発明の一態様において、メインチューブ111は、少なくともその一部が可撓性を有していればよい。可撓性を有する材料によりメインチューブ111の一部を構成し、且つ、剛直な材料によりメインチューブ111の残りの部分を構成する場合、後述する端部113を含む一部区間を、可撓性を有する材料により構成することが好ましい。この場合、当該一部区間の長さは適宜定めることができるが、例えば、メインチューブ111の長さ(例えば、後述するように700mm)の半分以下であることが好ましい。このようにメインチューブ111を構成することにより、腹腔内に挿入されるメインチューブ111に可撓性を持たせつつ、体外に位置するメインチューブ111の大部分を剛直に構成することができる。メインチューブ111の全体もしくは少なくとも一部に可撓性を持たせることによって、メインチューブ111において可撓性を有する部分を屈曲させることができる。そのため、電気メス10は、手術者が電極12を腹腔内に配置するときにメインチューブ111が腹腔鏡の画角に含まれてしまうことを防ぐことができる。なお、メインチューブ111のうち端部113を含む一部区間に可撓性を持たせる場合には、メインチューブ111の全区間に可撓性を持たせる場合と比較して、腹腔内における電極12の位置を腹腔外(すなわち患者の体外)から調整することを容易にすることができる。
なお、端部113を含む一部区間を、可撓性を有する材料により構成する場合、電気メス10は、その一部区間におけるメインチューブ111の屈曲具合を任意に調整する屈曲調整機構を備えていることが好ましい。この屈曲調整機構の一例としては、ワイヤーと、当該ワイヤーの張り具合を調整する巻き取り機構と、を備えたものが挙げられる。この屈曲調整機構においては、ワイヤーの遠位端は、端部113の近傍に固定されており、ワイヤーの中途区間は、メインチューブ111の内部空間(以下、貫通孔Tと称する。)に沿って配線されている。また、ワイヤーの近位端は、巻き取り機構に固定されており、巻き取り機構は、後述するグリップ16に固定されている。巻き取り機構は、レバーを用いてワイヤーを巻き取る手動式であってもよいし、モーターを用いてワイヤーを巻き取る自動式であってもよい。
巻き取り機構がワイヤーを巻き取っていない状態では、メインチューブ111は、元々のまっすぐな状態を保つ。一方、巻き取り機構がワイヤーを巻き取るにしたがって、ワイヤーの遠位端が固定されている端部113の近傍は、グリップ16の方向に向かって引っ張られる。そのため、可撓性を有する材料により構成されているメインチューブ111の一部区間は、巻き取り機構により巻き取られたワイヤーの長さに応じて、屈曲する。
なお、このような屈曲調整機構は、メインチューブ111の一部区間を一方向に屈曲させることができる。したがって、電気メス10に対して、このような屈曲調整機構を複数設けることによって、メインチューブ111の一部区間を複数の方向に屈曲させることができる。
メインチューブ111の外径は、腹腔鏡手術において電気メス10の電極12を腹腔内に挿入するために用いるトロカーの内径に応じて、適宜定めればよい。トロカーとは、患者の体に設けられた人工開口部に挿入される器具であり、患者の体外と体内とを繋げる器具である。電気メス10は、このトロカーを介して電極12を体外から腹腔内に挿入する。例えば、内径が5mmであるトロカーを用いて電気メス10を腹腔内に挿入する場合、メインチューブ111の外径は、4mm程度であることが好ましい。電気メス10の場合には、メインチューブ111の外側に後述するガイド14が更に設けられており、ガイド14の外径がトロカーの内径(例えば5mm)未満であることが求められるためである。ガイド14を省略する場合、メインチューブ111の外径は、5mm未満の範囲内で適宜定めることができる。なお、腹腔鏡手術においてトロカーを使用しない場合には、人工開口部又は自然開口部に直接電極12を挿入してもよい。この場合、メインチューブ111の外径は人工開口部又は自然開口部の大きさに合わせて任意に定め得る。
メインチューブ111の長さは、限定されず適宜定めることができる。本実施形態では、メインチューブ111の長さとして700mmを採用している。成人の腹腔鏡手術に電気メス10を用いる場合、メインチューブ111の長さは、600mm以上1000mm以下であることが好ましい。
なお、メインチューブ111においては、一方の端部であって、後述する電極12に近接する側の端部を端部113と称する。図1においては、後述する接続部材112により覆われており端部113は見えない。そのため、図1では、符号113の引き出し線を破線で図示している。また、メインチューブ111において、他方の端部は、後述するコネクター15を介して後述するグリップ16のグリップ本体161内部に位置する。なお、以下においては、前記他方の端部の近傍であって、コネクター15に挿入されている部分を接続部114と称する。
上述のメインチューブ111の他方の端部は、グリップ本体161内部において、3つに分岐するコネクターを介して、排気パイプ18、洗浄パイプ19及び吸引パイプ20に接続されている。
接続部材112は、円筒形状であり、且つ、導体により構成されている。接続部材112は、端部113を覆うようにメインチューブ111にかぶせた状態で固定されている。本実施形態において、接続部材112は、銅製である。また、本実施形態において、接続部材112は、その一部を貸しめることによってメインチューブ111に固定されている。ただし、接続部材112を構成する導体、接続部材112の長さ、及び、接続部材112をメインチューブ111に固定する手法は、限定されず、適宜定めることができる。なお、接続部材112を構成する導体としては、導電性が高い金属が好ましく、このような金属の例としては、上述した銅の他にアルミニウム、ステンレス鋼が挙げられる。
メインチューブ111の端部113であって、接続部材112により覆われている端部113には、電極12が設けられている。
(配線)
主軸11の内部空間には、配線115及び被覆116と、が収容されている(図2参照)。配線115及び被覆116は、何れも、貫通孔Tをグリップ本体161内に位置する他方の端部から端部113まで貫通している。以下において、メインチューブ111の内部空間を貫通孔Tと称する。
配線115は、電極12に高周波電流を給電するための配線である。配線115の先端は、電極12と導通するように、電極12の一部に接続されている。
被覆116は、配線115の外側面を覆う樹脂製のコーティング層である。被覆116は、配線115が他の部材と短絡することを防ぐとともに、配線115を保護する。
(主軸の変形例)
上述したように、貫通孔Tに配線115及び被覆116と、を収容することにより主軸11を構成している。ただし、主軸11は、少なくともその一部が可撓性を有する材料により構成されており、且つ、配線115を収容し、且つ、貫通孔Tを内包していれば、どのように構成されていてもよい。例えば、主軸11の一変形例は、可撓性を有する柱状部材であって、配線115を収容する貫通孔の他に排気用の貫通孔、吸引用の貫通孔及び洗浄用の貫通孔が設けられた柱状部材により構成されていてもよい。また、主軸11の別の一変形例は、貫通孔Tに、配線115に加えて、排気用のサブチューブ、吸引用のサブチューブ及び洗浄用のサブチューブを収容するように構成されていてもよい。
<電極>
図3に示すように、電極12は、メインチューブ111の端部113であって、接続部材112により覆われている端部113に設けられた電極である。電極12は、接続部材112と導通するように、接続部材112に対して固定されている。また、電極12に対しては、配線115の一方の端部が導通した状態で接続されている。
電極12の直径は、トロカーの内径に応じて適宜定めればよく、例えば内径8mmのトロカーを用いる場合は、電極12は8mm未満であればよい。
電気メス10は、モノポール型の電気メスである。そのため、電極12として導体製且つ単一の電極を採用している。本実施形態においては、電極12として、アルミニウム製の球状部材を採用している。すなわち、本実施形態において、電極12は、ボールチップ型と呼ばれる電極である。本実施形態において、電極12の直径として、7mmを採用している。
ただし、電気メス10は、バイポーラ型の電気メスであってもよく、その場合、電極12は、一対の電極により構成されていてもよい。また、電極12を構成する導体は、アルミニウムに限定されず、導体のなかから適宜選択することができる。また、電極12の形状は、球状に限定されない。電極12の他の形状としては、L字型や、へら型などであってもよい。
電極12には、1つの洗浄吸引ポート121と、複数の排気ポート122とが設けられている(図3参照)。
(洗浄吸引ポート)
洗浄吸引ポート121は、球状である電極12の中心を通り、且つ、電極12を貫通するように設けられた貫通孔である。洗浄吸引ポート121の一対の開口のうち接続部材112に近接する側の開口は、接続部材112の内部において、メインチューブ111の端部113に接続されている。図3に示すように、洗浄吸引ポート121を構成する貫通孔がメインチューブ111の中心軸と平行になるように、電極12は、端部113に対して固定されている。
このように構成された洗浄吸引ポート121は、洗浄パイプ及びメインチューブ111を用いて供給される洗浄液を、メインチューブ111の中心軸に沿う方向に吐出することができるとともに、メインチューブ111及び吸引パイプ20を用いて腹腔内に存在している液体を吸引することができる。
(排気ポート)
排気ポート122は、洗浄吸引ポート121の周りを取り囲むように、且つ、等方的に設けられた複数の貫通孔により構成されている。
排気ポート122を構成する各貫通孔の一対の開口のうち接続部材112に近接する側の開口は、洗浄吸引ポート121の接続部材112に近接する側の開口を取り囲むように設けられている。排気ポート122を構成する各貫通孔の一対の開口のうち接続部材112に近接する側の開口は、メインチューブ111の端部113と接続されている。
排気ポート122を構成する各貫通孔の一対の開口のうち接続部材112から遠い側の開口は、図3に示すように、各開口の法線がメインチューブ111の中心軸に交わるように設けられている。
このように構成された排気ポート122は、腹腔内において電気メス10が組織を切断したり剥離したり止血したりする場合に生じ得るガス及びミストの少なくとも何れかを、そのガス及びミストの少なくとも何れかが発生するまさにその場所で排気することができる。したがって、電気メス10は、従来よりも効率よく上述したガス及びミストの少なくとも何れかを排気することができる。
<把持部>
図3に示すように、把持部13は、円筒形状である接続部材112の側面の一部に固定された筒状の部材である。本実施形態において、把持部13における横断面の形状は、楕円形である。ただし、把持部13の横断面の形状は、楕円形に限定されず、適宜定めることができる。
端部113は、その軸方向(端部113の底面に対する法線方向)が、接続部材112の中心軸の方向(すなわち、メインチューブ111の中心軸の方向)とほぼ平行になるように、接続部材112の側面に固定されている。したがって、接続部材112が端部113を覆うように、接続部材112をメインチューブ111に対して固定した状態において、把持部13は、端部113の近傍で主軸11から突出するように設けられている。さらに当該把持部13は円筒形に形状で、112の上部に接している。
また、把持部13は、接続部材112と同様に、導体により構成されていることが好ましい。本実施形態において、把持部13は、接続部材112と同様に銅製である。本実施形態において、把持部13は、接続部材112とともに一体成型されている。したがって、把持部13は、接続部材112と導通しており、延いては、電極12とも導通している。このように、把持部13は、電極12と導通していることが好ましい。
(把持部の使用法)
上述したような把持部13は、腹腔鏡手術において使用される種々の手術器具により把持される。例えば、腹腔鏡手術において、腹腔鏡手術を支援するロボットを利用する場合には、ロボットのアーム及びロボットハンドRが腹腔内に挿入されている。ここでは、図3に示すように、一対の爪Crを有するロボットハンドRを用いるものとする。手術者の一態様であるロボットの操縦者は、一対の爪Crを把持部13の内部空間に差し込んだ状態で、一対の爪Crを開くようにロボットを操作する。その結果、把持部13の内部空間において、ロボットハンドRは、一対の爪Crを用いて把持部13を保持することができる。したがって、前記操縦者は、一対の爪Crに固定された把持部13を介して電極12を保持することができるので、ロボットハンドRを用いて腹腔内における電極12の位置制御することもできる。本実施形態においては、把持部13を把持する手術器具として、一対の爪Crを有するロボットハンドRを例に挙げたが、本願発明はこれに限定されない。一対の爪Crのように先端を閉じたり開いたりすることができる手術器具であればよく、手術用マニピュレータや鉗子等により把持部13を把持してもよい。手術用マニピュレータ又は鉗子を使用する場合においても、先端部(例えば爪又ははさみ等)を把持部13の内部空間に差し込んだ状態で、当該先端部を開くことにより同様に把持部13を保持する。また、把持部13を保持している手術器具の先端に高周波電流を供給することによってバジングを行うことができる。例えば、ロボットハンドRとして高周波電流を一対の爪Crに供給可能なロボットハンドを用いることによって、バジングを行うことができる。
<ガイド>
図1に示すように、ガイド14は、長さが主軸11よりも短い円筒状のパイプである。本実施形態では、ガイド14の長さとして400mmを採用している。成人の腹腔鏡手術に電気メス10を用いる場合、ガイド14の長さは、300mm以上500mm以下であることが好ましい。
ガイド14は、その内径がメインチューブ111の外径を僅かに上回るように構成されている。また、ガイド14は、その外径がトロカーの内径(例えば5mm)を下回るように構成されている。
ガイド14は、主軸11(本実施形態においてはメインチューブ111)の少なくとも一部を構成する可撓性を有する材料よりも可撓性が低い材料により構成されている。本実施形態では、ガイド14として、厚みが2.0mmであるポリカーボネート製のパイプを採用している。ただし、ガイド14を構成するパイプは、これに限定されず、メインチューブ111よりも低い可撓性を示すパイプであれば適宜採用することができる。上述したポリカーボネートの他にシリコーン、エチレンプロピレンゴム、ステンレス鋼が挙げられる。
このように構成されたガイド14は、メインチューブ111よりも低い可撓性を示し、手術において生じ得るような力に対しては、ほとんど撓らない。
電気メス10において、ガイド14は、その内側面がメインチューブ111の外側面を取り囲むように配置されている。すなわち、メインチューブ111は、ガイド14の内部空間を貫通している。したがって、ガイド14は、その内側面がメインチューブ111の外側面に沿って、図1に図示する矢印Bの方向(メインチューブ111の中心軸の方向)に沿ってスライドする。
なお、本実施形態においては、ガイド14として単なるパイプを採用している。したがって、ガイド14の長さは、一定である。ただし、本発明の一態様においては、伸縮可能であり、その長さが可変なパイプを用いることもできる。また、この場合、伸縮可能なガイド14の一方の端部であって、コネクター15に近接する側の端部を、メインチューブ111に対して固定しておいてもよい。その場合、伸縮可能なガイド14の一方の端部であって、コネクター15から遠い側の端部の位置を電極12に近づける方向へ移動させることによって、可撓性を有しているメインチューブ111を撓らないようにすることもできる。
この構成によれば、患者の近くに位置する手術者又は手術補助者が、腹腔内において電極12を移動させたいときに、メインチューブ111のより長い区間をガイド14で覆うことができる。ガイド14を最大まで伸ばした場合の長さがメインチューブ111の長さと同程度になるように、ガイド14を設計しておけば、メインチューブ111のほぼ全ての区間をガイド14で覆うことができる。したがって、患者の近くに位置する手術者又は手術補助者は、主軸の一方の端部をより精度よく所望の位置に移動させることができる。
<コネクター>
コネクター15は、主軸11を後述するグリップ16に接続するための部材である。図1に示すように、コネクター15は、主軸保持部151と、ローテーションノブ152と、を備えている。
主軸保持部151は、円筒状に成型された部材である。主軸保持部151を構成する材料は、限定されない。この材料は、例えば、樹脂材料でもよいし、金属材料であってもよい。
主軸保持部151の貫通孔には、メインチューブ111の接続部114が挿入された状態で固定されている。
主軸保持部151にグリップ16をはめ込むことによって主軸11とグリップ16を接続することができる。そのため、本実施形態において使用されるコネクター15と共通のコネクターを有する、従来のストレートシャフトの主軸をグリップ16に接続して使用することができる。
貫通孔Tに収容されている配線115は、主軸保持部151において、後述するグリップ16のグリップ本体161に収容されている給電ケーブルに接続される。
ローテーションノブ152は、主軸保持部151に対して、軸回りに回転可能な状態で取り付けられた管状部材である。ローテーションノブ152の回転によって、主軸11の方向を調整することができる。
なお、衛生上の観点から、電気メス10を構成する部材のうち、主軸11、電極12、把持部13、ガイド14、及びコネクター15のアッセンブリーは、手術のたびに使い捨てるディスポーザル式であることが好ましい。
<グリップ>
図1に示すように、グリップ16は、グリップ本体161、高出力用ボタン162、低出力用ボタン163、洗浄用ボタン164、及び吸引用ボタン165を備えている。
グリップ本体161は、手術者又は手術補助者が電気メス10を操作するときに握るための部材である。グリップ本体161は、円筒状に成型された部材である。グリップ本体161を構成する材料は、限定されない。この材料は、例えば、樹脂材料でもよいし、金属材料であってもよい。また、グリップ本体161の形状は、円筒状に限定されず、適宜定めることができる。グリップ16の一変形例であるグリップ16Aについては、図4を参照して後述する。
グリップ本体161の内部空間には、給電ケーブル17、排気パイプ18、洗浄パイプ19及び吸引パイプ20が挿通されている。上述したように、給電ケーブル17は配線115に接続され、排気パイプ18、洗浄パイプ19及び吸引パイプ20は、3つに分岐するコネクターを介して、メインチューブ111に接続されている。排気パイプ18は、排気用のパイプの一例である。
電気メス10を使用する場合に、(1)給電ケーブル17は、電気メス10の電源装置に接続され、(2)排気パイプ18は、手術室に設けられている排気ポート(例えば気腹装置の排気ポート)に対して接続され、(3)洗浄パイプ19は、手術室に設けられている洗浄液の供給ポートに対して接続され、(4)吸引パイプ20は、手術室に設けられている液体吸引ポートに対して接続される。
グリップ本体161の外側面には、グリップ本体161、高出力用ボタン162、低出力用ボタン163、洗浄用ボタン164、及び吸引用ボタン165が設けられている。
高出力用ボタン162及び低出力用ボタン163は、電気メス10が備えている複数の機能のうち、電気メスとして腹腔内の組織を切断したり剥離したり止血したりする機能に関する。高出力用ボタン162が押下されることにより、給電ケーブル17及び配線115を介して、電極12には、組織を切断したり剥離したりすることができる高周波電流が供給される。低出力用ボタン163が押下されることにより、給電ケーブル17及び配線115を介して、電極12には、止血することができる高周波電流が供給される。
洗浄用ボタン164は、電気メス10が備えている複数の機能のうち、洗浄機能に関する。洗浄用ボタン164が押下されることにより、洗浄パイプ19及び貫通孔Tを介して、電極12の洗浄吸引ポート121から洗浄液が吐出される。
吸引用ボタン165は、電気メス10が備えている複数の機能のうち、吸引機能に関する。吸引用ボタン165が押下されることにより、吸引パイプ20及び貫通孔Tを介して、電極12の洗浄吸引ポート121から腹腔内に存在している液体を吸引することができる。
また、図1には図示していないものの、グリップ本体161には、排気パイプ18の排気を制御する開閉機構と、この開閉機構を制御するボタン又はダイヤルを設けることもできる。
本実施形態において、上述の開閉機構は、排気パイプ18の内腔を完全開放又は完全閉鎖する弁であることが好ましい。しかしながらこれに限定されるものではなく、上述の開閉機構は、例えば、バルブであってもよい。
(グリップの変形例)
グリップ16の一変形例であるグリップ16Aについて、図4を参照して説明する。図4は、グリップ16Aの斜視図である。
図4に示すように、グリップ16Aは、グリップ本体161A、高出力用ボタン162A、低出力用ボタン163A、洗浄用ボタン164A、及び吸引用ボタン165Aを備えている。グリップ本体161A、高出力用ボタン162A、低出力用ボタン163A、洗浄用ボタン164A、及び吸引用ボタン165Aの各々は、それぞれ、グリップ16のグリップ本体161、高出力用ボタン162、低出力用ボタン163、洗浄用ボタン164、及び吸引用ボタン165に対応する。グリップ16Aは、グリップ16をベースにし、形状をピストル型に変形したグリップ本体161Aを採用し、且つ、高出力用ボタン162A、低出力用ボタン163A、洗浄用ボタン164A、及び吸引用ボタン165Aをピストル型のグリップ本体161Aに併せて最適化することによって得られる。
グリップ16Aにおいては、高出力用ボタン162及び低出力用ボタン163をピストルのトリガーに対応する位置に設けている。また、グリップ16Aにおいては、洗浄用ボタン164A及び吸引用ボタン165Aをピストルのハンマーに対応する位置に設けている。
なお、グリップ16Aに対しても、グリップ16に対応するコネクター15の主軸保持部151にグリップ16Aをはめ込むことによって主軸11とグリップ16Aとを接続することができる。
(電気メスの機能の変形例)
本実施形態において、電気メス10は、電気メスとして上述の腹腔内の組織を切断したり剥離したり止血したりする機能に加えて、排気機能と、洗浄機能と、吸引機能と、を備えている。ただし、電気メス10の一態様においては、排気機能、洗浄機能、及び吸引機能のうち少なくとも何れかを省略してもよい。電気メス10の一態様において、排気機能、洗浄機能、及び吸引機能のうち少なくとも何れかを省略する場合、上述の排気パイプ18、洗浄パイプ19、吸引パイプ20のうち省略する機能に対応するパイプを省略してもよい。それにより、電気メス10を小型化及び軽量化することができる。
〔電気メスの使用例〕
電気メス10の使用例について、図5を参照して説明する。図5は、電気メス10を腹腔鏡Lと併用する腹腔鏡手術の模式図である。
図5に示すように、このような腹腔鏡手術においては、腹腔鏡Lは、その先端に設けられた撮像素子が、開口部Aに挿入されたトロカーTr1を介して、患者Pの腹腔Cの内部に挿入される。撮像素子が撮影した腹腔Cの内部の動画像は、手術室に配置されたモニターMに表示される。手術者又は手術補助者は、モニターMに表示される腹腔Cの内部の動画像を参照しながら腹腔鏡手術を実施する。
また、このような腹腔鏡手術においては、複数の手術器具を腹腔鏡Lとともに腹腔C内に挿入する。ここでは、複数の手術器具として電気メス10及び鉗子Fを用いる。電気メス10は、メインチューブ111の端部113に設けられた電極12が、開口部Aに挿入されたトロカーTr2を介して、腹腔Cの内部に挿入される。鉗子Fは、その先端に設けられたはさみが、開口部Aに挿入されたトロカーTr3を介して、腹腔Cの内部に挿入される。
トロカーTr3には、送気配管PL1を介して、気腹装置Dの送気ポートP1が接続されている。また、トロカーTr1には、吸引配管PL2を介して、気腹装置Dの吸引ポートP2が接続されている。
吸引配管PL2の途中には、Y字コネクターを挿入することにより、分岐点Pが設けられている。分岐点Pには、電気メス10の排気パイプ18が接続されている。したがって、本使用例においては、気腹装置Dの吸引ポートP2を用いて、トロカーTr1からの排気だけでなく、電極12の洗浄吸引ポート121からの排気も併せて実施する。
なお、気腹装置Dは、腹腔Cの内部の圧力があらかじめ設定された圧力になるように、送気量及び吸引量を調節する。そのため、本使用例においては、トロカーTr1からの排気に加えて、電極12の洗浄吸引ポート121からの排気を行う場合であっても、腹腔Cの内部の圧力をあらかじめ設定された圧力に保つことができる。
また、腹腔鏡手術においては、電気メス10の電極12を腹腔C内の所望の位置に置いたあとに、ガイド14をメインチューブ111の接続部114側(図1参照)へとスライドさせる。このとき、ガイド14は、腹腔Cの内部から退避する。すると、メインチューブ111のうちガイド14に覆われていない部分を屈曲させることができるようになる。これにより、メインチューブ111のうちガイド14に覆われていない部分を屈曲させて、腹腔C内において自在に移動させることが可能となり、メインチューブ111が腹腔鏡Lの画角に含まれることを防ぐことができる。
また、電気メス10の電極12を移動させる際に、ガイド14をメインチューブ111の端部113側へとスライドさせることによって、メインチューブ111のうちガイド14に覆われた部分、すなわちメインチューブ111の端部113近傍の可撓性をなくすことができる。これにより、メインチューブ111があたかも可撓性を持たない剛直なシャフトのように振る舞うので、手術者又は手術補助者は、電極12を容易に所望の位置に移動させることができる。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
10 電気メス
11 主軸
111 メインチューブ
112 接続部材
113 端部(一方の端部)
114 接続部(主軸11とコネクター15との)
115 配線
116 被覆
貫通孔
12 電極
13 把持部
14 ガイド
15 コネクター
151 主軸保持部
152 ローテーションノブ
16 グリップ
161 グリップ本体
162 高出力用ボタン
163 低出力用ボタン
164 洗浄用ボタン
165 吸引用ボタン
17 給電ケーブル
18 排気パイプ
19 洗浄パイプ
20 吸引パイプ

Claims (7)

  1. 内視鏡的外科手術において使用される電気メスであって、
    患者の体の開口部を介して、当該患者の体外から体内に一方の端部が挿入される主軸であって、前記一方の端部に電極が設けられた主軸と、
    前記電極を前記一方の端部に接続する接続部材と、
    前記主軸の側方に突出するように前記接続部材に設けられた把持部であって、手術用マニピュレータ、又は、鉗子により把持される把持部と、を備え、
    前記主軸の少なくとも一部は、可撓性を有する材料により構成されている、
    ことを特徴とする電気メス。
  2. 前記接続部材及び前記把持部は、導体により構成されており、
    前記電極と前記接続部材と前記把持部とは、導通している、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電気メス。
  3. 長さが前記主軸よりも短い筒状のガイドであって、内側面が前記主軸の外側面に沿ってスライドするガイドを更に備え、
    前記ガイドは、前記主軸の少なくとも一部を構成する可撓性を有する材料よりも可撓性が低い材料により構成されている、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気メス。
  4. 前記主軸には、前記一方の端部から他方の端部までつながる貫通孔であって、前記他方の端部が排気用のパイプと接続されている貫通孔が設けられている、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気メス。
  5. 前記排気用のパイプの排気を制御する開閉機構を更に備えている、
    ことを特徴とする請求項4に記載の電気メス。
  6. 前記他方の端部において、前記貫通孔には、前記排気用のパイプとともに、洗浄液を供給する洗浄液用のパイプと、液体を吸引する吸引用のパイプと、が接続されている、
    ことを特徴とする請求項4に記載の電気メス。
  7. 前記主軸の前記一方の端部を含む一部区間は、前記主軸の他の区間により高い可撓性を有する材料により構成されており、
    前記一部区間の屈曲を任意に調整する屈曲調整機構を更に備えている、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気メス。
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