JP7355313B2 - 金属ペースト、電子部品、及び電子部品製造方法 - Google Patents
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Description
図1(a)は、金属ペースト1の模式図である。
図1(a)に例示するように、金属ペースト1は、第1の金属粒子10、第2の金属粒子12、金属錯体14、及びバインダ16により構成される。
第1の金属粒子10は、所定の金属元素からなり、1μm以上10μm以下の粒径である。具体的には、第1の金属粒子10は、所定の金属を粉砕し、1μm以上10μm以下の粒径となった金属粒子である。
第2の金属粒子12は、第1の金属粒子10と同じ金属元素からなり、10nm以上100nm以下の粒径である。具体的には、第2の金属粒子12は、第1の金属粒子10と同じ金属を粉砕し、10nm以上100nm以下の粒径となった金属粒子である。
バインダ16は、粘度が調整された混合物である。具体的には、バインダ16は、水又はエタノール、イソプロピルアルコール、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、及び、ポリビニルピロリドンを有する。より具体的には、バインダ16は、第1の金属粒子10と第2の金属粒子12と金属錯体14とを結合する。
合金ペースト2は、第1の金属粒子10である、ニッケルマイクロ粒子30及びクロムマイクロ粒子32と、第2の金属粒子12である、ニッケルナノ粒子34及びクロムナノ粒子36と、金属錯体14である、ニッケル金属錯体38及びクロム金属錯体40と、バインダ16とを有する。
ニッケルマイクロ粒子30は、1μm以上10μm以下の粒径を有するニッケル金属粒子である。クロムマイクロ粒子32は、1μm以上10μm以下の粒径を有するクロム金属粒子である。ニッケルマイクロ粒子30及びクロムマイクロ粒子32は、本発明に係る第1の金属粒子の一例である。
ニッケル金属錯体38は、ニッケルイオンを含み、配位子に酢酸化合物を有する金属錯体である。クロム金属錯体40は、クロムイオンを含み、配位子に酢酸化合物を有する金属錯体である。ニッケル金属錯体38及びクロム金属錯体40は、本発明に係る金属錯体の一例である。
図2に例示するように、第1の金属粒子10及び第2の金属粒子12、すなわち、ニッケルマイクロ粒子30、クロムマイクロ粒子32、ニッケルナノ粒子34、及びクロムナノ粒子36は、トップダウン法を用い、バルク金属を物理的に粉砕して微細化することにより生成される。
金属錯体14、すなわち、ニッケル金属錯体38及びクロム金属錯体40は、ボトムアップ法を用い、金属錯体を溶液で金属イオンから還元して金属原子として凝集させて微細化することにより生成される。
図3に例示するように、Ni-Cr抵抗体3は、基板4の上に合金ペースト2を塗布し、焼成することにより作製される。具体的には、Ni-Cr抵抗体3は、スクリーン印刷を用いてセラミック基板上に合金ペースト2を塗布し、焼成することにより作製される。なお、Ni-Cr抵抗体3は、本発明に係る電子部品の一例である。
ステップ100(S100)において、ニッケル金属とクロム金属における第1の金属粒子10を作製する。具体的には、トップダウン法を用いて、ニッケルマイクロ粒子30及びクロムマイクロ粒子32を生成する。
ステップ105(S105)において、ニッケル金属とクロム金属における第2の金属粒子12を生成する。具体的には、トップダウン法を用いて、ニッケルナノ粒子34及びクロムナノ粒子36を生成する。
ステップ110(S110)において、ニッケル金属とクロム金属における金属錯体14を作製する。具体的には、ボトムアップ法を用いて、ニッケル金属錯体38及びクロム金属錯体40を生成する。具体的には、酢酸ニッケル水和物及び酢酸クロム水和物をグリセリンに溶かし、ニッケル金属錯体溶液及びクロム金属錯体溶液を生成する。
ステップ120(S120)において、セラミック基板4上に、スクリーン印刷により合金ペースト2を塗布する。
ステップ125(S125)において、合金ペースト2が塗布された基板4を、窒素雰囲気中で焼成してNi-Cr抵抗体3を作製する。
(実施例)
金属ニッケル粉(粒径2~3μm、高純度化学研究所製)、及び金属クロム粉(粒径10μm、高純度化学研究所製)を用いて、トップダウン法により、物理的に粉砕して微細化し、1μm以上10μm以下の粒径を有するニッケルマイクロ粒子30及びクロムマイクロ粒子32を生成した。さらに、金属ニッケル粉(粒径2~3μm、高純度化学研究所製)、及び金属クロム粉(粒径10μm、高純度化学研究所製)を用いて、トップダウン法により、物理的に粉砕して微細化し、10nm以上100nm以下の粒径を有するニッケルナノ粒子34及びクロムナノ粒子36を生成した。そして、酢酸ニッケル水和物(シグマアルドリッチジャパン製)及び酢酸クロム水和物(シグマアルドリッチジャパン製)をグリセリン(関東化学製)に溶かし、ニッケル金属錯体溶液及びクロム金属錯体溶液を生成した。バインダ16として、イソプロピルアルコール(シグマアルドリッチジャパン製)に溶かしたポリビニルアルコール(シグマアルドリッチジャパン製)、ポリビニルピロリドン(シグマアルドリッチジャパン製)、ポリエチレングリコール(シグマアルドリッチジャパン製)、及びガラスフリットを添加し、合金ペースト2を生成した。さらに、セラミック基板4上にスクリーン印刷により合金ペースト2を塗布し、ホットプレート上で、120℃で30分以上加熱し、乾燥後、管状炉(いすゞ(株)社製 EPKRO-14K、EP-K-1200)を用いて窒素雰囲気中で仮焼成400℃を1時間、本焼成800℃、700℃、600℃、及び500℃の4通りで1時間焼成してNi-Cr抵抗体3を作製した。
図5(a)のNi-Cr抵抗体3は、合金ペースト2をセラミック基板4上に5mm×15mmのパターンを印刷し、窒素雰囲気中で仮焼成400℃を1時間、本焼成800℃、700℃、600℃、及び500℃の4通りで1時間焼成して作製された。
図5(b)は、焼成温度をパラメータとして作製したNi-Cr抵抗体3のXRD結果を示す。
図5(b)の縦軸の強度は、各スペクトルの最大値で規格化されている。図5(b)から、Ni-Cr抵抗体3は、いずれの焼成温度でも2つのピークがあり、複数の結晶相を持つことが示され、800℃~600℃ではNi-Cr合金に近い位置にピークが見られた。
作製したNi-Cr抵抗体3は、通電により発熱し、6Wの電力を印加することで250℃まで到達及び飽和することが確認された。
図6(a)に例示するように、焼成温度の上昇に伴い、粒子が凝集した表面が平坦なNi-Cr抵抗体3が形成された。また、図6(b)に例示するように、Ni-Cr抵抗体3は、粘度調整剤にポリビニルアルコール(PVA)を用いることで残留有機物の低減が可能となった。Ni-Cr抵抗体3は、残留有機物の低減により、有機物揮発によるひび割れを防ぎ、通電時の耐久性を向上させることができる。
図7(a)に例示するように、Ni-Cr抵抗体3は、焼成温度の上昇に伴い、抵抗値が減少していることがわかる。これは、結晶化及び残留有機物の減少によるものである。
図7(b)に例示するように、Ni-Cr抵抗体3は、ガラス添加量(ガラスフリット添加量)を調整することにより、抵抗値を5桁以上変化させることができる。
図8に例示するように、Ni-Cr抵抗体3は、投入電力5.4Wにおいて、230℃到達まで、180secであり、投入電力9.5Wにおいて、10secであった。また、Ni-Cr抵抗体3は、230℃から室温まで自然冷却において、約100secであった。
上記実施形態では、合金ペースト2にニッケル金属及びクロム金属を用いているが、これに限定されるものではなく、例えば、銅、亜鉛、又は鉄を用いた合金ペースト2を作製してもよい。
2・・・合金ペースト
3・・・Ni-Cr抵抗体
4・・・基板
10・・・第1の金属粒子
12・・・第2の金属粒子
14・・・金属錯体
16・・・バインダ
30・・・ニッケルマイクロ粒子
32・・・クロムマイクロ粒子
34・・・ニッケルナノ粒子
36・・・クロムナノ粒子
38・・・ニッケル金属錯体
40・・・クロム金属錯体
Claims (9)
- スクリーン印刷により、基板の上に金属ペーストを塗布するステップと、
前記塗布するステップにより、金属ペーストが塗布された基板を焼成するステップと
を有し、
前記金属ペーストは、
所定の金属元素からなり、1μm以上10μm以下の粒径である第1の金属粒子と、
前記金属元素からなり、10nm以上100nm以下の粒径である第2の金属粒子と、
前記金属元素のイオンが含まれる金属錯体と
を有し、
前記金属ペーストは、ニッケル金属及びクロム金属からなる合金ペーストであり、
前記第1の金属粒子は、ニッケルマイクロ粒子、クロムマイクロ粒子、又は、ニッケルマイクロ粒子及びクロムマイクロ粒子であり、
前記第2の金属粒子が、ニッケルナノ粒子、クロムナノ粒子、又は、ニッケルナノ粒子及びクロムナノ粒子である
電子部品製造方法。 - 金属を粉砕し、前記第1の金属粒子を生成するマイクロ粒子生成ステップと、
金属を粉砕し、前記第2の金属粒子を生成するナノ粒子生成ステップと、
金属錯体を調整及び還元して金属原子を凝集させ、凝集した金属原子を含む金属錯体を生成する還元ナノ粒子生成ステップと、
前記マイクロ粒子生成ステップにより生成された第1の金属粒子と、前記ナノ粒子生成ステップにより生成された第2の金属粒子と、前記還元ナノ粒子生成ステップにより生成された金属錯体と、バインダとを混合する混合ステップと
をさらに有し、
前記金属錯体は、配位子に酢酸化合物を有する
請求項1に記載の電子部品製造方法。 - 前記バインダは、粘度が調整された混合物であり、
前記混合物は、イソプロピルアルコールと、ポリビニルピロリドンとを有する
請求項2に記載の電子部品製造方法。 - 前記混合ステップにおいて、粉末状のガラスをさらに添加し、
前記粉末状のガラスの融点は、450℃以下である
請求項2に記載の電子部品製造方法。 - 所定の金属元素からなり、1μm以上10μm以下の粒径である第1の金属粒子と、
前記金属元素からなり、10nm以上100nm以下の粒径である第2の金属粒子と、
前記金属元素のイオンが含まれる金属錯体と前記第1の金属粒子と、前記第2の金属粒子と、前記金属錯体とを結合するバインダと
を有し、
前記第1の金属粒子は、ニッケルマイクロ粒子、クロムマイクロ粒子、又は、ニッケルマイクロ粒子及びクロムマイクロ粒子であり、
前記第2の金属粒子が、ニッケルナノ粒子、クロムナノ粒子、又は、ニッケルナノ粒子及びクロムナノ粒子であり、
ニッケル金属及びクロム金属からなる合金ペーストである
金属ペースト。 - 前記金属錯体は、配位子に酢酸化合物を有する
請求項5に記載の金属ペースト。 - 前記バインダは、粘度が調整された混合物であり、
前記混合物は、イソプロピルアルコールと、ポリビニルピロリドンとを有する
請求項5に記載の金属ペースト。 - 粉末状のガラスを
さらに有し、
前記粉末状のガラスの融点は、450℃以下である
請求項5に記載の金属ペースト。 - 基板と、
スクリーン印刷により、前記基板の上に塗布された金属ペーストと
を有し、
前記基板の上に塗布された前記金属ペーストは焼成されており、
焼成前の前記金属ペーストは、
所定の金属元素からなり、1μm以上10μm以下の粒径である第1の金属粒子と、
前記金属元素からなり、10nm以上100nm以下の粒径である第2の金属粒子と、
前記金属元素のイオンが含まれる金属錯体と
を有し、
前記金属ペーストは、ニッケル金属及びクロム金属からなる合金ペーストであり、
前記第1の金属粒子は、ニッケルマイクロ粒子、クロムマイクロ粒子、又は、ニッケルマイクロ粒子及びクロムマイクロ粒子であり、
前記第2の金属粒子が、ニッケルナノ粒子、クロムナノ粒子、又は、ニッケルナノ粒子及びクロムナノ粒子である
電子部品。
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